(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0010】
<液体組成物>
本発明の液体組成物は、(a)成分:一般式(a−1)で表される、HLBが10.5〜13.5の非イオン界面活性剤と、(b)成分:陰イオン界面活性剤と、(c)成分:水溶性の2価金属塩とを含有する。
この液体組成物は、該液体組成物から(c)成分を未配合(配合せず)とした組成物における粘度よりも高い粘度を示し、好ましくは2倍以上の粘度を容易に示し、さらには10倍以上の粘度を示し得るものである。
この液体組成物の用途は、特に限定されるものではなく、たとえば繊維製品用、食器や野菜などを処理対象とした台所用;便器、壁、浴室などを処理対象とした硬質表面用;皮膚や毛髪などを処理対象とした人体用等が挙げられる。なかでも、繊維製品用の液体洗浄剤に有用であり、具体的には、衣料用液体洗剤、衣料用液体漂白剤、衣料用液体前処理洗濯助剤(例えば、ポリビニルアルコール等からなる水溶性フィルムなどに代表されるフィルムに包まれた液体カプセル型洗剤又は洗濯助剤など)等に有用である。これらのなかでも、衣料用液体漂白剤に特に有用であり、過酸化水素を含有する衣料用液体漂白剤に最も有用である。本発明の液体組成物は、塗布部位での滞留性が良好である。このため、本発明の液体組成物を、洗濯対象物の汚れ部位に直接塗布して用いることによって、塗布洗浄性の効果が高まる。また、前記のフィルムに包まれた液体カプセル型製剤では、カプセル内部の液体の粘性が高いことにより、特に溶液に対するせん断速度が低いとき及び高いときにそれぞれ観察される液粘度が大きく異なる特性(チクソトロピー性)を有しているほど、フィルム表面の劣化又は溶解によって生じる液漏れを抑制できるため、好ましい。
【0011】
((a)成分:特定の非イオン界面活性剤)
本発明における(a)成分は、下記一般式(a−1)で表される、HLBが10.5〜13.5の非イオン界面活性剤である。
【0012】
【化2】
[式中、Rは炭素数8〜18のアルキル基又はアルケニル基を示し、nはオキシエチレン基の平均繰返し数を示す。]
【0013】
前記式(a−1)中、Rにおけるアルキル基、アルケニル基は、直鎖状であっても分岐鎖状であってもよい。なかでも、Rは、直鎖状又は分岐鎖状のアルキル基が好ましい。
Rにおけるアルキル基、アルケニル基の炭素数は、8〜18であり、好ましくは炭素数が10〜16であり、より好ましくは炭素数が12〜14である。
【0014】
前記式(a−1)中、nは、オキシエチレン基(CH
2CH
2O)の平均繰返し数を示す。
nは、好ましくは5〜9であり、より好ましくは5.5〜8.5であり、さらに好ましくは6〜8であり、最も好ましくは6〜7である。
尚、(a)成分は、nがオキシエチレン基の平均繰返し数を示すことからも分かるように、(CH
2CH
2O)の繰返し数が異なる分子の混合物である。
【0015】
また、本発明の有用性の観点から、(a)成分の中でも、オキシエチレン基の繰返し数が異なる化合物(エチレンオキシド付加体)の分布の割合を示すナロー率が、50質量%未満であるものが好ましく、45質量%未満であるものがより好ましく、20質量%以上45質量%未満であるものがさらに好ましく、25質量%以上45質量%未満であるものが特に好ましく、30〜45質量%であるものが最も好ましい。
ナロー率が45質量%未満の(a)成分を用いる場合で、かつ、界面活性剤濃度の低い組成では、従来、粘度増加が特に困難であった。このことから、本発明は、ナロー率が45質量%未満の(a)成分を用いる場合に特に有用である。
【0016】
本明細書において「ナロー率」とは、オキシエチレン基の繰返し数、すなわち、エチレンオキシドの付加モル数が異なるエチレンオキシド付加体の分布の割合を示す下式(S)で表される値をいう。
【0017】
【数1】
[式中、p
maxは全体のエチレンオキシド付加体中に最も多く存在するエチレンオキシド付加体のエチレンオキシドの付加モル数を示す。iはエチレンオキシドの付加モル数を示す。Yiは全体のエチレンオキシド付加体中に存在するエチレンオキシドの付加モル数がiであるエチレンオキシド付加体の割合(質量%)を示す。]
【0018】
たとえばp
max=6で、かつ、(a)成分全体に含まれる、前記一般式(a−1)中のnが4〜8の範囲内にあるエチレンオキシド付加体の割合が35質量%の場合、ナロー率は35質量%となる。
(a)成分のナロー率は、たとえば該(a)成分の製造方法によって制御することができる。その製造方法として具体的には、表面改質された複合金属酸化物触媒を用いて、アルコール又は脂肪酸アルキルエステルにアルキレンオキシドを付加重合させる方法(特開2000−144179号公報、特開2000−061304号公報参照)が挙げられる。
【0019】
(a)成分のHLBは、10.5〜13.5であり、11〜13.5が好ましく、11.5〜13がより好ましく、11.5〜12.5がさらに好ましい。
(a)成分のHLBが10.5〜13.5の範囲から外れると、液体組成物の粘度増加の効果が得られにくくなる。
また、液体漂白剤とした際、特に塗布による洗浄を行う場合、(a)成分のHLBが10.5未満であると、水への溶解性が低くなり、洗浄性能が低下するおそれがある、又は、初期外観の悪化、低温時に白濁もしくは高温時に分離を生じやすくなって、商品外観の面で好ましくない。一方、(a)成分のHLBが13.5を超えると、油汚れに対する親和性が低下して洗浄性能が低下しやすい。
一例として、(a)成分が、前記式(a−1)中のRが炭素数12のアルキル基であるもの(C12)と、Rが炭素数14のアルキル基であるもの(C14)と、の質量比でC12:C14=7:3の混合物である場合、前記式(a−1)中のnが5であるものはHLBが10.5、nが6であるものはHLBが11.5、nが7であるものはHLBが12.3、nが8であるものはHLBが12.9、nが9であるものはHLBが13.4である。
尚、本発明において「非イオン界面活性剤のHLB」は、W.C.Griffinによる方法(詳細は1949年のJ.Soc.Cosmetic Chemists,1,311頁を参照)を用いた値を示す。ポリオキシエチレンアルキルエーテルにおいては、次式:HLB=オキシエチレン基の質量分率(%)/5、によって求められる。
2種以上の(a)成分を用いる場合、それらのHLBの平均値が10.5〜13.5の範囲内にあることを要するものとする。
【0020】
(a)成分は、1種単独で用いてもよく、2種以上を適宜組み合わせて用いてもよい。
液体組成物中、(a)成分の含有量は、1質量%以上10質量%未満であり、好ましくは1質量%以上8質量%未満であり、より好ましくは1質量%以上5質量%未満であり、特に好ましくは1.5質量%以上4質量%未満である。
本発明においては、(a)成分の含有量が10質量%未満であれば、(b)成分の含有量との合計において、界面活性剤濃度の比較的低い組成物の粘度を容易に増加させることができる。
(a)成分の含有量が1質量%以上であることにより、粘度増加の効果が得られる。加えて、たとえば液体漂白剤を用いて特に塗布による洗浄を行う場合、シミ汚れ等に対して高い洗浄性能が発揮される。
【0021】
((b)成分:陰イオン界面活性剤)
本発明における(b)成分は陰イオン界面活性剤である。(b)成分を、(a)成分及び(c)成分と併用することによって粘度増加の効果が得られる。
(b)成分としては、たとえばアルキルベンゼンスルホン酸塩、アルキルエーテル硫酸塩、アルケニルエーテル硫酸塩、アルキル硫酸塩、アルケニル硫酸塩、オレフィンスルホン酸塩、アルカンスルホン酸塩、飽和脂肪酸塩、不飽和脂肪酸塩、アルキルエーテルカルボン酸塩、アルケニルエーテルカルボン酸塩、α−スルホ脂肪酸塩、α−スルホ脂肪酸エステル塩などが挙げられる。
これらの中でも、アルキルベンゼンスルホン酸塩がより好ましく、その中でも、炭素数10〜20のアルキルベンゼンスルホン酸塩が特に好ましい。
(b)成分は、1種単独で用いてもよく、2種以上を適宜組み合わせて用いてもよい。
【0022】
本発明において「(a)成分/(b)成分で表される質量比」とは、液体組成物中の(b)成分の含有質量に対する、(a)成分の含有質量の割合を表す。
本発明の液体組成物において、(a)成分と(b)成分との混合比率は、(a)成分/(b)成分で表される質量比が1〜6であり、好ましくは1.25〜5であり、より好ましくは1.25〜3.5であり、さらに好ましくは1.25〜2.5であり、特に好ましくは1.5〜1.75である。
(a)成分/(b)成分で表される質量比が6以下であることにより、粘度増加の効果が得られやすくなる。加えて、経時に伴う分離が生じにくくなり、液体組成物の保存安定性が高まる。一方、(a)成分/(b)成分で表される質量比が1以上であることにより、液体組成物の外観の透明性が確保されやすい。
【0023】
液体組成物中、(b)成分の含有量は、0.3〜7質量%が好ましく、より好ましくは0.5〜5質量%であり、特に好ましくは1〜4質量%である。
(b)成分の含有量が、好ましい下限値未満であると、粘度増加の効果が得られにくくなる。加えて、特に高温側の保存条件で分離を生じる場合がある。一方、好ましい上限値を超えても、粘度増加の効果はほとんど変わらず、また、界面活性剤濃度が高くなる点で好ましくない。
【0024】
また、本発明液体組成物における全界面活性剤量は、1.5質量%以上が好ましく、より好ましくは2質量%以上であり、上限値は、10質量%以下が好ましく、より好ましくは10質量%未満であり、さらに好ましくは7.5質量%以下であり、特に好ましくは5質量%以下であり、最も好ましくは5質量%未満である。
これまで界面活性剤濃度の低い組成において粘度増加が困難であったことに鑑み、全界面活性剤量が好ましい上限値以下の組成において、本発明は特に有用である。
全界面活性剤量が好ましい下限値以上であると、粘度増加の効果が得られやすくなり、塗布時の使用性などがより良好となる。加えて、塗布部位での滞留性が高まり、たとえば液体漂白剤とした際、洗浄性能がより向上する。
【0025】
((c)成分:水溶性の2価金属塩)
本発明において、(c)成分は、水溶性の2価金属塩であり、増粘剤(粘度調整剤)として働く成分である。また、(c)成分の併用により、液体組成物の粘度増加に加えて洗浄力も高まる。
(c)成分を構成する2価金属は、たとえば、マグネシウム、カルシウム、亜鉛などが挙げられ、粘度増加の効果がより高いことから、マグネシウムが好ましい。また、過酸化水素が配合される際には、液体組成物中での過酸化水素の安定性向上の観点からもマグネシウムは好適である。
(c)成分としては、たとえば2価金属の無機塩が挙げられる。
2価金属の無機塩として具体的には、2価金属の硫酸塩、硫酸水素塩、リン酸塩、リン酸水素塩、炭酸塩、水酸化物、塩化物などが好適に挙げられる。
【0026】
(c)成分として具体的には、硫酸マグネシウム、硫酸水素マグネシウム、リン酸マグネシウム、リン酸水素マグネシウム、水酸化マグネシウム、塩化マグネシウム、塩基性炭酸マグネシウム等の水溶性のマグネシウム無機塩;水酸化カルシウム、炭酸カルシウム、炭酸水素カルシウム、硝酸カルシウム、塩化カルシウム、硫酸カルシウム、リン酸カルシウム等の水溶性のカルシウム無機塩;硝酸亜鉛、硫化亜鉛、硫酸亜鉛、塩化亜鉛、リン酸亜鉛、シアン化亜鉛、過塩素酸亜鉛等の水溶性の亜鉛塩などが挙げられる。なかでも、水溶性のマグネシウム無機塩が好ましく、粘度増加の効果及びコストの面から、硫酸マグネシウムが特に好ましい。
【0027】
(c)成分は、1種単独で用いてもよく、2種以上を適宜組み合わせて用いてもよい。
液体組成物中、(c)成分の含有量は、0.01〜1質量%が好適である。
粘度増加のより高い効果を得る点から、(c)成分の含有量は、0.05質量%以上が好ましく、より好ましくは0.2質量%以上であり、さらに好ましくは0.25質量%以上であり、特に好ましくは0.30質量%以上であり、最も好ましくは0.35質量%以上である。
一方、液体組成物の外観の透明性の確保、及び、高温側もしくは低温側の保存条件での分離抑制の点から、(c)成分の含有量は、0.75質量%以下が好ましく、より好ましくは0.65質量%以下であり、さらに好ましくは0.60質量%以下であり、特に好ましくは0.55質量%以下である。
【0028】
本発明において「(b)成分/2価金属で表されるモル比」とは、液体組成物中の(c)成分由来の2価金属のモル数に対する、(b)成分のモル数の割合を表す。
本発明の液体組成物において、(b)成分と(c)成分との混合比率は、(b)成分/2価金属で表されるモル比で0.5〜4が好ましく、より好ましくは0.9〜2.5であり、さらに好ましくは1.3〜2である。
(b)成分/2価金属で表されるモル比が、好ましい下限値以上であることにより、経時に伴う分離が生じにくくなり、液体組成物の保存安定性が高まる。一方、該モル比が、好ましい上限値以下であることにより、粘度増加の効果が得られやすくなる。
【0029】
(溶媒)
本発明の液体組成物は、調製しやすさ、使用する際の水への溶解性等の観点から、溶媒として水を含有することが好ましい。
使用する水は、液体組成物の経時安定性の点から、水中に溶解している重金属等の金属イオンを除いたイオン交換水又は蒸留水を用いることが好ましく、過酸化水素を含む液体漂白剤においては特に好ましい。
液体組成物中、水の含有量は、該液体組成物の総質量に対して50質量%以上が好ましく、70質量%以上がより好ましく、85〜95質量%がさらに好ましい。
水の含有量が好ましい下限値以上であると、経時に伴う液体組成物の液安定性がより良好となり、一方、好ましい上限値以下であれば、使用性の観点から良好である。
【0030】
溶媒としては、水以外に、水混和性有機溶媒を用いてもよい。
「水混和性有機溶媒」とは、25℃のイオン交換水1Lに50g以上溶解する有機溶媒をいう。水混和性有機溶媒としては、水と混合した際に均一な溶液となるものであればよく、そのなかでも、炭素数2〜4の一価アルコール、炭素数2〜4の多価アルコール、グリコールエーテル等が挙げられる。
炭素数2〜4の1価アルコールとしては、エタノール、1−プロパノール、2−プロパノール、1−ブタノール等が挙げられる。
炭素数2〜4の多価アルコールとしては、エチレングリコール、プロピレングリコール、ブチレングリコール、グリセリン等が挙げられる。
グリコールエーテルとしては、エチレングリコールモノブチルエーテル、エチレングリコールモノヘキシルエーテル、エチレングリコールモノフェニルエーテル、プロピレングリコールモノフェニルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル等が挙げられる。
【0031】
(任意成分)
本発明の液体組成物には、本発明の効果を損なわない範囲で、用途に応じて上述した(a)〜(c)成分以外のその他の成分を配合してもよい。
その他の成分としては、特に限定されず、金属封鎖剤、過酸化水素、ラジカルトラップ剤、(c)成分以外の増粘剤、pH調整剤、(a)成分及び(b)成分以外の界面活性剤、安定化剤、機能付与剤、過酸化水素以外の漂白剤、漂白活性化剤、ソイルリリース剤、分散剤、再汚染防止剤、蛍光剤、溶剤、香料などが挙げられる。
【0032】
・(d)成分:金属封鎖剤
本発明の液体組成物においては、(d)成分:金属封鎖剤をさらに含有することが好ましい。(d)成分を含有することにより、高温側もしくは低温側の保存条件における、液体組成物の分離がより抑制される。(d)成分の配合は、特に保存時の温度が高いときほど有用であり、より高温側での保存条件であっても、液体組成物の分離が抑制され、より長期間の液安定化に有効である。また、過酸化水素を含有する液体漂白剤とした際、過酸化水素の安定性がより向上する。
(d)成分としては、たとえば以下に示す(d1)〜(d7)が挙げられる。
(d1)リン酸、トリポリリン酸、フィチン酸及びこれらの塩から選ばれるリン酸系化合物、
(d2)エタン−1,1−ジホスホン酸、エタン−1,1,2−トリホスホン酸、エタン−1−ヒドロキシ−1,1−ジホスホン酸、エタンヒドロキシ−1,1,2−トリホスホン酸、エタン−1,2−ジカルボキシ−1,2−ジホスホン酸、メタンヒドロキシホスホン酸及びこれらの塩から選ばれるホスホン酸化合物、
(d3)2−ホスホノブタン−1,2−ジカルボン酸、1−ホスホノブタン−2,3,4−トリカルボン酸、α−メチルホスホノコハク酸及びこれらの塩から選ばれるホスホノカルボン酸化合物、
(d4)アスパラギン酸、グルタミン酸、グリシン及びこれらの塩から選ばれるアミノ酸化合物、
(d5)ニトリロ三酢酸、イミノ二酢酸、エチレンジアミン二酢酸、エチレンジアミン四酢酸、ジエチレントリアミン五酢酸、グリコールエーテルジアミン四酢酸、ヒドロキシエチルイミノ二酢酸、2−ヒドロキシエチルイミノジ酢酸、トリエチレンテトラアミン六酢酸、ジエンコル酸及びこれらの塩から選ばれるアミノポリ酢酸化合物、
(d6)ジグリコール酸、オキシジコハク酸、カルボキシメチルオキシコハク酸、クエン酸、乳酸、酒石酸、シュウ酸、リンゴ酸、オキシジコハク酸、グルコン酸、カルボキシメチルコハク酸及びカルボキメチル酒石酸から選ばれる有機酸、又はその塩、
(d7)アミノポリ(メチレンホスホン酸)、ポリエチレンポリアミンポリ(メチレンホスホン酸)又はこれらの塩。
【0033】
上記の中でも、(d)成分としては、(d2)、(d5)、(d6)、(d7)がより好ましく、その中でも、エタン−1,1−ジホスホン酸、エタン−1,1,2−トリホスホン酸、エタン−1−ヒドロキシ−1,1−ジホスホン酸;クエン酸;エチレンジアミン四酢酸、ジエチレントリアミン五酢酸、エチレンジアミン二酢酸、2−ヒドロキシエチルイミノジ酢酸、又はこれらのナトリウム塩がさらに好ましい。
過酸化水素を含有する液体漂白剤の場合、(d)成分としては(d2)が好ましく、分解が生じにくいエタン−1,1−ジホスホン酸、エタン−1,1,2−トリホスホン酸、エタン−1−ヒドロキシ−1,1−ジホスホン酸が特に好ましい。
【0034】
(d)成分は、1種単独で用いてもよく、2種以上を適宜組み合わせて用いてもよい。
液体組成物中、(d)成分の含有量は、0.01〜1質量%が好ましく、より好ましくは0.1〜0.9質量%であり、さらに好ましくは0.1〜0.5質量%であり、特に好ましくは0.15〜0.4質量%であり、最も好ましくは0.2〜0.35質量%である。
(d)成分の含有量が好ましい下限値未満であると、高温側又は低温側の保存条件で分離を生じやすくなる。一方、(d)成分の含有量が好ましい上限値を超えると、粘度増加の効果が得られにくくなる傾向にある。また、過酸化水素を含有する液体漂白剤において、過酸化水素の分解抑制を図るためには過剰量であり、加えて、コスト面からも好ましくない。
【0035】
・(e)成分:過酸化水素
本発明の液体組成物においては、(e)成分を含有することにより漂白性能が付与される。(e)成分を含有する液体組成物は、粘度増加が図られることで、塗布部での液体組成物の滞留時間がより長くなり、漂白効果がさらに高まる。
液体組成物中、(e)成分の含有量は、漂白性能を高めること、特に塗布による洗浄時の漂白効果の向上の観点から、0.1〜10質量%が好ましい。
【0036】
・ラジカルトラップ剤
本発明の液体組成物に用いることができるラジカルトラップ剤としては、好ましくはフェノール系ラジカルトラップ剤が挙げられる。
特に、過酸化水素を含む液体漂白剤において、そのpHが5以上である場合、過酸化水素の分解が充分に抑制されることから、フェノール系ラジカルトラップ剤を(d)成分とともに用いることが好ましい。また、誤使用などで液体漂白剤を衣料等に塗布した後、長時間放置された際に、フェノール系ラジカルトラップ剤を含有していることにより、衣料等の損傷が抑制される。
フェノール系ラジカルトラップ剤とは、フェノール又はフェノール誘導体である。該フェノール誘導体としては、フェノール性のOH基を有する化合物、フェノール性のOH基のエステル誘導体、フェノール性のOH基のエーテル誘導体などが好適に挙げられる。なお、ベンゼン環には置換基が結合していてもよく、その置換位置は、オルト位、メタ位、パラ位のいずれでもよい。
「フェノール性のOH基のエステル誘導体」とは、フェノール性のOH基の水素原子が、炭素数1〜3程度の脂肪酸とエステル反応することにより形成されるエステル基を有する化合物を示す。
「フェノール性のOH基のエーテル誘導体」とは、フェノール性のOH基の水素原子が、炭素数1〜5のアルキル基又はフェニル基などのアリール基と置換してエーテル結合を構成している基を有する化合物を示す。
なかでも、ラジカルトラップ剤としては、フェノール性のOH基を有するフェノール系ラジカルトラップ剤がより好ましい。そのなかでも、さらに好ましいものは、「G.E.Penketh,J.Appl.Chem」,7,512〜521頁(1957)に記載された酸化還元電位(O.P.)
0が1.25V以下の化合物であり、特に好ましくは0.75V以下の化合物である。これらのなかで好ましくは、ジメトキシフェノール、カテコール、ハイドロキノン、4−メトキシフェノール、ジブチルヒドロキシトルエン(BHT)等が挙げられ、4−メトキシフェノールが最も好ましい。
液体組成物中、ラジカルトラップ剤の含有量は、過酸化水素の分解抑制効果や経済性などの観点から、0.01〜1質量%が好ましく、より好ましくは0.05〜0.5質量%である。
【0037】
・増粘剤
本発明の液体組成物においては、(c)成分以外の増粘剤を用いてもよい。
かかる増粘剤としては、たとえば、ポリアクリル酸、アクリル酸−マレイン酸コポリマー、アクリル酸−メタクリル酸コポリマー、カルボキシビニルポリマー等のカルボン酸系高分子;ポリエチレングリコールもしくはポリプロピレングリコール等のポリアルキレングリコール又はそのアルキルエステル;キサンタンガム、グアーガム、カルボキシメチルセルロース、メチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ヒドロキシブチルメチルセルロース、カチオン化セルロース、キシロースポリビニルアルコール等の天然糖系高分子;ポリ(N−ビニルアセトアミド)、ポリウレタン等が挙げられる。
但し、本発明では、液安定性の確保のしやすさ(保存時における前記増粘剤の経時分解などによる粘度変化等)の点から、(c)成分以外の増粘剤を用いないことが好ましい。
【0038】
・pH調整剤
本発明の液体組成物に用いることができるpH調整剤は、特に限定されず、塩酸、硫酸などの無機酸、有機酸;水酸化カリウム、水酸化ナトリウム、アンモニアもしくはその誘導体、アルカノールアミン(モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン等)、炭酸ナトリウム、炭酸カリウムなどの塩基が挙げられる。
塩基のなかでは、水酸化ナトリウムが好ましい。酸のなかでは、粘度増加の効果の面から、無機酸が好ましく、そのなかでも硫酸を用いることが特に好ましい。
pH調整剤は、1種単独で用いてもよく、2種以上を適宜組み合わせて用いてもよい。
尚、過酸化水素を含む液体漂白剤においては、塩酸等の塩化物イオンを含む化合物を配合する場合、過酸化水素の安定性の面から、該液体漂白剤中における塩化物イオンの濃度を0.02質量%以下とすることが好ましい。
【0039】
本発明の液体組成物のpHは、好ましくは1〜6.5であり、より好ましくはpHが2〜6であり、さらに好ましくはpHが2〜5.5であり、特に好ましくは2.5〜5であり、最も好ましくは2.5〜4.5である。
液体組成物のpHが好ましい下限値未満であると、高温側の保存条件で分離が生じやすくなり、粘度増加の効果が得られにくい場合がある。一方、液体組成物のpHが好ましい上限値を超えると、液体組成物の調製直後、外観に濁りが生じやすく、析出物が沈殿する場合がある。特に過酸化水素を含む液体漂白剤では、過酸化水素が保存時に分解しやすい。
本発明において、液体組成物のpHは、pHメーター(製品名:HM−30G、東亜ディーケーケー株式会社製)を用い、25℃に調温した該組成物に、該pHメーターの電極を入れ、2分後の値を読み取ることにより測定される値を示す。
【0040】
本発明の液体組成物の粘度は、好ましくは15〜300mPa・sであり、より好ましくは15〜150mPa・sであり、さらに好ましくは30〜100mPa・sである。
液体組成物の粘度が好ましい下限値以上であると、洗濯対象物の汚れ部位への塗布が容易となり、また、液体組成物の計量も行いやすくなる。一方、液体組成物の粘度が好ましい上限値以下であると、包装容器への充填や製品ボトルへの詰替え等の際、泡が立ちにくく、作業性がより向上する。
本発明において、液体組成物の粘度は、B型粘度計(東京計器株式会社製)を用い、測定温度を25℃、ローターナンバーをNo.1(〜100mPa・s未満)又はNo.2(100mPa・s以上)、回転数を60rpmにそれぞれ設定し、ローター回転開始60秒後の目盛りを読み取ることにより測定される値を示す。
【0041】
本発明の液体組成物においては、(c)成分が増粘剤(粘度調整剤)として働き、(c)成分を未配合(配合せず)とした組成物(すなわち、(a)成分と(b)成分と任意成分とを溶媒に溶解した組成物)の粘度よりも高い粘度に調整でき、好ましくは2倍以上の粘度に容易に調整できる。
本発明の液体組成物の粘度をV1とし、本発明の液体組成物において(c)成分を未配合(配合せず)とした組成物の粘度をV0とした際、V1/V0で表される比は、好ましくは2以上であり、より好ましくは4〜40であり、さらに好ましくは7〜20であり、特に好ましくは8〜15である。
V1/V0で表される比が好ましい下限値以上であれば、塗布時の使用性がより良好となる。加えて、塗布部位での滞留性が高まり、洗浄性能がより向上する。一方、V1/V0で表される比が好ましい上限値以下であれば、包装容器への充填や製品ボトルへの詰替え等を行いやすい。
本発明の液体組成物において(c)成分を未配合(配合せず)とした組成物は、その粘度V0が、好ましくは3mPa・s以上15mPa・s未満の範囲にあるものであり、より好ましくは4〜10mPa・sの範囲にあるものであり、さらに好ましくは4mPa・s以上10mPa・s未満の範囲にあるものである。
【0042】
(液体組成物の製造方法)
本発明の液体組成物は、溶媒と、(a)成分と、(b)成分と、(c)成分と、必要に応じて任意成分とを混合することにより調製される。
液体組成物の製造方法としては、たとえば、前記(a)成分と前記(b)成分と前記(c)成分とを溶媒に溶解する溶解工程を有する製造方法が好適である。
なかでも、液体組成物の製造時に、原料混合物の均一性を保ちやすく、製造効率に優れることから、前記溶解工程では、前記(a)成分と前記(b)成分とを前記溶媒中で混合し、次いで、前記(c)成分を加え混合することが好ましい。これにより、25℃にて透明で均一な外観を有し、増粘化された液体組成物が容易に得られる。
具体的には、溶媒の一部又は全部に、(a)成分と(b)成分と用途等に応じて任意成分とを投入して混合することにより混合物を得る。次いで、得られた混合物に、(c)成分を加えながら混合し、pH調整剤を添加してpHを調整し、溶媒の残りがある場合にはその残部を加え混合することにより液体組成物が得られる。
該混合物に(c)成分を加える方法は、特に限定されず、(c)成分そのものを加えてもよく、(c)成分溶液として加えてもよい。
【0043】
本発明の液体組成物は、前記の(a)成分と(b)成分とを特定の比率で混合し、かつ、(c)成分を併用することにより、界面活性剤濃度が低い組成において粘度の増加が可能である。
これは、特定のHLBを有する(a)成分と(b)成分とで形成される会合体(混合ミセル)が、(c)成分の添加によって、会合数が増加した構造に変化しやすいため;加えて、特に(b)成分と(c)成分との電気的相互作用により、界面活性剤分子同士の会合する力が強く働いているため、と推測される。
また、本発明の液体組成物を、洗濯対象物の汚れ部位に直接塗布して用いることによって、該液体組成物の塗布部位での滞留性が良好なため、塗布洗浄性の効果が高まる。加えて、本発明の液体組成物によれば、使用時の塗布性の向上や、詰替えもしくは充填時の泡立ち低減などが図れる。
【0044】
また、本発明においては、水溶性塩である(c)成分が、増粘剤(粘度調整剤)として配合されている。このため、温度の影響による粘度変化を生じにくく、液体組成物の保存安定性が良好である。加えて、(c)成分は、他の増粘剤(高分子化合物、芳香族化合物など)に比べて、汎用性の高い原料であり、コスト的にも有利である。
【実施例】
【0045】
以下に実施例を用いて本発明をさらに詳しく説明するが、本発明はこれら実施例に限定されるものではない。本実施例において「%」は特に断りがない限り「質量%」を示す。また、界面活性剤等の成分は純分としての質量%の値であり、水和物として無機金属塩を用いている場合は、水分子を除いた無機金属塩純分としての質量%の値を記載している。
各例の液体組成物の組成を表1〜4に示した。
本実施例において使用した原料は下記の通りである。
【0046】
<使用原料>
((a)成分)
a−1:BRE6、ポリオキシエチレンアルキルエーテル(前記式(a−1)中のR
1=炭素数12,14のアルキル基、n=6)、HLB11.6、ナロー率39.9質量%;商品名「レオックスCL−60」、ライオン株式会社製。
a−2:BRE7、ポリオキシエチレンアルキルエーテル(前記式(a−1)中のR
1=炭素数12,14のアルキル基、n=7)、HLB12.3、ナロー率42.5質量%;商品名「レオックスCL−70」、ライオン株式会社製。
a−3:BRE8、ポリオキシエチレンアルキルエーテル(前記式(a−1)中のR
1=炭素数12,14のアルキル基、n=8)、HLB12.9、ナロー率41.5質量%;商品名「レオックスCL−80−90」、ライオン株式会社製。
a−4:NRE7、ポリオキシエチレンアルキルエーテル(前記式(a−1)中のR
1=炭素数12,14のアルキル基、n=7)、HLB12.3、ナロー率93.8質量%;合成品。
【0047】
[a−4の合成方法]
特開2000−061304号公報に記載の実施例1に準じて製造した、MgとAlとMnとの複合酸化物触媒(Mg:Al:Mn(原子比)=0.56:0.26:0.18)を用いてa−4を合成した。
すなわち、該複合酸化物触媒0.5gと、0.5規定の水酸化カリウムエタノール溶液2.5mLと、アルコール混合物(質量比C12OH/C14OH=75/25)410gとを4Lオートクレーブに仕込み、オートクレーブ内で触媒の改質を行った。次いで、オートクレーブ内を窒素で置換した後、昇温を行い、温度を180℃、圧力を0.3MPa以下に維持しつつ、エチレンオキシド590gを導入し、撹拌しながら反応させた。さらに、反応液を80℃に冷却し、水100gと、濾過助剤として活性白土および珪藻土のそれぞれ5gとを添加した後、触媒を濾別し、a−4を得た。
【0048】
((a’)成分:(a)成分の比較成分)
a’−1:BRE4、ポリオキシエチレンアルキルエーテル(前記式(a−1)中のR
1=炭素数12,14のアルキル基、n=4)、HLB9.5、ナロー率47.8質量%;商品名「レオックスCL−40」、ライオン株式会社製。
a’−2:BRE12、ポリオキシエチレンアルキルエーテル(前記式(a−1)中のR
1=炭素数12,14のアルキル基、n=12)、HLB14.6、ナロー率40.0質量%;商品名「LMAL−90」、ライオンケミカル株式会社製。
【0049】
((b)成分)
b−1:直鎖アルキルベンゼンスルホン酸(商品名「ライポンLH−200」、ライオン株式会社製)を水酸化ナトリウムで中和したもの。
【0050】
((c)成分)
c−1:硫酸マグネシウムMgSO
4、分子量246.48;商品名「純正一級 硫酸マグネシウム七水和物」、純正化学株式会社製。
c−2:塩基性炭酸マグネシウム(MgCO
3)
4・Mg(OH)
2・5H
2O、分子量485.5;商品名「純正一級 塩基性炭酸マグネシウム(重質)」、純正化学株式会社製。
c−3:塩化マグネシウムMgCl
2、分子量95.3;商品名「純正一級 塩化マグネシウム(無水)」、純正化学株式会社製。
c−4:硫酸亜鉛ZnSO
4、分子量161.45;商品名「純正一級 硫酸亜鉛七水和物」、純正化学株式会社製。
c−5:硫酸カルシウムCaSO
4、分子量136.14;商品名「純正一級 硫酸カルシウム二水和物」、純正化学株式会社製。
【0051】
((c’)成分:(c)成分の比較成分)
c’−1:硫酸ナトリウムNa
2SO
4、分子量142.04;商品名「硫酸ナトリウム 鹿一級」、関東化学株式会社製。
【0052】
(任意成分)
d−1:1−ヒドロキシエタン−1,1−ジホスホン酸、商品名「BRIQUEST’ADPA」、ローディア社製。
e−1:過酸化水素、商品名「過酸化水素」、三菱ガス化学株式会社製。
メトキシフェノール:p−メトキシフェノール、商品名「MQ−F」、川口化学工業株式会社製。
pH調整剤:0.1N水酸化ナトリウム水溶液、0.1N硫酸水溶液。
イオン交換水。
【0053】
<液体組成物の製造>
表1〜4に示す組成(配合成分、液体組成物中の含有量(質量%表示))に従い、各例の液体組成物を下記の製造方法によりそれぞれ調製した。
表中、空欄がある場合、その配合成分は配合されていない。
pH調整剤の含有量を示す「適量」とは、液体組成物のpH(25℃)を、表に示すpH値に調整するために加えたpH調整剤(0.1N水酸化ナトリウム水溶液、又は、0.1N硫酸水溶液)の総量を示す。
液体組成物のpHは、pHメーター(製品名:HM−30G、東亜ディーケーケー株式会社製)を用い、25℃に調温した該組成物に、該pHメーターの電極を入れ、2分後の値を読み取ることにより測定した。
イオン交換水の含有量を示す「残部」は、液体組成物に含まれる全配合成分の合計の配合量(質量%)が100質量%となるように加えられた配合量を意味する。
【0054】
[液体組成物の製造方法]
(実施例1)
まず、容量500mLビーカーに、イオン交換水の一部とa−2とb−1とを加えて混合した。次いで、そこに、d−1とメトキシフェノールとを加えて混合した後、ここまでの全体量が80質量部になるようにイオン交換水を入れ、混合して混合溶液を調製した。
次いで、該混合溶液に、e−1を加えて混合した後、c−1そのものを少しずつ添加しながら混合した。次いで、pH調整剤を添加しながらpHを調整した後、全体量が100質量部になるように残りのイオン交換水を加え混合することにより液体組成物を得た。
【0055】
(実施例2〜11、13〜17)
表1、2に示す組成に従い、実施例1と同様にして液体組成物を得た。
【0056】
(実施例12)
a−2をa−1に変更した以外は、表2に示す組成に従い、実施例1と同様にして液体組成物を得た。
【0057】
(実施例18)
d−1を未配合(配合せず)とした以外は、表2に示す組成に従い、実施例1と同様にして液体組成物を得た。
【0058】
(実施例19)
a−2をa−1に変更するとともに、d−1を未配合(配合せず)とした以外は、表3に示す組成に従い、実施例1と同様にして液体組成物を得た。
【0059】
(実施例20〜22)
表3に示す組成に従い、実施例12と同様にして液体組成物を得た。
【0060】
(実施例23)
c−1をc−2に変更した以外は、表3に示す組成に従い、実施例20と同様にして液体組成物を得た。
【0061】
(実施例24)
c−1をc−3に変更し、e−1及びメトキシフェノールを未配合(配合せず)とした以外は、実施例1と同様にして液体組成物を得た。
【0062】
(実施例25)
c−1をc−4に変更した以外は、表3に示す組成に従い、実施例1と同様にして液体組成物を得た。
【0063】
(実施例26)
c−1をc−5に変更した以外は、表3に示す組成に従い、実施例1と同様にして液体組成物を得た。
【0064】
(実施例27)
a−2をa−3に変更するとともに、d−1を未配合(配合せず)とした以外は、表3に示す組成に従い、実施例1と同様にして液体組成物を得た。
【0065】
(実施例28)
a−2をa−4に変更した以外は、表3に示す組成に従い、実施例1と同様にして液体組成物を得た。
ただし、実施例28は参考例である。
【0066】
(実施例29)
d−1を未配合(配合せず)とした以外は、表3に示す組成に従い、実施例1と同様にして液体組成物を得た。
【0067】
(比較例1)
b−1及びc−1を未配合(配合せず)とした以外は、表4に示す組成に従い、実施例1と同様にして液体組成物を得た。
【0068】
(比較例2)
b−1を未配合(配合せず)とした以外は、表4に示す組成に従い、実施例1と同様にして液体組成物を得た。
【0069】
(比較例3)
c−1を未配合(配合せず)とした以外は、表4に示す組成に従い、実施例1と同様にして液体組成物を得た。
【0070】
(比較例4)
b−1を未配合(配合せず)とするとともに、c−1をc’−1に変更した以外は、表4に示す組成に従い、実施例1と同様にして液体組成物を得た。
【0071】
(比較例5)
a−2をa’−1に変更した以外は、表4に示す組成に従い、実施例1と同様にして液体組成物を得た。
【0072】
(比較例6)
a−2をa’−2に変更した以外は、表4に示す組成に従い、実施例1と同様にして液体組成物を得た。
【0073】
(比較例7、8)
表4に示す組成に従い、実施例1と同様にして液体組成物を得た。
【0074】
(比較例9)
a−2を未配合(配合せず)とした以外は、表4に示す組成に従い、実施例1と同様にして液体組成物を得た。
【0075】
<評価>
各例の液体組成物について、粘度、保存安定性、洗浄力を、以下に示す評価方法によってそれぞれ評価した。その結果を表1〜4に示した。
【0076】
[液体組成物の粘度]
容量300mLのトールビーカーに、各例の液体組成物300mLをそれぞれ充填し、ウォーターバスにて25℃に調温した。
その後、B型粘度計(東京計器株式会社製)を用い、測定温度を25℃、ローターナンバーをNo.1(〜100mPa・s未満)又はNo.2(100mPa・s以上)、回転数を60rpmにそれぞれ設定し、ローター回転開始60秒後の目盛りを読み取ることにより、各例の液体組成物の粘度(V1)を測定した。
また、各例の液体組成物において(c)成分を未配合(配合せず)とした組成物の粘度(V0)を、前記粘度(V1)と同様にして測定した。
そして、粘度(V0)に対する粘度(V1)の比、すなわち、V1/V0で表される比を算出することにより粘度変化率を求めた。
この比(V1/V0)の値が大きいほど、粘度増加の効果が高いことを意味する。
【0077】
[液体組成物の保存安定性(1)]
液体組成物100mLを透明のガラス瓶(広口規格びん:PS−No.11)に採り、蓋を閉めて密封し、この状態で40℃、−5℃の各温度に設定した恒温槽中に1週間置いて保存した。
その後、液体組成物が充填された前記ガラス瓶を、各恒温槽から取り出してから1分間以内に、室温(25℃)にて該ガラス瓶の内容物の外観を目視で観察した。また、各例の液体組成物について、それぞれ1週間の保存開始前(初期)の外観を目視で観察した。その際、下記の評価基準に基づいて、液体組成物の保存安定性について評価した。
保存開始前(初期)の外観についての評価基準
◎:透明で均一な外観であった。
×:白濁、沈殿又は分離が認められた。
1週間保存後(40℃1W、−5℃1W)の外観についての評価基準
◎:透明で均一な外観であった。
○:わずかに濁りはあるが分離はなく、問題ない状態であった。
×:分離が認められた。
尚、表中の「−」は、保存開始前(初期)の外観の評価が×であった例について、1週間保存後の外観の評価を行っていないことを示す。
【0078】
[液体組成物の洗浄力]
1)ラー油汚染布の作製
ラー油(S&B製)0.015mLを、ポリエステルトロピカル布(3cm×3cm)に滴下し、乾燥させることによりラー油汚染布を得た。
2)洗浄実験
ラー油汚染布5枚のそれぞれに対し、同じ液体組成物を0.24mLずつ塗布し、5分間放置(塗布漂白)した。その後、Terg−O−Tometer(製品名、U.S.Testing社製)を用いて洗浄処理を行った。
洗浄処理は、回転数120rpm、水温15℃、水道水、浴比30(水900gに対して、ラー油汚染布5枚を含めた布量が合計で30gとなるように白布の綿肌シャツを添加)の条件とし、市販洗剤(ライオン(株)製のトップNANOX、該洗剤濃度333ppm(質量基準))を用いて10分間洗浄し、次いで1分間脱水した後、2分間流水すすぎを行い、その後、1分間脱水することにより行った。
3)洗浄力の評価
洗浄処理後のラー油汚染布を乾燥した後、反射率計(日本電色社製のΣ90)を用いて、下式により洗浄率(%)を求めた。なお、下式において、原布とは、前記で汚染処理を施していないポリエステルトロピカル布を示す。
洗浄率(%)={(ラー油汚染布の反射率−洗浄処理後のラー油汚染布の反射率)/(ラー油汚染布の反射率−原布の反射率)}×100
求めた洗浄率より、下式により洗浄力を求めた。なお、下式に用いる洗浄率は、ラー油汚染布5枚の平均値である。式中、液体組成物未塗布時とは、前記の2)洗浄実験を、ラー油汚染布に対して液体組成物を塗布せずに行った場合を意味する。
洗浄力(%)=(液体組成物塗布時の洗浄率/液体組成物未塗布時の洗浄率)×100
かかる洗浄力(%)の値は大きいほど、洗浄力が高いことを意味する。
【0079】
【表1】
【0080】
【表2】
【0081】
【表3】
【0082】
【表4】
【0083】
表1〜4に示す結果から、本発明を適用した実施例1〜29の液体組成物は、界面活性剤濃度が低い組成において、汎用性の高い原料(水溶性の2価金属塩)の活用により粘度を容易に増加させることができ、かつ、保存安定性が良好であることが分かる。
【0084】
[液体組成物の保存安定性(2)]
実施例3及び実施例29の液体組成物については、さらに、前述の[液体組成物の保存安定性(1)]と同様の評価を、温度50℃に設定した恒温槽中に1週間置いて保存する条件に変更し、前記の1週間保存後の外観についての評価基準(◎、○、×)と同じ評価基準により行った。
その結果、保存後の外観についての評価は、実施例3の液体組成物を用いた場合では◎、実施例29の液体組成物を用いた場合では○であった。
この評価結果から、(a)〜(c)成分に加えて(d)成分を含有することによって、より高温側の過酷な保存条件であっても、液体組成物の分離が抑制され、液安定化が図れることが分かる。