特許第6071746号(P6071746)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6071746
(24)【登録日】2017年1月13日
(45)【発行日】2017年2月1日
(54)【発明の名称】情報提供装置及び情報提供システム
(51)【国際特許分類】
   G06Q 10/00 20120101AFI20170123BHJP
   G06T 19/00 20110101ALI20170123BHJP
   G06T 17/05 20110101ALI20170123BHJP
   G06T 1/00 20060101ALI20170123BHJP
   G06F 13/00 20060101ALI20170123BHJP
【FI】
   G06Q10/00 300
   G06T19/00 A
   G06T17/05
   G06T1/00 200A
   G06F13/00 510G
【請求項の数】11
【全頁数】18
(21)【出願番号】特願2013-107296(P2013-107296)
(22)【出願日】2013年5月21日
(65)【公開番号】特開2014-229020(P2014-229020A)
(43)【公開日】2014年12月8日
【審査請求日】2015年11月12日
(73)【特許権者】
【識別番号】000236056
【氏名又は名称】三菱電機ビルテクノサービス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001210
【氏名又は名称】特許業務法人YKI国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】冨澤 一生
【審査官】 山内 裕史
(56)【参考文献】
【文献】 特開2006−293526(JP,A)
【文献】 特開2002−117126(JP,A)
【文献】 特開2011−022716(JP,A)
【文献】 特開2007−228315(JP,A)
【文献】 国際公開第2008/068849(WO,A1)
【文献】 特開2006−260539(JP,A)
【文献】 特開2012−252499(JP,A)
【文献】 特開2007−257207(JP,A)
【文献】 特開平10−301986(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06Q 10/00 − 99/00
G06F 13/00
G06T 1/00
G06T 17/05
G06T 19/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
建物内に設置され外部から遮蔽される前の対象機器を表す遮蔽前画像データを、前記対象機器の設置位置を示す設置位置情報と関連付けて記憶する記憶手段と、
前記対象機器が外部から遮蔽された後において、遮蔽前の前記対象機器に関する情報の取得要求を携帯端末装置から受けた場合、前記携帯端末装置の現在位置を示す現在位置情報を取得する位置情報取得手段と、
前記設置位置情報と前記現在位置情報とに基づき、前記対象機器と前記携帯端末装置との位置関係を示すマップデータを生成するマップ生成手段と、
前記携帯端末装置の現在位置と前記対象機器の設置位置との間の距離が予め設定された距離内に含まれる場合、前記遮蔽前画像データを前記携帯端末装置に送信し、前記携帯端末装置の現在位置と前記対象機器の設置位置との間の距離が前記予め設定された距離内に含まれない場合、前記マップデータを前記携帯端末装置に送信する送信手段と、
を有することを特徴とする情報提供装置。
【請求項2】
請求項1に記載の情報提供装置であって、
前記対象機器の現在の運転状態を示す運転情報を取得する運転情報取得手段を更に有し、
前記送信手段は、前記運転情報を前記携帯端末装置に更に送信する、
ことを特徴とする情報提供装置。
【請求項3】
請求項1又は請求項2に記載の情報提供装置であって、
前記建物内の構造及び前記対象機器の周辺設備を示す情報に基づき、前記周辺設備を模式的に表す周辺設備モデルデータを生成し、前記対象機器を模式的に表す対象機器モデルデータと前記周辺設備モデルデータとを合成することで合成モデルデータを生成するモデルデータ生成手段を更に有し、
前記携帯端末装置の現在位置と前記対象機器の設置位置との間の距離が前記予め設定された距離内に含まれる場合、前記送信手段は、前記遮蔽前画像データとしての前記合成モデルデータを前記携帯端末装置に送信する、
ことを特徴とする情報提供装置。
【請求項4】
請求項3に記載の情報提供装置であって、
前記モデルデータ生成手段は、前記携帯端末装置の現在の向きを示す角度情報を取得し、前記携帯端末装置の現在位置から現在の向きの視線で見たときの前記周辺設備及び前記対象機器を模式的に表す合成モデルデータを生成する、
ことを特徴とする情報提供装置。
【請求項5】
請求項1から請求項4のいずれか一項に記載の情報提供装置であって、
前記携帯端末機器の現在位置を基準にした前記対象機器の設置位置の方向を示す案内情報を生成する案内情報生成手段を更に有し、
前記送信手段は、前記案内情報を前記携帯端末装置に更に送信する、
ことを特徴とする情報提供装置。
【請求項6】
情報提供装置と携帯端末装置とが通信経路を介して接続された情報提供システムであって、
前記情報提供装置は、
建物内に設置され外部から遮蔽される前の対象機器を表す遮蔽前画像データを、前記対象機器の設置位置を示す設置位置情報と関連付けて記憶する記憶手段と、
前記対象機器が外部から遮蔽された後において、遮蔽前の前記対象機器に関する情報の取得要求を前記携帯端末装置から受けた場合、前記携帯端末装置の現在位置を示す現在位置情報を取得する位置情報取得手段と、
前記設置位置情報と前記現在位置情報とに基づき、前記対象機器と前記携帯端末装置との位置関係を示すマップデータを生成するマップ生成手段と、
前記携帯端末装置の現在位置と前記対象機器の設置位置との間の距離が予め設定された距離内に含まれる場合、前記遮蔽前画像データを前記携帯端末装置に送信し、前記携帯端末装置の現在位置と前記対象機器の設置位置との間の距離が前記予め設定された距離内に含まれない場合、前記マップデータを前記携帯端末装置に送信する送信手段と、
を有し、
前記携帯端末装置は、
前記遮蔽前画像データ又は前記マップデータを表示手段に表示させる制御手段を有する、
ことを特徴とする情報提供システム。
【請求項7】
請求項6に記載の情報提供システムであって、
前記情報提供装置は、前記対象機器の現在の運転状態を示す運転情報を取得する運転情報取得手段を更に有し、
前記情報提供装置の前記送信手段は、前記運転情報を前記携帯端末装置に更に送信し、
前記携帯端末装置の現在位置と前記対象機器の設置位置との間の距離が前記予め設定された距離内に含まれる場合、前記携帯端末装置の前記制御手段は、前記遮蔽前画像データに前記運転情報を重ねて表示手段に表示させる、
ことを特徴とする情報提供システム。
【請求項8】
請求項6又は請求項7に記載の情報提供システムであって、
前記情報提供装置は、
前記建物内の構造及び前記対象機器の周辺設備を示す情報に基づき、前記周辺設備を模式的に表す周辺設備モデルデータを生成し、前記対象機器を模式的に表す対象機器モデルデータと前記周辺設備モデルデータとを合成することで合成モデルデータを生成するモデルデータ生成手段を更に有し、
前記携帯端末装置の現在位置と前記対象機器の設置位置との間の距離が前記予め設定された距離内に含まれる場合、前記情報提供装置の前記送信手段は、前記遮蔽前画像データとしての前記合成モデルデータを前記携帯端末装置に送信し、
前記携帯端末装置の前記制御手段は、前記合成モデルデータを表示手段に表示させる、
ことを特徴とする情報提供システム。
【請求項9】
請求項8に記載の情報提供システムであって、
前記モデルデータ生成手段は、前記携帯端末装置の現在の向きを示す角度情報を取得し、前記携帯端末装置の現在位置から現在の向きの視線で見たときの前記周辺設備及び前記対象機器を模式的に表す合成モデルデータを生成する、
ことを特徴とする情報提供システム。
【請求項10】
請求項8又は請求項9に記載の情報提供システムであって、
前記携帯端末装置は、撮影を行うことで画像データを生成する撮影手段を更に有し、
前記携帯端末装置の前記制御手段は、前記撮影手段によって生成された前記画像データに前記合成モデルデータを重ねて表示手段に表示させる、
ことを特徴とする情報提供システム。
【請求項11】
請求項6から請求項10のいずれか一項に記載の情報提供システムであって、
前記情報提供装置は、前記携帯端末装置の現在位置を基準にした前記対象機器の設置位置の方向を示す案内情報を生成する案内情報生成手段を更に有し、
前記情報提供装置の前記送信手段は、前記案内情報を前記携帯端末装置に更に送信し、
前記携帯端末装置の前記制御手段は、前記案内情報を表示手段に表示させる、
ことを特徴とする情報提供システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、建物内に設置された機器に関する情報を提供する情報提供装置及び情報提供システムに関する。
【背景技術】
【0002】
ビルやプラント等の建物内には、照明や空調器等の様々な機器が設置されている。これらの機器を保守点検する場合、機器の情報や運転状態を確認するために、作業用PC等を機器に接続して作業を行うことがある。
【0003】
保守点検に関する技術として、特許文献1には、携帯情報端末から受信したプラント機器の撮影画像と機器マスク画像とをマッチング処理し、撮影画像から点検領域情報を取得し、機器表示画像に点検領域情報を重畳するシステムが開示されている。なお、特許文献2には、撮影画像に対応付けられた情報を、撮影画像に重ね合わせて表示する方法が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特許第4876103号公報
【特許文献2】特開2011−55250号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、建物内に設置された機器の中には、天井内に設置された温度センサや流量計等のように外部から遮蔽された機器がある。このような機器は外部から視認することができないため、機器の保守点検等を行うときに、機器の設置位置を特定することが困難である。
【0006】
また、機器の設置場所が管理されている場合もあるが、そのような場合であっても、通常、管理されている情報は、機器が設置されているフロアの階数(1FやB1F等)や部屋番号(111)等であり、機器の正確な設置位置まで管理されているとは限らない。すなわち、フロアや部屋内の、どの位置に機器が設置されているかまでは管理されていないことが多い。従って、たとえ機器の設置場所が管理されている場合であっても、機器の正確な位置を把握することが困難な場合がある。
【0007】
以上のように、機器の設置位置を把握することが困難であるため、保守点検対象の機器を探すのに時間を要し、また、保守点検対象の機器を間違ってしまうおそれがある。
【0008】
本発明の目的は、建物内における機器の設置位置を容易に特定できる情報を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
請求項1に係る発明は、建物内に設置され外部から遮蔽される前の対象機器を表す遮蔽前画像データを、前記対象機器の設置位置を示す設置位置情報と関連付けて記憶する記憶手段と、前記対象機器が外部から遮蔽された後において、遮蔽前の前記対象機器に関する情報の取得要求を携帯端末装置から受けた場合、前記携帯端末装置の現在位置を示す現在位置情報を取得する位置情報取得手段と、前記設置位置情報と前記現在位置情報とに基づき、前記対象機器と前記携帯端末装置との位置関係を示すマップデータを生成するマップ生成手段と、前記携帯端末装置の現在位置と前記対象機器の設置位置との間の距離が予め設定された距離内に含まれる場合、前記遮蔽前画像データを前記携帯端末装置に送信し、前記携帯端末装置の現在位置と前記対象機器の設置位置との間の距離が前記予め設定された距離内に含まれない場合、前記マップデータを前記携帯端末装置に送信する送信手段と、を有することを特徴とする情報提供装置である。
【0010】
請求項2に係る発明は、請求項1に記載の情報提供装置であって、前記対象機器の現在の運転状態を示す運転情報を取得する運転情報取得手段を更に有し、前記送信手段は、前記運転情報を前記携帯端末装置に更に送信する、ことを特徴とする。
【0011】
請求項3に係る発明は、請求項1又は請求項2に記載の情報提供装置であって、前記建物内の構造及び前記対象機器の周辺設備を示す情報に基づき、前記周辺設備を模式的に表す周辺設備モデルデータを生成し、前記対象機器を模式的に表す対象機器モデルデータと前記周辺設備モデルデータとを合成することで合成モデルデータを生成するモデルデータ生成手段を更に有し、前記携帯端末装置の現在位置と前記対象機器の設置位置との間の距離が前記予め設定された距離内に含まれる場合、前記送信手段は、前記遮蔽前画像データとしての前記合成モデルデータを前記携帯端末装置に送信する、ことを特徴とする。
【0012】
請求項4に係る発明は、請求項3に記載の情報提供装置であって、前記モデルデータ生成手段は、前記携帯端末装置の現在の向きを示す角度情報を取得し、前記携帯端末装置の現在位置から現在の向きの視線で見たときの前記周辺設備及び前記対象機器を模式的に表す合成モデルデータを生成する、ことを特徴とする。
【0013】
請求項5に係る発明は、請求項1から請求項4のいずれか一項に記載の情報提供装置であって、前記携帯端末機器の現在位置を基準にした前記対象機器の設置位置の方向を示す案内情報を生成する案内情報生成手段を更に有し、前記送信手段は、前記案内情報を前記携帯端末装置に更に送信する、ことを特徴とする。
【0014】
請求項6に係る発明は、情報提供装置と携帯端末装置とが通信経路を介して接続された情報提供システムであって、前記情報提供装置は、建物内に設置され外部から遮蔽される前の対象機器を表す遮蔽前画像データを、前記対象機器の設置位置を示す設置位置情報と関連付けて記憶する記憶手段と、前記対象機器が外部から遮蔽された後において、遮蔽前の前記対象機器に関する情報の取得要求を前記携帯端末装置から受けた場合、前記携帯端末装置の現在位置を示す現在位置情報を取得する位置情報取得手段と、前記設置位置情報と前記現在位置情報とに基づき、前記対象機器と前記携帯端末装置との位置関係を示すマップデータを生成するマップ生成手段と、前記携帯端末装置の現在位置と前記対象機器の設置位置との間の距離が予め設定された距離内に含まれる場合、前記遮蔽前画像データを前記携帯端末装置に送信し、前記携帯端末装置の現在位置と前記対象機器の設置位置との間の距離が前記予め設定された距離内に含まれない場合、前記マップデータを前記携帯端末装置に送信する送信手段と、を有し、前記携帯端末装置は、前記遮蔽前画像データ又は前記マップデータを表示手段に表示させる制御手段を有する、ことを特徴とする情報提供システムである。
【0015】
請求項7に係る発明は、請求項6に記載の情報提供システムであって、前記情報提供装置は、前記対象機器の現在の運転状態を示す運転情報を取得する運転情報取得手段を更に有し、前記情報提供装置の前記送信手段は、前記運転情報を前記携帯端末装置に更に送信し、前記携帯端末装置の現在位置と前記対象機器の設置位置との間の距離が前記予め設定された距離内に含まれる場合、前記携帯端末装置の前記制御手段は、前記遮蔽前画像データに前記運転情報を重ねて表示手段に表示させる、ことを特徴とする。
【0016】
請求項8に係る発明は、請求項6又は請求項7に記載の情報提供システムであって、前記情報提供装置は、前記建物内の構造及び前記対象機器の周辺設備を示す情報に基づき、前記周辺設備を模式的に表す周辺設備モデルデータを生成し、前記対象機器を模式的に表す対象機器モデルデータと前記周辺設備モデルデータとを合成することで合成モデルデータを生成するモデルデータ生成手段を更に有し、前記携帯端末装置の現在位置と前記対象機器の設置位置との間の距離が前記予め設定された距離内に含まれる場合、前記情報提供装置の前記送信手段は、前記遮蔽前画像データとしての前記合成モデルデータを前記携帯端末装置に送信し、前記携帯端末装置の前記制御手段は、前記合成モデルデータを表示手段に表示させる、ことを特徴とする。
【0017】
請求項9に係る発明は、請求項8に記載の情報提供システムであって、前記モデルデータ生成手段は、前記携帯端末装置の現在の向きを示す角度情報を取得し、前記携帯端末装置の現在位置から現在の向きの視線で見たときの前記周辺設備及び前記対象機器を模式的に表す合成モデルデータを生成する、ことを特徴とする。
【0018】
請求項10に係る発明は、請求項8又は請求項9に記載の情報提供システムであって、前記携帯端末装置は、撮影を行うことで画像データを生成する撮影手段を更に有し、前記携帯端末装置の前記制御手段は、前記撮影手段によって生成された前記画像データに前記合成モデルデータを重ねて表示手段に表示させる、ことを特徴とする。
【0019】
請求項11に係る発明は、請求項6から請求項10のいずれか一項に記載の情報提供システムであって、前記情報提供装置は、前記携帯端末装置の現在位置を基準にした前記対象機器の設置位置の方向を示す案内情報を生成する案内情報生成手段を更に有し、前記情報提供装置の前記送信手段は、前記案内情報を前記携帯端末装置に更に送信し、前記携帯端末装置の前記制御手段は、前記案内情報を表示手段に表示させる、ことを特徴とする。
【発明の効果】
【0020】
本発明によると、対象機器と携帯端末装置との位置関係を示すマップデータを携帯端末装置に送信することで、携帯端末装置の利用者は、建物内における対象機器の設置場所を容易に把握することが可能となる。また、遮蔽前画像データを携帯端末装置に送信することで、対象機器が外部から遮蔽された後であっても、対象機器の詳細な設置位置を容易に把握することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
図1】実施形態に係る情報提供システムの一例を示すブロック図である。
図2】保守点検に関する作業の流れの一例を示すフローチャートである。
図3】実施形態に係る情報提供システムの動作の一例を説明するための図である。
図4】建物内の機器を模式的に示す図である。
図5】建物内の図面を示す図である。
図6】携帯端末機器にて表示される画像の一例を示す図である。
図7】実施形態に係る情報提供システムの動作の一例を説明するための図である。
図8】携帯端末機器にて表示される画像の一例を示す図である。
図9】携帯端末機器にて表示される画像の一例を示す図である。
図10】携帯端末機器にて表示される画像の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
図1に、本発明の実施形態に係る情報提供システムの一例を示す。本実施形態に係る情報提供システムは、情報提供装置10と携帯端末装置30とを含む。通信経路としてのネットワークNには、情報提供装置10及びビル管理システム50が接続されている。また、ネットワークNには無線ルータ60が接続されており、情報提供装置10及び携帯端末装置30は、一例として、無線ルータ60及びネットワークNを介して互いに通信を行う。
【0023】
情報提供装置10は、図示しない建物内に設置された各種機器の画像データ及び位置情報を管理し、各種機器の画像データ及び位置情報を携帯端末装置30に提供する。建物内に設置された機器としては、例えば照明や空調器等が該当し、それら以外にも、例えば建物内において外部から遮蔽された機器も該当する。外部から遮蔽された機器としては、例えば天井内に設置された温度センサや流量計等が該当する。但し、これらの機器は一例であり、本発明が対象とする機器は、これらの機器に限定されるものではない。
【0024】
携帯端末装置30は、機器の保守点検を行う作業者が使用するモバイル機器等の端末装置であり、情報提供装置10から機器の画像データ及び位置情報を取得し、それらを表示する。
【0025】
ビル管理システム50は、図示しない建物内に設置された各種機器の運転状態を管理する。例えば、ビル管理システム50は、機器の設定モード、設定値、測定値及び消費電力等の情報を管理する。ビル管理システム50は、管理対象の機器が空調機であれば、空調機の設定モード(冷房モードや暖房モード)や設定温度等を管理し、管理対象の機器が温度センサであれば、当該温度センサの計測値を管理する。
【0026】
次に、情報提供装置10の構成について説明する。情報提供装置10は、例えば、通信部12、登録部14、記憶部16、画像処理部18、演算部20、運転情報取得部22及び制御部24を含む。情報提供装置10は図示しないCPU等のプロセッサを備えており、当該プロセッサがプログラムを実行することで、情報提供装置10の各部の機能が実現される。
【0027】
通信部12はネットワークインターフェースであり、ネットワークNを介して携帯端末装置30及びビル管理システム50と通信を行う。登録部14は、建物内に設置された機器の画像データと、当該機器の設置位置を示す設置位置情報とを関連付けて記憶部16に記憶させる。記憶部16は、メモリやハードディスクドライブ等の記憶装置である。画像処理部18は、建物の図面データに基づき、建物内のマップを示す2次元画像データ、及び、建物内を模式的に示す3次元画像データ等を生成する。演算部20は、建物内における携帯端末装置30の位置や、携帯端末装置30から機器までの距離等を求める。運転情報取得部22は、機器の運転状態を示す運転情報をビル管理システム50から取得する。制御部24は、情報提供装置10の各部を制御する。
【0028】
次に、携帯端末装置30の構成について説明する。携帯端末装置30は、撮影部32、通信部34、位置情報取得部36、角度検出部38、ユーザインターフェース(UI部)40及び制御部42を含む。携帯端末装置30は図示しないCPU等のプロセッサを備えており、当該プロセッサがプログラムを実行することで、携帯端末装置30の各部の機能が実現される。
【0029】
撮影部32はカメラとして機能し、撮影を行うことで画像データ(静止画像データ又は動画像データ)を生成する。通信部34はネットワークインターフェースであり、無線ルータ60を介してネットワークNに接続する。位置情報取得部36は、GPS(Global Positioning System)等を利用することで、携帯端末装置30の現在位置を示す現在位置情報を取得する。角度検出部38は例えば方位センサであり、携帯端末装置30の向き(角度、方位)を検出する。つまり、角度検出部38はカメラの向きを検出する。ユーザインターフェース(UI部)40は、画像や各種情報を表示する表示部と、ユーザからの入力を受け付ける操作部とを含む。制御部42は、携帯端末装置30の各部を制御する。
【0030】
(作業の概略)
次に、図2を参照して、保守点検に関する作業の概略を説明する。作業全体には、建物の工事中(S01)、工事完了(S02)、調査・保守作業(S03)及び作業完了(S04)が含まれる。本実施形態では、工事中(S01)にて、対象機器の画像データ及び建物内の図面等の登録処理が行われ、調査・保守作業(S03)にて、対象機器に関する情報の提供処理が行われる。具体的には、工事中(S01)では、作業者は、デジタルカメラ等の撮影装置によって対象機器を撮影する。当該撮影によって生成された対象機器の画像データは、対象機器の設置位置を示す設置位置情報と関連付けられて情報提供装置10に登録される。そして、工事が完了し(S02)、工事完了後に機器の保守点検等を行う場合(S03)、作業者は携帯端末装置30を使用することで対象機器の設置位置を特定する。このとき、対象機器の設置位置情報、対象機器の画像データ及び対象機器の運転情報等が、情報提供装置10から携帯端末装置30に提供され、携帯端末装置30に表示される。作業者は、携帯端末装置30に表示された情報を参照することで対象機器の設置位置を特定し、対象機器の保守点検を行う。保守点検が終了すると、作業完了となる(S04)。
【0031】
(工事中における情報登録処理)
次に、図3から図5を参照して、図2に示す工事中(S01)における情報登録処理について詳しく説明する。
【0032】
まず、作業者は、撮影装置によって対象機器を撮影する。撮影装置としては、撮影位置情報を取得できる装置であれば、どのような撮影装置であってもよい。本実施形態では、一例として携帯端末装置30によって撮影を行う場合について説明するが、本発明はその例に限定されず、携帯端末装置30以外の撮影装置によって撮影を行ってもよい。
【0033】
例えば図4に示すように、作業者は、建物100の天井内に設置された対象機器120を携帯端末装置30によって撮影する。工事中の段階では天井は設置されていないため、配管110及び対象機器120は外部に露出し、外部から視認できる状態となっている。天井が設置されて工事が完了すると、配管110及び対象機器120は、天井によって外部から遮蔽されることになるため、外部から視認できなくなる。作業者は、工事中において、外部から遮蔽される前の対象機器120を携帯端末装置30によって撮影する。例えば、携帯端末装置30のUI部40には、対象機器120が表された画像200が表示される。以下の説明では、外部から遮蔽される前の対象機器を表す画像データを、「遮蔽前画像データ」と称する場合がある。
【0034】
また、携帯端末装置30の位置情報取得部36は、GPSを利用することで、撮影時の携帯端末装置30の現在位置(撮影位置)を示す現在位置情報(撮影位置情報)を取得する。角度検出部38は、携帯端末装置30の向き(角度、方位)を検出する。また、作業者は、撮影が行われたフロアの番号(2FやB1F等)や対象機器の高さを示す高さ情報、及び、対象機器120を識別する識別情報(例えば、機器の名称や機器ID等)を、UI部40によって入力する。
【0035】
そして、図3に示すように、携帯端末装置30の通信部34は、対象機器120の遮蔽前画像データに撮影情報を付帯させて情報提供装置10に送信する(S10)。撮影情報には、撮影位置情報、携帯端末装置30の向き(角度、方位)を示す角度情報、高さ情報、識別情報、及び、その他ズーム等の撮影条件等が含まれる。
【0036】
情報提供装置10の通信部12は、対象機器120の遮蔽前画像データ及び撮影情報を携帯端末装置30から受信し(S11)、登録部14は、対象機器120の遮蔽前画像データ及び撮影情報を記憶部16に記憶させる(S12)。なお、登録部14は、撮影位置を対象機器120の設置位置とし、撮影位置情報を設置位置情報として遮蔽前画像データに関連付けて記憶部16に記憶させてもよいし、撮影位置から求められる設置位置を示す設置位置情報を遮蔽前画像データに関連付けて記憶部16に記憶させてもよい。例えば、演算部20は、建物100の内部の構造を示す設計図等の図面データ及び撮影情報を参照し、撮影位置、携帯端末装置30の向き(角度、方位)、対象機器120の高さ及びフロア番号に基づき、建物100内における対象機器120の設置位置を推定する。登録部14は、演算部20によって求められた設置位置を示す設置位置情報を遮蔽前画像データに関連付けて記憶部16に記憶させてもよい。
【0037】
一方、情報提供装置10は、建物100内の各部の位置情報を取得する(S13)。また、情報提供装置10の画像処理部18は、例えば図5に示す建物100の図面データ130に基づき、建物100内を3次元で模式的に表す建物3Dモデルデータを生成する(S14)。図面データ130は、例えば建物100の内部構造を示す設計図等のデータである。図面データ130には、建物100内の各フロアの構造、及び、建物100内に設置される配管等の各種設備が示されている。なお、図面データ130には、対象機器の設計上の設置位置が示されていてもよい。また、画像処理部18は、図面データ130に基づき、建物100内のマップを2次元で表すフロアマップデータを生成する。そして、画像処理部18は、建物100内の各部の位置情報を建物3Dモデルデータに対応付けることで、位置情報付き建物3Dモデルデータを生成する(S15)。このようにして生成された3Dモデルデータ及びフロアマップデータは、情報提供装置10の記憶部16に記憶される。複数の建物を対象とする場合、情報提供装置10は、各建物の3Dモデルデータ及びフロアマップデータを生成して記憶する。なお、画像処理部18がマップ生成手段の一例に相当する。
【0038】
(保守点検時における情報提供処理:探索作業)
次に、図6から図10を参照して、図2に示す調査・保守作業(S03)における情報提供処理について詳しく説明する。本実施形態では、情報提供処理の実施例として少なくとも2つの実施例がある。実施例1(探索作業1)では、対象機器の設置位置が示された建物のマップと遮蔽前画像データとを提供する。実施例2(探索作業2)では、対象機器の設置位置が示された建物のマップと3Dモデルデータとを提供する。以下では、まず、実施例1について説明し、続けて実施例2について説明する。
【0039】
(実施例1:探索作業1)
図6を参照して、実施例1(探索作業1)について説明する。まず、保守点検を行う作業者は、保守点検の対象機器を携帯端末装置30によって指定する。例えば、携帯端末装置30の制御部42は、図6(a)に示すように、保守点検の対象機器を検索するための画面300をUI部40に表示させる。作業者は保守点検の対象機器を検索し、目的の対象機器をUI部40によって指定する。そして、作業者が対象機器に関する情報の取得要求をUI部40によって指示すると、携帯端末装置30の通信部34は、作業者によって指定された対象機器の識別情報を、ネットワークNを介して情報提供装置10に送信する。図6(a)に示す例では、温度センサが対象機器として指定されている。
【0040】
なお、対象機器の検索処理は、情報提供装置10によって行われてもよいし、携帯端末装置30によって行われてもよい。情報提供装置10によって検索処理が行われる場合、情報提供装置10の制御部24は、携帯端末装置30から送信された検索キーに該当する対象機器の識別情報を記憶部16から抽出する。情報提供装置10の通信部12は、抽出された対象機器の識別情報を検索結果として携帯端末装置30に送信する。作業者は、検索結果の中から所望の対象機器を選択することになる。携帯端末装置30によって検索処理が行われる場合、例えば携帯端末装置30の図示しない記憶部に、対象機器の識別情報を予め記憶させておく。そして、携帯端末装置30の制御部42は、作業者によって指定された検索キーに該当する対象機器の識別情報を当該記憶部から抽出し、UI部40に抽出結果を表示させればよい。
【0041】
情報提供装置10の制御部24は、対象機器に関する情報の取得要求を携帯端末装置30から受けると、建物内のマップを2次元で表すフロアマップデータを記憶部16から取得する。また、制御部24は、携帯端末装置30から送信された識別情報が付与された対象機器の遮蔽前画像データと、当該遮蔽前画像データに付帯されている設置位置情報とを記憶部16から取得する。そして、画像処理部18は、フロアマップデータと設置位置情報とに基づき、建物内のマップに対象機器の設置位置が表された位置情報付きフロアマップデータを生成する。例えば、画像処理部18は、対象機器を示す対象機器マークがマップ上の設置位置に重ねられた位置情報付きフロアマップデータを生成する。情報提供装置10の通信部12は、位置情報付きフロアマップデータと対象機器の遮蔽前画像データとを、ネットワークNを介して携帯端末装置30に送信する。
【0042】
位置情報付きフロアマップデータと対象機器の遮蔽前画像データとが携帯端末装置30によって受信されると、携帯端末装置30の制御部42は、例えば図6(b)に示すように、位置情報付きフロアマップデータをUI部40に表示させる。当該フロアマップデータには建物内のマップ320が表されており、マップ320上の設置位置には、対象機器を示す対象機器マーク322が重ねて表示されている。作業者は、UI部40に表示されたマップを参照することで、対象機器が設置されている場所を把握することが可能となる。
【0043】
そして、作業者がUI部40を用いることで画像の切り替えを指示すると、制御部42は、図6(c)に示すように、フロアマップデータに替えて対象機器の遮蔽前画像データ330をUI部40に表示させる。この遮蔽前画像データ330は工事中に撮影された画像データであるため、外部から遮蔽される前の対象機器が表されている。
【0044】
以上のように、対象機器の設置位置が表されたフロアマップデータを携帯端末装置30に提供することで、工事完了に伴って対象機器が外部から遮蔽されて視認できない場合であっても、作業者は、当該対象機器の設置位置を容易に特定することできる。また、遮蔽前画像データを携帯端末装置30に提供することで、作業者は、対象機器の詳細な設置位置や、対象機器と周辺設備との位置関係等を容易に把握することが可能となる。すなわち、遮蔽前画像データには対象機器と周辺設備(例えば配管)とが表されているため、利用者は、あたかも天井の内部を見ているような感覚で、対象機器と周辺設備との位置関係等を把握することができる。このように、外部から遮蔽された対象機器の位置を容易に特定することができるので、対象機器の探索作業を効率的に行うことができ、保守点検等の作業の効率化が図れる。
【0045】
例えば、作業者が対象機器の近傍まで移動するまでの間は、フロアマップデータを参照して迅速に移動することができる。そして、作業者が対象機器の近傍まで移動したときに、遮蔽前画像データを参照することで対象機器の詳細な設置位置等を把握することができる。
【0046】
また、情報提供装置10は、携帯端末装置30の現在位置が対象機器の設置位置から所定距離内に含まれる場合に、対象機器の遮蔽前画像データを携帯端末装置30に送信し、現在位置が所定距離内に含まれない場合に、位置情報付きフロアマップデータを携帯端末装置30に送信してもよい。この場合、携帯端末装置30の通信部34は、位置情報取得部36によって取得された現在位置情報を情報提供装置10に送信する。情報提供装置10の制御部24は、対象機器の遮蔽前画像データに関連付けられている設置位置情報と、携帯端末装置30の現在位置情報とを比較し、携帯端末装置30の現在位置が対象機器の設置位置から所定距離内に含まれる場合に、対象機器の遮蔽前画像データの送信命令を通信部12に出力する。一方、携帯端末装置30の現在位置が所定距離内に含まれない場合、制御部24は、位置情報付きフロアマップデータの送信命令を通信部12に出力する。通信部12は、制御部24の制御の下、遮蔽前画像データ又は位置情報付きフロアマップデータを携帯端末装置30に送信する。携帯端末装置30の制御部42は、遮蔽前画像データ又は位置情報付きフロアマップデータをUI部40に表示させる。このように、フロアマップデータと遮蔽前画像データとを自動的に切り換えてもよい。
【0047】
なお、携帯端末装置30を所持した作業者が対象機器の近傍まで移動したときに、携帯端末装置30の制御部42が、フロアマップデータから遮蔽前画像データへの切り替えを行ってもよい。この場合、制御部42は、遮蔽画像データに付帯されている設置位置情報と、位置情報取得部36によって取得された現在位置情報とを比較し、携帯端末装置30の現在位置が対象機器の設置位置から所定距離内に含まれない場合、フロアマップデータをUI部40に表示させ、現在位置が設定位置から所定距離内に含まれる場合に、フロアマップデータに替えて対象機器の遮蔽前画像データをUI部40に表示させる。
【0048】
実施例1の別の例として、携帯端末装置30の制御部42は、半透明の状態の遮蔽前画像データをUI部40に表示させてもよい。これにより、作業者は、遮蔽前画像データを参考にして、現状の様子を把握することができる。例えば、作業者は、遮蔽前画像データと同様の撮影条件(角度、距離、ズーム等が同様の条件)で、新たな撮影を行うことができる。なお、遮蔽前画像データを半透明にする処理は、情報提供装置10の画像処理部18によって行われてもよいし、携帯端末装置30の制御部42によって行われてもよい。
【0049】
また、更に別の例として、情報提供装置10の運転情報取得部22は、対象機器の現在の運転状態を示す運転情報をビル管理システム50から取得し、携帯端末装置30に提供してもよい。この場合、携帯端末装置30の制御部42は、遮蔽前画像データに運転情報を重ねてUI部40に表示させる。対象機器が温度センサや流量計等の計測器であれば、温度や流量等の計測値が運転情報として表示され、計測器以外の機器であれば、例えば消費電力や運転モード等を示す情報が運転情報として表示される。これにより、作業者は、遮蔽前画像を参照しながら、対象機器の現在の運転状態を把握することが可能となる。
【0050】
また、フロアマップデータに携帯端末装置30の現在位置を表示してもよい。この場合、情報提供装置10の画像処理部18は、対象機器を示す対象機器マークがフロアマップ上の設置位置に重ねられ、さらに、携帯端末装置30を示す端末マークがフロアマップ上の現在位置に重ねられた位置情報付きフロアマップデータを生成する。そして、携帯端末装置30の制御部42は、当該位置情報付きフロアマップデータをUI部40に表示させる。これにより、作業者は、自身の現在位置と対象機器の設置位置との関係を把握することができる。
【0051】
ところで、建物の設計図を参照することで、作業者は、外部から遮蔽された対象機器の設置位置を把握しようとすることも考えられる。しかしながら、工事中の建物では、現場の状況に応じて対象機器の設置位置が臨機応変に変更される場合もあるため、必ずしも設計図が示す設置位置通りに対象機器が設置されるとは限らない。従って、工事完了後に設計図を参照したとしても、対象機器の正確な位置を把握できるとは限らない。これに対して本実施形態では、建物内に実際に設置された状態の対象機器を、当該対象機器が外部から遮蔽される前に撮影しておき、対象機器の設置位置を記録しているので、より正確な設置位置を提供することができる。さらに、遮蔽前画像を参照することで、より詳細な設置位置を把握することができる。また、建物の設計図が存在しない場合にも、本実施形態を適用することで、作業者に有益な情報を提供することができる。
【0052】
(実施例2:探索作業2)
次に、図7から図10を参照して、実施例2(探索作業2)について説明する。図7を参照して説明すると、まず、保守点検を行う作業者は、保守点検の対象機器を携帯端末装置30によって指定する(S20)。例えば図6(a)を参照して説明したように、検索画面等を利用することで対象機器を指定すればよい。また、携帯端末装置30の位置情報取得部36は、携帯端末装置30の現在位置を示す現在位置情報を取得し(S21)、角度検出部38は、携帯端末装置30の向き(角度、方位)を検出する(S22)。そして、作業者が対象機器に関する情報の取得要求をUI部40によって指示すると、携帯端末装置30の通信部34は、作業者によって指定された対象機器の識別情報、現在位置情報及び角度情報を、ネットワークNを介して情報提供装置10に送信する。情報提供装置10の通信部12は、携帯端末装置30から上記の情報を受信する。なお、通信部12が位置情報取得手段の一例に相当する。
【0053】
情報提供装置10の演算部20は、対象機器に関する情報の取得要求を携帯端末装置30から受けると、現在位置情報に基づき、建物内における携帯端末装置30の位置を求め(S23)、さらに、対象機器の遮蔽前画像データに関連付けられている設置位置情報と現在位置情報とに基づき、携帯端末装置30の現在位置と対象機器との間の距離を求める(S24)。
【0054】
そして、画像処理部18は、登録処理の段階で生成された位置情報付き建物3Dモデルデータと、建物内における携帯端末装置30の現在位置及び向きと、現在位置から対象機器までの距離とに基づき、現在位置から当該向きの視線で見たときの対象機器の周辺の設備を3次元で模式的に表す周辺設備3Dモデルデータを生成する(S25)。また、画像処理部18は、対象機器の遮蔽前画像データと、建物内における携帯端末装置30の現在位置及び向きと、現在位置から対象機器までの距離とに基づき、現在位置から当該向きの視線で見たときの対象機器を3次元で模式的に表す対象機器3Dモデルデータを生成する。
【0055】
また、画像処理部18は、現在位置情報に基づき、携帯端末装置30を所持する作業者が存在するフロアのフロアマップデータを記憶部16から取得する(S26)。
【0056】
そして、画像処理部18は、ステップS25で生成された周辺設備3Dモデルデータと対象機器3Dモデルデータとを合成することで、合成モデルデータを生成する(S27)。また、画像処理部18は、フロアマップデータ、設置位置情報及び現在位置情報に基づき、対象機器を示す対象機器マークがフロアマップ上の設置位置に重ねられ、さらに、携帯端末装置30を示す端末マークがフロアマップ上の現在位置に重ねられた位置情報付きフロアマップデータを生成する。なお、画像処理部18がモデルデータ生成手段の一例に相当する。
【0057】
また、画像処理部18は、携帯端末装置30の現在位置情報、携帯端末装置30の角度情報及び対象機器の設置位置情報に基づき、携帯端末装置30の現在位置を基準にした対象機器の方向を示す案内情報を生成する(S28)。案内情報としては、例えば、対象機器の方向を図示する案内マークや、対象機器の方向を音声で示す音声案内情報等が該当する。なお、画像処理部18が案内情報生成手段の一例に相当する。
【0058】
そして、情報提供装置10の通信部12は、対象機器3Dモデルデータ、合成モデルデータ、位置情報付きフロアマップデータ及び案内情報を携帯端末装置30に送信する(S29)。
【0059】
携帯端末装置30の制御部42は、撮影部32の撮影によって生成された画像データをUI部40に表示させ、さらに、情報提供装置10から送信された情報を当該画像データに重ねてUI部40に表示させる(S30)。
【0060】
図8から図10に、UI部40に表示される情報の一例を示す。例えば図8に示すように、作業者が携帯端末装置30によって工事完了後の建物100内を撮影しているものとする。この場合、制御部42は、撮影部32によって生成された建物100内の画像データ500をUI部40に表示させ、さらに、位置情報付きフロアマップデータ600を画像データ500に重ねてUI部40に表示させる。位置情報付きフロアマップデータ600には建物内のマップが表されており、マップ上の現在位置には、携帯端末装置30を示す端末マーク602が重ねて表示され、マップ上の設置位置には、対象機器を示す対象機器マーク604が重ねて表示されている。作業者は、UI部40に表示されたマップを参照することで、対象機器と現在位置との関係を把握することが可能となる。また、制御部42は、画像データ500に対象機器3Dモデルデータ610を重ねてUI部40に表示させる。対象機器3Dモデルデータ610は、画像データ500上において、対象機器が存在する方向に表示される。また、制御部42は、案内情報としての案内マーク620を画像データ500に重ねてUI部40に表示させる。案内マーク620は、画像データ500上において、対象機器が存在する方向を指し示している。なお、案内情報が音声情報の場合、制御部42は、スピーカ等によって当該音声を出力してもよい。
【0061】
そして、作業者が建物100内を移動すると、情報提供装置10は、携帯端末装置30の現在位置情報、角度情報及び距離情報に基づき、その移動に応じた対象機器3Dモデルデータ、合成モデルデータ、位置情報付きフロアマップデータ及び案内情報を生成し、携帯端末装置30に送信する。従って、作業者が建物100内を移動すると、例えば図9に示すように、制御部42は、その移動に応じて情報提供装置10から送信された位置情報付きフロアマップデータ600、対象機器3Dモデルデータ610及び案内マーク620を、画像データ500に重ねてUI部40に表示させる。
【0062】
そして、作業者がUI部40を用いることで画像の切り替えを指示すると、制御部42は、図10に示すように、対象機器3Dモデルデータに替えて合成モデルデータ630をUI部40に表示させる。この合成モデルデータ630は、周辺設備3Dモデルデータと対象機器3Dモデルデータとが合成されたデータであるため、合成モデルデータ630には、対象機器634と周辺設備632とが模式的に表されている。周辺設備632は例えば配管である。合成モデルデータ630は、画像データ500上において、対象機器が存在する方向に表示される。なお、図8から図10に示されている対象機器のモデルデータは3次元データではなく、2次元データであってもよい。
【0063】
以上のように、フロアマップデータ及び対象機器3Dモデルデータを携帯端末装置30に提供することで、工事完了に伴って対象機器が外部から遮蔽されて視認できない場合であっても、作業者は、当該対象機器の設置位置を容易に特定することができる。また、合成モデルデータを携帯端末装置30に提供することで、作業者は、対象機器の詳細な設置位置や、対象機器と周辺設備との位置関係等を容易に把握することが可能となる。すなわち、合成モデルデータには対象機器と周辺設備とが模式的に表されているため、利用者は、あたかも天井の内部を見ているような感覚で、対象機器と周辺設備との位置関係等を把握することができる。このように、外部から遮蔽された対象機器の位置を容易に特定することができるので、対象機器の探索作業を効率的に行うことができ、保守点検等の作業の効率化が図られる。
【0064】
例えば、作業者が対象機器の近傍まで移動するまでの間は、フロアマップデータ及び対象機器3Dモデルデータを参照することで対象機器が設置されている方向を確認することができる。そして、作業者が対象機器の近傍まで移動したときに、合成モデルデータを参照することで対象機器の詳細な設置位置等を確認することが可能となる。
【0065】
また、情報提供装置10は、携帯端末装置30の現在位置が対象機器の設置位置から所定距離内に含まれる場合に、合成モデルデータを携帯端末装置30に送信し、現在位置が所定距離内に含まれない場合に、対象機器3Dモデルデータを携帯端末装置30に送信してもよい。この場合、情報提供装置10の制御部24は、対象機器の遮蔽前画像データに関連付けられている設置位置情報と、携帯端末装置30の現在位置情報とを比較し、携帯端末装置30の現在位置が対象機器の設置位置から所定距離内に含まれる場合に、合成モデルデータの送信命令を通信部12に出力する。一方、携帯端末装置30の現在位置が対象機器の設置位置から所定距離内に含まれない場合、制御部24は、対象機器3Dモデルデータの送信命令を通信部12に出力する。通信部12は、制御部24の制御の下、位置情報付きフロアマップデータ及び案内情報を携帯端末装置30に送信するとともに、合成モデルデータ又は対象機器3Dモデルデータのいずれか一方を携帯端末装置30に送信する。携帯端末装置30の制御部42は、位置情報付きフロアマップデータと案内情報としての案内マークとをUI部40に表示させ、さらに、合成モデルデータ又は対象機器3Dモデルデータのいずれか一方をUI部40に表示させる。このように、合成モデルデータと対象機器3Dモデルデータとを自動的に切り換えてもよい。
【0066】
なお、携帯端末装置30を所持した作業者が対象機器の近傍まで移動したときに、携帯端末装置30の制御部42が、対象機器3Dモデルデータから合成モデルデータへの切り替えを行ってもよい。この場合、制御部42は、対象機器の設置位置情報を情報提供装置10から受け、設置位置情報と現在位置情報とを比較し、携帯端末装置30の現在位置が対象機器の設置位置から所定距離内に含まれない場合、対象機器3DモデルデータをUI部40に表示させ、現在位置が設置位置から所定距離内に含まれる場合に、対象機器3Dモデルデータに替えて合成モデルデータをUI部40に表示させる。
【0067】
実施例2の別の例として、携帯端末装置30の制御部42は、半透明の状態の対象機器3Dモデルデータ又は合成モデルデータをUI部40に表示させてもよい。例えば、合成モデルデータが半透明で表示されることで、作業者は、合成モデルデータを参考にして、現状の様子を把握することができる。また、作業者は、合成モデルデータに表された対象機器を参考にして新たな撮影を行ってもよい。なお、対象機器3Dモデルデータ及び合成モデルデータを半透明にする処理は、情報提供装置10の画像処理部18によって行われてもよいし、携帯端末装置30の制御部42によって行われてもよい。
【0068】
また、更に別の例として、情報提供装置10の運転情報取得部22は、対象機器の現在の運転状態を示す運転情報をビル管理システム50から取得し、携帯端末装置30に提供してもよい。この場合、携帯端末装置30の制御部42は、対象機器3Dモデルデータの近傍又は合成モデルデータに表された対象機器の近傍に運転情報を重ねてUI部40に表示させる。なお、作業者がUI部40を用いて画像データ500の保存を指示した場合、制御部42は、UI部40に表示されている運転情報を、保存対象の画像データ500とともに保存してもよい。このとき、制御部42は、対象機器3Dモデルデータ又は合成モデルデータとともに運転情報及び画像データ500を保存してもよいし、運転情報及び画像データ500のみを保存してもよい。
【0069】
なお、情報提供装置10は、案内情報を携帯端末装置30に提供しなくてもよい。この場合、携帯端末装置30のUI部40には案内マークは表示されない。案内情報を利用しなくても、作業者は、フロアマップ、対象機器3Dモデルデータ及び合成モデルデータを参照することで、対象機器の設置位置を容易に特定することができる。なお、携帯端末装置30の制御部42が、案内マークの表示/非表示を制御してもよい。
【0070】
また、撮影によって生成された画像データをUI部40に表示せずに、建物100内を模式的に示す3DモデルデータをUI部40に表示してもよい。この場合、図7に示すステップS25において、画像処理部18は、位置情報付き3Dモデルデータと、建物内における携帯端末装置30の現在位置及び向きとに基づき、現在位置における建物100内を3次元で模式的に表す3Dモデルデータを生成する。そして、作業者が建物100内を移動すると、画像処理部18は、携帯端末装置30の現在位置及び向きに基づき、その移動に応じた3Dモデルデータを生成する。携帯端末装置30の制御部42は、撮影によって生成された画像データをUI部40に表示させずに、当該3Dモデルデータと位置情報付きフロアマップデータとをUI部40に表示させる。また、制御部42は、対象機器3Dモデルデータや案内マークをUI部40に表示させてもよい。このように、3Dモデルデータを携帯端末装置30に提供した場合であっても、作業者は対象機器の設置位置を容易に特定することができる。
【0071】
なお、上述した実施形態では、外部から遮蔽された機器を対象にして説明したが、例えば照明や空調器等のように外部から遮蔽されずに目視できる機器に対して本実施形態を適用してもよい。この場合であっても、対象機器を容易に特定することができるので、対象機器の探索作業を効率的に行うことができ、保守点検等の作業の効率化が図れる。
【符号の説明】
【0072】
10 情報提供装置、12 通信部、14 登録部、16 記憶部、18 画像処理部、20 演算部、22 運転情報取得部、24,42 制御部、30 携帯端末装置、32 撮影部、34 通信部、36 位置情報取得部、38 角度検出部、40 ユーザインターフェース(UI部)、50 ビル管理システム、60 無線ルータ。
図1
図2
図3
図7
図4
図5
図6
図8
図9
図10