【0014】
木質板材4は、その平面形状が板状基材2の平面形状と同じ長方形であって、所定の厚み寸法を有する。
連結部材5は、木質板材4の長手方向に沿ってそれぞれ複数個からなる2列が配置されている。このうち、上方に1列となって複数個が配置された連結部材5は、異形鋼棒32の下方に位置するとともに異形鋼棒32の長手方向と直交するように配置されている。
下方に1列となって複数個が配置された連結部材5は、2本のPC鋼棒31の間においてPC鋼棒31の長手方向と直交するように配置されている。
端板6は、所定の木質材料、例えば、木質板材4と同じ材料から形成された板材であり、板状基材2及び木質板材4の端面を覆うに十分な大きさを有する。
【実施例】
【0021】
次に、本実施形態の効果を確認するための実施例について説明する。
[梁の寸法]
板状基材2の長手方向に沿った梁の長さが4000mmであり、梁成が240mmであり、厚み寸法(正面と背面との間の寸法)が45mmである。
板状基材2は、セラマックス−770(商品名)からなるモルタルからなる。
PC鋼棒31は、φ17mmのものを2本用いる。
異形鋼棒32は、D16のものを1本用いる。
【0022】
木質板材4は、JAS構造用単板積層材140E−450からなり、その厚み寸法は30mmである。
木質板材4の上端と上の列に配置された連結部材5の中心とは、40mmとされ、木質板材4の下端と下の列に配置された連結部材5の中心とは、40mmとされ、上下の連結部材5の中心の間の寸法は、160mmとされる。梁長手方向に沿って隣合う連結部材5の間の寸法が250mmである。連結部材5はM12ボルトからなる。
【0023】
[実験]
以上の構成の梁1の両端部を、異形鋼棒32が上方に向き、PC鋼棒31が下方に向くように図示しない試験台に支持させる。そして、梁1の上面の中心に下方に向けた荷重を繰り返してかけ、その際の変位を測定する。
[実験結果]
図5は梁の中心に荷重をかけた際の変位と荷重との関係を示すグラフである。
図5において、加力1回目P1の荷重の最大値P1maxが160kNであり、その際の変位が48mmである。加力2回目の荷重の最大値P2maxが146kNであり、その際の変位が41.6kNである。なお、140E予測値Pmaxは99.6kNである。ここで、140E予測値は、140Eのレベルで同断面の梁を使用した場合の最大耐力(最大加重)である。
【0024】
加力1回目において、荷重P1
δ=10mmは48kNであり、加力2回目において、変位が10mmとなる荷重P2
δ=10mmは41.6kNであり、140E予測値において、変位が10mmとなる荷重P
δ=10mmは26.2kNである。なお、P
δ=10mmは日本建築学会が定めた撓み基準値L/300を示す。
これに対して、一般在来工法で使用されている梁材(E85−F300)からなる比較例の荷重Qは、最大値が58kNであり、実施例に比べて補強効果が低いことがわかる。
【0025】
なお、本発明は、前記実施形態に限定されるものではなく、本発明の目的を達成できる範囲で以下に示される変形をも含むものである。
例えば、前記実施形態では、異形鋼棒32を設けたが、本発明では、異形鋼棒32に代えてPC鋼棒31を用いてもよい。即ち、本発明では、板状基材2に設けられる鋼棒は全てPC鋼棒31であってもよい。PC鋼棒31の本数は2本に限定されるものではない。さらに、梁の断面形状は
図3に示されるものに限定されるものではない。
【0026】
即ち、本発明の梁1は、
図6に示される断面形状のものであってもよい。例えば、
図6(A)に示される通り、PC鋼棒31を1本としてもよい。なお、
図6(A)において、板状基材2を挟んで配置された2枚の木質板材4の互いに反対側に位置する端面には、それぞれ木材片40が板状基材2及び木質板材4の長手方向に沿って配置されており、木材片40は木ビスで2枚の木質板材4にそれぞれ取り付けられている。
図6(B)に示される通り、板状基材21の正面と背面との中心部分をそれぞれ外に向けて突出させた形状とし、木質板材41の板状基材21の正面と背面とに対向する部分を凹ました形状としてもよい。
図6(B)で示される例も、
図6(A)で示される例と同様に、木材片40が2枚の木質板材4にそれぞれ木ビスで取り付けられている。
【0027】
さらに、
図6(C)に示される通り、板状基材22の正面2Aと背面2Bとの中心部分をそれぞれ内に向けて凹ました形状とし、木質板材42の板状基材22の正面2Aと背面2Bとに対向する部分を突出させた形状としてもよい。この際、板状基材22の下部は厚さ方向の寸法を大きくとることができるので、PC鋼棒31を水平方向に並べて複数本(図では2本)配置するものでもよい。同様に、板状基材22の上部は厚さ方向の寸法を大きくとることができるので、異形鋼棒32又はPC鋼棒31を複数本配置するものでもよい。
図6(C)で示される例も、
図6(A)(B)で示される例と同様に、木材片40が2枚の木質板材4にそれぞれ木ビスで取り付けられている。
また、
図6(D)に示される通り、木質板材43の上下寸法を板状基材23の上下寸法より短くし、木質板材43の上端面と下端面とをそれぞれ板状基材23の上部と下部とで覆う構造としてもよい。この際、板状基材23の下部は厚さ方向の寸法を大きくとることができるので、PC鋼棒31を水平方向に並べて複数本配置するものでもよく、板状基材23の上部は厚さ方向の寸法を大きくとることができるので、異形鋼棒32又はPC鋼棒31を複数本配置するものでもよい。
【0028】
さらに、前記実施形態では、板状基材2の上面2C及び下面2Dがそれぞれ露出した構成としたが、本発明では、これらのうちの一方、あるいは双方を木質板材で覆う構成としてもよい。
また、連結部材は、2枚の木質板材4を所定間隔離して連結できるものであれば、その具体的な構成が問われるものではなく、例えば、1本のボルトと1個のナットとから構成するものでもよく、あるいは、1本のロッドと、このロッドを貫通する複数本のピンとから構成するものでもよい。
【0029】
さらに、本発明の梁1の具体的な寸法は、実施例に例示されたものに限定されるものではない。
また、本発明の構造部材は、梁に限定されるものではなく、柱であってもよい。即ち、柱であっても、所定の位置において水平方向の荷重を受けることがあるので、本発明の構成を採用することで、荷重だけでなく座屈に対しても強いものとなる。