(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
走行機体(3)の前部に連結された刈取部(4)の駆動及び駆動停止を行う駆動手段と、走行機体(3)の走行変速を行う走行変速装置(31)と、走行速度が予め定めた所定速度未満であることを検出する低速走行検出手段(79)と、報知手段(84)とを備えたコンバインであって、走行機体(3)の前進走行を検出する前進走行検出手段(79)と、刈取部(4)の駆動停止を検出する駆動停止検出手段と、制御部(77)とを設け、該制御部(77)は、上記前進走行検出手段(79)及び低速走行検出手段(79)によって、走行機体(3)の上記所定速度以上での前進走行が検出された場合には、駆動手段を介して刈取部(4)を駆動させる駆動制御を実行する一方で、走行機体(3)の上記所定速度未満での前進走行が検出された場合には、駆動手段を介して刈取部(4)の駆動を停止する停止制御を実行し、さらに、上記前進走行検出手段(79)及び駆動停止検出手段によって、走行機体(3)の前進走行を検出し且つ刈取部(4)の駆動停止を検出した場合には、報知手段(84)を介して、その旨を報知する報知制御を実行するコンバイン。
前記駆動手段は、刈取部(4)に伝動する動力を無段階で変速伝動するHSTか、或いは刈取部(4)への動力伝動を断続する刈取クラッチ(48)であり、前記駆動停止検出手段は、前記HSTのニュートラル状態を検出することにより刈取部(48)の駆動停止を検出するニュートラル状態検出手段か、或いは前記刈取クラッチ(48)の切断状態を検出することにより刈取部(81)の駆動停止を検出する切断状態検出手段(81)である請求項1に記載のコンバイン。
前記低速走行検出手段(79)が上記駆動停止検出手段としても兼用され、前記制御部(77)は、低速走行検出手段(79)によって、走行速度が予め定めた所定速度未満であることを検出した場合には、停止制御の実行によって、刈取部(4)が駆動停止していると判断する請求項1に記載のコンバイン。
走行機体(3)に昇降可能に連結された前記刈取部(4)の非作業位置への上昇を検出する上昇位置検出手段(82)を設け、前記制御部(77)は、上昇位置検出手段(82)によって、刈取部(4)の非作業位置への上昇を検出した場合には、駆動手段を介して、刈取部(4)の駆動を停止する上昇自動停止制御を行い、該上昇自動停止制御によって刈取部(4)の駆動が停止されている最中は、上記前進走行検出手段(79)及び駆動停止検出手段によって、走行機体(3)の前進走行を検出するとともに刈取部(4)の駆動停止を検出した場合でも、報知手段(84)による報知を実行しない請求項1乃至3の何れかに記載のコンバイン。
【発明を実施するための形態】
【0017】
図1は、本発明を適用したコンバインの全体斜視図であり、
図2は、本コンバインの動力伝動系統図である。本コンバインは、機体フレーム1が左右一対のクローラ式走行装置(走行部)2L,2Rによって支持された走行機体3と、この走行機体3の前方に配置されて該走行機体3に昇降駆動可能に連結された前処理部(刈取部)4とを備えている。
【0018】
前処理部4は、引起装置及び掻込装置によって引起されるとともに前処理部4側に掻込まれた圃場の穀稈を、刈刃6によって、刈取る刈取作業を行うとともに、搬送装置7によって刈取った穀稈の走行機体3側への搬送作業を行う。走行機体3の進行方向右(右)側の前半部にはオペレータが乗込んで各種操作を行う操縦部8が設けられ、左側には、脱穀装置10が設置されている。
【0019】
脱穀装置10は、走行機体3の左側面側に設置されて前後方向に延びるフィードチェーン9と、走行機体3の内部左側に設けられた脱穀室(図示しない)内で、自身の軸回りに回転自在に支持され且つ前後方向に延びる円柱状に成形された扱胴11と、扱室の後方に設置されて排藁となった穀稈を後方に搬送する排藁搬送装置12と、走行機体3の後端部に設置された後処理部13と、扱胴11の直下に形成された選別室(図示しない)の上部側に前後揺動自在に支持された揺動選別体14と、選別室内の前端部下端側に支持されて後方斜め上方の選別風を起風する唐箕ファン16と、選別室の下端部から走行機体3の右側における操縦部8の後方に配設されたグレンタンク18側に延設された一番ラセン17と、選別室の該一番ラセン17の後方に設置された二番ラセン19とを備えている。
【0020】
そして、走行機体3側に搬送された穀稈は、フィードチェーン9の前端側に渡され、穂先側が扱室に挿入された状態で、該フィードチェーン9によって後方搬送される。この後方搬送過程で、穀稈は、扱室内の扱胴11等によって扱降し処理(脱穀処理)され、排藁になり、この排藁となった穀稈は、排藁搬送装置12によって後処理部13まで搬送され、そのまま又は後処理部13によって切断処理され、走行機体3の後端部から機外に排出される。
【0021】
一方、扱胴11の回転によって扱降し処理された処理物は、揺動選別体14に受止められ、該揺動選別体14によって揺動選別された後に上記選別風によって風選される。これらの選別によって、処理物は、一番ラセン17側に落下する一番物と、二番ラセン19側に落下する二番物と、後方斜め上方に吹上げられる藁屑等の排出物とに分けられる。
【0022】
一番物は、籾等の穀粒として、一番ラセン17によって、グレンタンク18内に搬送収容され、二番物は、二番ラセン19等によって選別室の前部上側に再び還元され、揺動選別体14及び選別風により再び選別され、排出物は、そのまま、走行機体3の後端部から機外に排出される。
【0023】
上記グレンタンク18内の穀粒は、走行機体3の後部右側に基端部が左右旋回駆動且つ上下揺動駆動可能に支持されたオーガ21の先端部から機外に排出される。ちなみに、グレンタンク18の底部及びオーガ21内に設けられた複数の搬送ラセンから構成される穀粒排出装置22によって、グレンタンク18内の穀粒がオーガ21の先端部まで搬送され、機外に排出される。
【0024】
次に、
図2に基づき、本コンバインの動力伝動構造について説明する。
【0025】
走行機体3の操縦部8側に内装されたエンジン26の動力は、エンジン出力軸25と一体回転する3つの伝動プーリ27,28,29に伝動される。3つの伝動プーリ27,28,29の内、走行系に動力を伝動するものが走行伝動プーリ27になり、穀粒排出装置22に動力を伝動するものが穀粒排出側伝動プーリ28になり、作業系に動力を伝動するものが作業伝動プーリ29になる。
【0026】
上記走行伝動プーリ27の動力は、ベルト伝動によって、油圧式無段階変速装置である走行HST(走行変速装置)31に伝動される。走行HST31による無段階変速後の動力は、トランスミッション32を介して、左右の各クローラ式走行装置2L,2Rに変速伝動される。すなわち、走行HST31が走行変速切換を行う主変速装置になる。トランスミッション32内にも走行変速を行う副変速装置が設けられている。
【0027】
上記穀粒排出側伝動プーリ28の動力は、排出クラッチ33を介して、穀粒搬出装置22に断続伝動される。言換えると、穀粒排出装置22への動力が、排出クラッチ33の入切によって、断続される。
【0028】
上記作業伝動プーリ29の回転動力が脱穀装置10及び前処理部4に伝動され、これらを駆動させる。
【0029】
具体的には、作業伝動プーリ29の動力が、該作業伝動プーリ29と、分岐伝動プーリ34とに巻掛けられる作業伝動ベルト36を介して、該分岐伝動プーリ34が一体回転するように取付けられる分岐伝動軸37に伝動される。作業伝動ベルト36には、この作業伝動ベルト36のテンションを調整するテンションプーリから構成されてエンジン出力軸25から分岐伝動軸37への動力伝動を断続する手動式の脱穀クラッチ38が設置されている。
【0030】
この分岐伝動軸37の動力は、扱胴11側と、二番ラセン19側とに分岐される。扱胴11側に伝動された回転動力は、該扱胴11を回転駆動させるとともに、上述の排藁搬送装置12を搬送駆動させる。一方、二番ラセン19側に伝動された動力は、さらに、該二番ラセン19を搬送駆動させるとともに、一番ラセン17側と、後処理部13側とに分岐させる。
【0031】
後処理部13側に分岐された動力は、該後処理部13を切断駆動させる。一番ラセン17側に分岐された動力は、該一番ラセン17を搬送駆動させるとともに揺動選別体14を揺動選別駆動させた後、その伝動下流側に配置された伝動機構39に伝動される。
【0032】
伝動機構39は、脱穀装置10から伝動されてくる動力を、フィードチェーン9を駆動させるフィードチェーン駆動軸41にギヤ伝動するとともに、刈取伝動軸42にギヤ伝動する。刈取伝動軸42の動力は、該刈取伝動軸42と一体回転する刈取伝動プーリ43と、刈取駆動軸44に一体回転するように取付けられた刈取駆動プーリ46とに掛回された駆動ベルト47によって、該刈取駆動軸44にベルト伝動され、この刈取駆動軸44の回転動力によって、前処理部4の引起装置、掻込装置、刈刃6及び搬送装置7が駆動される。
【0033】
この駆動ベルト47には、テンションプーリからなる刈取クラッチ(駆動手段)48が設置され、この刈取クラッチ48によって、前処理部4への動力が断続され、前処理部4の駆動及び駆動停止が行われる。この刈取クラッチ48は、後述するアクチュエータ49(
図5乃至
図7参照)によって、断続作動される。
【0034】
ちなみに、この刈取クラッチ48は、伝動機構39と、前処理部3との間の伝動経路に設置されているため、この刈取クラッチ48の接続によって、フィードチェーン9の駆動は停止されず、脱穀クラッチ38が接続されると、駆動状態で保持される。
【0035】
次に、
図3及び4に基づき、操縦部8の構成について説明する。
【0036】
図3は、操縦部の平面図である。操縦部8は、オペレータが着座する座席51と、座席51の前方をカバーして左右方向に延びるフロントパネル52と、座席51の機体内側(左側)側方をカバーして前後方向に延びるサイドパネル53と、座席51とフロントパネル52との間における低い位置に形成された床面54とを備えている。ちなみに、上記座席51の直下には、エンジン26を収容するエンジンルーム(図示しない)が形成されている。
【0037】
上記フロントパネル52の右部には、左右揺動によって走行機体3の操向操作を行うとともに、前後揺動によって前処理部4の昇降操作を行うマルチレバー(操向レバー,昇降レバー)56が、上方に突出した状態で、設置されている。
【0038】
上記サイドパネル53の前部の左右一方寄り部分には、主変速レバー57が前後及び左右揺動操作可能に支持され、左右他方寄り部分には副変速レバー58が前後揺動操作可能に設けられ、該サイドパネル53の後部には、前後揺動操作可能にクラッチレバー59が設置され、中途部には、シーソースイッチであるコントロールスイッチ61が設けられている。
【0039】
主変速レバー57は、前後中立位置での左右一方側(図示する例では右側)への揺動によって、前後中立位置から前方への揺動操作が可能になる一方で、前後中立位置での左右他方側への揺動によって、前後中立位置から後方への揺動操作が可能になる。そして、主変速レバー57の前後中立位置からの前方揺動量が大きくなる程、走行HST31が前進走行側に無段階で増速され、前後中立位置からの後方揺動量が大きくなる程、走行HST31が後進走行側に無段階で増速される。
【0040】
副変速レバー58は、前後揺動によって、トランスミッション32を介した、走行変速操作を行う。
【0041】
クラッチレバー59は、上述した脱穀クラッチ38と機械的に連結され、前後揺動によって、脱穀クラッチ38の断続操作を行う。
【0042】
図4は、コントロールスイッチの構成を示す側面図である。コントロールスイッチ61は、前後両側に傾斜させることが可能であり、このコントロールスイッチ61を、中立、前傾斜又は後傾斜の何れかに切換えることによって、手扱ぎスイッチ61a及び強制掻込みスイッチ61b(
図8参照)が入切され、後述する手扱ぎ制御と、強制掻込み制御との実行・実行停止の切換が行われる。
【0043】
次に、
図5乃至7に基づき、アクチュエータ49の構成について説明する。
【0044】
図5,6は、刈取クラッチモータの構成を示す斜視図及び分解斜視図である。前記アクチュエータ49は、電動モータである刈取クラッチモータによって構成されている。上記機体フレーム1には、側面視で逆U字状に成形されてサイドパネル53側に延設されるステー62が形成され、上述の伝動機構39を内装した伝動ケース63が、サイドパネル53の右側部に沿って支持固定され、この伝動ケース63の前方には、左右方向の横筒64が、機体フレーム1側に支持され且つ該伝動ケース63に近接した状態で、配置されている。
【0045】
伝動ケース63のサイドパネル53側の側面における前部側且つ上部側には、前記刈取伝動プーリ43が回転自在に支持され、横筒64のサイドパネル53側端部には、前記刈取伝動プーリ43と左右位置が一致し且つ該刈取伝動プーリ43の直下に位置する刈取駆動プーリ46が、回転自在に支持されている。この横筒64内には、該刈取駆動プーリ46と一体回転する前記刈取駆動軸44が内装され、前処理部4は、この横筒64の軸心を支点として、昇降される。
【0046】
まず、刈取クラッチモータ49側の構成について説明すると、刈取クラッチモータ49は、サイドパネル53の左側側部に沿った状態で、板状のベースブラケット66によって、該ステー62側に取付支持されている。このベースブラケット66によって、刈取クラッチモータ49の左側面は、カバーされ、この刈取クラッチモータ49の動力出力側には、ギヤボックス67が一体的に取付けられ、このギヤボックス67からは、自身の軸回りに回動可能な状態で、操作軸68が、左側方に向かって突出形成され、この操作軸68には、刈取クラッチモータ49の回転動力が伝動される。
【0047】
操作軸68を、操作アーム69の一端側に形成された筒状の装着部69aに、嵌合挿入して装着し、この筒状の装着部69aを、自身の軸回りに回動自在に、ベースブラケット66の中央部に形成された左右方向の支持スリーブ71内に嵌合挿入して支持している。すなわち、操作アーム69は、ベースブラケット66に上下揺動自在に支持され、刈取クラッチモータ49の動力によって、上下揺動駆動される。ベースブラケット66には、支持スリーブ71を中心とする円弧状に形成されたガイド孔66aに穿設されている。
【0048】
続いて、刈取クラッチ48側の構成について説明すると、刈取伝動軸42の軸心を支点として回動する回動体72には、該回動体72と一体で揺動する一対のアーム72a,72bが、上下両側に突出した状態で、一体的に形成されている。一方のアーム72bは、先端側に刈取クラッチ48をなすテンションプーリが回転自在に支持されたテンションアームであり、他方のアーム72aは、連結リンク73を介して、上述の操作アーム69と連結される作動アームである。ちなみに、連結リンク73と、操作アーム69とは、ガイド孔66aに挿通される連結ピン74を介して、連結される。
【0049】
また、ベースブラケット66と、テンションアーム72bとの間には、刈取クラッチ48を構成するテンションプーリが駆動ベルト47から離間する側に、テンションアーム72bを弾性付勢する引張スプリング等の弾性部材76が設置されている。
【0050】
図7(A)は刈取クラッチモータによって刈取クラッチを切断作動させた状態を示す要部側面図であり、(B)は刈取クラッチモータによって刈取クラッチを接続作動させた状態を示す要部側面図である。以上のように構成される刈取クラッチモータ49によれば、刈取クラッチモータ49を駆動停止させると、弾性部材76の弾性力によって、操作アーム69が最下方位置に揺動されるとともに、テンションアーム72bが駆動ベルト47から離間する側に揺動され、刈取クラッチ48が切断される(同図(A)参照)。
【0051】
一方、刈取クラッチモータ49の動力によって操作アーム69を最上方位置に揺動させることにより、テンションアーム72bが弾性部材76の弾性力に抗して駆動ベルト47側に揺動され、刈取クラッチ48が接続される(同図(B)参照)。
【0052】
そして、この刈取クラッチモータ49の駆動・駆動停止は、マイコン等からなる制御部77(
図8参照)によって制御される。すなわち、刈取クラッチ49は、制御部77によって、断続制御される。
【0053】
次に、
図8乃至
図11に基づき、制御部77の構成について説明する。
【0054】
図8は、制御部の構成を示すブロック図である。制御部77の入力側には、クラッチレバー59の揺動操作を検出することにより脱穀クラッチ38の断続検出を行う脱穀クラッチレバースイッチ(脱穀クラッチ断続検出手段)78と、主変速レバー57の揺動位置を検出することにより、車体の走行速度(車速)や走行状態(前進、停止、後進)を検出する主変速レバーポテンショ(低速走行検出手段,前進走行検出手段)79と、上述した手扱ぎスイッチ61a及び強制掻込みスイッチ61bと、操作軸68や操作アーム69やベースブラケット66等に配設されて刈取クラッチ48の断続状態を検出する検出スイッチ又はポテンショメータである刈取クラッチ断続検出手段(駆動停止検出手段,切断状態検出手段)81と、前処理部4の昇降高さを検出する昇降高さ検出手段であるリフトポテンショメータ(上昇位置検出手段)82と、操縦部8側に設置されて後述する上昇自動停止制御の実行・停止を切換える切換操作手段である刈取リフトシャットスイッチ83とが接続されている。
【0055】
一方、制御部77の出力側には、上述の刈取クラッチモータ49の他、警報ブザーや警報ランプ等の報知手段84が接続されている。
【0056】
該構成によって、制御部77は、刈取クラッチ48の断続制御を行うとともに、報知手段84の作動を制御して報知の有無を切換える。
【0057】
図9は、制御部が実行する刈取クラッチの断続制御の処理フロー図である。制御部77は、刈取クラッチ48の断続制御が開始されると、ステップS1に進む。ステップS1では、脱穀クラッチレバースイッチ78によって、脱穀クラッチ38の断続状態を確認し、脱穀クラッチ38が接続状態である場合には、ステップS2に進む。
【0058】
ステップS2では、主変速レバーポテンショ79によって、車速が予め定めた所定速度(限界速度)未満(超低速域)であるか否かを確認する。この限界速度は、前処理部4を駆動させている状態で、走行機体3が前進走行している最中において、それ以上低速になると、前処理部4での搬送作業の効率や脱穀装置10での作業効率が低下する虞がある限界の速度である。ちなみに、後進走行時は、車速をマイナスとみなすため、この場合も超低速域に含まれ、これを言換えると、主変速レバーポテンショ79は、走行機体3の前進走行を検出する前進走行検出手段としても機能している。
【0059】
なお、主変速レバーポテンショ79は、このように前進走行検出手段及び低速走行検出手段の2つの機能を備えているが、これらを別部材として構成してもよい。例えば、主変速レバーポテンショ79によって、前進走行状態や後進走行状態を走行停止状態を含む走行状態を検出させ、エンジンからクローラ式走行装置2L,2Rへの動力伝動経路の途中に配置されて伝動軸の回転速度を検出する回転センサ等によって車速を検出してもよい。
【0060】
そして、ステップS2において、前進走行中であり且つ車速が超低速域でないと判断された場合には、ステップS3に進む。ステップS3では、刈取リフトシャットスイッチ83のON・OFFによって、上昇自動制御が実行中であるか、或いは停止中であるかを確認し、上昇自動制御が実行中であれば、ステップS4に進む。
【0061】
上昇自動制御の実行中は、前処理部4が刈取作業を行わない所定の昇降高さ以上の高さ(非作業高さ)に上昇された場合には、自動的に前処理部4の刈取駆動及び搬送駆動の両方を停止する一方で、上記所定の昇降高さよりも低く刈取作業や搬送作業を行うことが可能な高さ(作業高さ)に下降されている最中は、前処理部4を刈取・搬送駆動させる。このため、ステップS4では、リフトポテンショメータ82によって、前処理部4が非作業高さに上昇したか否かを確認し、非作業高さに上昇していなければ、ステップS5に進む。
【0062】
ステップS5では、前述したコントロールスイッチ61の操作によって、手扱ぎスイッチ61aのON・OFFを確認し、手扱ぎスイッチ61aがOFF状態(手扱ぎ制御の実行が停止されている状態)である場合には、ステップS6に進む。ちなみに、手扱ぎスイッチ61aと強制掻込みスイッチ61bとは、両方が同時にON状態になることはなく、何れか一方がONで且つ他方がOFFとなるか、或いは、両方ともOFF状態になるように構成されている。
【0063】
ステップS6では、車速が超低速域ではなく、脱穀クラッチ38も接続状態であるため、前処理部4を刈取・搬送駆動させるべく、刈取クラッチモータ49を介して、刈取クラッチ48を接続状態として、ステップS1に処理を戻す。
【0064】
このステップS1→ステップS2→ステップS3→ステップS4→ステップS5→ステップS6と進む処理によって、車速が上記限界速度以上である場合に、前処理部4を自動的に駆動させる駆動制御が行われる。
【0065】
また、ステップS2において、前進走行中で且つ車速が超低速域の場合、或いは後進走行中の場合には、ステップS7に進む。ステップS7では、前述したコントロールスイッチ61の操作によって、強制掻込みスイッチ61bのON・OFFを確認し、強制掻込みスイッチ61bがOFF状態(強制掻込み制御の実行が停止されている状態)である場合には、ステップS8に進む。
【0066】
ステップS8では、車速が超低速域であり、強制掻込み制御の実行も停止されているため、前処理部4の駆動を停止すべく、刈取クラッチ48を切断状態として、ステップS1に処理を戻す。
【0067】
このステップS1→ステップS2→ステップS7→ステップS8と進む処理によって、前進走行中でも車速が上記限界速度未満(超低速域)である場合、又は後進走行の場合には前処理部4の駆動を自動的に停止させる停止制御が行われる。
【0068】
なお、手扱ぎ制御の実行中は、刈取クラッチ48を切断作動させ、前処理部3の駆動を停止させた状態で、フィードチェーン9も含めた脱穀装置10のみを駆動させる。この手扱ぎ制御の実行中は、作業者が手作業で穀稈をフィードチェーン9の前端側に導入し、脱穀・選別処理を行わせる。このため、ステップS5において、手扱ぎスイッチ61aがON状態(手扱ぎ制御の実行中)である場合には、ステップS8に進み、刈取クラッチ38を切断状態として、前処理部4の駆動を停止させる。
【0069】
また、強制掻込み制御の実行中は、車速に無関係に、前処理部4を強制的に刈取・搬送駆動させる。このため、ステップS7において、強制掻込みスイッチ61bがON状態(強制掻込み制御の実行中)である場合には、ステップS6に進み、車速が低速域の場合でも、前処理部4を駆動させるべく、刈取クラッチ38を接続状態とする。
【0070】
さらに、上昇自動停止制御の実行中は、前述した上昇自動制御の内容に従った処理を行う。このため、ステップS4において、前処理部4が非作業高さに上昇していることが確認された場合には、ステップS8に進み、刈取クラッチ38を切断状態として、前処理部4の駆動を停止させる。
【0071】
また、ステップS1において、脱穀クラッチ38の切断状態が確認された場合には、刈取クラッチ48の断続状態に関係なく、上述した伝動構成によって、脱穀装置10及び前処理部4は、駆動停止されるため、ステップS8に進み、刈取クラッチ48を切断状態とする。
【0072】
このように、駆動制御及び停止制御が常時実行され、その実行の最中に、手扱ぎ制御又は強制掻込み制御が実行された場合には、手扱ぎ制御又は強制掻込み制御が優先実行される。また、上昇自動停止制御の実行中も、条件が成立した(非作業高さへの上昇が確認された)場合には、駆動制御に優先して、前処理部3の駆動が停止される。
【0073】
図10は、駆動制御及び停止制御の実行中における車速と、前処理部の駆動速度との関係を示した特性グラフである。同図に示す通り、限定速度(同図では「刈取部駆動開始」の矢印で示した部分)に増速されるまでは、停止制御によって、前処理部4の駆動を停止する一方で、車速が限界速度以上になった場合には、駆動制御によって、刈取クラッチ48を接続状態として、前処理部4を駆動させる。
【0074】
コンバインでは、駆動制御及び停止制御の実行時において、車体が限界速度未満の車速で前進している場合、作業効率の低下を防止するため、前処理部4の駆動は停止されるが、この状態のまま、車体を前進走行させると、穀稈を倒伏させる虞があるため、前処理部4が駆動停止した状態で、前進走行していることを、報知手段84によって、オペレータ等に報知する。
【0075】
図11は、制御部が実行する報知手段の作動制御の処理フロー図である。制御部77は、報知手段84の作動制御が開始されると、ステップS11から処理を開始する。ステッップS11では、脱穀クラッチ38の断続状態を、脱穀クラッチレバースイッチ78によって確認し、脱穀クラッチ38が接続状態の場合には、ステップS12に進む。
【0076】
ステッップS12では、主変速レバーポテンショ79によって、走行機体3が前進走行しているか否かを確認し、前進走行中であれば、ステッップS13に進む。ステップS13では、前処理部4の駆動状態を、刈取クラッチ断続検出手段81によって確認し、前処理部4が駆動停止している状態であれば、上述した通り、報知手段84によって報知すべき状態である可能性があるため、ステッップS14に進む。
【0077】
ステップS14では、刈取リフトシャットスイッチ83のON・OFFによって、上昇自動制御が実行中であるか、或いは停止中であるかを確認し、上昇自動制御が実行中であれば、ステップS15に進む。
【0078】
ステッップS15では、リフトポテンショメータ82によって、前処理部4の非作業高さへの上昇を検出し、前処理部4が非作業高さに上昇されていない場合には、前処理部4が駆動停止されている原因が、上昇自動制御によるものではないことが確認できたので、ステッップS16に進む。
【0079】
また、ステップS14において、上昇自動制御の実行停止が確認された場合にも、前処理部4が駆動停止されている原因が、上昇自動制御によるものではないことが確認されたため、ステップS16にダイレクトに進む。
【0080】
ステッップS16では、手扱ぎスイッチ61aのON・OFF状態を確認し、手扱ぎスイッチ61aがOFF状態で、手扱ぎ制御が実行停止している場合には、前処理部4が駆動停止されている原因が、手扱ぎ制御の実行によるものではないため、ステップS17に進む。
【0081】
ステップS17では、車速が超低速域であることが原因で前処理部4が駆動停止していると考えられるため、報知が必要な状態であるか否かを示すフラグのON・OFFを確認し、フラグがOFFであれば、ステップS18に進む。ちなみにフラグは、報知手段の作動制御の開始時点で、報知が必要ない状態であることを示すために、OFFにリセットされている。
【0082】
ステップS18では、報知が必要な状態に移行したことを示すために、フラグをONにセットするとともに、制御部77に内蔵されたタイマーを作動させ、カウントを開始し、ステップS19に処理を進める。また、ステップS17において、既にフラグがONにセットされた状態であることが確認された場合には、ステップS19に進む。
【0083】
ステップS19では、タイマーによるカウント開始から、予め定めた所定時間(遅延タイム)が経過したか否かを確認し、遅延タイムが過ぎた状態である場合には、ステップS20に進む一方で、遅延タイムがまだ過ぎていない場合には、ステップS11に処理を戻す。
【0084】
ステップS20では、報知が必要な状態であり、且つ遅延タイムが経過した状態であるため、報知手段84を介して、音声やランプによって、オペレータ等に、前処理部4が駆動停止した状態で前進走行していることを報知し、ステップS11に処理を戻す。
【0085】
ステップS11において、脱穀クラッチ38が切断状態であり、オペレータが意図的に脱穀装置10及び前処理部4を駆動停止している場合には、ステップS21に進む。ステプS21では、報知が不必要であることを示すために、上記フラグをOFFにリセットし、タイマーのカウントを停止させて、初期状態にリセットし、ステップS11に処理を戻す。
【0086】
また、ステップS12において、走行機体3の前進走行が検出されなかった場合、ステップS13において、前処理部4の駆動状態が検出された場合、ステップS15において、上昇自動制御の実行中における非作業高さへの前処理部4の上昇を検出した場合、或いは、ステップS16において、手扱ぎ制御の実行を確認した場合には、報知が必要ない状態であると判断できるため、ステップS21に処理を進める。
【0087】
以上のような処理フローによれば、ステップS11→ステップS12→ステップS13→ステップS14→ステップS15→ステップS16→ステップS17、或いはステップS11→ステップS12→ステップS13→ステップS14→ステップS16→ステップS17と進む処理によって、瞬間的に、報知が必要な状態になった場合でも、遅延タイムが経過するまでに、報知が不要な状態になって、ステップS21に処理が進むと、フラグがOFFにリセットされ、報知手段84による報知が実行されない。
【0088】
一方、報知が必要な状態が、遅延タイムの時間中、継続した場合には、ステップS20に進み、報知手段84による報知が実行される。この報知によって、車体が前進していて前処理部4が駆動停止している状態であることを、迅速且つ確実にオペレータに報知することができるため、駆動停止している前処理部4によって、圃場の穀稈を倒伏させることが未然に防止される。
【0089】
また、強制掻込み制御が実行されると、前処理部4が強制駆動されるため、ステップS13→ステップS21と処理を進み、報知は行われない状態になる。
【0090】
また、ステップS15→ステップS21と進む処理、又はステップS16→ステップS21と進む処理では、車速が低速で且つ前処理部4が駆動停止している状態ではあるが、オペレータが意図して、その状態にしているものと想定されるため、報知は行わず、フラグ及びタイマーをリセットする。
【0091】
以上のように構成される本コンバインによれば、適切なタイミングで、報知を行うことが可能であり、しかも遅延タイムの経過後に報知が実行されるため、前処理部4を駆動して、車体を停止した状態から、前後中立位置の主変速レバー57を、前進走行側に増速している過程で、一時的に車速が低速域になり、一瞬だけ報知手段84による報知が行われるような事態も、未然に防止できる。
【0092】
なお、ステップS13において、前処理部4の駆動状態を確認する際、主変速レバーポテンショ79を利用して、前処理部4の駆動状態を確認してもよい。すなわち、車速が超低速域の場合には停止制御の実行によって前処理部4の駆動が停止され、車速が超低速域よりも高速の場合には駆動制御の実行によって前処理部4が駆動されるため、ステップS13において、主変速レバーポテンショ79によって、車速が超低速域であるか否かを確認し、これによって、前処理部4の駆動状態を検知してもよい。
【0093】
このようなに主変速レバーポテンショ79を、前処理部4の駆動停止を検出する駆動停止手段として用いれば、前処理部4の駆動停止を検出する駆動停止手段として用いられている刈取クラッチ断続検出手段81を、省略することが可能になり、部品点数を減少して、コストを低減させることが可能になる。
【0094】
また、上述した例では、刈取クラッチ48を、前処理部4を駆動・停止させる駆動手段として用いるとともに、刈取クラッチ断続検出手段81を、前処理部4の駆動停止を検出する駆動停止手段として用いたが、この刈取クラッチ48の代わりに、油圧式無段階変速装置であるHSTを駆動手段として用いてもよい。
【0095】
具体的には、このHSTを、伝動機構39の伝動上流側に配置し、脱穀装置10の各部を駆動させた動力が入力される構造とし、このHSTによって、前処理部4に伝動する動力の無段階変速を行う。そして、HSTをニュートラル状態とすれば、フィードチェーン9及び前処理部4も駆動停止される。ちなみに、この場合には、HSTがニュートラル状態であるか否かを検出するニュートラル状態検出手段を、前処理部4の駆動停止を検出する駆動停止手段として用いる。