特許第6071795号(P6071795)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6071795
(24)【登録日】2017年1月13日
(45)【発行日】2017年2月1日
(54)【発明の名称】遊技機
(51)【国際特許分類】
   A63F 7/02 20060101AFI20170123BHJP
【FI】
   A63F7/02 325A
   A63F7/02 334
【請求項の数】2
【全頁数】19
(21)【出願番号】特願2013-161841(P2013-161841)
(22)【出願日】2013年8月2日
(65)【公開番号】特開2015-29732(P2015-29732A)
(43)【公開日】2015年2月16日
【審査請求日】2015年8月26日
(73)【特許権者】
【識別番号】000135210
【氏名又は名称】株式会社ニューギン
(74)【代理人】
【識別番号】100076048
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 喜幾
(74)【代理人】
【識別番号】100141645
【弁理士】
【氏名又は名称】山田 健司
(72)【発明者】
【氏名】中根 真也
(72)【発明者】
【氏名】吉原 裕章
(72)【発明者】
【氏名】長井 直也
【審査官】 貝沼 憲司
(56)【参考文献】
【文献】 特開2011−172873(JP,A)
【文献】 特開2007−135709(JP,A)
【文献】 特開2012−249901(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A63F 7/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
遊技球が流下する遊技領域が前側に設けられた板状本体と、前方に開放する箱状に形成され、前記板状本体の裏側に取り付けられる設置部材と、磁気センサとを備えた遊技機において、
前記設置部材に、前記板状本体の裏面と対向してセンサ設置部が設けられ、
前記センサ設置部
前記磁気センサを板状本体の裏面に沿わせる姿勢で収容保持する収容保持部と、
前記収容保持部に対して磁気センサを前側から挿脱自在に収容し得る形状に形成されると共に、前記収容保持部に保持した磁気センサにおける少なくとも検出部を前側に露出する開口部と
前記開口部から収容保持部に収容した磁気センサの前面に係脱自在に係合して該磁気センサを収容保持部に位置決め固定する固定手段とを備え、
前記磁気センサの前面に係合した前記固定手段の係合解除方向に前記板状本体が近接位置するよう構成された
ことを特徴とする遊技機。
【請求項2】
遊技球が流下する遊技領域が前側に設けられた板状本体と、前方に開放する箱状に形成され、前記板状本体の裏側に取り付けられる設置部材と、磁気センサとを備えた遊技機において、
前記設置部材に、前記板状本体の裏面と対向してセンサ設置部が設けられ、
前記センサ設置部は、
前記磁気センサを板状本体の裏面に沿わせる姿勢で収容保持する収容保持部と、
前記収容保持部に対して磁気センサを前側から挿脱自在に収容し得る形状に形成されると共に、前記収容保持部に保持した磁気センサにおける少なくとも検出部を前側に露出する開口部と、
前記開口部から収容保持部に収容した磁気センサの前面に係脱自在に係合して該磁気センサを収容保持部に位置決め固定する固定手段とを備え、
前記センサ設置部の前面に、後方に凹む凹部が設けられ、前記固定手段における磁気センサの前面に係合する係合部が凹部内に臨むよう構成され
ことを特徴とする遊技機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、磁石の磁気を検出可能な磁気センサを備えた遊技機に関するものである。
【背景技術】
【0002】
代表的な遊技機であるパチンコ機は、前面に遊技領域が画成された板状部材と、該板状部材の裏側に配設された設置部材とから遊技盤が構成され、板状部材の略中央位置に枠状の装飾部材(所謂センター役物)が配設されると共に、設置部材に複数の図柄を変動表示して図柄変動演出を行う液晶式やドラム式等の図柄表示装置が配設されて、該図柄表示装置の表示部を枠状装飾部材の開口部に後方から臨ませて、該開口部を介して表示部で実行される演出を前側から視認可能に構成されている。また、板状部材における枠状装飾部材の下方位置に、パチンコ球(遊技球)の入賞により図柄表示装置での変動を開始させる始動入賞装置や大当り時等に開放する特別入賞装置を配設するよう構成されたものが多数提案されている。この種のパチンコ機では、前記遊技領域に打ち出されたパチンコ球が遊技領域内に植設された遊技釘等との接触により跳ね返りながら次第に自重により流下し、該遊技領域を流下する過程で前記始動入賞装置に入賞することにより、所定数の賞球が払い出されると共に、前記図柄表示装置での図柄変動演出に伴うリーチ演出等の各種の遊技演出がなされ、該図柄表示装置に図柄が所定の組合わせで停止することにより所謂大当りが発生し、前記特別入賞装置が開放して多数の賞球を獲得し得るよう構成される。
【0003】
ここで、パチンコ遊技場においては、パチンコ機のガラス面に磁石を近づけて遊技領域を流下するパチンコ球を始動入賞装置の入賞口に直に誘導したり、あるいは所定箇所に集めたりする「磁石によるゴト行為」と称される不正行為が行われることがある。
【0004】
前記磁石による不正行為に対して、例えば特許文献1のパチンコ機では、遊技盤の裏側や該遊技盤の裏側に取り付けられる集合樋の裏側に磁気センサを配置し、不正行為を意図してガラス面に磁石を近づけたときに、該磁石の磁気を磁気センサで検出して打球発射装置を停止する等の不正防止対策を講じるよう構成されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開昭60−40078号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
パチンコ機においては、前記板状部材の裏側に臨む設置部材に、演出の興趣を向上するための可動装置や発光装置、あるいは各入賞装置に入賞したパチンコ球を排出するための排出樋等の各種の遊技部品が配設される。このように、設置部材には多数の遊技部品が組み付けられるように構成されることから、遊技部品を設置部材に組み付ける際に該遊技部品が磁気センサに接触して該磁気センサが破損等しないようにするため、磁気センサの全体を収容保護する保持部を設置部材に設け、該保持部に磁気センサを収容して取り付けることが一般的に行われている。しかしながら、磁気センサにおける検出部の全体が保持部で覆われてしまうと、磁気検出能力が低下するおそれがある。なお、磁気感度の高い磁気センサを用いることで磁気検出能力の低下を補うことができる反面、設置部材に配設されているソレノイドやモータ等の磁気作用により誤検出を招くおそれがある。
【0007】
すなわち本発明は、従来の技術に係る遊技機に内在する前記課題に鑑み、これを好適に解決するべく提案されたものであって、磁気センサを保護すると共に磁石による不正行為を適確に検出し得る遊技機を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
前記課題を克服し、所期の目的を達成するため、本願の請求項1に係る発明は、
遊技球が流下する遊技領域(21)が前側に設けられた板状本体(20)と、前方に開放する箱状に形成され、前記板状本体(20)の裏側に取り付けられる設置部材(19)と、磁気センサ(54)とを備えた遊技機において、
前記設置部材(19)に、前記板状本体(20)の裏面と対向してセンサ設置部(58,69)が設けられ、
前記センサ設置部(58,69)
前記磁気センサ(54)を板状本体(20)の裏面に沿わせる姿勢で収容保持する収容保持部(59,70)と、
前記収容保持部(59,70)に対して磁気センサ(54)を前側から挿脱自在に収容し得る形状に形成されると共に、前記収容保持部(59,70)に保持した磁気センサ(54)における少なくとも検出部を前側に露出する開口部(58a,69a)と
前記センサ設置部(58,69)の開口部(58a,69a)から収容保持部(59,70)に収容した磁気センサ(54)の前面に係脱自在に係合して該磁気センサ(54)を収容保持部(59,70)に位置決め固定する固定手段(67)とを備え、
前記磁気センサ(54)の前面に係合した前記固定手段(67)の係合解除方向に前記板状本体(20)が近接位置するよう構成されたことを要旨とする。
請求項1の発明によれば、磁気センサにおける検出部を板状部材側に露出する開口部をセンサ設置部に設けたので、磁気センサを保護しつつ磁気検出能力の低下を抑制して、磁石による不正行為を適確に検出し得る。また、リード片の延在方向が板状部材の裏面に沿う姿勢で磁気センサを配置することで、1つの磁気センサにより磁気を検出し得る範囲が広くなり、磁気センサの設置数を減らしてコストを削減し得る。
また、センサ設置部に対して磁気センサを前側から着脱することができ、取り付け作業が容易となる。
【0009】
前記課題を克服し、所期の目的を達成するため、本願の請求項2に係る発明は、
遊技球が流下する遊技領域(21)が前側に設けられた板状本体(20)と、前方に開放する箱状に形成され、前記板状本体(20)の裏側に取り付けられる設置部材(19)と、磁気センサ(54)とを備えた遊技機において、
前記設置部材(19)に、前記板状本体(20)の裏面と対向してセンサ設置部(58,69)が設けられ、
前記センサ設置部(58,69)は、
前記磁気センサ(54)を板状本体(20)の裏面に沿わせる姿勢で収容保持する収容保持部(59,70)と、
前記収容保持部(59,70)に対して磁気センサ(54)を前側から挿脱自在に収容し得る形状に形成されると共に、前記収容保持部(59,70)に保持した磁気センサ(54)における少なくとも検出部を前側に露出する開口部(58a,69a)と、
前記センサ設置部(58,69)の開口部(58a,69a)から収容保持部(59,70)に収容した磁気センサ(54)の前面に係脱自在に係合して該磁気センサ(54)を収容保持部(59,70)に位置決め固定する固定手段(67)とを備え、
前記センサ設置部(58)の前面に、後方に凹む凹部(65)が設けられ、前記固定手段(67)における磁気センサ(54)の前面に係合する係合部(67a)が凹部(65)内に臨むよう構成されることを要旨とする。
請求項の発明によれば、磁気センサにおける検出部を板状部材側に露出する開口部をセンサ設置部に設けたので、磁気センサを保護しつつ磁気検出能力の低下を抑制して、磁石による不正行為を適確に検出し得る。また、リード片の延在方向が板状部材の裏面に沿う姿勢で磁気センサを配置することで、1つの磁気センサにより磁気を検出し得る範囲が広くなり、磁気センサの設置数を減らしてコストを削減し得る。
また、センサ設置部に対して磁気センサを前側から着脱することができ、取り付け作業が容易となる。
更に、固定手段がセンサ設置部の前側に突出して板状部材の裏面を傷付けるのを防止し得る。
【0010】
本願には、次のような技術的思想が含まれる。
記センサ設置部(58,69)は、該センサ設置部(58,69)の前端が、前記設置部材(19)の開放端に位置するように設けられることを要旨とする。
上記構成によれば、磁気センサを板状部材の裏面に可能な限り近接させることができ、検出感度の低い磁気センサを使用することが可能となり、コストを低減することができる。
【0011】
本願には、次のような技術的思想が含まれる。
記センサ設置部(58,69)は、前後方向に弾性変形可能に構成されることを要旨とする。
上記構成によれば、センサ設置部の弾性によって該センサ設置部の前端を板状部材の裏面に当接させることができるので、板状部材の裏面に対する磁気センサの検出部の位置を一定に保持することができ、該磁気センサの検出感度が変化するのを防止し得る。
【0012】
本願には、次のような技術的思想が含まれる。
記センサ設置部(69)の開口部(69a)は、前記収容保持部(70)に収容した磁気センサ(54)の前面を全て露出するように開口すると共に、該収容保持部(70)に収容した磁気センサ(54)の前面がセンサ設置部(69)の前端に位置するよう構成されることを要旨とする。
上記構成によれば、磁気センサの前面の全体を板状部材の裏面に可能な限り近接させることができ、検出感度の低い磁気センサによって広範囲で磁気を検出することができる。
【発明の効果】
【0015】
本発明に係る遊技機によれば、磁気センサを保護すると共に磁石による不正行為を適確に検出し得る。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】本発明の実施例に係るパチンコ機を示す正面図である。
図2】実施例のパチンコ機を、中枠に対して前枠を開放した状態で示す概略斜視図であって、前枠の透視保護板や遊技盤における案内レールの内側に配設される各種遊技部品を省略している。
図3】実施例に係る遊技盤を示す概略正面図である。
図4】実施例に係る板状部材、設置部材および枠状装飾部材を分解して前側から見た概略斜視図である。
図5】実施例に係る板状部材と設置部材とを分解して前側から見た要部概略斜視図である。
図6】実施例に係る磁気センサを示す概略説明図であって、(a)は第1センサ設置部に取り付けられる状態での正面図であり、(b)は右側面図である。
図7】実施例に係る球排出経路部材における第1センサ設置部の配設部位を、該第1センサ設置部から磁気センサを取り外した状態で前側から視た概略斜視図である。
図8】実施例に係る第1センサ設置部を、該第1センサ設置部に磁気センサを取り付けた状態で前側から視た概略斜視図である。
図9】実施例に係る遊技盤を第1センサ設置部の配設位置で縦断した要部断面図である。
図10】実施例に係る設置部材における第2センサ設置部の配設部位を、該第2センサ設置部から磁気センサを取り外した状態で前側から視た概略斜視図である。
図11】実施例に係る第2センサ設置部を、該第2センサ設置部に磁気センサを取り付けた状態で前側から視た概略斜視図である。
図12】実施例に係る遊技盤を第2センサ設置部の配設位置で縦断した要部断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
次に、本発明に係る遊技機につき、好適な実施例を挙げて、添付図面を参照しながら以下詳細に説明する。なお、実施例では、遊技球としてパチンコ球を用いて遊技を行うパチンコ機を例に挙げて説明する。また、以下の説明において、「前」、「後」、「左」、「右」とは、特に断りのない限り、図1に示すようにパチンコ機を前側(遊技者側)から見た状態で指称する。
【実施例】
【0018】
(パチンコ機10について)
実施例に係るパチンコ機10は、図1および図2に示すように、前後に開口する矩形枠状に形成されて遊技店の図示しない設置枠台に縦置き姿勢で設置される固定枠としての外枠11の開口前面側に、遊技盤Mを着脱可能に保持する本体枠としての中枠12が開閉および着脱可能に組み付けられて、該遊技盤Mの裏側に、各種図柄を変動表示可能な図柄表示装置18が着脱可能に配設されている。また、前記中枠12の前面側には、前記遊技盤Mを透視保護するガラス板や透明な合成樹脂材により形成された透視保護板13bで前後に開口する窓部13aを覆うよう構成された前枠13が開閉可能に組み付けられると共に、該前枠13の下方にパチンコ球を貯留する下球受け皿15が開閉可能に組み付けられる。なお、実施例では、前記前枠13の下部位置に、パチンコ球を貯留する上球受け皿14が一体的に組み付けられており、前枠13の開閉に合わせて上球受け皿14も一体的に開閉するよう構成される。なお、実施例では、前記図柄表示装置18としては、各種図柄を表示可能な液晶パネルを収容ケースに収容した液晶表示装置が採用されるが、これに限られるものではなく、ドラム式の図柄表示装置やドットマトリックス式の図柄表示装置等の各種図柄を停止および変動表示可能な従来公知の各種の図柄表示装置を採用し得る。また、前記上球受け皿14は、前記前枠13と別体に形成してもよい。なお、球受け皿については、上下2枚の球受け皿14,15を備えるものに限らず、1枚の球受け皿のみを設ける構成であってもよい。
【0019】
前記前枠13の右下方位置には、前記中枠12に配設された打球発射装置16を作動する操作ハンドル17が設けられている。前記操作ハンドル17は、左回転方向に付勢された操作レバー17aを備えており、該操作レバー17aを右回転するよう遊技者が回動操作することで打球発射装置16が作動されて、前記上球受け皿14に貯留されたパチンコ球が前記遊技盤Mに向けて発射されるようになっている。ここで、前記操作レバー17aの回動量に応じて前記打球発射装置16によるパチンコ球の打球力が強弱変化するよう構成されており、遊技者が操作レバー17aの回動量を操作することで、前記遊技盤Mに形成された第1球流下経路21a(後述)をパチンコ球が流下する所謂「左打ち」と、該遊技盤Mに形成された第2球流下経路21b(後述)をパチンコ球が流下する所謂「右打ち(ゴム打ち)」とを打ち分け得るようになっている。
【0020】
(遊技盤Mについて)
本実施例では、所定板厚の略矩形状に形成された木材板の表面に各種絵柄等が描かれた合成樹脂シート(図示せず)等を貼付けて装飾した板状部材20と、該板状部材20の裏側に着脱自在に取り付けられる設置部材19とから遊技盤Mが構成されている(図4参照)。板状部材20の表面には、略円形状に湾曲形成された案内レール23が配設され、該案内レール23によってパチンコ球が流下可能な遊技領域21が画成されている。なお、前記図柄表示装置18は、設置部材19の裏側に取り付けられて、後述するように設置部材19に設けた開口部19aおよび後述する枠状装飾部材31に設けた開口部31aを介して板状部材20の前側に臨むよう構成される。
【0021】
前記案内レール23は、図3に示す如く、板状部材20の左下部から右上部に至るよう左方向に膨出する円弧状に形成された外レール24と、板状部材20の右上部、右下部および左上部に至るよう右方向に膨出する円弧状に形成された内レール25,26とから構成されている。前記内レール25,26は、外レール24の右上端部に連接して板状部材20の右上部から下部に亘って配設され、左端縁が右方に凹む円弧状に形成された盤面飾り部材25と、板状部材20の下部から左上部に亘って配設されて盤面飾り部材25の下端部に連接し、前記外レール24の右方(内側)に離間して位置するレール部材26とから構成され、該外レール24およびレール部材26により1個のパチンコ球が通過可能な発射通路23aが画成されている。ここで、前記内レールを構成するレール部材26は、前記板状部材20の左上部に開放端を臨ませて外レール24との間に遊技領域21に開口する打出し口23bを画成するよう構成されて、前記打球発射装置16から発射されたパチンコ球が発射通路23aの下方開口から飛翔して、レール部材26の開放端側の打出し口23bから遊技領域21内に打ち出されるようになっている。
【0022】
図3に示す如く、前記外レール24と盤面飾り部材25との接続位置は、外レール24および盤面飾り部材25の曲率の相違から段差が形成されており、該段差部分に緩衝ゴム(減勢部)27が配設されている。すなわち、前記外レール24の終端位置に臨むよう緩衝ゴム27が配設されて、前記打球発射装置16から発射されて外レール24に沿って終端位置まで移動して緩衝ゴム27に当接したパチンコ球を減勢し得るようになっている。なお、前記緩衝ゴム27は、前記第2球流下経路21bに位置している。
【0023】
(板状部材20の装着口28)
前記板状部材20には、図4に示す如く、前後に貫通する装着口28が前記遊技領域21内に複数開設されて、各装着口28に対して各種遊技部品が前側から取り付けられると共に、遊技領域21の最下部位置には、該遊技領域21に開口する第1アウト口(アウト口)29が開設されており、遊技領域21に打ち出されて第1アウト口29に入球したパチンコ球が機外に排出されるよう構成される。また、前記板状部材20には、前記遊技領域21内に多数の遊技釘30が植設されており、遊技領域21を流下するパチンコ球が遊技釘30に接触することでパチンコ球の流下方向を不規則に変化させるようになっている。なお、前記装着口28の形成数は、板状部材20に対して取り付けられる各種遊技部品の個数や配設位置等により必要に応じて適宜決定される。
【0024】
実施例の前記板状部材20には、図4に示す如く、前記案内レール23で囲まれた遊技領域21の略中央の大部分が開口する第1装着口(貫通孔)28に、前後に開口する開口部31aが形成された枠状装飾部材31が取り付けられ、該枠状装飾部材31の開口部31aを介して図柄表示装置18の表示部が板状部材20(遊技盤M)の前面側に臨むよう構成されている。そして、第1装着口28(枠状装飾部材31)の下方に開設された第2装着口(図示せず)に、遊技領域21(後述する第1球流下経路21a)を流下するパチンコ球が入賞可能な第1始動入賞口32aを有する第1始動入賞装置32が取り付けられ、該第2装着口(第1始動入賞装置32)の右方から上方にかけて開設された第3装着口(図示せず)に、遊技領域21(後述する第2球流下経路21b)を流下するパチンコ球が入賞可能な特別入賞装置33が取り付けられている。また、実施例のパチンコ機10では、前記枠状装飾部材31における特別入賞装置33の上方であって第2球流下経路21bに臨む位置に、該第2球流下経路21bを流下するパチンコ球が入賞可能な第2始動入賞口34aを有する第2始動入賞装置34が設けられている。更に、枠状装飾部材31には、第2始動入賞口34aの上側において、第2球流下経路21bに開口するよう第2アウト口47が設けられており、第2球流下経路21bを流下するパチンコ球を第2アウト口47で回収して機裏側に通出し得るよう構成される。
【0025】
実施例のパチンコ機10では、前記第1始動入賞装置32に設けられた第1始動入賞口32aまたは第2始動入賞装置34に設けられた第2始動入賞口34aに遊技領域21を流下するパチンコ球が入賞することで、前記図柄表示装置18において図柄が変動表示されて図柄変動演出が展開され、該図柄変動演出の結果、図柄表示装置18に所定の図柄組み合わせ(例えば同一図柄の3つ揃い等)で図柄が停止表示されることで所謂大当り(当り)が発生し、大当りの発生に伴って前記特別入賞装置33が開放して多数の賞球を獲得し得る機会が与えられるようになっている。ここで、前記第1始動入賞装置32は、第1始動入賞口32aが遊技領域21に常時開放する常時開放型の入賞装置とされ、前記第2始動入賞装置34は、所定の開放条件および閉鎖条件に従って第2始動入賞口34aが開閉部材35により開閉される開閉型の入賞装置とされている。そして、前記特別入賞装置33は、開閉体33aにより特別入賞口33bを常には閉鎖(入賞不能状態と)するよう構成され、大当りの発生に伴って特別入賞口33bを開放(入賞可能状態と)するよう構成されている。
【0026】
(球通過ゲート36について)
前記板状部材20には、図3に示す如く、前記枠状装飾部材31より右側に画成されている前記第2球流下経路21bに、パチンコ球が通過可能な球通過ゲート36が配設されている。球通過ゲート36には、該ゲート36をパチンコ球が通過したことを検知するゲートセンサ(図示せず)が配設される。そして、ゲートセンサが接続される図示しない制御装置は、該ゲートセンサの球検知に基づき前記第2始動入賞装置34の開閉部材35を開放するか否かの始動口開放抽選を行うよう構成されている。そして、始動口開放抽選に当選した場合に、制御装置は前記第2始動入賞装置34を制御して開閉部材35を開放するよう設定される。
【0027】
(特別入賞装置33について)
前記枠状装飾部材31に配設した第2始動入賞装置34より下側の遊技領域21(第2球流下経路21b)の板状部材20に配設された前記特別入賞装置33は、特別入賞口33bが開閉体(開閉部材)33aで常には閉鎖されている。そして、前記図柄表示装置18での図柄変動の結果、図柄表示装置18の表示部に所定の図柄組み合わせ(例えば同一図柄の三つ揃い等)で図柄が停止表示されることで所謂「大当り」が発生した場合に、前記制御装置によって開閉体33aを開放するよう作動制御し、これにより遊技領域21(第2球流下経路21b)に開口した特別入賞口33bへの入賞により多数の賞球を獲得し得るように構成されている。特別入賞装置33には、前記特別入賞口33bより下側に、遊技領域21を流下するパチンコ球が入賞可能な普通入賞口48が設けられている(図3参照)。
【0028】
(枠状装飾部材31について)
前記板状部材20に配設される前記枠状装飾部材31は、図4に示す如く、前記板状部材20に開設された前記第1装着口28の内側に沿って延在する環状に形成された枠状基部37と、該枠状基部37に設けられて前記板状部材20の前面より前方に突出し、前記遊技領域21と図柄表示装置18の表示部(表示領域)を区切る庇状部38と、該庇状部38の後縁から外方に延出する薄板状の台板部39とを備える。そして、前記枠状基部37を第1装着口28に挿入すると共に台板部39を板状部材20の前面に当接した状態で、該台板部39をネジ等の固定手段で板状部材20に固定することで、枠状装飾部材31が板状部材20に取り付けられる。ここで、前記庇状部38は、図3に示す如く、前記枠状装飾部材31(枠状基部37)の左側縁の中間位置から上縁および右下縁に亘って連続して延在するよう設けられており、図柄表示装置18の前面側を横切ってパチンコ球が流下(落下)するのを規制している。
【0029】
前記枠状装飾部材31には、図3,図4に示す如く、開口部31aの下側に、ステージ42が配設されると共に、開口部31aの左側に、遊技領域21に開口して該遊技領域21を流下するパチンコ球を取り込んでステージ42に案内する球導入部43が設けられ、該球導入部43からステージ42に通出されたパチンコ球は、ステージ42上を左右に転動した後に、前記第1始動入賞装置32が配設されている遊技領域21に排出される。またステージ42の後端縁には、左右方向の全長に亘って上側に向けて所定高さで立上がる透明壁44が設けられ、ステージ42上を転動するパチンコ球が図柄表示装置18の表示部側に移動するのを該透明壁44で防止している。なお、実施例では、枠状装飾部材31の枠状基部37や庇状部38の前側に、各種の意匠が施された光透過性の装飾部品41が配設され、該装飾部品41および透明壁44によって前記図柄表示装置18の表示部を前側に臨ませる開口部31aが画成されている。
【0030】
前記庇状部38は、図3に示す如く、最上部位置から左右方向に下方傾斜するよう形成されて、遊技領域21に打ち出されたパチンコ球が庇状部38上で滞ることなく前記枠状装飾部材31の左側方または右側方へ誘導されるよう形成されている。すなわち、前記板状部材20に画成された遊技領域21には、前記枠状装飾部材31の左側方をパチンコ球が流下する第1球流下経路21a、および該枠状装飾部材31の上方から右側方をパチンコ球が流下する第2球流下経路21bが設けられており、前記打出し口23bから遊技領域21に打ち込まれたパチンコ球は、第1球流下経路21aおよび第2球流下経路21bの何れかを流下するよう構成される。換言すると、前記打球発射装置16により遊技領域21内に発射されたパチンコ球は、到達位置に応じて前記枠状装飾部材31およびレール部材26(内レール25,26)の間に形成される第1球流下経路21aか、或いは枠状装飾部材31、外レール24および盤面飾り部材25(内レール25,26)の間に形成される第2球流下経路21bの何れかを流下する。そして、実施例に係るパチンコ機10では、前記第1球流下経路21aをパチンコ球が流下する場合(左打ちした場合)に、パチンコ球が第2球流下経路21bを流下する場合に較べて第1始動入賞装置32の第1始動入賞口32aにパチンコ球が入賞する可能性が高くなるよう構成されると共に、該第2球流下経路21bをパチンコ球が流下する場合(右打ちの場合)に、パチンコ球が第1球流下経路21aを流下する場合に較べて特別入賞装置33の特別入賞口33bや第2始動入賞装置34の第2始動入賞口34aへパチンコ球が入賞する可能性が高くなるよう構成されている。なお、庇状部38における前記開口部31aの上方に臨む略弧状に形成されている領域において、外レール24との離間間隔は、パチンコ球1個分の幅寸法より大きく、かつ遊技球2個分の幅寸法より小さな幅寸設に設定されている。
【0031】
(設置部材19について)
前記設置部材19は、前記板状部材20の外郭形状より僅かに小さな形状に形成された略矩形状の背面板45と、該背面板45の外周縁部から前方に突出する画壁部46とから前方に開口した箱状に形成されて、該画壁部46の開口前端部を板状部材20の裏面に当接させた状態で、当該板状部材20と設置部材19とがネジにより固定される。そして、設置部材19において板状部材20との間に画成される空間に、各種の可動演出装置50や各種の発光装置53等が設置されて、設置部材19を基材とする1つのユニットとして扱い得るようになっている(図4参照)。また、前記設置部材19の背面板45には、前記枠状装飾部材31の開口部31aと前後に整列する位置に、略矩形状の開口部19aが前後に開口するよう開設されると共に、該背面板45の裏側に前記図柄表示装置18が着脱自在に取り付けられて、該開口部19aを介して図柄表示装置18の表示部が板状部材20(遊技盤M)の前側に臨むようになっている。なお、前記設置部材19における右側の画壁部46に、内側に向けて所定幅で突出する支持段部46a(図9参照)が上下方向に延在するように設けられており、該支持段部46aに、後述する球排出経路部材49および発光装置53がネジ止め固定されるようになっている。
【0032】
(球排出経路部材49について)
前記設置部材19には、前記第2始動入賞口34a、特別入賞口33b、普通入賞口48に入賞したパチンコ球(セーフ球)および第2アウト口47に入球したパチンコ球(アウト球)を排出案内する球排出経路部材49が配設されている。この球排出経路部材49には、第2始動入賞口34aに入賞したパチンコ球を排出案内する入賞球排出経路、特別入賞口33bに入賞したパチンコ球を排出案内する特別入賞球排出経路、普通入賞口48に入賞したパチンコ球を排出案内する普通入賞球排出経路および、第2アウト口47に入球したパチンコ球を排出案内するアウト球排出経路が形成される。また球排出経路部材49には、図5に示す如く、入賞球排出経路を第2始動入賞口34aに連通する入賞用開口49aおよびアウト球排出経路を第2アウト口47に連通するアウト用開口49bが前方に向けて開口すると共に、特別入賞球排出経路を特別入賞口33bに連通する特別用開口49cが上方に向けて開口している。また、普通入賞球排出経路を普通入賞口48に連通する普通用開口49dが前方に向けて開口している。
【0033】
(可動演出装置50について)
前記設置部材19には、前記第2球流下経路21bの裏側に臨む部分に、左右方向に往復移動自在な可動体51を備えた可動演出装置50が配設されており、前記図柄表示装置18で行われる図柄変動演出に合わせて可動体51を作動させることで、遊技の興趣を向上するよう構成してある。可動体51は、前記背面板45における開口部19aの下端縁より上側に延在して、該背面板45の前面に沿って左右方向に直線的に往復移動可能に支持されている。また可動演出装置50は、前記背面板45における開口部19aの下端縁より下方に配設されて可動体51に連繋した駆動手段52を備え、該駆動手段52によって可動体51は、前記枠状装飾部材31の開口部31aに臨んで前側に露出する作動位置と、開口部31aの中央側から作動位置より離れて枠状装飾部材31および板状部材20の裏側に隠れる待機位置との間を往復移動するよう構成される。そして、可動体51は、待機位置において背面板45と球排出経路部材49との間に画成される空間に下端部が収容されるようになっている。
【0034】
(発光装置53について)
前記球排出経路部材49の上端部には、待機位置に位置する可動体51の前方に臨む発光装置53が配設されている。発光装置53は、待機位置に位置する可動体51と前記枠状装飾部材31の装飾部品41との間に臨んでおり、該発光装置53に設けたLED等の発光体を点灯することで、装飾部品41を裏側から照らして明輝させ得るよう構成される。また発光装置53は、前記設置部材19の支持段部46aにネジ止め固定されており、該発光装置53が球排出経路部材49を設置部材19に固定するための部材としても機能している。更に、発光装置53には、前記球排出経路部材49におけるアウト用開口49bの上方に近接する位置に位置決め部53aが設けられ、前記枠状装飾部材31に設けた被位置決め部(図示せず)を該位置決め部53aに係合することで、発光装置53に対して枠状装飾部材31が位置決めされるよう構成される。
【0035】
(磁気センサ54について)
前記設置部材19には、前記球通過ゲート36、第1始動入賞装置32および特別入賞装置33の裏側に近接する位置に、後述するセンサ設置部58,69を介して磁気センサ54が配設されている。この磁気センサ54は、図6(a),(b)に示す如く、長方形状のケーシング55の内部に、その長手方向に沿う方向に延在する一対のリード片56,56の一部を接離可能に対向配置して構成されたリードスイッチが用いられる。ケーシング55の長手方向の一端にコネクタ57が設けられ、該コネクタ57に、前記制御装置に電気的に接続する配線(図示せず)がコネクタ接続されるよう構成される。なお、コネクタ57は、図6(a)に示す如く、ケーシング55に対して短手方向に偏倚して設けられることで、当該磁気センサ54を後述するセンサ設置部58,69に配設する際の位置決め部として機能するよう構成されている。また、ケーシング55におけるコネクタ57が偏倚する側と反対側の面に、該コネクタ57の偏倚側に凹むように切欠かれた段部55aが設けられている。
【0036】
(第1センサ設置部58について)
前記設置部材19には、前記球通過ゲート36に近接する位置に、前記磁気センサ54を前記板状部材20の裏面に対向する姿勢で配設するための第1センサ設置部(センサ設置部)58が配設されている。実施例では、第1センサ設置部58は、前記球排出経路部材49に一体的に設けられており、該球排出経路部材49を設置部材19に取り付けることで、第1センサ設置部58に配設された磁気センサ54が板状部材20の裏面に対向位置して(図9参照)、前記前枠13の透視保護板13bに磁石が近づけられたときに、該磁石の磁気を磁気センサ54で検出し得るよう構成される。なお、磁気センサ54は、前記制御装置に電気的に接続されて、該磁気センサ54が磁気を検出した際に、制御装置が警報を発するようにスピーカを制御したり、打球発射装置16の作動を停止制御するよう構成される。
【0037】
前記第1センサ設置部58には、図7,図8に示す如く、後方に向けて凹設されて前方および下方に開口する収容保持部59が設けられている。この収容保持部59は、磁気センサ54におけるケーシング55を収容する第1収容部59aと、ケーシング55に設けられたコネクタ57を収容する第2収容部59bとからなり、該第1収容部59aおよび第2収容部59bによって収容保持部59は、磁気センサ54を前側から収容可能な形状およびサイズに形成されている。実施例では、第1センサ設置部58の収容保持部59は、上下方向に長手が延在するよう設定されると共に、第1収容部59aの下側に第2収容部59bが形成されており、収容保持部59に対して磁気センサ54は、前記リード片56,56の延在方向が上下方向に沿うと共にコネクタ57が下向きとなる姿勢で収容されるよう構成される。そして、第1センサ設置部58に配設された磁気センサ54は、リード片56,56の延在方向が、前記板状部材20の裏面と平行となる姿勢で位置決めされる。また実施例では、収容保持部59は全体的に前方に開口して、該収容保持部59に収容された磁気センサ54の前面(収容保持部59に収容された状態で前側を向く面)の全体を前側に露出するよう構成される。すなわち、実施例では収容保持部59の前面開口が、磁気センサ54の検出部を前側に露出する開口部58aとして機能するよう構成されている。
【0038】
前記収容保持部59のより具体的な構成について説明すれば、該収容保持部59は、後壁60と、該後壁60の左側縁から前側に延在する左側壁61と、後壁60の右側縁から前側に延在する右側壁62と、後壁60の上端縁から前側に延在すると共に両側壁61,62を連設する上壁63とによって構成されて、後壁60、左側壁61、右側壁62および上壁63とによって前方に開口する前記第1収容部59aが画成される。また、右側壁62の下端部には、左側壁61から離間する方向(右方)に向けて凹む凹壁64が上下方向に所定長さに亘って連設されており、該凹壁64と後壁60および左側壁61によって前方および下方に開口する前記第2収容部59bが画成される。更に、左側壁61の下端部に、右側(凹壁64側)に向けて所定長さで延出する規制部61aが設けられている。そして、磁気センサ54を、コネクタ57が下向きで右側に位置する姿勢で収容保持部59に前側から収容することで、ケーシング55の段部55aが規制部61aに係合して、収容保持部59に対して磁気センサ54の下方への抜け止めがなされるよう構成される。
【0039】
前記第1センサ設置部58には、図7,図8に示す如く、左側壁61の上下方向の中間位置から上壁63の全体および右側壁62の上下方向の中間位置までの間に、これら壁61,62,63の前面を第1センサ設置部58の前面より所定長さだけ後側に退避させた凹部65が形成されている。また、右側壁62における凹部65の形成位置に臨む外側面(右側面)に、筒状で前面にネジ孔66aが開口するネジ止め部66が設けられている。そして、収容保持部59に磁気センサ54を収容した状態で、ネジ止め部66のネジ孔66aに固定手段としてのネジ67を螺挿することで、該ネジ67の頭部(係合部)67aが磁気センサ54のケーシング前面に当接して、収容保持部59からの磁気センサ54の前方への脱落を防止すると共に位置決め保持し得るよう構成される。また、ネジ止め部66にネジ67を螺挿して収容保持部59に磁気センサ54を位置決め保持した状態で、該ネジ67の頭部67aが凹部65内に臨んで、該頭部67aが第1センサ設置部58の前面から前方に突出しないように、前記凹部65の前後長が設定されている(図9参照)。なお、実施例では、前記ネジ67として、円板状のフランジを備える頭部67aが設けられたものが用いられている。
【0040】
前記第1センサ設置部58の上端部には、前記発光装置53に対する取着部68が設けられており、該取着部68が発光装置53にネジ止め固定されるよう構成される。また、第1センサ設置部58には、収容保持部59の側方(右側方)に、前後に貫通する通孔(図示せず)が形成されており、該第1センサ設置部58の裏面を前記設置部材19の支持段部46aの前面に当接した状態で、通孔に前側から挿通したネジによって第1センサ設置部58を支持段部46aにネジ止め固定し得るよう構成される。そして、第1センサ設置部58を支持段部46aに固定した状態で、該第1センサ設置部58に取り付けられた磁気センサ54の磁気検出可能範囲が、前記球通過ゲート36および該球通過ゲート36より上側の第2球流下経路21bに及ぶ位置に臨むよう設定されている。
【0041】
ここで、前記第1センサ設置部58の収容保持部59に磁気センサ54を収容した状態で、該磁気センサ54の前面は、前記凹部65の前面(壁61,62,63における凹部65が形成されている部分の前面)と略同一位置に位置するよう設定される。また、前記支持段部46aに第1センサ設置部58を固定した状態で、該第1センサ設置部58の前端(壁61,62,63における凹部65が形成されていない部分の前面)が、前記設置部材19の開放端に位置するよう設定されている。これにより、設置部材19を前記板状部材20の裏側に取り付けた状態で、第1センサ設置部58の前端が板状部材20の裏面に略当接し、磁気センサ54の前面が板状部材20の裏面に近接位置するよう構成される(図9参照)。
【0042】
実施例では、前記球排出経路部材49に一体的に設けられた第1センサ設置部58を設置部材19の前記支持段部46aにネジ止め固定することで、該球排出経路部材49が設置部材19に固定されるよう構成されている。また球排出経路部材49は、下部側における複数箇所において設置部材19の前記背面板45にネジ止め固定されるようになっている。そして、球排出経路部材49は、支持段部46aから内側に延出する端部側については、設置部材19に支持されておらず、該球排出経路部材49は設置部材19に対する固定部を支点として僅かに前後方向に弾性変形可能となっている。言い替えるなら、該球排出経路部材49に設けられている第1センサ設置部58についても、前後方向に弾性変形可能であって、該第1センサ設置部58の前面を弾性によって板状部材20の裏面に当接可能に構成されている。
【0043】
(第2センサ設置部69について)
前記設置部材19には、前記特別入賞装置33および第1始動入賞装置32に近接する位置に、前記磁気センサ54を前記板状部材20に対向する姿勢で配設するための第2センサ設置部(センサ設置部)69が配設されている。実施例では、第2センサ設置部69は、設置部材19の前記背面板45の前側にネジ止め固定されて前記第1始動入賞口32aに入賞したパチンコ球を機外に排出する始動口用球排出経路部材77に一体的に設けられており、該設置部材19を板状部材20の裏側に取り付けることで、第2センサ設置部69に配設された磁気センサ54が板状部材20の裏面に対向位置して(図12参照)、前記前枠13の透視保護板13bに磁石が近づけられたときに、該磁石の磁気を磁気センサ54で検出し得るよう構成される。なお、第2センサ設置部69に配設された磁気センサ54についても、前記制御装置に電気的に接続されて、該磁気センサ54が磁気を検出した際に、制御装置が警報を発するようにスピーカを制御したり、打球発射装置16の作動を停止制御するよう構成される。
【0044】
前記第2センサ設置部69の基本的な構成は、前記第1センサ設置部58の構成と同じであって、該第2センサ設置部69は、図10,図11に示す如く、後方に向けて凹設されて前方および上方に開口する収容保持部70が、後壁71と、該後壁71の左側縁から前側に延在する左側壁72と、後壁71の右側縁から前側に延在する右側壁73と、後壁71の下端縁から前側に延在すると共に両側壁72,73を連設する下壁74とによって構成される。そして、後壁71、左側壁72、右側壁73および下壁74とによって前方に開口して磁気センサ54のケーシング55が収容される第1収容部70aが画成されている。また左側壁72は、右側壁73より上端部が低い位置に臨むように設定されると共に、該左側壁72の上側には左側壁72より左側に離間した位置において上下方向に延在する壁部75が設けられており、該壁部75と後壁71および右側壁73によって前方および上方に開口して磁気センサ54のコネクタ57が収容される第2収容部70bが画成されている。更に、右側壁73の上端部に、左側(壁部75側)に向けて所定長さで延出する規制部73aが設けられている。そして、磁気センサ54を、コネクタ57が上向きで左側に位置する姿勢で収容保持部70に前側から収容することで、ケーシング55の段部55aが規制部73aに係合して、収容保持部70に対して磁気センサ54の上方への抜け止めがなされるよう構成される。すなわち、第2センサ設置部69の収容保持部70には、第1センサ設置部58の収容保持部59に対する磁気センサ54の収容姿勢とは、上下および左右が反転した姿勢で磁気センサ54が収容されるようになっている。また、第2センサ設置部69においても収容保持部70は全体的に前方に開口して、該収容保持部70に収容された磁気センサ54の前面(収容保持部70に収容された状態で前側を向く面)の全体を前側に露出するよう構成される。すなわち、収容保持部70の前面開口が、磁気センサ54の検出部を前側に露出する開口部69aとして機能するよう構成されている。
【0045】
ここで、第2センサ設置部69には、前記第1センサ設置部58に設けたネジ止め部66は設けられておらず、前記収容保持部70の内部寸法が、該収容保持部70に磁気センサ54を収容した際に、該磁気センサ54が前方へ簡単に抜けないように設定されている。また、第2センサ設置部69には、前記第1センサ設置部58に設けた凹部65は設けられておらず、該第2センサ設置部69の収容保持部70に収容した磁気センサ54の前面は、第2センサ設置部69の前端に位置するよう構成される。更に、第2センサ設置部69の前端(収容保持部70を画成する壁72,73,74の前面)が、設置部材19の開放端に位置するよう設定されている。これにより、設置部材19を前記板状部材20の裏側に取り付けた状態で、第2センサ設置部69の前端が板状部材20の裏面に当接し、磁気センサ54の前面が板状部材20の裏面に当接するよう構成される(図12参照)。
【0046】
前記始動口用球排出経路部材77は、前記設置部材19の背面板45に対して可動演出装置等の遊技部品Tの収容を可能な隙間Sをあけて配設されており(図12参照)、該始動口用球排出経路部材77は前後方向に弾性変形可能になっている。すなわち、該始動口用球排出経路部材77に一体的に設けられた第2センサ設置部69についても、前後方向に弾性変形可能であって、該第2センサ設置部69の前面を弾性によって板状部材20の裏面に当接可能に構成されている。
【0047】
〔実施例の作用〕
次に、前述した実施例に係るパチンコ機10の作用につき説明する。
【0048】
前記図柄表示装置18による図柄変動演出を開始させる契機となる第1始動入賞装置32の第1始動入賞口32aや、第2始動入賞装置34の開閉部材35を開放するか否かの始動口開放抽選を行う契機となる球通過ゲート36は、不正行為を意図している不正遊技者が磁石を用いた不正行為で狙われ易い部位である。この不正行為としては、前記透視保護板13bに近づけた磁石でパチンコ球を吸着して、第1始動入賞口32aや球通過ゲート36に直にパチンコ球を入賞させる行為や、前記遊技領域21において遊技釘30により形成される経路の一部をパチンコ球で詰まらせて、第1始動入賞口32aや球通過ゲート36へパチンコ球が誘導され易いようにする行為等が挙げられる。
【0049】
この場合に、前記板状部材20の裏側における第1始動入賞口32aや球通過ゲート36に近接する位置に、前記磁気センサ54を配設しているので、第1始動入賞口32aや球通過ゲート36の前側に臨む透視保護板13bに磁石が近づけられたときには、該磁石の磁力を磁気センサ54で検出して不正行為が行われていることを発見することができる。そして、磁気センサ54が磁気を検出した場合は、前記制御装置の制御下に異常報知が行われ、不正行為を防ぐことができる。
【0050】
前記設置部材19に磁気センサ54を取り付けるためのセンサ設置部58,69では、収容保持部59,70に収容した磁気センサ54の前面の全体が前側に露出する開口部58a,69aが設けられているので(図8,図11参照)、該磁気センサ54を保護しつつ磁気検出能力の低下を抑制して、磁石による不正行為を適確に検出することができる。すなわち、磁気センサ54においてリード片56によって磁気を検出可能な検出部の前面(板状部材20との対向面)は、保持部等によって覆われることなく板状部材20の裏面に直接対向するよう臨んでいるので、検出部が保持部によって覆われる構成に比べて磁気センサ54の検出感度を向上し得る。また、センサ設置部58,69に配設した磁気センサ54は、前述したようにリード片56の延在方向が前記板状部材20の裏面に沿う姿勢に保持されるので、板状部材20の裏面に対してリード片56の延在方向が直交する姿勢で磁気センサ54を配設する場合に比べて1つの磁気センサ54により磁気を検出し得る範囲が広くなり、磁気センサ54の設置数を減らしてコストを削減し得る。更に、磁気センサ54のセンサ設置部58,69を設置部材19に設け、かつ磁気センサ54の姿勢を長手方向(リード片56の延在方向)が上下方向に沿うようにしているから、遊技盤Mの後方に磁気センサ54が突出することはなく、磁気センサ54が他の部材の取り付けの障害となることはない。
【0051】
前記センサ設置部58,69では、該設置部58,69の前端を設置部材19の開放端に位置するよう構成したので、設置部材19を板状部材20の裏側に取り付けた状態で、センサ設置部58,69に保持した磁気センサ54の前面を板状部材20の裏面に可能な限り近接させることができ、検出感度の低い磁気センサを使用することが可能となり、コストを低減することができる。また、第1センサ設置部58の収容保持部59に対して磁気センサ54は、前側から挿脱し得ると共に、ネジ止め部66に前側から螺挿可能なネジ67を介してセンサ設置部58に位置決めし得るよう構成してある。更に、第2センサ設置部69の収容保持部70に対して磁気センサ54は、前側から挿脱し得ると共に、ネジを用いることなくセンサ設置部58に配設し得るよう構成してある。従って、板状部材20と設置部材19とを分離することで、センサ設置部58,69に対して磁気センサ54を簡単に着脱することができる。
【0052】
前記第1センサ設置部58では、該設置部58の前部に凹部65を形成することで、磁気センサ54を位置決めするネジ67の頭部67aが設置部58の前端から前側に突出しないよう構成してあるので、ネジ67の頭部67aによって板状部材20の裏面が傷付くのを防止することができる。従って、第1センサ設置部58の前端を板状部材20の裏面に当接するように該第1センサ設置部58を設けることができる。この場合に、実施例ででは球排出経路部材49に一体的に設けた第1センサ設置部58は前後方向に弾性変形可能に構成されているので、該弾性によって常に第1センサ設置部58の前端を板状部材20の裏面に当接する位置に保持することができる。すなわち、板状部材20の裏面に対する磁気センサ54の検出部の位置を一定に保持することができ、該磁気センサ54の検出感度が変化するのを防止し得る。
【0053】
前記第2センサ設置部69では、ネジを用いることなく収容保持部70に磁気センサ54を収容保持し得るよう構成すると共に、該収容保持部70に収容した磁気センサ54の前面が、該第2センサ設置部69の前端に位置するよう構成してある。従って、第2センサ設置部69に保持した磁気センサ54の前面を板状部材20の裏面に当接することができ、検出感度の低い磁気センサによって広範囲で磁気を検出することができる。また、前記始動口用球排出経路部材77に一体的に設けた第2センサ設置部69は前後方向に弾性変形可能に構成されているので、該弾性によって常に第2センサ設置部69の前端を板状部材20の裏面に当接する位置に保持することができる。すなわち、第2センサ設置部69に配設した磁気センサ54の前面を板状部材20の裏面に当接した位置に保持することができるので、該磁気センサ54の検出部の位置を板状部材20に対して一定に保持することができ、該磁気センサ54の検出感度が変化するのを防止し得る。
【0054】
(変更例)
前述した実施例の構成に限定されるものではなく、その他の構成を適宜に採用することができる。
(1) 実施例では、磁気センサを、リード片の延在方向が上下方向に沿う姿勢(縦向き姿勢)で配設したが、リード片の延在方向が板状部材の裏面に沿う姿勢であれば、リード片の延在方向が左右方向に沿う姿勢(横向き姿勢)や傾斜している姿勢で配設する構成を採用することができる。そして、磁気センサを横向き姿勢で配設した場合は、左右方向のより広い範囲での不正行為を検出することが可能となる。
(2) 実施例では、センサ設置部の収容保持部を前側に全面的に開口し、磁気センサの前面の全てを前側に露出するよう構成したが、磁気センサにおける少なくとも検出部(リード片の配設部位)が前側に露出するものであれば、一部が塞がれたものであってもよい。すなわち、収容保持部の前側に磁気センサの前方への脱落を防止する壁を設けて、該壁に検出部を露出する開口部を設ける構成を採用し得る。
(3) 実施例では、センサ設置部(第1センサ設置部)にネジを用いて磁気センサを位置決め固定するよう構成したが、固定手段として弾性変形可能なフックをセンサ設置部に設け、該フックによって磁気センサを収容保持部に収容した状態で位置決めする構成を採用し得る。また、収容保持部を画成する壁の内面に複数の突部(固定手段)を設け、収容保持部に収容した磁気センサの表面に突部を当接することで位置決めするようにしてもよい。このように収容保持部の内側に固定手段を設けることで、固定手段がセンサ設置部の前端から突出することなく磁気センサの前面をセンサ設置部の前端に位置させることができる。
【0055】
(4) 実施例では、センサ設置部を、他の機能を有する部材(球排出経路部材や始動口用球排出経路部材)に一体的に設けたが、センサ設置部を独立した部材として構成して、該センサ設置部を設置部材に取り付ける構成を採用し得る。この場合に、センサ設置部が前後方向に弾性変形可能な状態で設置部材に取り付けられる構成とすることが好ましい。
(5) 磁気センサ(センサ設置部)の配設位置は、実施例で説明した位置に限らず、ステージへパチンコ球を導入する球導入部の近傍や普通入賞口の近傍等、磁石により不正行為が行われ易い部分に対応する位置に設ける構成を採用し得ることは勿論である。
(6) 遊技盤を構成する板状部材は、木製に限らず、アクリルやポリカーボネート等の光透過性の合成樹脂材からなる透明板であってもよい。
(7) 実施例では、遊技機としてパチンコ機を例示して説明したが、これに限られるものではなく、アレンジボール機やピンボール機、スロットマシン機等の各種遊技機を採用し得る。
【符号の説明】
【0056】
19 設置部材
20 板状部材
21 遊技領域
54 磁気セン
8 第1センサ設置部(センサ設置部)
58a 開口部
59 収容保持部
65 凹部
67 ネジ(固定手段)
67a 頭部(係合部)
69 第2センサ設置部(センサ設置部)
69a 開口部
70 収容保持部
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