特許第6071862号(P6071862)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6071862
(24)【登録日】2017年1月13日
(45)【発行日】2017年2月1日
(54)【発明の名称】金属加工方法
(51)【国際特許分類】
   B23B 3/10 20060101AFI20170123BHJP
   B23B 5/00 20060101ALI20170123BHJP
   B23D 1/28 20060101ALI20170123BHJP
   B23Q 1/48 20060101ALI20170123BHJP
   B23P 23/02 20060101ALI20170123BHJP
【FI】
   B23B3/10
   B23B5/00 Z
   B23D1/28
   B23Q1/48 C
   B23P23/02 Z
【請求項の数】10
【全頁数】13
(21)【出願番号】特願2013-255786(P2013-255786)
(22)【出願日】2013年12月11日
(65)【公開番号】特開2014-121775(P2014-121775A)
(43)【公開日】2014年7月3日
【審査請求日】2014年10月31日
(31)【優先権主張番号】201210554320.2
(32)【優先日】2012年12月19日
(33)【優先権主張国】CN
(73)【特許権者】
【識別番号】513172652
【氏名又は名称】富鼎電子科技(嘉善)有限公司
(73)【特許権者】
【識別番号】500080546
【氏名又は名称】鴻海精密工業股▲ふん▼有限公司
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【弁理士】
【氏名又は名称】村山 靖彦
(74)【代理人】
【識別番号】100064908
【弁理士】
【氏名又は名称】志賀 正武
(74)【代理人】
【識別番号】100089037
【弁理士】
【氏名又は名称】渡邊 隆
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【弁理士】
【氏名又は名称】実広 信哉
(72)【発明者】
【氏名】楊 明陸
(72)【発明者】
【氏名】張 天恩
(72)【発明者】
【氏名】張 衛川
(72)【発明者】
【氏名】賈 見士
(72)【発明者】
【氏名】彭 楊茂
(72)【発明者】
【氏名】瞿 健
(72)【発明者】
【氏名】陳 封華
(72)【発明者】
【氏名】徐 振光
(72)【発明者】
【氏名】隋 景双
(72)【発明者】
【氏名】荘 大慶
(72)【発明者】
【氏名】李 傑
(72)【発明者】
【氏名】劉 誼
(72)【発明者】
【氏名】▲ウィ▼ 建民
【審査官】 山本 忠博
(56)【参考文献】
【文献】 特開2008−183666(JP,A)
【文献】 独国特許発明第102011115371(DE,B3)
【文献】 特開2000−158256(JP,A)
【文献】 特表2002−509489(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2010/0313718(US,A1)
【文献】 特開2004−130468(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2012/0312133(US,A1)
【文献】 特開2008−246594(JP,A)
【文献】 特表2000−515074(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2004/0003689(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B23B 3/00− 5/48,
B23D 1/28,
B23Q 1/00− 1/76,
B23P 23/00−23/06
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
台座と、該台座に装着されている作業台と、前記台座に対して第一方向に沿って移動可能に装着され且つ前記作業台の上方に位置する移動装置と、前記移動装置に対して前記第一方向に垂直である第二方向に沿ってスライド可能に装着される送り駆動装置と、前記送り駆動装置によって前記第一方向及び前記第二方向に垂直である第三方向に沿って移動するバイトを備える旋削送り装置と、前記移動装置に前記第一方向に垂直である前記第二方向に沿ってスライド可能に装着され、且つ前記第三方向に沿って移動可能に設置されたスクレーピングカッターを備えるスクレーピングカッター送り装置と、を備える金属加工装置を提供するステップと、
ワークを作業台に固定し、前記作業台が回転して前記ワークが回転され、前記ワークは上部と、前記上部の縁から垂直に下方に延伸する複数の側壁と、を有し、前記隣り合う2つの側壁は1つの角と接続されているステップと、
前記移動装置が前記旋削送り装置を移動させて、前記旋削送り装置が前記ワークの上部に接触するステップと、
前記作業台を前記ワークと共に、前記第三方向の軸の回りで回転させるステップと、
前記旋削送り装置が前記バイトを前記ワークに対して前記移動装置による前記第一方向の移動及び前記送り駆動装置による前記第二方向の移動よりも高速で前記第三方向に移動可能に制御し、前記移動装置が旋削送り装置を前記作業台に対して前記第一方向及び前記第二方向に平行な面に沿って移動させて、前記ワークの上部に対して切削加工を行うステップと、
前記作業台の回転を停止し、且つ前記バイトを前記作業台から離して停止させるステップと、
前記移動装置が前記スクレーピングカッター送り装置を前記ワークの側壁に移動させるステップと、
前記スクレーピングカッター送り装置が前記作業台に対して前記第一方向及び前記第二方向に平行な面に沿って移動し、且つ前記スクレーピングカッターが前記ワークの側壁に対する切り込み量を制御して、前記ワークの側壁を加工するステップと、
前記スクレーピングカッター送り装置が前記スクレーピングカッターを予定の経路に沿って前記ワークの縁部に移動させ、前記ワークの縁部に対する切削加工を行うステップと、
を備えることを特徴とする金属加工方法。
【請求項2】
前記スクレーピングカッター送り装置は、リニア駆動機構を備え、前記ワークは角があり、前記スクレーピングカッター送り装置が前記スクレーピングカッターの送り量を制御して前記ワークの側壁を加工するステップは、前記スクレーピングカッターが、前記リニア駆動機構が前記スクレーピングカッターを駆動して、前記スクレーピングカッターが前記角の予定の形状に沿って回転し、前記角の表面を切削するステップを備えることを特徴とする請求項1に記載の金属加工方法。
【請求項3】
前記移動装置が前記スクレーピングカッター送り装置を前記ワークの側壁に移動させるステップは、
前記スクレーピングカッター送り装置が前記ワークの側壁の外壁に移動すると、前記スクレーピングカッター送り装置が前記スクレーピングカッターを駆動させて前記第三方向に沿って移動し、且つ前記スクレーピングカッターが前記ワークの側壁の外壁のある位置に移動するステップを備えることを特徴とする請求項1から2のいずれか1項に記載の金属加工方法。
【請求項4】
前記旋削送り装置は、滑動板及び固定座をさらに備え、前記滑動板は前記移動装置に前記第二方向に沿って装着され、前記固定座は前記滑動板に装着され、前記送り駆動装置及び前記バイトは前記固定座に装着され、前記スクレーピングカッター送り装置は、前記滑動板の前記固定座に隣接するように設置され、前記第三方向に沿ってスライドすることを特徴とする請求項3に記載の金属加工方法。
【請求項5】
前記リニア駆動機構は、駆動部材と、ウォームと、ナットと、を備え、前記駆動部材は前記横梁の上方に位置するように前記滑動板に装着されて、前記スクレーピングカッター送り装置は、連接板を備え、前記滑動板はインストールブロックを備え、前記ウォーム両端は、前記駆動部材と前記インストールブロックとにそれぞれ回転可能に接続され、前記ナットは前記ウォームと組み合わされ、且つ前記連接板に固定され、前記回転駆動部材は、前記連接板に固定されることを特徴とする請求項4に記載の金属加工方法。
【請求項6】
前記滑動板には、前記第三方向に沿ってガイド部が設けられ、前記連接板と前記ガイド部とはスライド可能に接続されることを特徴とする請求項5に記載の金属加工方法。
【請求項7】
前記旋削送り装置は、バイトホルダを備え、前記固定座には、前記第三方向に沿って第一ガイドレールが設置され、前記バイトホルダは前記第一ガイドレールにスライド可能に設置され、前記バイトは前記固定座と前記バイトホルダとに接続されることを特徴とする請求項1から6のいずれか1項に記載の金属加工方法。
【請求項8】
前記バイトホルダは、主体及び前記主体に突設しているスライド板を備え、前記スライド板の主体と離れている一端は、前記固定座に挿入されて、前記第一ガイドレールとスライド可能に接続され、前記主体は前記固定座の外側に設置され、且つ前記バイトと固定されることを特徴とする請求項7に記載の金属加工方法。
【請求項9】
前記送り駆動装置は、1つの可動子及び1つの固定子を備え、前記可動子は前記固定座に設置され、前記固定子は前記スライド板に設置されることを特徴とする請求項7に記載の金属加工方法。
【請求項10】
台座と、該台座に装着されている作業台と、前記台座に対して第一方向に沿って移動可能に装着され且つ前記作業台の上方に位置する移動装置と、前記移動装置に対して前記第一方向に垂直である第二方向に沿ってスライド可能に装着される送り駆動装置と、前記送り駆動装置によって前記第一方向及び前記第二方向に垂直である第三方向に沿って移動するバイトを備える旋削送り装置と、前記移動装置に前記第一方向に垂直である前記第二方向に沿ってスライド可能に装着され、且つ前記第三方向に沿って移動可能に設置されたスクレーピングカッターを備えるスクレーピングカッター送り装置と、を備える金属加工装置を提供するステップと、
ワークを作業台に固定し、前記ワークは上部と、前記上部の縁から垂直に下方に延伸する複数の側壁と、を有し、前記隣り合う2つの側壁は1つの角と接続されているステップと、
前記移動装置が前記スクレーピングカッター送り装置を移動させて、前記スクレーピングカッター送り装置が前記ワークの側壁に接触するステップと、
前記スクレーピングカッター送り装置が前記スクレーピングカッターを予定の経路に沿って前記ワークの縁部に移動させ、前記ワークの縁部に対する切削加工を行うステップと、
前記作業台の回転を停止し、且つ前記スクレーピングカッターを前記作業台から離して停止させるステップと、
前記移動装置が前記旋削送り装置を移動させて、前記旋削送り装置のバイトが前記ワークの上部に接触するステップと、
前記作業台を前記ワークと共に前記第三方向の軸の回りで回転させるステップと、
前記旋削送り装置が前記バイトを前記ワークに対して前記移動装置による前記第一方向の移動及び前記送り駆動装置により前記第二方向の移動よりも高速で前記第三方向に移動可能に制御し、前記移動装置が旋削送り装置を前記作業台に対して前記第一方向及び前記第二方向に平行な面に沿って移動させて、前記ワークの上部に対して切削加工を行うステップと、
を備えることを特徴とする金属加工方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、旋削とミリングによる金属加工方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
タブレットパソコン、携帯電話等の電子装置はワークを使用してケースを製造する場合がある。一般的に、該ワークは上部とその上部の縁から垂直に延伸する側壁を有する。前記ワークの上部の上面は湾曲しており、その上面の面積は側壁よりも比較的大きい。側壁は4つの側面と4つの角を有し、4つの側面は順に連接され、角は1つずつ左右に近接した2つの側面に接続されている。機械加工領域において、普段、ミリングによって金属加工を行う。しかし、ミリングはワークの上部を連続して加工することができず、上面に亀裂等が発生するためワークの平滑度が低い。従って、引き続き一連の表面処理を行って、上面の平滑度を高めなければならずワークの加工効率は低い。もしくは、旋削を採用してワークを加工する。しかしこのワークは4つの角を備えるため、旋削はその4つの角を加工することができない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
以上の問題点に鑑みて、本発明は、金属加工の効率及びワークの平滑度を向上することができる金属加工方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0004】
前記課題を解決するために、本発明に係る金属加工方法は、台座と、該台座に装着されている作業台と、前記台座に対して第一方向に沿って移動可能に装着され、且つ前記作業台の上方に位置する移動装置と、前記移動装置に前記第一方向に垂直である第二方向に沿ってスライド可能に装着される送り駆動装置と、前記送り駆動装置によって前記第一方向及び前記第二方向に垂直である第三方向に沿って移動するバイトを備える旋削送り装置と、前記移動装置に前記第一方向に垂直である前記第二方向に沿ってスライド可能に装着され、且つ前記第三方向に沿って移動可能に設置されたスクレーピングカッターを備えるスクレーピングカッター送り装置と、を備える金属加工装置を提供するステップと、ワークを作業台に固定し、前記ワークが上部と、前記上部の縁から垂直に下方に延伸する側壁と、を有するステップと、前記移動装置が前記旋削送り装置を移動させて、前記旋削送り装置が前記ワークの上部に接触するステップと、前記作業台を前記ワークと共に前記第三方向の軸の回りで回転させるステップと、前記旋削送り装置が前記バイトを前記ワークに対して前記第三方向の軸回りに高速で前記第三方向に往復移動するように制御して、回転する前記ワークの上部を加工するステップと、前記移動装置が旋削送り装置を前記作業台に対して平行移動させて、前記ワークの上部に対して切削加工を行うステップと、前記作業台の回転を停止し、且つ前記バイトを前記作業台から離して停止させるステップと、前記移動装置が前記スクレーピングカッター送り装置を前記ワークの側壁に移動させるステップと、前記スクレーピングカッター送り装置が前記作業台に対して平行移動し、且つ前記スクレーピングカッターの送り量を制御して、前記ワークの側壁を加工するステップと、前記スクレーピングカッター送り装置が前記スクレーピングカッターを予定の経路に沿って前記ワークの端部に移動させ、前記ワークの端部に対する切削加工を行うステップと、を備える。
【0005】
前記課題を解決するために、本発明に係る金属加工方法は、台座と、該台座に装着されている作業台と、前記台座に対して第一方向に沿って移動可能に装着され、且つ前記作業台の上方に位置する移動装置と、前記移動装置に前記第一方向に垂直である第二方向に沿ってスライド可能に装着される送り駆動装置と、前記送り駆動装置によって前記第一方向及び前記第二方向に垂直である第三方向に沿って移動するバイトを備える旋削送り装置と、前記移動装置に前記第一方向に垂直である前記第二方向に沿ってスライド可能に装着され、且つ前記第三方向に沿って移動可能に設置されたスクレーピングカッターを備えるスクレーピングカッター送り装置と、を備える金属加工装置を提供するステップと、ワークを作業台に固定し、前記ワークは上部と、前記上部の縁から垂直に下方に延伸する側壁と、を有するステップと、前記移動装置が前記スクレーピングカッター送り装置を移動させて、前記スクレーピングカッター送り装置が前記ワークの側壁に接触するステップと、前記スクレーピングカッター送り装置が前記スクレーピングカッターを予定の経路に沿って前記ワークの端部に移動させ、前記ワークの端部に対する切削加工を行うステップと、前記作業台の回転を停止し、且つ前記バイトを前記作業台から離して停止させるステップと、前記移動装置が前記旋削送り装置を移動させて、前記旋削送り装置が前記ワークの上部に接触するステップと、前記作業台を前記ワークと共に前記第三方向の軸の回りで回転させるステップと、前記旋削送り装置が前記バイトを前記ワークに対して前記第三方向の軸回りに高速で前記第三方向に往復移動するように制御して、回転する前記ワークの上部を加工するステップと、前記移動装置が旋削送り装置を前記作業台に対して平行移動させて、前記ワークの上部に対して切削加工を行うステップと、を備える。
【発明の効果】
【0006】
本発明に係る金属加工方法は、作業台の回転と、旋削送り装置の高速の往復移動が組み合わさり、同時に、旋削送り装置が作業台に対してY軸方向に沿って平行移動させて、連続的にワークを加工するので、旋削されたワークの表面の平滑度を高めることができる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1】本発明に係る第一実施形態の金属加工装置の斜視図である。
図2図1に示した金属加工装置の分解図である。
図3図2に示した金属加工装置の旋削送り装置及びスクレーピングカッター送り装置の斜視図である。
図4図3に示した金属加工装置の旋削送り装置の分解図である。
図5図1に示した金属加工装置によって非回転曲面が加工されたワークの斜視図である。
図6図5に示した待加工のワークのVI−VI線に沿った断面図である。
図7】本発明に係る金属加工方法の流れ図である。
図8】本発明に係る第二実施形態の金属加工装置の一部の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、図面に基づいて、本発明に係る金属加工方法について詳細に説明する。
【0009】
図1及び図2を参照すると、本発明に係る第一実施形態の金属加工装置100は、第一実施形態の金属加工方法を採用してワーク300を複合加工することに用いられる。金属加工装置100は、台座10と、台座10に装着され、且つワーク300を固定するための作業台20と、台座10に移動可能に装着され、且つ作業台20の上方に位置する移動装置30と、移動装置30にスライド可能に装着されている旋削送り装置40及びスクレーピングカッター送り装置50と、作業台20、移動装置30、旋削送り装置40及びスクレーピングカッター送り装置50に電気接続されている制御装置60と、を備える。移動装置30は、この制御装置60の命令に基づいて、旋削送り装置40及びスクレーピングカッター送り装置50を連動してX軸方向(第一方向)/Y軸方向(第二方向)に沿って移動させる。
【0010】
台座10は、基底部11と、基底部11上に互いに間隔をあけて、且つ該基底部11に対して平行に設置されている2つの支持体13と、を備える。各支持体13の前記基底部11から離れている端面には、平行に、且つ間隔をあけて2つの第一レール131が設置されている。本実施形態において、この2つの第一レール131はX軸方向に沿って延伸している。
【0011】
作業台20は、基底部11に回転可能に装着され、且つ2つの取り付け部21と、第一駆動部材23と、回転軸25と、第二駆動部材27と、を備える。2つの取り付け部21は基底部11の略中央にそれぞれ位置し、且つ2つの支持体13の間に間隔をあけて設置されている。第一駆動部材23は1つの取り付け部21に設置されている。回転軸25は第一駆動部材23ともう一つの取り付け部21とに接続されている。第一駆動部材23は回転軸25をY軸方向と平行なα軸回り(つまり、第二方向と平行する方向)に回転させる。第二駆動部材27は回転軸25上の略中央に設置され、且つワーク300を連動してZ軸方向(第一方向と第二方向と垂直する第三方向)と平行なβ軸回りに回転させる。第一駆動部材23と第二駆動部材27とは、制御装置60にそれぞれ電気接続されている。本実施形態において、第一駆動部材23及び第二駆動部材27は、ダイレクトドライブモータ(Direct Drive Motor)である。
【0012】
移動装置30は、2つの支持体13上にスライド可能に装着されている。該移動装置30は、その長手方向が2つの支持体13の長手方向に垂直になるように作業台20の上方に位置している。移動装置30は、横梁31と、横梁31の両端に形成され、且つ2つの支持体13にスライド可能にそれぞれ結合されるスライド台33と、スライド台33に装着されている第一駆動アセンブリ35と、横梁31に装着されている第二駆動アセンブリ37と、を備える。横梁31は、Y軸方向に沿って延伸している。また、横梁31には、互いに平行する2つの第二レール311が形成されている。各スライド台33は第一レール131にスライド可能にそれぞれ結合される。第一駆動アセンブリ35はスライド台33の横梁31から離れる側の端面に設けられ、且つ支持体13に結合される。第一駆動アセンブリ35は第一レール131の一端に近接し、且つ横梁31を支持体13に対してX軸方向に沿って移動させることができる。第二駆動アセンブリ37は、横梁31の2つの第二レール311の間に固定され、且つ旋削送り装置40及びスクレーピングカッター送り装置50を駆動して第二レール311の長手方向(即ち、Y軸方向)に沿って移動させる。第一駆動アセンブリ35と第二駆動アセンブリ37とは制御装置60にそれぞれ電気接続されている。本実施形態において、第一駆動アセンブリ35及び第二駆動アセンブリ37は、全て高性能のリニアモータである。他の実施形態において、第一駆動アセンブリ35及び第二駆動アセンブリ37は、他の駆動部材でも良い。また、第一駆動アセンブリ35及び第二駆動アセンブリ37の数は、実際の必要に応じて設定することができる。
【0013】
図3及び図4を併せて参照すると、旋削送り装置40は、滑動板41と、固定座43と、バイトホルダ45と、送り駆動装置47と、バイト49と、を備える。滑動板41は横梁31の第二レール311にスライド可能に結合される。滑動板41は第二駆動アセンブリ37によってY軸方向に沿って旋削送り装置40及びスクレーピングカッター装置50を駆動させる。滑動板41の横梁31から離れている側の側面には4つのガイド部413がZ軸方向に沿って設置されている。4つのガイド部413は2つのグループに分けられており、1つのグループに2つのガイド部413を有し、且つその2つのグループは互いに間隔をあけて設置されている。滑動板41は基底部11に近接する部分に突設されたインストールブロック415をさらに備える。インストールブロック415は2つのグループのガイド部413の間に位置する。固定座43は滑動板41のガイド部413から離れている一側に固定される。固定座43は、両側に開口が設けられている筐体431と、該筐体431の両側に装着された2つの装着板433とを備える。筐体431における滑動板41に近接する内側面には、Z軸方向に沿って2つの第一ガイドレール4317が設置されている。また、筐体431における滑動板41から離れている側の外側面には、第一ガイドレール4317と対応する位置に、ガイド凹部4318が設けられている。ガイド凹部4318の両側には、2つの第二ガイドレール4319が設置されている。2つの装着板433は、筐体431を封鎖するように筐体431の両側に固定された後、滑動板41に設置される。
【0014】
バイトホルダ45は、主体451と、該主体451の長手方向に沿って、且つ短手方向の略中央部から該主体451に対して垂直に突設しているスライド板453と、を備える。主体451のスライド板453が位置する面には、スライダー4511が設置されている。スライド板453は、ガイド凹部4318から筐体431内に挿入されて、第一ガイドレール4317にスライド可能に設置される。この時、主体451は筐体431の外部に位置し、スライダー4511は、第二ガイドレール4319にスライド可能に設置される。
【0015】
2つの送り駆動装置47は、固定座43内にそれぞれ装着され、且つ制御装置60にそれぞれ電気接続される。送り駆動装置47は2つの駆動モジュール471を備える。2つの駆動モジュール471は、バイトホルダ45を第一ガイドレール4317及び第二ガイドレール4319に沿って高速で駆動させる。本実施形態において、駆動モジュール471は、高性能のリニアモータである。各駆動モジュール471は、可動子4711及び固定子4713を備える。可動子4711は、装着板433の筐体431の内部に向かう面に固定される。また、駆動モジュール471の数は2つに限定されず、必要に応じて選択できる。例えば、送り駆動モジュール471は、1つの駆動モジュール471或いは3つの駆動モジュール471を採用することができる。バイト49は、主体451における基底部11に近接する一端に固定される。このバイト49はワーク300の上部301を加工する。
【0016】
スクレーピングカッター送り装置50は、リニア駆動機構53と、連接板54と、固定板55と、取り付け板56と、回転駆動部材57と、スクレーピングカッター59と、を備える。リニア駆動機構53は、駆動部材531と、ウォーム533と、ナット535と、を備える。駆動部材531は横梁31の上方に位置するように滑動板41に装着されている。ウォーム533の両端は駆動部材531とインストールブロック415とにそれぞれ回転可能に接続される。ナット535はウォーム533と組み合わされ、且つ連接板54に固定される。連接板54は、ガイド部413にスライド可能に設置されるように滑動板41に装着される。固定板55は、連接板54の基底部11近接する一端に設置され、取り付け板56は連接板54の基底部11の別の一端に設置され、且つ固定板55と対向する。回転駆動部材57は、固定板55と取り付け板56とを通過し、固定板55に固定される。スクレーピングカッター59は、回転駆動部材57の基底部11に近接する一端に設置される。駆動部材531はウォーム533によって、連接板54、回転駆動部材57及びスクレーピングカッター59をガイド部413に対してZ軸と平行な方向に沿って駆動させる。回転駆動部材57はスクレーピングカッター59をZ軸と平行な軸線回りに回転させる。スクレーピングカッター59は滑動板41によって、X軸及びY軸と平行な方向に沿って移動することができ、且つリニア駆動機構53によってZ軸と平行な方向に沿って往復移動することができる。制御装置60は台座10に装着される。
【0017】
金属加工装置100を組み立てる際、先ず、作業台20を2つの支持体13の間に装着した後、横梁31をスライド台33を介して2つの支持体13にスライド可能に設置する。次に、第一駆動アセンブリ35をスライド台33と支持体13とに装着し、第二駆動アセンブリ37を横梁31に装着する。次に、旋削送り装置40及びスクレーピングカッター送り装置50を横梁31に並列して装着する。制御装置60を台座10に装着して、続いて制御装置60を、作業台20と、第一駆動アセンブリ35と、第二駆動アセンブリ37と、旋削送り装置40と、スクレーピングカッター送り装置50と、に電気的に接続する。
【0018】
図5及び図6を参照すると、ワーク300はタブレットパソコン、携帯電話等の電子装置のケースであり、略矩形のブロック状を呈している。ワーク300は、上部301と、上部301の縁から垂直に延伸している側壁303と、を有する。上部301の面積は側壁303よりも大きい。本実施形態において、上部301の上面は湾曲している。側壁303の上部301から離れる側の端面は略平面であり、且つ4つの側面3031及び4つの角3033を有する。4つの側面3031は順に連接され、角3033は1つずつ左右に近接する2つの側面3031に接続されている。ワーク300の加工を必要とする部分は、上部301と、上部301の縁から垂直に延伸している側壁303である。
【0019】
図7に示したように、本実施形態の金属加工方法は以下のステップS101〜S109を備える。
【0020】
ステップS101において、金属加工装置100を提供する。金属加工装置100は、台座10と、作業台20と、移動装置30と、旋削送り装置40と、スクレーピングカッター送り装置50と、制御装置60と、を備える。旋削送り装置40はバイト49を備える。スクレーピングカッター送り装置50はスクレーピングカッター59を備える。
【0021】
ステップS102において、ワーク300を提供し、ワーク300を作業台20に固定する。ワーク300は上部301と、上部301の縁から垂直に下方に延伸する側壁303とを有する。
【0022】
ステップS103において、第二駆動部材27は、旋削送り装置40をY軸方向に沿って駆動させて、ワーク300の上方に移動する。
【0023】
ステップS104において、第二駆動部材27はワーク300をβ軸回りに回転させる。
【0024】
ステップS105において、送り駆動装置47がバイト49を駆動させ、バイト49がワーク300の上部301に必要な切削量に基づいて、回転しているワーク300の上部301に対するZ軸に沿う送り量によって高速で往復移動して加工を行う。
【0025】
ステップS106において、制御装置60は、移動装置30がバイト49をX軸方向に沿って移動させるように制御して、回転しているワーク300をラジアル方向に移動させ、且つワーク300の上部301に対する切削加工を行う。
【0026】
ステップS107において、第二駆動部材27はワーク300のβ軸回りの回転を停止し、ワーク300の回転を停止し、且つ旋削送り装置40はバイト49を連動して該バイト49を作業台20から離して停止させる。
【0027】
ステップS108において、移動装置30がスクレーピングカッター送り装置50をワーク300の端部に移動させる。本実施形態において、制御装置60は、第一駆動アセンブリ35、第二駆動アセンブリ37、スクレーピングカッター送り装置50、及びリニア駆動機構53を制御して、第一駆動アセンブリ35、第二駆動アセンブリ37を滑動板41に沿って平行移動させ、スクレーピングカッター送り装置50はワーク300の側面3031に移動し、リニア駆動機構53はスクレーピングカッター59をZ方向に沿ってワーク300の側面3031のある位置に移動させる。
【0028】
ステップS109において、スクレーピングカッター送り装置50は、スクレーピングカッター59を予定の経路に沿ってワーク300の端部に移動させ、ワーク300の端部に対する切削加工を行う。本実施形態において、制御装置60は、移動装置30がスクレーピングカッター59を予定の経路に沿ってワーク300の端部に移動させるように制御して、ワーク300の端部に対して高速で切削加工を行う。この際、ワーク300の角に達すると、回転駆動部材57はスクレーピングカッター59を駆動して、ワーク300の角の表面に沿って回転し、スクレーピングカッター59はワーク300の角の表面に対する切削加工を行う。
【0029】
また、スクレーピングカッター送り装置50のスクレーピングカッター59によってワーク300の側壁303と側壁303の端部を切削した後、旋削送り装置40のバイト49を利用してワーク300の上部301を加工することもできる。また、スクレーピングカッター送り装置50を滑動板41に設置しなくても良い。この際、独立した滑動板を設置し、該滑動板を横梁31の第二レール311に設置し、送り駆動装置47が直接にバイト49を駆動して、バイト49がZ軸方向に移動し、且つ高速で往復移動するように制御する。
【0030】
リニア駆動機構53の駆動部材531及びウォーム533は、別の駆動機構に交換することができる。例えば、直線運動するシリンダーに交換し、シリンダーをスライド可能に第二レール311に設置し、回転駆動部材57をシリンダーの駆動軸に固定する。これにより、スクレーピングカッター送り装置50は、連接板54を省略することができる。
【0031】
作業台20は、1つの回転駆動部材を基底部11に設置して、ただβ軸回りのみに回転することもできる。
【0032】
また、作業台20を多軸の作業台に設置し、ワーク300を連動させて多軸移動を行うことで、容易にワーク300の多方面を加工することができる。
【0033】
図8を参照すると、第二実施形態の金属加工装置は第一実施形態の金属加工方法を採用する。第二実施形態の金属加工装置は前記金属加工装置100の構造に類似するが、異なる部分は、旋削送り装置(図示せず)が更にリニア駆動機構(図示せず)に隣接し、且つ滑動板41aに固定された旋削駆動機構(図示せず)を備えることである。滑動板41aは、スライド可能に横梁31aに設置され、固定座43aは滑動板41aとスライド可能に接続される。旋削駆動機構は固定座43aを駆動して、バイトホルダ45及びバイト49aは横梁31aに対してZ軸のZ1方向に沿って移動し、旋削送り装置40はZ1方向に沿って定位される。これにより、異なるサイズのワーク300を加工することができる。ワーク300は、回転可能に回転軸(図示せず)に設置された第二駆動部材27aに定位される。
【0034】
第二実施形態の金属加工方法において、バイト49aはワーク300に対して初期位置に達した直後に、固定座43aはバイト49aを連動して滑動板41aに対してZ1軸方向に沿って移動する。この時、バイト49aは上部301に対して初期位置に近接する次の位置に達する。その後、送り駆動装置47はバイト49aをワーク300の上部301に対してZ軸方向に沿って駆動させる。
【0035】
本発明に係る金属加工方法は、移動装置30がX軸方向及びY軸方向に沿って移動し、旋削送り装置40を介してZ軸方向に沿って、高速で往復移動して、三次元曲面を有する上部301に対する旋削加工を行い、スクレーピングカッター送り装置50を介してワーク300の側壁303に対して切削加工を行い、一回でワーク300の全ての加工面を加工するので加工時間を節約することができる。また、作業台20の回転と、旋削送り装置40の高速の往復移動が組み合わさり、同時に、旋削送り装置40が作業台20に対してY軸方向に沿って平行移動させて、連続的にワーク300を加工するので、旋削されたワーク300の表面の平滑度を高め、また、ワーク300の角3033を加工する際、回転駆動部材57がスクレーピングカッター59を回転させて、スクレーピングカッター59が角3033の表面に沿って移動して、角3033の表面を切削するので、角3031の加工精度を高めることができる。
【符号の説明】
【0036】
100 金属加工装置
10 台座
11 基底部
13 支持体
131 第一レール
20 作業台
21 取り付け部
23 第一駆動部材
25 回転軸
27、27a 第二駆動部材
30 移動装置
31、31a 横梁
311 第二レール
33 スライド台
35 第一駆動アセンブリ
37 第二駆動アセンブリ
300 ワーク
301 上部
303 側壁
3031 側面
3033 角
40 旋削送り装置
41、41a 滑動板
413 ガイド部
415 インストールブロック
43、43a 固定座
431 筐体
4317 第一ガイドレール
4318 ガイド凹部
4319 第二ガイドレール
433 装着板
45 バイトホルダ
451 主体
4511 スライダー
453 スライド板
4531 ガイド部
47 送り駆動装置
471 駆動モジュール
4711 可動子
4713 固定子
49、49a バイト
50 スクレーピングカッター送り装置
53 リニア駆動機構
531 駆動部材
533 ウォーム
535 ナット
54 連接板
55 固定板
56 取り付け板
57 回転駆動部材
59 スクレーピングカッター
60 制御装置
図7
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図8