(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記ハウジング(8)に対して回転可能に収容されるポートベルト(15)をさらに備え、前記ポートベルト(15)が、前記ハウジング(8)内の前記複数のポート(16)に対応するスロットを備える、請求項8から10の一項に記載の回転機械。
前記第1の回転軸(3)の周りに前記ロータ(2)の角速度の半分の角速度で回転するように構成されている2つのポートベルト(15a、15b)を前記ロータ(2)の一方の側に備え、かつ、関連する出口ポート(16a)および入口ポート(16b)を備える、請求項8から14の一項に記載の回転機械。
前記発電機が固定子部分および回転子部分を備え、前記回転子部分が前記ロータを介して駆動され、前記固定子部分が当該回転機械の前記ハウジングに取り付けられる、請求項1から17のいずれか一項に記載の回転機械。
【発明を実施するための形態】
【0011】
本発明による回転機械の実施形態は、圧縮および減圧をコンパクトに、かつ、効率的にすることができる新しい三次元機構を使用して説明することができる。この機構には、球形の形状、並進および回転が使用されており、STaR機構(球形、並進および回転)と呼ばれている。さらに、STaR機構の様々な実施形態を動作させるための方法について説明する。
【0012】
新しいSTaR機構についての説明に引き続いて、入口ポート、フラッシュポートおよび出口ポートが追加された他の実施形態について同じく詳細に説明する。これらは、STaR機構と相俟って、タービン、圧縮機、ポンプ、燃焼機関および発電機の新しい世代の構築の基礎を形成している。
【0013】
上で示したように、STaR機構は、とりわけ現在のピストン/クランク軸およびヴァンケル構造に対する有効な置換として使用することができる。現在のピストン/クランク軸機関と比較したこの新しいSTaR機構の利点は、とりわけ、
1. コンパクトで、寸法が小さく、したがってより小さい機関を構築することができること
2. 回転が利用されるため、コンポーネント間のエネルギー伝達が小さい。したがってコンポーネントをより軽くし、および/または回転速度をより速くすることができること
3. 振動が小さいため、回転は、現在の機関には当たり前の揺れおよび振動を著しく回避すること
である。
【0014】
ヴァンケルエンジンと比較したこの新しいSTaR機構の追加利点は、
A. 漏れの原因になる点のような接続が回転ピストンとドラム壁との間に存在しないこと
B. 燃焼チャンバーの形状により、速やかな膨張が可能であり、したがって高温および高温に関連する熱ならびにエネルギー損失が防止されること
である。
【0015】
本発明の実施形態は、現在の燃焼機関より高い効率を達成することができる。
【0016】
本出願で説明されているSTaR機構は、発電機エレメントを組み込むことができる。発電機の固定子つまり固定部分はSTaRハウジングの中に組み込むことができる。発電機の回転子つまり回転部分はSTaRロータの中に組み込むことができる。
【0017】
例えばガス流または液体流および/または燃焼によってSTaR機構を駆動することにより、ロータの回転によって電力を生成することができる。それとは逆に、電力によってSTaR機構のロータを駆動することも可能である。したがって例えばコンパクトなポンプまたは圧縮機を構築することができる。
【0018】
両方の形態が使用される一例示的用途は、固定子エレメントおよび回転子エレメントが追加されたSTaR燃焼機関である。このSTaR燃焼機関によれば、機関を起動した後、電力を取り出すことができ、これは例えばコンパクトなレンジエキスパンダの構築に理想的である。
【0019】
図1は、回転機械の第1の実施形態の三次元図を示したものであり、また、
図2は断面図である。三次元STaR機構の基本原理は、いずれも球形方式で回転する2つの相互作用円板2、4によって形成される。円板形ロータ2(この説明の以下の部分ではロータ円板とも呼ばれている)および実質的に円板形のスイングエレメント4(この説明の以下の部分ではスインガー円板とも呼ばれている)は、それぞれ個々の回転軸(それぞれ第1の回転軸3および第2の回転軸5、以下参照)を有しており、これらは、漏れ点を防止するために接続ボディ6(この説明の以下の部分ではジョイナーとも呼ばれている)によって互いに接続されている。アセンブリは、ロータ2およびスイングエレメント4を取り囲み、それらと相俟って4つの(減)圧縮チャンバーを形成する実質的に球形のハウジング8内に密閉されている。この機構は、ハウジング8、ロータ円板2、スインガー円板4およびジョイナー6と共に合計4つの回転圧縮/減圧チャンバーを形成しており、コンパクトで、かつ、効率的なタービン、圧縮機、ポンプおよび電動機を構築するのに適している。
【0020】
図1には、説明を目的として配向平面1が示されており、この平面は、
図2の断面図の平面でもある。ロータ円板2は、円板形ロータ2の平面に対して直角で、かつ、配向平面1に存在している(仮想の)第1の回転軸3の周りに回転する。ロータ円板2は、ロータ円板2とスインガー円板4とを互いに結合するジョイナー6を収容する開口を中央に備えている。スインガー円板4は、スインガー4自体の平面および配向平面1に存在している第2の回転軸5の周りに回転し、第2の回転軸5は、配向平面1の第1の回転軸3と角度αを成している。スインガー円板4の平面は固体表面を有しており、ロータ円板2と交差している。
【0021】
円板形ロータ2および円板形スイングエレメント4は、様々な(減)圧縮チャンバー間の漏れを防止するためにジョイナー6によって互いに接続されている。ジョイナーは、ロータ2とスイングエレメント4とを互いに対してスライド可能にハウジング8内に配置している。
図1および
図2に示されている実施形態では、ジョイナー6は、ロータ2の平面に存在している回転軸7と回転対称である。ジョイナー6はスインガー円板4と交差し、例えばスインガー円板4の両側に2つの全く同じ部分を備える。
【0022】
アセンブリは球形ハウジング8によって密閉され、ロータ円板2、ジョイナー6およびスインガー円板4が回転すると連続的に膨張および圧縮する4つのチャンバーが形成される。圧縮比は、ロータ軸3とスインガー軸5との間の角度α、ロータ円板2の厚さ、スインガー円板4の厚さおよびジョイナー6の直径で決まる。
【0023】
ロータ円板2、スインガー円板4およびジョイナー6の重心は密閉ハウジング8の中心に存在している。したがって回転によって生じる遠心力による結合面に対する圧力および摩擦が防止される。
【0024】
円板2、4の厚さおよびジョイナー6の壁の厚さは任意に選択することができ、それらは、幅全体にわたって互いに隣接し、圧縮および減圧の際の潜在的な漏れを形成することになる点のような接続を形成することはない。
【0025】
図1および
図2に示されている実施形態では、接続ボディ6は、長手方向軸7を有する実質的に円筒状のボディである。接続ボディ6は、スイングエレメント4を中にスライド可能に収容するためのスロット形(または長方形)の開口2aを備えており(
図2に示されているように)、また、長手方向軸7と同軸で、かつ、ロータ2とスライド可能に接触している外部表面を備えている。そのために、この実施形態ではロータ2は、接続ボディ6を移動させることができる長方形の開口2bを備えている。接続ボディ6の長手方向軸7はロータ2の平面に存在している。上で既に言及したように、接続ボディ6は、(減)圧縮チャンバーの良好で、かつ、信頼性の高い密閉を保証している。様々なエレメントの有限寸法により、点のような密閉(例えばヴァンケルエンジンにおけるような)の代わりに平面密閉が得られる。球形ハウジング8内の接続ボディ6はロータ2と共に共回転する。
図1および
図2に示されている実施形態では、接続ボディ6の端部は、ハウジング8の内部曲率と全く同じ曲率を有する環状面を備える。
【0026】
ロータ2と、スイングエレメント4と、接続ボディ6との間の相互(スライド可能)接続により、また、第1の配向軸3および第2の配向軸5が固定配向されているため、ロータ平面に固定されているジョイナー6は、ロータ2のそのロータ平面内の回転に応じて運ばれる。ジョイナー6はスインガー円板4に沿って順番に運ぶ。この場合、ジョイナー6は、自身の軸7の周りに回転し、スインガー円板4をジョイナー6を介してスライドさせ、したがってロータ平面を介してスライドさせる。この方法によれば、ロータ2の各々の側に2つのチャンバーが形成され、回転すると、以下の表に従って圧縮および膨張が交互に生じる。
【表1】
【0027】
コンパクトなSTaR機構を利用することにより、また、固定子エレメントおよび回転子エレメントをハウジングおよびロータ内に組み込むことにより、ロータを駆動手段として使用してコンパクトな電気STaRシステムが製造される。それに対して、スインガー軸(第2の回転軸5)を使用して他の装置と結合する場合、個々の機能を備えた、より多くの空間を必要とする個々のシステムが製造される。
【0028】
さらに、古典的な動力学では、駆動目的のためにはロータ円板2の方がスインガー円板4より好ましい。以下の式は、スインガー円板4の加速および減速に必要なエネルギー伝達がより少なく、したがってコンポーネント間のエネルギー伝達が少なくなることを示している。この選択の結果、より軽い構造および/またはより速い回転速度が可能である。
【0029】
− 基本STaRバージョンにおける駆動のためのロータ円板2
自身の平面に対して直角の対称軸(第1の回転軸3)の周りに回転するロータ円板2の慣性モーメントは、
【数1】
【0031】
自身の平面に存在している対称軸(第2の回転軸5)の周りに回転するスインガー円板4の慣性モーメントは、
【数2】
【0033】
式中、Iは慣性モーメントを表しており、Mは質量を表し、Rは半径を表し、また、Dは円板2、4の厚さである。
【0034】
厚さDは半径Rより小さく、したがってスインガー円板4の慣性モーメントは、ロータ円板2の慣性モーメントの半分よりわずかに大きい。
【0035】
圧縮比は、仮想ロータ軸3とスインガー軸5との間の角度α、ロータ円板2の厚さ、スインガー円板4の厚さおよびジョイナー6の直径で決まる。角度αは、ロータ円板2と、スインガー円板4と、ジョイナー6との間のエネルギー伝達の大きさのため、過度に大きくしてはならない。
【0036】
限られた角度αで十分に大きい圧縮を達成することができるようにするためには、チャンバーの体積を同じ値だけ小さくしなければならない。これは様々な方法、
− ロータ円板2を広くすることによって
− ロータ円板2の半径を拡張することによって
− スインガー円板4およびスインガー軸5の外側のハウジング8の周囲の内側に蓋をかぶせることによって
実施することができる。
【0037】
さらに、燃焼時における燃料混合物との有効接触表面がより広くなるため、蓋をかぶせることなく半径を拡張することが好ましい。
【0038】
したがってこれらの考察の結果、本発明の実施形態による回転機械は、同じく、ロータ2との機械的な接続(ギヤホイール、駆動ベルト、等々など)を有する、回転機械に動力を引き渡す、または回転機械から動力を取り出すための動力駆動9を備えている。
図1では、動力駆動9は、ロータ2の外縁と係合するホイールとして示されている(この場合、ロータ2は、いずれの場合においても動力駆動9の位置でハウジング8を貫通して延在している)。しかしながら、動力駆動は、通常、ロータ2に機械的に接続されるエレメントであってもよい。駆動/動力引渡しのための多くの可能な方法が存在しており、動力駆動9は、例えばロータ2の周りのベルト、または直角歯を使用して構成することができる。ロータ2の一様な運動の結果、動力の単純な入力および取出しが可能である。
【0039】
さらに、上記の式から、回転機械を有効にする場合、回転の加速および減速によって生じる、スインガー円板4およびジョイナー6からの、ならびに、スインガー円板4およびジョイナー6への運動エネルギー伝達のため、角度αを過度に大きくしてはならないことを推論することができる。一例として角度αは80°未満である。他の実施形態では、動作中、角度αを調整することができ、したがって回転機械の特性を調整することができ、例えば現在の動作状態に基づいて最適化することができる。
【0040】
本発明の他の実施形態では、限られた角度αで十分に大きい圧縮を達成するために調整が実施される。この調整は、例えば体積縮小エレメント11によってチャンバーの体積を小さくすることによって達成される。一変形例では、この調整は、ロータ2の表面全体にわたってロータ円板2の厚さを分厚くすることによって達成することができ、他の変形例では、ロータ2を半径方向に拡張することによって達成することができる。さらに、いずれの変形例においても、体積縮小エレメント11の一実施形態として追加圧縮キャップ11を圧縮チャンバーの各々に使用することができ、これらの追加圧縮キャップ11は、ロータ2(
図2にダッシュ線で示されている)またはスイングエレメント4のいずれかに取り付けられる。ロータ2の半径が拡張され、かつ、任意選択の圧縮キャップを備えた変形例は、燃焼の瞬間における有効接触表面およびエネルギー伝達のためのモーメントがより大きいという利点を有する。
【0041】
他の修正をハウジング8の球形の形状に加えることができる。一実施形態では、第2の回転軸5に沿って球形ハウジング8が平滑化され、それに応じてスイングエレメント4が調整される。球形ハウジング8の平滑化は、第2の回転軸5に対して直角に、ロータ2まで継続することができる。ハウジング8の形状の調整は、ロータ2に対して非対称であってもよく、その結果、異なる特性を有する2対の圧縮チャンバーが形成される。
【0042】
図1および
図2を参照して説明した実施形態では、STaR機構の基本原理が説明されている。ロータ2の一様な運動の結果、スインガー円板4およびジョイナー6が加速および減速の対象になり、それにより(限られた)運動エネルギー伝達が得られる。
【0043】
スインガー円板4が一様に回転する他の実施形態では、回転機械のさらなる最適化が達成される。回転機械のこのさらなる最適化は、例えば適切に寸法化された車軸、ギヤホイールおよびトランスミッションを使用したロータ軸3およびスインガー軸5の1対1の(機械的)結合によって達成することができる。この場合、運動エネルギー伝達および関連する動力損失は、ロータ2およびスインガー円板4を追従するジョイナー6に限定される。この場合、ジョイナー6は、スインガー円板4を追従することができるようにするためにロータ2の平面内で回転するだけでなく、この場合、ジョイナー6は、スインガー円板4の一様な回転を可能にするために第1の回転軸3の周りのロータ2の平面内をスライドする。
【0044】
図3は、この実施形態による回転機械の一部の簡略斜視図を示したものである。この場合も、ロータ2の第1の回転軸3が存在している配向平面1が示されている。ロータ円板2は、この場合も、ロータ2の平面に対して直角の(仮想の)第1の回転軸3の周りを回転する。ロータ2の中心には、接続ボディ(ジョイナー)6を収容することができる開口2cが提供されている。開口2cは実質的に砂時計の形をしており、その結果、接続ボディはロータ2の第1の回転軸3の周りを往復運動することができる(つまり接続ボディ6の長手方向軸7はロータ2の平面内で往復運動することができる)。一例では、砂時計の形は7°だけテーパになっている。他の実施形態は、5°と10°との間の角度のテーパ形状を有している。
【0045】
ジョイナー6は、この場合も、ロータ円板2およびスインガー円板4を互いに接続している。スインガー円板4は、スインガー円板4自体の円板平面に存在している第2の回転軸5の周りを回転する。
図4は、回転機械のすべてのエレメントを見ることができる配向平面1に沿った断面図を示したものである。上で説明した実施形態の場合と同様、スインガー円板4は固体表面を有し、ロータ2と交差している。ロータ軸3およびスインガー軸5は、いずれも配向平面1に存在しており、ロータ軸3とスインガー軸5との間の角度は、角度αで示されている。
【0046】
この実施形態では、ジョイナー6は、スインガー円板4を追従することができるよう、ロータ2の平面内で回転する。また、ジョイナー6は、スインガー円板の一様な回転を追従することができるようにするために、ロータ2の平面内をスライドする。このスライドを可能にするために、ジョイナー6は、ロータ2の平面の一部にスライドによって重畳する4つの(または図面に応じて2つの)フランジ6aを備えている。これにより、回転機械の4つの圧縮チャンバー間の満足すべき密閉が保証される。
【0047】
この実施形態では、体積縮小エレメント11を存在させ、かつ、
図1および2の実施形態と同様の方法で構成することも可能である。他の実施形態では、フランジ6aにこの体積縮小エレメント11を統合し、単一のエレメントとして形成することも可能である。
【0048】
また、この実施形態の場合も、圧縮比は、ロータ軸3とスインガー軸5との間の角度α、ロータ円板2の厚さ、スインガー円板4の厚さおよびジョイナー6の直径で決まる。
【0049】
したがってSTaR機構は、同じく、追加エレメントを使用すると、一様に運動するスインガー軸5を介して動力を引き渡す、または動力を取り出すのに適している。この場合、
− 円板形ロータ2であって、ロータ2の平面に対して直角で、かつ、配向平面1に存在している第1の回転軸3を有する円板形ロータ2と、
− 実質的に円板形のスイングエレメント4であって、円板形スイングエレメント4の平面および配向平面1に存在している第2の回転軸5を有し、第2の回転軸5が配向平面1の第1の回転軸3と角度αを成している実質的に円板形のスイングエレメント4と、
− ロータ2およびスイングエレメント4を取り囲み、それらと相俟って4つの(減)圧縮チャンバーを形成する実質的に球形のハウジング8と、
− ロータ2およびスイングエレメント4を互いに対してスライド可能にハウジング8内に配置し、かつ、4つの(減)圧縮チャンバーを密閉する接続ボディ6と
を備えた、圧縮および減圧のための回転機械が提供され、
− ロータ2は、移動可能に接続ボディ6が収容される実質的に砂時計の形をした開口2cを備えており、
− デバイスは、さらに、動力駆動9と、動力駆動9とスイングエレメント4(第2の回転軸5を備えている)との間の機械接続とを備えており、動力駆動は、回転機械に動力を引き渡す、または回転機械から動力を取り出すように構成されている。
【0050】
図1および
図2を参照して説明した実施形態の場合と同様、圧縮比の変更などの多くの変形例が可能である。
図3および
図4を参照して説明した実施形態の利点は、ロータ円板2とスインガー円板4の両方が、圧縮チャンバーに流体を供給し、圧縮チャンバーから流体を吐出するためのポート構造を具体化するのに適していることである。
図1および
図2を参照して説明した実施形態では、スインガー円板4は、一様に回転するロータ2とは対照的に、慣性モーメントおよび運動エネルギー伝達に悪影響を及ぼすため、ポートを構築するための追加にはそれほど適していない。
【0051】
上で説明した実施形態では、3つのコンポーネント、すなわちロータ円板2、スインガー円板4およびジョイナー6が使用されている。STaR機構は、同じくこれらのコンポーネントの結合を可能にする。したがって3つの可動コンポーネントの代わりに2つの可動コンポーネントが存在しており、したがって漏れ点がより少ない。
【0052】
図5および
図6は、スインガー円板4がジョイナー6と結合され、ロータ2に対して回転可能な単一の統合スイングエレメント21を形成している2つの他の実施形態の図を示したものである。この構造の場合、単一のスイングエレメント21のスインガー円板部分がスインガー軸5の周りに回転する。スインガー円板4はもはやジョイナー6を通ってスライドしないため、したがってスインガー円板4は、同じく自身のスインガー軸5を通ってスライドしなければならない。
図5および
図6には、これは、それぞれ基本構成(
図2参照)および最適化された構成(
図3参照)に対して示されている。ハウジング8内の、単一のスイングエレメント21のスインガー円板部分の対応するスロット内で係合している車軸ジャーナル22で十分であり、完全に物理的に連続しているスインガー軸は不要である。
【0053】
また、
図6の実施形態は、ロータ2は、修正されたジョイナー6と相俟って、
図3の実施形態のフランジ6aの一代替として、単一のスイングエレメント21の(並進)運動を吸収するためにロータ2内の空間を移動することができるガイド2aを備えることができることを示している。
【0054】
図7および
図8は、ロータ円板2がジョイナー6と結合され、単一の統合回転エレメント25を形成している2つの他の実施形態の図を示したものである。この構造の場合、スインガー円板4が単一の回転エレメント25(ジョイナー/ロータの組合せ)の周りに回転する。スインガー円板4はもはやジョイナー6を通ってスライドしないため、スインガー円板4は、同じく自身のスインガー軸5を通ってスライドしなければならない。
図7および
図8には、これは、この場合も基本構成(
図2参照)および最適化された構成(
図3参照)に対して示されている。ハウジング8内に提供されている、スインガー円板4のスロット内で係合している車軸ジャーナル22で十分であり、連続するスインガー軸は不要である。
【0055】
図9は、本発明による回転機械の他の実施形態を示したもので、回転機械はさらに発電機30を備えている。発電機30は、発電のための回転機械と関連して使用することができる(例えば
図1および
図2に示されている動力駆動9を介して)。別の方法としては、発電機30を使用して回転機械を駆動することも可能である。一実施形態によれば、
図9の実施形態に示されているように、発電機30の1つまたは複数のエレメントが回転機械に統合されている。この実施形態では、発電機30は、固定子部分31および回転子部分32を備えており、回転子部分32はロータ2を介して駆動され、固定子部分31は回転機械のハウジングに取り付けられている。
【0056】
明らかに、固定子部分31および回転子部分32は、ハウジング8の外側に配置することも可能である。
図9に示されている実施形態では、固定子部分31および回転子部分32は、上で説明したように代替体積縮小エレメント11として機能することも可能である。
【0057】
当業者には知られているように、発電機30は、固定子部分31および回転子部分32のための磁極および電磁極の変形例を使用して、また、極数の変化を使用して、多くの方法で構成することができる。
【0058】
図10は、回転機械をタービン、圧縮機またはポンプとして使用した場合の様々なポートの状態線図を示したものである。この実施形態では、密閉ハウジング8の中に2つのポート16が提供されており、1つは入口ポート16bであり、もう1つは出口ポート16aである。回転ポートベルト15中の対応するスロットは、入口ポート16bおよび出口ポート16aを開閉している。2つのチャンバーが入口ポートおよび出口ポートを交互に使用し、ローマ数表示IおよびIIで示されているように、チャンバー内での逆回転によって圧縮および膨張が生じる。チャンバーがその最小体積に到達すると入口ポートが開く。圧力が過剰になるとチャンバーが膨張して回転エネルギーが生成される。チャンバーがその最大体積に到達すると、入口ポートが閉じ、出口ポートが開いて過剰圧力を逃がし、引き続いてサイクルが再開される。
図7に関連して、以下の表は、ロータ2の90度毎の(つまり
図7に示されている4つの位置に対する0°、90°、180°および270°における)2つのチャンバーの状態を示している。
【表2】
【0059】
ロータ2の一方の側の2つのチャンバーは、位相が180°外れた同じパターンを追従する。STaR機構を備えた回転機械は合計4つのチャンバーを備えているため、したがって4チャンバータービンが製造され、この4チャンバータービンは、例えば蒸気機関または蒸気機関車に使用することができる。4チャンバータービンは対称方式で動作する。入口ポートの圧力が過剰であるため、回転エネルギーが生成される。この実施形態では、複数のポート16のうちの1つまたは複数に動力が引き渡され、動力駆動9は、回転機械から動力を取り出すように構成されている。
【0060】
一方、ロータ2の運動が外部動力源によって設定されると(駆動9を介して、
図1および
図2を参照した実施形態の説明を参照されたい)、体積が吸引され、吐出されて圧縮機またはポンプが生成される。この実施形態では、動力駆動9はロータを駆動するように構成され、したがって1つまたは複数のポートに動力が生成される。
【0061】
特定の実施形態では、スインガー円板4にポートベルト15が接続される。ここでは、ポート16の幅は、スインガー円板4の厚さに等しくなるように選択されている。この選択の結果、スロットはチャンバーの幅全体を占有し、密閉ハウジング8内の孔で十分である。この構成を使用してタービンを構築する場合、過剰圧力を供給するために1つのポート16が設けられ、過剰圧力を吐出するために他のポート16が設けられる。
【0062】
他の実施形態では、回転機械は燃焼機関として使用される。第1の変形例では、ロータ2の1回転当たり1作動ストロークの燃焼機関が製造される。STaR機構のこの用途は、
図11の状態線図に図式的に示されており、爆発性混合物のための入口ポート16b、燃焼ガスのための出口ポート16aおよびフラッシュポート16cを有する。1つのチャンバー(
図11のローマ数表示I)は、圧縮、燃焼および吐出のためのものであることが意図されており(2ストロークシリンダ)、また、1つのチャンバー(
図11のローマ数表示II)は、吸引、圧縮、およびフラッシュポートを介した燃焼チャンバーへの輸送(2ストローククランクチャンバー)のためのものであることが意図されている。この実施形態では、回転機械は、ロータ2の外側に3つのポートベルト15a〜15c、および関連する出口ポート16a、入口ポート16bおよびフラッシュポート16cを備えている。
【0063】
入口ポート16bを使用することができるのは入口チャンバーIIのみである。フラッシング時間が経過すると、膨張によって真空が生成され、入口ポート16bを介して吸引チャンバーに燃焼混合物が充填される。入口チャンバーIIがその最大体積に到達すると、ただちに入口ポート16bが閉じて圧縮が開始される(圧搾)。入口チャンバーIIがその最小体積に到達すると、フラッシュポートが開いて燃焼混合物が燃焼チャンバーIへ輸送される。
【0064】
出口ポート16aを使用することができるのは燃焼チャンバーIのみである。燃焼チャンバーIがその最大体積に到達すると、ただちにフラッシュポート16cを介して燃焼チャンバーIに燃焼混合物が充填される。次に、最小体積に到達して点火が生じるまで圧縮が実施される。この燃焼により、出口ポート16aが開いて、燃焼した混合物を排気することができるようになるまで燃焼チャンバーIが膨張する。この膨張は、チャンバーIがその最大体積に到達する直前に生じる。最大体積で出口ポート16aが再び閉じてサイクルが再開される。
【0065】
完全な構成は、ロータ2の各々の側に一対のチャンバーを備えており、したがって一種の2シリンダ2ストローク変形例を形成する。
図11は、45度毎、つまり0°、45°、90°、135°、180°、225°、270°および315°における燃焼チャンバーIおよび吸引チャンバーIIの状態を示したものである。以下の表には簡単な説明が含まれている。この例では、ポート16a〜16cおよびポートベルト15a〜15c中の開口の位置は、燃焼チャンバーIの膨張のために3/4回転が使用され、また、吐出のために1/4回転が使用されるように選択されている。
【表3】
【0066】
従来の2ストローク機関の場合、フラッシングフェーズの間、出口ポートも開く。さらに、フラッシュポートが閉じた後は出口ポートのみが閉じ、したがって潜在的な漏れが形成される。本願を使用することにより、これらの状況を防止することができる。そのため、STaR機構の効率の利点とは別に、追加入口および出口を最適化することができる。
【0067】
第2の変形例では、回転機械は、2回転当たり1作動ストロークの燃焼機関として使用される。
図12の状態線図に図式的に説明されているこの用途例は、爆発性混合物のための入口ポート16bおよび燃焼ガスのための出口ポート16aを有する。入口ポート16bおよび出口ポート16aは、ロータ2の一方の側の両方のチャンバーI、IIによって使用されている。ポートベルト15a、15bは、ロータ2の回転速度の半分の回転速度で回転する。これは、例えばハウジング8の内側で回転する外部ポートベルト15a、15bによって達成される。駆動は、例えばロータ2に結合されるギヤホイールによって実施され、2分の1に減速される。したがって2つのチャンバーI、IIは、現在の4ストローク機関の場合に通例であるように、それぞれ独自の吸引−圧搾−爆発−吹出し(SSBB)サイクルを有する。
【0068】
一実施形態では、回転機械は、第1の回転軸3の周りにロータ2の角速度の半分の角速度で回転する2つのポートベルト15a、15bをロータ2の一方の側に備えており、また、関連する出口ポート16aおよび入口ポート16bを備えている。
【0069】
全入口ストローク(吸引)のために入口ポート16bが開く。次に圧縮行程(圧搾)が実施され、引き続いて点火および燃焼行程(爆発)が実施される。出口ポート16aが開いて燃焼ガスが排気され(吹出し)、サイクルが終了する。
【0070】
完全な構成は、ロータの各々の側に一対のチャンバーI、IIを備えており、したがって一種の4シリンダ4ストローク変形例を形成する。
図12は、ロータ2の90度毎(つまりポートベルト15a、15bの45度毎)の状況を示したものである。以下の表は簡単な説明を提供している。
【表4】
【0071】
以上、本発明について、例示的実施形態によって、図面を参照して説明した。説明および図面は、可能な実施形態の実例と見なすべきであり、意図されている保護の範囲を限定するものと見なしてはならない。
【0072】
説明されている実施形態の他の変形例が可能であり、本明細書および図面を読み、かつ、研究すれば、本発明を実施することができる当業者にはこれらの他の変形例が明らかであろう。
以下、本願の出願当初の特許請求の範囲に記載された発明を付記する。
[1]
圧縮および減圧のための回転機械であって、
− 円板形ロータ(2)であって、前記ロータ(2)の平面に対して直角で、かつ、配向平面(1)に存在している第1の回転軸(3)を有する円板形ロータ(2)と、
− 実質的に円板形のスイングエレメント(4)であって、前記円板形スイングエレメント(4)の平面および前記配向平面(1)に存在している第2の回転軸(5)を有し、前記第2の回転軸(5)が前記配向平面(1)の前記第1の回転軸(3)と角度(α)を成している、実質的に円板形のスイングエレメント(4)と、
− 前記ロータ(2)および前記スイングエレメント(4)を取り囲み、それらと相俟って4つの(減)圧縮チャンバーを形成する実質的に球形のハウジング(8)と、
− 前記ロータ(2)および前記スイングエレメント(4)を互いに対してスライド可能に前記ハウジング(8)内に配置し、かつ、前記4つの(減)圧縮チャンバーを密閉する接続ボディ(6)と
を備え、
前記デバイスが、動力駆動(9)と、前記動力駆動(9)と前記ロータ(2)との間の機械接続とをさらに備え、前記動力駆動(9)が、前記回転機械に動力を引き渡す、または前記回転機械から動力を取り出すように構成されている、
回転機械。
[2]
前記接続ボディ(6)が長手方向軸(7)を有する実質的に円筒状のボディであり、
前記接続ボディ(6)が、前記スイングエレメント(4)を中にスライド可能に収容するためのスロット形の開口(2b;2c)を備え、かつ、前記長手方向軸(7)と同軸の、前記ロータ(2)と隣接する外部表面を備え、前記接続ボディ(6)の前記長手方向軸(7)が前記ロータ(2)の平面に存在している、
[1]に記載の回転機械。
[3]
前記ロータ(2)は、前記接続ボディ(6)が移動可能に収容される長方形の開口(2b)を備える、[1]または[2]に記載の回転機械。
[4]
前記ロータ(2)は、前記接続ボディ(6)が移動可能に収容される実質的に砂時計の形の開口(2c)を備える、[1]または[2]に記載の回転機械。
[5]
前記角度(α)が80°より小さい、[1]から[4]の一項に記載の回転機械。
[6]
前記第2の回転軸(5)を変位させることによって前記角度(α)を調整することができる、[1]から[5]の一項に記載の回転機械。
[7]
前記圧縮チャンバーが体積縮小エレメント(11)を備える、[1]から[6]の一項に記載の回転機械。
[8]
前記球形ハウジング(8)の形状が前記第2の回転軸(5)に沿って平滑化される、[1]から[7]の一項に記載の回転機械。
[9]
圧縮チャンバー毎に前記ハウジング(8)内に1つまたは複数のポート(16)をさらに備える、[1]から[8]の一項に記載の回転機械。
[10]
前記動力駆動(9)が前記ロータ(2)を駆動するように構成され、それにより前記1つまたは複数のポート(16)に動力が生成される、[9]に記載の回転機械。
[11]
前記動力が前記1つまたは複数のポート(16)に引き渡され、前記動力駆動(9)が当該回転機械から動力を取り出すように構成されている、[9]に記載の回転機械。
[12]
前記ハウジング(8)に対して回転可能に収容されるポートベルト(15)をさらに備え、前記ポートベルト(15)が、前記ハウジング(8)内の前記複数のポート(16)に対応するスロットを備える、[9]から[11]の一項に記載の回転機械。
[13]
前記ポートベルト(15)が前記ロータ(2)との機械接続を有する、[12]に記載の回転機械。
[14]
前記ポートベルト(15)が前記スイングエレメント(4)との機械接続を有する、[12]に記載の回転機械。
[15]
前記ロータ(2)の一方の側に3つのポートベルト(15a〜15c)を備え、かつ、関連する出口ポート(16a)、入口ポート(16b)およびフラッシュポート(16c)を備える、[9]から[14]の一項に記載の回転機械。
[16]
前記第1の回転軸(3)の周りに前記ロータ(2)の角速度の半分の角速度で回転するように構成されている2つのポートベルト(15a、15b)を前記ロータ(2)の一方の側に備え、かつ、関連する出口ポート(16a)および入口ポート(16b)を備える、[9]から[15]の一項に記載の回転機械。
[17]
前記接続ボディ(6)および前記スイングエレメント(4)が1つの統合スイングエレメント(21)を形成する、[1]から[16]の一項に記載の回転機械。
[18]
前記接続ボディ(6)および前記ロータ(2)が1つの統合回転エレメント(25)を形成する、[1]から[16]の一項に記載の回転機械。
[19]
発電機をさらに備える、[1]から[18]の一項に記載の回転機械。
[20]
前記発電機の1つまたは複数のエレメントが当該回転機械と統合される、[19]に記載の回転機械。
[21]
前記発電機が固定子部分および回転子部分を備え、前記回転子部分が前記ロータを介して駆動され、前記固定子部分が当該回転機械の前記ハウジングに取り付けられる、[19]または[20]に記載の回転機械。
[22]
前記円板形ロータ(2)を介して当該回転機械から動力を取り出し、または前記円板形ロータ(2)を介して当該回転機械に動力を引き渡す、[1]から[21]の一項に記載の回転機械を動作させるための方法。