【文献】
TIANKI SUN,REGULATION DES MANNOSE-OPERONS IN BACILLUS SUBTILIS,ERLANGUNG DER WUERDE EINES DOKTORS DER NATURWISSENSCHAFTEN, 2010年4月,DISSERTATION ZUR,INTERNET CITATION [ONLINE],URL,http://elib.uni-stuttgart.de/opus/volltexte/2010/5249/pdf/Regulation_des_Mannose_Operons.pdf
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記第一炭素源は、カーボン・カタボライト・リプレッションの誘導なしに、細菌性宿主細胞の予め決められた増殖率を維持するのに十分な量で培養に添加される、請求項1から4のいずれか1項に記載の方法。
炭素源のそのカタボリズムが、カーボン・カタボライト・リプレッション及びホスホエノールピルビン酸−炭水化物・ホスホトランスフェラーゼ系の制御下にある組換え細菌性宿主細胞であって、
該細胞は、細菌性宿主細胞のゲノムにおいて、転写調節タンパク質に特異的なホスホリル基転移酵素EIIをコード化する遺伝子を欠失することにより、第一炭素源とは異なる誘導性第二炭素源の不在で、第二炭素源により誘導可能なプロモーターに特異的な前記転写調節タンパク質を不活性化できないように改変されており、かつ、
該細胞は、ベクターを含み、当該ベクターは、細菌性宿主細胞が不活性化できないように遺伝子改変されている前記転写調節タンパク質によって制御されているプロモーターと、このプロモーターに作動的に連結されたポリペプチドをコード化する異種核酸配列と、前記転写調節タンパク質をコード化する遺伝子とを含む、組換え細菌性宿主細胞。
炭素源のそのカタボリズムがカーボン・カタボライト・リプレッション及びホスホエノールピルビン酸−炭水化物・ホスホトランスフェラーゼ系の制御下にある組換え細菌性宿主細胞であって、
該細胞は、転写調節タンパク質をコード化する遺伝子を細菌性宿主細胞のゲノムにおいて遺伝子改変することによって、遺伝子改変された当該遺伝子により発現される転写調節タンパク質が、前記転写調節タンパク質に特異的である酵素EIIにより移されたホスホリル基に結合できないようにされて、第一炭素源とは異なる誘導性第二炭素源の不在で、第二炭素源により誘導可能なプロモーターに特異的な転写調節タンパク質を不活性化できないように遺伝子改変されており、ここで前記遺伝子改変された遺伝子は前記組換え細菌性宿主細胞のゲノムに存在しており、かつ、
該組換え細菌性宿主細胞は、ベクターを含み、当該ベクターは、細菌性宿主細胞が不活性化できないように遺伝子改変されている転写調節タンパク質によって制御されているプロモーターと、このプロモーターに作動的に連結されたポリペプチドをコード化する異種核酸配列と、前記酵素EIIにより移されたホスホリル基に結合できないように遺伝子改変された転写調節タンパク質をコード化する遺伝子とを含む、組換え細菌性宿主細胞。
【図面の簡単な説明】
【0030】
【
図1】
図1には、各々の遺伝子及びプロモーターの配置及び方向を用いてマンノースオペロンの構造及び矢印により示されたManRによるその活性が図式的に示されている。
【
図2】
図2には、細胞への輸送の際のマンノースカタボリズムのフローチャート、輸送の間のマンノースからマンノース−6−ホスフェートへのリン酸化及びフルクトース−6−ホスフェートへの変換が示されている。
【
図3】
図3には、様々なドメイン及び可能性としてあるリン酸化部位を用いてManRアクチベータータンパク質の構造が図式的に示されている。
【
図4】
図4には、manRプロモーターを有する枯草菌のプロモーター領域の核酸配列が示されている。
【
図5】
図5には、
manPプロモーターの周囲のDNA配列が示されている。
【
図6】
図6には、
発現ベクターpSUN279.2のプラスミドマップが示されている。
【
図7】
図7には、
それぞれプラスミドpSUN279.2、pSUN284.1及びpSUN291を含む枯草菌3NAのβ−ガラクトシダーゼ活性が示されている。
【
図8】
図8には、
マンノースとグルコースによるmanPプロモーターの誘導性及びカタボライト・リプレッションを検証するためのプロモータープローブベクターpSUN272.1で使用された枯草菌からの核酸配列が示されている。
【
図9】
図9には、プラスミドpSUN284.1ならび
に種々の長さの核酸配列の断片を有するプラスミドを含む枯草菌3NAのβ−ガラクトシダーゼ活性が示されている。
【
図10】
図10には、
図4に示されているような核酸配列を有するベクターpSUN291、pSUN385.2及びpSUN386.9を含んでいる枯草菌3NAのβ−ガラクトシダーゼ活性が示されている。
【
図11】
図11には、発現ベクターpMW168.1のプラスミドマップが示されている。
【
図12】
図12には、挿入ベクターpSUN356.7のプラスミドマップ(ΔmanP)が示されている。
【
図13】
図13には、枯草菌TQ356/pMW168.1(ΔmanP−ミュータント)の発酵の処理期間にわたりプロットした乾燥バイオマス濃度を対数表示するダイアグラム及び処理期間にわたりプロットした蛍光シグナル(RFU)が示されている。
【
図14】
図14には、枯草菌TQ356/pMW168.1を用いる発酵から取り出した細胞試料のSDS−PAGEが示されている。
【
図15】
図15には、プラスミドpMw168.1の調製に関するフローチャートが示されている。
【0031】
本発明の詳細な説明
本明細書で使用されているように、以下の定義は本発明の解釈を用意にするために提供される。
【0032】
"酵素EII"、"EII"又は"トランスポーター"とは、ホスホエノールピルビン酸−炭水化物・ホスホトランスフェラーゼ系(PTS)の炭素源に特異的なパーミアーゼを意味し、これは炭素源の輸送及び付随するリン酸化を触媒する。PTSは炭素源、例えば糖に特異的な様々なEIIを有する。
【0033】
EIIは、通常は3つのドメインA、B及びCから成り、かつ時折4番目のドメインDから成る複合体である。その際、EIIAとEIIBは相応の炭素源のリン酸化に関与し、かつ膜結合したEIIC(存在する場合にはEIID)は細胞への特異的な炭素源の貫通を媒介する。
【0034】
特定の炭素源が不在の場合には、ホスホリル基を転写調節タンパク質中に存在する相応のリン酸化部位に移すことにより、相応のEIIA、及びある場合にはEIIBは転写調節タンパク質に特異的な各々の炭素源を不活性化する(EIIのリン酸化に応じて、それぞれEIIA及びEIIBドメインと称される)。
【0035】
"転写調節タンパク質"又は"レギュレーター"は、特異的炭素源のカタボリックオペロンをポジティブに制御する(すなわち、活性化する)。通常、転写調節タンパク質はリン酸化できる2個の保存制御ドメイン(PTS制御ドメイン、PRDs)を有する。更に、幾つかの転写調節タンパク質はEIIAとEIIBと称される更なるリン酸化部位を含んでいる。転写調節タンパク質に応じて、転写調節タンパク質は酵素IIからEIIAとEIIB及び/又はPEDIドメイン内の上記ホスホリル結合部位の1つ又は複数に移されたホスホリル基により不活性化され、かつヒスチジンタンパク質(HPr)からPRDIIドメインに移るホスホリル基により活性化される。PTSの転写調節タンパク質に特異的な様々な炭素源は、アクチベーター又はアンチターミネーターであることができる。
【0036】
本明細書で使用されるような"プロモーター"とは、発現を制御する核酸配列を意味する。"プロモーター領域"は、細胞内でRNAポリメラーゼを結合でき、かつ下流(3’方向)コード領域の転写を開始する調節領域である。プロモーター領域内では、−35ボックスと−10ボックス(プリブナウボックス)のようなRNAポリメラーゼを結合する役目のあるタンパク質結合ドメイン(コンセンサス配列)が見出される。更に、プロモーター領域は転写開始部位及びそれらの転写調節タンパク質に特異的な結合部位を有していてもよい。
【0037】
"変異体"又は"配列の変異体"とは、保存的核酸の置換により基本配列から変化した核酸配列を意味し、それにより、1つ又は複数の核酸は同じ特性を有する他のものと置き換えられる。変異体には、このような変性配列が基本配列と同じ機能(機能的等価)を示す限りは、縮重配列、欠失及び挿入を有する配列も含まれる。
【0038】
"宿主内で発言可能なベクター"又は"発現ベクター"は、宿主細胞内の特定の核酸配列の転写を可能にする規定の高分子核酸エレメントの系列を用いて組換えにより又は合成により生じた高分子核酸構造物である。通常は、このベクターには、プロモーターに作動的に連結して転写されるべき特定の核酸配列を有する転写ユニットが含まれる。宿主内で発現可能なベクターは、例えば、自動的又は自己複製型プラスミド、コスミド、ファージ、ウイルス又はレトロウイルスである。
【0039】
"形質転換"、"形質転換した"又は"宿主細胞内への核酸の導入"という用語は、ベクターのような細胞外核酸が、付随する材料を伴って又は伴わずに宿主細胞内に入るプロセスを意味する。
【0040】
例えば発現ベクターでの適切な宿主細胞の形質転換は、マイクロインジェクション、電気泳動、粒子衝突のような周知の方法、又はリン酸カルシウム媒介形質転換のような化学的方法ならびに自然な形質転換系(例えば、Maniatise等、Molecular Cloning A laboratory Manual, Cold Spring Harbor Laboratory (1982)、又はAusubel等、Current protocols in molecular biology,John Wiley and Sohns(1984)に記載されている)により行うことができる。
【0041】
"異種核酸配列"又は"宿主にとって異種の核酸配列"とは、例えば、宿主に対して異種であるポリペプチドのような発現産物"異種発現"又は"異種産物"をコード化する核酸配列、すなわち、宿主とは異なるドナーに由来する核酸配列、又は例えば、宿主にとって異種であるポリペプチドのような発現産物をコードする化学的に合成された核酸配列を意味する。宿主が特に原核生物である場合には、異種核酸配列は、有利には異なる属又は科から由来し、より有利には異なる目又は網から、特に異なる門(division)から、最も有利には異なる生物のドメイン(empire)から生じる。
【0042】
宿主とは異なるドナーに由来する異種核酸配列は、これが宿主細胞に導入される前に、1つの核酸又は異種核酸配列の一部分の突然変異、挿入、欠失又は置換により変性できるが、但しこのような変性配列が基本配列と同じ機能(機能的等価)を示す限りにおいてである。本明細書で参照される異種核酸配列には、同様に異なる生物のドメイン(empire)から、例えば、多核生物(多核生物起源)から、例えば、ファージディスプレイライブラリーで使用されたヒトの抗体から生じる核酸配列も含まれ、かつこの単一の核酸又は核酸配列の一部は原核生物の宿主の"コドン出現頻度"により変性されている。
【0043】
本発明の意味する範囲内での"異種ポリペプチド"又は"ターゲットのポリペプチド"とは、ヒト、哺乳類又は原核生物起源の異種タンパク質であることができる。その他のタンパク質は、抗体、例えば、病原性微生物(ウイルス性及び抗菌性の両方)からの糖タンパク質及び炭水化物及び腫瘍からのものである。その他の異種ポリペプチドは、酵素、例えば、キモシン、プロテアーゼ、ポリメラーゼ、デヒドロゲナーゼ、ヌクレアーゼ、グルカナーゼ、オキサダーゼ、α−アミラーゼ、オキシドリダクターゼ、リパーゼ、アミダーゼ、ニトリルヒドラターゼ、エステラーゼ又はニトリラーゼである。
【0044】
"炭素源"とは、通常は炭水化物である炭素源を意味し、これは細菌細胞により吸収され、かつ代謝でき、かつPTS及びカーボン・カタボライト・リプレッション(CCR)に課される。炭水化物の通常の例は糖及び糖の誘導体である。
【0045】
多くの細菌は1つ以上の炭水化物を炭素源及びエネルギーとして利用できる。特定の細胞外酵素を使用することにより、枯草菌のような細菌は植物バイオマス中に大量に存在する多くの多糖類を分解することができる。結果として生じるオリゴ糖、二糖類又は単糖類は細胞に輸送され、かつ更に加工される。通常、糖類の代謝又は分解に関わるカタボリック酵素は、特定の基質が培地中に存在し、かつ有利な炭素源及びエネルギー源が不在の場合にだけ合成される。細菌の細胞膜を介して炭水化物を輸送するために有利な炭水化物の輸送経路は、PTSである。
【0046】
PTSでは、膜を介した炭水化物の輸送及び引き続くリン酸化は、酵素II(EII)と称される前記炭水化物に特異的な酵素により媒介される。EIIは、細胞へのその相応する炭素源の輸送を媒介するので、EIIは"トランスポーター"とも称される。
【0047】
炭水化物の混合物の存在では、最もエネルギー的及び増殖的な優位性を提供する炭素源(第一炭素源)を選択的に吸収する。同時に、これらはあまり有利ではない炭素源(第二炭素源)のカタボリズムと吸収に関わる様々な機能を抑制する。
【0048】
通常は、大抵の細菌の第一炭素源はグルコースであり、かつ細菌により、その他の様々な糖及び糖の誘導体は第二炭素源として使用される。しかし、第一炭素源は他の化合物であってもよい。例えば、シュードモナスの場合には第一炭素は芳香族化合物であることができる。
【0049】
第二炭素源には、例えば、マンノース、ラクトース及びメリビオースが含まれるが、これらに限定されるわけではない。
【0050】
PTSにおいて、特定の炭素源の代謝に関わる様々な異化遺伝子は転写調節タンパク質により制御される。これらの転写調節タンパク質は、アンチターミネーター又は転写アクチベーターとして作用でき、かつ特定の炭素源(インデューサー)の存在でのみ活性である。ホスホリル基を転写調節タンパク質内に存在する特定の結合部位に移すことにより、EIIが、その相応の転写調節タンパク質に対してマイナスの(不活性)調節作用を有することが見出された。
【0051】
第一炭素源の不在で、かつ誘導性炭素源に特異的なプロモーターの存在では、プロモーターはその相応する転写調節タンパク質により活性化され、かつこのプロモーターの制御下に遺伝子は発現する。誘導性炭素源の不在では、プロモーターを制御する転写調節タンパク質は、そのEIIから該転写調節タンパク質上の各々の結合部位に移されたホスホリル基により不活性化され、これによりプロモーターが不活性化され、かつ前記プロモーターの制御下に遺伝子の発現が停止する。
【0052】
そうでない場合には、有利な第一炭素源の存在で(あまり有利ではない第二炭素源が存在するかどうかとは無関係に)、前記第二炭素源の異化遺伝子の発現はCCRにより抑制される。
【0053】
一般に、本発明は炭素源に特異的な転写調節タンパク質の制御の阻害に基づくが、但し前記の特異的炭素源は不在である。特に本発明は相応のEIIを介して転写調節タンパク質に移動するホスホリル基による抑制又は不活性化の阻害に基づく。
【0054】
炭素源に特異的な転写調節タンパク質の抑制が妨げられると、前記転写調節タンパク質にとってはアクチベーターであるプロモーターは、該プロモーターにとってはインデューサーである炭素源の存在とは無関係に活性である。
【0055】
従って、このようなプロモーターの制御下に誘導性炭素源は遺伝子の発現には必要ではなく、かつ更に遺伝子は連続的に発現する。
【0056】
上記の観点から、本発明は第二炭素源により誘導されるプロモーターを使用し、その際、このプロモーターは一方ではPTSにより、かつ他方ではCCRにより制御される。
【0057】
従って、本発明は、プロモーターに特異的な転写調節タンパク質の不活性化を妨げることにより、ターゲットのポリペプチドの発現においてプロモーターとして使用される炭素源誘導性プロモーターの不活性化を妨げることを探索する。
【0058】
第一のアプローチによれば、この目的はその特異的EIIによる転写調節タンパク質のリン酸化を中断することにより達成され、これはEIIにより移されたホスホリル基に対して転写調節タンパク質の少なくとも1つの結合部位をホスホリル基に結合できなくさせることにより行われる。
【0059】
このために、細菌性宿主細胞のゲノムにおいて、EIIにより移されたホスホリル基に結合できない転写調節タンパク質を遺伝子が発現するように、転写調節タンパク質をコード化する遺伝子を遺伝子操作することができる。
【0060】
第二のアプローチによれば、細菌性宿主細胞のゲノムにおいて、リン酸化はEIIをコード化する遺伝子、すなわち、転写調節タンパク質の活動を制御している酵素を削除することにより中断される。
【0061】
本発明によれば、異種ポリペプチドの発現は、上記の転写調節タンパク質に特異的であるプロモーターの制御下に置かれ、そのためにEIIにより移されたホスホリル基による不活性化は、細菌性宿主細胞の遺伝子改変より妨げられる。
【0062】
本発明は、異種ポリペプチドを生産するための有利な系を提供し、これは炭素源誘導性プロモーターに作動的に連結している前記ポリペプチドをコード化する異種核酸を含んでいるベクターで形質転換した本発明の組換え細菌性宿主細胞の発酵により行われ、その際、前記プロモーターは発酵培地中に誘導性炭素源が無い場合でも活性である。ターゲットのポリペプチドをコード化する核酸配列の発現を制御するプロモーターは、なおカーボン・カタボライト・リプレッションの制御下にあるので、グルコースのような第一炭素源の存在では発現は行われないが、しかし系が第一炭素源を使い果たした場合に誘導が自動的に達成される(自動的誘導)。異種ポリペプチドの発現を制御するプロモーターの活性は、誘導性炭素源の存在とは無関係であるので、発酵培地において、ターゲットのポリペプチドの発現の誘導は誘導性炭素源の必要なしに達成される。
【0063】
本発明は、第一炭素源の存在で組換え細菌性宿主細胞を高い細胞濃度まで増殖でき、かつ所望の細胞密度が達成され次第、ターゲットのポリペプチドの生産が、発現を制御するプロモーターのカーボン・カタボライト・リプレッションが解放されると自動的に開始する点において有利である。
【0064】
本発明のもう1つの利点は、バッチフェーズの間にフェドバッチ発酵において、ターゲットのポリペプチドの生産は全く又は殆ど行われない点である。すなわち、強力なカタボライト・リプレッションがある。
【0065】
本発明にとって適切な細菌性宿主細胞は、1つよりも多い炭素源を利用できるものであり、その際、種々の炭素源の利用はカーボン・カタボライト・リプレッションに課され、かつその際、膜を介した炭素源の輸送及びそのリン酸化はホスホエノールピルビン酸−炭水化物・ホスホトランスフェラーゼ系に課される。
【0066】
本発明にとって適切な細菌性宿主細胞は、グラム陽性又はグラム陰性細菌であることができる。有利な例は、フィルミクテス(Firmicutes)門に属するもの、及び特に枯草菌網に属するものである。特別な例は、バチリス属のもの、例えば、B.subtilis、B.amyloliquifaciens、B.licheniformis、B.natto、B.megateriumなどであり、その他の有利な例には、特にストレプトコッカス、スタフィロコッカス、ラクトバチルス、エッシェリキア又はエンテロバクテリアの他のメンバーが含まれるが、これらに限定されるわけではない。
【0067】
通常、フィルミクテスは、グラム陽性であり、かつ低いGC含有量を有する。"低いGC含有量"とは、細菌ゲノム中の塩基対の52%未満がGC対であることを意味する。例えば、グラム陽性細菌、例えば、枯草菌及びクロストリジウムのものは、ゲノム中に40%以下のGC対を有する。
【0068】
更に適切な細菌性宿主細胞は、腸内細菌、例えば、エンテロバクター目に属するものである。このような腸内細菌の例は、大腸菌属のようなグラム陰性に属するものである。特別な例は、大腸菌株、例えば、TG1、W3110、DH1、XK1−ブルー及びOrigamiである。
【0069】
大腸菌及び腸内細菌は、ゲノム中に約50%のGC含有量を有し、よって低いGC含有量の生物である。
【0070】
グラム陽性及びグラム陰性生物は、周知のグラム染色法により決定される。グラム陽性生物は、標準のグラム染色下に紫色を呈するものである。グラム陰性生物は、一次グラム染色よりもむしろ対比染色を取り込む。
【0071】
フィルミクテス及び腸内細菌には種々のメカニズムのCCRがあり、これらはモデル生物としての枯草菌と大腸菌において集中的に研究されてきた(例えば、J.Stuelke等、"Regulation of carbon catabolism in Bacillus species",Annu.Rev.Microbiol.(2000)54:849〜880;GoerkeB及びStuelkeJ."Carbon catabolite repression in bacteria:many ways to make the most of nutrients",Nat.Rev.Microbiol.(2008)6:613〜624;GossetG等、Transcriptome analysis of Crp−dependent catabolite control of gene expression in Esscherichia coli",J.Bacteriol.,(2004)186:3516〜3524、Martinez−Antonio A等、"Identifying global regulators in transcriptional regulatory networks in bacteria"Curr.Opin.Microbiol.(2003)6:482〜489参照)。CCRの全体的なメカニズムは異なるにもかかわらず、結果は同じである。すなわち、第一炭素源の存在では、第二炭素源の吸収及びリン酸化に関わる種々のカタボリックオペロンは抑制される。
【0072】
本発明の組換え細菌性宿主細胞は、遺伝子改変されて異種核酸配列の発現を制御する炭素源誘導性プロモーターの抑制を妨げるようにされ、これは前記誘導性炭素源の不在で転写調節タンパク質に特異的なプロモーターの不活性化を阻害することにより行われる。
【0073】
従って、本発明の組換え細菌性宿主細胞内では、異種核酸配列の発現を制御する炭素源誘導性プロモーターは、カーボン・カタボライト・リプレッションだけに課される。第一炭素源の存在では、異種ポリペプチドの発現はCCRにより抑制される。
【0074】
本発明によれば、炭素源誘導性プロモーターは、カーボン・カタボライト・リプレッションがより有利な第一炭素源により刺激されない限り、誘導性炭素源の存在とは無関係にその活性な状態である。
【0075】
従って、本発明は、ポリペプチドをコード化する遺伝子を制御するプロモーターを誘導するためのインデューサーを必要としない異種ポリペプチドの生産を提供する。
【0076】
一般に、本発明に適切なプロモーターは細菌細胞内でPTS及びCCRに課されるものである。特に、各々の転写調節タンパク質は、前記プロモーターの制御下にカタボリックオペロンのアクチベーター又はアンチターミネーターである。このようなプロモーターは当業者に公知である。本発明に適切なプロモーターの例を各々のオペロンを参考にして以下の表に挙げることにする。
【0077】
【表1】
【0078】
以下に、枯草菌のマンノースオペロンを参考にして本発明をより詳細に説明することにする。
【0079】
枯草菌は、多くの様々な単糖類又は二糖類、例えばグルコース、マルトース、スクロース、マンノース、マンニトール及びフルクトースを炭素源として使用できる。これらの糖類は、PTS系により吸収される。細胞への輸送及びリン酸化は各々の糖類に特異的な酵素EIIにより媒介される。
【0080】
多くの細菌と同様に、枯草菌の有利な炭素源はグルコースである。グルコースの存在では、PTSに課される他の糖類のどの吸収もCCRにより抑制される。
【0081】
マンノースのオペロン構造は
図1に示されていて、かつ細胞へのマンノースの輸送及びそのカタボリズムは
図2に示されている。枯燥菌のマンノースオペロンは、3個の異化遺伝子を有する(Kunst F.N等、"The complete genome sequence of gram−positive bacterium B.subtilis"、Nature(1997)390:249〜256頁)。
【0082】
1番目の遺伝子、manPは、ManPと称されるマンノースに特異的なEII酵素をコード化する。ManPは、膜を介してマンノースの輸送を行い、かつ同時にマンノースをリン酸化してマンノース−6−ホスフェートにする。2番目の遺伝子、manAはマンノース−6−ホスフェートイソメラーゼをコード化し、これはマンノース−6−ホスフェートを相応するフルクトース−6−ホスフェートに変換する。3番目の遺伝子yjdFの機能は、まだ不明である。これらの3個の遺伝子の上流及び同じ方向には、ManRと称される転写調節タンパク質をコード化する調節遺伝子manRが位置する。
【0083】
マンノースオペロンは、ポジティブに調節されるカタボリックオペロンであり、かつ2つの異なるプロモーターにより制御される。1番目のプロモーター、manRプロモーター(PmanR)は、転写調節タンパク質ManRを担う。2番目のプロモーターmanPプロモーター(PmanP)は、遺伝子manP−manA−yjdF(合わせて"manPA−yjdF")の転写を担う。マンノースの存在で、及びグルコースの不在では、ManRはPmanPに結合し、かつmanPA−yjdFの発現を活性化する。意外にも、ManRはmanPA−yjdF−プロモーターにとって転写調節タンパク質であるだけではなく、manR自体にとって自動的レギュレーターであることが見出された。
【0084】
図3には、転写調節タンパク質ManRの構造及び潜在的なリン酸化部位が図示されている。表示されているように、ManRは、2個のPRD(
PTS
Regulatory
domain)ドメイン、1個のEIIAとEIIBドメインならびにHTH(へリックス−ターン−ヘリックス)ドメインを有する。PRDは、転写調節タンパク質中に存在する保存された調節ドメインであり、これはカーボン・カタボリズムの間にリン酸化できる。EIIAとEIIBドメインは、ManPにより輸送されたホスホリル基の結合部位である(マンノースオペロンのEIIトランスポーター)。HTHはDNAを結合できるタンパク質内の構造モチーフである。
【0085】
インデューサーであるマンノースの不在で、EIIAとEIIB及び実質的にManRのPRDIドメインは、ManP(マンノースオペロンのマンノースに特異的EII)によりリン酸化され、それにより不活性にされる。
【0086】
従って、本発明の第一のアプローチによれば、インデューサー(マンノース)の不在では、ManRの不活性化は妨げられるが、これはホスホリル基が受容できないようにManRのEIIA及び/又はEIIBにおいてリン酸化部位が操作されるか、又はドメインが欠失される場合である。
【0087】
このために、細菌性宿主細胞のゲノム内で、ManR内にて各々のリン酸化部位をコード化する相応の核酸配列の欠失又は
操作により遺伝子manRは遺伝子改変される。
【0088】
更に、本発明の2番目のアプローチによれば、マンノースオペロンのプロモーターの不活性化は、マンノース輸送の中断により妨げられ、これは細菌性宿主細胞のゲノムにおいて、ここではマンノースオペロン、manR及び/又はmanPにおいてManPをコード化する遺伝子の欠失又は不活性化により行うことができる。
【0089】
これらの変更は、細菌性宿主細胞において、転写調節タンパク質のリン酸化に関わるタンパク質をコード化する遺伝子のコーディング配列を変更又は欠失により行うことができる。
【0090】
このような遺伝子改変したノックアウト宿主細胞は、このような目的に公知である様々な方法により調製できる。例えば、ターゲットの核酸配列が欠失した配列の相同のターゲット遺伝子配列5’と3’を含んでいる相同組換えベクターは、宿主細胞に形質転換することができる。相同組換えの際に、所望のノックアウト細胞を生産できる。
【0091】
遺伝子ノックアウト法は当業者に周知である。例えば、ポリヌクレオチドの挿入による遺伝子不活性化は、例えば、Roeder D.L.等、"Marker−exchange mutagenesis of a pektate lyase isozyme gene in Erwinia chrys anthemy"J.Bacteriol.(1985)164(1:51〜56)に記載されている。遺伝子における特定の突然変異又は欠失は、カセット突然変異を用いて構築でき、これは例えば、Wells J.A.等、"Cassette mutagenesis:an efficient method for generation of multiple mutations at defined sites", Gene(1985)34(2〜3):315〜323に記載されている。これにより遺伝子の選択箇所でダイレクト又はランダムな突然変異が行われ、かつ次に相同組換えにより遺伝子の染色体コピーが挿入される。
【0092】
本発明の発明者により、マンノースオペロンを制御するプロモーター、すなわちPmanRとPmanPA−yjdFが強いプロモーターであることが見出されたので、これは異種ポリペプチドの生産にとって有能な候補者である。しかし、これらのプロモーターを誘導する炭素源であるマンノースは高価な糖であり、なおマンノース誘導性プロモーターの使用を制限してしまう。
【0093】
本発明によれば、細菌性宿主細胞内での異種ポリペプチドの発現には、誘導性炭素源は発現の開始に不必要であるので、マンノースプロモーターのようなプロモーターの使用も強さの観点からだけではなく、値段の点でも競争力がある。
【0094】
従って、本発明は本発明の組換え宿主細胞内においてターゲットのポリペプチドをコード化する異種核酸配列を制御するためのプロモーターとしての、マンノースオペロンのプロモーター(PmanR及びPmanPA−yjdF)の使用にも関する。
【0095】
pSUN284.1のような様々な発現ベクターにおいて使用されるmanPプロモーターのプロモーター領域を含んでいる枯草菌からの核酸配列は、
図5に示されていて、アデニンヌクレオチドでの転写開始部位が強調されていて、−35ボックスと−10ボックスはイタリック体及び太字で、manRの末端を矢印によりマークし、かつ制限部位Bg/II、XbaI、Af/II、NdeIおよびNruIには下線が引いてある。レポーター遺伝子lacZの開始コドンが示されている。
【0096】
manRプロモーターのプロモーター領域を含んでいる枯草菌から得られる核酸配列は、
図4に示されていて、転写開始部位が強調されていて、−35ボックスと−10ボックスはイタリック体及び太字で、manR遺伝子の開始は矢印により示されて、HindIII制限部位は太字で示されていて、かつ下線が引いてあり、推定のcre配列には下線が引いてある。
【0097】
"マンノースオペロンのプロモーター領域"とは、manPA−yjdFならびにmanR(cre配列有り又は無し)の発現を制御するプロモーター領域を意味する。
【0098】
本明細書内で参照される"manPA−yjdFプロモーター"は主に−35領域、−10領域(プリブナウボックス)、転写開始部位及びManR結合部位から成る。
【0099】
本明細書内で参照される"manRプロモーター"は、主に−35領域、−10領域、転写開始部位及びManR結合部位及び場合によりcre配列から成る。
【0100】
cre配列(カタボライト・リプレッシブ・エレメント)は、保存された14個のヌクレオチドの長さのDNA配列であり、これにフィルミクテスにおけるCCRの包括的な調節タンパク質であるCcpA(カタボライト制御タンパク質A)が結合する。枯草菌におけるカタボライト・リプレッション及び活性化のメカニズムは、
図6に示されている。cre配列へのCcpAの結合により、セリン−46リン酸化HPr(ヒスチジンタンパク質)により複合体を形成し、プロモーターは抑制される。これはマンノースオペロンのカタボライト・リプレッションの第二のメカニズムを示している。これにより、レギュレーター遺伝子manRの発現はグルコースの存在で抑制される。その結果、これはmanPプロモーターの活性化を阻害する。グルコースの存在で、細胞はPtsGによりグルコースを吸収し、PTS依存性輸送系はEIIマンノーストランスポーターと類似している。細胞内では、中間体フルクトース−6−ホスフェート(Fru−6−P)及びフルクトース−1,6−ビスホスフェート(Fru−1,6−DP)が蓄積し、かつHPr−キナーゼを刺激する。HPr−キナーゼ(HPrk)はセリン−46でHPrをリン酸化する。Ser−46−HPrは、DNA結合タンパク質CcpAと複合体を形成し、これはいわゆる枯草菌の多くのカタボライト抑制された及びカタボライト活性化されたプロ―ター中に存在するcre部位に結合する。
【0101】
cre部位でのプロモーター配列の下流−10又は重複する−10配列で、Ser−46−HPr/CcpA複合体の結合は、このプロモーターからの発現を抑制する。この状況はmanRプロモーターで見出すことができる(
図4)。
【0102】
manPA−yjdFのプロモーター領域を含んでいる核酸配列は、有利には
図5の−80塩基対からlacZの開始コドンまでの核酸配列を有し(配列番号1)、より有利には
図5の−80塩基対から−1塩基対を含む、すなわち+1塩基対の転写開始部位Aの上流までの核酸配列を有する(配列番号2)。
【0103】
manRのプロモーター領域を含んでいる核酸配列は、有利には
図4の−122塩基対からmanRの開始コドンまでの核酸配列を有し(配列番号3)、より有利には
図4の−122塩基対から+7塩基対までの核酸配列、すなわち推定のcre配列までを含む(配列番号4)、及び特に
図4の−122塩基対から−1塩基対までの核酸配列、すなわち+1塩基対の転写開始位置Gの上流までを含む(配列番号5)。manPとmanRのプロモーター領域は両方とも転写調節タンパク質ManRのための結合部位を含み(
図4中、IRI−R及び
図5中、IRI−Pと記してある)、これはマンノースオペロンのプロモーターにとって転写アクチベーターである。
【0104】
もう1つの態様によれば、本発明は炭素源誘導性プロモーターに作動的に連結した関心のあるポリペプチドをコード化する核酸配列を有するベクターを含んでいる遺伝子改変した細菌性宿主細胞に関し、その際、前記ベクターのプロモーターは転写調節タンパク質により制御され、そのために細菌性宿主細胞は前記転写調節タンパク質に特異的な炭素源の不在で不活性化できないように遺伝子改変されている。
【0105】
上記のマンノースオペロンに関して、ベクターのプロモーターはPmanR又はPmanPA−yjdFであることができ、例えば、配列番号1から5までのいずれか、ならびに上記表のいずれかである。
【0106】
本発明の1実施態様によれば、本発明で使用されるベクター中では、各々のEIIにより移されたホスホリル基に結合できないように各々の転写調節タンパク質をコード化する遺伝子改変された遺伝子を挿入できる。従って、組換え細菌性宿主細胞内では、転写調節タンパク質は染色体遺伝子によってだけではなく、ベクター中に組み込まれた相応の遺伝子によっても発現され、その結果、より高い濃度の転写調節タンパク質及び改善された誘導を生じる。例えば、ベクターのプロモーターがマンノースオペロンのプロモーターである場合には、遺伝子manRをベクター中に組み込むことができ、その際、EIIドメインをコードするヌクレオチド配列は欠失されている(manRΔEIIA)。
【0107】
本発明に適切なベクターは、有利には自律的に又は自己複製型プラスミド、コスミド、ファージ、ウイルス又はレトロウイルスである。本発明には幅広い多くの宿主/ベクターの組み合わせを使用してもよい。有用な発現ベクターは、例えば、染色体、非染色体の及び/又は合成核酸配列の断片から成っていてもよい。
【0108】
適切なベクターには、特定の宿主幅を有するベクター、例えば、それぞれ枯草菌及び大腸菌に特異的なベクター、ならびに広い宿主幅を有するベクター、例えば、グラム陽性細菌及びグラム陰性細菌に有用なベクターが含まれる。"低いコピー数"、"中程度のコピー数"ならびに"高いコピー数"のプラスミドを使用できる。
【0109】
例えば、枯草菌では、低いコピー数のプラスミドはpAMbeta1であり、中程度のコピー数のプラスミドはpBS72誘導体であり、かつ高いコピー数のプラスミドはpUB110である。例えば、大腸菌で発現するために有用なベクターは、pBR322、pUC18、pACYC177、pACY184、pRSF1010及びpBW22又はその誘導体、例えば、プラスミドpBLL15又はプラスミドpAKL15Eである。
【0110】
本発明の遺伝子改変した細菌性宿主細胞は、プロモーターを誘導する炭素源の不在ではプロモーターを制御する転写調節タンパク質を不活性化することができない。ベクターのプロモーターは、各々の染色体プロモーターと同じ転写調節タンパク質によって制御されるので、ターゲットのポリペプチドをコード化する異種核酸配列の発現は、誘導性炭素源の不在でさえも継続される。
【0111】
更に、本発明は本発明の遺伝子改変した細菌性宿主細胞において異種ポリペプチドを生産する方法を提供し、その際、該方法は以下の工程を含む:
a)ポリペプチドの発現を可能にする条件下に培養し、本発明の遺伝子改変した細菌性宿主細胞を、プロモーターに作動的に連結したポリペプチドをコード化する核酸配列を含んでいるベクターで形質転換し、その際、前記ベクターのプロモーターは、転写調節タンパク質に特異的な炭素源の不在で不活性化できない転写調節タンパク質により制御され、かつ
b)ポリペプチドを細胞から又は細胞培養から回収する。
【0112】
本発明によれば、ターゲットのポリペプチドの発現は、培地が第一炭素源を使い果たした時点、又は第一炭素源の濃度がCCRに必要なレベルを下回って減少した時点で自動的に開始する。
【0113】
誘導後に細胞が増殖できるようにするために、カーボン・カタボライト・リプレッションができないレベルで第一炭素源を更に培養に供給することができる。例えば、第一炭素源は、直ちに細胞により消費される量で供給され、発酵液中には、CCRを刺激し得る第一炭素源が実質的に存在しないようにする。
【0114】
一般に、培地中に存在する第一炭素源の量が1.0g/lを超える場合に、カーボン・カタボライト・リプレッションが観察されるのに対して、この量が0.01g/l又は未満である場合には、カーボン・カタボライト・リプレッションは無いことが言える。
【0115】
カーボン・カタボライト・リプレッション及びプロモーターの誘導のボーダーラインは、細胞の増殖率と相関するため、これが今度は培地中に供給された第一炭素源の量、又は培地中に存在する第一炭素源の量と相関し、カーボン・カタボライト・リプレッションを引き起こさない第一炭素源の量は、増殖率を監視することにより調節できる。所定の増殖率でカーボン・カタボライト・リプレッションが生じる場合には、培養に添加される第一炭素源の量を減らさなくてはならない。それにより、増殖率はカーボン・カタボライト・リプレッションが観察されなくなる値まで減少する。
【0116】
大抵の発酵プロセスでは、誘導フェーズでμ≦0.2h
-1の特定の増殖率を生じる量まで第一炭素源を添加するのが適切である。
【0117】
いずれにせよ、特定の発酵プロセスにとって、特定の増殖率μに適切な値は、ルーチンワークによって容易に決定できる。
【0118】
使用されるベクター、ならびに宿主の構築及び形質転換は先に定義した通りである。
【0119】
細胞培養系として、バッチ培養又はフェドバッチ培養のような連続又は不連続な培養を、培養管、振盪フラスコ又は細菌発酵装置などにおいて適用できる。有利には、誘導フェーズでは、ターゲットのポリペプチドが発現する場合には、第一炭素源は培養培地に指数関数的に供給される。
【0120】
遺伝子改変した細菌性宿主細胞を培養するために、当業者に公知のような通常の培地、例えば、"栄養酵母ブロス培地"のような複合培地、Kortz等により、J.Biotechnol.(1995)39:59〜65に記載されているようなグリセロール含有培地、Kulla等によりArch.Microbiol.(1983)135:1に記載されている最小塩培地、Bertani等により、J.Bacteriol.1951、62:293〜300に記載されているようなLB培地、又はWilms等によりBiochnol.Biong.(2001)73:93〜103に記載されているような大腸菌発酵用のバッチ培地を使用できる。
【0121】
培地は、宿主細胞を所望の細胞密度まで増殖させるために適切な炭素源、例えば、グルコースのような糖を含む。炭素源として、各々の宿主細胞にインデューサーとは異なる第一炭素源が使用され、これは前記宿主細胞にとって第二炭素源である。
【0122】
培地は、更なる成分、例えば、当業者に一般的に公知のような緩衝剤、塩、ビタミン、アミノ酸、抗生剤又は他の微量栄養素の添加により適切に変更されてもよい。同様に、種々の培地又は培地の組み合わせを細胞の培養の間に使用できる。
【0123】
本発明の1実施態様では、カザミノ酸が培養培地に添加される。培地中のカザミノ酸の存在では、基底レベルの発現の抑制を補助できることが見出された。通常は、カザミノ酸を0.05%〜0.1%(w/v)の量で添加できる。
【0124】
異種ポリペプチドを生産するための本発明の方法の1実施態様によれば、そのゲノム内でマンノースオペロンをコード化する遺伝子を含んでいる細菌性宿主細胞を使用できる。すなわち、この細菌性宿主細胞にとってマンノースは第二炭素源であり、かつ、例えば、グルコースは第一炭素源である。本発明の方法の宿主として適切であるために、細菌細胞はManR(マンノースオペロンのプロモーターを制御する転写調節タンパク質)を不活性化できないようにされる。
【0125】
例えば、ManPをコードするヌクレオチド配列manPを欠失することができ、それによりManPによるリン酸化によりManRの不活性化を阻害する。
【0126】
manPが欠失した細菌性宿主細胞中に、ターゲットのポリペプチドをコード化する核酸配列に作動的に連結したプロモーターPmanR、又はプロモーターPmanPを含んでいるベクターが導入される。
【0127】
組換え宿主細胞は前記細菌性宿主細胞に適切な培養培地中で増殖し、その際に、培養培地はグルコースを含有することができ及び/又はグルコースは、細菌性宿主細胞が複製できるように、かつベクター中に含有されるマンノースプロモーターのグルコース媒介カーボン・カタボライト・リプレッションによりターゲットのポリペプチドの発現を抑制するために十分な量で培養培地に供給できる。
【0128】
培地のグルコースレベルがカーボン・カタボライト・リプレッションに必要な値を下回るとすぐに、ベクターのマンノースプロモーターのカーボン・カタボライト・リプレッションは解放され、かつマンノースによる誘導の必要性無しにマンノースプロモーターはポリペプチドの発現を開始する。更に、細菌ゲノム中でManPをコード化する核酸配列が欠失されるので、マンノースプロモーターはManPによるリン酸化により不活性化できない。従って、本発明の方法は、誘導性炭素源が存在しなくても特定の炭素源誘導性プロモーターの制御下にターゲットのポリペプチドの発現を可能にする。
【0129】
通常は、誘導フェーズの間に、マンノースオペロングルコースのプロモーターを含んでいるベクターで形質転換した細菌性宿主細胞を使用する発酵プロセスにおいて、マンノースオペロンのプロモーターの第一炭素源は、μ≦0.2h
-1の特定の増殖率を生じる量で発酵培地に供給できる。更に、指数関数的供給が有利である。
【0130】
原則として、プロモーターの誘導に誘導性炭素源を全く必要としない本発明の1番目の選択肢に関する上記の説明は、本発明の2番目の選択肢においても適用可能であり、それにより誘導に必要な炭素源の量は減少する。
【0131】
本発明は、ターゲットのポリペプチドをコード化する異種核酸配列の発現をコントロールするプロモーターが厳密な制御を可能にする点において有利である。誘導性炭素源の添加又は存在は必要ではない。
【0132】
本発明の1番目の選択肢によれば、プロモーターは誘導性炭素源が無くても、すなわちインデューサーの不在でも活性な状態である。
【0133】
枯草菌のマンノースオペロンのマンノースプロモーターPmanPは、強いプロモーターであることが判明した。マンノースオペロンの詳細な論議については、SunT等、"Characterization of a mannose utilization system in Bacillus subtilis" "J.Bacteriol;192,2010,2128〜2139"に挙げられていて、これを参照して本明細書に取り入れることとする。
【0134】
PmanPによる遺伝子発現の強力な制御特性は、価値のあるポリペプチドを異種生産するためにこのプロモーターを適格なものにする。しかし、本発明により、マンノースオペロンに関わる枯草菌発現系は、永久に高い発現率を得るために大量のマンノースを必要とすることが見出された。インデューサーであるマンノースの迅速な消費の理由は、マンノースが枯草菌にとって好物の炭素源のうちの1つであるということが想定される。しかし、むしろマンノースは高価な糖であり、このような発現系は大規模な工業用途にとって経済的に好ましくない。
【0135】
このような発現系を工業用途に最適化するために、インデューサーは代謝されるべきではない。本発明によれば、これは宿主細胞の染色体ゲノム内でマンノース−6−ホスフェートイソメラーゼ遺伝子manAを操作又は有利には分解し、宿主細胞が入ってきたマンノース−6−ホスフェートを、引き続き解糖系に入るフルクトース−6−ホスフェートに変換できないようにすることにより達成される。
【0136】
このような発現系は、はるかに少ないインデューサーしか必要としないが、それにもかかわらず高い発現率を達成できる。
【0137】
上記のように、特に有利な発現系は自動的誘導性のものである。すなわち、もはやインデューサーを必要としない発現系である。本発明の有利な実施態様によれば、このような自動的誘導性の発現系は、細菌性宿主細胞のゲノムのマンノースオペロンにおいて、ManPによるManRのEIIBとEIIA様ドメインのリン酸化を妨げることにより、遺伝子manPが調節タンパク質ManRを不活性化できないようにさせることにより得られる。有利には、染色体遺伝子manPは欠失される(ノックアウトミュータント)。
【0138】
このような発現系では、PmanPプロモーターはグルコースによって遂行されるCCRによってのみ制御的にコントロールされる。グルコースが制限されなくなるまで、レギュレーターManRはそのオペレーター系に結合でき、かつ発現を開始する。このような自動的誘導性の発現系は、工業的用途に極めて価値がある。それというのも、実質的に早まった遺伝子発現が行われないからである。
【0139】
例えば、フェドバッチ発酵では、実質的に不所望の発現がバッチフェーズでは観察されず、かつフェドバッチフェーズの全体を通して高い発現レベルを得るためにインデューサーを添加する必要がない。このような発現系は特に高細胞密度発酵に適切であり、かつ得るべき高い発現率を可能にする。
【0140】
本発明により提供される新規発現系、特に新規自動誘導系は、産生物収率の改善に著しく寄与し、かつその工業用途と関連するコストを下げる。
【0141】
以下の実施例に示されているように、本発明は本発明の遺伝子改変した細菌性宿主細胞の培養による異種ポリペプチドの生産を提供し、その際、遺伝子改変した細菌性宿主細胞の増殖の間及び誘導の前に、極めて低いポリペプチドの発現しか生じないか、又は早まったポリペプチドの発現を全く生じない。すなわち、ポリペプチドをコード化する遺伝子の発現をコントロールするプロモーターの漏えい性が実質的に無い。更に、ポリペプチドの生産は、自動誘導の際に高い生産性で直ちに開始され、高い最終的な生産性を伴う。
【0142】
また、本発明の更なる選択肢の一例も示されていて、その際、マンノース誘導性プロモーター及び異種核酸配列を有するベクターが宿る宿主細胞のゲノムにおいて、マンノース−6−ホスフェートイソメラーゼをコード化する遺伝子は欠失している。
【0143】
以下の説明により、下記の実施例を参考にして更に完全に解釈されるであろう。しかし、このような実施例は本発明を実施する方法の例示であり、かつ本発明の範囲を制限するものではない。
【0144】
I)マンノースオペロンのmanRプロモーター及びmanPプロモーターの単離と同定
特記されない限り、以下の材料と方法を使用した:
細菌株及び増殖条件
大腸菌JM109(Yanisch−Perron C等、Gene33、1985、103〜119)及び枯草菌3NA、non−sporulating B.subtilis strain,with a mutation in the spoOA gene,(Michel J.F.等、J.Appl.Bacteriol.33,1970,220〜227)をクローニング及び発現するために主な宿主として使用した。発酵実験に使用した更なる株は、枯草菌3NAミュータント株TQ281(spoOA ΔmanA::ermc)(Sun T等、J.Bacteriol.192,2010,2128〜2139)及びTQ356(spoOAΔmanP::ermc)(以下II参照、実施例4,b)であった。株をLB培地中37℃で増殖させた(Bertoni G.,J.Bacteriol.62,1951,293〜300)。
【0145】
選択条件は以下のようであった:100μgml
-1アンピシリン、100μgml
-1スペクチノマイシン、5μgml
-1エリスロマイシン。
【0146】
マンノースプロモーターの誘導のために、無菌濾過するか、又はオートクレーブしたD−マンノースを添加して0.2%w/vの最終濃度にした。
【0147】
材料
全ての化学物質はSigma−Aldrich社(タウフキルヘン、ドイツ)、Fluka社(ブーフス、ドイツ)又はMarck社(ダルムシュタット、ドイツ)から得られた。合成DNAオリゴヌクレオチドは、Eurofins MWG Operon(エベルスブルク、ドイツ)から購入した。制限酵素及びDNA変性酵素は、Roche Applied Science(マンハイム、ドイツ)又はNew England Biolabs.(フランクフルト、ドイツ)から購入した。PCRは、MJ Research Inc.社(ウォルサム、マサチューセッツ、米国)のMiniCycler TMにおいてFerments社(ザンクト・レオン=ロート、ドイツ)の高い正確性のDNAポリメラーゼを用いて進めた。
【0148】
DNAの調製及び形質転換
大腸菌及び枯草菌からの又はアガロースゲルからのDNA単離は、キアゲン社(ヒルデン、ドイツ)又はロシュ社(マンハイム、ドイツ)のDNA調製キットを用いて生産者により記載されているように実施した。標準の分子技術は実施例の全体を通して使用された。
【0149】
大腸菌は、Chung C.T.等により、Proc.Natl.Acad.Sci.USA 86,1989,2172〜2175に記載されているようにプラスミドDNAで形質転換した。枯草菌は、改変された"Paris method"(Harwood C.R. Molecular Biological Methods for Bacillus,1990,John Willey&Sons Ltd.;英国)によるプラスミドDNAで形質転換した。
【0150】
β−ガラクトシラーゼ活性の測定
試験すべき細胞0.1mlをZ−バッファー900μl及びトルエン10μlで37℃で30分間処理した。β−ガラクトシダーゼ活性は、22℃でo−ニトロフェニル−β−ガラクトピラノシドを用いてMiller法により決定した(Miller J. H.,1972, experiments in molecular genetics, Cold Spring Harbor,NY)。
【0151】
使用したオリゴヌクレオチド(プライマー)
【表2】
【0152】
【表3】
【0153】
【表4】
【0154】
実験1:
マンノースオペロンのプロモーター領域を有するDNA断片の単離及びmanRプロモーターとmanPプロモーターの転写開始部位の決定。
【0155】
枯草菌168の染色体DNAは、キアゲン社(ヒルデン、ドイツ)のDNeasy Blood&Tissue Kitを使用することにより単離した。
【0156】
完全なmanR遺伝子及びmanRプロモーターならびにmanRとmanPの間の遺伝子間領域、manPプロモーターを有する約2.3kbのDNA断片を、プライマーs4693/s4694を用いてPCRにより得られたDNAから増幅させた。
【0157】
得られた約2.3kbのDNA断片は、manRプロモーターとmanPプロモーターの転写開始部位を決定するためにプライマー伸長実験に使用した。
【0158】
プライマー伸長にmRNAを単離するために、大腸菌ベクターplC20HE(Altenbucher等、1992、Methods Enzymol.216,457〜466)と枯草菌ベクターpUB110(MacKenzie等、1986、プラスミド15、93〜103)からシャトルベクターを構築した。該ベクターは、レポーター遺伝子としてlys遺伝子を含有し、これはスタフィロコッカス・シミュランスからのリゾスタフィンの成熟型をコードする(Recsai等、1987、Proc.Natl.Acad.Sci.USA84,1127〜1131)。
【0159】
この高いコピー数のpUB110誘導体には、2.3kbDNA断片がリゾスタフィン遺伝子の上流にクローン化された。得られるプラスミドをpSUN178.4と名付け、かつ枯草菌3NAに導入した。
【0160】
プラスミドpSUN178.4と一緒に枯草菌3NAをカナマイシン含有LB培地中で増殖させた。指数増殖フェーズでは、培地を0.2%w/vマンノースで誘導した。37℃で1時間増殖させた後に、誘導及び非誘導細胞を回収した。全体のRNAをキアゲン−RNeasy MiniKitで単離した。
【0161】
Cy5を用いて5’末端で標識したプライマーs5006、5007、s5097及びs5098を使用した。プライマーs5006及びs5007は、リゾスタフィン遺伝子の開始コドンに関して、それぞれ+21〜+50まで、及び+76〜+105までをハイブリダイズした。プライマーs5097とs5098は、manRの開始コドンに関してそれぞれ+81〜+101まで、及び+131〜+153までをハイブリダイズした。
【0162】
同じプライマーは、pSUN178.4のプラスミドDNAのシーケンシング反応に使用し、これはサイズ基準として役立った。AMV−リバーストランスクリプターゼ及びT7−DNAポリメラーゼ(ロシュ社製)をそれぞれ、逆転写及びDNAシーケンシングに使用した。逆転写及びシーケンシングの産生物は変性ポリアクリルアミドシーケンシングゲルにおいて分析した(GE healthcare)。使用したその他の全ての薬剤は、Amersham Pharmacia Biotech AutoReadシーケンシングキットにより提供された。
【0163】
manPプロモーターの転写開始部位は、プライマーs5006の使用により決定した。同じプライマーを用いたプラスミドpSUN178.4のDNA配列反応を用意し、かつ比較のために同じ変性ゲルにおいて行った。
【0164】
図5は、manPプロモーターの周囲のDNA配列を示していて、A(アデニンヌクレオチド)での転写部位が強調されている。推定の−10と−35ボックスはイタリックで記載されている。manR遺伝子の末端は矢印でマークしてあり、Bg/II、NruI、XbaI、NdeI、Af/IIには下線が引いてある。IRI−Pは、不完全な反転繰り返し配列、推定のManR結合部位を示している。
【0165】
manRプロモーターの転写開始部位をRNA単離で決定し、かつDNAシーケンシングは上記のようにmanPプロモーターに関して実施したが、manR遺伝子中に結合するプライマーs5098を使用した点が異なる。
【0166】
図4には、manRプロモーター領域のDNA配列が示されていて、G(グアニジンヌクレオチド)での転写開始部位が強調されている。推定の−10及び−35ボックスはイタリックで記載し、リボソーム結合部位(RBS)には下線が引いてあり、かつmanR遺伝子の開始はそれぞれ矢印で示されている。制限部位及び推定のcre配列には下線が引いてある。IRI−IRは、不完全な反転した繰返し配列、推定のManR結合部位を示している。
【0167】
manRプロモーターからの、特にmanPプロモーターからの転写は、細胞がマンノースにより誘導される場合に著しく増大し、これはプライマー伸長実験において更に強いシグナルにより見られた。
【0168】
上記の第1表には使用したプライマーが使用されている。
【0169】
実験2
例1によるプライマー伸長実験では、manPプロモーターの転写開始部位は、manRとmanPの開始の間のイタリック体領域の3’−末端の近くに位置した。manPプロモーター領域、2.3kbのDNA断片をより詳細に決定するために、PCR増幅により徐々に短くし、得られた種々の長さの配列断片は、同じ基本的発現ベクターに戻ってクローン化し、かつ発現を調べた。
a)基本的発現ベクターの構築
レポーター遺伝子としてプロモーターの無いlacZを有する発現ベクターを構築した。枯草菌と大腸菌の両方で複製できるシャトルベクターとして発現ベクターを設計し、かつpSUN272.1と名付けた。
【0170】
レポーター遺伝子lacZを、pLA2社(HaldimannA等、2001、J.Bacteriol.183,6384〜6493)のNdeIとXmaIで切断し、かつpJOE553.1.1、すなわちラムノース誘導性発現ベクターpWA21の誘導体であり、XmaI側で枯草菌tufA転写ターミネーターを含んでいるものにライゲーションした(Wegerer等、2008、BMC.Biotechnol.8.2)。このプラスミドにAfIII/MunI制限部位の間にオリゴヌクレオチド対s4956/4957を挿入し、lacZの上流に同じtufA転写ターミネーターを加えた。従って、プラスミドプロモーターからlacZへの"読み過ごし"ならびにlacZの外からフランキングプラスミド配列への"読み過ごし"は、ターミネーターにより避けられた。大腸菌及び枯草菌両方のスペクチノマイシン耐性遺伝子spcは、オリゴヌクレオチドs4833/4835と一緒にプラスミドpDG1730(Geurout−Fleury等、1996、Gene180,57〜61)から増幅し、かつ得られた上記のプラスミドに挿入した。更に、BspHI/HindIII断片を欠失することにより大腸菌ベクター部分を短くした。引き続き、EcoRI/SphI断片と枯草菌pMTLBS72(Lagodich等、2005、Mol.Biol.(Mosk)39,345〜348)の複製領域をプラスミドにライゲーションした。
【0171】
Af/IIとNheIでの消化及びライゲーションにより、実験1で得られた2.3kbのDNA断片をlacZの前でsPUN272.1に挿入し、それにより
図7に示されているようなプラスミドマップを有する発現ベクターpSUN279.2が得られた。上記第1表に示されているようなプラスミドを使用した。
【0172】
b)ベクターpSUN279.2の発現効率の決定
上記a)で得られたプラスミドpSUN279.2とpSUN272.1を枯草菌3NAに挿入した。後者のプラスミドはバックグランドコントロールとして役立った。一方のプラスミド又はもう一方のプラスミドを有する枯草菌3NA株をスペクチノマイシン含有LB培地中で増殖させ、かつ指数増殖フェーズでは、0.2%マンノース又は0.2%マンノース+0.2%グルコース、又は無糖(非誘導型コントロール)のいずれかを誘導のための培地に添加した。1時間後に、細胞のβ−ガラクトシダーゼ活性の誘導をミラーアッセイにより決定した。結果は
図8に記載されている。
【0173】
pSUN279.2を含有する枯草菌の非誘導型培地は、既に極めて高い基底レベルのβ−ガラクトシダーゼ活性を示した。マンノースの存在では更に4倍のβ−ガラクトシダーゼ活性の増大を生じたのに対して、マンノースとグルコースでの活性は減少したが、しかしなお基底レベルよりも極めて高かった。この結果は、pSUN279.2で見られたプロモーター活性が、manRとmanPの間の領域から、manRの上流の領域から、又は両方から生じえたことを明らかに示している。
【0174】
従って、manRの上流領域ならびにmanRの殆どの部分は、
図7に示されているようなpSUN279.2の2.3kbDNA断片をSfoIとNruIの間で切断することにより両方ともpSUN279.2から欠失させ、プラスミドpSUN284.1を生じた。
【0175】
枯草菌3NAを、このプラスミドpSUN284.1で形質転換し、かつ上記のような発現効率を決定した。結果は
図8に示されている。
図8から分かるように、枯草菌におけるこのmanRが欠失したベクターpSUN284.1は、枯草菌3AにおけるpSUN279.2と比べて約半分のβ−ガラクトシダーゼ活性の基底レベルしか示さず、マンノース誘導によってむしろ強い増大を示すが、グルコースの存在で再びより強く減少する。これらの結果は、manPプロモーターはmanRとmanPの間に位置し、かつmanRの染色体コピー数が低いコピー数のプラスミドにおいて全てのmanPプロモーターのコピー数を調節するために十分であることを示している。
c)manPプロモーター領域の位置決め
pSUN284.1の短くしたDNA断片に加えて、manPのプロモーター領域を位置決めするために、PCRによりmanPプロモーターの転写開始部位の上流にある種々の箇所で短くしたDNA断片を増幅し、かつこの断片を
図5に示されているようなpSUN272.1に挿入することにより、更に短くした配列断片を2.3kbのDNA断片から調製した。
【0176】
manPの転写開始部位の−81塩基対下流までと−80上流までの欠失は、配列番号1を含む第二の欠失配列を生じる。
【0177】
更なる欠失は、manPの転写開始部位の−41塩基対下流までと−40塩基対上流までで実施した(第三の欠失配列)。
【0178】
第二の欠失配列を有するプラスミド、pSUN290、及び第三の欠失配列、pSUN297.5は、上記2b)のプラスミドpSUN284.1と同様の方法で構築した。これは、プライマーs4802/s5203及びs5262/s5203と一緒に増幅させたPCR産物を、それぞれpSUN272.1中に制限酵素EcoRVとNheIにより挿入することにより行った。
【0179】
プラスミドを枯草菌3NAに挿入し、かつ上記b)で記載したように培養した。1時間誘導した後に、上記b)で記載したように細胞のβ−ガラクトシダーゼ活性を決定した。結果は
図9に示されている。
【0180】
図9に示されているようにpSUN290とpSUN284.1を有する株はいずれも、マンノースによるlacZの誘導に関して著しい違いがないことを示している。しかし、pSUN297.5を含んでいる枯草菌3NAでは、マンノースによる誘導が完全に消滅していて、かつ基底発現レベルは殆ど0であった。これらの結果から、manPマンノースプロモーター領域のManR結合部位がmanPの転写開始部位に対して−80塩基対と−35塩基対の間に位置していることが分かる。
【0181】
実験3:manRプロモーターの決定
a)cre配列の同定
フィルミクテスにおける殆どのCCRは、カタボライト制御タンパク質A(CcpA)により媒介されるので、各々の結合部位(cre配列)の調査は、全体のマンノースオペロンでクローンマネージャープログラムにおいてDNAアライメント機能を用いて実施された。アライメントにはcreコンセンサス配列5’−WWTGNAARCGNWWWCAWW−3’を使用した。manRのプロモーター領域では、
図4に示されているように、1つだけの推定のcre配列が見出され、これは−10ボックスの下流に位置している。
b)manRプロモーターの発現効率の評価
manRプロモーターの発現効率を評価するために、上記のようにpSUN284.1のような発現ベクターを構築し、かつそれをpSUN291と名付けた。このために、推定のmanR−プロモーターとmanRの約600塩基対上流を含むDNA断片を、プライマーs5208/s5209と、直線化したプラスミドDNApSUN279.2を鋳型として用いて増幅させ、かつKpnIとAf/IIIで消化し、かつライゲーションすることによりプラスミドpSUN272.1中のlacZの前に挿入した。DNA配列は
図4に示されている。
【0182】
プラスミドpSUN291を枯草菌3NAに導入し、かつ実験2b)で記載したようにβ−ガラクトシダーゼ活性を測定した。
【0183】
結果は
図10に示されている。ここでは底発現は既に比較的高く、かつ0.2%マンノースの添加により3倍だけ更に増大した。グルコースの添加は、基底発現レベルに近いβ−ガラクトシダーゼ活性の抑制を導いた。
【0184】
この結果は、manRプロモーターが弱い構成的プロモーターであるだけではなく、マンノースとCCR制御に課されていることを示した。
c)manRプロモーター領域の位置決め
実験2c)のように、manRのプロモーター領域の更なる位置決めのために、pSUN291に含まれているようなDNA配列から種々の長さのDNA断片を、manRプロモーターの転写開始部位の上流の種々の位置で結合するプライマー(プライマーs5932及びs5933)及びlacZ遺伝子の下流で結合するプライマー(s5934)を用いてDNAをPCR増幅することにより調製した(
図4)。
【0185】
第一の欠失配列は、
図4に示されている配列を転写開始部位Gの−82塩基対下流まで、及び−81塩基対上流まで短くすることにより得られ、かつ第二の欠失は、転写開始部位Gの−62塩基対下流まで及び−61塩基対上流まで短くすることにより得られた。
【0186】
実験2c)と同様に、PCR断片をendoR SacIとNheIで消化し、かつ同じ制限酵素で消化したpSUN279.2DNAにライゲーションし、かつ得られたプラスミドをそれぞれpSUN385.2及びpSUN386.9と名付けた。
【0187】
各プラスミドを枯草菌3NAに挿入し、かつ実験2bに記載されているように培養した。1時間の誘導の後、細胞のβ−ガラクトシダーゼ活性を実験2bに記載されているように決定した。結果は
図10に示されている。pSUN291と比べて、pSUN385.2を有する枯草菌3NAのマンノースによるlacZの誘導に関して著しい違いは無い。しかし、第二の欠失配列を有する枯草菌pSUN386.9において、マンノースによる誘導を完全に廃止すると基底発現レベルは殆ど0であった。この結果から、manRプロモーター領域のManR結合部位が、manRの転写開始部位に関して、−81塩基対と−35塩基対の間に位置していることが分かった。ManRの結合部位は、従来のアクチベーターでみられるように−35配列が重複するかもしれない。それというのも、提唱した結合部位で見られた反転した繰返し配列が提唱した−35配列に伸びるからである。
【0188】
II)マンノースオペロンの遺伝子改変された遺伝子領域を有する組換え宿主細胞の構築
実験4:形質転換
a)発現ベクターとしてのプラスミドPMW168.1の構築
図5に示されているような及び実験2cで使用されたプラスミドpSUN284.1中に導入されたmanPプロモーター領域の核酸配列を使用し、プラスミドpMW168.1を以下に記載するように構築し、かつ宿主としての枯草菌3NAに導入した。
【0189】
大腸菌と枯草菌の両方で複製可能なシャトルベクターを実験2aで記載されているように設計したが、lacZの代わりにeGFPをレポーター遺伝子として使用したことが異なる。またmanPの転写開始領域を遺伝子gsiBのものと置き換えた(Stress protein;Juergen等、supra)。これにより、eGFPの開始コドンならびに開始コドンに続く6個のコドンが置き換えられる。
【0190】
得られたプロモーター及び転写開始領域の図式構造は以下の通りである:
【0191】
遺伝子の配列(矢印)及び関連する制限部位を有する領域(ボックス)が示されている。
【0192】
使用したgsiBの転写開始領域の配列は以下のものであった:
【0193】
一般に、
図15のフローチャートに示されているようなプラスミドpMW168.1が得られた。
【0194】
フローチャートでは、使用したベクターDNA、インサート−DNA及び相補的オリゴヌクレオチドは、ボックス内に示されているようなものであり、PCR産物に関して、プライマー及び鋳型DNAは枠の中にあり、使用した制限酵素は各々の部位で示されている。
【0195】
クローニング工程は大腸菌JM109を用いて実施した。使用したプラスミドはpUC18(これはamp−耐性を有するPCR産物用のクローニングベクターである)(Yanosch−Perron等、supra);pWA21(これはamp−耐性を有する大腸菌の発現ベクターとクローニングベクターである)(Wegerer等、2008、BMC Biotechnol.8.2);pSUN202.4a(これはmanPプロモーター領域及びamp耐性及びkan耐性を有するpUB110誘導体であり、大腸菌及び枯草菌のシャトルベクターである);及びpSUN266.1(ter−配列の間に挿入部位を有し、かつspcとamp耐性を有するpUC18誘導体)であった。
【0196】
プラスミドpSUN266.1は、ラムノース誘導性発現ベクターpWA21の誘導体であり、その際ラムノースプロモーターとeGFP遺伝子は、直線方向で枯草菌のtufA遺伝子の2個の転写ターミネーターを含んでいる配列により置き換えられていて、かつBamHI、SmaI及びAf/IIの制限部位(以下の配列参照)ならびにスペクチノマイシン耐性遺伝子により分離されている。この耐性遺伝子は、プラスミドpDG1730(Cuerout−Fleury等1996)とプライマーs4833とs4835(第1表)から増幅した。最終的な構築物pMW168では、マンノースプロモーターとeGFP遺伝子を2個のtufA転写ターミネーター配列の間に挿入した。
【0197】
【0198】
2個のtufAターミネーター配列のヌクレオチド配列(太字のイタリック体)ならびに配列の間及び配列の末端の制限部位(下線)が示されている。
【0199】
開始コドン及び開始コドンに続くコドンを含む転写開始領域の置き換えは、相補的オリゴヌクレオチドを用いて、及び1つの制限部位Bg/II、Af/II及びBamHIにより実施した。ベクターの構築は、それぞれ相補的オリゴヌクレオチドs5019とs5020による枯草菌からのtufAの転写開始領域によるベクターpWA21のT7遺伝子10の転写開始領域の置き換えで開始した(Wegerer等、supra)。更なるクローニング工程では、この転写開始領域をgsiBにより置き換えた(オリゴヌクレオチドs5236/s5237)。最終的なプラスミドpMW168.1は、pUB110からのori+を含むrep遺伝子を有していた。
【0200】
pMW168.1のプラスミドマップは
図11に示されている。
【0201】
b)manP(ΔmanP)とmanA(ΔmanA)が欠損している欠失ミュータント株
b1)manPを欠失するための挿入ベクター
挿入ベクターpSUN356.7を使用して、胞子形成欠損枯草菌NAの染色体においてマンノースオペロンからのマンノースに特異的なEIIをコード化する遺伝子manPを欠失し、かつ得られた株を枯草菌TQ356と名付けた(spo0A manP::ermC)。選択マーカーとしてエリスロマイシン耐性カセットを使用した。
【0202】
ベクターpSUN356.7は、pUS18誘導体(アンピシリン耐性)であり、かつmanRとmanAの配列によりフランクされているエリスロマイシン耐性遺伝子ならびに置換カセットの外側には、スペクチノマイシン耐性遺伝子を含んでいる。スペクチノマイシン耐性遺伝子をpDG1730から増幅した(上記のpSUN266.1参照)。エリスロマイシン耐性遺伝子をプライマーs5069とs5070によりプラスミドpDG1730から増幅した。manR遺伝子のC末端は、プライマーs5407とs5408により枯草菌DNAから増幅し、かつエリスロマイシン遺伝子の一方の末端に挿入した。manAのN−末端は、プライマーs5362とs5363により枯草菌染色体から増幅し、かつエリスロマイシン耐性遺伝子のもう一方の末端に挿入した。プラスミドpSUN356.7のマップは
図12に示されている。
【0203】
b2)manAの欠失
更に、胞子形成欠損枯草菌3NAの染色体において、枯草菌TQ281(spo0A3、manA::ermC)で生じる挿入ベクターpSUN281と一緒に、マンノースオペロンからmanAが欠損した枯草菌ノックアウトミュータントを生産した(SunT等、supra参照)。
【0204】
遺伝子manAは、マンノース−6−ホスフェートをフルクトース−6−ホスフェートに変換するマンノース−6−ホスフェートイソメラーゼをコード化する。
【0205】
成功した欠失を監視するために、エリスロマイシン耐性カセットを使用した。
【0206】
b3)形質転換
上記b1)とb2)による枯草菌TQ356と枯草菌TQ281は、それぞれ上記a1)で得られたプラスミドpMW168.1で形質転換した。
【0207】
使用した培地:
a)最小グルコース(MG):
(NH
4)SO
4 2.0g
KH
2PO
4 6.0g
K
2HPO
4 14.0g
クエン酸ナトリウム 1.0g
MgSO
4*7H
2O 0.2g
グルコース(20〜50%ストック溶液として別個に) 5.0g
b)培地I:
MG 9.50ml
カザミノ酸(1%ストック溶液) 0.20ml
MgSO
4(1Mストック溶液) 0.05ml
c)培地II:
MG 8.00ml
カザミノ酸(1%ストック溶液) 0.10ml
MgSO
4(1Mストック溶液) 0.05ml
形質転換はAnagnostopulos等のプロトコール"Requirememnts for transformation in Bacillus subtilis"J.Bacteriol.(1961)81:741〜746に倣って実施した。各細菌株の単独のコロニーを5mlの培地Iに入れて、かつローラー中、37℃で一晩インキュベートした。オーバーナイト培養した物1ml(1と2の間のOD
600)をバッフル付き三角フラスコ100ml中の培地II8mlに移し、かつ37℃で85分間インキュベートした。次に、コンピテント細胞1mlをシュッテ社(Schuett Company)の試験管に移し、かつ各々の挿入ベクターと混合した。コンピテント細胞と混合する前に、挿入ベクターを重要では無い部位でシングルカッターで切断しておいた。得られた混合物をイソプロパノールにより沈殿させ、かつ室温で少なくとも2時間ライゲーションした。
【0208】
次に、得られた形質転換細胞を37℃にてローラー中で30分間インキュベートし、4500rpmで室温にて5分間遠心分離した。ペレットを残った液体中で再懸濁させ、かつプレート塗布した。
【0209】
実験5:発酵
5.1 材料と方法
特記されない限り一般に発酵実験にも標準の分子技術が使用された。
発酵に使用した培地の組成物
オーバーナイト培養と予備培養#1は、0.02%(w/v)カザミノ酸(BD Difco
TM、Sparks、米国、メリーランド)ならびにプラスミド選択のための100μgmL
-1スペクチノマイシン及び株選択のための5μgmL
-1エリスロマイシン(TQ281とTQ356の場合)を補充したSpizizenの最小塩培地(SMM)(Spizizen J.,Proc.Natl.Acad.Sci.U.S.A.44,1958,1072〜1078)中で実施した。予備培養#2と発酵培地(バッチ)を、次のものから成るWilms等(WilmsB等、Biotechnol.Bioeng73,2001,95〜103)により変性した無機培地を用いて実施した:1.0gL
-1(NH
4)
2−H−クエン酸塩、2.0gL
-1gNa
2SO
4、2.68gL
-1Na
4SO
4、0.5gL
-1NH
4Cl、14.6gL
-1K
2HPO
4、4.0gL
-1Na
2HPO
4×2H
2O、1.0gL
-1MgSO
4×7H
2O、3mlL
-1微量元素溶液(TES)、予備培養#2のための5gL
-1グルコース及びバッチ培地用の25gL
-1グルコース。TESは0.5gL
-1CaCl
2、0.18gL
-1ZnSO
4×7H
2O、0.1gL
-1MgSO
4×H
2O、10.05gL
-1Na
2−EDTA、8.35gL
-1FeCl
3、0.16gL
-1CuSO
4×5H
2O、及び0.18gL
-1CoCl
2×6H
2Oを含有している。高細胞密度発酵のための供給培地は、KLF反応器を使用した場合には200gL
-1グルコース、7.89gL
-1MgSO
4×7H
2O、TES40mL
-1及び63.36gL
-1(NH
4)
2HPO
4を含有していた。pHを3.3に調節し、全ての成分の溶解性を確実にした。30リットルの反応器を使用した場合には2つの別々の供給培地を使用した。1番目の培地は、654.76gL
-1グルコース×H
2O、23.5gL
-1MgSO
4×7H
2O、TES120mL
-1を含有し、2番目の培地は396gL
-1(NH
4)
2HPO
4を含有していた。manPプロモーターを誘導するために、20%(w/v)D−マンノース溶液、又は次のもの:200mL
-1マンノース、7.89gL
-1MgSO
4×7H
2O、TES40mL
-1及び63.36gL
-1(NH
4)
2HPO
4を含有している別々の供給溶液を使用した。
【0210】
予備培養及びフェドバッチ培養の条件
LBアガールプレートからの単独のコロニーをSMM5ml中で接種し、かつ37℃で少なくとも14時間一晩インキュベートした。SMM25mlを250ml振盪フラスコに移し、オーバーナイト培養を接種し、600nm(OD
600)で0.05の光学密度を達成した(予備培養#1)。37℃で5時間インキュベートした後に、20mlの予備培養#1を使用して、予備培養#2の200mlを1000ml振盪フラスコ中の培地に接種した(予備培養#2)。更に37℃で7時間インキュベートした後に、バッチ培養培地を予備培養#2で接種した。
【0211】
主要炭素源としてのグルコースで予め発育させ、かつ大腸菌に最適化したフェドバッチ発酵のセットアップを使用した(Korz D.J等、J.Bacteriol.39,1995,59〜65;Wilms supra)。3.7リットルの小さな実験用発酵装置KLF(Bioengineering AG、バルド、スイス)を使用した場合には、バッチ容量は1.5リットルであり、供給容量は1.0リットルであった。30リットルの実験室用発酵器D598(LF;Bioengineering AG、バルド、スイス)の場合には、バッチ容量は8.0リットルであり、グルコース供給培地は4.2リットル、及びアンモニア供給培地は1.0リットルであった。グルコースとアンモニア培地は反応器に81%:19%の比で供給した。供給培地を次の等式1:
F(t)=[(μ
set/Y
x/s)+m]×[(C
x0/V
0)/C
s0]×exp(μ
set×t)
[式中、
F(Lh
-1)は、供給速度であり、
μ
set(h
-1)は所望の特定の増殖速度であり、
m(gg
-1h
-1)は、特定の維持係数(=0.04gg
-1h
-1)であり、
Y
x/sは特定のバイオマス/基質収率係数(グルコースには約0.5)であり、
C
x0(gL
-1)は、供給開始時のバイオマス濃度であり、
V
0(L)は、供給開始時の反応器の体積であり、
C
s0(gL
-1)は、供給溶液中へのグルコースの濃度であり、かつ
t(h)は供給開始後の時間である]
によりバイオリアクターに供給した。0.1h
-1の特定の供給速度μは、非特異的でかつ不所望の副生成物の生産を回避するように、かつ酸素制限を回避するように選択された。
【0212】
フェドバッチフェーズの開始と共に温度が30℃にシフトするまでバッチを37℃で実施し、発現した異種タンパク質の封入体形成の包含を回避した。pHは24%(v/v)NH
4OHと20%(v/v)H
3PO
4でそれぞれ7.0に調節した。自動的に撹拌速度を調節することによりpO
2の値は50%飽和を超えるように維持した。KLFを使用する場合には通気速度は2L/分で一定に保持し、LFを使用する場合には15〜25L/分の間に保持した。過圧は、0.5バールで保持した。定期的にUltraspec
TM1100 proUV/可視分光光度計(GE Healthcare,formerly Amersham Biosciences,United Kingdom)を用いてOD
600の測定により細胞密度を決定した。細胞の乾燥質量(cdw)はOD
600の値と0.322g
cdwL
-1の係数を掛けることにより計算し、これは発酵の間にMB835ハロゲンを用いる数回の湿分測定後に平均値として得られた(Ohaus Corporation,Pine Brook,米国、ニュージャージー)。発酵パラメーターの制御にBiolog1.7ソフトウェアパッケージ(ドイツ、シュトゥットガルト大学、生物化学工学科[http://www.ibvt.uni−stuttgart.de])を使用した。フェドバッチ発酵はプロセス時間の約40時間後に終了した。
【0213】
オンライン及びオフライン蛍光測定
生産した組換えeGFPの発現率をリアルタイムで追跡するために、蛍光プローブ(Mikropack HPX−2000,High Power Xenon Lightsource; Ocean Optics,Inc.;S2000 fibre optic Spectrometer;米国、ダニーディン、フロリダ)をバイオリアクター内で使用した。励起波長は485nmであったのに対して、発光は535nmで検出され、かつSpectra Suiteソフトウェアパッケージ(Ocean Optics、米国、ダニーディン、フロリダ)によりオンラインで記録された。蛍光灯は光学フィルターを通して0.6の強さで繋いだ。プローブの積分時間は50ミリ秒であった。ソフトウェアは4000カウントまでの値しか数えることができなかったので、より高い値に達する直前に積分時間を徐々に減らした。従って、後から蛍光カントを相応の減少係数と掛けて、50m秒に相応する値を得た。測定値は、特定の反応器の体積に特異的であった。
【0214】
更に、蛍光活性のオフライン測定は、SpectraFluor Microplate Reader(テカン社、スイス、マンネドルフ)の使用により行った。そのために、3×250μlのバッチ培地を空試験値として使用して(励起フィルター:485nm;エミッションフィルター:535nm;獲得(マニュアル):60;積分時間:20μ秒;フラッシュの回数:3回;点検モード:トップ)、未希釈の細胞培養培地3×250μlを96ウェル−マイクロプレート(Greiner−Bio One GmbH、ドイツ、フリッケンハウゼン)中で測定した。空試験値の平均をサンプルの平均から差し引いて、最終値を得た。細胞培養培地は20000カウントに到達し次第バッチ培地中で希釈された。
【0215】
内部精製したeGFP標準(約95%の純度、1.3gL
-1)に対するキャリブレーションから、約120000のオフライン測定カウントが1g
eGFPL
-1に相当することが伝達された。オフラインとオンラインの測定値の間に線状の整合性が存在し、7470オンライン測定カウント当たり、1.5g
eGFPL
-1の相関を生じることを示すことができた。
【0216】
プラスミド安定性の決定
ベクターpMW168.1の安定性は、ハーウッドとカッティング(Harwood and Cutting)による、プラスミド含有細胞のフラクションを測定することにより決定した(HarwoodC.R.等、Molecular Biological Methods for Bacillus,1990,John Wiley&Sons Ltd.,英国、チチェスター)。
【0217】
SDS−PAGEによるタンパク質分析
粗細胞抽出物は、以下のように得られた:10
10細胞を回収し、かつ遠心分離した。ペレット化した細胞を50mMリン酸ナトリウム緩衝液(pH7.5)1mlで再懸濁し、かつ超音波を用いて可溶化した(Heat Systems−Ultrasonics,Inc.,model W−385 sonicator,Farmingdale、米国、ニューヨーク;3×30秒、50%デューティサイクル)。
【0218】
可溶性タンパク質のフラクションは、遠心分離後に上澄み液から得られ、不溶性フラクションは50mMリン酸ナトリウム緩衝液(pH7.5)1mlでペレットを再懸濁することにより得られた。タンパク質フラクションは、SDS−PAGEにより分析した(Laemmi、U.K.Nature 227,1970,680〜685;LeBlanc D.J.等、Antimicrob.Agents Chemother35,1991,1804〜1810)。
【0219】
5.2 枯草菌3NA/pMW168.1を用いる高細胞密度発酵
枯草菌3NA/pMW168.1を用いるマンノース発現系をフェドバッチ発酵で試験した。1つのセットアップを予め記載したように使用した(Korz等、Wilms等、supra)。
【0220】
LF撹拌反応器中で実施された初めの発酵では、フェドバッチフェーズが開始すると同時に0.2%(w/v)D−マンノースの割増し分を培養液に添加した。それまでに著しい蛍光を示さなかったプローブの蛍光シグナルは、誘導直後に極めて早く増大した。フェドバッチフェーズで4時間後に約2200カウントでピーク値に達した後に、シグナルは再び安定して下がり始めた。この減少は、インデューサーの消費を伴った(HPLCにより測定、データは表示されていない)。プロセスの終わりには、1g
cdw当たり、0.2g
eGFPL
-1又は3mg
eGFPが生産された。
【0221】
2番目の発酵では、更に指数関数的D−マンノースの供給が使用された。これはグルコース供給と同時に開始し、両方の供給物の全体の糖濃度を1番目の発酵と同じくらい高く維持していた。蛍光シグナルは、インデューサーを添加した直後に開始し、かつプロセスの終わりまで伸びた。50gD−マンノースの全大量を反応器の発酵液に添加し、この増大を保持した。この誘導レジームで1g
cdw当たり、2.1g
eGFPL
-1又は53mg
eGFPが生産された。枯草菌3NA/pMW168.1で実施された2つの発酵の詳細な結果は、5.5の結果に示されている表にまとめられている。
【0222】
eGFPの生産は、全体の供給フェーズにわたり増大したが、バイオマス生産よりもゆっくりであった。プラスミドの安定性のチェックにより、両方の発酵プロセスの終わりに細胞の約95%がなおベクターを有することが明らかになった。
【0223】
5.3 ΔmanA株TQ281を用いる高細胞密度発酵
単独の炭素源としてのマンノースおいて増殖できないmanA欠失株TQ281(SunT等、supra)を更なる発酵実験に選択した。pMW168.1で形質転換した枯草菌TQ281は、振盪フラスコ実験において、D−マンノースに対して感度を示した。
【0224】
2つのフェドバッチ発酵をTQ281/pMW168.1でセットアップした。1番目のフェドバッチ発酵では、誘導は、フェドバッチフェーズの開始時にマンノースを単独で添加して行われた。2番目のフェドバッチ発酵では、更に指数関数的マンノースの供給を同時に開始した。D−マンノースでの誘導は、フェドバッチフェーズでの特定の増殖率に著しいインパクトを示さなかった。単独の添加の攻略では、1g
cdw当たり、36mg
eGFPに相当する0.71g
eGFPL
-1を達成でき、指数関数的供給の攻略では、1g
cdw当たり、32mg
eGFPに相当する1.9g
eGFPL
-1であった。2つの発酵の詳細な結果は、5.5の結果の表に挙げられている。
【0225】
5.4 ΔmanP株TQ356を用いる高細胞密度発酵における自動誘導性発現系の発育と適用
枯草菌ΔmanP株TQ356は、P
manPからの非誘導的条件下に構成的な発現を示し、ならびにグルコースが存在した場合にはCCR効果を示した(Sun R等、supra)。この株は、pMW168.1で形質転換されていて、むしろ小さな蛍光コロニーを生じた。選択培地に0.5%(w/v)グルコースを添加した後に、コロニーの増殖が標準化された。振盪フラスコ実験では、グルコースが消費された場合に高い発現レベルが達成された(データ表示なし)。
【0226】
次に、pMW168.1が宿っている枯草菌TQ356をフェドバッチ発酵に使用した(
図13)。バッチフェーズでは、枯草菌株3NA/pMW186とTQ281/pMW168に類似した著しい蛍光は検出されなかった。フェドバッチフェーズの開始と共に、反応器プローブの蛍光シグナルが連続的に増大し始めた。発酵プロセスの終わりまで14.6%の一定のY
p/x値により分かるように、全発酵時間の36時間後に細胞中の発現レベルが最大に達した。これは一定の特異的な生産率に相応する。1g
cdw当たり146mgのeGFPに相当する約10g
eGFPL
-1がインデューサーを添加せずに生産された。以下に記載した5.5の結果の表に、発酵の結果がまとめられていて、かつ他に実施した発酵と比較されている。SDS−PAGEを実施し、全体のタンパク質と比べて、発現したeGFPのパーセンテージについての情報を得た(
図14)。これからわかるように、全体のタンパク質の少なくとも20%は、eGFPタンパク質である。少量のフラクションだけは不溶性であり、かつ封入体の形で存在していた(
図14、レーン7)。未希釈の培養液の上澄み液もSDS−PAGEにより分析し(
図14、レーン8)、かつ分光光度により測定した。測定した全体のeGFPの約1%は、発酵プロセスの全体にわたり進行中の細胞分解によるものと思われる上澄み液で見られた。プラスミドの安定性と細胞形態を発酵プロセスの全体にわたりチェックした。
【0227】
5.5 結果
5.2〜5.4で実施した発酵の結果は以下の表にまとめてある。
【0228】
種々の誘導レジームに関して実施した発酵と、発現ベクターpMW168.1bを用いた使用枯草菌の比較
【表5】
表中の略語とパラメーターの説明:
SA:インデューサー(マンノース)の単独の添加;
EF:インデューサー(マンノース)の指数関数的供給;
Al:自動的誘導;
final:発酵プロセスの最後で;
LF:30リットルの実験室用発酵装置;
KLF:3.7リットルの小さな実験室用発酵装置;
Δtfb:フェドバッチ時間/期間、
final:発酵の最後で;
C
x、final:細胞乾燥質量(濃度);
X
final:完全な細胞乾燥質量;
cP、
final:産生物の濃度;
P
eGFP、final:完全な産生物(eGFP);
YP/X:細胞乾燥質量1g当たりの産生物:
rP:特定の生産率;
qP:体積の生産率。
【0229】
これらの結果から分かるように、バッチフェーズの間には、リポーターeGFPの発現は実施的に行われなかった。5.4の自動誘導性発酵では、バッチフェーズとフェドバッチフェーズの間のグルコース−制限転写フェーズの開始時での自動誘導の開始、及び内部グルコース制限フェドバッチフェーズを通してのその持続は、1g
cdW当たり146mgGPFまでの産生物収率に3倍の増大を生じた。
【0230】
更に、TQ281(発酵5.3)で得られた結果から分かるように、0.7g(eGFP)/Lのインデューサーを単独で添加することにより得られる収率は、指数関数的フェーズの間にインデューサーを更に添加することで1.9g/Lまで著しく増大した。
【0231】
5.6 考察
発酵5.2〜5.4では、マンノースプロモーターPmanPを含んでいるベクターpMW168.1中で枯草菌の発現系を使用してeGFPの発現を促進した。プロモーターPmanPは、D−マンノースの添加において活性化される強いプロモーターであることが判明した。
【0232】
発酵5.2では、このベクターで形質転換しておいた胞子形成欠損枯草菌株3NAは、高い産生物レベル(すなわち2.1g
eGFPL
-1)を生じた。バチルス・メガテリウムで最近記載された系(Stammen等、Appl.Environ.Microbiol.76,2010,4037〜4046)と比較して、組換え体タンパク質を生産するための見込のある宿主系、すなわち枯草菌系は優れた結果を生じた。キシロースにより誘導可能である細胞内でのバチルス・メガテリウムタンパク質生産系は、1.25g
eGFPL
-1を生じ、これはフェドバッチ発酵では1g
cdw当たり36.8mgに相当する。更に、Stammen等(supra)は、発酵プロセスの終わりまで抗生物質を使用したので、その結果、発酵プロセスの間にプラスミドは失われなかった。
【0233】
発酵5.2は、マンノース系がむしろ生産性に関して効率的であることを示しているが、しかし、インデューサーを一度に加えることは、永久的に高い発現率をもたらさない。これは、枯草菌の好物の炭素源のうちの1つであるので、インデューサーであるマンノースの急速な消費による。
【0234】
従って、本発明は、胞子形成欠損枯草菌宿主細胞において異種ポリペプチドを生産する方法に関し、該方法は、胞子形成欠損枯草菌細胞を、ポリペプチドをコード化するヌクレオチド配列に作動的に連結したmanPプロモーターを含んでいるベクターでトランスフェクトし、形質転換した宿主細胞を、前記ポリペプチドの発現を可能にするために適切な条件下に培地中で増殖させ、かつポリペプチドを細胞から又は細胞培養から回収する工程を含み、それにより、ポリペプチドの発現はインデューサーであるマンノースの添加により誘導される。本発明の有利な実施態様では、インデューサーであるマンノースは、フェドバッチフェーズの開始時に添加される。他の有利な実施態様では、インデューサーであるマンノースは、フェドバッチフェーズの開始時にまず添加され、かつマンノースの2番目の添加は、グルコース供給と同時に指数増殖の間に実施される。
【0235】
少ないインデューサーを要求する発現系は、マンノース−6−ホスフェートイソメラーゼ遺伝子manAの中断により発酵5.3で達成された。これは振盪フラスコ実験で観察できたように、高い発現率を得るためにより少ないインデューサーしか必要としない系を生じた。
【0236】
しかし、この系は細胞の自己被毒を伴った。それというのも、0.5%(w/v)を上回るマンノースの量を使用した場合に、増殖が阻害されたからである。この作用は、おそらくマンノース−6−ホスフェートが細胞内に蓄積したものによる。マンノースに対するΔmanA株TQ281の感受性の可能性としてあり得る他の理由は、利用可能なホスフェート基の強い還元力であろう。それというのも、ホスフェートがPTSにより開始細胞に入った場合に、不可逆的にマンノースに結合するからである。
【0237】
従って、本発明はmanA遺伝子に欠損のある枯草菌宿主細胞において異種ポリペプチドを生産する方法に関し、該方法は、manA遺伝子に欠損のある枯草菌細胞を、ポリペプチドをコード化するヌクレオチド配列に作動的に連結したmanPプロモーターを含んでいるベクターでトランスフェクトし、形質転換した宿主細胞を、前記ポリペプチドの発現を可能にするために適切な条件下に培地中で増殖させ、かつポリペプチドを細胞から又は細胞培養から回収する工程を含み、それにより、ポリペプチドの発現は0.5%(w/v)を超えない量でインデューサーであるマンノースの添加により誘導される。本発明の有利な実施態様では、インデューサーであるマンノースは、フェドバッチフェーズの開始時に添加される。他の有利な実施態様では、インデューサーであるマンノースは、フェドバッチフェーズの開始時にまず添加され、かつマンノースの2番目の添加は、グルコース供給と同時に指数増殖の間に実施される。
【0238】
どのインデューサーも必要としない誘導レジームは、実験5.4に示されている。自動誘導系は、ΔmanP株TQ356と発現ベクターpMW168.1を用いて実行された。
【0239】
TQ356のようなトランスポーターがマイナスの株では、マンノースプロモーターはグルコースに関わるCCRによる制御コントロール下にだけある。これは、例えば発酵プロセスのバッチフェーズの場合である。同族のトランスポーターManPによるマイナスの制御効果は、無効になる。それにもかかわらずグルコースが存在する限り、レギュレーターは不活性な状態のままである。更に、manRオペレーター部位が遮断されているので十分な量のManRが存在しない。グルコースが制限されないまで、ManRはそのオペレーター配列に結合することができ、かつ発現を開始する。この自動誘導系は、むしろ高価なインデューサーの必要性を不要にする。この洗練された誘導攻略は工業用途に極めて有望である。それというのも、極めて不要な基底発現がバッチフェーズで行われず、かつインデューサーを添加する必要が無くフェドバッチフェーズの全体を通して高い発現レベルを得られるからである。
【0240】
それにもまして、発酵5.2と5.3と比べて、高い生産性と組み合わさって比較的に高い発現率も得られるであろう。1g
cdw当たり146mg
eGFPに相当する約10gL
-1の組換え体タンパク質(eGFP)が生産された。蛍光顕微鏡及びSDS−PAGE分析による観察から分かるように、産生物はその溶解性により細胞内に均一に分布していた。高い発現率、すなわち高い生産性は、発酵プロセスの終わりまで一定に高いレベルで保持されていた。
【0241】
従って、本発明はトランスポーターがマイナスの枯草菌宿主細胞、例えばmanP遺伝子が欠損しているような細胞内で、異種ポリペプチドを生産する方法にも関し、これはトランスポーターがマイナスの枯草菌細胞を、ポリペプチドをコード化するヌクレオチド配列に作動的に連結したmanPプロモーターを含んでいるベクターでトランスフェクションし、形質転換した宿主細胞を、前記ペプチドの発現を可能にするために適切な条件下に培地中で増殖させ、かつポリペプチドを細胞から又は細胞培養から回収する工程を含む。それにより、ポリペプチドの発現はマンノースにより誘導されるのではなく、グルコースの制御下にある。