特許第6071892号(P6071892)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6071892
(24)【登録日】2017年1月13日
(45)【発行日】2017年2月1日
(54)【発明の名称】過弗化物の分解処理方法および処理装置
(51)【国際特許分類】
   B01D 53/86 20060101AFI20170123BHJP
   B01D 53/68 20060101ALI20170123BHJP
【FI】
   B01D53/86 270
   B01D53/86 275
   B01D53/86ZAB
   B01D53/68 220
【請求項の数】13
【全頁数】21
(21)【出願番号】特願2013-539634(P2013-539634)
(86)(22)【出願日】2012年10月15日
(86)【国際出願番号】JP2012076600
(87)【国際公開番号】WO2013058211
(87)【国際公開日】20130425
【審査請求日】2015年7月16日
(31)【優先権主張番号】特願2011-229777(P2011-229777)
(32)【優先日】2011年10月19日
(33)【優先権主張国】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000002004
【氏名又は名称】昭和電工株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001070
【氏名又は名称】特許業務法人SSINPAT
(72)【発明者】
【氏名】入江 一芳
(72)【発明者】
【氏名】早坂 裕二
(72)【発明者】
【氏名】鳥巣 純一
(72)【発明者】
【氏名】小野寺 正直
【審査官】 松本 直子
(56)【参考文献】
【文献】 特開2003−340239(JP,A)
【文献】 特開2010−179223(JP,A)
【文献】 特開2007−029790(JP,A)
【文献】 特開2010−162464(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2008/0119351(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B01D 53/86
B01D 53/14
B01D 53/68
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
(1)過弗化物を含む排ガス、および、水または水蒸気を予熱する工程と、
(2)前記工程(1)で予熱した排ガス、および、水または水蒸気をさらに加熱する工程と、
(3)前記工程(2)で加熱された排ガスに含まれる過弗化物を触媒によって分解することにより、酸性ガスを含む分解ガスを発生させる工程と、
(4)前記工程(3)で発生させた分解ガスを、前記工程(1)の排ガス、および、水または水蒸気と熱交換することにより冷却する工程と、
(5)前記工程(4)で冷却した分解ガスに含まれる酸性ガスを、カルシウム塩と接触させることにより除去する工程とを含み、
前記工程(1)が、前記工程(3)で発生させた分解ガスとの熱交換による予熱を含み、かつ、過弗化物を含む排ガス、および、水または水蒸気を同時に熱交換することを特徴とする過弗化物の処理方法。
【請求項2】
前記工程(1)が、過弗化物を含む排ガス、および、水または水蒸気を混合した混合ガスと、前記工程(3)で発生させた分解ガスとを熱交換することにより行われることを特徴とする請求項1に記載の過弗化物の処理方法。
【請求項3】
前記工程(5)が、カルシウム塩が充填された酸性ガス除去装置を用いて行なわれることを特徴とする請求項1または2に記載の過弗化物の処理方法。
【請求項4】
前記酸性ガス除去装置から前記酸性ガスと反応したカルシウム塩を排出し、かつ、
前記酸性ガス除去装置にカルシウム塩を供給することを特徴とする請求項3に記載の過弗化物の処理方法。
【請求項5】
前記カルシウム塩の排出および供給が、前記酸性ガス除去装置で前記酸性ガスを除去した後の分解ガスに含まれる酸性ガスの濃度に基づいて行われることを特徴とする請求項4に記載の過弗化物の処理方法。
【請求項6】
前記カルシウム塩の排出および供給が、前記酸性ガス除去装置内に充填されたカルシウム塩の温度に基づいて行われることを特徴とする請求項4に記載の過弗化物の処理方法。
【請求項7】
過弗化物を含む排ガス、および、水または水蒸気を加熱する加熱器と、
前記過弗化物を分解する触媒層と、
前記過弗化物の分解により生じた分解ガス中の酸性ガスを、カルシウム塩と接触させて除去する酸性ガス除去装置と、
前記排ガス、および、水または水蒸気と、前記分解ガスとを同時に熱交換することで、前記排ガス、および、水または水蒸気を予熱するとともに、前記分解ガスを冷却する熱交換器とを含むことを特徴とする過弗化物の処理装置。
【請求項8】
前記熱交換器が、過弗化物を含む排ガス、および、水または水蒸気を混合した混合ガスと、過弗化物を分解することで生じた分解ガスとを熱交換する熱交換器であることを特徴とする請求項7に記載の過弗化物の処理装置。
【請求項9】
前記酸性ガス除去装置が、前記分解ガスに含まれる酸性ガスと反応したカルシウム塩を前記酸性ガス除去装置から排出するカルシウム塩排出器と、
カルシウム塩を供給するカルシウム塩供給器とを具備することを特徴とする請求項7または8に記載の過弗化物の処理装置。
【請求項10】
前記酸性ガス除去装置から排出された分解ガスに含まれる酸性ガスの濃度を検出する酸性ガス濃度検知器と、
該酸性ガス濃度検知器の測定濃度に基づいて前記カルシウム塩排出器および前記カルシウム塩供給器を制御する制御装置とを、さらに含むことを特徴とする請求項9に記載の過弗化物の処理装置。
【請求項11】
前記酸性ガス除去装置に充填されたカルシウム塩の温度を検出する温度検出器と、
該温度検出器の測定温度に基づいて前記カルシウム塩排出器および前記カルシウム塩供給器を制御する制御装置とを、さらに含むことを特徴とする請求項9に記載の過弗化物の処理装置。
【請求項12】
2台以上の過弗化物分解装置と、
前記過弗化物分解装置にカルシウム塩を供給するカルシウム塩タンクと、
カルシウム塩タンクからカルシウム塩を過弗化物分解装置に一定量供給するカルシウム塩供給装置と、
2台以上の過弗化物分解装置に、圧縮空気を用いてカルシウム塩を供給するためのカルシウム塩供給切替機構を備えたカルシウム塩供給配管と、
カルシウム塩を前記カルシウム塩供給装置から過弗化物分解装置まで移送させるための圧縮空気を、カルシウム塩供給配管に供給する圧縮空気供給装置と、
過弗化物分解装置からのカルシウム塩供給の信号に基づき、カルシウム塩供給装置、カルシウム塩供給切替機構および圧縮空気供給装置を制御する制御装置とを含み、
前記過弗化物分解装置が、
過弗化物を含む排ガス、および、水または水蒸気を加熱する加熱器と、
前記過弗化物を分解する触媒層と、
前記過弗化物の分解により生じた分解ガス中の酸性ガスを、カルシウム塩と接触させて除去する酸性ガス除去装置と、
前記排ガス、および、水または水蒸気と、前記分解ガスとを同時に熱交換することで、前記排ガス、および、水または水蒸気を予熱するとともに、前記分解ガスを冷却する熱交換器とを含む過弗化物の処理装置。
【請求項13】
2台以上の過弗化物分解装置と、
前記過弗化物分解装置から排出されるカルシウム塩を回収するカルシウム塩回収タンクと、
2台以上の過弗化物分解装置から、圧縮空気を用いてカルシウム塩を回収するためのカルシウム塩回収切替機構を備えたカルシウム塩回収配管と、
カルシウム塩を前記過弗化物分解装置からカルシウム塩回収タンクに移送させるための圧縮空気を、カルシウム塩排出槽および前記カルシウム塩回収配管に供給する圧縮空気供給装置と、
過弗化物分解装置からのカルシウム塩排出の信号に基づき、カルシウム塩回収切替機構および圧縮空気供給装置を制御する制御装置とを含み、
前記過弗化物分解装置が、
過弗化物を含む排ガス、および、水または水蒸気を加熱する加熱器と、
前記過弗化物を分解する触媒層と、
前記過弗化物の分解により生じた分解ガス中の酸性ガスを、カルシウム塩と接触させて除去する酸性ガス除去装置と、
前記排ガス、および、水または水蒸気と、前記分解ガスとを同時に熱交換することで、前記排ガス、および、水または水蒸気を予熱するとともに、前記分解ガスを冷却する熱交換器とを含む過弗化物の処理装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、過弗化物の分解処理方法およびその処理装置に関し、特に半導体製造装置、液晶製造装置または太陽電池製造装置等から排出された過弗化物をエネルギー効率よく分解するとともに、分解で発生する分解ガスに含まれる酸性ガス成分を除去するのに好適な過弗化物の分解処理方法およびその処理装置に関する。
【背景技術】
【0002】
過弗化物(perfluorocompound、PFC)は、CF4、CHF3、C26、CH22、C38、C48、C58、SF6およびNF3等の、炭素とフッ素、炭素と水素とフッ素、硫黄とフッ素、および窒素とフッ素の化合物の総称である。過弗化物は、半導体製造プロセス、液晶製造プロセスまたは太陽電池製造プロセスにおいて、エッチング用ガス、クリーニング用ガスまたはアッシング用ガスに使用されている。
【0003】
過弗化物は、上記製造プロセス中ですべてが消費されるのではなく、供給した過弗化物の約10〜50%が製造工程で消費されないまま、大気中に放出されている。
【0004】
過弗化物は、大気中では数万年というオーダーで長期間安定に存在し、二酸化炭素の数千倍〜数万倍の赤外線を吸収する性質を有しているため、地球温暖化の原因物質の一つとされている。地球温暖化防止のための京都議定書では、規制対象ガスの一つであり、大気への放出量の削減が強く求められている。
【0005】
過弗化物の大気放出抑制策として、種々の除害(分解)方法が検討されており、燃焼ガス中で燃焼させる燃焼法、触媒を用いた触媒法およびプラズマを用いたプラズマ法等がある。
【0006】
しかし、過弗化物は分解しにくい安定な物質であるために、分解するには過弗化物を含む排ガスを高温にする必要がある。高温ガスを得るために、燃焼法では、燃料として都市ガス、プロパンガスまたはメタンガス等を燃焼させることで直接加熱を行い、触媒法では、電気ヒータでの間接加熱を行っている。例えばCF4を分解する場合、燃焼法では約1200℃以上、触媒法では約700〜800℃が必要である。
【0007】
半導体製造工場、液晶製造工場および太陽電池製造装置等では、工場全体で多量のエネルギーを消費していることから一層の省エネルギー化が求められている。しかし、上記のように、過弗化物は分解しにくい安定な物質であるために、過弗化物を分解処理するには大量のエネルギーを投入する必要がある。過弗化物を分解するために用いられる燃料や電気の大部分は、過弗化物を含む排ガスの加熱に用いられている。
【0008】
このため、過弗化物を分解した後のガス(分解ガス)も、分解温度と同程度の高温ガスとして排出される。
【0009】
一方、過弗化物は複数のフッ素原子を有しており、上記いずれの処理方法でも、分解後に生成するフッ化水素は、供給した過弗化物の濃度に対し、数倍の濃度になる。例えば、CF4の場合には、炭素1つに対し、フッ素が4つで構成されているので、供給されるCF4の4倍のフッ化水素が分解処理後に発生する。その結果、分解処理後の分解ガスは、高温かつ高濃度の酸性ガス(HFガス)を含んだガスになる。
【0010】
この分解ガスを冷却し、酸性ガスを除去するには、一般に水を使用する。水は比熱が大きく、しかも蒸発潜熱が大きいこと、およびフッ化水素が水に溶け込みやすいからである。フッ化水素が高濃度の場合、スクラバー等による湿式洗浄による除去方式が主流である。湿式洗浄では、生成した高濃度のフッ化水素ガスを除去するとともに、高温ガスの冷却を同時におこなうことができる。
【0011】
この場合、加熱のために投入されたエネルギーの大部分は湿式洗浄後のフッ酸を含む排水へ移行する。しかし、湿式洗浄から排出される排水の温度は約40〜60℃程度であり、熱としての利用価値は低く、また腐食性を有するフッ酸を含んでいるので、熱回収が難しい問題がある。このため、湿式洗浄では投入したエネルギーが有効利用されていない問題がある。
【0012】
過弗化物の大気への放出を抑制するために、半導体製造工程および液晶製造工程から排出される過弗化物を含む排ガスを触媒を用いて処理する方法は特許文献1〜3で知られている。特許文献1では、触媒で分解後の高温の分解ガスと、反応用の水とを熱交換して水を予熱することで熱回収率を高め、熱交換器後の冷却された分解ガスをさらにスプレー水で冷却する方法が記載されている。
【0013】
特許文献2では、分解ガス中の酸性ガス(HFガス)にカルシウム塩(以下「Ca塩」という)を添加して反応させることで、フッ素を含む酸性排水が発生しない方法(乾式処理)が記載され、この場合において、触媒で分解後の高温の分解ガスと、反応用の水とを熱交換して水を予熱すること、または、分解ガスと過弗化物を含む排ガスとを熱交換して排ガスを予熱することで、熱回収率を高める方法が記載されている。
【0014】
しかし、これらの特許文献1および2に記載の方法では、以下の問題点がある。
【0015】
高温の分解ガスと水のみを熱交換した場合、水は熱容量が大きく、また潜熱も大きいため、熱交換器中の水が流れる配管(伝熱管)の表面温度(高温の分解ガスが接する側の温度)が部分的に200℃以下になる。分解ガスには、SF6の分解で生じるSOXも含まれている。SOXおよび水分が含まれる高温の分解ガスが、表面温度が200℃以下の熱交換器の伝熱管と接すると、伝熱管表面で硫酸が生じ、露点腐食が発生する可能性がある。
【0016】
一般に熱交換器の伝熱管は、約500〜800℃の高温ガスと熱交換する場合、耐熱性および熱伝導性の観点から金属製にする必要がある。このため、露点腐食を防止するには、水を100℃以上の水蒸気の形で伝熱管内を流すなど高温ガスと接する伝熱管表面が200℃以下にならないように対策を行う必要があるため、熱回収効率が悪くなる問題がある。
【0017】
さらに、特許文献1および2では、熱交換器の下部で水スプレーを噴霧することで、高温の分解ガスを冷却しているので、スプレーからの微小な飛沫が熱交換器まで舞い上がってしまう問題がある。スプレーの微小な飛沫が金属製の熱交換器の伝熱管に付着すると、付着した飛沫中に分解ガスに含まれる酸性ガスが溶け込んで、酸性の溶液になる。このため、金属製の伝熱管に腐食が発生するという問題が生じる。
【0018】
このスプレーからの飛沫を防ぐために、熱交換器の下部にバッフル板を設け、飛沫の上昇を抑える方法があるが、分解ガスの流れを阻害するために系内の圧力損失が増加する。また、バッフル板では、上面が高温のガスで加熱され、下面がスプレーの飛沫で冷却されるため、上下の温度差が大きくなる。さらにスプレー飛沫付着による酸性ガスの溶け込みによって酸性溶液が生じ、腐食のポテンシャルが高くなる。これらに対し、対策を行うには、セラミックス等の高価な材料を使用しなければならないという問題がある。
【0019】
また、特許文献3では、高温の分解ガスを外部の空気と熱交換して、冷却する方法と、高温の分解ガス中に外部の空気を混合して冷却する方法とが記載されている。高温の分解ガスを外部の空気と熱交換した場合、加熱された空気は利用されず大気へ放出されてしまうので、熱回収の点で問題がある。一方、分解ガス中に空気を混合すると、分解ガスの流量が大幅に増加する。圧力損失および反応速度はガス流速に依存するため、ガス流速を最適条件にしようとすると、下流に設置する酸性ガス処理装置(アルカリスクラバおよび乾式バグフィルタ等)の設備容量が大きくなるとともに、排ガスを排気する排気装置(排風機、エゼクタ等)の能力も大きくなるという問題がある。
【0020】
湿式洗浄によって生じた排水中からフッ素を除去するには、カルシウム塩(Ca塩)、通常は水酸化カルシウムまたは炭酸カルシウムを用いる。水酸化カルシウムおよび炭酸カルシウムは、排水中のフッ素と反応して難溶性のフッ化カルシウム(CaF2)を生成させて、沈殿させることで、排水中のフッ素を除去する。排水中からフッ素をほぼ完全に除去するには、理論反応量の数倍の水酸化カルシウムまたは炭酸カルシウムを投入する必要がある。
【0021】
分解ガスを一般的な湿式洗浄により冷却して、酸性ガスを除去する場合、排ガスの分解温度が高いほど、分解処理後のガス温度も高温になるので、冷却には多量の水が必要になる。半導体製造工場および液晶製造工場では、洗浄工程などで多量の水を消費しており、過弗化物の分解処理を行うことで、さらに排水の処理量が増加するという問題がある。また、多量のフッ素を含む酸性排水が生成されるので、大規模な酸性排水の処理設備が必要になる。
【0022】
また、フッ素を含有する排水を河川や海へ排出するには、フッ素濃度を法規制値以下にする必要があり、排水中のフッ素をほぼ100%分離して、除去しなければならない。排水中のフッ素濃度を法規制値以下にする場合には、処理する排水量が多くなるほど、また、排水に含まれるフッ素濃度が高くなるほど、排水処理設備が大規模になる。
【0023】
既設の半導体製造工場および液晶製造工場では、今後、過弗化物の大気への排出抑制のために過弗化物の分解装置を全過弗化物使用製造工程に導入した場合、過弗化物の分解で生成する高濃度の酸性ガスを全て湿式洗浄によって処理すると、フッ素を含む排水の処理量が限界に近づいてしまうという問題がある。今後、半導体製造工場、液晶製造工場および太陽電池製造工場等の工場全体から放出される過弗化物をすべて分解処理し、それらの高濃度のフッ化水素を含む分解ガスに対し、湿式洗浄をした場合には、多量の排水が生じ、これらの工場に設置されている既設の排水処理設備では処理ができない可能性がある。
【0024】
また、最近では、半導体製造工場および液晶製造工場では、工場内から出る廃棄物の量をゼロにすることに取り組んでおり、排水発生量の削減が大きな課題になっている。特に半導体製造工場および液晶製造工場では、フッ素を含む排水が生じる工程が多く、フッ素を含む排水の処理量低減が必要になっている。
【0025】
また、湿式洗浄においては、沈殿したフッ化カルシウム(CaF2)および過剰に投入したCa塩が、排水中から過剰な水分を含んだ汚泥として分離される。この汚泥をフッ酸の原料等に再利用するためには、水分の除去が必要であるとともに、汚泥中に含まれるフッ化カルシウムを高純度にする必要がある。このため、この汚泥は再利用されずに、産業廃棄物になる問題がある。
【0026】
乾式処理においては、水分除去の問題は生じないが、再利用に適した高純度のフッ化カルシウムを得るためには、Ca塩が充填された酸性ガス除去装置へのCa塩の供給および該酸性ガス除去装置からのCa塩の排出を、適切に制御する必要がある。
【0027】
以上に加え、2台以上の過弗化物分解装置へのCa塩の供給および該装置からの酸性ガスと反応したCa塩の回収を行う場合、過弗化物分解装置ごとに供給および回収する設備(タンク)を設置する必要があり、設備容量及び設置スペースが大きくなる問題がある。この対策として供給および回収頻度を上げると、新たに物流システムを構築したり、その作業のための作業者を多くしたりする問題が生じる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0028】
【特許文献1】特開平11-319485号公報
【特許文献2】特開2003-340239号公報
【特許文献3】特開2006-312121号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0029】
本発明の目的は、上記課題を解決すること、すなわち、エネルギー効率がよく、熱交換器の配管の腐食を防止することができ、そのうえで、排水量を大幅に削減するとともに、高純度のフッ化カルシウム(CaF2)を効率よく回収することができる過弗化物の処理方法および過弗化物処理装置を提供することにある。さらには、設備容量および設置場所が小さく効率のよい過弗化物処理装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0030】
本発明者らは前記課題を解決するため鋭意検討を重ねた結果、
(1)過弗化物を含む排ガス、および、水または水蒸気と分解ガスとを熱交換することで、熱回収率を上げるとともに、熱交換器の配管の腐食を防止することができ、同時に分解ガス中の酸性ガスを乾式処理するのに適した温度にまで冷却することができること、
(2)Ca塩と分解ガスとを反応させて、分解ガス中の酸性ガスを除去することで、排水量を大幅に削減することができること、
(3)酸性ガス除去装置から排出される酸性ガス濃度、または、酸性ガス除去装置内に充填されたCa塩の温度に基づき、酸性ガス除去装置へのCa塩の供給、および、酸性ガスと反応させたCa塩の排出を行うことにより、未反応のまま排出されるCa塩量を少なくして、高純度のCaF2を含むCa塩を多く回収することができること、
(4)2台以上の過弗化物分解装置からのCa塩の排出・回収および該装置へのCa塩の供給において、圧縮空気を用いたCa塩排出または供給装置を用いることで、過弗化物処理装置の設備容量や設置場所を小さくし、効率のよいCa塩の排出・回収および供給ができること
を見出し、本発明を完成させるに至った。本発明は以下に示す[1]〜[15]の事項を含む。
【0031】
[1](1)過弗化物を含む排ガス、および、水または水蒸気を予熱する工程と、
(2)前記工程(1)で予熱した排ガス、および、水または水蒸気をさらに加熱する工程と、
(3)前記工程(2)で加熱された排ガスに含まれる過弗化物を触媒によって分解することにより、酸性ガスを含む分解ガスを発生させる工程と、
(4)前記工程(3)で発生させた分解ガスを、前記工程(1)の排ガス、および、水または水蒸気と熱交換することにより冷却する工程と、
(5)前記工程(4)で冷却した分解ガスに含まれる酸性ガスを、カルシウム塩と接触させることにより除去する工程と
を含み、前記工程(1)が、前記工程(3)で発生させた分解ガスとの熱交換による予熱を含むことを特徴とする過弗化物の処理方法。
【0032】
[2] 前記工程(1)が、過弗化物を含む排ガス、および、水または水蒸気を混合した混合ガスと、前記工程(3)で発生させた分解ガスとを熱交換することにより行われることを特徴とする項[1]に記載の過弗化物の処理方法。
【0033】
[3]前記工程(5)が、カルシウム塩が充填された酸性ガス除去装置を用いて行なわれることを特徴とする項[1]または[2]に記載の過弗化物の処理方法。
【0034】
[4]前記酸性ガス除去装置から前記酸性ガスと反応したカルシウム塩を排出し、かつ、
前記酸性ガス除去装置にカルシウム塩を供給することを特徴とする項[3]に記載の過弗化物の処理方法。
【0035】
[5]前記カルシウム塩の排出および供給が、前記酸性ガス除去装置で前記酸性ガスを除去した後の分解ガスに含まれる酸性ガスの濃度に基づいて行われることを特徴とする項[4]に記載の過弗化物の処理方法。
【0036】
[6]前記カルシウム塩の排出および供給が、前記酸性ガス除去装置内に充填されたカルシウム塩の温度に基づいて行われることを特徴とする項[4]に記載の過弗化物の処理方法。
【0037】
[7]過弗化物を含む排ガス、および、水または水蒸気を加熱する加熱器と、
前記過弗化物を分解する触媒層と、
前記過弗化物の分解により生じた分解ガス中の酸性ガスを、カルシウム塩と接触させて除去する酸性ガス除去装置と、
前記排ガス、および、水または水蒸気と、前記分解ガスとを熱交換することで、前記排ガス、および、水または水蒸気を予熱するとともに、前記分解ガスを冷却する熱交換器と
を含むことを特徴とする過弗化物の処理装置。
【0038】
[8]前記熱交換器が、過弗化物を含む排ガス、および、水または水蒸気を混合した混合ガスと、過弗化物を分解することで生じた分解ガスとを熱交換する熱交換器であることを特徴とする項[7]に記載の過弗化物の処理装置。
【0039】
[9]前記酸性ガス除去装置が、前記分解ガスに含まれる酸性ガスと反応したカルシウム塩を前記酸性ガス除去装置から排出するカルシウム塩排出器と、
カルシウム塩を供給するカルシウム塩供給器と
を具備することを特徴とする項[7]または[8]に記載の過弗化物の処理装置。
【0040】
[10]前記酸性ガス除去装置から排出された分解ガスに含まれる酸性ガスの濃度を検出する酸性ガス濃度検知器と、
該酸性ガス濃度検知器の測定濃度に基づいて前記カルシウム塩排出器および前記カルシウム塩供給器を制御する制御装置と
を、さらに含むことを特徴とする項[9]に記載の過弗化物の処理装置。
【0041】
[11]前記酸性ガス除去装置に充填されたカルシウム塩の温度を検出する温度検出器と、
該温度検出器の測定温度に基づいて前記カルシウム塩排出器および前記カルシウム塩供給器を制御する制御装置と
を、さらに含むことを特徴とする項[9]に記載の過弗化物の処理装置。
【0042】
[12]2台以上の過弗化物分解装置と、
前記過弗化物分解装置にカルシウム塩を供給するカルシウム塩タンクと、
カルシウム塩タンクからカルシウム塩を過弗化物分解装置に一定量供給するカルシウム塩供給装置と、
2台以上の過弗化物分解装置に、圧縮空気を用いてカルシウム塩を供給するためのカルシウム塩供給切替機構を備えたカルシウム塩供給配管と、
カルシウム塩を前記カルシウム塩供給装置から過弗化物分解装置まで移送させるための圧縮空気を、カルシウム塩供給配管に供給する圧縮空気供給装置と、
過弗化物分解装置からのカルシウム塩供給の信号に基づき、カルシウム塩供給装置、カルシウム塩供給切替機構および圧縮空気供給装置を制御する制御装置と
を含む過弗化物の処理装置。
【0043】
[13]前記過弗化物分解装置が、加熱器、触媒層、熱交換器および酸性ガス除去装置を有する項[12]に記載の過弗化物の処理装置。
【0044】
[14]2台以上の過弗化物分解装置と、
前記過弗化物分解装置から排出されるカルシウム塩を回収するカルシウム塩回収タンクと、
2台以上の過弗化物分解装置から、圧縮空気を用いてカルシウム塩を回収するためのカルシウム塩回収切替機構を備えたカルシウム塩回収配管と、
カルシウム塩を前記過弗化物分解装置からカルシウム塩回収タンクに移送させるための圧縮空気を、カルシウム塩排出槽および前記カルシウム塩回収配管に供給する圧縮空気供給装置と、
過弗化物分解装置からのカルシウム塩排出の信号に基づき、カルシウム塩回収切替機構および圧縮空気供給装置を制御する制御装置と
を含む過弗化物の処理装置。
【0045】
[15]前記過弗化物分解装置が、加熱装置、触媒層、熱交換器および酸性ガス除去装置を有する項[14]に記載の過弗化物の処理装置。
【発明の効果】
【0046】
項[1]および[2]の方法によれば、過弗化物の分解で生じる高温の分解ガスと、過弗化物を含む排ガス、および、水または水蒸気との熱交換を行うことで、過弗化物を含む排ガスを加熱するエネルギーを少なくすることができるとともに、分解ガスを、水や外気を用いることなくCa塩を用いた乾式処理に適した温度に冷却することができ、さらに、熱交換器の配管の腐食を防止することができる。
【0047】
項[3]および[4]の方法によれば、上記項[1]および[2]で得られる効果に加え、分解ガスに含まれる酸性ガスの除去にCa塩を用いた乾式処理を行うことにより、従来の湿式洗浄と比較して排水量を少なくすることができる。
【0048】
項[5]および[6]の方法によれば、上記項[1]〜[4]で得られる効果に加え、さらに、酸性ガス除去装置中の未反応のCa塩量を少なくし、Ca塩の消費量を少なくすることができるとともに、高純度のCaF2を含むCa塩を多く回収することができ、回収した高純度のCaF2を含むCa塩は、フッ酸の原料などに有価物として再利用することができる。
【0049】
項[7]および[8]の装置を用いれば、過弗化物の分解で生じる高温の分解ガスと、過弗化物を含む排ガス、および、水または水蒸気との熱交換を行うことで、過弗化物を含む排ガスを加熱するエネルギーを少なくすることができ、分解ガスを水や外気を用いることなくCa塩を用いた乾式処理に適した温度に冷却することができる。
【0050】
項[9]の装置を用いれば、上記項[7]および[8]の装置を用いることで得られる効果に加え、分解ガスに含まれる酸性ガスの除去にCa塩を用いた乾式処理を行うことにより、従来の湿式洗浄と比較して排水量を少なくすることができる。
【0051】
項[10]および[11]の装置を用いれば、上記[7]〜[9]の装置を用いることで得られる効果に加え、さらに酸性ガス除去装置中の未反応のCa塩量を少なくし、Ca塩の消費量を少なくすることができるとともに、高純度のCaF2を含むCa塩を多く回収することができ、回収した高純度のCaF2を含むCa塩は、フッ酸の原料などに有価物として再利用することができる。
【0052】
項[12]および[13]の装置を用いれば、複数台の過弗化物分解装置へのCa塩の供給を簡素なシステム構成により効率よく実現することができる。
【0053】
項[14]および[15]の装置を用いれば、複数台の過弗化物分解装置からの酸性ガスと反応したCa塩の回収を簡素なシステム構成により効率よく実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【0054】
図1】過弗化物分解処理システムの概念図である。
図2】熱交換器による過弗化物を含む排ガスと水の予熱方法を用いた過弗化物の処理装置の構成図である。
図3】熱交換器による過弗化物を含む排ガスと水の予熱方法を用いた過弗化物の処理装置の構成図である。
図4】2流体ノズルを用いた水の予熱方法を用いた過弗化物の処理装置の構成図である。
図5】HFガス濃度検知によるCa塩の排出・供給方法を含む過弗化物の処理装置の構成図である。
図6】Ca塩の温度検出によるCa塩の排出・供給方法を含む過弗化物の処理装置の構成図である。
図7】複数台の過弗化物分解装置に対するCa塩の供給システムの構成図である。
図8】複数台の過弗化物分解装置に対するCa塩の供給システムの構成図である。
図9】複数台の過弗化物分解装置に対するCaF2を含むCa塩の排出・回収システムの構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0055】
以下、本発明の過弗化物の分解処理方法、この方法に用いた装置、および複数台の過弗化物分解装置に対するCa塩の供給・回収システムに関して詳細に説明する。
【0056】
なお、本明細書において、「排ガス」とは、半導体製造プロセス、液晶製造プロセス、または太陽電池製造プロセス等から発生し、排出されるガスをいい、「混合ガス」とは、前記排ガスと、水または水蒸気とが混合されたガスをいい、「分解ガス」とは、前記混合ガスを加熱および触媒で分解処理することにより、含まれる過弗化物が分解されている状態にあるガスをいい、「酸性ガス」とは、前記分解ガス中のフッ化水素(HF)等のガスをいう。
【0057】
本発明においては、過弗化物の処理装置の熱効率を上げ、配管の腐食を防止するために、過弗化物を含む排ガスを触媒で分解した後に生じる高温の分解ガスと、過弗化物を含む排ガス、および、水または水蒸気とを熱交換することで、前記排ガス、および、水または水蒸気を過弗化物分解に必要な加熱工程の一部として予熱し、同時に分解ガスを冷却する。このとき、過弗化物を含む排ガスと、水または水蒸気とを個別に熱交換器へ供給し、予熱後、混合してもよく、また熱交換器内で、過弗化物を含む排ガスと、水または水蒸気とを混合し、予熱をしてもよい。
【0058】
また、この分解ガス中の酸性ガスは、排水量を少なくするために、Ca塩を充填した酸性ガス除去装置で除去する。このとき、Ca塩としては、例えばCa(OH)2、CaCO3、CaO、またはこれらを混合したものを用いることができる。また、Ca塩は、粉体でもよいが、例えば円柱状、球状等に成型されたものを使用してもよい。
【0059】
さらに、酸性ガス除去装置から未反応のまま排出されるCa塩量を少なくすることにより、Ca塩の消費量を少なくし、高純度のCaF2を含むCa塩を多く回収するために、この酸性ガスと反応させたCa塩の排出、および酸性ガス除去装置へのCa塩の供給を、酸性ガス除去装置から排出される酸性ガス濃度、または酸性ガス除去装置内に充填されたCa塩の温度に基づいて行う。
【0060】
酸性ガス除去装置から排出される酸性ガス濃度に基づいてCa塩を排出・供給する方法は以下の通りである。酸性ガス除去装置内に充填されているCa塩は、酸性ガス除去装置の下部から供給されたHFガスを含む分解ガスと接触し、HFガスと反応することでCaF2に変わる。酸性ガス除去装置内では、分解ガスを充填されたCa塩の下部から供給すると、Ca塩とHFガスとの反応位置が下部から上部へと移動し、ある一定の位置を越えると、酸性ガス除去装置出口から数ppmオーダーの低濃度HFガスが排出されてくる。酸性ガス除去装置の出口配管には、HFガス濃度検知器が設けられており、ある一定濃度のHFガスが検知されると、検知信号を制御装置に出力する。このとき、HFガスの濃度検知は、排ガス中のHF濃度を直接検知するものでもよく、一旦、HFガスを水またはアルカリの溶液に吸収させて、水中でのフッ素イオン濃度として間接的に検知するものでもよい。
【0061】
制御装置では、HFガス濃度の検知信号をもとに、制御装置からCa塩排出器へ運転信号を送信する。Ca塩排出器では運転信号をもとに、酸性ガス除去装置に充填されたCa塩のうち、下部から一定の高さにあるCaF2を高純度で含むCa塩を、Ca塩排出器を介してCa塩排出槽へ排出する。また制御装置からは、Ca塩供給器へ運転信号を送信する。Ca塩供給器では、排出された高純度のCaF2を含むCa塩と同等量になるようにCa塩を酸性ガス除去装置に接続されたCa塩供給槽からCa塩供給器を介して、酸性ガス除去装置にCa塩を供給する。
【0062】
また、酸性ガス除去装置内に充填されたCa塩の温度に基づいてCa塩を排出・供給する方法は以下の通りである。酸性ガス除去装置内に充填されたCa塩は、HFガスと反応すると発熱反応によって温度が上昇する。充填されたCa塩は、HFガスと反応することで、CaF2に変わり、発熱反応の位置が下部から上部へと移動する。これにともない、充填されたCa塩の温度上昇の位置も移動していく。この温度上昇を温度検知器で検知し、検知信号を制御装置に出力する。以降の制御装置による、Ca塩の排出および供給は、上述のHFガス濃度に基づく方法と同様におこなわれる。なお、温度検知は、Ca塩とHFガスとの反応が終了したあとの、温度低下を検知した検知信号を制御装置に出力することによりおこなわれてもよい。
【0063】
また、本発明に含まれる2台以上の過弗化物分解装置にCa塩を供給およびCa塩を排出・回収する方法について以下に説明する。
【0064】
2台以上の過弗化物分解装置へCa塩を供給するのに、Ca塩タンク、圧縮空気供給装置、Ca塩供給装置、Ca塩供給配管、Ca塩供給切替機構および制御装置で構成された装置において、過弗化物分解装置から制御装置へのCa塩供給信号をもとに、Ca塩供給切替機構でCa塩供給配管を切替え、圧縮空気を利用して過弗化物分解装置へのCa塩の供給を行う。
【0065】
また、2台以上の過弗化物分解装置から酸性ガスと反応したCa塩を排出するのに、Ca塩回収タンク、圧縮空気供給装置、Ca塩回収配管、Ca塩回収切替機構および制御装置で構成された装置において、過弗化物分解装置から制御装置へのCa塩回収信号をもとに、Ca塩回収切替機構でCa塩回収配管を切替え、圧縮空気を利用して、過弗化物分解装置からCaF2を高純度に含むCa塩の回収を行う。
【実施例】
【0066】
以下、実施例により本発明をさらに具体的に説明するが、本発明の範囲はこれらに限定されるものではない。
【0067】
[実施例1]
本発明の好適な一実施例である過弗化物分解処理システムを図1図2図3に示す。
半導体製造プロセス、液晶製造プロセスまたは太陽電池製造プロセスの、エッチング装置、アッシング装置またはCVD装置(図示せず)から排出された過弗化物を含む排ガスと、分解反応に使用する水または水蒸気とが熱交換器2に供給される。
【0068】
熱交換器2では、過弗化物を分解したあとの高温の分解ガスから熱を回収し、過弗化物を含む排ガスと、分解反応に使用する水または水蒸気とを約200〜300℃に予熱する。また、これによって、過弗化物を含む排ガスと、分解反応に使用する水または水蒸気とが流れる伝熱管の高温の分解ガスと接する表面は、200℃以上になる。
【0069】
熱交換器には、図3に示すように過弗化物を含む排ガスと水または水蒸気とを個別に熱交換器へ供給し、予熱後、混合してもよい。また熱交換器内で、過弗化物を含む排ガスと水または水蒸気とを混合し、予熱をしてもよい。熱交換器は、プレートフィンまたはシェルアンドチューブでもよく、二重管構造にして内管に高温の分解ガスを流し、外管に低温の過弗化物を含む排ガス、および、水または水蒸気を流して熱交換するものでもよい。高温の分解ガスと、低温の過弗化物を含む排ガス、および、水または水蒸気とは、熱交換器内を対向流又は、並流で流してもよい。
【0070】
熱交換器で予熱された、過弗化物を含む排ガスと水または水蒸気との混合ガスは、過弗化物分解部1に供給される。過弗化物分解部1は、第一加熱装置11、第二加熱装置12および触媒13で構成されている。尚、処理ガス量が少ない場合には、第一加熱装置11のみで分解反応する温度までに加熱することは可能であり、第二加熱装置12をなくすことができる。第一加熱装置11には、予熱された、過弗化物を含む排ガスと、水または水蒸気との混合ガスが供給され、ヒータ14によって、約300℃〜600℃に加熱される。さらに該混合ガスは、第二加熱装置12でヒータ15によって、約700〜800℃に加熱される。約700〜800℃に加熱された該混合ガスは、触媒13に供給される。触媒13では、過弗化物と水とが反応して、過弗化物が分解される。触媒13は、触媒交換作業が容易に行えるように、取り外し可能な容器内に充填し、その容器ごと取り出せる構造にしても良い。触媒としては、例えばアルミニウム酸化物を含み、さらにZn、Ni、Ti、F、Sn、Co、Zr、CeおよびSiから選ばれた少なくとも1つの酸化物を含んでいる触媒を用いることができる。
【0071】
過弗化物の分解反応式の一例を下記式(1)〜(4)に示す。
【0072】
CF4+2H2O→CO2+4HF ・・・(式1)
CHF3+1/2O2+H2O→CO2+3HF ・・・(式2)
26+3H2O+1/2O2→2CO2+6HF ・・(式3)
SF6+3H2O→SO3+6HF ・・・(式4)
触媒13の分解反応で生成した分解ガスには、高濃度の酸性ガス(フッ化水素ガス:HFガス)が含まれている。上記反応式(1)において、CF4を1容積%含む排ガスの場合、分解反応によってCF4の4倍のHFが生成されるので、分解ガスには、4容積%もの高濃度のHFが含まれて排出される。また分解ガスは、約500〜800℃の高温で触媒13から排出される。
【0073】
高温かつ高濃度の酸性ガス(HFガス)を含む分解ガスは、熱交換器2に供給される。熱交換器2では、高温かつ高濃度のHFガスを含む分解ガスを、過弗化物を含む排ガス、および、水または水蒸気と熱交換することで、約300〜500℃へ冷却する。冷却された分解ガスは、Ca塩が充填された酸性ガス除去部3へ供給される。
【0074】
酸性ガス除去部3は、Ca塩30が充填された酸性ガス除去装置31、Ca塩供給槽32、Ca塩をCa塩供給槽32から酸性ガス除去装置31へ供給するCa塩供給器33、高濃度のHFガスと反応したCa塩を排出するCa塩排出器34、および、Ca塩排出器から排出されたCa塩を貯めるCa塩排出槽35からなる。
【0075】
酸性ガス除去装置31では、Ca塩30が充填されており、分解ガス中に含まれるHFガスとCa塩が反応することで、HFガスが除去される。一方、Ca塩はHFガスと反応して、CaF2(フッ化カルシウム)になる。酸性ガス除去装置31から排出される分解ガス中のHFガス濃度は、3ppm以下で、エゼクタ4を経由して排気される。なお、エゼクタ以外で分解ガスを吸引および排出する方法としては、排風機を用いることもできる。
【0076】
Ca塩としては、例えば、Ca(OH)2、CaCO3、CaOまたはこれらを混合したものを用いることができる。また、Ca塩は、粉体でもよいが、例えば円柱状、または球状等に成型されたものを使用してもよい。Ca塩としては、Ca(OH)2とCaCO3との混合物であって、形状は円柱状であり、その混合比が、Ca(OH)2:CaCO3=50〜80質量%:20〜50質量%のものが好ましい。Ca(OH)2とCaCO3との混合物は成型性がよく、供給・排出時の粉化が少ないので取扱いが容易という利点がある。
【0077】
酸性ガス除去装置31に充填されたCa塩30は、HFガスと反応してCaF2となり、消費されるので、CaF2を含むCa塩を酸性ガス除去装置31から連続または間欠的に排出し、かつ、酸性ガス除去装置31へCa塩を連続または間欠的に供給する必要がある。酸性ガス除去装置31からのCaF2を含むCa塩の排出は、Ca塩排出器34を経由して、Ca塩排出槽35へ連続または間欠的に行う。Ca塩排出器34は、バルブ、ロータリフィーダ、スクリューフィーダまたはコンベア等の排出装置を用いることができる。酸性ガス除去装置31へのCa塩の供給は、Ca塩供給槽32からCa塩供給器33を経由して、連続または間欠的に行う。Ca塩供給器33としては、バルブ、ロータリフィーダ、スクリューフィーダまたはコンベア等の供給装置を用いることができる。
【0078】
[実施例2]
図4は、熱交換器への水の供給を圧縮空気と水の2流体として行う実施例を示す。熱交換器2内で過弗化物を含む排ガスと水とを混合させて、水を蒸気にする場合に、水を微細なミストにすることで、ガスと均一に混合するとともに、ガスと接する水の表面積が大きくなり、熱交換によって水が気化しやすくなる。
【0079】
水を微細なミストにすることは、水をノズルから噴射することで可能であるが、さらに微細化するために圧縮空気と水とを2流体ノズルから噴射する方法がある。熱交換器2にノズル21を設け、圧縮空気と水とをノズル21に供給して、2流体としてノズル21から噴霧する。熱交換器2では、過弗化物を含む排ガス中で、微細化されたミストが混合され、高温の分解ガスと熱交換することで、予熱される。
【0080】
[実施例3]
図5は、酸性ガス除去装置から排出される排ガス配管にHFガス濃度検出器を設け、HFガス濃度検出器の信号を制御装置へ出力して、制御装置からの制御信号によってCa塩排出器およびCa塩供給器の制御を行う実施例を示す。
【0081】
酸性ガス除去装置から排出されるCaF2を含むCa塩は、CaF2の含有割合が高い程、フッ酸の原料等に再利用が可能になるとともに、供給するCa塩の消費量を少なくすることができる。そのために、CaF2の含有割合を高くした状態で酸性ガス除去装置からCa塩を取り出す必要がある。
【0082】
酸性ガス除去装置31内に充填されているCa塩は、酸性ガス除去装置の下部から供給されたHFガスを含む分解ガスと接触し、HFガスと反応することでCaF2に変わる。酸性ガス除去装置内31では、下部から上部へとCa塩とHFガスとの反応位置が移動して、ある一定の位置を越えると、酸性ガス除去装置31出口から数ppmオーダーの低濃度HFガスが排出されてくる。酸性ガス除去装置31の出口配管には、HFガス濃度検知器51が設けられており、ある一定濃度のHFガスが検知されると、検知信号を制御装置5に出力する。HFガス濃度検知器51は、排ガス中のHF濃度を直接検知するものでもよく、一旦、HFガスを水またはアルカリの溶液に吸収させて、水中でのフッ素イオン濃度を検知するものでもよい。
【0083】
制御装置5では、HFガス濃度の検知信号をもとに、制御装置5からCa塩排出器34へ運転信号を送信する。Ca塩排出器では運転信号をもとに、酸性ガス除去装置31に充填されたCa塩のうち、下部から一定の高さにあるCaF2を高純度で含むCa塩を、Ca塩排出器34を介してCa塩排出槽35へ排出する。このとき、回収されたCaF2を含むCa塩は、80〜95質量%のCaF2を含む。
【0084】
また制御装置5からは、Ca塩供給器33へ運転信号を送信する。Ca塩供給器33では、排出された高純度のCaF2を含むCa塩と同等量になるようにCa塩を酸性ガス除去装置31の上部のCa塩供給槽32からCa塩供給器33を介して、酸性ガス除去装置31にCa塩を供給する。
【0085】
[実施例4]
図6は、酸性ガス除去装置に充填されたCa塩の温度を検出し、酸性ガス除去装置からCaF2を含むCa塩の排出、および酸性ガス除去装置へのCa塩の供給を行う実施例を示す。
【0086】
酸性ガス除去装置31内に充填されたCa塩は、HFガスと反応すると発熱反応によって温度が上昇する。充填されたCa塩ではHFガスと反応することで、CaF2に変わり、発熱反応の位置が下部から上部へと移動する。これにともない、充填されたCa塩の温度上昇の位置も移動していく。この温度上昇を温度検知器52で検知し、検知信号を制御装置5に出力する。なお、温度検知は、Ca塩とHFガスとの反応が終了したあとの、温度低下を検知した検知信号を制御装置5に出力することによりおこなわれてもよい。
【0087】
制御装置5では、実施例3と同じようにCa塩排出器34およびCa塩供給器33への運転信号を送信して、CaF2を高純度で含むCa塩の排出、および酸性ガス除去装置31へのCa塩の供給を行う。
【0088】
[実施例5]
図7図8図5図6の過弗化物分解装置が2台以上設置されている場合の圧縮空気を用いたCa塩の供給方法を示す。Ca塩タンク6は、下部にCa塩供給装置61を設ける。Ca塩供給装置61と、2台の過弗化物分解装置のCa塩供給槽は、圧縮空気を利用してCa塩を、2台の過弗化物分解装置のCa塩供給槽へ供給するために、分岐を設けたCa塩供給配管63で接続されている。Ca塩供給配管63には、各過弗化物除去装置へのCa塩供給切替機構としてバルブ110aおよび110bが設けられている。尚、Ca塩供給装置61は、バルブ、ロータリフィーダ、スクリューフィーダまたはコンベア等を利用することができる。
【0089】
過弗化物分解装置100aの制御装置5aからCa塩供給の出力信号を受けた制御装置10は、Ca塩供給装置61へ運転信号、バルブ110aへ開信号およびバルブ110bへ閉信号を送信する、Ca塩タンク6では、Ca塩供給装置61の運転によってCa塩が下部に供給される。
【0090】
下部に供給されたCa塩は、圧縮空気供給装置62からの圧縮空気によってCa塩供給配管63を通り、バルブ110aを経由して、Ca塩貯槽8aへ供給される。Ca塩貯槽8aでは、圧縮空気のみ排気され、Ca塩のみが残る。Ca塩貯槽8aにCa塩が供給された後、制御装置10からCa塩供給装置61の停止信号、バルブ110aの閉信号およびバルブ111aの開信号を送信し、過弗化物分解装置100aのCa塩供給槽32aへCa塩が供給される。Ca塩供給槽32aへCa塩が供給されたあと、制御装置10からバルブ111aへの閉信号を送信して、バルブ111aを閉する。
【0091】
一方、過弗化物分解装置100bへCa塩を供給する場合には、弗化物分解装置100bの制御装置5bからのCa供給の出力信号を受けた制御装置10は、Ca塩供給装置61へ運転信号、バルブ110bへ開信号およびバルブ110aへ閉信号を送信する。Ca塩タンク6では、Ca塩供給装置61の運転によって下部にCa塩が供給される。
【0092】
下部に供給されたCa塩は、圧縮空気によってCa塩供給配管63を通り、バルブ110bを経由して、Ca塩貯槽8bへ供給される。Ca塩貯槽8bで圧縮空気のみが排気され、Ca塩のみが残る。Ca塩貯槽8bにCa塩が供給された後、制御装置10からCa塩供給装置61の停止信号、バルブ110bの閉信号およびバルブ111bの開信号を送信し、過弗化物分解装置100bのCa塩供給槽32bへ供給する。Ca塩供給槽32bへ供給された後、制御装置10からバルブ111bへ閉信号を送信して、バルブ111bを閉する。
【0093】
なお、過弗化物分解装置が2台の場合には、供給配管のバルブ110aおよびバルブ110bを三方弁1台で切り替えを行ってもよい。また、制御装置5aおよび5bの制御機能を制御装置10に持たせ、制御装置10のみで2台の過弗化物分解装置の制御を行っても同様のシステムを構築することができる。図7では、2台の過弗化物分解装置へのCa塩の供給方法を示しているが、本システムは3台以上の複数台に対しても、同じような装置構成を適用することができる。
【0094】
[実施例6]
図8では、図7のCa塩貯槽を用いずにCa塩を供給する方法を示す。過弗化物分解装置100aの制御装置5aからCa塩供給の出力信号を受けた制御装置10は、Ca供給装置61へ運転信号を、バルブ110a、バルブ112aおよびバルブ113aへ開信号を、バルブ110b、バルブ112bおよびバルブ113bへ閉信号を送信する。Ca塩タンク6では、Ca塩供給装置の運転によって下部にCa塩が供給される。
【0095】
下部に供給されたCa塩は、圧縮空気とともにCa塩供給配管63を通り、バルブ110aを経由して、Ca塩供給槽32aへ供給される。Ca塩供給槽32aでは、圧縮空気のみがバルブ113aを経由して排気され、Ca塩のみが残る。Ca塩供給槽32aにCa塩が供給されたあと、制御装置10からCa塩供給装置61の停止信号、バルブ110a、バルブ112aおよびバルブ113aの閉信号が送信される。
【0096】
一方、過弗化物分解装置100bへCa塩を供給する場合には、過弗化物分解装置100bの制御装置5bからCa塩供給の出力信号を受けた制御装置10は、Ca塩供給装置61へ運転信号を、バルブ110b、バルブ112bおよびバルブ113bへ開信号を、バルブ110a、バルブ112aおよびバルブ113aへ閉信号を送信する。Ca塩タンクでは、Ca塩供給装置61の運転によって下部にCa塩が供給される。
【0097】
下部に供給されたCa塩は、圧縮空気とともにCa塩供給配管63を通り、バルブ110bを経由して、Ca塩供給槽32bへ供給される。Ca塩供給槽32bで圧縮空気のみがバルブ113bを経由して排気され、Ca塩のみが残る。Ca塩供給槽32bにCa塩が供給された後、制御装置10からCa塩供給装置61の停止信号、バルブ110b、バルブ112bおよびバルブ113bの閉信号を送信する。
【0098】
[実施例7]
図9図5図6の過弗化物分解装置が2台以上設置されている場合の圧縮空気を用いたCaF2を含むCa塩の排出および回収方法を示す。過弗化物分解装置100aおよび100bのCa塩排出槽35aおよび35bへは圧縮空気配管が接続され、Ca塩回収タンク9と、Ca塩排出槽35aおよび35bはCa塩回収配管64で接続されている。Ca塩回収配管64には、Ca塩回収切替機構としてバルブが設けられている。また、それらのバルブの開および閉を制御する制御装置10が設けられている。
【0099】
過弗化物分解装置100aの制御装置5aからCa塩排出の出力信号を受けた制御装置10は、バルブ105aおよび106aへ開信号を、バルブ105bおよび106bへ閉信号を送信する。過弗化物分解装置100aでは、実施例3、4で示した制御装置5aの制御によって、Ca塩排出槽35aにCa塩が排出されている。圧縮空気がバルブ106aを経由してCa塩排出槽35aに供給される。圧縮空気およびCa塩は、バルブ105aを経由してCa塩回収タンク9に回収される。Ca塩回収タンク9では圧縮空気のみを排気し、Ca塩回収タンク9内にはCa塩が残る。Ca塩排出槽35aからのCa塩排出が完了すると制御装置10からバルブ105aおよび106aの閉信号が送信される。
【0100】
一方、過弗化物分解装置100bからCa塩を排出する場合には、過弗化物分解装置100bの制御装置5bからCa塩排出の出力信号を受けた制御装置10が、バルブ105bおよび106bへ開信号、バルブ105aおよび106aへ閉信号を送信する。過弗化物分解装置100bでは、実施例3、4に示した制御装置5bの制御によって、Ca塩排出槽35bにCa塩が排出されている。圧縮空気がバルブ106bを経由してCa塩排出槽35bに供給される。圧縮空気とCa塩は、バルブ105bを経由してCa塩回収タンク9に回収される。Ca塩回収タンク9では圧縮空気のみを排気し、Ca塩回収タンク9内にCa塩が残る。Ca塩排出槽35bからのCa塩排出が完了すると制御装置10からバルブ105bおよび106bの閉信号が送信される。
【0101】
なお、制御装置5aおよび5bの制御機能を制御装置10に持たせ、制御装置10のみで2台の過弗化物分解装置の制御を行っても同様のシステムを構築することができる。
【0102】
図9では、2台の過弗化物分解装置からCaF2を含むCa塩の排出・回収方法を示しているが、本システムは3台以上の複数台に対しても、同じように適用することができる。
【0103】
[実施例8]
実施例2の構成を有する装置において、排ガスおよび水と、分解ガスとの熱交換を実施したときのガス温度の変化を表1に示す。該装置においては、排ガスおよび水を、熱交換器で混合し、予熱した。予熱された混合ガスを、第一加熱装置で400℃まで加熱し、さらに第二加熱装置で750℃まで加熱し、触媒層に供給した。触媒としては、アルミニウム酸化物とニッケル酸化物を用いた。また、熱交換器は、二重管構造とし、排ガスおよび水と、分解ガスとは熱交換器内を並流で流した。酸性ガス除去装置からの酸性ガスの排出はエゼクタにより行った。また、酸性ガス除去装置へのCa塩の供給は、ロータリフィーダを用いて連続的に行い、酸性ガス除去装置からのCa塩の排出は、ロータリフィーダを用いて連続的に行った。酸性ガス除去装置に充填および供給したCa塩は、Ca(OH)2とCaCO3との混合物であって、形状は円柱状であり、混合比として、Ca(OH)2:CaCO3=35:75質量%のものを用いた。
【0104】
【表1】
上記結果より、本発明の方法および装置を用いることにより、排ガスと水とを、過弗化物の分解に必要な加熱の前段階として適切に予熱することができるとともに、分解ガスを、Ca塩を用いた乾式処理に適した温度に冷却できることが解る。
【符号の説明】
【0105】
1、1a、1b・・・過弗化物分解部
2、2a、2b・・・熱交換器
3・・・酸性ガス除去部
4・・・エゼクタ
5、5a、5b・・・制御装置
6・・・Ca塩タンク
8a、8b・・・Ca塩貯槽
9・・・Ca塩回収タンク
10・・・制御装置
11・・・第一加熱装置
12・・・第二加熱装置
13・・・触媒
14、15・・・ヒータ
21・・・ノズル
30、30a、30b・・・Ca塩
31、31a、31b・・・酸性ガス除去装置
32、32a、32b・・・Ca塩供給槽
33、33a、33b・・・Ca塩供給器
34、34a、34b・・・Ca塩排出器
35、35a、35b・・・Ca塩排出槽
51、51a、51b・・・HFガス濃度検知器
52・・・温度検出器
61・・・Ca塩供給装置
62・・・圧縮空気供給装置
63・・・Ca塩供給配管
64・・・Ca塩回収配管
100a、100b・・・過弗化物分解装置
105a、105b、106a、106b、110a、110b、111a、111b、112a、112b、113a、113b・・・バルブ
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