(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記パラメータ決定ステップが更にゾーン決定ステップを含み、前記ゾーン決定ステップでは、対象のゾーンを前記公称面において決定し、且つ前記対象のゾーンにおける前記公称面と前記被構成面との間の差を最小限にすることによって、前記位置パラメータ及び前記変形パラメータを決定する、請求項1に記載の方法。
【背景技術】
【0002】
光学レンズ、特に眼科用レンズは、高品質の光学レンズを得るために極めて高品質の製造プロセスを必要とする。
【0003】
歴史的に、光学レンズは、注入成形などの異なるプロセスによって製造されてきた。
【0004】
しかしながら、成形方法は、コスト面で限界がある。
【0005】
それゆえ、デジタル表面仕上げなどの新しい製造技術が使用されている。
【0006】
注入成形工程を使用して生産されたレンズの品質を制御するために、使用されている型の品質確認はできるが、そのような品質管理は、デジタル表面仕上げプロセスを使用するときには不可能である。個々のレンズについて確認できるが、そのような品質管理は、非常に時間のかかるものであり、且つコスト面で限界がある。
【0007】
それゆえ、製造プロセス自体の品質を管理することによって、デジタル表面仕上げプロセスを使用して生産されたレンズの品質管理を可能にする品質管理プロセスが開発された。デジタル表面仕上げプロセスの品質を効率よく確認できるそのようなプロセスの例は、特許文献1に説明されている。
【0008】
本願発明者らは、そのようなプロセスによってもたらされたものに、問題が全くないわけではないことに気付いた。特に、本願発明者らは、そのような分析プロセス後に、結果としてもたらされたものが、ある種のアーティファクト(artifact)が含まれ得ることに気付いた。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
それゆえ、そのような品質分析プロセスを改善して、製造プロセスの制御及び被製造レンズの品質を強化する必要性がある。それゆえ、本発明の目的は、そのような分析プロセスを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明は、基準面に対する被製造導出面の相対位置を規定する位置パラメータを決定するための、コンピュータ計算手段によって実行されるプロセスであって、
− 公称基準系に表される公称面であって、基準面に対する公称面の相対位置を規定する位置パラメータの公称値で製造されるべき理論的導出面に対応している公称面が提供する公称面提供ステップと、
− 公称基準系で表される被製造導出面の被測定面を提供する被測定面提供ステップと、
− 少なくとも1つの変形調整パラメータによって規定される少なくとも1つの変形面を提供する変形面提供ステップと、
− 被測定面と変形面とを加えることによって組み立てられた被構成面を決定する被構成面決定ステップと、
− 公称面と被構成面との差を最小限にすることによって、位置パラメータ及び少なくとも1つの変形パラメータを決定するパラメータ決定ステップと
を含むプロセスに関する。
【0012】
好ましくは、本発明による方法は、基準面に対する被製造導出面の相対位置を規定する位置パラメータを決定できるようにする。
【0013】
実際、本発明人らは、位置パラメータが、任意のデジタル表面仕上げプロセスの品質測定における一次因子であることに気付いた。
【0014】
本発明によるプロセスを使用して決定される位置パラメータは、従来技術の方法を使用して得られたときよりもアーティファクトを含まない。更に、本発明によるプロセスは、少なくとも1つの変形パラメータを決定できるようにする。
【0015】
単独で又は組み合わせで考慮し得る別の実施形態によれば、
− パラメータ決定ステップは更にゾーン決定ステップを含み、そこでは、対象のゾーンは公称面において決定され、且つ位置パラメータ及び変形パラメータは、対象のゾーンにおいて、公称面と被構成面との間の差を最小限にすることによって決定され;及び/又は
パラメータ決定ステップは、減衰最小二乗プロセスを使用することによって実行され;及び/又は
− 被製造導出面は、眼科用レンズの面であり;及び/又は
− 被測定面は光学的測定によって決定され;及び/又は
− 被製造導出面は非対称の導出面であり;及び/又は
− 位置パラメータは少なくとも6個のパラメータ、例えば3個の平行移動係数及び3個の回転係数を含み;及び/又は
− 変形面は、球面パラメータ、円柱面パラメータ及び軸パラメータによって規定された球−円環面(sphero−torus surface)に対応し;及び/又は
− 変形面は、軸パラメータ及び角度パラメータによって規定された直円錐に対応する。
【0016】
別の態様によれば、本発明は、製造プロセスの制御プロセスであって、上述したそれぞれのプロセスのステップを含み、且つ更に:
− 6個の位置パラメータを使用して基準面に対して位置決めされる被測定面と公称面との間の差に対応する誤差面を決定する誤差面決定ステップと、
− 誤差面を制御する制御ステップと
を含むプロセスに関する。
【0017】
本発明はまた、
a)製造装置を使用して、製造プロセスに従ってマスターレンズを製造するステップと、
b)本発明によるプロセスによって、ステップa)のマスターレンズの少なくとも1つの変形パラメータを決定するステップと、
c)少なくとも1つの変形パラメータの値を記録するステップと、
d)ステップa)〜c)を定期的に繰り返し、且つ少なくとも1つの変形パラメータの進化を、時間を経て確認するステップと、
を含むレンズ製造プロセスの制御プロセスであって、
レンズ製造プロセス中に使用された製造装置の少なくとも1つのパラメータの進化を、時間を経て確認し、及びマスターレンズの少なくとも1つの変形パラメータの時間経過の進化を、製造装置の少なくとも1つのパラメータの時間経過の進化に関連付ける、プロセスに関する。
【0018】
本発明は、更に、製造装置を使用してレンズを製造するための製造プロセスであって:
− レンズブランク(lens blank)を提供するステップと、
− レンズブランクをブロック化するステップと、
− レンズブランクの少なくとも一方の面を表面仕上げするステップと
を含み、本発明によるプロセスによって確認される、プロセスに関する。
【0019】
実施形態によれば、プロセスは、眼科用累進レンズ表面仕上げプロセス、例えばデジタル表面仕上げプロセスを含む。
【0020】
本発明はまた、データ処理装置用のコンピュータプログラム製品であって、データ処理装置にロードされると、データ処理装置に、本発明による方法のステップの少なくとも1つ、例えばステップの全てを実行させる一連の命令を含む、コンピュータプログラム製品に関する。
【0021】
更に、本発明は、本発明のコンピュータプログラム製品の1つ以上の一連の命令を保持するコンピュータ可読媒体を提供する。
【0022】
特に具体的に明記しない限り、以下の説明から明らかなように、当然のことながら、本明細書の説明全体を通して、用語「コンピュータ計算する」、「計算する」、「生成する」などを使用する説明は、コンピュータシステムのレジスタ及び/又はメモリ内において物理量、例えば電子量で表されるデータを、コンピュータシステムのメモリ、レジスタ又は他のそのような情報記憶、伝送又は表示装置内において同様に物理量で表される他のデータに操作及び/又は変換するコンピュータ又はコンピュータシステムの、又は同様の電子計算装置の動作及び/又はプロセスを指す。本発明の実施形態は、本明細書のオペレーションを実行するための装置を含み得る。この装置は、所望の目的のために特別に構成されてもよいし、又はコンピュータに記憶されたコンピュータプログラムによって選択的にアクティブにされた又は再構成された汎用コンピュータ又はデジタル・シグナル・プロセッサ(「DSP」)を含んでもよい。そのようなコンピュータプログラムは、コンピュータ可読記憶媒体、例えば、以下のものに限定するものではないが、フロッピーディスク(登録商標)、光ディスク、CD−ROM、光磁気ディスク、読み取り専用メモリ(ROM)、ランダムアクセスメモリ(RAM)、電気的プログラム可能読み取り専用メモリ(EPROM)、電気的消去可能・プログラム可能読み取り専用メモリ(EEPROM)、磁気カード又は光カードを含む任意のタイプのディスク、又は電子命令の記憶に好適且つコンピュータのシステムバスに結合できる任意の他のタイプの媒体に記憶される。本明細書で提示するプロセス及びディスプレイは、任意の特定のコンピュータ又は他の装置に本質的に関するものではない。様々な汎用システムを、本明細書の教示に従うプログラムと使用してもよいし、又は所望の方法を実行するためにより専門的な装置を構成することが好都合であると証明してもよい。これらの様々なシステムの所望の構造は、以下の説明から明らかである。更に、本発明の実施形態は、任意の特定のプログラミング言語を参照して説明するわけではない。当然のことながら、様々なプログラミング言語を使用して、本明細書で説明する本発明の教示を実行し得る。
【0023】
本発明に関して、「製造パラメータ」は、製造プロセスに含まれる、異なる製造装置の設定パラメータである。本発明に関して、「プロセスパラメータ」は、レンズの製造に使用される製造装置の任意の測定可能なパラメータを含む。
【0024】
本発明の非限定的な実施形態を、以下、添付の図面を参照して説明する。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【
図1a】眼科用レンズの面の位置パラメータの、前記レンズの乱視(非点収差)(astigmatism)の分布に対する影響を示す。
【
図1b】眼科用レンズの面の位置パラメータの、前記レンズの乱視(非点収差)(astigmatism)の分布に対する影響を示す。
【
図1c】眼科用レンズの面の位置パラメータの、前記レンズの乱視(非点収差)(astigmatism)の分布に対する影響を示す。
【
図2a】公称面と被測定面との間の差を決定する従来技術のプロセスの結果を示す。
【
図2b】公称面と被測定面との間の差を決定する従来技術のプロセスの結果を示す。
【
図2c】公称面と被測定面との間の差を決定する従来技術のプロセスの結果を示す。
【
図2d】公称面と被測定面との間の差を決定する従来技術のプロセスの結果を示す。
【
図3a】公称面と被測定面との間の差を決定する従来技術のプロセスの結果を示す。
【
図3b】公称面と被測定面との間の差を決定する従来技術のプロセスの結果を示す。
【
図3c】公称面と被測定面との間の差を決定する従来技術のプロセスの結果を示す。
【
図3d】公称面と被測定面との間の差を決定する従来技術のプロセスの結果を示す。
【
図4】本発明の実施形態に従って位置パラメータを決定するプロセスに含まれるステップのフロー図である。
【
図5】本発明の実施形態による製造プロセスに含まれるステップのフロー図である。
【
図6】本発明の実施形態による制御プロセスに含まれるステップのフロー図である。
【発明を実施するための形態】
【0026】
図1a〜1cは、乱視(非点収差)の位置パラメータの誤差が、得られた眼科用レンズへ及ぼす影響を示す。
【0027】
図1a〜1cは、前面が2.12ジオプトリ及び後面が球面−7.75、円柱面2.75及び加入度2.75の、Varilux(登録商標)Panamic(商標)タイプの累進加入レンズ(progressive addition lens)の2次元マップである。
【0028】
2次元マップは、装用者によって知覚される乱視の分布を表す。
【0029】
図1a〜1cは、レンズの前面及び後面が同じであり、後面の位置のみが異なることを示す。
【0030】
図1aでは、後面は正しく位置決めされている。
【0031】
図1bでは、後面は、x軸及びy軸に沿って2mm平行移動されている。
【0032】
図1cでは、後面は、x軸及びy軸に沿って2mm平行移動され、且つa軸の周りで5°回転されている。
【0033】
図1a〜1cに示すように、後面の位置の差は、装用者に知覚される乱視の分布に与える影響が大きいことを暗示する。
【0034】
それゆえ、後面の位置パラメータを正しく決定できるようにすることは、非常に重要である。加えて、これら乱視の分布(すなわち屈折力誤差)の変化を、面の変形によって生じる変化と混同しないことが重要である。位置決め誤差及び面の変形誤差の双方にとって、装用者の乱視の分布(すなわちより一般的には装用者の屈折力誤差)の変化の本当の原因を分けて区別できるようにすることが非常に重要である。
【0035】
図2及び
図3は、本発明による方法の変形ステップの影響の例を提供する。
【0036】
図2a〜2dの例では、公称累進面を変形累進面と比較する。変形累進面は、0.1ジオプトリの球面変形が加えられた公称累進面に対応している。
【0037】
公称面と変形面を比較するとき、0.1ジオプトリの球面の一部に対応する第3の面を得る必要がある。
【0038】
図2a〜2dは、従来技術のプロセスを使用して得られた公称面と変形面との差に対応する第3の面の特徴を表す。そのような従来技術のプロセスは、変形面と公称面との間の差を最小限にする位置パラメータを決定することにある。
【0039】
本発明人らは、変形面を、あたかも被製造面に対応する被測定面であったかのようにみなして、従来技術のプロセスを実行した。この従来技術のプロセスは、変形面の位置パラメータを提供する。そのような位置パラメータを使用することによって、対応する眼科用レンズの特徴を決定できる。決定された眼科用レンズの特徴を、
図2a〜2dに示す。
【0040】
図2aは、従来技術のプロセスを使用して得られた、被測定累進レンズとその公称面との間のサグの差の屈折力プロファイルを表す。
【0041】
図2bは、従来技術のプロセスを使用して得られたこの差の球面分布を表す。
【0042】
図2cは、従来技術のプロセスを使用して得られたこの差の円柱面分布を表す。
【0043】
図2dは、従来技術のプロセスを使用して得られた被測定累進レンズとその公称面との間の間隙をミクロンで表す。
【0044】
公称面と累進面との間の差は0.1ジオプトリの均一な変形であるため、
図2aに表す屈折力プロファイルは、0.1ジオプトリに対応する直線である必要があり、且つ球面分布及び円柱面分布は、球面は常に0.1ジオプトリに等しい必要があり且つ円柱面は0に等しい必要があるため、ブランクである必要がある。
【0045】
図2a〜2dに示すように、従来技術のプロセスでは、公称面と変形面との間に、実際には存在しない差を生成させる。
【0046】
図3a〜3dの例では、公称累進面を変形累進面と比較する。変形累進面は、加入度が0.1ジオプトリの累進面が加えられた公称累進面に対応している。
【0047】
公称面と変形面を比較するとき、加入度が0.1ジオプトリの累進面に対応する第3の面を得る必要がある。
【0048】
図3a〜3dは、従来技術のプロセスを使用して得られた公称面と変形面との差に対応する第3の面の特徴を示す。そのような従来技術のプロセスは、公称面と変形面との差を最小限にする位置パラメータを決定することからなる。
【0049】
本発明人らは、あたかも変形面を、被製造面に対応する被測定面であったかのようにみなして、従来技術のプロセスを実行した。従来技術のプロセスは、変形面の位置パラメータを提供する。そのような位置パラメータを使用することによって、対応する眼科用レンズの特徴を決定できる。決定された眼科用レンズの特徴を
図3a〜3dに表す。
【0050】
図3aは、従来技術のプロセスを使用して得られた、累進レンズの被測定面とその公称面との間のサグの差の屈折力プロファイルを表す。
【0051】
図3bは、従来技術のプロセスを使用して得られたこの差の球面分布を表す。
【0052】
図3cは、従来技術のプロセスを使用して得られたこの差の円柱面分布を表す。
【0053】
図3dは、従来技術のプロセスを使用して得られた被測定累進レンズとその公称面との間の間隙をミクロンで表す。
【0054】
公称面と変形面との間の差は、加入度0.1Dの累進面である必要がある。
【0055】
図3a〜3dに示すように、従来技術のプロセスは、公称面と変形面との間に、実際には存在しない差を生成させる。
【0056】
上述の例から、公称面及び決定された変形係数に対して被測定面を正しく位置決めするプロセスが必要とされている。
【0057】
図4は、本発明によるプロセスのステップを示した。
【0058】
図4に示すように、位置パラメータを決定する本発明によるプロセスは基準面に対する被製造導出面の相対位置を規定する。そのようなプロセスは:
− 公称面提供ステップS1、
− 被測定面提供ステップS2、
− 変形面提供ステップS3、
− 被構成面決定ステップS4、及び
− パラメータ決定ステップS5
を含む。
【0059】
以下説明する実施形態によれば、被製造導出面は光学レンズの面である。しかしながら、本発明は、そのようなタイプの面に限定されない。特に、被製造面は非対称の導出面とし得る。
【0060】
公称面提供ステップS1の最中、公称基準系で表される公称面であって、基準面に対する公称面の相対位置を規定する位置パラメータの公称値で製造されるべき理論的導出面に対応する公称面を、提供する。
【0061】
位置パラメータは、少なくとも6個のパラメータ、例えば公称基準系の軸に沿った3個の平行移動係数及び公称基準系の軸の周りの3個の回転係数を含み得る。
【0062】
被測定面提供ステップS2では、公称基準系で表された、被製造導出面の被測定面を提供する。
【0063】
例えば、被製造導出面の製造後、この被製造導出面を、光学的測定を使用して測定し、且つ前記被測定面を、公称面提供ステップS1に提供される公称面と同じ公称基準系で表す。
【0064】
本発明によるプロセスは、変形面提供ステップS3を含み、その最中に、少なくとも1つの変形パラメータによって規定される少なくとも1つの変形面を提供する。
【0065】
本発明の実施形態によれば、変形面の1つは、球面パラメータ、円柱面パラメータ及び軸パラメータによって規定された球−円環面とし得る。
【0066】
本発明の実施形態によれば、変形面の1つは、軸パラメータ及び角度パラメータによって規定された直円錐に対応し得る。
【0067】
本発明によるプロセスの変形面提供ステップは、複数の変形面を提供することを含み得る。
【0068】
実際、本発明人らは、変形面を規定する係数と、製造プロセスのいくつかの製造パラメータとを関連付けることが可能であることに気付いた。それゆえ、可能な限り多くの製造パラメータを制御できるようにするために、可能な限り多くの変形面を提供することが興味深いこともある。
【0069】
本発明のプロセスによれば、変形面を提供した後、プロセスは被構成面ステップS4を更に含み、その最中、被測定面とあらゆる変形面とを加えることによって、被構成面を決定する。
【0070】
パラメータ決定ステップS5の最中、公称基準系に、基準面に対して被測定面の位置を規定する位置パラメータ、及び異なる変形面の異なる変形を規定する変形パラメータを決定する。
【0071】
本発明の実施形態によれば、パラメータを、公称面と被構成面との間の差を最小限にすることによって、パラメータ決定ステップS5の最中に決定する。
【0072】
本発明の実施形態によれば、パラメータ決定ステップS5はゾーン決定ステップを更に含み、そのステップでは、対象のゾーンを公称面内に決定し、且つ位置パラメータ及び変形パラメータを、対象のゾーン内での、公称面と被構成面との間の差を可能な限り最小限にすることによって、決定する。
【0073】
本発明の実施形態によれば、パラメータ決定ステップS5を、減衰最小二乗プロセスを使用することによって実行する。
【0074】
本発明はまた、製造プロセス、例えばレンズ製造プロセスを制御する方法に関する。
【0075】
図5に示すように、製造装置を使用するレンズ製造プロセスは、レンズブランクを提供するステップ10、ブロッキング装置を使用してレンズブランクをブロック化するステップ12、機械加工装置、例えば発生器又は3次元粗研削機械加工装置を使用してレンズブランクの一方の面を機械加工するステップ14、及びポリッシャーを使用してレンズの機械加工面を研磨するステップ16を含む。
【0076】
製造ステップ10〜16をn回繰り返す。製造ステップをn回繰り返した後、本発明による制御プロセスの処理を行う。
【0077】
本発明による製造プロセスは、任意のタイプのレンズ、例えば眼科用レンズ、例えば累進加入レンズ(progressive additional lens)などを製造するために使用できる。
【0078】
提供ステップ10の最中に提供されたレンズブランクは、半製品のレンズブランクとし得る。
【0079】
ブロック化ステップの処理は、当業者に公知の任意のブロッキング装置を使用して行うことができる;そのような装置は、例えば米国特許第4,229,911号明細書、又は国際公開第2006/031687号パンフレットに開示されている。
【0080】
製造ステップ14は、レンズの未完成面に所望の設計を生成することからなる。発生器は、当業者に公知の一般的な装置である;そのような装置は、例えばEP0 849 038号明細書又は米国特許出願公開第2005/0188516号明細書に開示されている。
【0081】
研磨ステップ16は、被製造面を滑らかにすることからなる。研磨装置は当業界において周知である。
【0082】
例えばEP08 853 275号明細書に開示されるような適格性確認プロセスを使用して製造パラメータが適切に較正されたら、本発明による製造プロセスを使用してレンズを製造できる。
【0083】
そのような製造プロセスは、
図6に示すような本発明による制御プロセスによって制御でき、且つ:
a)製造装置を使用して製造プロセスに従ってマスターレンズを製造するステップ20、
b)本発明によるプロセスによって、ステップa)のマスターレンズの少なくとも1つの変形パラメータを決定するステップ22、
c)前記変形パラメータの値を記録するステップ24、
d)ステップa)〜c)を定期的に繰り返し、且つ時間を経て前記変形パラメータの進化を確認するステップ28
を含む。
【0084】
本発明の実施形態によれば、マスターレンズは、1日数回製造できるか、又は毎日ではないが定期的に製造できる。
【0085】
本発明の実施形態によれば、マスターレンズは、異なる幾何学及び/又は光学パラメータを有し、及び/又は製造プロセスの最中に製造されるレンズとは異なる材料から作製される。
【0086】
マスターレンズの選択は、ある種のパラメータのプロセスパラメータへの感度を増幅するように、行うことができる。例えば、マスターレンズは、ある材料から作製され、且つその光学パラメータが、通常製造されるレンズよりもプロセスパラメータの修正に対して感度が高くなるような設計を有する。
【0087】
マスターレンズの設計の例は、EP08 853 275号明細書に与えられている。
【0088】
本発明人らは、本発明による方法を使用して決定できる変形パラメータと製造パラメータとの間の相関関係を観察した。
【0089】
例えば、本発明人らは、球−円環変形面の球面パラメータ、円柱面パラメータ及び軸パラメータ
と、製造装置の
中で光学レンズがブロック化される方法
との間の相関関係を観察した。
【0090】
それゆえ、本発明によるプロセスを使用して、定期的に製造されたマスターレンズにおいて球面パラメータ、円柱面パラメータ及び軸パラメータを決定することによって、ブロック化ステップにおける欠陥を検出することが可能である。
【0091】
本発明人らはまた、軸パラメータ及び角度パラメータによって規定される直円錐に変形面が対応するとき、前記パラメータは、製造プロセスの最中、研削工具の位置に相関し得ることに気付いた。
【0092】
それゆえ、本発明によるプロセスは、製造プロセスの欠陥を検出するだけでなく、変形パラメータを決定するおかげで、製造プロセスの最中に欠陥が現れ始める個所を特定することも可能にする。
【0093】
変形パラメータの上述の例は、本発明の実施形態の説明に含まれる。当業者には当然のことながら、これらの例で開示した技術は、本発明人らが観察した、本発明の実施において上手く機能する技術を表し、それゆえ、その実施に好ましい態様を構成するとみなし得る。しかしながら、当業者は、本開示を考慮して、開示される特定の実施形態において多くの変更をなし得ること、及び以下の特許請求の範囲に規定される本発明の範囲を逸脱せずに依然として類似の又は同様の結果を得ることを認識する。