(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6072010
(24)【登録日】2017年1月13日
(45)【発行日】2017年2月1日
(54)【発明の名称】蓋付き容器
(51)【国際特許分類】
B65D 5/66 20060101AFI20170123BHJP
B65D 43/16 20060101ALI20170123BHJP
【FI】
B65D5/66 B
B65D43/16 100
【請求項の数】2
【全頁数】6
(21)【出願番号】特願2014-511198(P2014-511198)
(86)(22)【出願日】2013年4月12日
(86)【国際出願番号】JP2013061102
(87)【国際公開番号】WO2013157499
(87)【国際公開日】20131024
【審査請求日】2016年1月5日
(31)【優先権主張番号】特願2012-96900(P2012-96900)
(32)【優先日】2012年4月20日
(33)【優先権主張国】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000133157
【氏名又は名称】株式会社TANAーX
(74)【代理人】
【識別番号】110001069
【氏名又は名称】特許業務法人京都国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】高橋 史訓
【審査官】
藤井 眞吾
(56)【参考文献】
【文献】
実開昭62−035949(JP,U)
【文献】
米国特許第1833469(US,A)
【文献】
米国特許第1970580(US,A)
【文献】
米国特許第1977679(US,A)
【文献】
特開2009−255948(JP,A)
【文献】
特開2003−327242(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65D 5/66
B65D 43/16
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
開口部を有する筐体と、前記開口部の少なくとも一部を塞ぐ大きさを有する蓋体と、一端が前記筐体の外面に粘着され、他端が前記蓋体の外面に粘着されて前記筐体と前記蓋体とを接合する、弾性を有する粘着テープとからなる蓋付き容器であって、前記一端と前記他端の間に前記粘着テープの粘着面同士を粘着させてなる折り返し部を有することを特徴とする蓋付き容器。
【請求項2】
前記蓋体が、前記開口部を閉じた状態において該開口部から張り出す張り出し片を有することを特徴とする請求項1に記載の蓋付き容器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、蓋付き容器に関する。特に、化粧品や小物雑貨などを収容するために用いる蓋付き容器に関する。
【背景技術】
【0002】
店頭において化粧品や小物雑貨などを販売する場合、商品を箱状の容器に入れた状態で陳列することがある(例えば非特許文献1)。その際、客が容器内の商品を取り出し易いように、商品を入れる容器には、上面に開口部を有し、差込式ではない、単に開口部を覆うだけの蓋でその開口部を塞ぐようにした容器が広く用いられる。そのような蓋付き容器として、例えば、蓋体12を筐体11の開口部の周縁の一辺に取り付けた蓋付き容器が用いられている(
図1参照)。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0003】
【非特許文献1】株式会社TANA−X,"店頭マテリアル",[online],[平成23年11月28日検索],インターネット<URL:http://tana-x.co.jp/business/shopmaterial.html>
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
多くの場合、製造の容易さやコストを考慮して、紙製の筐体11と蓋体12とを粘着テープ13により接合させた蓋付き容器が用いられる。一般に、粘着テープ13は弾性を有するため、これを折り曲げると、元の形状、つまり平坦面状に戻ろうとする復元力が働く。
図1(a)に示した蓋付き容器の場合、粘着テープ13の復元力により軽量の蓋体12が持ち上げられて、
図1(b)に示すように蓋体12が浮いた状態になってしまい、商品陳列時の見栄えが悪くなる。
【0005】
本発明が解決しようとする課題は、容易に開けることが可能な蓋を備え、その蓋が浮いたままの状態になって見栄えが悪くなることを防ぐことができ、かつ簡便に製造することができる蓋付き容器を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するために成された本発明に係る蓋付き容器は、開口部を有する筐体と、前記開口部の少なくとも一部を塞ぐ大きさを有する蓋体と、一端が前記筐体の外面に粘着され、他端が前記蓋体の外面に粘着されて前記筐体と前記蓋体とを接合する、弾性を有する粘着テープとからなる蓋付き容器であって、前記一端と前記他端の間に前記粘着テープの粘着面同士を粘着させてなる折り返し部を有することを特徴とする。
【0007】
本発明に係る蓋付き容器は、筐体と蓋体を接合する粘着テープの該筐体と該蓋体の境界部分に上記折り返し部が設けられているため、上述した粘着テープの復元力は蓋を閉じる方向に働く。
【0008】
前記蓋体は、前記開口部を閉じた状態において該開口部から張り出す張り出し片を有することが望ましい。この場合、張り出し片をつまむなどして持ち上げることにより、一層容易に容器の蓋を開けることができる。
【発明の効果】
【0009】
本発明に係る蓋付き容器は、筐体と蓋体を接合する粘着テープの、該筐体と該蓋体との境界部分に折り返し部を設けたため、粘着テープの復元力は蓋体を閉じる方向に働く。また、蓋体を開けたときでも、粘着テープの復元力によって蓋体は常に閉じようとするため、例えば、本発明に係る蓋付き容器に商品を収容して店頭に陳列したときに客が蓋体を開けた後で蓋体を閉じなくても、自動的に蓋体が閉じる。従って、蓋体が浮いたままの状態になることがなく、商品陳列時に見栄えが悪くなることを防ぐことができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図2】蓋を閉じた状態での筐体と蓋体の接合部の拡大図。
【
図3】蓋を開いた状態での筐体と蓋体の接合部の拡大図。
【
図4】本実施例に係る蓋付き容器の製造方法を説明する概略図。
【
図6】さらに別の実施例に係る蓋付き容器の概略図。
【発明を実施するための形態】
【0011】
本発明に係る蓋付き容器の一実施例について、以下に説明する。
本実施例に係る蓋付き容器は、筐体と蓋体との接合部(粘着テープにより筐体と蓋体を接合する部分)を除いて
図1に示した従来の蓋付き容器と同じ構造を有するため、以下では、接合部の構造について詳しく説明し、その他の部分の説明は省略する。
【0012】
図2(a)に従来の蓋付き容器の接合部の拡大図、
図2(b)に本実施例に係る蓋付き容器の接合部の拡大図を、それぞれ示す。
図2に示す図はいずれも、蓋を閉じた状態の図である。
【0013】
図2(a)に示す従来の蓋付き容器では、直方体状の筐体11の開口部の周縁部の一つの辺部と蓋体12の一つの辺部(以下、これらの辺を「接合辺」と呼ぶ)を突き合わせて両者を粘着テープ13で接合している。
図2(b)に示す本実施例の蓋付き容器では、直方体状の筐体1側の接合辺と蓋体2側の接合辺との間に粘着テープ3の粘着面同士を粘着させて形成した折り返し部31が設けられており、この点で
図2(a)に示す従来の蓋付き容器と異なる。なお、本明細書において説明に使用する各図では、本発明の特徴に関する理解を容易にするため、折り返し部31を実際よりも大きく記載している。
【0014】
図2(b)に示すように、本実施例に係る蓋付き容器には、弾性を有する粘着テープ3の粘着面同士を粘着させてなる折り返し部31が設けられており、該折り返し部31から蓋体2側、筐体1側のいずれにおいても粘着テープ3が平坦面状から変形した状態になっている。弾性を有する粘着テープを折り曲げると、元の形状、つまり平坦面状に戻ろうとする復元力が働く。従って、上記した筐体1側及び蓋体2側のそれぞれにおいて粘着テープ3が平坦面状に戻ろうとするため、蓋体2が閉じる。一方、
図2(a)に示す従来の蓋付き容器では、筐体11側及び蓋体12側の粘着テープ13全体が平坦状に戻ろうとするため、蓋体12は開こうとする。
【0015】
本実施例に係る蓋付き容器の粘着テープ3の復元力は、蓋体2を大きく開いた状態でより大きくなる。
図3に、蓋を鉛直上方まで開いた状態を示す。従来の蓋付き容器では、
図3(a)に示すとおり、粘着テープが平坦面状になるため粘着テープに復元力は働かない。一方、
図3(b)に示す本実施例に係る蓋付き容器では、
図2(b)に示した状態よりも粘着テープ3が大きく折り曲げられた状態になるため、大きな復元力が粘着テープ3に働く。
【0016】
筐体1と蓋体2を粘着テープ3で接合する手順を以下に説明する。
【0017】
まず、
図4(a)に示すように、粘着テープ3の一端を筐体1の接合辺を含む外面に貼り付ける。次いで、この一端から所定の長さだけ離間させて中間部分を設け、粘着テープ3の他端を蓋体2の接合辺を含む外面に貼り付ける。
続いて、粘着テープ3の中間部分を容器外方に引き出し、折り畳んで粘着テープの粘着面同士を粘着させ、折り返し部31を形成する
(図4(b))。
【0018】
本実施例の蓋付き容器は、蓋体2の一部として、蓋体2の接合辺と対向する辺から延設され、折り曲げられた張り出し片21を備えている。張り出し片21は必ずしも設ける必要はないが、張り出し片21を設けると、そこに指を引っ掛けて容易に蓋を開けることができるようになる。また、本実施例の蓋付き容器に商品を収容して販売する際に、この張り出し片21を筐体に粘着テープで貼り付けて、開口部が開かない状態に固定することもできる。
【0019】
上記実施例は一例であって、本発明の趣旨に沿って適宜変更や修正を行うことが可能である。
筐体は上面に開口部を有するものであればよく、上記実施例のような直方体状のものに限定されない。例えば、三角柱、六角柱等の多角柱を用いることができる。また、上方に向かうにつれて水平方向の断面の大きさが変化する筐体(例えば、四角錐の上部を切り取った形状を有する筐体)を用いることもできる。
また、蓋体の形状や大きさは開口部の形状や大きさと同一である必要はなく、開口部の一部のみを閉じるような形状の蓋体としてもよい。
【0020】
筐体内部に仕切り板4を設けて複数の空間に分割し、それぞれに対して個別に上面の開口部を閉じる蓋体2を設けてもよい。また、複数の空間のうちの一部についてのみ上面の開口部を閉じる蓋体2を設けてもよい(
図5参照)。
【0021】
筐体1の開口部は、前面側(あるいは後面側)に傾斜をつけたものとしてもよい(
図6参照)。前面側に傾斜した開口部を有する筐体1を用いると、内部に収容した商品をより見やすくした蓋付き容器にすることができる。
【0022】
粘着テープ3にはフィラメントテープを好適に用いることができる。フィラメントテープはガラス繊維などによりテープの長さ方向が強化された粘着テープであり、強化された方向には変形しにくく、これに垂直な方向には弾力性を有する。従って、フィラメントテープの強化された方向を接合辺と平行にして筐体1と蓋体2とを接合すると、粘着テープの弾力性を生かして開口部を閉じた状態を維持でき、かつ筐体1と蓋体2を確実に接合した状態を長期にわたって維持可能な蓋付き容器とすることができる。もちろん、フィラメントテープは弾性を有する粘着テープの一例であって、当然他の種類の粘着テープを用いてもよい。
【符号の説明】
【0023】
1、11…筐体
2、12…蓋体
21…張り出し片
3、13…粘着テープ
31…折り返し部
4…仕切り板