特許第6072019号(P6072019)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6072019非等軸性炭酸カルシウム微粒子を含むたばこ材料
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6072019
(24)【登録日】2017年1月13日
(45)【発行日】2017年2月1日
(54)【発明の名称】非等軸性炭酸カルシウム微粒子を含むたばこ材料
(51)【国際特許分類】
   A24B 15/28 20060101AFI20170123BHJP
【FI】
   A24B15/28
【請求項の数】17
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2014-514865(P2014-514865)
(86)(22)【出願日】2012年6月8日
(65)【公表番号】特表2014-516570(P2014-516570A)
(43)【公表日】2014年7月17日
(86)【国際出願番号】US2012041463
(87)【国際公開番号】WO2012170761
(87)【国際公開日】20121213
【審査請求日】2015年5月13日
(31)【優先権主張番号】61/495,419
(32)【優先日】2011年6月10日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】504058248
【氏名又は名称】シュバイツァー モウドゥイ インターナショナル インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100140109
【弁理士】
【氏名又は名称】小野 新次郎
(74)【代理人】
【識別番号】100075270
【弁理士】
【氏名又は名称】小林 泰
(74)【代理人】
【識別番号】100101373
【弁理士】
【氏名又は名称】竹内 茂雄
(74)【代理人】
【識別番号】100118902
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 修
(74)【代理人】
【識別番号】100129458
【弁理士】
【氏名又は名称】梶田 剛
(72)【発明者】
【氏名】ロイヤール,ステファーヌ
(72)【発明者】
【氏名】ラヴェルディ−ランベール,ディアーヌ・エム
(72)【発明者】
【氏名】リグレイ,クリストフ
(72)【発明者】
【氏名】ギトン,ジョアン
(72)【発明者】
【氏名】ルソー,セドリック
【審査官】 仲村 靖
(56)【参考文献】
【文献】 特表2008−507978(JP,A)
【文献】 国際公開第2010/125386(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A24B 15/28
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
たばこ材料を含む喫煙品であって、該たばこ材料は約5〜約60重量%の沈降炭酸カルシウム微粒子を含み、該炭酸カルシウム微粒子は非等軸性であり、該微粒子は約50ナノメートル〜約3マイクロメートルの平均直径および約〜約12の縦横比を有する、喫煙品。
【請求項2】
該炭酸カルシウム微粒子は約100ナノメートル〜約400ナノメートルの平均直径を有する、請求項1に記載の喫煙品。
【請求項3】
該炭酸カルシウム微粒子は約100ナノメートル〜約8マイクロメートルの平均長さを有する、請求項1または2に記載の喫煙品。
【請求項4】
該炭酸カルシウム微粒子は約500ナノメートル〜約4マイクロメートルの平均長さを有する、請求項1〜3のいずれか1項に記載の喫煙品。
【請求項5】
該炭酸カルシウム微粒子が該たばこ材料の約10〜約50重量%を構成する、請求項1に記載の喫煙品。
【請求項6】
たばこが該たばこ材料の約40〜約95重量%を構成する、請求項1〜のいずれか1項に記載の喫煙品。
【請求項7】
該炭酸カルシウム微粒子は該たばこ材料中に均質に分布している、請求項1〜のいずれか1項に記載の喫煙品。
【請求項8】
該炭酸カルシウム微粒子は偏三角面体の結晶の形態を有する、請求項1〜のいずれか1項に記載の喫煙品。
【請求項9】
該炭酸カルシウム微粒子は約3〜約20m/gの比表面積を有する、請求項1〜のいずれか1項に記載の喫煙品。
【請求項10】
該炭酸カルシウム微粒子は被覆されていない、請求項1〜のいずれか1項に記載の喫煙品。
【請求項11】
該たばこ材料は再生たばこを含む、請求項1〜10のいずれか1項に記載の喫煙品。
【請求項12】
該たばこ材料は柱状に形成されており、包装材が該柱を取り囲んでいる、請求項1〜11のいずれか1項に記載の喫煙品。
【請求項13】
喫煙品に使用されるたばこ材料を形成する方法であって、たばこを溶媒と一緒にして可溶部分および非可溶部分を形成することと、該可溶部分を沈降炭酸カルシウム微粒子と接触させてたばこ材料を形成することとを含み、該炭酸カルシウム微粒子は非等軸性であり、該微粒子は約50ナノメートル〜約3マイクロメートルの平均直径および約〜約12の縦横比を有する、方法。
【請求項14】
該可溶部分を該炭酸カルシウム微粒子と接触させる前に該非可溶部分を該可溶部分から分離することをさらに含む、請求項13に記載の方法。
【請求項15】
該たばこ材料を該非可溶部分と再度一緒にすることをさらに含む、請求項14に記載の方法。
【請求項16】
該非可溶部分は該たばこ材料と再度一緒にされる前にシート様材料に形成される、請求項15に記載の方法。
【請求項17】
請求項13〜16の何れか1項に記載の方法で作られる喫煙品。
【発明の詳細な説明】
【背景技術】
【0001】
巻きたばこのような喫煙品は、従来柱状のたばこを包装紙に包んで作られる。喫煙品は通常その一端にフィルターを備え、喫煙品はこれを通して喫煙される。フィルターは包装紙に接着されている吸い口紙を用いて喫煙品に取り付けられている。喫煙品が喫煙されるとき、主流煙が発生しフィルターを通して吸入される。主流煙には多数の成分が含まれ喫煙品に固有の味覚を与えるが、それには人の味覚のみならず嗅覚によって検知される感覚も含まれる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0002】
しかし、特定の喫煙成分は喫煙品の主流煙には望ましくない場合がある。そのためホフマン(Hoffmann)成分の低減に関する幅広い研究が行われてきた。例えばハヤリゴール(Hajaligol)等に付与された等米国特許公報第2003/0041867には、たばこおよび微粉化された無機粒子材料を含むたばこ喫煙用混合物が開示されており、たばこ喫煙用混合物の燃焼/熱分解時の燃焼部の温度を低下させている。ハヤリゴール等によれば、温度が低下するとたばこ喫煙用混合物の燃焼/熱分解で生成される高温度の生成物(例えば一酸化炭素、酸化窒素、および炭化水素)の量が減る。適する無機材料には、例えば黒鉛、フラーレン、炭素発泡体、黒鉛発泡体、活性炭、酸化チタン、酸化アルミニウム、炭酸カルシウム、および炭酸マグネシウムがあるといわれている。好ましくは、これらの粒子の寸法は1マイクロメートル未満である。そのような微粉化された無機粒子は理論的には検知成分を大きく低減する可能性があるが、多くのたばこ処理で実際に用いられているものは非常にわずかである。一方、大きな粒子は一般に有効ではない。
【0003】
したがって、有効かつ安価な方法で形成することができ、かつ発生する主流煙の中の1種以上のホフマン成分を低減した改良されたたばこ製品が現在求められている。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明の一態様によれば、たばこ材料を含む喫煙品が開示される。そのたばこ材料は約5〜約60重量%の沈降炭酸カルシウム微粒子を含む。炭酸カルシウム微粒子は非等軸性であり、その平均直径は約50ナノメートル〜約3マイクロメートルであり、縦横比は約1〜約15である。
【0005】
本発明の別の態様によれば、喫煙品に用いられるたばこ材料を形成する方法が開示される。その方法はたばこを溶媒と一緒にして可溶部分と非可溶部分を形成することを含む。非可溶部分は沈降炭酸カルシウム微粒子と接触されてたばこ材料を形成する。炭酸カルシウム微粒子は非等軸性であり、その平均直径は約50ナノメートル〜約3マイクロメートルであり、縦横比は約1〜約15である。
【0006】
本発明の他の特徴および側面を以下に詳細に説明する。
【図面の簡単な説明】
【0007】
当業者にとって最良の態様を含む本発明の完全かつ実行可能な開示が本明細書の後半にさらに具体的に説明され、それには以下の添付図の参照が含まれる。
図1】本発明により作られた喫煙品の斜視図である。
図2図1に説明された喫煙品の分解図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
本明細書および添付図の参照番号が繰り返し使用されている場合、本発明の同一または類似の特徴または要素を表していることを意味する。
当業者には明らかなように、本開示は単なる例示的な態様の説明であって、本発明の広範な側面を制限しない。
【0009】
一般に本発明は、たばこおよび無機酸化物充填剤を含むたばこ材料で形成される喫煙品を対象とする。本発明者等は、驚くべきことに可能性のある無数の異なる種類と寸法の無機酸化物充填剤の中でも沈降炭酸カルシウム微粒子が、喫煙品で生成する主流煙中のホフマン成分(例えばタール、ニコチン、および一酸化炭素)の削減に相乗的に影響し得ることを発見した。本明細書で用いられているように、「沈降」は種々の既知の過程を用いて合成された炭酸カルシウム微粒子のことをいう。これは天然の石灰岩由来の「重質」炭酸カルシウムと対比関係にある。本発明の沈降粒子は非等軸性であり、従ってその寸法には幅がある。例えば、非等軸性微粒子の平均直径(「d」)は約50ナノメートル〜約3マイクロメートルでもよく、一部の態様では約80ナノメートル〜約1マイクロメートルでもよく、一部の態様では約100ナノメートル〜約400ナノメートルでもよく、一部の態様では約150ナノメートル〜約350ナノメートルでもよい。非等軸性粒子の場合、個々の粒子の平均直径はそれら粒子の最小寸法であり、リー・ナース(Lea-Nurse)法(NFX標準11−601,1974)のような種々の既知の技術を用いて測定することができる。粒子平均直径(d)はリー・ナース法で得られるマシックエリア(massic area)(S)から求めることもできる。dとSの関係は場合によってはd=6/(ρS)のように決定してもよい。ここにρは炭酸カルシウムの比重であって、例えば方解石では2.71、アラゴナイトでは2.94である。そのような方法は、ノーバー(Nover)等に付与された米国特許公報第2009/0124745、およびリカウド(Ricaud)等に付与された米国特許公報第2007/0287758にも説明されており、これらの全文を全ての関連した目的について参照することにより本明細書に組み込む。平均直径は電子顕微鏡検査法で決定することもできる。また、微粒子はそのD50粒子直径が約100ナノメートル〜約8マイクロメートルでもよく、一部の態様では約300ナノメートル〜約5マイクロメートルでもよく、一部の態様では約500ナノメートル〜約4マイクロメートルでもよく、一部の態様では約1マイクロメートル〜約3マイクロメートルでもよい。「D50」は、少なくとも50%の粒子が記載された範囲内の直径を有することをいう。
【0010】
非等軸性微粒子は一般に細長い形態であるため、その最大寸法(長さ)は平均直径よりも大きい。このことは微粒子の「縦横比」(長さを幅で割ったもの)で特徴付けることもできる。縦横比は一般に約1〜約15であり、一部の態様では約2〜約12、一部の態様では約3〜約10である。例えば、微粒子の平均長さは約100ナノメートル〜約8マイクロメートルでもよく、一部の態様では約300ナノメートル〜約5マイクロメートルでもよく、一部の態様では約500ナノメートル〜約4マイクロメートルでもよく、一部の態様では約1マイクロメートル〜約3マイクロメートルでもよい。そのような細長い微粒子は理論的な制限無しに小さな微粒子の利点(例えば大きな表面積と小さな粒子寸法分布)を実現することができるが、その長さが大きいためにたばこ材料中にうまく保持されるとも考えられている。このことによって微粒子がたばこ材料全体により均質に分布されることになり、重質炭酸カルシウムで可能な量よりも多くの微粒子を使用できることになる。とりわけ、このことによってホフマン成分が低減される割合を上げることができる可能性がある。例えば、細長い炭酸カルシウム微粒子はたばこ混合物の約5〜約60重量%を占めてもよく、一部の態様では約10〜約50重量%でもよく、一部の態様では約20〜約40重量%でもよく、たばこはたばこ混合物の約40〜約95重量%でもよく、一部の態様では約50〜約90重量%でもよく、一部の態様では約60〜約80重量%でもよい。本明細書で用いられているように、「たばこ」は種々の異なる形態のたばこを包含してもよく、それらには茎、微粉、再生たばこ、膨張たばこ、たばこ抽出物、それらの混合物、および他のたばこ含有材料が含まれる。
【0011】
非等軸性炭酸カルシウム微粒子は、一般に当業者に知られている任意の沈降技術を用いて合成してもよい。例えば微粒子を合成沈降反応で調製してもよい。合成沈降反応は二酸化炭素を水酸化カルシウムの溶液と接触させることを含む。水酸化カルシウムは多くの場合、酸化カルシウム(生石灰としても知られている)の水性懸濁液を形成する際に得られ、その懸濁液は一般的に乳状石灰として知られている。最終的に得られる微粒子は反応条件によって様々な形態で出現し、その形態には安定な多形体と不安定な多形体の両方がある。実際には、沈降炭酸カルシウムは熱力学的に不安定な炭酸カルシウム材料を示すことが多い。したがって本発明の内容について述べる場合、沈降炭酸カルシウムには合成炭酸カルシウム製品が含まれる。この合成炭酸カルシウム製品は水酸化カルシウムの懸濁液の炭酸化で得られ、酸化カルシウム水中微粒子由来の場合、当技術分野では一般に石灰懸濁液または乳状石灰と呼ばれる。当然だが、この沈降の前後にさらに添加剤を加えても、追加的な沈降条件を与えても、または工程を実施してもよい。
【0012】
炭酸カルシウムは実質的に非晶質であるか、または実質的に結晶質である。「実質的に非晶質」または「実質的に結晶質」とは、X線回折技術で分析したときに炭酸カルシウムの重量で50%より多い部分が非晶質材料あるいは結晶質材料の形態であることを意味する。実質的に結晶質の炭酸カルシウムが好ましい。炭酸カルシウムは、方解石またはバテライトまたは霰石またはこれら結晶族の少なくとも2種の混合物で構成することができる。方解石型が好ましい。結晶の形態は偏三角面体または菱面体のように多様でもよい。偏三角面体の結晶形態が特に適している。
【0013】
細長い炭酸カルシウム微粒子は一般に純度が少なくとも約95重量%と高く、一部の態様では少なくとも約98重量%であり、一部の態様では少なくとも約99重量%である。そのような高純度の炭酸カルシウムは一般に微粒子であり、すなわち粒子の寸法範囲はさらに管理されていて狭いため、たばこ混合物中のそれら微粒子の分布が改善される。微粒子は比較的大きな比表面積を示してもよい。例えば、比表面積は1グラムあたり約2平方メートル(「m/g」)以上でもよく、一部の態様では約3〜約20m/gでもよく、一部の態様では約4〜約12m/gでもよい。「比表面積」は物理的気体吸着(B.E.T)法で判定してもよい。この物理的気体吸着はブルーナー(Bruanauer)、エメット(Emmet)、とテラー(Teller)によるものであり、Journal of American Chemical Society、第60巻、1938年、309頁では窒素を吸着用気体として用いている(ISO標準9277、初版、1995−05−15も参照のこと)。例えば比表面積は、吸着質と不活性搬送ガス(例えばヘリウム)の混合流体の熱伝導率の変化を感知して固体表面に吸着される吸着質窒素ガスの量を測定する機器で測定してもよい。
【0014】
沈降炭酸カルシウム微粒子は、大量の微粒子が自由に流れてたばこ混合物の中に容易に分散するように、必要に応じて調製剤(例えば、ステアリン酸またはベヘン酸のような脂肪酸)で被覆してもよい。しかしある態様では、被覆されていない微粒子を用いて喫煙中に被覆用材料が反応を受ける範囲を最小にすることが望ましい場合もある。
【0015】
ある混合物を形成するために非等軸性炭酸カルシウム微粒子をたばこと一緒にする方法は、当技術分野では知られているように多数ある。例えば一態様では、たばこの茎(例えば熱風乾燥させた茎)、粉末、および/またはたばこ製造過程の他のたばこ副製品を含むたばこ供給品が最初に溶媒(例えば水および/または他の化合物)と混合される。アルコール(例えばエタノール)のような水混和性の種々の溶媒を水と一緒にして水性溶媒を形成することができる。水性溶媒の水含有量は、場合によってその溶媒の50重量%より多くすることができ、具体的には溶媒の90重量%より多くすることができる。脱イオン水、蒸留水、または水道水を用いてもよい。懸濁液中の溶媒の量にはかなりの幅があるが、一般に添加される量は懸濁液の約50〜約99重量%であり、一部の態様では約60〜約95重量%、一部の態様では約75〜約90重量%である。しかし、溶媒の量は溶媒の性質、抽出が行われる温度、およびたばこ供給品の種類で変わる。
【0016】
溶媒/たばこ供給品混合物を形成したら、必要に応じてその供給品混合物の可溶部分の一部または全てを混合物から分離(例えば抽出)してもよい。抽出中に、水性溶媒/たばこ供給品混合物を攪拌、振動、または他の混合法で混合して抽出速度を上げることができる。一般に抽出は約30分ないし約6時間行われる。抽出温度は約10〜約100℃の範囲でもよい。可溶部分は必要に応じて真空蒸発装置のような任意の既知の種類の濃縮器を用いて濃縮することができる。必要なら供給品からこのような抽出を行う前、途中、および/または後に、沈降炭酸カルシウム微粒子を可溶部分と混合してもよい。その結果得られる混合された可溶部分をたばこ製品(例えば香味料)として単独に使用してもよく、または引き続き他の材料と一緒にしてたばこ製品を形成してもよい。同様に、沈降炭酸カルシウム微粒子をたばこ材料の非可溶部分と混合してよいことも当然のことである。
【0017】
一態様では、噴霧する、切断ローラーを使用する、飽和させる他、種々の適用方法を用いて可溶部分を非可溶部分(例えば、シート、たばこ混合物、不溶性残渣等)と再度一緒にしてもよい。例えば、非可溶部分を上記の抽出された固体部分で形成してもよく、それを1つ以上の機械的精製器に掛けて繊維質のパルプを作ってもよい。ふさわしい精製器にはいくつかの例として円盤型精製器、円錐型精製器等がある。精製器から出たパルプを次に形成装置が置かれた製紙所(図示せず)に搬送することができる。形成装置には、例えば形成ワイヤー、重力排水、吸引排水、フェルト圧延機、ヤンキー乾燥機(Yankeedryer)、ドラム乾燥機他を含んでもよい。そのような形成装置の場合、パルプはシート様形状を形成するワイヤーベルトの上に置かれ、余分な水分が重力排水および吸引排水および圧延機で除去される。非可溶部分と再度一緒にした場合でも、結果得られたたばこ製品は一般に「再生たばこ」として知られている。再生たばこは一般にいろいろな方法で形成することができる。例えば一態様では、バンドキャスティング法(bandcasting)を用いて再生たばこを形成することができる。バンドキャスティング法では微粉化されたたばこ部分の懸濁液および帯綱を覆いその後乾燥される結合剤を一般に用いる。乾燥後、このシートは天然たばこ片と混合されるかまたは刻まれ、巻きたばこ充填剤として種々のたばこ製品に用いられる。再生たばこを作る過程のいくつかの実施例が米国特許第3,353,541号、第3,420,241号、第3,386,449号、第3,760,815号、および第4,674,519号に説明されており、これらの全文を全ての関連した目的について参照することにより本明細書に組み込む。再生たばこは製紙過程で形成することもできる。この過程により再生たばこを形成する過程のいくつかの実施例が米国特許第3,428,053号、第3,415,253号、第3,561,451号、第3,467,109号、第3,483,874号、第3,860,012号、第3,847,164号、第4,182,349号、第5,715,844号、第5,724,998号、および第5,765,570号に説明されており、これらの全文を全ての関連した目的について参照することにより本明細書に組み込む。例えば、製紙技術を用いる再生たばこの形成には、たばこを水と混合する工程、そこから水溶性成分を抽出する工程、水溶性成分を濃縮する工程、たばこを精製する工程、繊維を形成する工程、濃縮された水溶性成分を再度適用する工程、乾燥工程、および葉身と茎の分離(threshing)工程を含むことができる。
【0018】
また、この繊維には香味料または着色剤のような種々の他の成分を適用することもできる。可溶部分および/または他の成分が適用された場合、一部の態様では、この繊維質のシート材料を次に例えばトンネル乾燥器を用いて乾燥させて、一般的な含水率が重量で20%未満、具体的には重量で約9〜約14%のシートを得ることができる。続いてそのシートを所望の寸法および/または形状に切断し、所望の最終含水率に乾燥させることができる。
【0019】
沈降炭酸カルシウム微粒子をたばこと組み合わせる種々の態様についてここまで説明してきたが、当然のことながら微粒子は一般に任意の所望の方法でたばこと接触させることができる。例えば一部の態様では、シートの形成時に湿ったシートに微粒子を添加することができる。当然だが、必要なら微粒子をある過程の1つ以上の段階で適用することもできる。
【0020】
本発明の結果、たばこ煙の中の1種以上のホフマン成分(例えばタール、ニコチン、一酸化炭素他)の量を選択的に低減できることが発見された。例えば、ニコチン、一酸化炭素、および/またはタールが本発明の沈降炭酸カルシウム微粒子と接触すると、それらの総量が初期の総量から少なくとも約20%、一部の態様では少なくとも約40%、一部の態様では約60〜100%減ることが発見された。
【0021】
また本発明によれば、大きく改善されたたばこ製品をたばこから形成してもよい。本明細書で用いられているように、「たばこ製品」は喫煙品(例えば巻きたばこ、葉巻、細刻み喫煙品、パイプ他)、たばこ添加剤(例えば香味料として用いるもの)、他を包含することを意味する。例えば、ホフマン成分の発生量が少ないたばこが喫煙品に入れられている場合、その喫煙品から発生する煙もそのような検知成分の含有量が少ない。そのような一喫煙品を単なる説明目的で図1〜2に示す。図示のように、喫煙品10はたばこ柱12を含み、たばこ柱12はたばこと本発明による沈降炭酸カルシウム微粒子(図示せず)の混合物を含む。また喫煙品10は、たばこ柱12の周りを包んで外周面16を定義する包装材14を含んでもよい。また喫煙品10は、吸い口紙で囲まれてもよいフィルター26を含んでもよい。包装材は、当技術分野ではよく知られているようにセルロース系繊維および充填剤(filler)で形成されてもよい。
【0022】
以下の実施例によって本発明の理解が深まる。
【実施例】
【0023】
実施例1
葉身と茎が分離されたバレー(Burley)の茎(75%)とバージニア(Virginia)片(25%)を混ぜたものを、まず重量比が1対5のたばこ/水と一緒に60℃で20分間加熱した。次に水圧プレス機による抽出工程で水性部分をたばこ繊維部分から分離した。再生されたたばこ繊維部分を重量比が1対5のたばこ/水と一緒に再び60℃で10分間加熱した。追加の(押圧による)抽出の後、木材パルプをたばこ繊維質の残渣に加えた。次にこれらの試料をバリー製(Valley)攪拌器に入れ、強度4%で55分間精製した。得られた材料を用い、以下の5種類の異なる炭酸カルシウムで(またはこれを用いずに)試験用シート(hand sheet)を作った。
試料T:充填剤の無い対照品
試料A:最終製品中25%充填剤(平均粒子直径が290nm(透過法による)、D50粒子寸法が2μmの偏三角面体晶の沈降炭酸カルシウム)
試料B:最終製品中25%充填剤(平均粒子寸法が70nmのロゼット形状の沈降炭酸カルシウム)
試料C:最終製品中25%充填剤(D50粒子寸法が0.9μmの重質炭酸カルシウム)
試料D:最終製品中25%充填剤(平均粒子寸法が12μmの沈降炭酸カルシウム)
試料E:最終製品中25%充填剤(平均寸法が12μm、D50粒子寸法が5.3μmの重質炭酸カルシウム)
水性部分をエバポレータ内で固体物濃度50%まで濃縮し、小型プレス器上の試験用シートに被覆した。溶解度は一般に乾燥最終製品で27〜37%である。被覆された試験用シートを平板乾燥機で乾燥させた。このシートを刻み、刻まれたもの50%と市販のアメリカ向け混合物50%とで巻きたばこを形成した。巻きたばこの長さは84mm(たばこ部分の長さ(butt length)が28mmおよび気孔率がCORESTA単位で50の紙の管)であり、周長は25mmであった。巻きたばこの重さはおよそ990ミリグラムであった。巻きたばこを従来の機械で1分間あたり1回、2秒間、35ml喫煙した。煙を分析して再生たばこの種々の組成を求め、タール、一酸化炭素、およびホルムアルデヒドについて以下の結果を得た。
【0024】
【表1】
【0025】
【表2】
【0026】
希釈効果=削減/巻きたばこの充填剤レベル(再生たばこの充填剤レベルの半分)。すなわち再生たばこを1ポイント入れると、巻きたばこの2.3ポイントのタールが低減されることになる。
【0027】
実施例2
葉身と茎が分離された(バレーおよびバージニア)茎(55%)、バージニア片(36%)、および木材パルプ(9%)を混ぜたものを重量比が1対5のたばこ/水と一緒に65℃で加熱した。次に圧縮して水性部分から繊維質部分を分離した。次に繊維質部分を精製器に通して圧縮した。得られた材料を希釈し、沈降炭酸カルシウム(2μmまたは12μm)と一緒に従来の製紙機械の投入箱へ送った。連続したシートを作った。このようにして2つの系列の再生たばこの2種の試料(炭酸カルシウムを含まない対照および試験試料)を調製した。「F」系列には濃度20%の2μmの沈降炭酸カルシウムを用いた。「G」系列には濃度30%の12μmの沈降炭酸カルシウムを用いた。どちらの系列の場合もシート材料には圧縮段階で抽出された可溶性濃縮水性たばこを含浸させた。乾燥最終製品の最終溶解濃度は一般に27〜44%である。
【0028】
このシートを刻み、刻まれたもの50%と市販のアメリカ向け混合物50%とで巻きたばこを形成した。巻きたばこの長さは84mm(たばこ部分の長さが28mmおよび気孔率がCORESTA単位で50の紙の管)であり、周長は25mmであった。巻きたばこの重さはほぼ990ミリグラムであった。巻きたばこを従来の機械で1分間あたり1回、2秒間、35ml喫煙した。煙を分析して再生たばこの種々の組成を求め、タール、一酸化炭素、およびホルムアルデヒドについて以下の結果を得た。
【0029】
【表3】
【0030】
【表4】
【0031】
希釈効果=削減/巻きたばこの充填剤レベル(再生たばこの充填剤レベルの半分)。すなわち再生たばこを1ポイント入れると、巻きたばこの2.3ポイントのタールが低減されることになる。
【0032】
本発明のこれらの態様またはそれらの改良および変更は、当業者には本発明の概念および範囲から逸脱することなく実践することができる。また当然だが、種々の態様の側面はその全体または一部を交換してもよい。さらに、上記説明は単なる例示であって、添付の特許請求の範囲にさらに説明される発明を制限するものではないことを当業者は理解している。
図1
図2