特許第6072031号(P6072031)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ ネステク ソシエテ アノニムの特許一覧

特許6072031粘着性材料を加熱又は冷却するための方法及びデバイス
<>
  • 特許6072031-粘着性材料を加熱又は冷却するための方法及びデバイス 図000002
  • 特許6072031-粘着性材料を加熱又は冷却するための方法及びデバイス 図000003
  • 特許6072031-粘着性材料を加熱又は冷却するための方法及びデバイス 図000004
  • 特許6072031-粘着性材料を加熱又は冷却するための方法及びデバイス 図000005
  • 特許6072031-粘着性材料を加熱又は冷却するための方法及びデバイス 図000006
  • 特許6072031-粘着性材料を加熱又は冷却するための方法及びデバイス 図000007
  • 特許6072031-粘着性材料を加熱又は冷却するための方法及びデバイス 図000008
  • 特許6072031-粘着性材料を加熱又は冷却するための方法及びデバイス 図000009
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6072031
(24)【登録日】2017年1月13日
(45)【発行日】2017年2月1日
(54)【発明の名称】粘着性材料を加熱又は冷却するための方法及びデバイス
(51)【国際特許分類】
   F28F 3/08 20060101AFI20170123BHJP
   F28D 1/03 20060101ALI20170123BHJP
   F28F 3/00 20060101ALI20170123BHJP
   F28F 3/06 20060101ALI20170123BHJP
   F28D 9/02 20060101ALI20170123BHJP
   A23L 13/60 20160101ALI20170123BHJP
【FI】
   F28F3/08 301
   F28D1/03
   F28F3/00 301
   F28F3/06 Z
   F28D9/02
   A23L13/60 Z
【請求項の数】14
【全頁数】22
(21)【出願番号】特願2014-522840(P2014-522840)
(86)(22)【出願日】2012年6月29日
(65)【公表番号】特表2014-525026(P2014-525026A)
(43)【公表日】2014年9月25日
(86)【国際出願番号】US2012044889
(87)【国際公開番号】WO2013015944
(87)【国際公開日】20130131
【審査請求日】2015年6月22日
(31)【優先権主張番号】61/574,152
(32)【優先日】2011年7月28日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】599132904
【氏名又は名称】ネステク ソシエテ アノニム
(74)【代理人】
【識別番号】100088155
【弁理士】
【氏名又は名称】長谷川 芳樹
(74)【代理人】
【識別番号】100128381
【弁理士】
【氏名又は名称】清水 義憲
(74)【代理人】
【識別番号】100107456
【弁理士】
【氏名又は名称】池田 成人
(74)【代理人】
【識別番号】100140453
【弁理士】
【氏名又は名称】戸津 洋介
(72)【発明者】
【氏名】カリー, ケビン ジェイ.
(72)【発明者】
【氏名】ブリンクマン, アンドリュー, ジョゼフ
(72)【発明者】
【氏名】ナッシュ, ロナルド, リー
(72)【発明者】
【氏名】ショート, ウィリアム, ディー.
(72)【発明者】
【氏名】ロレイン, トレント, シー.
(72)【発明者】
【氏名】ハンキンス, ジェリー, ジェイ.
【審査官】 横溝 顕範
(56)【参考文献】
【文献】 特表2004−532652(JP,A)
【文献】 特表2006−506600(JP,A)
【文献】 米国特許第04150719(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F28F 3/00
F28F 3/06−08
F28D 1/03
F28D 9/00−02
A22C 7/00
A23L 13/60
A23P 10/20
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
熱交換器であって、
第1の圧力プレート及び前記第1の圧力プレートに対して取り付けられる第1のエネルギー交換プレートと、
第2のエネルギー交換プレートと、
前記第1のエネルギー交換プレートと前記第2のエネルギー交換プレートとの間に配置される第1のスペーサ及び第2のスペーサであり、前記第1のエネルギー交換プレート、前記第2のエネルギー交換プレート、前記第1のスペーサ、及び前記第2のスペーサが、第1の製品が当該熱交換器を通過するための第1の被温度制御通路を形成する、第1のスペーサ及び第2のスペーサと、
前記第2のエネルギー交換プレートに対して取り付けられる第3のエネルギー交換プレートと、
第2の圧力プレート及び前記第2の圧力プレートに対して取り付けられる第4のエネルギー交換プレートであり、前記第2の圧力プレートが前記第1の圧力プレートに対して取り付けられる、第2の圧力プレート及び第4のエネルギー交換プレートと、
前記第3のエネルギー交換プレートと前記第4のエネルギー交換プレートとの間に配置される第3のスペーサ及び第4のスペーサであり、前記第3のエネルギー交換プレート、前記第4のエネルギー交換プレート、前記第3のスペーサ、及び前記第4のスペーサが、第2の製品が当該熱交換器を通過するための第2の被温度制御通路を形成する、第3のスペーサ及び第4のスペーサと
を備える、熱交換器。
【請求項2】
熱交換器であって、
第1の圧力プレート及び前記第1の圧力プレートに対して取り付けられる第1のエネルギー交換プレートと、
第2のエネルギー交換プレートと、
前記第1のエネルギー交換プレートと前記第2のエネルギー交換プレートの間に配置される第1のスペーサ及び第2のスペーサであり、前記第1のエネルギー交換プレート、前記第2のエネルギー交換プレート、前記第1のスペーサ、及び前記第2のスペーサが、第1の製品が当該熱交換器を通過するための第1の被温度制御通路を形成する、第1のスペーサ及び第2のスペーサと、
第2の圧力プレート及び前記第2の圧力プレートに対して取り付けられる第3のエネルギー交換プレートであり、前記第2の圧力プレートが前記第1の圧力プレートに対して取り付けられる、第2の圧力プレート及び第3のエネルギー交換プレートと、
前記第2のエネルギー交換プレートと前記第3のエネルギー交換プレートとの間に配置される第3のスペーサ及び第4のスペーサであり、前記第2のエネルギー交換プレート、前記第3のエネルギー交換プレート、前記第3のスペーサ、及び前記第4のスペーサは、第2の製品が当該熱交換器を通過するための第2の被温度制御通路を形成する、第3のスペーサ及び第4のスペーサと
を備える、熱交換器。
【請求項3】
前記第2のエネルギー交換プレート及び前記第3のエネルギー交換プレートの少なくとも一方が、前記第2のエネルギー交換プレート及び前記第3のエネルギー交換プレートの一部分を貫通する通路を備える、請求項1または2に記載の熱交換器。
【請求項4】
前記通路が、当該熱交換器の被温度制御ゾーンを冷却又は加熱する流体を含む、請求項3に記載の熱交換器。
【請求項5】
前記第1のエネルギー交換プレート及び前記第2のエネルギー交換プレートが、複数の被温度制御ゾーンを画定する、請求項1または2に記載の熱交換器。
【請求項6】
前記第1のエネルギー交換プレート及び前記第2のエネルギー交換プレートの少なくとも一方が、前記第1のエネルギー交換プレート及び前記第2のエネルギー交換プレートの各部分を貫通する複数の別個の通路を備える、請求項5に記載の熱交換器。
【請求項7】
前記通路が、当該熱交換器の前記被温度制御ゾーンを冷却又は加熱する流体を含む、請求項6に記載の熱交換器。
【請求項8】
前記第2のエネルギー交換プレート及び前記第3のエネルギー交換プレートが、複数の被温度制御ゾーンを画定する、請求項1または2に記載の熱交換器。
【請求項9】
前記第2のエネルギー交換プレート及び前記第3のエネルギー交換プレートの少なくとも一方が、前記第2のエネルギー交換プレート及び前記第3のエネルギー交換プレートの各部分を貫通する複数の別個の通路を備える、請求項8に記載の熱交換器。
【請求項10】
前記通路が、当該熱交換器の前記被温度制御ゾーンを冷却又は加熱する流体を含む、請求項9に記載の熱交換器。
【請求項11】
前記第1のエネルギー交換プレート及び前記第2のエネルギー交換プレートが、約50〜約1500psiの前記通路内の内圧に耐えるように、前記第1のスペーサ及び前記第2のスペーサに沿って封止される、請求項1または2に記載の熱交換器。
【請求項12】
前記第2のエネルギー交換プレート及び前記第3のエネルギー交換プレートが、約50〜約1500psiの前記通路内の内圧に耐えるように、前記第3のスペーサ及び前記第4のスペーサに沿って封止される、請求項1または2に記載の熱交換器。
【請求項13】
前記第1のエネルギー交換プレート、前記第2のエネルギー交換プレート、及び前記第3のエネルギー交換プレートが、少なくとも1つのボルト、ねじ、又はクランプにより一体的に取り付けられる、請求項1または2に記載の熱交換器。
【請求項14】
当該熱交換器の端部に対して取り付けられる吸入マニホルドを備える請求項1または2に記載の熱交換器であって、
前記吸入マニホルドが、第1の出口通路及び第2の出口通路へと分岐する入口通路を形成し、前記第1の出口通路が、当該熱交換器の前記第1の通路へと続き、前記第2の出口通路が、当該熱交換器の前記第2の通路へと続く、熱交換器。
【発明の詳細な説明】
【関連出願の相互参照】
【0001】
[0001]本出願は、2011年7月28日に出願された米国特許仮出願第61/574156号に基づく優先権を主張するものである。この仮出願の開示は、参照により本明細書に組み込まれる。
【技術分野】
【0002】
[0002]本発明は、一般的には、粘着性材料を加熱又は冷却するための方法及びデバイスに関し、特に、肉エマルジョンから食品製品を製造するための方法及びデバイスに関する。
【背景技術】
【0003】
[0003]従来の同心管式熱交換器を使用して肉エマルジョンを製造するための方法及びかかるエマルジョンからなる食品を製造するための方法は、食品業界においては公知である。肉エマルジョンは、ボローニャソーセージ、フランクフルトソーセージ、ソーセージ、及び動物性食品等々の製品の製造において広く使用される。ある食品製品のコストを消費者に還元するために、近年では、外観、質感、及び物理的構造において天然肉の塊又は片に似せた肉エマルジョン製品、すなわち肉類似品に対する需要が存在する。かかる製品は、シチュー、ポットパイ、キャセロール、缶詰食品、及びペットフード製品などの食品製品において、より高価な天然肉塊の部分的又は完全な代用品として使用される。
【0004】
[0004]粘着性材料及び/又は繊維性材料を冷却又は加熱するために使用される従来の同心管式の熱交換器は、熱交換器を通る製品流を部分的に妨げる設計を有する。この妨げにより、材料の特性が変化し、装置の詰まりが生じ、生産量が低下する場合がある。以前の解決策は、長尺の管を使用すること及び/又は管式の設計を変更することを伴うものであった。かかる変更は、一般的には製品の両側における冷却/加熱を確保するために、表面接触を増加させる複数の同心管を含むものであった。しかし、同心管式熱交換器の長さ及び/又は直径を大きくすることにより、設計の複雑さが増すと共に、プロセス自由度が低下する。
【0005】
[0005]従来のプレート式熱交換器は、製品が蛇行経路を通って流れなければならないことにより、材料製品がプレート間で移動する際にその材料製品の妨げを生じる点において、同心管式熱交換器と同様の課題を有する。さらに、既存の熱交換器の設計は、圧力定格、均一な製品流、拡張性、及び自由度に関して限界を有する。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0006】
[0006]本発明は、一般的には、肉エマルジョン製品を製造するための熱交換器などのデバイスと、それらのデバイスを使用する方法とに関する。一実施形態においては、本発明は、第1のプレートと、第1のプレートに対して取り付けられる第2のプレートと、第1のプレートと第2のプレートとの間に配置される第1のスペーサ及び第2のスペーサとを備えるデバイスを提供する。第1のプレート、第2のプレート、第1のスペーサ、及び第2のスペーサは、製品がデバイスを通過するための少なくとも1つの通路を形成する。このデバイスは、第2のプレートに対して取り付けられる第3のプレートと、第2のプレートと第3のプレートとの間に配置される第3のスペーサ及び第4のスペーサとをさらに備える。第2のプレート、第3のプレート、第3のスペーサ、及び第4のスペーサは、第2の製品がデバイスを通過するための別の通路を形成する。
【0007】
[0007]第1のプレート、第2のプレート、及び/又は第3のプレートは、エネルギー交換能力を備える。例えば、第1のプレート、第2のプレート、及び/又は第3のプレートは、通路内の製品を加熱又は冷却する(例えば伝導又は対流により)ように構築及び構成され得る。
【0008】
[0008]一実施形態においては、第1のプレート、第2のプレート、及び/又は第3のプレートは、被温度制御ゾーンを画定する。例えば、第1のプレート、第2のプレート、及び/又は第3のプレートは、第1のプレート、第2のプレート、及び/又は第3のプレートの一部分を貫通する通路を備える。この通路は、デバイスの被温度制御ゾーンのプレートを冷却又は加熱する任意の適切な流体を含むことが可能である。
【0009】
[0009]一実施形態においては、第1のプレート及び第2のプレート並びに第2のプレート及び第3のプレートは、複数の被温度制御ゾーンを画定する。例えば、第1のプレート、第2のプレート、及び/又は第3のプレートは、第1のプレート、第2のプレート、及び/又は第3のプレートの各部分を貫通する複数の個別の通路を備える。これらの通路は、デバイスの被温度制御ゾーンのプレートを冷却又は加熱する流体を含むことが可能である。
【0010】
[0010]一実施形態においては、第1のプレートと第2のプレートとの間の通路及び第2のプレートと第3のプレートとの間の通路が、約3cm〜約15cmの範囲の間隙を備える。第1のスペーサ、第2のスペーサ、第3のスペーサ、及び第4のスペーサは、楕円形であることが可能である。
【0011】
[0011]第1のプレート及び第2のプレートは、約50〜約1500psiの通路内の内圧に耐えるように、第1のスペーサ及び第2のスペーサに沿って封止され得る。第1のプレート及び第2のプレートは、例えば1つ又は複数のねじなどの任意の適切な手段によって一体的に取り付けられ得る。
【0012】
[0012]第2のプレート及び第3のプレートは、約50〜約1500psiの通路内の内圧に耐えるように、第3のスペーサ及び第4のスペーサに沿って封止され得る。第2のプレート及び第3のプレートは、例えば1つ又は複数のねじなどの任意の適切な手段によって一体的に取り付けられ得る。
【0013】
[0013]一実施形態においては、デバイスは、デバイスの端部に対して取り付けられる吸入マニホルドを備える。この吸入マニホルドは、第1の出口通路及び第2の出口通路へと分岐する、製品用の入口通路を形成することが可能である。第1の出口通路は、デバイスの第1の通路へと続き、第2の出口通路は、デバイスの第2の通路へと続く。
【0014】
[0014]別の実施形態においては、本発明は、第1のプレートと、第1の圧力プレートに対して取り付けられる第1のエネルギー交換プレートとを備える、熱交換器を提供する。第2のエネルギー交換プレート及び第3のエネルギー交換プレートが、第2の圧力プレートの両側において第2の圧力プレートに対して取り付けられる。第2の圧力プレートは、第1の圧力プレートに対して取り付けられる。第1のスペーサ及び第2のスペーサが、第1のエネルギー交換プレートと第2のエネルギー交換プレートとの間に配置される。第1のエネルギー交換プレート、第2のエネルギー交換プレート、第1のスペーサ、及び第2のスペーサは、第1の製品が熱交換器を通過するための第1の被温度制御通路を形成する。熱交換器は、第3の圧力プレートと、第3の圧力プレートに対して取り付けられる第4のエネルギー交換プレートとをさらに備える。第3の圧力プレートは、第2の圧力プレートに対して取り付けられる。第3のスペーサ及び第4のスペーサが、第3のエネルギー交換プレートと第4のエネルギー交換プレートとの間に配置される。第3のエネルギー交換プレート、第4のエネルギー交換プレート、第3のスペーサ、及び第4のスペーサは、第2の製品が熱交換器を通過するための第2の被温度制御通路を形成する。
【0015】
[0015]一実施形態においては、第1のエネルギー交換プレート及び/又は第2のエネルギー交換プレートは、第1のエネルギー交換プレート及び/又は第2のエネルギー交換プレートの一部分を貫通する通路を備える。また、第3のエネルギー交換プレート及び/又は第4のエネルギー交換プレートは、第3のエネルギー交換プレート及び/又は第4のエネルギー交換プレートの一部分を貫通する通路を備えることが可能である。この通路は、熱交換器の被温度制御ゾーンのエネルギー交換プレートを冷却又は加熱する(例えば伝導又は対流により)任意の適切な流体を含むことが可能である。
【0016】
[0016]一実施形態においては、第1のエネルギー交換プレート及び第2のエネルギー交換プレートは、複数の被温度制御ゾーンを画定する。また、第3のエネルギー交換プレート及び第4のエネルギー交換プレートは、複数の被温度制御ゾーンを画定することが可能である。例えば、第1のエネルギー交換プレート、第2のエネルギー交換プレート、第3のエネルギー交換プレート、及び/又は第4のエネルギー交換プレートは、被温度制御ゾーンを画定する各エネルギー交換プレート(複数可)の各部分を貫通する複数の個別の通路を備える。これらの通路は、熱交換器の被温度制御ゾーンのエネルギー交換プレートを冷却又は加熱する流体を含むことが可能である。
【0017】
[0017]一実施形態においては、第1のエネルギー交換プレートと第2のエネルギー交換プレートとの間の間隙が、約3cm〜約15cmの範囲である。別の実施形態においては、第3のエネルギー交換プレートと第4のエネルギー交換プレートとの間の間隙が、約3cm〜約15cmの範囲である。第1のスペーサ、第2のスペーサ、第3のスペーサ、及び第4のスペーサは、楕円形であることが可能である。第1のエネルギー交換プレート及び第2のエネルギー交換プレートは、約50〜約1500psiの製品通路内の内圧に耐えるように、第1のスペーサ及び第2のスペーサに沿って封止され得る。第3のエネルギー交換プレート及び第4のエネルギー交換プレートは、約50〜約1500psiの製品通路内の内圧に耐えるように、第3のスペーサ及び第4のスペーサに沿って封止され得る。
【0018】
[0018]一実施形態においては、熱交換器は、入口を画定する第1の端部プレートと、出口を画定する第2の端部プレートとをさらに備える。第1の端部プレート及び第2の端部プレートは、第1の圧力プレート及び第2の圧力プレートの両端部に対して取り付けられる。また、熱交換器は、入口の開口からこれらのプレートにより形成される通路まで移行する、熱交換器の入口に対して取り付けられる1つ又は複数の移行ガスケットをさらに備えることが可能である。第1の圧力プレート及び第2の圧力プレートは、例えば1つ又は複数のねじ、ボルト、又はクランプなどの任意の適切な手段により、一体的に取り付けられ得る。
【0019】
[0019]別の実施形態においては、本発明は、第1の圧力プレートと、第1の圧力プレートに対して取り付けられる第1のエネルギー交換プレートとを備える熱交換器を提供する。第1のスペーサ及び第2のスペーサが、第1のエネルギー交換プレートと第2のエネルギー交換プレートとの間に配置される。第1のエネルギー交換プレート、第2のエネルギー交換プレート、第1のスペーサ、及び第2のスペーサは、第1の製品が熱交換器を通過するための第1の被温度制御通路を形成する。第3のエネルギー交換プレートが、第2のエネルギー交換プレートに対して取り付けられる。熱交換器は、第2の圧力プレートをさらに備え、第4のエネルギー交換プレートが、第2の圧力プレートに対して取り付けられる。第2の圧力プレートは、第1の圧力プレートに対して取り付けられる。第3のスペーサ及び第4のスペーサが、第3のエネルギー交換プレート第4のエネルギー交換プレートとの間に配置される。第3のエネルギー交換プレート、第4のエネルギー交換プレート、第3のスペーサ、及び第4のスペーサは、第2の製品が熱交換器を通過するための第2の被温度制御通路を形成する。
【0020】
[0020]代替的な一実施形態においては、本発明は、第1の圧力プレートと、第1の圧力プレートに対して取り付けられる第1のエネルギー交換プレートとを備える、熱交換器を提供する。第1のスペーサ及び第2のスペーサが、第1のエネルギー交換プレートと第2のエネルギー交換プレートの間に配置される。第1のエネルギー交換プレート、第2のエネルギー交換プレート、第1のスペーサ、及び第2のスペーサは、第1の製品が熱交換器を通過するための第1の被温度制御通路を形成する。熱交換器は、第2の圧力プレートをさらに備え、第3のエネルギー交換プレートが、第2の圧力プレートに対して取り付けられる。第2の圧力プレートは、第1の圧力プレートに対して取り付けられる。第3のスペーサ及び第4のスペーサが、第2のエネルギー交換プレートと第3のエネルギー交換プレートとの間に配置される。第2のエネルギー交換プレート、第3のエネルギー交換プレート、第3のスペーサ、及び第4のスペーサは、第2の製品が熱交換器を通過するための第2の被温度制御通路を形成する。
【0021】
[0021]別の実施形態においては、本発明は、食品製品を製造するための方法を提供する。この方法は、熱交換器内に肉エマルジョンを導入するステップと、高圧に肉エマルジョンをさらすステップとを含む。熱交換器は、第1のプレートと、第1のプレートに対して取り付けられる第2のプレートであって、第1のプレートと第2のプレートとの間に配置された第1のスペーサ及び第2のスペーサにより離隔される、第2のプレートと、第2のプレートに対して取り付けられる第3のプレートであって、第2のプレートと第3のプレートとの間に配置された第3のスペーサ及び第4のスペーサにより離隔される、第3のプレートとを備える。第1のプレート、第2のプレート、第1のスペーサ、及び第2のスペーサは、肉エマルジョンが熱交換器を通過するための第1の被温度制御通路を形成する。第2のプレート、第3のプレート、第3のスペーサ、及び第4のスペーサは、肉エマルジョンが熱交換器を通過するための第2の被温度制御通路を形成する。
【0022】
[0022]一実施形態においては、この方法は、エネルギー交換プレートの中の少なくとも1つの一部分の少なくとも1つの通路に流体を通過させることにより、熱交換器の温度を制御するステップを含む。例えば、エネルギー交換プレートは、複数の個別の被温度制御ゾーンを画定することが可能である。各被温度制御ゾーンの温度は、エネルギー交換プレートの各部分を貫通する複数の個別の通路に流体を通過させることにより制御され得る。
【0023】
[0023]さらに別の実施形態においては、本発明は、肉エマルジョン製品を製造するための方法を提供する。この方法は、タンパク質及び脂質を含む肉エマルジョンを形成するステップと、肉エマルジョンを粉砕及び加熱するステップと、熱交換器内に肉エマルジョンを導入し、少なくとも70psiの圧力に肉エマルジョンをさらすステップとを含む。熱交換器は、第1のプレートと、第1のプレートに対して取り付けられる第2のプレートであって、第1のプレートと第2のプレートとの間に配置された第1のスペーサ及び第2のスペーサにより離隔される、第2のプレートと、第2のプレートに対して取り付けられる第3のプレートであって、第2のプレートと第3のプレートとの間に配置された第3のスペーサ及び第4のスペーサにより離隔される、第3のプレートとを備える。第1のプレート、第2のプレート、第1のスペーサ、及び第2のスペーサは、肉エマルジョンが熱交換器を通過するための第1の被温度制御通路を形成する。第2のプレート、第3のプレート、第3のスペーサ、及び第4のスペーサは、肉エマルジョンが熱交換器を通過するための第2の被温度制御通路を形成する。次いで、肉エマルジョンは、熱交換器から導出される。
【0024】
[0024]一実施形態においては、この方法は、導出される肉エマルジョン製品を滅菌するステップをさらに含む。別の実施形態においては、この方法は、導出される肉エマルジョンを乾燥させ及び揚げ、肉エマルジョンから粗挽き状片を形成するステップをさらに含むことが可能である。
【0025】
[0025]本発明の1つの利点は、改良された熱交換器を実現することである。
【0026】
[0026]本発明の別の利点は、必要な装置床面積量を殆ど又は全く増加させることなく、生産速度の高い熱交換器を実現することである。
【0027】
[0027]本発明のさらに別の利点は、必要な装置床面積を殆ど又は全く増加させることなく、動作圧力がより低い熱交換器を実現することである。
【0028】
[0028]本発明のさらに別の利点は、肉エマルジョン製品を製造するための改良されたデバイスを実現することである。
【0029】
[0029]本発明の別の利点は、肉エマルジョン製品を製造する改良された方法を実現することである。
【0030】
[0030]本明細書においては、さらなる特徴及び利点が説明される。これらは、以下の詳細な説明及び図面から明らかになろう。
【図面の簡単な説明】
【0031】
図1】本発明の一実施形態における熱交換器及び吸入マニホルドの斜視図である。
図2図1の熱交換器の断面図IIである。
図3図1の熱交換器の拡大図である。
図4A図1の吸入マニホルドの断面図IVAである。
図4B図1の吸入マニホルドの後方斜視図である。
図5】本発明の別の実施形態における熱交換器の断面図である。
図6】本発明の別の実施形態における熱交換器の断面図である。
図7】本発明の一実施形態における熱交換器を使用して肉エマルジョン製品を製造するためのプロセスの概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0032】
[0039]本発明は、粘着性材料を加熱又は冷却するのに適した方法及びデバイスを提供する。一実施形態において、この方法及びデバイスは、肉エマルジョンから食品製品を製造するのに適する。特に、一実施形態において、本発明は、肉エマルジョン製品を製造するのに有用な高圧プレート式熱交換器を提供する。例えば、この高圧プレート式熱交換器は、相互に積層された複数セットの加熱/冷却プレートと、各プレートセットに対して材料を均一に送る独自の設計の吸入マニホルドとを備える。この熱交換器により、より高い圧力の利用及び製品スループットの向上が可能となる。さらに、この熱交換器は、製品が通過する際に製品を妨げることを最小限に抑える又は回避することより、熱交換器内における詰まりを解消する又は軽減するように設計され得る。
【0033】
[0040]図1図3に図示する一般的な一実施形態においては、本発明は、熱交換器10と、熱交換器10に対して取り付けられる吸入マニホルド12とを提供する。熱交換器10は、第1の圧力プレート20及び第1の圧力プレート20に対して取り付けられる第1のエネルギー交換プレート22、並びに、第2の圧力プレート30及び第2の圧力プレート30に対して取り付けられる第2のエネルギー交換プレート32を備える。第2の圧力プレート30は、第1の圧力プレート20に対して取り付けられる。熱交換器10は、第1のエネルギー交換プレート20と第2のエネルギー交換プレート30との間に配置される第1のスペーサ40及び第2のスペーサ42をさらに備える。第1のエネルギー交換プレート22、第2のエネルギー交換プレート32、第1のスペーサ40、及び第2のスペーサ42は、第1の製品が熱交換器10を通過するための被温度制御通路44を形成する。第3のエネルギー交換プレート34が、第2の圧力プレート30における第2のエネルギー交換プレート32の対向側において、第2の圧力プレート30に対して取り付けられる。
【0034】
[0041]熱交換器10は、第3の圧力プレート50と、第3の圧力プレート50に対して取り付けられる第4のエネルギー交換プレート52とをさらに備える。第3の圧力プレート50は、第2の圧力プレート30に対して取り付けられる。第3のスペーサ60及び第4のスペーサ62が、第3のエネルギー交換プレート34と第4のエネルギー交換プレート52との間に配置される。第3のエネルギー交換プレート34、第4のエネルギー交換プレート52、第3のスペーサ60、及び第4のスペーサ62は、第2の製品が熱交換器10を通過するための第2の被温度制御通路64を形成する。この第2の被温度制御通路64は、単一の通路を有する典型的な熱交換器に比べて、熱交換器10を通過し得る製品量をより増加させる。
【0035】
[0042]圧力プレート20,30,50、エネルギー交換プレート22,32,34,52、及びスペーサ40,42,60,62は、それらの意図された目的に対して十分な任意の適切な材料から作製され得る。例えば、圧力プレート20,30,50は、高圧及び/又は高温に関連する応力に耐えることが可能となるように鋼又は他の材料を含むことが可能である。エネルギー交換プレート22,32,34,52は、高圧及び/又は高温に関連する応力に耐えることが可能となるように鋼又は他の材料を含むことが可能である。スペーサ40,42,60,62は、高圧及び/又は高温に関連する応力に耐えることが可能となるように鋼、ポリマー、又は他の材料を含むことが可能である。
【0036】
[0043]一実施形態においては、第1のエネルギー交換プレート22及び/又は第2のエネルギー交換プレート32は、第1のエネルギー交換プレート22及び/又は第2のエネルギー交換プレート32の任意の部分をそれぞれ貫通する1つ又は複数の通路70及び72を備える。別の実施形態においては、第3のエネルギー交換プレート34及び/又は第4のエネルギー交換プレート52は、第3のエネルギー交換プレート34及び/又は第4のエネルギー交換プレート52の任意の部分をそれぞれ貫通する1つ又は複数の通路80及び82を備える。例えば、通路70,72,80,82は、プレートの温度変化に影響を及ぼすように所望に応じた多数又は少数のエネルギー交換プレートを通過するように構築及び構成され得る。また、通路70,72,80,82は、加熱/冷却流体が通過するための入口及び出口を備えることにより、熱交換器10の通路44,64を通り移動している製品の加熱又は冷却を促進することが可能である。
【0037】
[0044]熱交換器10の被温度制御ゾーンのエネルギー交換プレート22,32,34,52を冷却又は加熱する任意の所望の温度にある任意の適切な流体(例えば水)又はガスが、使用され得る。第1のエネルギー交換プレート22、第2のエネルギー交換プレート32、第3のエネルギー交換プレート34、及び/又は第4のエネルギー交換プレート52を個別に制御することにより、熱交換器は、製品の片側又は両側を冷却又は加熱することが可能となり、これにより、熱交換又は冷却交換の効率が上昇する。代替的には、又は追加として、第1のエネルギー交換プレート22、第2のエネルギー交換プレート32、第3のエネルギー交換プレート34、及び/又は第4のエネルギー交換プレート52は、当業者には公知である任意の他の適切な加熱機構又は冷却機構を使用することが可能である。
【0038】
[0045]図1に図示するように、第1のエネルギー交換プレート22、第2のエネルギー交換プレート32、第3のエネルギー交換プレート34、及び第4のエネルギー交換プレート52は、複数の連続被温度制御ゾーンA〜Cを画定することも可能である。例えば、第1のエネルギー交換プレート22及び/又は第2のエネルギー交換プレート32は、被温度制御ゾーンA〜Cのそれぞれを画定する、第1のエネルギー交換プレート及び/又は第2のエネルギー交換プレートの各部分を貫通する複数の別個の通路70,74,76を備える。同様に、第3のエネルギー交換プレート34及び/又は第4のエネルギー交換プレート52は、被温度制御ゾーンA〜Cのそれぞれを画定する、第3のエネルギー交換プレート及び/又は第4のエネルギー交換プレートの各部分を貫通する複数の別個の通路80,84,86を備える。
【0039】
[0046]通路70,74,76、及び通路80,84,86はそれぞれ、熱交換器10の個々の被温度制御ゾーンA〜Cを冷却又は加熱する同一の若しくは異なる流体又はガスを備えることが可能である。冷却/加熱ゾーンは、冷却又は加熱される材料が冷却ゾーン又は加熱ゾーンに進入した際に妨げられないように、構成され得る。
【0040】
[0047]各温度制御ゾーンA〜Cは、例えば通路70,74,76、及び通路80,84,86を通る個々の流体又はガスの温度及び流量を制御することなどによって、ある特定の温度に維持され得る。このようにすることで、各被温度制御ゾーンA〜Cは、同一の又は異なる温度となり得る。これらの温度ゾーンは、製品が熱交換器を通過する際に、温度を上昇又は低下させるように設計され得る。例えば、肉エマルジョンの冷却時に、これらの温度ゾーンは、熱交換器中においてあるゾーンから別のゾーンにかけて連続的に食品を冷却するように設定され得る。3つの被温度制御ゾーンが図示されるが、熱交換器10は、本発明の代替的な実施形態においては任意の適切な個数の被温度制御ゾーンを備えることが可能である点を理解されたい。さらに、本発明の2つ以上の熱交換器が、必要に応じて追加の加熱ゾーン又は冷却ゾーンを提供するために、連続的に配置され得る。
【0041】
[0048]図2に示すように、通路44は、第1のエネルギー交換プレート22と第2のエネルギー交換プレート32との間の間隙を備える。通路64は、第3のエネルギー交換プレート34と第4のエネルギー交換プレート52との間の間隙を備える。これらの間隙は、任意の適切な高さを有することが可能である。一実施形態においては、これらの間隙は、約3cm〜約15cmの範囲の高さを有する。図2にさらに示すように、一実施形態においては、スペーサ40,42,60,62は、楕円形状であることが可能である。スペーサは、例えばそれらの各エネルギー交換プレート間に通路を形成するようになど、任意の適切な形状であることが可能である点を理解されたい。エネルギー交換プレート22と32との間の、又は34と52との間の距離、及びしたがって冷却/加熱ゾーンのサイズは、スペーサ40,42,60,62のサイズを変更することによって調節可能であることが可能である。
【0042】
[0049]第1のエネルギー交換プレート22及び第2のエネルギー交換プレート32は、例えば約50〜約1500psiなどの、製品がデバイスを通過する際に製品を処理するために必要とされる圧力に耐えるように、第1のスペーサ40及び第2のスペーサ42に沿って任意の適切な様式で封止され得る。同様に、第3のエネルギー交換プレート34及び第4のエネルギー交換プレート52は、例えば約50〜約1500psiなどの、製品がデバイスを通過する際に製品を処理するために必要とされる圧力に耐えるように、第3のスペーサ60及び第4のスペーサ62に沿って任意の適切な様式で封止され得る。これにより、製品が通過する際に、通路内の製品がエネルギー交換器(例えば高い内圧による)を透過することが防止される。例えば、図3に示すように、一実施形態においては、1つ又は複数のガスケット90が、追加のシールを形成するためにスペーサ40,42,60,62に沿って配置され得る。好ましくは、熱交換器は、約50〜約1500psiの正圧に耐え、例えば100,000センチポアズなどの高い粘着性を有する製品を取り扱うために、封止され得る。
【0043】
[0050]図3に図示するように、一実施形態においては、熱交換器10は、第1の入口96及び第2の入口98を形成する第1の端部プレート94をさらに備える。第2の端部プレート(図示せず)が、出口プレートとして使用されるべき第1の熱交換器10の対向端部に対して取り付けられ得る点を理解されたい。また、第1の端部プレート94は、先に論じたように連続的な様式で2つ以上の熱交換器10を一体的に取り付けるために使用され得る。例えば、2つ以上の熱交換器が、ある熱交換器の第1の端部プレートを別の熱交換器の第2の端部プレートに対して取り付けることによって、一体化され得る。
【0044】
[0051]いくつかの実施形態においては、熱交換器は、他の熱交換器と直列及び/又は並列に連結されるように設計される。しかし、熱交換器プレートを相互に「積層する」(熱交換器の面積を拡張する)ことにより熱交換器を拡張することが可能であるため、直列及び/又は並列に熱交換器を配置する必要性は、軽減され得る。
【0045】
[0052]また、熱交換器10の入口端部は、入口の開口からエネルギー交換プレート22,32,34,52により形成される通路まで移行する、熱交換器10の入口プレート94に対して取り付けられた1つ又は複数の移行ガスケット(図示せず)を備えることが可能である。移行ガスケットは、例えば、製品が前のデバイス又はパイプラインから熱交換器の被温度制御ゾーンに進入する際に、ほぼ平滑な移行を実現し得る(例えば開口のサイズを縮小することなどにより)。また、同様に、熱交換器10は、エネルギー交換プレート22,32,34,52により形成される通路から出口プレートの開口まで移行する、熱交換器10の出口プレート(図示せず)に対して取り付けられた1つ又は複数の移行ガスケット(図示せず)を備えることが可能である。
【0046】
[0053]第1の圧力プレート20、第2の圧力プレート30、及び第3の圧力プレート50は、任意の適切な手段により及び任意の適切な位置において一体的に取り付け保持され得る。例えば、第1の圧力プレート20、第2の圧力プレート30、及び第3の圧力プレート50は、図1図2に図示するように、プレートの部分を通過する1つ又は複数のボルト、ねじ、及び/又はクランプ92により一体的に保持され得る。
【0047】
[0054]図1及び図4A図4Bに図示するように、一実施形態においては、吸入マニホルド12は、入口通路102を形成する前方部分100と、2つの出口通路112,114を形成する後方部分110とを備える。吸入マニホルド12は、入口通路102が第1の端部プレート94の第1の入口96及び第2の入口98のそれぞれと対応する2つの出口通路112及び114へと分岐するように、構築及び構成される。その結果、冷却又は加熱されることとなる熱交換器10に進入する製品又は材料は、吸入マニホルド12を経由して通路44と64との間で均一に分配され得る。したがって、吸入マニホルド12は、熱交換器10のエネルギー交換プレートのセットの間で材料を分配するために材料流を流線型化するように設計される。
【0048】
[0055]別の実施形態においては、吸入マニホルドは、複数の製品が同時に熱交換器内において処理され得るように、2つ以上の各出口通路に対応する2つ以上の入口通路を有して設計され得る。代替的な一実施形態においては、吸入マニホルドは、3つ以上の各出口通路に対応する入口通路を有して設計され得る。吸入マニホルドの各出口通路は、熱交換器内の通路数に対応する。
【0049】
[0056]熱交換器10の出口端部は、熱交換器10の通路44,64に対応する任意の適切な個数及び出口構成を有することが可能である点を理解されたい。また、熱交換器の出口端部は、別の熱交換器に対して連続的に取り付けられるように構成され得る。さらに、熱交換器10の出口端部は、処理される製品又は材料が熱交換器10を出る際にその製品又は材料の切断、サイズ変更、追加の質感付与、又は形状設定を可能にするために、任意の適切な補助/処理装置に対して直接的に取り付けられ得る。
【0050】
[0057]代替的な一実施形態においては、本発明は、第1のプレートと、第1のプレートに対して取り付けられる第2のプレートと、第1のプレートと第2のプレートとの間に配置される第1のスペーサ及び第2のスペーサとを備える、デバイスを提供する。第1のプレート、第2のプレート、第1のスペーサ、及び第2のスペーサは、第1の製品がデバイスを通過するための第1の通路を形成する。第3のプレートが、第2のプレートに対して取り付けられる。第1のプレート、第2のプレート、及び第3のプレートの中の少なくとも1つが、エネルギー交換能力を備える。第3のスペーサ及び第4のスペーサが、第2のプレートと第3のプレートとの間に配置される。第2のプレート、第3のプレート、第3のスペーサ、及び第4のスペーサは、第2の製品がデバイスを通過するための第2の通路を形成する。第1のプレート、第2のプレート、及び第3のプレートはそれぞれ、エネルギー交換プレート及び圧力プレートとして機能し得る。
【0051】
[0058]この実施形態においては、第1のプレート及び第2のプレートは、1つ又は複数の被温度制御ゾーンを画定する。また、第2のプレート及び第3のプレートは、1つ又は複数の被温度制御ゾーンを画定することが可能である。また、第1のプレート、第2のプレート、及び/又は第3のプレートは、エネルギー交換能力を備える。したがって、第1のプレート、第2のプレート、及び/又は第3のプレートは、第1の通路又は第2の通路内の製品に又は製品から熱さ又は冷たさを伝達する(例えば伝導又は対流により)ように構築及び構成され得る。例えば、第1のプレート、第2のプレート、及び/又は第3のプレートは、冷却液体又は加熱液体が通過する第1のプレート、第2のプレート、及び/又は第3のプレートの任意の部分を貫通する通路を備える。代替的には、又は追加として、第1のプレート、第2のプレート、及び/又は第3のプレートは、当業者には公知である任意の他の適切な加熱機構又は冷却機構を使用することが可能である。
【0052】
[0059]また、第1のプレート、第2のプレート、及び/又は第3のプレートは、第1のプレート及び/又は第2のプレートの各部分を貫通する複数の別個の通路を使用して複数の被温度制御ゾーンを形成することも可能である。これらの通路は、デバイスの被温度制御ゾーンを冷却又は加熱する任意の適切な流体又はガスを備えることが可能である。
【0053】
[0060]通路は、例えば約3cm〜約15cmの範囲などの任意のサイズの間隙高さを、第1のプレートと第2のプレートとの間に有することが可能である。第1のスペーサ及び第2のスペーサは、楕円形状であることが可能である。第1のプレート及び第2のプレートは、約50〜約1500psiの通路内の内圧に耐えるように、第1のスペーサ及び第2のスペーサに沿って封止され得る。第1のプレート及び第2のプレートは、例えば1つ又は複数のボルト、ねじ、及び/又はクランプなどの任意の適切な手段により一体的に取り付けられ得る。一実施形態においては、デバイスは、第1のプレート及び第2のプレートの両端部に対して取り付けられる、入口を形成する第1の端部プレート及び出口を形成する第2の端部プレートを備えることが可能である。
【0054】
[0061]図5に図示する別の実施形態においては、本発明は、中間圧力プレートを使用しない熱交換器200を提供する。この熱交換器200は、第1の圧力プレート210と、第1の圧力プレート210に対して取り付けられる第1のエネルギー交換プレート212とを備える。また、熱交換器200は、第2のエネルギー交換プレート214を備え、第1のスペーサ220及び第2のスペーサ222が、第1のエネルギー交換プレート212と第2のエネルギー交換プレート214との間に配置される。第1のエネルギー交換プレート212、第2のエネルギー交換プレート214、第1のスペーサ220、及び第2のスペーサ222は、第1の製品が熱交換器200を通過するための第1の被温度制御通路224を形成する。第3のエネルギー交換プレート230が、第2のエネルギー交換プレート214に対して取り付けられる。
【0055】
[0062]熱交換器200は、第2の圧力プレート240と、第2の圧力プレート240に対して取り付けられる第4のエネルギー交換プレート242とをさらに備える。第2の圧力プレート240は、図5に図示するように、プレートの部分を貫通する1つ又は複数のボルト、ねじ、及び/又はクランプ246により第1の圧力プレート210に対して取り付けられ得る。第3のスペーサ250及び第4のスペーサ252が、第3のエネルギー交換プレート230と第4のエネルギー交換プレート242との間に配置される。第3のエネルギー交換プレート230、第4のエネルギー交換プレート242、第3のスペーサ250、及び第4のスペーサ252は、第2の製品が熱交換器200を通過するための第2の被温度制御通路260を形成する。
【0056】
[0063]第1のエネルギー交換プレート212及び/又は第2のエネルギー交換プレート214は、第1のエネルギー交換プレート212及び/又は第2のエネルギー交換プレート214の任意の部分をそれぞれ貫通する1つ又は複数の通路270,272を備えることが可能である。同様に、第3のエネルギー交換プレート230及び/又は第4のエネルギー交換プレート242は、第3のエネルギー交換プレート230及び/又は第4のエネルギー交換プレート242の任意の部分をそれぞれ貫通する1つ又は複数の通路280及び282を備えることが可能である。第1の被温度制御通路224及び第2の被温度制御通路260の温度は、例えば先に論じたような様式でエネルギー交換プレートの通路270,272,280,282を通る流体/ガスを利用することなどにより、制御/変更され得る。
【0057】
[0064]図6に図示する代替的な一実施形態においては、本発明は、中間エネルギー交換プレートを共有する熱交換器300を提供する。熱交換器300は、第1の圧力プレート310と、第1の圧力プレート310に対して取り付けられる第1のエネルギー交換プレート312とを備える。また、熱交換器300は、第2のエネルギー交換プレート314を備える。第1のスペーサ320及び第2のスペーサ322が、第1のエネルギー交換プレート312と第2のエネルギー交換プレート314との間に配置される。第1のエネルギー交換プレート312、第2のエネルギー交換プレート314、第1のスペーサ320、及び第2のスペーサ322は、第1の製品が熱交換器300を通過するための第1の被温度制御通路324を形成する。
【0058】
[0065]熱交換器300は、第2の圧力プレート340と、第2の圧力プレート340に対して取り付けられる第3の熱交換器342とをさらに備える。第2の圧力プレート340は、図6に図示するように、プレートの部分を貫通する1つ又は複数のボルト、ねじ、及び/又はクランプ346により第1の圧力プレート310に対して取り付けられ得る。第3のスペーサ350及び第4のスペーサ352が、第2のエネルギー交換プレート314と第3のエネルギー交換プレート342との間に配置される。第2のエネルギー交換プレート314、第3のエネルギー交換プレート342、第3のスペーサ350、及び第4のスペーサ352は、第2の製品が熱交換器300を通過するための第2の被温度制御通路360を形成する。
【0059】
[0066]第1のエネルギー交換プレート312及び/又は第3のエネルギー交換プレート342は、第1のエネルギー交換プレート212及び/又は第3のエネルギー交換プレート214の任意の部分をそれぞれ貫通する1つ又は複数の通路370及び372を備えることが可能である。同様に、中間エネルギー交換プレートすなわち第2のエネルギー交換プレート314は、1つ又は複数の通路(図示せず)第2のエネルギー交換プレート314を備えることが可能である。第1の被温度制御通路324及び第2の被温度制御通路360の温度は、例えば先に論じるような様式でエネルギー交換プレートの通路の中のいずれかを通る流体/ガスを使用することなどにより、制御/変更され得る。
【0060】
[0067]本発明の代替的な実施形態における熱交換器は、製品が通り流れるための3つ以上の通路を備えることが可能である点を理解されたい。代替的な一実施形態においては、熱交換器は、本発明の2通路構成の実施形態による垂直方向積層方式で3つ、4つ、5つ、又はそれ以上の被温度制御通路を備えるように構築及び設計され得る。例えば、熱交換器は、先述のものと同様の構成において3つ以上の被温度制御通路を用意するために、相互に積層される追加のエネルギー交換プレート、圧力プレート、及びスペーサを備えることが可能である。
【0061】
[0068]代替的な一実施形態においては、本発明は、食品製品を製造するための方法を提供する。この方法は、熱交換器内に肉エマルジョンを導入することと、圧力に肉エマルジョンをさらすこととを含む。熱交換器は、第1のプレートと、第1のプレートに対して取り付けられる第2のプレートであって、第1のプレートと第2のプレートとの間に配置された第1のスペーサ及び第2のスペーサにより離隔される、第2のプレートと、第2のプレートに対して取り付けられる第3のプレートであって、第2のプレートと第3のプレートとの間に配置された第3のスペーサ及び第4のスペーサにより離隔される、第3のプレートとを備える。第1のプレート、第2のプレート、第1のスペーサ、及び第2のスペーサは、肉エマルジョンが熱交換器を通過するための第1の被温度制御通路を形成する。第2のプレート、第3のプレート、第3のスペーサ、及び第4のスペーサは、肉エマルジョンが熱交換器を通過するための第2の被温度制御通路を形成する。
【0062】
[0069]第1のプレート、第2のプレート、第1のスペーサ、及び第2のスペーサは、肉エマルジョンが熱交換器の第1の被温度制御通路を通過する際に肉エマルジョンを第1の温度にさらすように構築及び構成される。第2のプレート、第3のプレート、第3のスペーサ、及び第4のスペーサは、肉エマルジョンが熱交換器の第2の被温度制御通路を通過する際に肉エマルジョンを第2の温度にさらすように構築及び構成される。
【0063】
[0070]熱交換器の第1の被温度制御通路及び第2の被温度制御通路の中の温度は、第1のプレート、第2のプレート、及び第3のプレートの中の少なくとも1つの一部分の少なくとも1つの通路に流体を通過させることにより、制御され得る。例えば、第1のプレート、第2のプレート、及び第3のプレートは、複数の個別の被温度制御ゾーンを画定することが可能である。個別の被温度制御ゾーンの温度は、第1のプレート、第2のプレート、及び第3のプレートの各部分を貫通する複数の別個の通路に流体を通過させることによって制御され得る。
【0064】
[0071]図7は、本発明の実施形態において熱交換器を使用して肉エマルジョン製品を製造するためのプロセスステップを一般的に図示する流れ図を示す。一般的な一実施形態においては、この方法は、タンパク質及び脂質を含む肉エマルジョンを形成することと、肉エマルジョンを粉砕及び加熱することと、熱交換器内に肉エマルジョンを導入することと、少なくとも50psiの圧力に肉エマルジョンをさらすこととを含む。熱交換器は、第1のプレートと、第1のプレートに対して取り付けられる第2のプレートであって、第1のプレートと第2のプレートとの間に配置された第1のスペーサ及び第2のスペーサにより離隔される、第2のプレートと、第2のプレートに対して取り付けられる第3のプレートであって、第2のプレートと第3のプレートとの間に配置された第3のスペーサ及び第4のスペーサにより離隔される、第3のプレートとを備える。第1のプレート、第2のプレート、第1のスペーサ、及び第2のスペーサは、肉エマルジョンが熱交換器を通過するための第1の被温度制御通路を形成する。第2のプレート、第3のプレート、第3のスペーサ、及び第4のスペーサは、肉エマルジョンが熱交換器を通過するための第2の被温度制御通路を形成する。この場合、肉エマルジョンは、熱交換器の第1の被温度制御通路及び第2の被温度制御通路から導出される。
【0065】
[0072]この方法は、導出された肉エマルジョン製品を包装及び滅菌することをさらに含むことが可能である。別の実施形態においては、この方法は、導出された肉エマルジョンを乾燥させ又はフライ処理し、肉エマルジョンから粗挽き状片を形成することをさらに含むことが可能である。
【0066】
[0073]この熱交換器は、熱交換器を使用する任意の製品の製造に適用することが可能である。一般的には、プラスチック、菓子、練り物、ポリマー、スラッジ、及びペーストなどの任意の粘着性材料が、本発明の方法及びデバイスを利用して処理され得る。この熱交換器は、ペット及び人間により消費される食品製品及び/又は肉エマルジョン製品の製造に適用し得ると好ましい。肉エマルジョン製品は、植物性タンパク質、鶏肉、牛肉、豚肉、及び魚肉を含む任意のタイプの肉製品を模造することが可能である。
【0067】
[0074]以下において詳細に示すように、一般的には、肉エマルジョン製品は、肉、タンパク質、水及び様々な原材料をエマルジョン化(乳化)する(emulsifying)ことにより製造され得る。かように製造されたエマルジョンは、次いで、高速エマルジョンミルに通され、そこでエマルジョンは、急速に加熱されて、熱的にゲル化する。加熱されたエマルジョンは、次いで、本発明の一実施形態における熱交換器内に導出され、そこで横紋を有する肉状構造体へと固化される。
【0068】
[0075]以下において詳細に示すように、非常に実物に似た肉同様のイメージを製品に与える改良された繊維輪郭物(視認可能な小径の繊維)を有する肉エマルジョン製品が、製造され得る。これに関連して、結果的に得られる肉エマルジョン製品は、非常に実物に似た筋肉外観を肉エマルジョンに与える、繊維束又は繊維ストランドを有する。結果的に得られる鶏肉エマルジョン製品については、本発明の製品は、骨から手でむしり取られ、それ自体の煮汁/汁の中に覆われている、柔らかく時間をかけて調理された鶏肉又は七面鳥肉の外観を有することが考えられる。本発明によれば、さらに、変則的な製品形状及び寸法を有し、先行技術の製品よりも強い歯触り/食感を有し、ペースト状、粥状、又は脆弱ではない、肉エマルジョン製品が製造される。
【0069】
[0076]本発明の方法による肉エマルジョン製品の調製においては、哺乳動物、魚、若しくは鶏の肉を含む天然肉材料、及び/又は要求される品質、原材料コスト、及び美味性を有する肉副産物の混合物が、配合され、挽かれ、エマルジョン化される。使用される肉及び/又は肉副産物は、多様な要素から選択されてもよく、配合に使用される肉材料のタイプ及び量は、製品の使用用途、製品の所望の風味、美味性、コスト、及び原材料の入手可能性等々の、複数の考慮要件によって決定される。様々な哺乳動物、鶏、及び魚からの肉(すなわち骨格組織及び非骨格筋)、及び/又は肉副産物(すなわち解体処理された哺乳動物、鶏、又は魚から得られる肉以外の精製加工されない清浄な部分)の両方が、肉材料として使用され得る。したがって、本明細書においては、肉材料という用語は、冷凍材料を含む、非乾燥肉及び/又は肉副産物を指すものとして理解される。
【0070】
[0077]製品が、人による消費を目的としたものである場合には、牛及び羊の全枝肉、脂肪の少ない豚の脂身、牛すね肉、子牛肉、牛及び豚の頬肉などの肉と、口唇、第一胃及び第二胃、心臓、並びに舌などの肉副産物とを含む、従来の肉エマルジョン製品の製造において使用されるあらゆる肉及び肉副産物が、本発明において使用され得る。製品が、ペット用食品製品としての使用を目的とするものである場合には、肉混合物は、上述の肉材料に加えて、機械により骨を取り除かれた牛肉、鶏肉、又は魚肉、牛及び豚の肝臓、肺、並びに腎臓等々の、動物用食品における使用が認可されている任意の肉副産物を含み得る。典型的には、肉材料は、最大で約15重量%の、及び好ましくは約10重量%未満の脂肪を含むように配合される。
【0071】
[0078]従来の肉エマルジョン製品に使用される添加物が、肉材料と共に混合され、本発明の肉エマルジョン中に含まれてもよい。これらの添加物には、所望の風味特徴を製品に与えるのに十分な量の、塩、香辛料、調味料、及び砂糖等々が含まれる。さらに、例えばビタミン、抗酸化剤、及びミネラルなどの機能的成分、並びに風味付け剤等々の、少量の他の乾燥成分が、肉エマルジョンに添加されてもよい。
【0072】
[0079]また、肉エマルジョンは、エマルジョンの安定性及び結合を向上させ、風味を与え、配合コストを削減するために、例えば小麦グルテン、大豆粉、大豆タンパク濃縮物、大豆タンパク副産物、卵アルブミン、及び無脂肪粉乳などの、1つ又は複数の乾燥タンパク性材料を含んでもよい。肉エマルジョン中にこれらの乾燥タンパク性材料を含むことは、ペット用食品としての使用を目的とした製品の製造においては特に有利となる。乾燥タンパク性材料により、加工業者は、他の場合であれば肉エマルジョン製品の調製における使用がぎりぎりで認められ得る、タンパク質対脂肪比及びミオシン対総タンパク比を有する肉材料を使用することが可能となる。乾燥タンパク性材料が、肉エマルジョン中に含まれる場合には、使用される量は、製品の使用用途、エマルジョン中に使用される肉材料の品質、及び原材料コスト考慮要件等々の因子に応じて、エマルジョンの約5重量%〜約35重量%の間で変動し得る。好ましい一実施形態においては、乾燥タンパク性材料のレベルは、約25重量%〜約35重量%の間である。一般的には、使用される肉材料の脂肪含有量及び/又は水分含有量が、上昇すると、エマルジョン中の乾燥タンパク性材料のレベルは、それに応じて上昇される。
【0073】
[0080]肉エマルジョンの配合は、多様であってよいが、乾燥タンパク性材料を含むエマルジョンは、タンパク質が凝固する際に、エマルジョンの不安定性の兆候を全く示さずに堅い肉エマルジョン製品が形成されるのに十分な、タンパク質対脂肪比を有するべきである。さらに、エマルジョンのタンパク質含有量は、水の沸点を上回る温度にまで加熱された場合に、エマルジョンが、短期間の内に、すなわちかかる温度へ加熱された後の約5分以内及び好ましくは3分以内に、凝固し堅いエマルジョン製品を形成することが可能となるようなものでなければならない。したがって、肉材料及び乾燥タンパク性材料(使用される場合)を含む添加物は、肉材料が、肉エマルジョンの約50重量%〜75重量%の、及び好ましくは約60重量%〜約70重量%の量で存在するような割合で、共に混合される。好ましい一実施形態においては、肉エマルジョン用の出発原材料は、約29〜約31重量%のタンパク質と、約4〜約6重量%の脂肪とを含む。結果的に得られる肉エマルジョン製品は、出発原材料のプロファイルと実質的に同様のプロファイルを有するべきである。しかし、グレービー又は煮汁が、製品に対して点火される場合には、このプロファイルは、グレービー/煮汁の水分、タンパク質、及び/又は脂肪の含有量に応じて変化し得る。
【0074】
[0081]さらに、肉エマルジョンは、約45重量%〜80重量%の水分を含むように配合されるべきであり、この水分含有量は、肉エマルジョンすなわち肉材料及び添加物の約49重量%〜53重量%へと制御されると好ましい。当然ながら、エマルジョン中の水の厳密な濃度は、エマルジョン中のタンパク質及び脂肪の量によって決定されることとなる。
【0075】
[0082]使用するために選択された肉混合物は、肉材料を実質的に均一なサイズの片へと変形させるために、挽き機(grinder)に通される。一般的には、1cm以下の挽きプレートを備える挽き機に肉を通すことが好ましい。1cm超の粒径へと肉を挽くことにより、満足のゆく結果が得られ得るが、かかるより大きな肉粒子の使用は、一般的には好ましくない。使用されることとなる肉材料が、冷凍条件下にある場合には、これらは、初めに、挽き機へ進む片のサイズを小さくするために、事前破砕されるか又は片へと切断されなければならない。片のサイズは、肉挽き機取込み口のサイズによって決まるが、通常は、冷凍肉材料は、約10cm四方の片へと切断される。
【0076】
[0083]挽いた後に、肉粒子の混合物が、撹拌タンクへと搬送され、そこで、肉は、均一になるまで撹拌される。これは、肉混合物のポンプ送給を促進するために、熱水ジャケッティング及び蒸気注入等々により約1℃〜約7℃の温度まで加熱されると好ましい。次いで、挽かれた肉粒子の均一な混合物は、肉材料をエマルジョン化し肉エマルジョンを形成する条件下において粉砕され、肉混合物のタンパク質及び水が、脂肪球を被包する基質を形成する。肉材料は、タンパク質スラリ中の球としての脂肪を破壊及び分散させることによりエマルジョンを形成することが可能な、攪拌機、混合機、挽き機、サイレントカッターチョッパ、及びエマルジョンミル等々を使用することによってなど、肉のエマルジョン化において一般的に使用される任意の従来の手順及び装置によってエマルジョン化され得る。
【0077】
[0084]典型的には、肉エマルジョンの温度は、エマルジョン化プロセス時に上昇する。この肉エマルジョンの加熱は、その温度が、タンパク質変性がプロセスのこの段階において望ましくない程度にて発生し始める高さにまで上昇しない限りにおいては、問題とはならない。エマルジョン化時の肉混合物の温度は、プロセスのこの段階におけるタンパク質変性を最小限に抑えるために、約49℃未満に維持されるべきである。本開示の好ましい一実施形態においては、肉材料は、肉材料をエマルジョン化するためにエマルジョンミルに通され、エマルジョンは、約10℃〜約49℃の、好ましくは約21℃〜約38℃の温度にまで加熱される。
【0078】
[0085]乾燥タンパク性材料(使用される場合)を含む、肉エマルジョン中に組み込まれることとなる添加物は、エマルジョン化の前に肉混合物に添加されてもよい。代替的には、肉のエマルジョン化後に、肉混合物中に添加物、特に乾燥タンパク性材料を組み込むことが、多くの場合好ましい。乾燥タンパク性材料の添加により、エマルジョンの粘性が上昇するため、肉混合物が乾燥タンパク性材料の添加前にエマルジョン化される場合には、より良好なエマルジョン化が達成され、これにより粘着性の肉「練り物」配合物が結果的に得られる。
【0079】
[0086]この肉エマルジョン練り物は、次いで、エマルジョンのきめの細かさを高めるために粉砕され、水の沸点を上回る温度にまで急速に加熱され得る。この温度において、エマルジョン中のタンパク質の凝固が急速に進むことによって、エマルジョンが、固化し、堅いエマルジョン製品が、例えば20秒以下などの非常に短期間の内に形成される。
【0080】
[0087]一般体には約120℃〜約163℃及び好ましくは約140℃〜約154℃である水の沸点を上回る温度にまで粘着性の肉エマルジョンを急速に加熱することにより、エマルジョン中のタンパク質が結果として凝固して、エマルジョンを固化させ、加熱後の約5分以内及び典型的には数秒〜約3分以内に堅いエマルジョン製品を形成することが判明している。プロセスのこの段階においては、エマルジョンは、約100〜約500psiの、及び好ましくは200〜350psiの圧力下にある。高温とそれに伴う高圧とにより、製品に繊維輪郭物がもたらされる。驚くべきことには、製品の温度及び圧力がより高いほど、繊維の成長がより良好になることが判明している。これは、より小さく、より細く、長い繊維との直線状の整列を意味する。
【0081】
[0088]エマルジョンは、エマルジョンが機械加熱及び/又は蒸気注入などにより粉砕されつつある間にかかる高温にまで加熱される装置において処理されると好ましい。好ましい一実施形態によれば、約30℃〜約40℃の温度にある粘着性の肉エマルジョンが、エマルジョンミルへとポンプ送給されて、そこで肉エマルジョンは、エマルジョンのきめの細かさを高め、ほぼ同時に高速機械加熱及び/又は蒸気注入により約120℃〜約163℃、好ましくは140℃〜約154℃にまでエマルジョンを加熱するために、剪断を受ける。したがって、エマルジョンは、約60秒未満の期間内にかかる高温にまで加熱されると好ましい。
【0082】
[0089]エマルジョンが、このような方法でかかる高温にまで加熱されている場合には、エマルジョンのさらなる著しい剪断及び切断は、回避されるべきである。エマルジョンの温度を所望の範囲内に制御することは、エマルジョンミル内への送り速度及びエマルジョンミルの回転速度等々の因子を調節することにより行うことが可能であり、当業者には容易に判明し得る。
【0083】
[0090]好ましくは約120℃〜約163℃の、好ましくは約140℃〜約154℃の範囲内の、水の沸点を上回る温度にある高温の肉エマルジョンは、例えば歯車ポンプ又はローブポンプなどの容積型ポンプにより、本発明の一実施形態における熱交換器へと移送される。製品は、80psi〜約1500psiの、好ましくは約150psi〜約450pisの、最も好ましくは200psi〜約350psiの高圧にて熱交換器内へとポンプ送給される。
【0084】
[0091]かかる高圧においては、プロセスは、エマルジョン化装置の設計上限圧力にて又はその付近にて実施される。この理由により、容積型ポンプ(1500〜2500psi超の圧力限界)が、エマルジョン化後に直接的に密結合されると好ましい。これにより、エマルジョン化装置の使用によって、高圧を用いることなく高温を実現することが可能となる。圧力は、容積型ポンプの後に高められる。これにより、エマルジョン化装置のハウジング内の圧力は、60〜100psiにまで低下する。
【0085】
[0092]エマルジョンは、肉エマルジョン中のタンパク質が、エマルジョンを固化させ、熱交換器からの導出時に形状及び構造を維持する堅いエマルジョン製品を形成するのに十分な程度にまで凝固するまで、熱交換器内においてエマルジョンの蒸気圧を上回る圧力に維持される。かかる高温において、タンパク質の凝固は、非常に高速で進む。
【0086】
[0093]堅い製品を形成するのに十分な程度まで高温エマルジョンを固化させるのに必要な時間は、エマルジョンを加熱する温度並びにエマルジョン中のタンパク質の量及びタイプなどの複数の因子によって決定されるが、一般的には、熱交換器内における数秒〜約3分の、及び通常は約1〜約1.5分の滞留時間が、タンパク質が十分に凝固し、形状、完全性、及び物理的特徴を維持する堅いエマルジョン製品を形成するのに十分な時間となる。熱交換器内におけるこの滞留時間は、熱交換器へのエマルジョンの流量を調節することにより、及び/又は熱交換器の長さを調節することにより、制御され得る。
【0087】
[0094]本発明の実施形態における熱交換器の構造及び設計は、製品の繊維構造の形成を助ける。さらに、流量及び製品に対する種々の圧力が、繊維構造の形成に役立つ。熱交換器は、冷却されると好ましい。これにより、製品は、熱交換器を押し通される際に、冷却され得る。
【0088】
[0095]本発明の実施形態における熱交換器は、製品の中心に対する効率的な冷却又は加熱を促進する好ましい設計を備える。冷却により、プロセス安定性が上昇し、断面積の縮小と同様に製品の粘性及び流量を変化させることによって繊維の輪郭形成及び整列が強化され得る。熱交換器から導出される固化した肉エマルジョン片は、約65℃〜100℃の温度及び約47%〜60%の水分含有量を有する長尺の製品ストリップの形態となり、これらの片は、多様なサイズを有する。熱交換器からの導出時に、片は、60℃〜93℃の範囲内の温度へと気化冷却によって急速に冷却される。所望に応じて、回転切断ナイフ、水ジェットナイフ、又はナイフ格子等々の適切な切断手段が、例えば約150mm〜約350mmなどの所望のサイズの片へと製品を切断するために、熱交換器の導出端部に取り付けられてもよい。所望に応じて、製品は、製品がより急速に冷却され得るように、中心を切り下げられてもよい。このように形成された肉エマルジョン塊は、優れた完全性及び強度を有し、高水分含有量を有する缶詰食品の製造において必要とされるような商業的な缶詰処理及び滅菌処理を受けた場合に、それらの形状及び繊維特徴を維持する。
【0089】
[0096]製品の繊維イメージを高めるために、同様の速度で回転する2つの長尺の軽度にテクスチャ化されたシリンダ(ロール)から構成される圧縮ロールセットが、最終的な製品サイズ変更又はダイシングの前に使用され得る。熱交換器から導出される製品は、回転シリンダ間の幅狭の調節可能な開口内に落下し、これらのシリンダが、繊維を開くか、又は部分的に分離させる若しくは引き裂く。この不完全なシュレッド形態は、直線状の繊維を強調する役割を果たすことが判明している。
【0090】
[0097]熱交換器から導出される肉エマルジョン片は、ダイシングされ、そこから水部分の大半を除去するために乾燥機へと搬送されてもよく、乾燥された製品が、収集及び保管される。また、水分の削減は、乾熱に対してこれらの片をさらすことによって達成されてもよく、それにより、結果的に得られる製品片は、繊維を残しながらもほぼ粗挽き状の外観を有する。この乾熱は、本体をロースト処理、ベーキング処理、グリル処理、又はフライ処理することにより実現される。本体は、さっとフライ処理されると好ましい。その期間は、典型的には、油が150℃〜200℃の温度範囲内である場合には、1分未満及び好ましくは15〜35秒の範囲内となる。
【0091】
[0098]代替的には、「湿潤性」製品の製造においては、肉エマルジョン片は、熱交換器から直接的に缶詰作業へと搬送され、そこで塊が、他の原材料(例えばソース及びグレービー等々)と共に缶内に充填され、管が保管されてもよい。いずれの状況においても、製品は、所望に応じてサイズ変更され得る。
【0092】
[0099]例としては、缶詰ペット用食品製品の製造においては、適切なグレービーが、水、澱粉、及び調味料の混合物を加熱することにより調製されてもよい。肉エマルジョン塊及びグレービーが、所望の割合で缶内に充填され、缶は、真空封止され、次いで商業的殺菌を実現するのに十分な時間・温度条件の下で滅菌される。従来の滅菌処理が、利用されてもよい。典型的には、約40〜90分間にわたる約118℃〜121℃の滅菌温度が、商業的無菌製品の製造において十分なものとなる。
【0093】
[00100]本明細書に記載される現時点において好ましい実施形態に対する様々な変更及び修正は、当業者には自明である点を理解されたい。かかる変更及び修正は、本発明の趣旨及び範囲から逸脱することなく、並びにその意図する利点を損なうことなく、行い得る。したがって、かかる変更及び修正は、添付の特許請求の範囲に包含されるように意図される。
図1
図2
図3
図4A
図4B
図5
図6
図7