特許第6072035号(P6072035)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6072035内燃機関を作動する方法、コンピュータプログラム、コンピュータプログラムを保存した記録媒体、並びに開ループ制御および/または閉ループ制御装置
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6072035
(24)【登録日】2017年1月13日
(45)【発行日】2017年2月1日
(54)【発明の名称】内燃機関を作動する方法、コンピュータプログラム、コンピュータプログラムを保存した記録媒体、並びに開ループ制御および/または閉ループ制御装置
(51)【国際特許分類】
   F02D 41/34 20060101AFI20170123BHJP
   F02D 41/40 20060101ALI20170123BHJP
   F02D 45/00 20060101ALI20170123BHJP
【FI】
   F02D41/34 H
   F02D41/40 F
   F02D45/00 364B
【請求項の数】7
【全頁数】8
(21)【出願番号】特願2014-525363(P2014-525363)
(86)(22)【出願日】2012年7月3日
(65)【公表番号】特表2014-521884(P2014-521884A)
(43)【公表日】2014年8月28日
(86)【国際出願番号】EP2012062940
(87)【国際公開番号】WO2013023833
(87)【国際公開日】20130221
【審査請求日】2014年3月3日
(31)【優先権主張番号】102011080963.5
(32)【優先日】2011年8月15日
(33)【優先権主張国】DE
(73)【特許権者】
【識別番号】591245473
【氏名又は名称】ロベルト・ボッシュ・ゲゼルシャフト・ミト・ベシュレンクテル・ハフツング
【氏名又は名称原語表記】ROBERT BOSCH GMBH
(74)【代理人】
【識別番号】100140109
【弁理士】
【氏名又は名称】小野 新次郎
(74)【代理人】
【識別番号】100075270
【弁理士】
【氏名又は名称】小林 泰
(74)【代理人】
【識別番号】100101373
【弁理士】
【氏名又は名称】竹内 茂雄
(74)【代理人】
【識別番号】100118902
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 修
(74)【代理人】
【識別番号】100146710
【弁理士】
【氏名又は名称】鐘ヶ江 幸男
(74)【代理人】
【識別番号】100186613
【弁理士】
【氏名又は名称】渡邊 誠
(72)【発明者】
【氏名】ヨース,クラウス
(72)【発明者】
【氏名】メスナー,トーマス
(72)【発明者】
【氏名】シュリューター,ルーベン
(72)【発明者】
【氏名】ヴンダーレ,ミヒャエル
(72)【発明者】
【氏名】アムラー,マルクス
(72)【発明者】
【氏名】シュトルフ,アクセル
(72)【発明者】
【氏名】ヴァインマン,マティアス
【審査官】 戸田 耕太郎
(56)【参考文献】
【文献】 特開2006−307736(JP,A)
【文献】 特表2009−532624(JP,A)
【文献】 特開平05−118244(JP,A)
【文献】 特開2003−328820(JP,A)
【文献】 特開平11−336621(JP,A)
【文献】 特開2003−027995(JP,A)
【文献】 特開平11−148408(JP,A)
【文献】 特開平11−229862(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F02D 41/34
F02D 41/40
F02D 45/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
触媒加熱段階に内燃機関(10)を作動する方法であって、第1噴射および第2噴射を含む少なくとも2つの工程により燃料が直接に燃焼室(14)に噴射され、前記第1噴射が吸気サイクルで行われ、前記第2噴射が前記第1噴射の後であって点火の前に行われる方法において、
トルク変動が所定の閾値を超過して前記内燃機関において不完全な燃焼が生じるまで、第2噴射時に噴射される燃料量を段階的に低減することを特徴とする方法。
【請求項2】
請求項1に記載の方法において、
トルク変動が所定の閾値を超過する直前の第2噴射時に噴射された燃料量に対応したインジェクタの最小制御時間を保存し、
前記最小制御時間を後続の第2噴射に用いる方法。
【請求項3】
請求項2に記載の方法において、
内燃機関の作動時に、連続的に、または間隔をおいて、前記最小制御時間を監視する方法。
【請求項4】
請求項1から3までのいずれか一項に記載の方法において、
第1噴射時および第2噴射時に噴射される燃料量の合計が一定である方法。
【請求項5】
請求項1から4までのいずれか一項に記載の方法で使用するようにプログラムされていることを特徴とするコンピュータプログラム。
【請求項6】
内燃機関の開ループ制御および/または閉ループ制御装置(30)のための記憶媒体において、
該記憶媒体に、請求項1から4までのいずれか一項に記載の方法で使用するためのコンピュータプログラムが保存されていることを特徴とする記憶媒体。
【請求項7】
請求項1から4までのいずれか一項に記載の方法で使用するようにプログラムされていることを特徴とする内燃機関(10)のための開ループ制御および/または閉ループ制御装置(30)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、請求項1の前提部分に記載の内燃機関を作動するための方法に関する。本発明の対象は、さらにコンピュータプログラム、記憶媒体、ならびに開ループ制御および/または閉ループ制御装置である。
【背景技術】
【0002】
触媒の作動温度を素早く達成するためには、内燃機関の始動直後に特殊な噴射方法によって触媒を適切に加熱することが知られている。
【0003】
ドイツ連邦共和国特許出願公開第102006016037号明細書により、燃料が圧縮サイクルにおける少なくとも2つの部分噴射によって噴射される噴射方法が既知であり、この場合、まず最大の分量の燃料がいわゆる「メイン噴射」(多重噴射として実施することもできる)において注入される。次いで点火直前により少量の燃料が噴射される。この少量の燃料は実質的にトルクに貢献せず、燃料消費を実施的に高めることもない。このわずかな分量によって、点火プラグに近い領域において濃厚混合気が生成され、これにより、点火後、いわゆる「点火トーチ」が燃焼室内に生じ、このような点火トーチは確実に残りの希薄混合気に点火する。
【0004】
点火トーチは、2つの観点から触媒加熱段階における燃焼のために重要である。点火トーチは上述のように燃焼に好ましい安定性をもたらす一方で、不都合な粒子放出を引き起こすこともある。点火トーチを得るために噴射される燃料の分量が過度に少なく選択された場合には、残りの希薄混合気は確実に点火されず、したがって不完全にしか燃焼されない。これに対して、噴射量が多過ぎる場合には、点火直前に上死点に密着しているピストンが湿潤される。その結果、不完全燃焼が生じ、すす粒子が形成され、排ガスと共に排出される
【0005】
したがって、触媒加熱段階では少量の燃料が高精度により測定される必要がある。しかしながら、インジェクタを較正するための既知の方法では、まさに噴射量が小さい場合には精度が制限されていることが多い。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】ドイツ連邦共和国特許出願公開第102006016037号明細書
【発明の概要】
【0007】
本発明の根底にある課題は、請求項1に記載の特徴を有する方法によって解決される。さらなる解決可能性が、コンピュータプログラム、記憶媒体、ならびに開ループ制御および/または閉ループ制御装置に関する独立請求項に記載されている。本発明の他の好ましい実施形態が従属請求項に記載されている。さらに、本発明における重要な特徴が以下の説明および図面に記載されている。この場合、ここに述べた本発明の特徴は、明示的に示唆されていない多くの異なった組合せにおいて実施した場合にも重要である。
【0008】
本発明による方法は、触媒加熱段階においてシリンダ毎に少量の部分噴射量を較正することを可能にする。これにより、より高い圧力およびより小さい噴射量を触媒加熱時に用いることが可能となり、このことは粒子放出に対して有利に作用する。全体として、最適な触媒加熱段階が確保される。この場合、本発明による方法は既に提供されている情報、すなわち、内燃機関のセンサおよびアクチュエータが開ループ制御装置および閉ループ制御装置に供給した情報を利用する。これにより、本発明による方法を実施するためには付加的なハードウェアは不要である。
【0009】
本発明によれば、さらに触媒加熱段階において、点火トーチを生成するためにシリンダの燃焼室内に噴射される燃料量(点火噴射量とも呼ばれる)が、燃焼室内に残る希薄燃料・空気混合物の良好な燃焼を達成するためにはもはや不十分となるまで、連続的に低減される。燃焼室内において燃料・空気混合物の燃焼が行われないか、または不完全な燃焼しか行われない場合には、このシリンダは、内燃機関によって生成されるトルク全体にわずかにしか貢献していないか、または全くしていない。このようにして生じるトルク変動は、いわゆる「不規則動作」または回転数変動として現れ、エンジン回転数を監視することによって検出することができる。
【0010】
この場合、本発明による方法は、点火トーチを生成するためにかろうじてまだ十分である点火噴射量により、ピストンをできるだけわずかに湿潤させるという要求が満たされるという仮定を利用している。ピストンの湿潤がわずかである程、燃焼プロセスにおけるすす形成は少なくなり、より少量の粒子が排ガスと共に放出される。これにより、本発明は、粒子放出の低減と、ドライバが知覚可能な内燃機関の不規則動作との間において最適化を行う。
【0011】
本発明による方法の別の構成では、燃焼室内で所望の圧力経過が得られるまで点火噴射量が連続的に低減される。規則動作を確保するために、燃焼室内に配置された圧力センサのデータを評価する内燃機関もある。この場合、所望の圧力経過が設定されるまで点火噴射量を低減することができる。このようにして、規則動作が確保され、同時に粒子放出が低減される。
【0012】
さらに、本発明による方法によって検出された最小制御時間を後続の噴射のために使用することが提案される。インジェクタのアクチュエータの制御時間は、噴射される燃料量に比例する。上述のように、本発明にしたがって検出された最小点火噴射量は最小制御時間と相関する。この最小制御時間は保存され、後続の噴射の基盤となる。このようにして、まさに小さい噴射量における高い測定精度が保障される。インジェクタのための最小制御時間が検出された場合には、続いて内燃機関の次のシリンダにおける最小点火噴射量もしくは対応したインジェクタの最小制御時間が決定される。触媒加熱段階において作動条件が著しく制限されていることによって、本発明による方法が可能となるか、または少なくとも容易になる。これにより、例えば、レール内の圧力が一定に保持され、触媒加熱段階において噴射の時間的順序も変更されることがないか、またはわずかにしか変更されない。
【0013】
補足的に、最小制御時間が連続的に監視されることが提案される。最小制御時間の監視は、例えば、新たに検出された実際の最小制御時間と既に保存されている値との比較によって行うことができる。この場合に生じたずれから、例えばインジェクタの劣化現象を推定することが可能であり、同様にこれらの劣化現象を補正するためにこのようなずれを用いることもできる。このようにして検出されたずれは、インジェクタを較正するために用いられ、ひいては内燃機関の作動の確実性を高める。
【0014】
メイン噴射時および点火噴射時に噴射された燃料量の合計が一定であることは特に役立つ。このために、点火噴射時に噴射された燃料量は、燃焼室に噴射されるべき総燃料量から差し引かれる。これにより、触媒加熱段階による燃料消費の増大が効果的に防止される。
第1形態によれば、触媒加熱段階に内燃機関(10)を作動する方法が提供される。この方法は、第1噴射および第2噴射を含む少なくとも2つの工程により燃料が直接に燃焼室(14)に噴射され、前記第1噴射が吸気サイクルで行われ、前記第2噴射が前記第1噴射の後であって点火の前に行われる方法において、トルク変動が所定の閾値を超過して前記内燃機関において不完全な燃焼が生じるまで、第2噴射時に噴射される燃料量を段階的に低減する。
第2形態は、上記第1形態において、トルク変動が所定の閾値を超過する直前の第2噴射時に噴射された燃料量に対応したインジェクタの最小制御時間を保存し、前記最小制御時間を後続の第2噴射に用いる方法である。
第3形態は、上記第2形態において、内燃機関の作動時に、連続的に、または間隔をおいて、前記最小制御時間を監視する方法である。
第4形態は、上記第1形態から第3形態のいずれかにおいて、第1噴射時および第2噴射時に噴射される燃料量の合計が一定である方法である。
第5形態は、上記第1形態から第4形態のいずれかの方法で使用するようにプログラムされているコンピュータプログラムである。
第6形態によれば、内燃機関の開ループ制御および/または閉ループ制御装置のための記憶媒体が提供される。この記憶媒体には、上記第1形態から第4形態のいずれかの方法で使用するためのコンピュータプログラムが保存されている。
第7形態は、上記第1形態から第4形態のいずれかの方法で使用するようにプログラムされている、内燃機関(10)のための開ループ制御および/または閉ループ制御装置である。
【0015】
次に、図面を参照して本発明の例示的な実施形態を説明する。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】それぞれ1つの燃焼室を有する複数のシリンダを備える内燃機関を示す概略図である。
図2】本発明による方法を示すフロー図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
図1には、内燃機関が全体として符号10で示されている。この内燃機関は、自動車(図示しない)を駆動するために用いられ、4つの燃焼室14a〜14dを備える実質的に同一の4つのシリンダ12a〜12dを含む。それぞれの燃焼室14a〜14dは、吸気管16に接続された入口弁18a〜18dを有している。吸気管16および入口弁18a〜18dを介して、燃焼空気はそれぞれの燃焼室14a〜14dに到達する。燃料は、それぞれのインジェクタ20a〜20dを介して燃焼室14a〜14dに噴射される。インジェクタ20a〜20dは「レール」(図示しない)に接続されており、このレール内には燃料が高圧下に貯蔵されている。
【0018】
燃焼室14a〜14dに存在する燃料・空気混合物は、それぞれ点火プラグ22a〜22dによって点火される。熱い燃焼ガスは、出口弁24a〜24dを介して燃焼室14a〜14dから排気管26に移動される。排気管26は、排ガス内に含有される有害物質の化学変換により排ガスを浄化する触媒装置28に通じている。
【0019】
内燃機関10の作動は、内燃機関10の種々異なるセンサおよびアクチュエータ(図1には示さない)の信号を受信する開ループ制御・閉ループ制御装置30によって制御および調整される。
【0020】
一般に約1、2秒間継続する始動段階後、すなわち最初の噴射および点火後に触媒加熱段階が続く。この場合、燃料の第1分量はそれぞれのシリンダ12a〜12dの吸気サイクルにおいてそれぞれのインジェクタ20a〜20dから燃焼室14に噴射され、そこで均質な希薄燃料・空気混合物が生成される。燃料の第2分量は圧縮サイクルの終了前、すなわち点火プラグ22による点火直前に燃焼室14に噴射される。これにより、濃厚燃料・空気混合気、いわゆる「点火トーチ」が点火プラグ22の領域に生成される。点火トーチが点火された場合には、混合、ひいては均質な希薄燃料・空気混合物を確実に燃やすことを保障する乱流が生じる。
【0021】
本発明によれば、触媒加熱段階では、点火トーチが均質な希薄燃料・空気混合物を確実に燃やすのにかろうじて十分となるまで、燃料の第2分量が連続的に低減される。燃料の第2分量が過度に低減された場合、点火トーチのエネルギーは、均質な希薄燃料・空気混合物を完全に燃やすためにはもはや不十分となる。このような状態は、シリンダ12における圧力経過または内燃機関の回転数の変動として検出することができる。図面には、符号31によって適切なセンサが示されている。
【0022】
噴射される燃料量は、それぞれのインジェクタ20の制御時間と相関している。上述のように、最小燃料量、ひいてはインジェクタ20の最小制御時間が第2噴射部分において検出された場合、この最小制御時間は開ループ制御および/または閉ループ制御装置30に保存され、後続の噴射の際に使用される。
【0023】
本発明による方法は、それぞれのインジェクタ20a〜20dについて連続的に用いられる。最小制御時間を連続的に監視することにより、インジェクタ20の劣化現象を補正することも可能である。
【0024】
図2は、本発明による方法の経過をブロック図で示している。
【0025】
始動時に内燃機関10の冷却水が冷たい場合には、いわゆる「冷間始動」が行われる。特に触媒加熱段階も冷間始動の一部である。本発明による方法は、触媒加熱段階に関係している。したがって、ブロック図は、触媒加熱段階を示すブロック32によって始まる。
【0026】
次のブロック34では、点火噴射時にシリンダ12a〜12dのいずれかに噴射される燃料量が低減される。確認ブロック36では、点火噴射時に噴射される燃料量が低減されたことにより生じた不規則動作もしくはトルク変動が、かろうじてまだ許容可能な値を超過したかどうかが点検される。代替的または補足的に、対応したシリンダ12a〜12dにおいて生じた目標‐回転数または目標圧力経過からのずれが、あらかじめ規定された閾値よりも大きいかどうかを点検することもできる。
【0027】
上記に該当しない場合には、点火噴射時に、シリンダ12a〜12dのいずれかに噴射された燃料量が、ステップ34においてさらに所定量だけ低減される。点火噴射時に噴射される燃料量のこのような段階的低減は、インジェクタの制御時間の短縮によって得られ、上記閾値のいずれかが到達されるかまたは超過されるまで継続される。
【0028】
閾値が達成または超過された場合には、ステップ38において、噴射された燃料量に対応するインジェクタ制御時間が、後に使用するために保存される。この場合、最初に閾値が超過されるまでの制御時間を保存するか、または閾値がかろうじてまだ到達または超過されていない制御時間を保存することが可能である。これら二つの選択肢は技術的に等価である。
【0029】
内燃機関が燃焼室内に圧力センサを有している場合には、代替的にこれらのセンサによって測定された圧力経過を所定の圧力経過と比較することもできる。実際の圧力経過と所定の圧力経過との間に十分な程度の一致が得られるとすぐに、かろうじてまだ安定した点火トーチが生成されるものと仮定される。この場合に用いられたインジェクタ制御時間は保存され、後続の点火噴射の際に利用される。
【0030】
最後に確認ブロック40において、さらに別のシリンダ12が測定されるべきかどうかが点検される。測定されるべきである場合には、ステップ34から開始され、本発明による方法が、次のシリンダ12a〜12dのために実施される。例えば、まずシリンダ12aが測定された場合には、次いで順次にシリンダ12b,12cおよび12dが測定される。全てのシリンダ12a〜12dが測定された場合に、本発明による方法はステップ42において終了する。
【0031】
本発明による方法は、インジェクタ20における劣化現象および/または摩耗現象を繰り返し補正するために、規則的な所定間隔をおいて繰り返される。したがって、例えば内燃機関の100回の冷間始動後または100作動時間後に本発明による方法を再び実施してもよい。
以下に本明細書が開示する形態のいくつかを記載しておく。
[形態1]
触媒加熱段階に内燃機関(10)を作動する方法であって、燃料が少なくとも2つの部分、すなわちメイン噴射および点火噴射により直接に燃焼室(14)に噴射され、メイン噴射が吸気サイクルで行われ、点火噴射が点火の前に行われる方法において、
トルク変動の閾値が達成されるか、または超過されるまで、点火噴射時に噴射される燃料量を段階的に低減することを特徴とする方法。
[形態2]
触媒加熱段階に内燃機関(10)を作動する方法であって、燃料が少なくとも2つの部分、すなわちメイン噴射および点火噴射により直接に燃焼室(14)に噴射され、メイン噴射が吸気サイクルで行われ、点火噴射が点火の前に行われる方法において、
燃焼室(14)の内部で所定の圧力経過が得られるまで、点火噴射時に噴射される燃料量を段階的に低減することを特徴とする方法。
[形態3]
形態1または2に記載の方法において、
トルク変動の閾値および圧力経過を自由に選択することが可能である方法。
[形態4]
形態1から3までのいずれか一項に記載の方法において、
トルク変動の閾値の達成もしくは超過、または燃焼室(14)における所定の圧力経過に対応したインジェクタの最小制御時間を保存し、該最小制御時間を後続の点火噴射のために用いる方法。
[形態5]
形態1から4までのいずれか一項に記載の方法において、
内燃機関の作動時に、連続的に、または間隔をおいて、前記最小制御時間を監視する方法。
[形態6]
形態1から5までのいずれか一項に記載の方法において、
メイン噴射時および点火噴射時に噴射される燃料量の合計が一定である方法。
[形態7]
形態1から6までのいずれか一項に記載の方法で使用するようにプログラムされていることを特徴とするコンピュータプログラム。
[形態8]
内燃機関の開ループ制御および/または閉ループ制御装置(30)のための記憶媒体において、
該記憶媒体に、形態1から6までのいずれか一項に記載の方法で使用するためのコンピュータプログラムが保存されていることを特徴とする記憶媒体。
[形態9]
形態1から6までのいずれか一項に記載の方法で使用するようにプログラムされていることを特徴とする内燃機関(10)のための開ループ制御および/または閉ループ制御装置(30)。
図1
図2