(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6072065
(24)【登録日】2017年1月13日
(45)【発行日】2017年2月1日
(54)【発明の名称】アークチャンバ内のアークから生じる圧力によって押されるトリップ部材を含んだトリップ機構及び電気的スイッチング機器
(51)【国際特許分類】
H01H 71/10 20060101AFI20170123BHJP
H01H 71/24 20060101ALI20170123BHJP
【FI】
H01H71/10
H01H71/24
【請求項の数】11
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2014-545889(P2014-545889)
(86)(22)【出願日】2012年8月21日
(65)【公表番号】特表2015-505124(P2015-505124A)
(43)【公表日】2015年2月16日
(86)【国際出願番号】US2012051655
(87)【国際公開番号】WO2013085578
(87)【国際公開日】20130613
【審査請求日】2015年7月7日
(31)【優先権主張番号】13/312,364
(32)【優先日】2011年12月6日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】390033020
【氏名又は名称】イートン コーポレーション
【氏名又は名称原語表記】EATON CORPORATION
(74)【代理人】
【識別番号】100068618
【弁理士】
【氏名又は名称】萼 経夫
(74)【代理人】
【識別番号】100104145
【弁理士】
【氏名又は名称】宮崎 嘉夫
(74)【代理人】
【識別番号】100135035
【弁理士】
【氏名又は名称】田上 明夫
(74)【代理人】
【識別番号】100131266
【弁理士】
【氏名又は名称】▲高▼ 昌宏
(72)【発明者】
【氏名】シア、ジョン ジェイ.
(72)【発明者】
【氏名】シャルテンブランド、ブライアン ジェイ.
(72)【発明者】
【氏名】ジャノーゼク、マーク エイ.
【審査官】
岡崎 克彦
(56)【参考文献】
【文献】
特開平04−229524(JP,A)
【文献】
特開2006−108106(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01H 69/00−69/01
H01H 71/00−83/22
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
分離可能接点(10)と、
該分離可能接点を開閉するように構成された作動機構(16)と、
前記分離可能接点をトリップ開放するために前記作動機構と協働し、かつ、トリップラッチ(4)を含むトリップ機構(14)と、
前記分離可能接点と動作上関連し、かつ、複数のアークプレート(20),及び,該アークプレートと前記トリップラッチとの間に配置される障壁(22)を含み、前記障壁は開口(12;58)を有する、アークチャンバ(6)と、
該アークチャンバの前記障壁の前記開口の内部または近くに配置されるトリップ部材(8)と、を含み、
前記分離可能接点を経由して流れる電流を遮断するとき、前記アークチャンバ内のアーク(11)から生じる圧力は、前記アークチャンバの前記障壁から離れるように前記トリップ部材を押し、前記トリップラッチに係合させて、前記トリップ機構に前記分離可能接点をトリップ開放させ、
前記トリップ部材は、前記分離可能接点を経由して流れる電流を遮断した後に、前記障壁における前記開口内の着座位置に、前記トリップ部材を戻すように構成されたスプリング(26)と、前記開口によってガイドされる形状を有する第1部分(66)と、前記スプリングの一端部(72)を受け入れる凹部(70)を有する第2部分(68)と、前記第1部分の中心線からずれて配置されて、前記第2部分から延びる第3部分(74)と、を含み、
前記アークチャンバ内の前記アークから生じるガス圧力(25)は、前記開口に沿って前記第1部分を押し、前記第3部分を前記トリップラッチに係合させることを特徴とする電気的スイッチング機器(50)。
【請求項2】
前記開口は、円筒状の開口(12;58)であり、前記トリップ部材は、前記円筒状の開口内に摺動可能に位置される円筒状のピストン(8)であり、かつ、前記アークチャンバ内の前記アークから生じるガス圧力(25)は、前記円筒状の開口に沿って前記円筒状のピストンを押し、前記トリップラッチに係合させることを特徴とする請求項1に記載の電気的スイッチング機器(2;50)。
【請求項3】
前記分離可能接点を経由して電流が流れている間、前記トリップラッチにかかる機械負荷は、その電流が流れることにより前記作動機構において発生する磁力によって増大し、かつ、前記円筒状のピストンは、前記機械負荷に打ち勝つように構成されていることを特徴とする請求項2に記載の電気的スイッチング機器(2;50)。
【請求項4】
前記トリップ機構は、さらに、トリップソレノイド(28),及び,前記分離可能接点を経由して電流が流れていることを感知し、前記トリップソレノイドを励磁するように構成されたトリップ回路(30)を含み、かつ、前記トリップソレノイドは、前記トリップラッチに係合し、前記トリップ機構に前記分離可能接点をトリップ開放させるように構成されたプランジャ(32)を含むことを特徴とする請求項1に記載の電気的スイッチング機器(2;50)。
【請求項5】
前記分離可能接点は、固定接点(82)及び可動接点(84)を含み、前記作動機構は、前記可動接点を移動させる接点キャリア(86)を含み、かつ、前記分離可能接点を経由して流れる電流を遮断することに先立って、流れる電流から生じる磁力は、前記接点キャリアを持ち上げ、また、前記トリップラッチに機械負荷をかけ、この機械負荷は、前記トリップ機構に前記分離可能接点をトリップ開放させる前記トリップ部材からさらなる力を要求することを特徴とする請求項1に記載の電気的スイッチング機器(50)。
【請求項6】
前記トリップ部材は、前記トリップラッチに対して適切に位置合わせされたピストン(54)であり、かつ、前記ピストンは、前記分離可能接点を経由して流れる電流を遮断した後に、前記障壁における前記開口内の着座位置に前記ピストンを戻すように構成されたスプリング(26)を含むことを特徴とする請求項1に記載の電気的スイッチング機器(50)。
【請求項7】
前記電気的スイッチング機器は、回路安全装置(2;50)であることを特徴とする請求項1に記載の電気的スイッチング機器(2;50)。
【請求項8】
前記回路安全装置は、ブレーカー(2;50)であることを特徴とする請求項7に記載の電気的スイッチング機器(2;50)。
【請求項9】
分離可能接点(10)と、
該分離可能接点を開閉するように構成された作動機構(16)と、
前記分離可能接点をトリップ開放するために前記作動機構と協働し、かつ、トリップラッチ(4)を含むトリップ機構(14)と、
前記分離可能接点と動作上関連し、かつ、複数のアークプレート(20),及び,該アークプレートと前記トリップラッチとの間に配置される障壁(22)を含み、前記障壁は開口(12;58)を有する、アークチャンバ(6)と、
該アークチャンバの前記障壁の前記開口の内部または近くに配置されるトリップ部材(8)と、を含み、
前記分離可能接点を経由して流れる電流を遮断するとき、前記アークチャンバ内のアーク(11)から生じる圧力は、前記アークチャンバの前記障壁から離れるように前記トリップ部材を押し、前記トリップラッチに係合させて、前記トリップ機構に前記分離可能接点をトリップ開放させ、
前記開口は円筒状の開口(58)であり、前記トリップ部材は、前記分離可能接点を経由して流れる電流を遮断した後に、前記障壁における前記開口内の着座位置に、前記トリップ部材を戻すように構成されたスプリング(26)と、前記円筒状の開口によってガイドされる円筒形状を有する第1部分(66)と、前記スプリング(26)の一端部(72)を受け入れる凹部(70)を有する第2部分(68)と、前記第1部分の中心線からずれて配置されて、前記第2部分から延びる第3部分(74)と、を含み、
前記アークチャンバ内の前記アークから生じるガス圧力(25)は、前記円筒状の開口に沿って前記第1部分を押し、前記第3部分を前記トリップラッチに係合させることを特徴とする電気的スイッチング機器(50)。
【請求項10】
分離可能接点(10)と、該分離可能接点を開閉するように構成された作動機構(16)と、前記分離可能接点と動作上関連し、かつ、複数のアークプレート(20)及び障壁(22)を含む、アークチャンバ(6)と、を含む電気的スイッチング機器(50)用のトリップ機構(14)であって、
前記トリップ機構は、
前記アークチャンバの前記障壁に配置された開口(12;58)と、
アークプレートとの間に障壁(22)が配置されるトリップラッチ(4)と、
前記アークチャンバの前記障壁の前記開口の内部または近くに配置されるトリップ部材(8)と、を含み、
前記トリップ機構は、前記分離可能接点をトリップ開放するために前記作動機構と協働し、
前記分離可能接点を経由して流れる電流を遮断するとき、前記アークチャンバ内のアーク(11)から生じる圧力は、前記アークチャンバの前記障壁から離れるように前記トリップ部材を押し、前記トリップラッチに係合させて、前記トリップ機構に前記分離可能接点をトリップ開放させ、
前記開口は円筒状の開口(58)であり、
前記トリップ部材は、前記分離可能接点を経由して流れる電流を遮断した後に、前記障壁における前記開口内の着座位置に、前記トリップ部材を戻すように構成されたスプリング(26)と、前記円筒状の開口によってガイドされる円筒形状を有する第1部分(66)と、前記スプリングの一端部(72)を受け入れる凹部(70)を有する第2部分(68)と、前記第1部分の中心線からずれて配置されて、前記第2部分から延びる第3部分(74)と、を含み、
前記アークチャンバ内の前記アークから生じるガス圧力(25)は、前記開口に沿って前記第1部分を押し、前記第3部分を前記トリップラッチに係合させる、ことを特徴とする電気的スイッチング機器(50)用のトリップ機構(14)。
【請求項11】
分離可能接点(10)と、該分離可能接点を開閉するように構成された作動機構(16)と、前記分離可能接点と動作上関連し、かつ、複数のアークプレート(20)及び障壁(22)を含む、アークチャンバ(6)と、を含む電気的スイッチング機器(50)用のトリップ機構(14)であって、
前記トリップ機構は、
前記アークチャンバの前記障壁に配置された開口(12;58)と、
アークプレートとの間に障壁(22)が配置されるトリップラッチ(4)と、
前記アークチャンバの前記障壁の前記開口の内部または近くに配置されるトリップ部材(8)と、を含み、
前記トリップ部材は、
前記分離可能接点を経由して流れる電流を遮断した後に、前記障壁における前記開口内の着座位置に、前記トリップ部材を戻すように構成されたスプリング(26)と、
前記開口によってガイドされる形状を有する第1部分(66)と
前記スプリングの一端部(72)を受け入れる凹部(70)を有する第2部分(68)と、
前記第1部分の中心線からずれて配置されて、前記第2部分から延びる第3部分(74)と、を含み、
前記アークチャンバ内のアークから生じるガス圧力(25)は、前記開口に沿って前記第1部分を押して前記第3部分を前記トリップラッチに係合させ、
前記トリップ機構は、前記分離可能接点をトリップ開放するために前記作動機構と協働し、
前記分離可能接点を経由して流れる電流を遮断するとき、前記アークチャンバ内の前記アーク(11)から生じる圧力は、前記アークチャンバの前記障壁から離れるように前記トリップ部材を押し、前記トリップラッチに係合させて、前記トリップ機構が前記分離可能接点をトリップ開放することになる、ことを特徴とする電気的スイッチング機器(50)用のトリップ機構(14)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願の相互参照)
本出願は、2011年12月6日に出願された米国特許出願第13/312,364号に対する優先権を主張し、その開示内容はその全体を参照として本明細書に組み込む。
【0002】
本発明において開示されるコンセプトは、概して、電気的スイッチング機器に関するものであり、さらに具体的に言うと、ブレーカーのような電気的スイッチング機器に関するものである。本発明において開示されるコンセプトは、さらに、電気的スイッチング機器用のトリップ機構に関するものである。
【背景技術】
【0003】
ブレーカーのような電気的スイッチング機器は、電気システムを、例えば電流過負荷,短絡,異常電圧などの電気的な故障状態、及び、他の故障状態から保護する。一般的に、例えば、トリップユニットのようなトリップ機構によって検知される上記のような故障状態に応答して、ブレーカーは、電気システムの導体を流れている電流を遮断するために、電気的な接点アセンブリを開放する作動機構を含む。
【0004】
ラッチは、ブレーカーのような電気的スイッチング機器において重要な部品である。ラッチアセンブリは、概して、3つの構成要素、旋回可能なDシャフト,ラッチプレート,及び,ラッチシャフト、を含む。このラッチプレートとラッチシャフトとは、適切に連結され、また、ラッチプレートは、ラッチシャフトの縦軸まわりに回転する。Dシャフトが、ラッチシャフトの縦軸まわりに回転するように対応した適切な軸方向位置にある場合、Dシャフトは、Dシャフトのスロットを介してラッチプレートの動作を止めるか,または,許容する。ラッチシャフトとDシャフトの両方は、一定の距離を置いて配置される其々の縦軸まわりに回転する。ラッチプレートがDシャフトのスロットを通ることを許容するように、Dシャフトが適切に配置される場合においてのみ、ラッチアセンブリは回転することができる。Dシャフトは、例えば、トリップユニットによって検知されるトリップ条件に応答して励磁されるトリップソレノイドのプランジャにより、インターフェース用の複数のアームを含むことができる。
【0005】
回路の遮断を行うとき、トリップラッチへの機械負荷は、作動機構と移動可能な接触アームにおいて生成される磁力によって生じる過電流のために大きくなる。これらの磁力は、作動機構に変換伝達され、比較的高いトリップラッチの力の必要性を生じさせる。例えば、時折、接点キャリアは、トリップユニットのブレーカーを落とす前に、開放を開始することが
ある。換言すると、磁力は、接点キャリアを持ち上げ、また、作動機構をトリップ開放するためのさらなるラッチの力を必要と
させる。結果として
、比較的高い故障電流が流れるとき、トリップソレノイドがトリップラッチのレバーを動作させるために十分な動作
力を有する必要があるか、あるいは、所望のトリップが遅延
若しくは抑制され
るおそれがあるが、これらは全く望ましくないことであろう。
【0006】
電気的スイッチング機器における改善の余地がある。
さらに、電気的スイッチング機器のトリップ機構における改善の余地がある。
【発明の概要】
【0007】
これらのニーズなどが、トリップ部材がアークチャンバの障壁における開口に配置される、本開示のコンセプトにおける実施形態によって満たされる。分離可能接点を経由して流れる電流を遮断するとき、アークチャンバ内のアークから生じる圧力が、トリップ部材をアークチャンバの障壁から遠ざけ、トリップラッチと係合させ、そして、トリップ機構に分離可能接点をトリップ開放させる。
【0008】
本開示におけるコンセプトの様態に従った電気的スイッチング機器は、分離可能接点と、該分離可能接点を開閉するように構成された作動機構と、前記分離可能接点をトリップ開放するために前記作動機構と協働し、かつ、トリップラッチを含むトリップ機構と、前記分離可能接点と動作上関連し、かつ、複数のアークプレート,及び,該アークプレートと前記トリップラッチとの間に配置される障壁を含み、前記障壁は開口を有する、アークチャンバと、該アークチャンバの前記障壁の前記開口の内部または近くに配置されるトリップ部材と、を含み、前記分離可能接点を経由して流れる電流を遮断するとき、前記アークチャンバ内のアークから生じる圧力は、前記アークチャンバの前記障壁から離れるように前記トリップ部材を押し、前記トリップラッチに係合させて、前記トリップ機構に前記分離可能接点をトリップ開放させ、
前記トリップ部材は、前記分離可能接点を経由して流れる電流を遮断した後に、前記障壁における前記開口内の着座位置に、前記トリップ部材を戻すように構成されたスプリングと、前記開口によってガイドされる形状を有する第1部分と、前記スプリングの一端部を受け入れる凹部を有する第2部分と、前記第1部分の中心線からずれて配置されて、前記第2部分から延びる第3部分と、を含み、前記アークチャンバ内の前記アークから生じるガス圧力は、前記開口に沿って前記第1部分を押し、前記第3部分を前記トリップラッチに係合させる。
また、前記開口は、円筒状の開口であり、前記トリップ部材は、前記円筒状の開口内に摺動可能に位置される円筒状のピストンであり、かつ、前記アークチャンバ内の前記アークから生じるガス圧力は、前記円筒状の開口に沿って前記円筒状のピストンを押し、前記トリップラッチに係合させる。
またさらに、前記分離可能接点を経由して電流が流れている間、前記トリップラッチにかかる機械負荷は、その電流が流れることにより前記作動機構において発生する磁力によって増大し、かつ、前記円筒状のピストンは、前記機械負荷に打ち勝つように構成されている。
またさらに、前記トリップ部材は、前記トリップラッチに対して適切に位置合わせされたピストンであり、かつ、前記ピストンは、前記分離可能接点を経由して流れる電流を遮断した後に、前記障壁における前記開口内の着座位置に前記ピストンを戻すように構成されたスプリングを含む。
本開示におけるコンセプトの別の様態として、トリップ機構は電気的スイッチング機器用のものであり、前記電気的スイッチング機器は、分離可能接点と、該分離可能接点を開閉するように構成された作動機構と、前記分離可能接点と動作上関連し、かつ、複数のアークプレート及び障壁を含むアークチャンバと、を含む。前記トリップ機構は、前記アークチャンバの前記障壁における開口,トリップラッチ,前記アークプレートと前記トリップラッチとの間に配置される前記障壁,及び,前記アークチャンバの前記障壁の前記開口の内部または近くに配置されるトリップ部材を含み、前記トリップ機構は、前記分離可能接点をトリップ開放するために前記作動機構と協働し、かつ、前記分離可能接点を経由して流れる電流を遮断するとき、前記アークチャンバ内のアークから生じる圧力は、前記アークチャンバの前記障壁から離れるように前記トリップ部材を押し、前記トリップラッチに係合させて、前記トリップ機構に前記分離可能接点をトリップ開放させる。
前記トリップ部材は、前記分離可能接点を経由して流れる電流を遮断した後に、前記障壁における前記開口内の着座位置に、前記トリップ部材を戻すように構成されたスプリングと、前記開口によってガイドされる形状を有する第1部分と、前記スプリングの一端部を受け入れる凹部を有する第2部分と、前記第1部分の中心線からずれて配置されて、前記第2部分から延びる第3部分と、を含み、前記アークチャンバ内の前記アークから生じるガス圧力は、前記開口に沿って前記第1部分を押し、前記第3部分を前記トリップラッチに係合させる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
添付図面と併せて読むと、好適な実施形態の後述から、本発明において開示されるコンセプトの十分な理解が得られるだろう。
【
図1】
図1は、本開示のコンセプトにおける実施形態に従った、非トリップ位置における、トリップラッチレバー,アークチャンバ,及びトリップ部材を含んだ回路安全装置のブロック線図である。
【
図2】
図2は、トリップ位置におけるトリップ部材及びトリップラッチレバーを備えた
図1の回路安全装置のブロック線図である。
【
図3】
図3は、本開示のコンセプトにおける他の実施形態に従った、非トリップ位置における、トリップラッチレバー及びトリップ部材を含んだ回路安全装置の等角図である。
【
図4】
図4は、
図3の回路安全装置の比較的より詳細な等角図である。
【
図7】
図7は、トリップ部材とアークチャンバを示している
図3の回路安全装置の鉛直横断立面図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本明細書で用いられる用語としての“複数”は、1以上の整数を意味する。
本明細書で用いられる、2つ以上の部品が“接続される”または“連結される”という記述は、部品が、直接的に結合されるか,または,1つ以上の中間部品を介して結合されることを意味する。さらに、2つ以上の部品が“取り付けられる”という記述は、部品が直接的に結合されることを意味する。
本発明において開示されるコンセプトは、広範囲の電気的スイッチング機器に適用可能であるが、本発明において開示されるコンセプトは、ブレーカーに関連して記述される。
【0011】
図1及び2を参照すると、回路安全装置(例えば、これに限定されないが例示的なブレーカー2)としての電気的スイッチング機器は、非トリップ位置とトリップ位置の其々において示される、例示的なトリップラッチレバー4のようなトリップラッチ,アークチャンバ6,及び,トリップ部材8を含む。ブレーカー2の分離可能接点10を経由して流れる電流を遮断するとき、アークチャンバ6内のアーク11(
図2参照)から生じる圧力が、アークチャンバ6の開口12を経由してトリップ部材8を押し、トリップラッチレバー4に係合させて(これに限定されないが、
図2において時計回りに)回転させ、トリップ機構14に分離可能接点10をトリップ開放させる。
【0012】
従来のように、例示的なブレーカー2は、分離可能接点10を開閉するように構成された作動機構16,及び,分離可能接点10をトリップ開放するために作動機構16と協働するトリップ機構14を含む。このトリップ機構14は、トリップラッチレバー4を含む。アークチャンバ6は、分離可能接点10と動作上関連しており、また、複数のアークプレート(
図1及び2には図示しないが、
図7のアークチャンバ62と複数のアークプレート20を参照),及び,アークプレート(図示せず)とトリップラッチレバー4との間に配置される障壁22を含む。
【0013】
本開示におけるコンセプトの様態に従うと、障壁22は開口12を有し、また、円筒形状のポート24を形成する。例えばこれに限定されないが、ピストンのような形状を有することが可能なトリップ部材8は、ポート24内に配置される。トリップ部材8は、トリップラッチレバー4に対して適切に位置合わせされている。分離可能接点10を経由して流れる電流を遮断するとき、アークチャンバ6内のアーク11から生じるガス圧力25は、障壁22から離れるようにトリップ部材8を押し、トリップラッチレバー4に係合させて、トリップ機構14に分離可能接点10をトリップ開放させる。好ましくは、スプリング(
図1及び2には図示しないが、
図3及び4のスプリング26を参照)が用いられ、このスプリングは、ガス圧力25が解放された後に、トリップ部材8を
図1に示されている着座(または解除)位置に戻す。
【0014】
さらに従来のように、トリップ機構14は、さらに、トリップソレノイド28,及び,分離可能接点10を経由して電流が流れていることを感知し、それに応答してトリップソレノイド28を励磁するように構成されたトリップ回路30を含む。このトリップソレノイド28は、トリップラッチレバー4に係合し、トリップ機構14に分離可能接点10をトリップ開放させるように構成されたプランジャ32を含む。
【0015】
図3及び4は、非トリップ位置におけるトリップラッチレバー52及びトリップ部材54を含んだ例示的な回路安全装置50のような他の電気的スイッチング機器を示している。この例において、トリップ部材54は、ピストンのような形状を有し、また、トリップラッチレバー52に対して適切に位置合わせされている。トリップ部材54は、スプリング26を含み、このスプリング26は、分離可能接点64(
図7参照)を経由して流れる電流を遮断した後に、アークチャンバ62(
図7参照)の障壁60(
図7参照)における例示的な円筒状の開口58内の着座(または解除)位置(
図3及び4に示されている位置)に、トリップ部材54を戻すように構成されている。
【0016】
図5及び6に示されているように、トリップ部材54は、円筒状の開口58によってガイドされるように構成された円筒形状(例えばこれに限定されないが、ピストンのような形状)を有する第1部分66と、スプリング26の一端部72(
図5において仮想線で描写されて示されており、また、
図7においても示されている)を受け入れるための凹部70を有する第2部分68と、第1部分66の中心線からずれて配置され、また、第2部分68から延びる第3部分74と、を含む。この第3部分74は、トリップラッチレバー52(
図3及び4参照)のアーム78(
図3及び4参照)と係合する端部76を有する。
【0017】
図7は、トリップ部材54,円筒状の開口58,及びアークチャンバ62を示している。第1部分66は、円筒状の開口58内に摺動可能に位置している。アークチャンバ62内のアーク(
図7には図示しないが、
図2のアーク11を参照)から生じるガス圧力は、円筒状の開口58に沿って円筒状の第1部分66を押し、トリップラッチレバー52に係合させる。
【0018】
分離可能接点64を経由して電流が流れている間、トリップラッチレバー52にかかる機械負荷は、電流が流れることにより作動機構80において発生する磁力によって増大する。スプリング26(
図3,4,及び7参照)の力に逆らってアークチャンバ62内のアークから生じるガス圧力によって動かされるトリップ部材54は、このトリップラッチレバー52にかかる増大した機械負荷に打ち勝つように構成されている。
【0019】
分離可能接点64は、固定接点82及び可動接点84を含む。作動機構80は、可動接点84を移動させる接点キャリア86を含む。分離可能接点64を経由して流れる電流を遮断することに先立って、その電流から生じる磁力は、接点キャリア86を持ち上げ、また、トリップラッチレバー52に機械負荷をかけるが、この機械負荷は、トリップラッチレバー52によって開放される場合に、トリップ機構88に分離可能接点64をトリップ開放させるためにトリップ部材54からさらなる力を要求する。
【0020】
本開示におけるトリップラッチレバー52によって回転可能なDシャフトと、ラッチ機構とを含んだ、これに限定されない例としてのブレーカーが、米国特許公報第2011/0062006号に開示されており、その開示内容はその全体を参照として本明細書に組み込む。
【0021】
本開示におけるトリップ部材8,54をアシストするアークによる圧力は、好ましくは、対応する電気的スイッチング機器が単独で確実にトリップするだけの十分なトリップ力を提供する。
【0022】
本開示におけるコンセプトの明確な実施形態を詳細に記載した一方で、当業者には、当然のことながら、これらの詳細に対する様々な変更や代替が、本開示における教示全体の観点から発明される可能性がある。従って、本開示における特有の構成は、例示的なものでしかなく、また、添付の請求の範囲の全容,及び,これと等価な任意及びすべてのものが与えられる本開示におけるコンセプトの範囲に限定されない、こととする。