特許第6072069号(P6072069)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6072069分圧器ブリッジとして2つのコンデンサを含む静電容量式温度センサ
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6072069
(24)【登録日】2017年1月13日
(45)【発行日】2017年2月1日
(54)【発明の名称】分圧器ブリッジとして2つのコンデンサを含む静電容量式温度センサ
(51)【国際特許分類】
   G01K 7/34 20060101AFI20170123BHJP
【FI】
   G01K7/34
【請求項の数】11
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2014-549515(P2014-549515)
(86)(22)【出願日】2012年11月19日
(65)【公表番号】特表2015-507185(P2015-507185A)
(43)【公表日】2015年3月5日
(86)【国際出願番号】FR2012052663
(87)【国際公開番号】WO2013102709
(87)【国際公開日】20130711
【審査請求日】2015年9月16日
(31)【優先権主張番号】1250022
(32)【優先日】2012年1月2日
(33)【優先権主張国】FR
(73)【特許権者】
【識別番号】502124444
【氏名又は名称】コミッサリア ア レネルジー アトミーク エ オ ゼネルジ ザルタナテイヴ
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【弁理士】
【氏名又は名称】村山 靖彦
(74)【代理人】
【識別番号】100064908
【弁理士】
【氏名又は名称】志賀 正武
(74)【代理人】
【識別番号】100089037
【弁理士】
【氏名又は名称】渡邊 隆
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【弁理士】
【氏名又は名称】実広 信哉
(72)【発明者】
【氏名】アブデルカデル・アリアン
【審査官】 平野 真樹
(56)【参考文献】
【文献】 米国特許第03774089(US,A)
【文献】 米国特許第03753373(US,A)
【文献】 特開昭64−088128(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01K 1/00−19/00
G01L 7/00−23/32
G01L 27/00−27/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
・入力電圧の印加のための入力端子(14)、回路の出力電圧の読み取りのための出力端子(18)、および基準電位端子(16、20)を含む静電容量性回路(12)と、
・所定の電圧を前記回路の前記入力端子(14)に印加するための電圧回路(26)と、
・前記静電容量性回路(12)の前記出力端子(18)での電圧を読み取り、前記読み取った電圧を温度測定値に変換するための回路(28)とを含む温度センサ(10)であって、
前記静電容量性回路が、
・前記入力端子(14)と前記出力端子(18)との間に接続され、温度に従って減少する静電容量を有する第1のコンデンサ(22)と、
・前記入力端子(14)と基準電位にある前記端子(16)との間に接続され、温度とともに増加する静電容量を有する第2のコンデンサ(24)とを含むことを特徴とする、温度センサ(10)。
【請求項2】
前記静電容量性回路(12)が、絶縁基板(40)および基板(40)上に形成されたスタック(42〜52)を含み、前記スタック(42〜52)が、
・前記基板上に形成された第1の導電性電極(42)と、
・第1の誘電体層(44)と、
・第2の導電性電極(46)と、
・第2の誘電体層(48)と、
・第3の導電性電極(50)とを連続して含み、
前記第1のコンデンサ(22)が、前記第1の電極(42)と前記第2の電極(46)との間に挟まれた前記第1の誘電体層(44)によって形成され、前記第2のコンデンサ(24)が、前記第2の電極(46)と前記第3の電極(50)との間に挟まれた前記第2の誘電体層(48)によって形成されることを特徴とする、請求項1に記載の温度センサ。
【請求項3】
・導電性接続エリア(66、68、70)をそれぞれ含む、第1、第2、および第3の異なる導電性トラック(60、62、64)が、前記絶縁基板(40)上に形成され、前記第1のトラック(60)が、前記第1の電極(42)に接続され、
・前記第1の誘電体層(44)が、少なくとも前記第1の電極(42)および前記第2のトラック(62)の一部分(74)の上に堆積され、
・前記第2の金属電極(46)が、前記第1の電極(42)および前記第2のトラック(62)の一部分(74)の少なくとも垂直上方の前記第1の誘電体層(44)上に堆積され、前記第2の電極(46)が、前記第1の誘電体層(44)を横断する金属接続部を用いて前記第2のトラック(62)に接続され、
・前記第2の誘電体層(48)が、少なくとも前記第2の電極(46)の上および前記第3のトラック(66)の一部分の垂直上方に堆積され、
・前記第3の電極(50)が、前記第2の電極(46)および前記第3のトラック(66)の一部分(76)の少なくとも垂直上方の前記第2の誘電体層(48)上に堆積され、前記第3の電極(50)が、前記第1および第2の誘電体層(44、48)を横断する金属接続部を用いて前記第3のトラック(66)に接続されることを特徴とする、請求項2に記載の温度センサ。
【請求項4】
前記第1の誘電体が、2以下の誘電率を有するフッ素化ポリマーであることを特徴とする、請求項2または3に記載の温度センサ。
【請求項5】
前記第1の誘電体層が、0.1マイクロメートルから2マイクロメートルの範囲の厚さを有することを特徴とする、請求項4に記載の温度センサ。
【請求項6】
前記温度センサが、前記第1のコンデンサ(22)の静電容量を読み取るためおよび前記読み取った静電容量を前記第1のコンデンサで検出される温度測定値に変換するための回路(32)を含むことを特徴とする、請求項4または5に記載の温度センサ。
【請求項7】
前記第2の誘電体が、強誘電性ポリマーもしくは共重合体、特にポリフッ化ビニリデン−塩化三フッ化エチレン、もしくはポリフッ化ビニリデン、またはそれらの1つおよび/もしくはその他の共重合体であることを特徴とする、請求項2から6のいずれか一項に記載の温度センサ。
【請求項8】
前記第2の誘電体層が、1マイクロメートルから5マイクロメートルの範囲の厚さを有することを特徴とする、請求項7に記載の温度センサ。
【請求項9】
前記第2の誘電体が、圧電性強誘電性ポリマーまたは共重合体であること、ならびに前記センサが、前記入力端子(14)での電圧を読み取るためおよび前記読み取った電圧を前記第2のコンデンサ(24)の前記電極に印加される圧力の測定値に変換するための回路(30)を含むことを特徴とする、請求項7または8に記載の温度センサ。
【請求項10】
前記第1、第2、および第3の電極のそれぞれが、30ナノメートルから15マイクロメートルの範囲の厚さを有することを特徴とする、請求項2から9のいずれか一項に記載の温度センサ。
【請求項11】
前記基板が柔軟なプラスチック基板であることを特徴とする、請求項2から10のいずれか一項に記載の温度センサ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、温度センサの分野に関し、より詳しくは静電容量式温度センサに関する。
【背景技術】
【0002】
それ自体が周知であるように、コンデンサの静電容量は、温度によって変化する。この静電容量またはそれと直接関連する任意の他の変数を測定し、温度と静電容量値との間の関係を知ることによって、コンデンサ温度を測定することが、それ故に可能である。この原理は、いわゆる「静電容量式」温度センサの基礎である。しかしながら、単一コンデンサの使用は、広範囲にわたる温度の正確な測定値を得るのに十分な静電容量変化範囲を提供しない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
本発明は、広い温度範囲にわたって高感度を有する、単純なデザインの静電容量式センサを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0004】
このために、本発明は、
・入力電圧の印加のための入力端子、回路の出力電圧の読み取りのための出力端子、および基準電位端子を含む静電容量性回路と、
・所定の電圧を回路の入力端子に印加するための電圧回路と、
・回路の出力端子での電圧を読み取り、読み取った電圧を温度測定値に変換するための回路とを含む温度センサを目的とする。
【0005】
本発明によると、静電容量性回路は、
・入力端子と出力端子との間に接続され、温度に従って減少する静電容量を有する第1のコンデンサと、
・入力端子と基準電位にある端子との間に接続され、温度とともに増加する静電容量を有する第2のコンデンサとを含む。
【0006】
言い換えれば、静電容量性回路の出力電圧はそれ故に、関係式、
【0007】
【数1】
【0008】
に従い、ただし、
・Vinは、静電容量性回路の入力端子と基準端子との間の電圧であり、
・Voutは、静電容量性回路の出力端子と基準端子との間の電圧であり、
・Tは、静電容量性回路の温度であり、
・Cは、第1のコンデンサの静電容量であり、
・Cは、第2のコンデンサの静電容量である。
【0009】
それ故に、そのようなアセンブリを使用することによって、非常に高い感度が、特に温度による静電容量Cの変化に起因して、広い温度範囲にわたって得られる。特に低周波数および中間周波数についての、Voutの表現から出発すると、温度が上昇するとき、静電容量Cの値は増加し、一方その間に、静電容量Cの値は減少する。それ故に、センサ出力でのVoutの値は増加する。温度が低下するとき、静電容量Cの値は減少し、一方その間に、静電容量Cの値は増加し、そのことは、出力でのVoutの値の減少を意味する。一定のVinについての、温度の変化に付随するセンサ出力でのVoutの値の強い変化は、それ故に高感度を意味する。そのようなアセンブリは増幅アセンブリとして振る舞い、静電容量性回路出力で最大応答を有することを可能にする。
【0010】
本発明の実施形態によると、静電容量性回路は、絶縁基板および基板上に形成されたスタックを含み、そのスタックは、
・基板上に形成された第1の導電性電極と、
・第1の誘電体の層と、
・第2の導電性電極と、
・第2の誘電体の層と、
・第3の導電性電極とを連続して含み、
第1のコンデンサは、第1の電極と第2の電極との間に挟まれた第1の誘電体層によって形成され、第2のコンデンサは、第2の電極と第3の電極との間に挟まれた第2の誘電体層によって形成される。
【0011】
より具体的には、
・導電性接続エリアをそれぞれ含む、第1、第2、および第3の異なる導電性トラックが絶縁基板上に形成され、第1のトラックは第1の電極に接続され、
・第1の誘電体層は、少なくとも第1の電極および第2のトラックの一部分の上に堆積され、
・第2の金属電極は、第1の電極および第2のトラックの一部分の少なくとも垂直上方の第1の誘電体層上に堆積され、第2の電極は、第1の誘電体層を横断する金属接続部を用いて第2のトラックに接続され、
・第2の誘電体層は、少なくとも第2の電極の上および第3のトラックの一部分の垂直上方に堆積され、
・第3の金属電極は、第2の電極および第3のトラックの一部分の少なくとも垂直上方の第2の誘電体層上に堆積され、第3の電極は、第1および第2の誘電体層を横断する金属接続部を用いて第3のトラックに接続される。
【0012】
2つのコンデンサについて3つの電極が存在するだけであり、それらが互いに積み重ねられるので、小型のシステムが、それ故に得られる。この回路は、広範囲のコンデンサ表面積、特に大きい表面積を有することができ、簡単な製造技術を用いて形成することができる。
【0013】
実施形態によると、第1のコンデンサの誘電体は、2以下の誘電率、例えば2に等しい誘電率(ε=2)を有するフッ素化ポリマーである。
【0014】
そのようなフッ素化ポリマーは、例えば銀系インクのシルクスクリーン印刷によってその上に堆積される第2の金属電極への低接着性を特徴とする。そのような特徴的な低接着性は、このフッ素化誘電体ポリマーと第2の導電性電極との間にマイクロギャップを生成することを可能にする。そのようなマイクロギャップは、フッ素化ポリマーの全比静電容量で考慮されることになる可変静電容量を発生させることになる。これは、温度および静電容量性タッチ効果に対して非常に良好な感度を有することを可能にできる。
【0015】
特に、第1の誘電体層は、0.1マイクロメートルから2マイクロメートルの範囲の厚さを有する。
【0016】
有利には、センサは、第1のコンデンサの静電容量を読み取るためおよび読み取った静電容量を第1のコンデンサについて検出される温度測定値に変換するための回路を含む。静電容量式圧力センサがそれ故に、静電容量性構成要素の追加なしに得られる。
【0017】
実施形態によると、第2のコンデンサの誘電体は、強誘電性ポリマーもしくは共重合体、特にポリフッ化ビニリデン−塩化三フッ化エチレン、もしくはポリフッ化ビニリデン、またはそれらの1つおよび/もしくはその他の共重合体である。そのようなポリマーは、温度による非常に大きい静電容量変化を有する。より詳しくは、第2の誘電体層は、1マイクロメートルから5マイクロメートルの範囲の厚さを有する。
【0018】
有利には、第1の誘電体は、圧電性強誘電性ポリマーまたは共重合体であり、センサは、入力端子での電圧を読み取るためおよび読み取った電圧を第2のコンデンサの電極に印加される圧力の測定値に変換するための回路を含む。静電容量式タッチセンサがそれ故に、静電容量性構成要素の追加なしに得られる。
【0019】
実施形態によると、第1、第2、および第3の電極のそれぞれは、30ナノメートルから15マイクロメートルの範囲の厚さを有する。
【0020】
実施形態によると、基板は、特にPEN(ポリエチレンナフタレート)またはPET(ポリエチレンテレフタレート)でできた柔軟なプラスチック基板であり、それは、柔軟な静電容量性回路を形成し、圧力センサおよびタッチセンサの感度を向上させることを可能にする。
【0021】
本発明は、同じ参照数字が同じまたは同様の要素を示す添付の図面との関連で例として提供されるだけの次の説明を読むことでより良く理解されることになる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
図1】本発明による圧力センサの簡略化した図である。
図2図1の静電容量性回路のコンデンサを形成するスタックの簡略化した横断面図である。
図3図2のスタックを含む静電容量性回路を製造する方法の簡略化した上面図である。
図4図2のスタックを含む静電容量性回路を製造する方法の簡略化した上面図である。
図5図2のスタックを含む静電容量性回路を製造する方法の簡略化した上面図である。
図6図2のスタックを含む静電容量性回路を製造する方法の簡略化した上面図である。
図7図2のスタックを含む静電容量性回路を製造する方法の簡略化した上面図である。
図8図2のスタックを含む静電容量性回路を製造する方法の簡略化した上面図である。
図9】異なる温度についての周波数による静電容量性回路の第1のコンデンサの静電容量のプロットである。
図10】異なる温度についての周波数による静電容量性回路の第2のコンデンサの静電容量のプロットである。
【発明を実施するための形態】
【0023】
図1を参照すると、本発明による温度センサ10は、2つの入力端子14、16および2つの出力端子18、20を有し、かつ入力端子14、16間に印加される電圧Vinから回路12の温度によって周知の仕方で変化する出力端子18、20間の結果として生じる出力電圧Voutへのその電圧伝達関数を有する静電容量性回路12を含む。
【0024】
より詳しくは、入力端子16および出力端子20は、基準端子であり、同じ電位、例えば接地電位にされ、静電容量性回路12は、入力端子14と出力端子18との間に接続される第1のコンデンサ22および入力端子14、16間に接続される第2のコンデンサ24を含む。
【0025】
電圧Voutと電圧Vinとの間の伝達関数はそれ故に、関係式、
【0026】
【数2】
【0027】
によって提供され、ただし、
・Tは、静電容量性回路12の温度であり、
・Cは、第1のコンデンサ22の静電容量であり、
・Cは、第2のコンデンサ24の静電容量である。
【0028】
第1のコンデンサ22は、温度Tに従って減少する静電容量を有する。より詳しくは、第1のコンデンサ22は、例えば金属または有機金属の2つの導電性電極の間に挿入され、2以下の低誘電率、例えば2に等しい誘電率(ε=2)を有するフッ素化ポリマーでできている誘電体を含む。
【0029】
第2のコンデンサ24は、温度Tとともに増加する静電容量を有する。より具体的には、第2のコンデンサ24は、例えば金属または有機金属の2つの導電性電極の間に挿入され、強誘電性ポリマーまたは共重合体でできている誘電体を含む。
【0030】
関係式(1)でのVoutの表現は、一定の電圧Vinについて、関係式、
out(T)=S×T+V (2)
に従って書き換えられてもよく、ただし、
・Sは、V/℃単位で表される検出器感度であり、
・Vは、しきい電圧である。
【0031】
感度Sはそれ故に、
【0032】
【数3】
【0033】
に等しい。
【0034】
温度センサ10はさらに、入力端子14、16間に所定の電圧Vinを印加するための電圧源26、ならびに電圧Voutを読み取り、その測定値を分析するために出力端子18、20に接続される読み取り回路28を含む。
【0035】
より詳しくは、読み取り回路28は、測定電圧をサンプリングするための手段および検出温度に従って測定される出力電圧の表にポーリングするための手段を含み、前記表は、あらかじめ決定され、回路28に保存される。
【0036】
第2のコンデンサ24の誘電体は、強誘電材料であり、それはまた、双極子が強誘電材料中で配向された後も圧電特性を有する。この材料は有利には、ポリフッ化ビニリデン−塩化三フッ化エチレン(「PVDF−CTFE」ともまた呼ばれる)、ポリフッ化ビニリデン、またはそれらの1つおよび/もしくはその他の共重合体でできている。圧電特性(すなわち、力がそれに及ぼされると、材料が電荷を発生させる)を有するためには、2V/μm程度の値の強い直流電界を50〜60℃で数時間にわたって印加することによって双極子を配向させることが必要である。センサ10は、端子14、16間に接続され、かつ電流源26が入力端子14、16から切り離されるときに測定される電圧Vinに従って第2のコンデンサ24に及ぼされる圧力を決定する能力がある回路30を含む。
【0037】
回路30は例えば、測定電圧をサンプリングするための手段および測定圧力による圧力の表にポーリングするための手段を含み、前記表は、あらかじめ決定され、回路30に保存される。
【0038】
オプションとして、温度センサ10はまた、それに加えられる温度を決定するために第1のコンデンサ22に接続される回路32も含む。例えば、回路32は、コンデンサ22の静電容量を測定し、特にあらかじめ決定され、回路32に保存された静電容量による圧力の表にポーリングすることによって、測定静電容量に従って検出温度を決定するための手段を含む。
【0039】
コンデンサ22および24の実施形態は、図2の簡略化した横断面図で例示される。この図面は、絶縁基板40上に形成されたスタックを示す。基板40は有利には、柔軟であり、プラスチック、例えばPENまたはPETでできている。スタックは、
・基板40上に形成された例えば金属または有機金属の第1の導電性電極42と、
・第1のコンデンサ22を形成するために使用される誘電体層44と、
・例えば金属または有機金属の第2の導電性電極46と、
・第2のコンデンサ24を形成するために使用される誘電体層48と、
・例えば金属または有機金属の第3の導電性電極50と、
・有利には柔軟で、絶縁体または低誘電率を有する誘電体、例えば誘電層44を形成する材料と同じ材料でできている絶縁性封入層52とを含む。
【0040】
第1のコンデンサ22はそれ故に、第1の電極42と第2の電極46との間に挟まれた誘電体層44で形成される。第2のコンデンサ24は、第2の電極46と第3の電極50との間に挟まれた誘電体層48で形成される。
【0041】
参照番号54、56、58で概略的に例示される3つの端子は、異なる電圧を測定するために3つの電極42、46、および50にそれぞれ接続される。
【0042】
簡略化した上面図3から上面図8を参照して、上記などのスタックを含む静電容量性回路を製造する方法が、今から述べられることになる。
【0043】
本方法は、基板40上への金属層、例えばAu、Cu、またはAg層の、30nmから300nmの範囲の厚さだけの全面堆積から始める。堆積は例えば、物理的気相堆積(「PVD」)である。
【0044】
本方法は、基板40上への第1の電極42、ならびに接続エリア66、68、70でそれぞれ終わる、3つの異なる金属トラック60、62、64を形成するために金属層の一部分の除去を実行する。第1のトラック60は、電極42に連続して形成される(図3)。これらの要素は例えば、フォトリソグラフィまたはレーザエッチングを用いて形成され、レーザエッチングは、低コスト生産を可能にする。
【0045】
0.1マイクロメートルから2マイクロメートルの範囲の厚さの第1の誘電体層72、有利には低誘電率を有するフッ素化ポリマーの層が次いで、接続エリア66、68、70ならびに第2および第3のトラック62、64の端部74、76の上を除いてアセンブリ上に堆積される(図4)。例えば、層72は、シルクスクリーン印刷によって形成される。アセンブリは次いで、アニールされる。
【0046】
5マイクロメートルから15マイクロメートルの範囲の厚さを有する金属層78、例えばAg層が次いで、第1の電極42の垂直上方の第2の電極46、ならびに電極46を延長する金属トラック80を形成するために、例えばシルクスクリーン印刷によって堆積される。金属トラック80は、第2のトラック62の端部74の上方に堆積されて、この端部との電気接点を形成する(図5)。アセンブリは次いで、アニールされる。
【0047】
本方法は次いで、接続エリア66、68、70および第3のトラック64の端部76の上を除いて、1マイクロメートルから5マイクロメートルの範囲の厚さを有する第2の誘電体層82、有利にはPVDF−CTFE層の堆積を行う(図6)。この堆積は例えば、PVDF−CTFEに基づくインクを用いたシルクスクリーン印刷によって行われる。通常は、半結晶性ポリマーであるPVDF−CTFEは、粉末の形で生産される。第1の溶媒、N−M−メチル−2−ピロリドン(「NMP」として周知の)、および第2の溶媒、少量のアセトンを持つプロピルメトキシアセテート(「PMA」として周知の)を含む溶液にPVDF−CTFE粉末を溶解することによって、シルクスクリーン印刷堆積およびスピンコーティング技術に適合する粘度を有するインクが得られる。いったんPVDF−CTFE層が堆積されると、アセンブリは、アニールされる。
【0048】
5マイクロメートルから15マイクロメートルの範囲の厚さを有する金属層84、例えばAg層が次いで、第1および第2の電極42、46の垂直上方の第3の電極50、ならびに電極50を延長する金属トラック86を形成するために、例えばシルクスクリーン印刷によって堆積される。金属トラック86は、第3のトラック64の端部76の上方に堆積されて、この端部との電気接点を形成する(図7)。アセンブリは次いで、アニールされる。
【0049】
最後に、封入層、有利には柔軟な誘電体絶縁層、例えば誘電体層44を形成するのと同じ材料が、接続エリア66、68、70の上を除いてアセンブリ上に堆積される。接続エリア66、68、70の上方のビアの金属化が次いで、接続端子54、56、58を得るために達成される(図8)。
【0050】
温度および圧力の両方を測定することを可能にする、非常に小型で、柔軟な静電容量性回路が、それ故に得られる。使用される技術は、さらに従来型であり、もし必要ならば、非常に大きい表面積を有する平面コンデンサを得ることを可能にする。
【0051】
図9は、異なる温度について端子56、58間に印加される電圧の周波数による第1のコンデンサ42、44、46のいくつかの静電容量曲線のプロットである。面している電極の表面積は、この例では2mmに等しい。観察できるように、静電容量値は、温度が上昇するにつれて減少する。
【0052】
図10は、異なる温度について端子54、56間に印加される電圧の周波数による第2のコンデンサ46、48、50のいくつかの静電容量曲線のプロットである。面している電極の表面積は、この例では1.77mmに等しい。観察できるように、静電容量値は、温度が上昇するにつれて増加する。
【0053】
図8および図9で分かるように、両方のコンデンサを上述の接続図に従って静電容量性回路に統合することによって、低周波数および中間周波数で少なくとも20℃から90℃の温度範囲に及ぶ高感度の温度センサが得られることが分かる。電圧Vinは、センサに適応可能であってもよく、曲線によって例示される場合には、その振幅は、0.5ボルトから数ボルトの範囲にある。
【符号の説明】
【0054】
10 温度センサ
12 静電容量性回路
14 入力端子
16 入力端子、基準端子
18 出力端子
20 出力端子、基準端子
22 第1のコンデンサ
24 第2のコンデンサ
26 電圧源、電流源
28 読み取り回路
30 回路
32 回路
40 基板
42 第1の導電性電極
44 誘電体層
46 第2の導電性電極
48 誘電体層
50 第3の導電性電極
52 封入層
54 端子
56 端子
58 端子
60 金属トラック
62 金属トラック
64 金属トラック
66 接続エリア
68 接続エリア
70 接続エリア
72 第1の誘電体層
74 トラックの端部
76 トラックの端部
78 金属層
80 金属トラック
82 第2の誘電体層
84 金属層
86 金属トラック
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10