【実施例】
【0017】
本発明の具体的な実施例について図面に基づいて説明する。
【0018】
本実施例のアウトドア用調理鍋は、第一鍋体1と、この第一鍋体1より浅底型で且つ第一鍋体1の開口部2と同等の開口径寸法の開口部4を具備する第二鍋体3とから成り、前記第一鍋体1の開口部2と前記第二鍋体3の開口部4とのいずれか一方若しくは双方に、この第一鍋体1の開口部2に上下反転させた前記第二鍋体3の開口部4を載置係合し得る係合手段5を設けて、第一鍋体1の開口部2を第二鍋体3で係脱開閉自在に閉塞し得るように構成している。即ち、第一鍋体1と第二鍋体3とを一つにまとめてコンパクト化できる構成としている。
【0019】
具体的には、第一鍋体1と第二鍋体2とは、
図1,
図4に示すように、底の深さ寸法が異なる以外は略同形を呈する平面視丸型の鍋とし、深底型の第一鍋体1は、所謂一般の鍋としての使用(主に汁物の調理など)に適し、浅底型の第二鍋体2は、所謂フライパンとしての使用(主に焼物の調理など)に適するように夫々の底の深さ寸法を設定構成し、更に第一鍋体1の開口部2と、第二鍋体3の開口部4とを、開閉自在に閉塞可能な蓋体10を一体備えて、この蓋体10を第一鍋体1と第二鍋体3に付け替えて使用できるように構成している。
【0020】
また、この第一鍋体1と第二鍋体2には、その外側面に取手取付部11を設け、この取手取付部11に対し着脱自在な取手12を一体備えて、この取手12を第一鍋体1と第二鍋体2に付け替えて使用できるように構成している。
【0021】
また、この取手12は、線材を平面視で細長い環状をなすように形成したもので、長さ方向の一端側に補強桟板13を架設すると共に、この補強桟板13より外側の一端部を側面視で略U字状のフック部14に折曲形成して、このフック部14を前記取手取付部11に着脱自在に掛止することにより前記第一鍋体1若しくは前記第二鍋体3に取付けし得るように構成している。
【0022】
また、第一鍋体1の開口部2には、その全周縁部に水平外方に向けて前記蓋体10の載置部としても機能する載置用鍔部15を突設すると共に、この載置用鍔部15の突出先端縁を直角上方に折曲してこの折曲上向き先端縁をズレ止め片16とし、一方、第二鍋体3の開口部4には、その全周縁部に前記蓋体10の載置部としても機能すると共に前記載置用鍔部15に載置係合可能な係合鍔部17を水平外方に向けて突設している。即ち、第一鍋体1の開口部2の前記載置用鍔部15に、上下反転させた第二鍋体3の開口部4の前記係合鍔部17を載置係合すると、第一鍋体1の開口部2が第二鍋体3で係脱開閉自在に閉塞されると共に、前記ズレ止め片16により第二鍋体3が横ズレしにくい状態で載置係合することになる前記係合手段5を構成している(
図6参照)。この際、前記蓋体10は取り外して別個に携帯したり格納したりすると良い。
【0023】
尚、本実施例では、上記のように第一鍋体1の開口部2と第二鍋体3の開口部4との双方に係合手段5(載置用鍔部15と係合鍔部17)を設けた場合を示したが、第一鍋体1の開口部2と第二鍋体3の開口部4とのいずれか一方にだけ係合手段5を設ける構成を採用しても良い。図中符号18は、第一鍋体1内から汁物などを注出し易くするための注ぎ口である。
【0024】
また、本実施例の第一鍋体1と第二鍋体3とは、
図7に示すように、第二鍋体3内に第一鍋体1を入れ込んで載置(ネスティング)することも可能な形状に形成し、このネスティング状態とした第一鍋体1内に前記取手12を取外して収納し、開口部2を前記蓋体10で閉塞することによりコンパクト化することもできる構成としている。
【0025】
本実施例の第一鍋体1は、二個のアウトドア用ガス缶6(所謂OD缶と称される略円柱形を呈する市販のガス缶)と、地面に載置可能な平面視C字状の風防壁材19と、この風防壁材19内に配設し前記アウトドア用ガス缶6を燃料とする携帯用コンロ装置9と、第一鍋体1若しくは第二鍋体3より取り外された前記取手12とを並べて収納可能な形状に形成している。
【0026】
尚、市販のアウトドア用ガス缶6には、一般的に容量の違いで「110缶」、「250缶」、「500缶」と称される三種類が存在しているが、本実施例は、このうちの「250缶」を収納できるように構成した場合を示している。
【0027】
また、本実施例で用いる風防壁材19について説明すると、多数の囲い板20を並設状態に配設し、各囲い板20に設けた通し孔21に引き締め用紐体22を通し配設して各囲い板20を連結し、隣り合う一方の囲い板20の一側端部と他方の囲い板20の反対側端部との連結部で折曲して折り畳み重合可能に構成している。
【0028】
また、この風防壁材19は、隣り合う一方の囲い板20の一側端部に設けた連結係止部と他方の囲い板20の反対側端部に設けた連結係合部とを係合した連結状態において所定折曲角度以上の折曲を阻止して片側への折曲重合を阻止する折曲規制作用を生じる折曲規制機構を備え、前記引き締め用紐体22を引き締めた状態では、各囲い板20が前記引き締め用紐体22の引き締め方向と反対方向に押し寄せられ前記連結係止部と前記連結係合部とが係合した連結状態となって前記折曲規制機構の前記折曲規制作用が生じることで平面視C字状に形成される構成とし(
図3参照)、前記引き締め用紐体22を緩めた状態では、前記連結部で折曲でき、これにより不使用時(収納時)や携帯時(持ち運び時)に各囲い板20を折り畳み重合して一枚板形態にコンパクト化できる構成としている(
図2参照)。
【0029】
また、この風防壁材19を構成する囲い板20は、上下端部に夫々、後述する携帯用コンロ装置9の五徳部26の先端部を着脱自在に掛止め可能な掛止部23を設けている。
【0030】
また、本実施例で用いる携帯用コンロ装置9について説明すると、前記アウトドア用ガス缶6に接続可能な燃料供給ホース24と、この燃料供給ホース24を介しアウトドア用ガス缶6から燃料の供給を受けて燃焼させる平面視円盤状のバーナー部25とから成るものとしている。
【0031】
また、前記バーナー部25には、第一鍋体1及び第二鍋体3を載置支承可能な五徳部26を三箇所突設した構成とし、前記燃料供給ホース24のアウトドア用ガス缶6接続側端部には、アウトドア用ガス缶6から供給される燃料の流量を調整する器具栓27を設けている。
【0032】
また、各五徳部26は、前記バーナー部25に対し水平旋回自在に枢着した構成として、この各五徳部26を旋回移動させて例えばバーナー部25を中心に120度間隔で展開させることにより第一鍋体1及び第二鍋体3を安定的に載置支承でき、不使用時(収納時)や携帯時(持ち運び時)には、各五徳部26を旋回移動させて燃料供給ホース24と一緒に一箇所にまとめて細長形態にコンパクト化できる構成としている(
図2参照)。
【0033】
加熱調理時には、
図3に示すように、平面視C字状とした前記防風壁材19を地面に載置し、この風防壁材19の前記掛止部23に前記各五徳部26を着脱自在に掛止することにより携帯用コンロ装置9をセットし、この携帯用コンロ装置9にアウトドア用ガス缶6を接続し、各五徳部26上に第一鍋体1若しくは第二鍋体3をセットして調理を行う。尚、二個のアウトドア用ガス缶6,風防壁材19及び携帯用コンロ装置9は、第一鍋体1,第二鍋体3とセットで販売する形態を採用しても良いし、別途ユーザーが用意(購入)する形態を採用しても良い。
【0034】
本実施例では、風防壁材19をコンパクトに折り畳んだ状態にすると共に、携帯用コンロ装置9もその各五徳部26と燃料供給ホース24とをコンパクトにまとめた状態にして、前記アウトドア用ガス缶6,取手12と一緒に前記第一鍋体1内に収納可能な構成としている。
【0035】
具体的には、
図4〜
図6に示すように、二個の前記アウトドア用ガス缶6は横置き状態にし、一方のアウトドア用ガス缶6の凹み形状の底面7に、他方のアウトドア用ガス缶6の側面8を入れ込むようにして隣接させ且つ一方のアウトドア用ガス缶6の凹み形状の底面7に、他方のアウトドア用ガス缶6の側面8を隣接させた状態で収納可能となるように、第一鍋体1の大きさ寸法や開口部2の開口径寸法を設定構成すると共に、隣接収納した一方のアウトドア用ガス缶6の側面8と他方のアウトドア用ガス缶6の底面7とに隣接させて(一方のアウトドア用ガス缶6の側面8と他方のアウトドア用ガス缶6の底面7とが並設している側の第一鍋体1内の隙間に)、前記携帯用コンロ装置9と前記取手12と風防壁材19とを例えばそれらの長さ方向を一致させるように並べて収納可能となるように、第一鍋体1の大きさ寸法や開口部2の開口径寸法を設定構成している。
【0036】
また、本実施例では、前記第一鍋体1の深さ寸法を、横置き状態にして収納した前記アウトドア用ガス缶6の上側部分(上側に配された側面8)が、この第一鍋体1の開口部2より上方へ露出した状態で収納される深さ寸法に設定している。
【0037】
具体的には、
図6に示すように、横置き状態とした前記アウトドア用ガス缶6の全高のうちの1/3〜1/4ほどの上側部分が、第一鍋体1の開口部2より上方へ露出することとなるように、第一鍋体1の深さ寸法を設定している。
【0038】
一方、本実施例の前記第二鍋体3の深さ寸法は、上下反転させたこの第二鍋体3で前記第一鍋体1の開口部2より上方へ露出している横置き状態のアウトドア用ガス缶6の上側部分を隠蔽しつつ、この第二鍋体3の開口部4を前記係合手段5を介して前記第一鍋体1の開口部2に載置係合し得る深さ寸法に設定している。
【0039】
具体的には、第一鍋体1の開口部2より上方へ露出している横置き状態のアウトドア用ガス缶6の上側部分の高さ寸法より若干大きい深さ寸法を具備するように、第二鍋体3の深さ寸法を設定している(
図6参照)。
【0040】
従って、前記アウトドア用ガス缶6,前記携帯用コンロ装置9,前記取手12及び前記風防壁材19を収納した前記第一鍋体1の開口部2を、上下反転させた第二鍋体3で閉塞すると、少なくとも二個のアウトドア用ガス缶6は、この第一鍋体1と第二鍋体2内で大きくガタつくことなく収納されるように構成している。
【0041】
このように、「250缶」のアウトドア用ガス缶6を二個収納して携帯できるようにした本実施例によると、3〜4人で一泊二日〜二泊三日の行動をした場合の燃料が間に合うことが出願人の実験により確認されている。即ち、本実施例によれば、一泊二日〜二泊三日の3〜4人分の調理器具をコンパクトにひとまとめにして携帯可能となる。
【0042】
また、1〜2人で一泊二日〜二泊三日の行動をする場合には、「110缶」のアウトドア用ガス缶6が二個あれば足りることが確認されており、少人数用や少日程用として「110缶」を収納可能な大きさ(本実施例より小型)の第一鍋体1と第二鍋体3とを構成しても良い。
【0043】
尚、本発明は、本実施例に限られるものではなく、各構成要件の具体的構成は適宜設計し得るものである。