特許第6072204号(P6072204)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許60722042方向エレベータの戸開方向案内システム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】6072204
(24)【登録日】2017年1月13日
(45)【発行日】2017年2月1日
(54)【発明の名称】2方向エレベータの戸開方向案内システム
(51)【国際特許分類】
   B66B 3/00 20060101AFI20170123BHJP
   B66B 1/14 20060101ALI20170123BHJP
   B66B 13/14 20060101ALI20170123BHJP
【FI】
   B66B3/00 W
   B66B3/00 E
   B66B1/14 Z
   B66B13/14 F
【請求項の数】5
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2015-229666(P2015-229666)
(22)【出願日】2015年11月25日
【審査請求日】2015年11月25日
(73)【特許権者】
【識別番号】390025265
【氏名又は名称】東芝エレベータ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100083806
【弁理士】
【氏名又は名称】三好 秀和
(74)【代理人】
【識別番号】100100712
【弁理士】
【氏名又は名称】岩▲崎▼ 幸邦
(74)【代理人】
【識別番号】100101247
【弁理士】
【氏名又は名称】高橋 俊一
(74)【代理人】
【識別番号】100095500
【弁理士】
【氏名又は名称】伊藤 正和
(74)【代理人】
【識別番号】100098327
【弁理士】
【氏名又は名称】高松 俊雄
(72)【発明者】
【氏名】野津 博樹
(72)【発明者】
【氏名】渡辺 勉
【審査官】 大野 明良
(56)【参考文献】
【文献】 特開2004−175519(JP,A)
【文献】 特開昭60−023272(JP,A)
【文献】 特開2006−008278(JP,A)
【文献】 実開昭51−049566(JP,U)
【文献】 実開昭52−106979(JP,U)
【文献】 特開平09−183575(JP,A)
【文献】 特開平05−085686(JP,A)
【文献】 特開2005−280907(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B66B 1/00− 3/02
B66B 13/14−13/30
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
建物内に設置されたエレベータの各階床の乗場が、前記エレベータの昇降路に対して異なる2方向のいずれかに設けられ、前記エレベータの乗りかごに、前記2方向に対応する2つのかご扉が設置された2方向エレベータの戸開方向案内システムにおいて、
前記各階床の乗場に設置され、前記昇降路に対する方向ごとに予め設定された出力パターンの信号を、該当する乗場内に発信する乗場発信装置と、
前記乗りかごの次の行き先階の乗場の方向に対応する出力パターンの信号を、前記乗りかご内への出力対象として判定する出力制御装置と、
前記乗りかご内に設置され、前記乗りかごが次の行き先階に所定距離まで近づくと、前記出力制御装置で出力対象として判定された出力パターンの信号を前記乗りかご内に発信するかご内発信装置と、
前記エレベータの利用者に携帯され、前記乗場発信装置または前記かご内発信装置から発信される信号を受信したときに、受信した信号の出力パターンに基づく出力を行う受信装置と
を備えることを特徴とする2方向エレベータの戸開方向案内システム。
【請求項2】
前記受信装置は、前記出力パターンに基づいて、振動による出力またはアラーム音による出力を行う
ことを特徴とする請求項1に記載の2方向エレベータの戸開方向案内システム。
【請求項3】
前記乗りかごが行き先階に所定距離まで近づくと、前記行き先階の乗場の方向に対応するかご扉が戸開することを報知するためのアナウンス情報を出力する音声出力装置をさらに備える
ことを特徴とする請求項1または2に記載の2方向エレベータの戸開方向案内システム。
【請求項4】
前記乗り場発信装置から発信する信号および前記かご内発信装置から発信する信号の出力パターンは、対応する階床を示す情報を含む
ことを特徴とする請求項1〜3いずれか1項に記載の2方向エレベータの戸開方向案内システム。
【請求項5】
前記受信装置は、自装置の識別情報および携帯する利用者の行き先階情報を保持し、
前記かご内発信装置は、前記乗りかご内の利用者の受信装置から前記識別情報および行き先階情報を取得し、取得した行き先階情報に対応する階床に乗りかごが所定距離まで近づくと、前記出力制御装置で出力対象として判定された出力パターンの信号を、取得した識別情報に対応する受信装置に対して選択的に発信する
ことを特徴とする請求項1〜4いずれか1項に記載の2方向エレベータの戸開方向案内システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、2方向エレベータの戸開方向案内システムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、駅の構内や商用施設などに設置されたエレベータの中には、乗りかごのかご扉が2方向に設置されているものがある。乗りかごのかご扉が2方向に設置されることにより、階床によってフロア形状やフロアを区画するエリアの構成が異なっていても、それぞれ適した方向に乗りかごを戸開させることができ、利用者の利便性が向上する。
【0003】
2方向のかご扉を有するエレベータには、次の着床階においてどちらの扉が戸開するかを利用者に案内するための機能が搭載されている。例えば、それぞれの扉の近傍に表示装置を設置しておき、乗りかごの走行中に、次の着床階において戸開する方の扉近傍の表示装置に「こちらのドアが開きます」というテキスト情報を出力させることで、利用者に次の戸開方向を案内する機能がある。このような案内をすることにより、利用者は次にどちらの扉が開くのかを認識することができ、着床時にスムーズに乗りかごから降りることができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2001−106444号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、上述したような2方向のかご扉を有するエレベータを視覚障がい者が利用する場合、表示装置に表示された戸開方向の案内を認識することができないという問題があった。
【0006】
利用者に戸開方向を案内する機能として、戸開する方の扉近傍のスピーカから「こちらのドアが開きます」というメッセージ情報を出力するものもあるが、2つの扉が乗りかご内近い位置に設置されている場合(乗りかご内の隣合う壁面に設置されているような場合等)には認識し難いという問題があった。
【0007】
本発明は上記事情に鑑みてなされたものであり、乗りかごのかご扉が2方向に設置された2方向エレベータの利用時に、行き先階でどちらのかご扉が戸開するかを利用者に確実に案内することが可能な2方向エレベータの戸開方向案内システムの提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するための実施形態によれば2方向エレベータの戸開方向案内システムは、乗場発信装置と出力制御装置とかご内発信装置と受信装置とを備える。乗場発信装置はエレベータの各階の乗場に設置され、昇降路に対する方向ごとのパターンの信号を発信する。出力制御装置は、次の行き先階の乗場の方向に対応するパターンの信号を、かご内発信装置からの出力対象として判定する。かご内発信装置は乗りかご内に設置され、行き先階に所定距離まで近づくと、判定されたパターンの信号を乗りかご内に発信する。受信装置は利用者に携帯され、乗場発信装置またはかご内発信装置から発信される信号を受信すると、受信した信号のパターンに基づく出力を行う。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】本発明の第1、第2、第4、および第5実施形態による2方向エレベータの戸開方向案内システムの構成を示す全体図。
図2】本発明の第1〜第5実施形態による戸開方向案内システムを搭載する2方向エレベータの乗りかごを示す斜視図。
図3】本発明の第1〜第3、第5実施形態による2方向エレベータの戸開方向案内システムの乗場発信装置およびかご内発信装置から発信される、(a)連続的な信号、(b)断続的な信号の一例を示す説明図。
図4】本発明の第1〜第5実施形態による2方向エレベータの戸開方向案内システムの出力制御装置の構成を示すブロック図。
図5】本発明の第1〜第5実施形態による2方向エレベータの戸開方向案内システムの出力制御装置の動作を示すフローチャート。
図6】本発明の第3実施形態による2方向エレベータの戸開方向案内システムの構成を示す全体図。
図7】本発明の第4実施形態による2方向エレベータの戸開方向案内システムの乗場発信装置およびかご内発信装置から発信される、(a)階床情報を含む連続的な信号、(b)階床情報を含む断続的な信号の一例を示す説明図。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本発明の実施形態に用いる2方向エレベータについて、図1を参照して説明する。本実施形態による2方向エレベータ1は、3階建ての建物に設置され、昇降路2内を走行する乗りかご3と、昇降路2の上部に設置されて乗りかご3にテールコード4で接続された制御盤5とを備え、建物の各階床には、昇降路2に対して異なる2方向である建物正面側(以下、「正面側」と記載する)または建物背面側(以下、「背面側」と記載する)のいずれかに乗場6−1〜6−3が設けられている。本実施形態においては、1階乗場6−1および2階乗場6−2は正面側に設けられ、3階乗場6−3は背面側に設けられている。また、乗りかご3には、図2に示すように、正面側に乗場が設けられた階床に着床したときに戸開する正面側かご扉31と、背面側に乗場が設けられた階床に着床したときに戸開する背面側かご扉32と、行き先階登録ボタン331が設けられたかご内操作盤33とが設置されている。制御盤5は、乗りかご3の位置情報や走行速度を含む運転情報を取得するとともに、かご内操作盤33での行き先階登録ボタン331の操作情報に基づいてかご呼びを登録し、また、乗場操作盤(図示せず)でのボタン操作に基づいて乗場呼びを登録する。そして、これらの運転情報、呼び登録情報に基づいて乗りかご3の昇降を制御するとともに、運転情報、呼び登録情報、および呼び登録に応答する際の乗りかご3の戸開方向を示す情報を乗りかご3に送信する。
【0011】
《第1実施形態》
〈第1実施形態による2方向エレベータの戸開方向案内システムの構成〉
本発明の第1実施形態として、上述した2方向エレベータ1に搭載する戸開方向案内システムの構成について、図1を参照して説明する。
【0012】
戸開方向案内システム10Aは、各階の乗場6−1〜6−3の天井にそれぞれ設置された乗場発信装置11−1〜11−3と、乗りかご3の天井に設置されたかご内発信装置12と、乗りかご3の天井上に設置されて制御盤5およびかご内発信装置12に接続された出力制御装置13と、利用者が携帯する受信装置14とを備える。
【0013】
乗場発信装置11−1〜11−3はそれぞれ、建物内において乗場が設けられている方向(正面側または背面側)ごとに予め設定された出力パターンの信号を、設置されている乗場内に無線発信する。本実施形態においては、正面側に設置された乗場発信装置11−1、11−2は、図3(a)に示すような連続的な出力パターンの信号“01”を乗場6−1、6−2に発信し、背面側に設置された乗場発信装置11−3は、図3(b)に示すような断続的な出力パターンの信号“02”を乗場6−3に発信するように設定されている。
【0014】
かご内発信装置12は、出力制御装置13の制御に基づいて信号“01”または“02”を乗りかご3内に無線発信する。かご内発信装置12は、これらの信号を、乗りかご3内にのみ送信されるように指向性を持たせて発信する。乗場発信装置11−1〜11−3およびかご内発信装置12による出力信号の無線発信には、赤外線通信など一定の距離以内にある装置と通信を行う技術を用いることができる。
【0015】
出力制御装置13は、図4に示すように、エレベータ情報取得部131と、出力信号判定部132と、信号出力制御部133とを有する。エレベータ情報取得部131は、制御盤5から、乗りかご3の位置情報や走行速度を含む運転情報を所定時間間隔で取得するとともに、かご内操作盤33での操作によるかご呼び登録の情報および乗場操作盤(図示せず)での操作による乗場呼び登録の情報、呼びに応答する際の乗りかご3の戸開方向の情報を取得する。出力信号判定部132は、エレベータ情報取得部131でかご呼び登録の情報が取得されると、かご内発信装置12からの出力対象とする信号の種類を判定する。具体的には、乗場方向が正面側にある階床を行き先階とするかご呼び登録の情報が取得されたときには、正面側の乗場発信装置11−1、11−2から発信される信号と同様の信号“01”を出力対象として判定し、乗場方向が背面側にある階床を行き先階とするかご呼び登録の情報が取得されたときには、背面側の乗場発信装置11−3から発信される信号と同様の信号“02”を出力対象として判定する。信号出力制御部133は、エレベータ情報取得部131で取得された情報に基づいて、乗りかご3が行き先階に所定距離まで近づいたことを検知すると、出力信号判定部132で出力対象として判定された信号をかご内発信装置12から発信させる。
【0016】
受信装置14は、利用者が携帯するスマートウォッチ等に搭載され、乗場発信装置11−1〜11−3およびかご内発信装置12から発信された信号を受信する機能、および受信した信号の出力パターンに基づいて振動させる機能を有する。
【0017】
〈第1実施形態による2方向エレベータの戸開方向案内システムの動作〉
次に、受信装置14を携帯した視覚障がい者である利用者Xが、上述した戸開方向案内システム10Aを搭載した2方向エレベータ1を利用して当該建物の1階から3階に移動する場合について説明する。
【0018】
まず、利用者Xが2方向エレベータ1を利用するために1階の乗場6−1に近づくと、乗場発信装置11−1から発信されている信号“01”が利用者Xの受信装置14で受信される。受信装置14では、受信した信号“01”に基づいて連続的な振動が発生する。利用者Xはこの連続的な振動を記憶しておく。
【0019】
次に、利用者Xが乗場6−1で乗りかご3を呼び寄せるための乗場呼び登録操作を行い、乗りかご3を乗場6−1に着床させる。乗りかご3は、乗場6−1に着床すると正面側かご扉31が戸開する。戸開した乗りかご3に利用者Xが乗り込んで3階を指定する行き先階登録ボタン331を操作すると、かご内操作盤33において当該ボタンが操作されたことを示すボタン操作情報が生成され、制御盤5に送出される。
【0020】
制御盤5では、かご内操作盤33からボタン操作信号を取得すると、3階を行き先階とするかご呼びが登録され、このかご呼び登録に基づいて乗りかご3を戸閉させて3階に向かって走行させるように2方向エレベータ1内の機器が制御される。また、当該エレベータ1の運転情報、登録されたかご呼びの情報、および当該かご呼びに応答する際の乗りかご3の戸開方向(背面側)が、乗りかご3に送信される。乗りかご3に送信された情報は出力制御装置13に送出される。
【0021】
出力制御装置13において、かご呼び登録を含む情報が取得されたときに実行される処理について、図5のフローチャートを参照して説明する。
【0022】
出力制御装置13では、制御盤5から送信された情報がエレベータ情報取得部131で取得され(S1の「YES」)、取得されたかご呼び登録の情報に基づいて、出力対象とする信号が出力信号判定部132において判定される(S2)。具体的には、1階または2階を行き先階とするかご呼びが登録され、戸開方向が正面側であることを示す情報が取得されたときには、信号“01”が出力対象として判定され、3階を行き先階とするかご呼びが登録され、戸開方向が背面側であることを示す情報が取得されたときには、信号“02”が出力対象として判定される。ここでは、3階を行き先階とするかご呼び登録の情報が取得されたため、信号“02”が出力対象として判定される(S2)。
【0023】
次に、信号出力制御部133において、エレベータ情報取得部131で取得される運転情報に基づいて、乗りかご3が行き先階に所定距離まで近づいたかが監視される。そして、行き先階に所定距離まで近づいたと判定されると(S3の「YES」)、ステップS2で出力対象として判定した信号“02”がかご内発信装置12に送信される(S4)。そして、かご内発信装置12により、出力制御装置13から送信された信号“02”が、乗りかご3内に発信される。
【0024】
このように出力制御装置13により出力信号の発信処理が行われることにより、行き先階に近づくと乗りかご3内に信号“02”が発信され、乗りかご3内にいる利用者Xの受信装置14で受信される。受信装置14では、受信した信号“02”に基づいて断続的な振動が発生する。利用者Xは、この断続的な振動が、乗りかご3に乗り込んだときの乗場6−1にいたときに受信装置14で発生した連続的な信号とは出力パターンが異なると判断し、これにより、行き先階である3階では乗り込んだときとは異なる方向のかご扉(背面側かご扉32)が戸開することを認識することができる。
【0025】
仮に、乗りかご3内で受信した信号が乗場で受信した信号と同じ出力パターンであると利用者が判断したときには、乗り込んだときと同じ側のかご扉が戸開すると認識することができる。
【0026】
以上の第1実施形態によれば、乗りかごのかご扉が2方向に設置された2方向エレベータを利用する際に、利用者は表示やアナウンスによる案内に頼ることなく、受信装置の振動により、行き先階でどちらのかご扉が戸開するかを確実に認識することができる。
【0027】
本実施形態においては、出力制御装置13を乗りかご3のかご上に設置する場合について説明したが、乗りかご3内に設置してもよい。また、出力制御装置13と制御盤5との通信は、乗りかご3と制御盤5とを接続するテールコード4を介して行ってもよいし、それ以外の有線または無線通信により行ってもよい。
【0028】
また、本実施形態においては、乗場発信装置を乗場の天井に設置する場合について説明したが、乗場操作盤に設置してもよい。また、かご内発信装置を乗りかごの天井に設置する場合について説明したが、かご内操作盤に設置してもよい。このように操作盤に発信装置を設置することにより、設置時の配線作業をし易くすることができる。
【0029】
《第2実施形態》
本発明の第2実施形態による2方向エレベータ1に搭載する戸開方向案内システム10Bは、受信装置14がアラーム音を出力する機能を有する他は、第1実施形態において説明した戸開方向案内システム10Aの構成と同様であるため、同一機能を有する部分の詳細な説明は省略する。
【0030】
受信装置14は、利用者Xが乗場に近づくと、当該乗場に設置された乗場発信装置から第1実施形態と同様に発信されている信号を受信し、受信した信号に基づく出力パターンでアラーム音を出力する。また、利用者が乗りかご3に乗り込んで行き先階登録操作を行い、乗りかご3が行き先階に近づいたときにかご内発信装置12から第1実施形態と同様に発信される信号を受信し、受信した信号に基づく出力パターンでアラーム音を出力する。
【0031】
このように構成された戸開方向案内システム10Bを搭載した2方向エレベータ1において、利用者Xは、乗場で出力されたアラーム音と乗りかご3内で出力されたアラーム音との出力パターンが異なると判断したときには、行き先階において、乗り込んだときと異なる方向のかご扉が戸開することを認識し、乗場で出力されたアラーム音と乗りかご3内で出力されたアラーム音との出力パターンが同じであると判断したときには、行き先階において、乗り込んだときと同じ方向のかご扉が戸開することを認識することができる。
【0032】
以上の第2実施形態によれば、乗りかごのかご扉が2方向に設置された2方向エレベータを利用する際に、利用者は表示やアナウンスによる案内に頼ることなく、受信装置からアラーム音により、行き先階でどちらのかご扉が戸開するかを確実に認識することができる。
【0033】
《第3実施形態》
本発明の第3実施形態による2方向エレベータ1に搭載する戸開方向案内システム10Cの構成について、図6を参照して説明する。戸開方向案内システム10Cは、乗りかご3内に設置されたアナウンス装置15を備える他は、戸開方向案内システム10Aまたは10Bの構成と同様であるため、同一機能を有する部分の詳細な説明については省略する。
【0034】
アナウンス装置15は、制御盤5に接続され、制御盤5からエレベータ1の運転情報、呼び登録情報、呼びに応答する際の乗りかご3の戸開方向を示す情報を取得する。そして、取得した情報に基づいて乗りかご3が行き先階に近づいたことを検知すると、行き先階で戸開するかご扉の方向を報知するアナウンス情報、例えば「正面側のドアが開きます」または「背面側のドアが開きます」を出力する。
【0035】
以上の第3実施形態によれば、受信装置による出力に併せて、アナウンス情報でも戸開方向を報知することにより、行き先階でどちらの扉が戸開するかをさらに確実に利用者に認識させることができる。
【0036】
《第4実施形態》
本発明の第4実施形態による2方向エレベータ1に搭載する戸開方向案内システム10Dの構成は、第1〜第3実施形の戸開方向案内システム10A〜10Cのいずれかの構成と同様であるため、同一機能を有する部分の詳細な説明は省略する。
【0037】
本実施形態において、乗場発信装置11−1〜11−3から発信される信号にはそれぞれ、乗場6−1〜6−3が設けられている方向ごとに設定された出力パターンに、各乗場の階床を示す情報が付加されて発信される。例えば、1階の乗場発信装置11−1からは、図7(a)に示すように、階床「1階」を示す1回の短い振動またはアラーム音の後に、正面側の乗場であることを示す連続的な出力パターンの振動またはアラーム音を出力させる信号が発信され、3階の乗場発信装置11−3からは、図7(b)に示すように、階床「3階」を示す3回の短い振動またはアラーム音の後に、背面側の乗場であることを示す断続的な出力パターンの振動またはアラーム音を出力させる信号が発信される。
【0038】
また、出力制御装置13の出力信号判定部132は、エレベータ情報取得部131で取得したかご呼び登録の情報に基づいて、出力対象とする信号の種類を判定するとともに、行き先階の階床情報を取得する。そして、信号出力制御部133は、エレベータ情報取得部131で取得された情報に基づいて、乗りかご3が行き先階に所定距離まで近づいたことを検知すると、出力信号判定部132で出力対象として判定された信号に行先階の階床情報を付加した信号をかご内発信装置12から発信させる。ここで発信させる信号は、上述した図7(a)または(b)と同様の信号である。
【0039】
以上の第4実施形態によれば、乗りかごのかご扉が2方向に設置された2方向エレベータを利用する際に、利用者は表示やアナウンスによる案内に頼ることなく、受信装置の振動により、現在どの階床にいるか、および、何階でどちらのかご扉が戸開するかを確実に認識することができる。
【0040】
《第5実施形態》
本発明の第5実施形態による2方向エレベータ1に搭載する戸開方向案内システム10Eは、受信装置14が、自装置の識別情報および携帯する利用者の行き先階情報を保持する機能を有し、また、かご内発信装置12が、乗りかご3内の利用者が携帯する受信装置14から該当する識別情報および行き先階情報を取得し、取得した行き先階情報に対応する階床に乗りかごが所定距離まで近づいたときに、出力制御装置13で出力対象として判定された出力パターンの信号を、取得した識別情報に対応する受信装置14に対して選択的に発信する機能を有する。これらの機能の他は、第1〜第4実施形態の戸開方向案内システム10A〜10Dのいずれかの構成と同様であるため、同一機能を有する部分の詳細な説明は省略する。
【0041】
このように構成された戸開方向案内システム10Eを搭載した2方向エレベータ1の乗りかご3内に、受信装置14を携帯した複数の利用者が乗り込んだ場合、かご内発信装置12により各受信装置14からそれぞれの識別情報および行き先階情報が取得される。そして、いずれかの階床に乗りかご3が近づいたときに、出力制御装置13で当該階床に関する出力対象として判定された出力パターンの信号が、当該階床を行き先階として有している受信装置14に対して選択的に発信される。
【0042】
特定の受信装置14に選択的に信号を発信する際には、通信先を特定することが可能な無線通信技術、例えばWiFi(登録商標)を用いたり、受信装置14ごとに異なる周波数で無線通信を行ったりすることで実現可能である。
【0043】
以上の第5実施形態によれば、受信装置を携帯した複数の利用者が同時に乗りかごに乗り込んでも、利用者ごとに自身の行き先階での戸開方向を認識することができる。
【0044】
上述した第1〜第5実施形態においては、乗りかごに設置された2つのかご扉が建物の正面側と背面側とで180度異なる方向に設置された場合について説明したが、乗りかごの隣り合う壁面に90度異なる方向に設置された場合にも適用可能である。
【0045】
また、上述した第1〜第5実施形態により構成される2方向エレベータの戸開方向案内システムを複数の建物に搭載し、これらのシステム内で乗場発信装置とかご内発信装置から発信される信号のパターンを同じもので設定しておくことで、利用者は一の受信装置を用いて複数の建物で同様の戸開方向案内サービスを受けることができる。
【0046】
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これらの新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これらの実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0047】
1…2方向エレベータ、2…昇降路、3…乗りかご、4…テールコード、5…制御盤、6−1〜6−3…乗場、10A,10B,10C,10D,10E…戸開方向案内システム、11−1,11−2,11−3…乗場発信装置、12…かご内発信装置、13…出力制御装置、14…受信装置、15…アナウンス装置、31…正面側かご扉、32…背面側かご扉、33…かご内操作盤、131…エレベータ情報取得部、132…出力信号判定部、133…信号出力制御部、331…行き先階登録ボタン
【要約】
【課題】乗りかごのかご扉が2方向に設置された2方向エレベータの利用時に、行き先階でどちらのかご扉が戸開するかを利用者に確実に案内することが可能な2方向エレベータの戸開方向案内システムを提供する。
【解決手段】実施形態によれば2方向エレベータの戸開方向案内システムは、乗場発信装置と出力制御装置とかご内発信装置と受信装置とを備える。乗場発信装置はエレベータの各階の乗場に設置され、昇降路に対する方向ごとのパターンの信号を発信する。出力制御装置は、次の行き先階の乗場の方向に対応するパターンの信号を、かご内発信装置からの出力対象として判定する。かご内発信装置は乗りかご内に設置され、行き先階に所定距離まで近づくと、判定されたパターンの信号を乗りかご内に発信する。受信装置は利用者に携帯され、乗場発信装置またはかご内発信装置から発信される信号を受信すると、受信した信号のパターンに基づく出力を行う。
【選択図】図1
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図7