特許第6072304号(P6072304)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6072304ブランケット、印刷装置、印刷方法およびブランケット製造方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6072304
(24)【登録日】2017年1月13日
(45)【発行日】2017年2月1日
(54)【発明の名称】ブランケット、印刷装置、印刷方法およびブランケット製造方法
(51)【国際特許分類】
   B41N 10/02 20060101AFI20170123BHJP
   B41M 1/06 20060101ALI20170123BHJP
   B41F 3/20 20060101ALI20170123BHJP
   B41F 17/14 20060101ALI20170123BHJP
【FI】
   B41N10/02
   B41M1/06
   B41F3/20 C
   B41F17/14 E
【請求項の数】12
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2015-553633(P2015-553633)
(86)(22)【出願日】2014年12月22日
(86)【国際出願番号】JP2014083920
(87)【国際公開番号】WO2015093618
(87)【国際公開日】20150625
【審査請求日】2016年6月14日
(31)【優先権主張番号】特願2013-264054(P2013-264054)
(32)【優先日】2013年12月20日
(33)【優先権主張国】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】511039500
【氏名又は名称】阪本 順
(74)【代理人】
【識別番号】100168583
【弁理士】
【氏名又は名称】前井 宏之
(72)【発明者】
【氏名】阪本 行
【審査官】 亀田 宏之
(56)【参考文献】
【文献】 実開平2−48357(JP,U)
【文献】 特開平9−76658(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B41N 10/02
B41F 3/20
B41F 17/14
B41M 1/06
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
表面を有するオフセット印刷用の膜形成用ブランケットであって、
前記表面は、凹部形成領域を有し、
前記凹部形成領域は、それぞれが凹部を規定する複数の凹部領域と、前記複数の凹部領域のうち隣接する前記凹部領域によって規定される上部領域とを含み、
前記複数の上部領域は、上面部を有し、
前記複数の凹部は、前記上面部と平行な底面部を有しており、
前記複数の凹部の深さは0.3mm以上3mm以下である、膜形成用ブランケット。
【請求項2】
前記凹部形成領域内において、前記複数の凹部領域は、前記複数の上部領域よりも大きい、請求項1に記載の膜形成用ブランケット。
【請求項4】
前記複数の凹部の大きさは30μm以上1000μm以下である、請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の膜形成用ブランケット。
【請求項5】
前記複数の凹部は格子状に並ぶ、請求項1から請求項4のいずれか1項に記載の膜形成用ブランケット。
【請求項6】
請求項1から請求項5のいずれか1項に記載の膜形成用ブランケットとコアとを有する転写ロールと、
版と
を備え、
前記膜形成用ブランケットは、前記版から転写されたインクを被印刷物に転写させる、印刷装置。
【請求項7】
前記複数の凹部に転写された前記インクの厚さは、前記上面部に転写された前記インクの厚さよりも厚い、請求項6に記載の印刷装置。
【請求項8】
前記複数の凹部の底面部と、前記コアの外周面とが平行である、請求項6または請求項7に記載の印刷装置。
【請求項9】
版と、表面を有するオフセット印刷用の膜形成用ブランケットとを備える印刷装置を用意する工程と、
インクが、前記版から前記膜形成用ブランケットに転写する工程と、
前記インクが、前記膜形成用ブランケットから被印刷物に転写する工程と
を包含し、
前記表面は、凹部形成領域を有し、
前記凹部形成領域は、それぞれが凹部を規定する複数の凹部領域と、前記複数の凹部領域のうち隣接する前記凹部領域によって規定される上部領域とを含み、
前記複数の上部領域は、上面部を有し、
前記複数の凹部は、前記上面部と平行な底面部を有しており、
前記複数の凹部の深さは0.3mm以上3mm以下である、印刷方法。
【請求項10】
前記膜形成用ブランケットに転写する工程と、同一の前記被印刷物に転写する工程とを複数回繰り返すことによって前記インクを前記被印刷物に積層する、請求項9に記載の印刷方法。
【請求項11】
前記印刷装置が前記被印刷物を搬送する搬送部をさらに備え、
前記被印刷物に転写する工程において、前記搬送部の速度を調整することにより前記複数の凹部から前記被印刷物へ転写される前記インクの位置を調整し、前記複数の凹部に対応する前記インクの凸部分が重ならないように前記インクを前記被印刷物に積層する、請求項10に記載の印刷方法。
【請求項12】
複数の凸部を有する金型を用意する工程と、
前記金型にブランケット剤を流す工程と
を包含する膜形成用ブランケット製造方法であって、
前記膜形成用ブランケットは表面を有し、
前記表面は、凹部形成領域を有し、
前記凹部形成領域は、それぞれが凹部を規定する複数の凹部領域と、前記複数の凹部領域のうち隣接する前記凹部領域によって規定される上部領域とを含み、
前記複数の上部領域は、上面部を有し、
前記複数の凹部は、前記上面部と平行な底面部を有しており、前記複数の凹部の深さは0.3mm以上3mm以下である、膜形成用ブランケット製造方法。
【請求項13】
前記複数の凹部は、前記上面部と前記底面部とを接続する接続部をさらに有し、
前記複数の凹部の深さ方向における断面視において、
前記上面部を前記底面部と同一平面上に投影した長さは、前記接続部を前記底面部と同一平面上に投影した長さよりも短く、
前記接続部を前記底面部と同一平面上に投影した長さは、前記底面部の長さよりも短い、請求項1から請求項5のいずれか1項に記載の膜形成用ブランケット。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ブランケット、印刷装置、印刷方法およびブランケット製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
印刷技術の1つとしてオフセット印刷が知られている。オフセット印刷では、インクは、版から転写ロールに転写した後、転写ロールから被印刷物に転写する。このようなオフセット印刷は平板印刷とも呼ばれる。
【0003】
特許文献1の印刷装置では、3つの印刷ユニットを備え、インクを重ねあわせて被印刷物にインクを印刷することにより、厚みのある電極を形成している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2011−178006号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1の印刷機では、1つの印刷ユニットで印刷できるインクの量が少なく、1回の転写で厚い層を形成することができなかった。
【0006】
本発明は上記課題に鑑みてなされたものであり、その目的は被印刷物に厚い膜を印刷することができるブランケット、印刷装置、印刷方法およびブランケット製造方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明によるブランケットは、表面を有するオフセット印刷用のブランケットであって、前記表面は、凹部形成領域を有し、前記凹部形成領域は、それぞれが凹部を規定する複数の凹部領域と、前記複数の凹部領域のうち隣接する前記凹部領域によって規定される上部領域とを含み、前記複数の上部領域は、上面部を有し、前記複数の凹部は、前記上面部と平行な底面部を有している。
【0008】
ある実施形態において、前記凹部形成領域内において、前記複数の凹部領域は、前記上部領域よりも大きい。
【0009】
ある実施形態において、前記複数の凹部の深さは0mm〜3mmである。
【0010】
ある実施形態において、前記複数の凹部の大きさは30μm〜1000μmである。
【0011】
ある実施形態において、前記複数の凹部は格子状に並ぶ。
【0012】
本発明による印刷装置は、上記に記載のブランケットとコアとを有する転写ロールと、版とを備え、前記ブランケットは、前記版から転写されたインクを被印刷物に転写させる。
【0013】
ある実施形態において、前記複数の凹部に転写された前記インクの厚さは、前記上面部に転写された前記インクの厚さよりも厚い。
【0014】
ある実施形態において、前記複数の凹部の底面と、前記コアの外周面とが平行である。
【0015】
本発明による印刷方法は、版と、表面を有するオフセット印刷用のブランケットとを備える印刷装置を用意する工程とインクが、前記版から前記ブランケットに転写する工程と、前記インクが、前記ブランケットから被印刷物に転写する工程とを包含し、前記表面は、凹部形成領域を有し、前記凹部形成領域は、それぞれが凹部を規定する複数の凹部領域と、前記複数の凹部領域のうち隣接する前記凹部領域によって規定される上部領域とを含み、前記複数の上部領域は、上面部を有し、前記複数の凹部は、前記上面部と平行な底面部を有している。
【0016】
ある実施形態において、前記ブランケットに転写する工程と、前記被印刷物に転写する工程とを複数回繰り返す。
【0017】
ある実施形態において、前記印刷装置が前記被印刷物を搬送する搬送部をさらに備え、前記被印刷物に転写する工程において、前記搬送部の速度を調整することにより前記複数の凹部から前記被印刷物へ転写される前記インクの位置を調整する。
【0018】
本発明によるブランケット製造方法は、複数の凸部を有する金型を用意する工程と、前記金型にブランケット剤を流す工程とを包含するブランケット製造方法であって、前記ブランケットは表面を有し、前記表面は、凹部形成領域を有し、前記凹部形成領域は、それぞれが凹部を規定する複数の凹部領域と、前記複数の凹部領域のうち隣接する前記凹部領域によって規定される上部領域とを含み、前記複数の上部領域は、上面部を有し、前記複数の凹部は、前記上面部と平行な底面部を有している。
【発明の効果】
【0019】
本発明によるブランケットにおいて、複数の上部領域は、上面部を有し、複数の凹部は、上面部と平行な底面部を有している。したがって、複数の凹部にもインクを貯めることができるため、一度の印刷で印刷できるインクの量を多くすることができる。その結果、被印刷物に厚い膜を印刷することができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
図1】本発明による印刷装置の実施形態の模式図である。
図2】(a)は、本発明の実施形態に係る印刷装置の転写ロールを示す模式図である。(b)は、図2(a)に記載の凹部形成領域の模式的な拡大図である。(c)は、図2(b)のIIc−IIc線に沿った模式的な断面図である。
図3】(a)〜(d)は、本発明の実施形態に係る印刷装置の印刷方法を示す模式図である。
図4】本発明の実施形態に係る転写ロールを示す模式的な拡大図である。
図5】本発明による印刷装置の実施形態の模式図を示す。
図6】被印刷物に積層されたインクの模式的な側面図である。
図7】(a)は、本発明の実施形態に係るブランケットを製造する際に使用する金型を示す模式図である。(b)は、金型の拡大図である。
図8】(a)および(b)は、凹部形成領域における上部領域と凹部領域との面積の関係について説明するための模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、図面を参照して本発明によるブランケット、印刷装置、印刷方法およびブランケット製造方法の実施形態を説明する。ただし、本発明は以下の実施形態に限定されない。
【0022】
図1を参照して、本発明の実施形態に係る印刷装置100を説明する。図1は、本発明による印刷装置100の実施形態の模式図である。本実施形態の印刷装置100は、印刷機70を備える。印刷装置100は、被印刷物Sを搬送する搬送部50をさらに備える。印刷装置100は加熱装置40をさらに備えてもよい。印刷機70は、版ロール10および転写ロール20を有する。版ロール10および転写ロール20はそれぞれ回転可能である。ここでは、版ロール10および転写ロール20の直径はほぼ等しい。
【0023】
版ロール10の表面は金属メッキで処理されている。典型的には、版ロール10には、所定のパターンを有する凹溝が形成されている。このパターンは、被印刷物Sに印刷される線・図形・模様その他に対応する。転写ロール20の表面にはブランケットが設けられる。典型的には、ブランケットはゴムから形成される。例えば、ブランケットは、シリコーンのゴムから形成される。
【0024】
印刷装置100は、版ロール10および転写ロール20がいずれも回転した状態で印刷を行う。回転する版ロール10から転写ロール20に転写されたインクKは、転写ロール20の回転とともに転写ロール20の下端部に移動する。転写ロール20の下端部において転写ロール20が被印刷物Sと接触すると、インクKは転写ロール14から被印刷物Sに転写する。このようにしてインクKの印刷が行われる。
【0025】
なお、ここでは、版ロール10および転写ロール20の直径はほぼ等しいが、本発明はこれに限定さない。版ロール10および転写ロール20の直径は異なってもよい。ただし、版ロール10および転写ロール20のうちの一方の直径は他方の直径の整数倍であることが好ましい。
【0026】
インクKは、導電性材料を含んでもよい。例えば、インクKは、粒子状の導電性材料およびビヒクルを有しており、ビヒクルは樹脂および溶剤を含む。インクKが導電材料を含む場合、被印刷物Sに厚い膜を転写することによって、導電材料の抵抗が小さくなる。また、インクKは、顔料を含んでもよい。あるいは、インクKはコーティング剤を含んでいてもよい。この場合、印刷装置100がインクKを印刷することにより、被印刷物Sの表面処理を行うことができる。インクKがコーティング剤を含む場合、被印刷物Sに厚い膜を転写することによって、被印刷物Sの保護が強くなる。印刷装置100は、被印刷物SへのインクKの印刷を高速に行えるために、表面処理した被印刷物Sを大量に製造できる。
【0027】
版ロール10へのインクKの供給は任意の方法で行われる。例えば、インクKは版ロール10の上部から垂らされてもよく、または、インクKはインク貯め(図示せず)から供給されてもよい。あるいは、インクKはノズル(図示せず)から版ロール10に向かって噴出されてもよい。また、ここでは図示していないが、版ロール10にスクレーパが取り付けられており、版ロール10とスクレーパとの界面近傍に溜まったインク量をセンサーで検出することによって版ロール10へのインクKの供給を制御してもよい。
【0028】
図2を参照して、本発明の実施形態に係る印刷装置100の転写ロール20を説明する。図2(a)は、本発明の実施形態に係る印刷装置100の転写ロール20を示す模式図である。図2(b)は、図2(a)に記載の凹部形成領域の模式的な拡大図である。図2(c)は、図2(b)のIIc−IIc線に沿った模式的な断面図である。
【0029】
図2(a)を参照して、転写ロール20を説明する。転写ロール20は、ブランケット21とコア22とを有する。コア22は、外周面23を有する。ブランケット21は、コア22の外周面23に取り付けられる。
【0030】
ブランケット21の表面Hには、凹部形成領域30が形成されている。凹部形成領域30は、複数の凹部領域32と複数の上部領域31とを含んでいる。複数の凹部領域32のそれぞれは、凹部を規定する。複数の凹部は、格子状に並ぶ。上部領域31は、複数の凹部領域32を連絡する。
【0031】
図2(b)および図2(c)を参照して、凹部形成領域30を説明する。凹部形成領域30は、複数の凹部領域32(凹部領域32a、凹部領域32bおよび凹部領域32c)と複数の上部領域31(上部領域31aおよび上部領域31b)とを含んでいる。複数の凹部領域32のそれぞれは、凹部(凹部35a、凹部35bおよび凹部35c)を有する。上部領域31は、隣接する凹部領域32によって規定される。複数の凹部(凹部35a、凹部35bおよび凹部35c)は、上面部(上面部33aおよび上面部33b)と平行な底面部(底面部34a、底面部34bおよび底面部34c)を有している。
【0032】
凹部形成領域30内において、複数の凹部領域32は、上部領域31よりも大きい。凹部形成領域30のうち複数の凹部領域32が占める割合は、例えば、50%〜95%である。コア22にブランケット21を取り付けると、底面部はコア表面に沿う。コア22にブランケット21を取り付けると、上面部はコア表面に沿う。
【0033】
複数の凹部35の深さd1は、例えば、0mmより大きく3mm以下である。好ましくは、深さd1は、0.3mm以上0.4mm以下である。複数の凹部35の大きさd2は、例えば、30μm以上1000μm以下である。複数の凹部の間隔d3は、例えば、30μm以上1000μm以下である。
【0034】
図3を参照して、本発明の実施形態に係る印刷装置100の印刷方法を説明する。図3(a)〜図3(d)は、本発明の実施形態に係る印刷装置100の印刷方法を示す模式図である。
【0035】
図3(a)に示すように、版ロール10に形成された凹溝に、インクKが供給されている。なお、転写ロール20および版ロール10はそれぞれ等しい速度で回転している。
【0036】
図3(b)に示すように、版ロール10は転写ロール20にインクKを転写する。回転する版ロール10の上のインクKが転写ロール20と接触すると、インクKは転写ロール20に転写される。
【0037】
図3(c)に示すように、転写ロール20は被印刷物SにインクKを転写する。回転する転写ロール20の上のインクKが被印刷物Sと接触すると、インクKは被印刷物Sに転写される。
【0038】
図3(d)に示すように、被印刷物Sに転写されたインクKは、インクKの流動性が高いために、被印刷物Sの全体に広がり比較的平坦になる。例えば、インクKの厚さは、0.5μm以上5μm以下である。典型的には、その後、インクKは加熱される。加熱温度は、例えば、500℃以上850℃以下である。
【0039】
以上、図1図3を参照して説明したように、転写ロール20が有するブランケット21において、複数の上部領域は、上面部を有し、複数の凹部は、上面部と平行な底面部を有している。したがって、複数の凹部にもインクKを貯めることができるため、一度の印刷で転写できるインクKの量を多くすることができる。その結果、被印刷物Sに厚い膜を一度で印刷することができる。
【0040】
また、凹部形成領域内において、複数の凹部領域は上部領域よりも大きい。したがって、より多くのインクを複数の凹部に貯めることができる。その結果、被印刷物Sに厚い膜を印刷することができる。
【0041】
図4を参照して、転写ロール20に転写されたインクKの厚さを説明する。図4は、本発明の実施形態に係る転写ロール20を示す模式的な拡大図である。
【0042】
複数の凹部の底面部(底面部34a、底面部34bおよび底面部34c)と、コア22の外周面23が平行である。凹部35aに転写されたインクの厚さd4は、上面部33aに転写されたインクKの厚さd5より厚い。したがって、より多くのインクを複数の凹部に貯めることができる。その結果、被印刷物Sに厚い膜を印刷することができる。なお、凹部35aに転写されたインクの厚さd4が、上面部33aに転写されたインクKの厚さd5より薄い場合もあり得る。
【0043】
図5を参照して、本発明による印刷装置100の実施形態の説明をする。図5に、本発明による印刷装置100の実施形態の模式図を示す。
【0044】
印刷装置100は、印刷機70a、印刷機70b、印刷機70c、加熱装置40a、加熱装置40b、加熱装置40cおよび搬送部50を備える。まず印刷機70aによって、被印刷物SにインクKaが印刷される。そして加熱装置40aによって、インクKaは加熱される。続いて、印刷機70bによって、インクKaの上にインクKbが印刷される。そして加熱装置40bによって、インクKbは加熱される。続いて、印刷機70cによって、インクKbの上にインクKcが印刷される。そして加熱装置40cによって、インクKcは加熱される。
【0045】
以上のようにして、インクを重ね塗りすることによってインクを積層する。このようにして被印刷物Sに厚い膜を印刷することができる。
【0046】
印刷装置100は、被印刷物Sに転写する工程において、搬送部50の速度を調整することにより複数の凹部から被印刷物Sへ転写されるインクの位置を調整する。
【0047】
図6は、被印刷物Sに積層されたインクの模式的な側面図である。インクKbはインクKaの上に積層されている。インクKaの凸部分がインクKbの凸部分を重ならないように、インクKbの位置は調整される。その結果、インクKaとインクKbとの積層の凹凸が少なくなる。
【0048】
図7を参照して、本発明の実施形態に係るブランケット21の製造方法を説明する。図7(a)は、本発明の実施形態に係るブランケット21を製造する際に使用する金型60を示す模式図である。図7(b)は、金型60の拡大図である。
【0049】
金型60は、ブランケット21の形状に対応した凹み61が形成されている。ブランケット21の凹部形成領域30に対応する領域62には、複数の四角錐台状の凸部63が設けられている。金型60にブランケット剤を流しこみ硬化させることによりブランケット21は製造される。その後、ブランケット21は、コア22に巻きつけられ、転写ロール20が製造される。
【0050】
図8を参照して、凹部形成領域30における上部領域31と凹部領域32との面積の関係について説明する。図8(a)および(b)は、凹部形成領域30における上部領域31と凹部領域32との面積の関係について説明するための模式図である。
【0051】
図8(a)において、凹部領域32の面積(斜線部分)は上部領域31の面積(白地部分)よりも大きい。一方、図8(b)において、凹部領域32の面積(斜線部分)は上部領域31の面積(白地部分)よりも大きい。凹部形成領域において、凹部領域32と上部領域31の面積の関係は限定されないが、凹部領域32が上部領域31よりも大きければ、より多くのインクを保持することができるため好ましい。
【産業上の利用可能性】
【0052】
本発明のブランケットは、被印刷物に厚膜を印刷する必要がある印刷装置に好適に用いられる。
【符号の説明】
【0053】
K、Ka、Kb、Kc インク
S 被印刷物
10 版ロール
20 転写ロール
21 ブランケット
22 コア
23 外周面
30 凹部形成領域
31、31a、31b 上部領域
32、32a、32b、32c 凹部領域
33a、33b 上面部
34a、34b、34c 底面部
40、40a、40b、40c 加熱装置
60 金型
61 凹み
62 領域
63 凸部
70、70a、70b、70c 印刷機
100 印刷装置
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8