(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
基準範囲から出ない範囲において可動部材を繰り返し往復動させたのち、基準範囲内におけるいずれかの位置に可動部材がある状態で可動部材駆動手段を停止して、第一係合部と第二係合部とを係合させることで可動部材を基準位置へと移動させる基準範囲往復モードを更に備えた請求項1〜4いずれか1つに記載の遊技機用可動式装置。
【発明を実施するための形態】
【0015】
本発明の遊技機用可動式装置の好適な実施態様について、図面を用いてより具体的に説明する。以下においては、説明の便宜上、本発明の遊技機用可動式装置を回胴式遊技機において採用する場合について説明するが、本発明の遊技機用可動式装置は、パチンコ遊技機等、回胴式遊技機以外の遊技機においても好適に採用することができる。なお、本明細書においては、特に断りのない限り、遊技機の前扉に向かって手前側を「前」、その逆側を「後」として記載する。
【0016】
1. 回胴式遊技機
まず、回胴式遊技機の概要について説明する。
図1は、回胴式遊技機10の正面図である。
図1に示す回胴式遊技機10は、その筺体における前扉10aの前面側に、メダルを投入するためのメダル投入口11と、メダルを払い出すためのメダル払出口12と、その外周面に図柄が描かれた3本のリール13,14,15と、演出画像を表示するためのメイン表示ユニット16及びサブ表示ユニット17と、照明演出を行うための発光ランプ(図示省略)と、音声演出を行うためのスピ−カー18等を備えたものとなっており、操作部として、1遊技当たりの最大枚数(通常3枚)のメダルをベットするためのマックスベットボタン19と、ベットするメダルを1枚ずつ増加するためのシングルベットボタン20と、リール13,14,15の回転を開始するためのスタートレバー21と、リール13,14,15の回転をそれぞれ停止するための3個のストップボタン22,23,24と、演出を切り替えるためのチャンスボタン25と、クレジットされたメダルを払い戻すための払戻しボタン26等を有するものとなっている。
【0017】
この回胴式遊技機10は、メダルのクレジット枚数が所定枚数以上となった状態でスタートレバー21が操作されると、役抽選が実行されるとともにリール13,14,15が一斉に回転を開始し、ストップボタン22,23,24がそれぞれ操作されると、操作されたストップボタン22,23,24に対応するリール13,14,15の回転が停止していき、全てのリール13,14,15が停止したときにリール窓10a
1の有効ライン上に表示される図柄の組み合わせが役抽選で当選した役に対応したものとなっていた場合(入賞した場合)に、その役に応じた枚数のメダルが払い出され、メダルのクレジット枚数が上限値に達しているときには、筺体内に格納されたホッパーユニット(図示省略)から送出されたメダルがメダル払出口12を通じて払い出されるようになっている。メダルのクレジット枚数は、メダルのクレジット枚数が上限値に達していないときに、メダル投入口11にメダルが投入される、又は、入賞によってメダルが払い出されると増加するようになっている。
【0018】
本実施態様において、メイン表示ユニット16は画像表示部として表示装置16aを備えており、サブ表示ユニット17は画像表示部として表示装置17aを備えている。表示装置16a,17aには、遊技の進行に応じて演出画像が表示されるようになっている。表示装置16a,17aには、通常、液晶ディスプレイや有機ELディスプレイやプラズマディスプレイ等の薄型ディスプレイが用いられる。本実施態様において、メイン表示ユニット16及びサブ表示ユニット17の表示装置16a,17aには、いずれも液晶ディスプレイを採用している。
【0019】
サブ表示ユニット17は、通常時においては、遊技者から見えない隠れた位置にある一方、特定の演出を行うときには、遊技者から見える位置に出現するようになっている。具体的には、サブ表示ユニット17は、支持アーム27によって昇降可能な状態で支持されており、通常時においては、
図1における破線部αに示すように、前扉10aの上枠部10a
2の後面側に隠れた位置にある一方、特定の演出を行うときには、
図1における実線部βに示すように、メイン表示ユニット16の画像表示部の前面側に重なる位置まで下降するようになっている。サブ表示ユニット17を遊技者から視認可能な位置に移動させるタイミングは、特に限定されない。サブ表示ユニット17を視認可能な位置に移動させるタイミングとしては、ボーナス遊技時やフリーズ演出時等が例示される。
【0020】
以下においては、説明の便宜上、本発明の遊技機用可動式装置が、サブ表示ユニット17として採用されている場合について説明する。しかし、本発明の遊技機用可動式装置は、サブ表示ユニットに限定されず、他の装置としても採用することができる。
【0021】
2. 遊技機用可動式装置(サブ表示ユニット)
次に、遊技機用可動式装置100について説明する。
図2は、遊技機用可動式装置100(サブ表示ユニット17)における可動部材300の動作を説明する正面図である。本実施態様の遊技機用可動式装置100は、
図2に示すように、取付部材200と、取付部材200の前面側に取り付けられた可動部材300と、可動部材300を駆動する可動部材駆動手段(図示省略)とを備えたものとなっており、可動部材300の前面側には表示装置17aが取り付けられている。取付部材200には、上述した支持アーム27(
図1)の下端部が固定される。本実施態様における取付部材200は、遊技機の筐体とは別体で形成されているが、取付部材200は、筐体の一部又は全部を成すようにしてもよい。
【0022】
可動部材300は、取付部材200に対して、軸L
1を中心として回動可能に設けられている。具体的には、可動部材300は、表示装置17aが略水平となる基準位置(
図2(b))から、一側方向(本実施態様においては、前面側から見て時計回り方向。
図2(b)における矢印CWを参照。)に回動(移動)可能となっており、表示装置17aを右に傾けた状態(
図2(a))とすることができるようになっている。また、可動部材300は、基準位置(
図2(b))から、他側方向(本実施態様においては、前面側から見て反時計回り方向。
図2(b)における矢印CCWを参照。)にも回動(移動)可能となっており、表示装置17aを左に傾けた状態(
図2(c))とすることもできるようになっている。このように、表示装置17aを搭載した可動部材300を、基準位置から左右に回動(移動)させることで、変化に富んだ演出を行うことが可能となっている。可動部材300を回動(移動)させるタイミングは、特に限定されない。可動部材300を回動させる演出は、ボーナス遊技時やフリーズ演出時等に行うこともできるし、ボーナス遊技時やフリーズ演出時以外の通常遊技中に行うこともできる。
【0023】
可動部材300は、図示省略の可動部材駆動手段によって駆動される。可動部材駆動手段は、可動部材300に所望の動作(本実施態様においては、軸L
1を中心とした回転動作)をさせることができるものであれば、その種類を特に限定されないが、通常、正逆回転が可能なステッピングモーターが用いられる。可動部材駆動手段を設ける場所も、特に限定されないが、本実施態様においては、取付部材200の後面側に可動部材駆動手段を取り付けるようにしている。可動部材駆動手段の駆動力は、図示省略の動力伝達機構(歯車機構、カム機構又はリンク機構等)を介して、可動部材300に伝達されるようになっている。
【0024】
本実施態様における可動部材300は、表示装置17aを備えたものとなっているが、可動部材300は、取付部材200に対して移動可能に設けることができるものであれば、その具体的な構成や大きさを限定されない。したがって、可動部材300は、例えば、キャラクターを模した小型の役物であってもよいし、メイン表示ユニット16に相当する大きさの表示装置であってもよい。
【0025】
本実施態様の遊技機用可動式装置100は、基準位置(
図2(b))から回動(移動)した可動部材300が基準位置以外の箇所で停止したとしても、可動部材300を確実に基準位置に復帰させることができる可動部材復帰機構を備えている。可動部材300を基準位置に復帰させる方法としては、可動部材300を駆動するステッピングモーターのステップ数を読み取ること等によって可動部材300の位置を把握して、必要なステップ数だけ可動部材300を移動させることも考えられるが、その場合には、可動部材300を急加速させたり急停止させたりしたときや、繰り返し往復動させたときに、ステッピングモーターのステップ数の読み取りミスが蓄積する等して、可動部材300の現在位置が誤って認識されてしまい、可動部材300が正確に基準位置へと復帰されなくなる虞がある。そこで、本実施態様の遊技機用可動式装置100においては、可動部材復帰機構を備えることによって、ステッピングモーターのステップ数の読み取りミスが蓄積する等して可動部材300が基準位置からずれた位置で停止した場合であっても、可動部材300を確実に基準位置へと復帰させることができるようにしている。可動部材復帰機構の具体的な構成については後で詳しく説明するが、可動部材復帰機構は、可動部材300に設けられた第一係合体330(
図5を参照)と、取付部材200に設けられた第二係合体230(
図5を参照)とを係合させることで、可動部材300を基準位置へ復帰させるものとなっている。
【0026】
図3は、遊技機用可動式装置100における取付部材200と可動部材300とを分解した状態を示した後方斜視図である。
図4は、遊技機用可動式装置100における取付部材200と可動部材300とを組み付けた状態を示した後方斜視図である。
図3及び
図4においては、第一係合体330及び第二係合体230を目立つように網掛けハッチングで示している。
【0027】
本実施態様の遊技機用可動式装置100においては、
図3に示すように、可動部材300の中央部から後側(y軸方向正側)に軸部310が突出して設けられており、これを取付部材200の中央部に設けられた軸穴210に対して挿入することで、可動部材300を取付部材200に対して回動可能に支持させている。可動部材300の後面側には、突起状のガイド凸部320が設けられている。ガイド凸部320は、可動部材300と取付部材200とが組み付けられると、
図4に示すように、取付部材200に設けられたガイド穴220に挿通されて取付部材200の後面側に突出するようになっている。ガイド穴220は、軸L
1を中心とした円弧状に形成されており、可動部材300が回動する際にガイド凸部320を案内する。これによって、可動部材300が取付部材200に対して安定して回動できるようになっている。ガイド穴220及びガイド凸部320は、1組だけ設けてもよいが、本実施態様においては、軸L
1を中心とした回転対称な位置に2組設けている。ガイド穴220及びガイド凸部320は、3組以上設けてもよい。本実施態様における2つのガイド凸部320のうち、遊技機用可動式装置100の後面側から見て左側のものは、後述するように第一係合体330としても機能している。第一係合体330は、2つのガイド穴220のうち遊技機用可動式装置100の後面側から見て左側のガイド穴220(第一係合体挿入穴221)に挿通される。
【0028】
本実施態様において、可動部材300は、軸部310により取付部材200に対して回動可能に取り付けられているが、可動部材300を取付部材200に取り付ける方法は、可動部材300に所望の動作をさせることができるものであれば、特に限定しない。可動部材300は、取付部材200に対して、直線状や曲線状に往復移動するように取り付けることもできるし、回動移動と往復移動とを組み合わせた動き方をするように取り付けることもできる。その場合には、ガイド穴220や、後述する第一被検知部挿入穴261及び第二被検知部挿入穴262は、可動部材300の移動経路に合わせた形状とされる。
【0029】
取付部材200の後面側には、可動部材300の位置を検知するための可動部材検知手段110が設けられている。本実施態様において、可動部材検知手段110は、
図3及び
図4に示すように、第一検知手段110aと、第二検知手段110bとで構成されている。第一検知手段110aと、第二検知手段110bはいずれも、ON−OFF出力式(二値出力式)のものとなっている。可動部材300には、第一検知手段110aに検知させるための第一被検知部120aと、第二検知手段110bに検知させるための第二被検知部120bとが設けられている。可動部材300と取付部材200とが組み付けられると、第一被検知部120aは、取付部材200に設けられた第一被検知部挿入穴261に、第二被検知部120bは、取付部材200に設けられた第二被検知部挿入穴262に、それぞれ挿通されて、取付部材200の後面側に突出する。第一被検知部挿入穴261及び第二被検知部挿入穴262は、軸L
1を中心とした円弧状に形成される。第一検知手段110aは、その発光部110a
1と受光部110a
2が第一被検知部挿入穴261を挟むようにして取り付けられている。第二検知手段110bも、その発光部110b
1と受光部110b
2が第二被検知部挿入穴262を挟むようにして取り付けられている。本実施態様においては、第一被検知部挿入穴261と第二被検知部挿入穴262とをそれぞれ独立して設けたが、第一被検知部挿入穴261と第二被検知部挿入穴262は1つに集約してもよい。また、本実施態様において、第一検知手段110aと第二検知手段110bは、可動部材300の回動方向に対して位置を揃えて設けているが、可動部材300の回動方向に対して位置をずらして設けてもよい。
【0030】
本実施態様において、第一被検知部120aは、被検知片120a
1,120a
2を備えている。第二被検知部120bは、被検知片120b
1,120b
2を備えている。第一検知手段110aは、その発光部110a
1から出射された検知光が、被検知片120a
1又は被検知片120a
2に遮られて受光部110a
2で受光できないときには一の検知信号(本実施態様においてはON出力。以下においては、ON出力を「1」又は「ON」と表現することがある)を、受光部110a
2が検知光を受光したときには他の検知信号(本実施態様においてはOFF出力。以下においては、OFF出力を「0」又は「OFF」と表現することがある)を出力するようになっている。第二検知手段110bも、その発光部110b
1から出射された検知光が、被検知片120b
1又は被検知片120b
2に遮られて受光部110b
2で受光できないときには「1」を、受光部110b
2が検知光を受光したときには「0」を出力するようになっている。本実施態様においては、後述するように、第一検知手段110aの検知信号と、第二検知手段110bの検知信号とを組み合わせたものが、可動部材検知手段110の出力信号として出力されるようになっている。第一被検知部120a及び第二被検知部120bの有する被検知片の個数及び幅は、後で説明する第一被検知部120a及び第二被検知部120bの検知信号の組み合わせをどのようにするかに応じて、任意に設定することができる。
【0031】
可動部材検知手段110は、可動部材300の取付部材200に対する相対的位置を検知できるようになっていれば、その設置箇所を特に限定されない。可動部材検知手段110は、取付部材200ではなく可動部材300に設けてもよい。その場合には、第一被検知部120aと第二被検知部120bとは取付部材200に設けられる。しかし、可動部材300の構成をできるだけシンプルにして、配線の複雑化や可動部材300の重量化を避けるためには、可動部材検知手段110は取付部材200に設けると好ましい。
【0032】
図5は、可動部材復帰機構の動作を説明する背面図である。
図5においては、可動部材300が基準位置に位置している状態を示している。拡大
図Aは、第一係合体330と第二係合体230とが係合していないときの可動部材復帰機構付近を拡大したものであり、拡大
図Bは、第一係合体330と第二係合体230とが係合したときの可動部材復帰機構付近を拡大したものである。本実施態様において、上述した可動部材復帰機構は、
図5に示すように、可動部材300の後面に固定して設けられた第一係合体330と、取付部材200の後面に可動に設けられた第二係合体230と、第二係合体230を駆動する係合体駆動装置240と、第二係合体230の位置を検知する係合体検知手段250と、で構成されている。第一係合体330は、略円柱状に形成され、その側面に第一係合部331を備えている(
図3及び
図4も参照)。第一係合体330は、第一係合体挿入穴221に挿通されて取付部材200の後面側に突出した状態となっており、可動部材300の回動(移動)に伴って第一係合体挿入穴221内を一側方向(本実施態様においては、後面側から見て反時計回り方向。
図5における矢印D
1を参照。)又は他側方向(本実施態様においては、後面側から見て時計回り方向。
図5における矢印D
2を参照。)に移動する。第二係合体230は、奥へ行くほど狭くなるV字状凹部として形成された第二係合部231を備えている。第二係合体230は、第一係合体挿入穴221の近くに取り付けられており、可動部材300が基準位置にあるときの第一係合部331と、第二係合部231とが向かい合うように配置されている。
【0033】
第二係合体230は、係合体駆動装置240によって、第一係合体330と第二係合体230とが接近する係合方向(
図5の拡大
図Aにおける矢印D
3を参照。)と、第一係合体330と第二係合体230とが遠ざかる係合解除方向(
図5の拡大
図Bにおける矢印D
4を参照。)との両方向に、進退自在に駆動される。可動部材300が可動部材駆動手段によって駆動されて回動(移動)するときには、第二係合体230は、第一係合体330と第二係合体230とが互いに干渉しない退避位置(
図5の拡大
図Aに示される第二係合体230の位置)に位置している。可動部材300が可動部材駆動手段に駆動されないときには、第二係合体230は、係合体駆動装置240によって退避位置から係合方向に駆動されて、第一係合体330の第一係合部331と第二係合体230の第二係合部231とが係合する係合位置(
図5の拡大
図Bに示される第二係合体230の位置)に移動することができるようになっている。
【0034】
図6は、第一係合体330と第二係合体230とが係合する様子を示した部分拡大図である。
図6においては、便宜上、可動部材復帰機構の構成部材及び第一係合体挿入穴221のみを表示している。
図6(a)は、可動部材300に伴って移動する第一係合体330が、第二係合体230と対向する対向範囲(同図における範囲R
f)の一側端にあるときを、
図6(b)は可動部材300が基準位置にあるときを、
図6(c)は第一係合体330が対向範囲R
fの他側端にあるときを、それぞれ示している。既に述べたように、「第一係合体330と第二係合体230とが対向している状態(第一係合体330が対向範囲R
fにある状態)」とは、第一係合体330と第二係合体230とが当接も係合もしていない状態であって、その状態から第二係合体230を係合方向に移動させるだけで(可動部材300を可動部材駆動手段で駆動することなく)、第一係合部331を第二係合部231に係合させる(
図6(f)を参照)ことができる状態のことを言う。換言すると、第一係合体330が対向範囲R
f以外の範囲にあるとき(例えば、第一係合体330が、
図6(a)に示される位置よりも一側にあるときや、
図6(c)に示される位置よりも他側にあるとき)には、第二係合体230を係合方向に移動させただけでは、第一係合体330の第一係合部331と第二係合体230の第二係合部231とは当接せず、又は、当接したとしても第一係合部331を第二係合部231に係合させることはできない。
【0035】
図6に示されるように、第一係合体330が対向範囲R
fにあって、可動部材300が可動部材駆動手段によって駆動されていないときには、第二係合体230を係合方向に移動させるだけで、可動部材300を基準位置に復帰させることができるようになっている。すなわち、
図6(a)〜(c)に例示される、第一係合体330が対向範囲R
fにある状態から、第二係合体230を係合方向に移動させると、
図6(d)や
図6(e)に示すように、第一係合部331が、第二係合部231に当接して案内され、
図6(f)に示すように、第二係合部231の最奥部(後述する基準係合部231a)に係合される。第一係合体330は可動部材300に固定して設けられているため、第一係合体330が移動して基準係合部231aに係合する過程に伴って、可動部材300が回動(移動)して基準位置へと復帰されるようになっている。
【0036】
このように、可動部材300を基準位置へ復帰させるためには、第一係合体330を確実に対向範囲に位置させる必要がある。この点、本発明の遊技機用可動式装置100においては、可動部材検知手段110によって可動部材300の位置を検知することで、第一係合体330を確実に対向範囲に位置させることができるようになっている。すなわち、可動部材検知手段110は、可動部材300が、基準位置を含む所定の基準範囲に位置しているときには一の出力信号を出力し、基準範囲以外の場所に位置しているときには、一の出力信号とは異なる出力信号を出力して、可動部材300が基準範囲に位置しているかどうかを検知する。可動部材300に伴って移動する第一係合体330は、可動部材300が基準範囲にあるときには、必ず対向範囲に位置するようになっている。したがって、可動部材300が基準範囲に位置していると可動部材検知手段110によって検知されるときには、第二係合体230を係合方向に移動させるだけで、可動部材300を基準位置へと復帰させることができるようになっている。一方、可動部材300が基準範囲に位置していないと可動部材検知手段110によって検知されるときには、可動部材駆動手段によって、可動部材300が基準範囲に位置すると検知されるまで可動部材300を移動させることで、第一係合体330を対向範囲に位置させて、可動部材300を基準位置へと復帰させることができるようになっている。可動部材検知手段110の出力信号については、後で詳しく説明する。
【0037】
3. 可動部材復帰機構
次に、可動部材復帰機構について、
図5及び
図6を参照しながら詳しく説明する。本実施態様の遊技機用可動式装置100において、可動部材復帰機構は、上述したように、第一係合体330と、第二係合体230と、係合体駆動装置240と、係合体検知手段250とで構成されている。
【0038】
本実施態様において、第二係合体230の第二係合部231は、
図6(d)の拡大図及び
図6(e)の拡大図に示すように、その最奥部に位置する基準係合部231aと、基準係合部231aに隣接して設けられ、第一係合部331(第一係合体330)を基準係合部231aへと案内するための案内部231bとを備えたものとなっている。基準係合部231aは、可動部材300が基準位置にあるときに第一係合部331と係合するための部分となっている。第二係合体230は、
図5の拡大
図A,Bに示すように、それに設けられた2箇所のスリット232のそれぞれに、取付部材200に設けられた固定部材233が挿通されることによって、取付部材200に取り付けられている。スリット232は、第二係合体230の移動方向と平行に形成されており、第二係合体230の係合方向及び係合解除方向への移動をガイドするとともに、第二係合体230の移動可能範囲を制限するためのものとなっている。第二係合体230を取付部材200に固定する方法は、第二係合体230を所望の範囲で進退自在に移動可能に取り付けることができるものであれば、特に限定されない。
【0039】
図6(a)〜(c)に示すように、第一係合体330と第二係合体230とが対向しているとき(第一係合体330が対向範囲R
fにあるとき)に、第二係合体230を係合体駆動装置240によって係合方向へ駆動すると、
図6(a)や
図6(c)に示すように、可動部材300が基準位置にない場合には、
図6(d)や
図6(e)に示すように、第一係合部331が第二係合部231の案内部231bに当接して、第一係合体330が、第二係合部231の案内部231bから押圧力F
1を受けるようになる。第一係合体330は、軸L
1を中心として回動可能な状態で支持されているため、押圧力F
1における、軸L
1を中心とした回動方向成分F
2によって、第一係合体330を、軸L
1を中心とした回動方向に回動させる回転モーメントが発生する。この回転モーメントにより、第一係合体330が第一係合体挿入穴221内を移動し、これに伴って可動部材300が基準位置に向かって回動(移動)する。
図6(f)に示すように、第一係合部331が基準係合部231aに係合し、第二係合体230が係合位置に達すると、可動部材300が基準位置へと復帰する。なお、可動部材300が基準位置にある場合(
図6(b))に、第二係合体230を係合体駆動装置240によって係合方向へ駆動すると、第一係合部331は案内部231bに当接することなく、基準係合部231aに直接係合する(
図6(f))。
【0040】
第二係合体230が係合位置に達すると、これを二値出力式の係合体検知手段250が検知して、第二係合体230の係合方向への駆動が停止される。すなわち、
図5の拡大
図Aに示すように、第二係合体230が退避位置にあるときには、係合体検知手段250の検知光は、第二係合体230に設けられた係合体被検知部234によって遮られているのに対し、第二係合体230が係合方向に移動して係合位置に達すると、
図5の拡大
図Bに示すように、当該検知光は、遮られない状態となる。これにより、第二係合体230が係合位置に達したことが検知される。係合体検知手段250は、第二係合体230が係合位置に達したことを検知できるものであれば、その種類や検知方法を特に限定されない。係合体駆動装置240がステッピングモーター等で駆動されている場合には、係合体検知手段250を設けず、ステッピングモーターのステップ数管理等によって第二係合体230の駆動を制御するようにしてもよい。
【0041】
係合体駆動装置240は、第一係合体330又は第二係合体230を進退自在に駆動できるものであれば、その種類を特に限定されない。本実施態様において、係合体駆動装置240には、ステッピングモーターを用いている。係合体駆動装置240が、その駆動力を第二係合体230に伝達する機構については、第二係合体230を係合位置と退避位置との間で進退自在に移動させることができるものであれば特に限定しない。本実施態様においては、図示省略の、ラック・アンド・ピニオン機構によって係合体駆動装置240の駆動力を第二係合体230に伝達している。
【0042】
本実施態様においては、第二係合体230のみが係合体駆動装置240によって駆動されるようになっているが、第一係合体330が駆動されるようにしてもよいし、第一係合体330と第二係合体230との両方が駆動されるようにしてもよい。しかし、第一係合体330を駆動しようとすると、係合体駆動装置240と同様の係合体駆動装置を可動部材300側に設ける必要が生じ、可動部材300が重くなって可動部材駆動手段に負担がかかる虞がある。このため、本実施態様のように、第二係合体230のみを駆動するようにすると好ましい。
【0043】
本実施態様においては、第一係合部331が円柱側面状に形成されており、第二係合部231が案内部231bと基準係合部231aとを備え、奥へ行くほど狭くなる凹状に形成されているが、第一係合部331及び第二係合部231の形状は、これに限定されない。第一係合部331及び第二係合部231の形状は、第一係合部331と第二係合部231とを当接させて係合させる過程に伴って、可動部材300を基準位置に復帰させることのできる各種の形状を採用することができる。可動部材300を滑らかにかつ確実に基準位置へ復帰させるためには、本実施態様のように、第一係合部331及び第二係合部231は、一方を凸状係合部とし、他方を凹状係合部とすると好ましい。凸状係合部は、角のある形状とすることもできるが、凹状係合部と凸状係合部とを滑らかに係合させるためには、凸状係合部は、角のない形状とすると好ましい。
【0044】
案内部231bの形状は、凸状係合部を基準係合部231aへと確実に案内することができるものであれば、特に限定されない。案内部231bは、基準係合部231aの両隣に設けても、片隣だけに設けてもよい。本実施態様のように、案内部231bを基準係合部231aの両隣に設ける場合には、基準係合部231aの両隣における案内部231bの形状は、基準係合部231aに対して対称となるようにしてもよいし、非対称となるようにしてもよい。案内部231bは、膨らんだ曲面状や、凹んだ曲面状としてもよい。本実施態様においては、案内部231bは、基準係合部231aに対して対称な略平面状に形成している。
【0045】
案内部231bと、凸状係合部又は凹状係合部の進退移動方向とが成す角度α(
図6(d)の拡大図又は
図6(e)の拡大図を参照)は特に限定されない。しかし、角度αが大きすぎると、押圧力F
1に対する回動方向成分F
2が小さくなり、生じる回転モーメントの大きさも小さくなって、凸状係合部を基準係合部231aへ案内する際に、係合体駆動装置240に大きな負担がかかってしまう虞がある。このため、角度α(案内部231bが曲面状であって、場所によって角度αが異なる場合には、その最大値。以下、αの上限値において同じ。)は、75°以下とすると好ましく、60°以下とするとより好ましく、50°以下とすると更に好ましい。一方、角度αを小さくしすぎると、対向範囲が狭くなってしまい、狭い範囲にある可動部材300しか基準位置へ復帰させることができなくなってしまう。このため、角度α(案内部231bが曲面状であって、場所によって角度αが異なる場合には、その最小値。以下、αの下限値において同じ。)は、20°以上とすると好ましく、30°以上とするとより好ましく、40°以上とすると更に好ましい。基準係合部231aの両隣に案内部231bを設ける場合には、それぞれの案内部231bの角度αは、同一とすることもできるし、異なる角度とすることもできる。本実施態様における案内部231bは、いずれも平面状となっており、その角度αは共に45°となっている。
【0046】
基準係合部231aの形状は、凸状係合部を係合することができるものであれば、特に限定されない。しかし、基準係合部231aに係合した凸状係合部が、基準係合部231a内で動くことができるようになっていると、基準係合部231aに凸状係合部を係合させたとしても、基準位置に復帰した可動部材300にガタツキが生じやすくなってしまう。このため、基準係合部231aは、凸状係合部と係合した際には、凸状係合部が可動部材300を伴って移動する方向には移動しないように、凸状係合部を拘束できる形状とすると好ましい。本実施態様における基準係合部231aは、両隣の案内部231bにそれぞれ滑らかに連続する2つの平面と、これらの2つの平面を滑らかにつなぐ凹状の曲面とで形成されている。
【0047】
4. 可動部材検知手段
次に、可動部材検知手段110の出力信号について詳しく説明する。
図7〜10は、可動部材300が様々な位置にあるときの、第一検知手段110a及び第二検知手段110bと第一被検知部120a及び第二被検知部120bとの位置関係を示す背面拡大図である。
図7は可動部材300が基準位置にあるときを、
図8は可動部材300が基準位置以外の基準範囲にあるときを、
図9は可動部材300が基準範囲の一側に隣接する一側隣接範囲にあるときを、
図10は可動部材300が基準範囲の他側に隣接する他側隣接範囲にあるときを、それぞれ示している。
図7〜10においては、可動部材300の位置を、可動部材300に伴って回動(移動)する参照線L
2の回動角度θで示している。
図7〜10における、第一係合体330や第二係合体230とは異なる種類の網掛けハッチングは、可動部材300が基準範囲にあるときに参照線L
2が動く範囲を示しており、破線は、可動部材300が基準位置にあるときの参照線L
2の位置を示している。角度θは、遊技機用可動式装置100の後面側から見て可動部材300が反時計回りに回動する方向(一側方向)を負方向、その逆(他側方向)を正方向としている。
【0048】
可動部材300が移動(回動)すると、それに伴って第一被検知部120a及び第二被検知部120bも移動する。可動部材300が基準位置にあるときには、
図7の拡大図に示すように、第一検知手段110a及び第二検知手段110bは、第一被検知部120aの被検知片120a
1及び第二被検知部120bの被検知片120b
2にそれぞれその検知光を遮られて、共にON(1)を出力している。可動部材300が基準範囲における基準位置以外の場所へ移動した場合にも、
図8の拡大図に示すように、第一検知手段110a及び第二検知手段110bは共にその検知光を遮られたままであり、共にON(1)を出力し続ける。換言すると、可動部材300が基準範囲にある限りは、第一検知手段110a及び第二検知手段110bの検知信号は変化しない。一方、可動部材300が基準範囲から一側隣接範囲に移動したときには、
図9の拡大図に示すように、第一検知手段110aはその検知光を遮られたままであり、ON(1)を出力し続けるが、第二検知手段110bはその検知光が遮られることなく受光部110b
2に受光されるようになり、OFF(0)を出力するようになる。このため、第一検知手段110aの検知信号と第二検知手段110bの検知信号との組み合わせである可動部材検知手段110の出力信号は、可動部材300が基準範囲にあるときと、一側隣接範囲あるときとで異なるようになっている。同様に、可動部材300が基準範囲から他側隣接範囲に移動したときには、
図10の拡大図に示すように、第二検知手段110bはその検知光を遮られたままであり、ON(1)を出力し続けるが、第一検知手段110aはその検知光が遮られることなく受光部110a
2に受光されるようになり、OFF(0)を出力するようになる。このため、可動部材検知手段110の出力信号は、可動部材300が基準範囲にあるときと、他側隣接範囲あるときとでも異なるようになっている。
【0049】
図11は、可動部材300の位置と可動部材検知手段110の出力信号との関係を表す模式図である。
図11において、可動部材300の位置は、
図7〜10において使用した角度θによって表しており、紙面上の左手方向を負方向である一側方向(矢印D
1)、右手方向を正方向である他側方向(
図11における矢印D
2)としている。
図11に示すように、第一検知手段110a及び第二検知手段110bは、可動部材300の位置に応じてON(1)又はOFF(0)を出力する。本実施態様において、可動部材検知手段110の出力信号は、上述したように、第一検知手段110aの出力値Xと、第二検知手段110bの出力値Yとを組み合わせたものとなっており、(X,Y)=(0,0)、(0,1)、(1,0)又は(1,1)のいずれかとなっている。可動部材検知手段110の出力信号は、
図11に示すように、可動部材300が基準範囲にあるときには(1,1)となっており、可動部材300が一側隣接範囲にあるときには(1,0)となっており、可動部材300が他側隣接範囲にあるときには(0,1)となっている。以下においては、一側隣接範囲と他側隣接範囲とをまとめて「隣接範囲」と呼ぶことがある。このように、可動部材検知手段110は、可動部材300が基準範囲にあるときと隣接範囲にあるときとで異なる出力信号を出力して、可動部材300が基準範囲にあることを検知することができるものとなっている。
【0050】
一側隣接範囲、基準範囲、他側隣接範囲の各範囲に割り当てられる可動部材検知手段110の出力信号の組み合わせは、上で述べたものに限定されず、基準範囲に割り当てられる出力信号が、一側隣接に割り当てられる出力信号及び他側隣接に割り当てられる出力信号のいずれとも異なっていれば、どのような組み合わせであってもよい。しかし、第一検知手段110a及び第二検知手段110bのうち一方が、一側隣接範囲、基準範囲、他側隣接範囲のすべてにおいて同じ検知信号を出力するようにすると、何らかの不具合によって他方が機能しなくなった場合に、可動部材300を基準範囲に位置させるための情報が全く得られなくなってしまう虞がある。このため、第一検知手段110aは、可動部材300が基準範囲にあるときと一側隣接範囲にあるときとで同じ検知信号を出力し、可動部材300が基準範囲にあるときと他側隣接範囲にあるときとで異なる検知信号を出力するようにするとともに、第二検知手段110bは、可動部材300が基準範囲にあるときと他側隣接範囲にあるときとで同じ検知信号を出力し、可動部材300が基準範囲にあるときと一側隣接範囲にあるときとで異なる検知信号を出力するようにすると好ましい。このような組み合わせとしては、例えば、一側隣接範囲、基準範囲、他側隣接範囲の順に、
{(0,1)、(0,0)、(1,0)}や、
{(0,0)、(0,1)、(1,1)}や、
{(1,1)、(1,0)、(0,0)}や、
{(1,0)、(1,1)、(0,1)}が挙げられる。
これにより、第一検知手段110aに不具合が生じた場合でも、第二検知手段110bによって、可動部材300が、基準範囲から一側隣接範囲に出たこと、又は、一側隣接範囲から基準範囲に入ったことを検知できる。同様に、第二検知手段110bに不具合が生じた場合でも、第一検知手段110aによって、可動部材300が、基準範囲から他側隣接範囲に出たこと、又は、他側隣接範囲から基準範囲に入ったことを検知できる。これらの情報と、可動部材300を駆動するステッピングモーターのステップ数等、他の情報とを組み合わせることによって、第一検知手段110a及び第二検知手段110bのうち一方に不具合が生じたときであっても、可動部材300を基準範囲内に位置させて基準位置へと復帰させることができる。
【0051】
本実施態様の可動式装置100においては、
図11においては省略されているが、
図7〜10等に示されるように、被検知片120b
1を設けることによって、一側隣接範囲の更に一側に(X,Y)=(0,0)となる一側警戒範囲を、その更に一側に(X,Y)=(0,1)となる一側限界範囲を、共に隣接して設けている。また、被検知片120a
2を設けることによって、他側隣接範囲の更に他側に、(X,Y)=(1,1)となる他側警戒範囲を、その更に他側に(X,Y)=(1,0)となる他側限界範囲を、共に隣接して設けている。これにより、基準範囲以外にあるときの可動部材300の位置を、よりきめ細かく検知することが可能になる。しかし、本発明の可動式装置100においては、少なくとも、基準範囲と、その両隣に隣接して設けられた隣接範囲とが設けられていれば足りる。
【0052】
基準範囲は、基準位置を含み、かつ、可動部材300が基準範囲にあるときには必ず第一係合体330が対向範囲にあるようになっていれば、その大きさや位置を特に限定されない。基準範囲は、基準位置の一側と他側で対称となるように設けてもよいし、基準位置の一側と他側で非対称となるように設けてもよい。しかし、基準範囲を大きくしすぎると、第一係合体330と第二係合体230とが対向する対向範囲も大きくする必要が生じ、第一係合体330や第二係合体230が大型化して、筐体内で余分なスペースを取ってしまう虞がある。このため、可動部材300が取付部材200に対して回動移動するものである場合には、基準範囲の占める回動角は、30°以下とすると好ましく、20°以下とするとより好ましく、10°以下とすると更に好ましい。一方、基準範囲を小さくしすぎると、可動部材300を基準範囲内で確実に停止できない虞がある。例えば、後述するように、可動部材300を基準範囲において繰り返し往復動させる基準範囲往復モードを実行する等、可動部材300を高速で回動(移動)させた後に基準範囲内で停止させるという動作を行う場合において、基準範囲が小さすぎると、可動部材300が基準範囲に入ったことを可動部材検知手段110が検知した直後に可動部材300を制止したとしても、可動部材300が基準範囲を出てから停止してしまう虞がある。また、基準範囲を小さくしすぎると、可動部材300を往復動させることができる範囲が狭くなってしまい、インパクトのある演出を行うこともできなくなってしまう。このため、基準範囲の占める回動角は、3°以上とすると好ましく、4°以上とするとより好ましく、5°以上とすると更に好ましい。本実施態様における基準範囲は、基準位置から一側、他側共に3°ずつとなっており、合わせて6°を占めるものとなっている。
【0053】
基準範囲は、第一係合体330と第二係合体230とが対向する範囲(第一係合体330が対向範囲に位置する範囲)に含まれるようにしてもよいが、第一係合体330と第二係合体230とが対向する範囲と一致するようにすると好ましい。というのも、基準範囲と、第一係合体330と第二係合体230とが対向する範囲とを一致させると、第一係合体330が対向範囲に位置しているときには可動部材検知手段110が一の出力信号を出力し、第一係合体330が対向範囲にないときには可動部材検知手段110が一の出力信号とは異なる出力信号を出力するようになる。このため、第一係合体330が対向範囲にあるかどうか、換言すると、可動部材300を駆動しなくても可動部材300を基準位置へ復帰可能かどうかを、より精度良く判別できるようになるからである。また、後述する基準範囲往復モードを備える場合には、可動部材300を基準位置へ復帰できる範囲の全域にわたって可動部材300を往復動させることができるようになるという利点もある。このため、本実施態様における基準範囲は、第一係合体330と第二係合体230とが対向する範囲と一致するようになっている。
【0054】
可動部材検知手段110は、可動部材300が基準範囲にあることを検知することができるものであれば、その具体的構成を限定されない。したがって、可動部材検知手段110は、1つの検知手段のみで構成してもよく、二値出力式以外の検知手段を採用してもよい。しかし、本実施態様のように、可動部材検知手段110を二値出力式の第一検知手段110aと第二検知手段110bとで構成すると、コストを低く抑えながら、可動部材300の位置を精度良く検知することができるため好ましい。
【0055】
可動部材検知手段110を、第一検知手段110aと第二検知手段110bとで構成する場合には、第一検知手段110a及び第二検知手段110bは、それぞれ第一被検知部120a及び第二被検知部120bを検知できる二値出力式のセンサであれば特に限定されず、接触式センサを用いてもよい。しかし、検知の安定性等を考慮すると、第一検知手段110a及び第二検知手段110bには、非接触式センサを用いると好ましい。非接触式センサとしては、光電センサや近接センサ等が例示される。なかでも、光電センサは、被検知部が非金属(樹脂等)であっても検知でき、コストが安く、小型のものが充実していて省スペース化も容易であるために好ましい。光電センサは、透過型と反射型のものとに大別されるが、検知の安定性等を考慮すると透過型のものが好ましい。本実施態様においても、第一検知手段110a及び第二検知手段110bには、透過型の光電センサを用いている。
【0056】
5. 基準範囲往復モード
最後に、本発明の遊技機用可動式装置100において好適に実行することができる動作モードについて説明する。本発明の遊技機用可動式装置100は、遊技中の所定のタイミングにおいて、基準範囲から出ない範囲で可動部材300を繰り返し往復動させたのち、可動部材300を基準位置へと移動させる基準範囲往復モードを備えることができるものとなっている。本実施態様における基準位置往復モードは、基準範囲内において可動部材300を繰り返し往復回動させて、可動部材300を左右に揺動させる演出を行ったのち、可動部材300の駆動を停止してから第一係合体330と第二係合体230とを係合させて、可動部材300を基準位置へと復帰させるものとなっている。
【0057】
基準範囲往復モードは、本発明の遊技機用可動式装置100が、可動部材復帰機構を備えていることで実現可能となっている動作モードである。というのも、仮に、遊技機用可動式装置100が可動部材復帰機構を備えておらず、可動部材300を駆動するステッピングモーターのステップ数を読み取ること等のみによって可動部材300の位置を把握して、可動部材300を基準位置に復帰させるものである場合には、可動部材300を繰り返し往復動させると、ステッピングモーターのステップ数の読み取りミスが蓄積しやすくなるため、可動部材300の位置を誤って認識してしまい、可動部材300を基準位置へ正確に復帰させることができなくなる虞があるからである。これは、本実施態様のように可動部材300が表示装置17aを備えている場合等、可動部材300が基準位置から若干ずれただけでも遊技者に強い違和感を与える虞がある場合には、特に大きな問題となる。ステッピングモーターのステップ数の読み取りミスは、可動部材300を急加速させたり急停止させたりした場合に特に生じやすいため、可動部材300を高速で往復動させる動作は、ステッピングモーターのステップ数を読み取るという構成を備えただけでは、特に実現することが難しいものとなっている。また仮に、ステッピングモーターのステップ数を読み取ることに加え、可動部材検知手段110も備えて可動部材300の位置を検知できるようにした場合であっても、可動部材検知手段110の出力信号が切り替わる境界を可動部材300が通過しなければ可動部材300の位置を検知することができないため、可動部材300を、基準範囲と、一側隣接範囲又は他側隣接範囲の少なくとも一方との間を出入りしながら往復動させる必要があり、出力信号の処理負荷が大きくなってしまう。また、出力信号を処理しながら可動部材300を往復動させるようになるため、出力信号の処理スピードが律速となり、やはり高速で可動部材300を往復動させることが難しくなる。
【0058】
この点、可動部材復帰機構を備えた本発明の遊技機用可動式装置100においては、可動部材300を何度繰り返して往復動させたとしても、あるいは高速で往復動させたとしても、基準範囲におけるいずれかの位置に可動部材300がありさえすれば、第一係合部331と第二係合部231とを係合させて確実かつ正確に可動部材300を基準位置へ復帰させることができる。また、この際、可動部材300は基準範囲から出ないようになっているため、可動部材300を往復動させる間に可動部材検知手段110の出力信号が切り替わることが無く、出力信号の処理負担が大きくなってしまうこともない。基準範囲往復モードを行うタイミングは特に限定されないが、ボーナス遊技時やフリーズ演出時に行うと効果的である。基準範囲往復モードにおいて、可動部材300は、基準範囲を出なければ、どのように往復動させてもよい。可動部材300を往復動させる範囲は、基準範囲全域としても、基準範囲の一部としてもよく、基準位置を含んでいても、含まなくてもよい。可動部材300を往復動させる際に、可動部材300が移動方向を反転させる位置は、往復するたびに異なっていても、毎回同じであってもよい。
可動部材300を、基準位置から一側及び他側の両方向に移動可能となるように、取付部材200に設ける。可動部材300が基準位置を含む基準範囲にあるときには、可動部材300に設けられた第一係合体330と、取付部材200に設けられた第二係合体230とが対向するようにし、その状態で第一係合体330又は第二係合体230を、互いに近付く方向に向かって移動させて、第一係合体330に設けられた第一係合部331と、第二係合体230に設けられた第二係合部231とを係合させることで、可動部材300が基準位置以外にあったとしても、可動部材300を強制的に基準位置へ移動させることができるようにした。