特許第6072337号(P6072337)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】6072337
(24)【登録日】2017年1月13日
(45)【発行日】2017年2月1日
(54)【発明の名称】無線通信装置及び無線通信システム
(51)【国際特許分類】
   H04W 84/20 20090101AFI20170123BHJP
   H04B 1/38 20150101ALI20170123BHJP
   H04M 3/56 20060101ALI20170123BHJP
【FI】
   H04W84/20
   H04B1/38
   H04M3/56 B
【請求項の数】10
【全頁数】22
(21)【出願番号】特願2016-133569(P2016-133569)
(22)【出願日】2016年7月5日
【審査請求日】2016年7月5日
【早期審査対象出願】
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】000101662
【氏名又は名称】アルインコ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100101454
【弁理士】
【氏名又は名称】山田 卓二
(74)【代理人】
【識別番号】100081422
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 光雄
(74)【代理人】
【識別番号】100125874
【弁理士】
【氏名又は名称】川端 純市
(72)【発明者】
【氏名】國分 二郎
【審査官】 田畑 利幸
(56)【参考文献】
【文献】 特開2015−173376(JP,A)
【文献】 特開平10−174147(JP,A)
【文献】 特開2009−033363(JP,A)
【文献】 特開2009−033360(JP,A)
【文献】 特開2001−160858(JP,A)
【文献】 特開平06−237483(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04B 7/24− 7/26
H04W 4/00−99/00
H04B 1/38− 1/58
H04M 3/38− 3/58
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
中継機として動作する親機と、少なくとも3個の子機とを備えた同時通話無線通信システムのための無線通信装置であり、上記親機として動作する無線通信装置であって、
キャリアセンスを行い、所定のペアチャンネルで無線信号を送受信する送信手段及び受信手段と、
上記ペアチャンネルとは別のチャネルであって互いに異なる少なくとも3個のチャネルのうちの1個のチャネルでそれぞれ無線信号を受信する少なくとも3個のサブ受信手段と、
上記各サブ受信手段で受信された各無線信号を復調して復調された各音声信号を加算混合して、加算混合後の音声信号を上記送信手段に出力する音声混合手段とを備えたことを特徴とする無線通信装置。
【請求項2】
上記無線通信装置は特定小電力無線局無線電話用無線設備であり、
上記送信手段は空中線電力10mWで無線信号を送信可能であることを特徴とする請求項1記載の無線通信装置。
【請求項3】
親機として動作する請求項1又は2記載の無線通信装置である第1の無線通信装置と、子機として動作する少なくとも3個の第2の無線通信装置とを備えた無線通信システムであって、
上記第2の無線通信装置は、
キャリアセンスを行い、所定のペアチャンネルで上記第1の無線通信装置との間で無線信号を送受信する送信手段及び受信手段と、
上記ペアチャンネルとは別のチャネルで無線信号を受信するサブ受信手段とを備えたことを特徴とする無線通信システム。
【請求項4】
上記第2の無線通信装置は特定小電力無線局無線電話用無線設備であり、
上記第2の無線通信装置の送信手段は空中線電力10mWで無線信号を送信可能であることを特徴とする請求項記載の無線通信システム
【請求項5】
上記第1の無線通信装置の各サブ受信手段の受信チャネルは、なくとも3個の上記第2の無線通信装置の送信手段の送信チャネルであり、
上記第1の無線通信装置の送信手段の送信チャネルは、なくとも3個の上記第2の無線通信装置のサブ受信手段の受信チャネルであることを特徴とする請求項3又は4記載の無線通信システム。
【請求項6】
中継機として動作する第1の子機と、少なくとも2個の第2の子機とを備えた同時通話無線通信システムのための無線通信装置であり、上記第1の子機として動作する無線通信装置であって、
キャリアセンスを行い、所定のペアチャンネルで無線信号を送受信する送信手段及び受信手段と、
上記ペアチャンネルとは別のチャネルで無線信号を受信する少なくとも1個のサブ受信手段と、
上記少なくとも1個のサブ受信手段及び上記受信手段で受信された各無線信号を復調して復調された各音声信号と、上記第1の子機からの音声信号とを加算混合して、加算混合後の音声信号を上記送信手段に出力する音声混合手段とを備えたことを特徴とする無線通信装置。
【請求項7】
上記無線通信装置は特定小電力無線局無線電話用無線設備であり、
上記送信手段は空中線電力10mWで無線信号を送信可能であることを特徴とする請求項記載の無線通信装置。
【請求項8】
第1の子機として動作する請求項6又は7記載の無線通信装置である第1の無線通信装置と、第2の子機として動作する少なくとも2個の第2の無線通信装置とを備えた無線通信システムであって
上記第2の無線通信装置は、
キャリアセンスを行い、所定のペアチャンネルで上記第1の無線通信装置との間で無線信号を送受信する送信手段及び受信手段と、
上記ペアチャンネルとは別のチャネルで無線信号を受信するサブ受信手段とを備えたことを特徴とする無線通信システム。
【請求項9】
上記第2の無線通信装置は特定小電力無線局無線電話用無線設備であり、
上記第2の無線通信装置の送信手段は空中線電力10mWで無線信号を送信可能であることを特徴とする請求項記載の無線通信システム
【請求項10】
上記第1の無線通信装置の受信手段の受信チャネルは、なくとも2個の上記第2の無線通信装置のうちの1個の第2の無線通信装置の送信手段の送信チャネルであり、
上記第1の無線通信装置のサブ受信手段の受信チャネルは、なくとも2個の上記第2の無線通信装置のうちの別の1個の第2の無線通信装置の送信手段の送信チャネルであり、
上記第1の無線通信装置の送信手段の送信チャネルは、なくとも2個の上記第2の無線通信装置のうちの1個の第2の無線通信装置の受信手段の受信チャネル、及びなくとも2個の上記第2の無線通信装置のうちの別の1個の第2の無線通信装置のサブ受信手段の受信チャネルであることを特徴とする請求項8又は9記載の無線通信システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、他の無線通信装置と同時通話を行う無線通信装置、及び同時通話を行う複数の無線通信装置を備えた無線通信システムに関する。
【背景技術】
【0002】
周波数の有効利用及び他の利用者との混信の回避を図る目的から国の技術基準と、併せて無線設備の適正品質、互換性の確保等、無線機器製造者及び利用者の利便を図る目的から、「特定小電力無線局無線電話用無線設備標準規格」が非特許文献1において定められている。この特定小電力無線局は無線局の免許が不要であることから全国で広く普及している。
【0003】
非特許文献1の2ページにおいて、標準システムの運用形態として「基本型」、「エリア拡大型」に分類でき、当該「基本型」として「対向型」、「集中基地型」が開示されている。また、非特許文献1の4〜9ページにおいて、同時通話を行うための「同報通信方式」又は「複信方式」の通信方式を用いる周波数帯、空中線電力、チャネル数、使用周波数が規定されている。
【0004】
以下、同時通話を行う従来例にかかる無線通信システムの構成例について以下に説明する。なお、以下の従来例及び実施例においては、非特許文献1に規定する使用周波数及びチャネルを準拠してその一例について説明するものである。図面において、例えば454MHz帯CHAは454MHz帯のチャネルAを表し、以下同様である。
【0005】
図1は従来例1にかかる無線通信システムの構成例を示すブロック図である。図1の無線通信システムは、中継機である親機110と、例えば3個の子機101〜103とを備えて構成される。ここで、子機101〜103は互いに異なる送信周波数を有する1mW無線送信部と、互いに同じ受信周波数を有する無線受信部とを備える。一方、親機110は子機101〜103の無線受信部の受信周波数と同じ送信周波数を有する無線送信部と、各子機101〜103の無線送信部の送信周波数とそれぞれ同じ受信周波数を有する3個の無線受信部と、3個の無線受信部からの音声信号を加算混合して無線送信部に出力する加算器111とを備える。以上のように構成することで、同時通話用無線通信システムを構成している。
【0006】
図2は従来例2にかかる無線通信システムの構成例を示すブロック図である。図2の無線通信システムは、中継機である親機210と、例えば3個の子機201〜203とを備えて構成される。ここで、子機201〜203は互いに異なるペアチャネルの送受信周波数を有する10mW無線送信部及び無線受信部を備える。一方、親機210は、子機201と同時通話通信を行う中継装置211と、子機202と同時通話通信を行う中継装置212と、子機203と同時通話通信を行う中継装置213と、中継装置211〜213の各無線受信部からの音声信号を加算混合して分配器215に出力する加算器214と、加算器214からの音声信号を中継装置211〜213の各10mW無線送信部に3分配するように出力する分配器215とを備える。以上のように構成することで、同時通話用無線通信システムを構成している。
【0007】
ところで、従来例1の基本構成を有する無線通信システムが以下の特許文献1〜3において開示されている。
【0008】
特許文献1においては、複数の受信復調手段の出力信号を加算した音声信号を更に別の無線中継機の受信復調手段の出力信号に追加して加算することにより、無線中継機が製品として完成した後でも同時通話可能な無線通信機の数を理論上無限に増やすことができる無線中継機が開示されている。当該無線中継機は、無線電波を受信し音声信号を復調するための複数の受信復調手段と、音声信号を入力するための外部入力端子と、上記複数の受信復調手段によって出力されたそれぞれの復調信号及び上記外部入力端子から入力された音声信号を加算するためのミキサと、音声信号を変調し無線電波として送信するための変調送信手段と、上記変調送信手段を作動若しくは停止させるためのスイッチと、上記ミキサによって加算された音声信号を外部へ出力するための外部出力端子とを備える。
【0009】
また、特許文献2においては、複数の受信復調手段の出力信号を加算した音声信号を別の無線中継機内部の一つの受信復調手段の受信周波数として変調送信することにより、無線中継機が製品として完成した後でも同時通話可能な無線通信機の数を理論上無限に増やすことができる無線中継機が開示されている。当該無線中継機は、無線電波を受信し音声信号を復調するための複数の受信復調手段と、上記複数の受信復調手段によって出力されたそれぞれの復調信号を加算するためのミキサと、音声信号を変調し無線電波として送信するための変調送信手段と、複数の無線通信機が共有する一つの受信周波数を上記変調送信手段の第1の送信周波数とし、自局以外の他の一つの無線中継機内の一つの受信復調手段の受信周波数を上記変調送信手段の第2の送信周波数として設定することの出来る周波数設定手段と、上記第1及び第2の送信周波数を選択することが出来るスイッチとを備える。
【0010】
さらに、特許文献3においては、中継機能を持つ親機を介して親子間又は子機間の同時通話内容をすべての無線機にて受信可能とし、かつ、同時通話中でも他の子機が通話用の電波を発射可能な安価な複数無線機同時通話システムが開示されている。当該複数無線機同時通話システムは、子機へ同時通話内容を中継する親機として、受信チャネル周波数と送信チャネル周波数とをそれぞれ固有に割り当てた少なくとも2台以上の中継器1を中継ケーブルにより互いに相互接続し、制御部からの制御により、マイクアンプからのマイク入力信号、受信機で受信した子機からの受信信号、他の中継器からの中継ケーブル経由の入力信号、及び、これらの信号の中から第1のセレクタで選択した信号同士を混合器で混合した混合信号、のうちのいずれかを、第2のセレクタで選択してすべての子機に対して通話信号として送信機から送信し、また、第3のセレクタで選択して他の中継器に中継ケーブルにより送信する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0011】
【特許文献1】特開2009−010900号公報
【特許文献2】特開2009−100432号公報
【特許文献3】特開2007−096579号公報
【非特許文献】
【0012】
【非特許文献1】社団法人電波産業会、「特定小電力無線局無線電話用無線設備標準規格」,RCR− STD−20 4.1版、平成17年11月30日改定
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
ところで、非特許文献1の13ページにおいて、「キャリアセンス」について以下のように定められている(旧郵政省告示、平成元年第49号)。以下、「キャリアセンスの規定」という。
「(3)キャリアセンス
無線設備にはキャリアセンスを備えるものとする。キャリアセンスは、無線通信回線の設定に先立ち、他の無線局の電波を受信した場合、当該無線局の発射電波と同一の周波数(複信方式及び半複信方式のものにあっては受信周波数に対応する送信周波数)の電波の発射を行わないものとする。空中線電力が1mW以下のものについては、通信方式が複信方式及び半複信方式であっても自局の送信周波数でキャリアセンスを行うことができる。ただし、413.7MHz以上414.14375MHz以下及び454.05MHz以上454.19375MHz以下の周波数の電波を使用するものは、キャリアセンスの備え付けを要しないものとする。空き状態の判定は、絶対利得が2.14dBの空中線に誘起する電圧が7μV以下とし、判定時間は200ms以上、応答時間は20ms以内とする。」
【0014】
上述の従来例1にかかる無線通信システムでは、上記キャリアセンスの規定のうちの但し書きの適用により、キャリアセンスを行う必要が無い。しかし、言い換えると、上記キャリアセンスの規定により、送信空中線電力が1mW以下に規定されており、送信電力がきわめて小さくて伝搬距離がきわめて短いという問題点があった。また、上述のように、特許文献1〜3において開示された同時通話可能な無線通信システムは従来例1と同様の基本構成を有しており、従来例1と同様の問題点があった。
【0015】
また、従来例2にかかる無線通信システムでは、子機201〜203及び中継装置211〜213がキャリアセンスの機能を有するように構成すれば、上記キャリアセンスの規定を満たした同時通話無線通信システムを構成できる。しかし、中継装置211〜213は同時に3個の電波を送信するので、電波干渉を回避するために、3個の中継装置211〜213を互いに所定以上距離だけ離隔させて配置させる必要がある。従って、親機210を小型で一体化することが難しいという問題点があった。
【0016】
本発明の目的は以上の問題点を解決し、上記キャリアセンスの規定を満たして、送信空中線電力10mWで送信することができ、しかも親機を小型で一体化もしくは不要とすることができる少なくとも3者同時通話可能な無線通信装置及びそれを用いた無線通信システムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0017】
第1の発明に係る無線通信装置は、中継機として動作する親機と、少なくとも3個の子機とを備えた同時通話無線通信システムのための無線通信装置であり、上記子機として動作する無線通信装置であって、
キャリアセンスを行い、所定のペアチャンネルで無線信号を送受信する送信手段及び受信手段と、
上記ペアチャンネルとは別のチャネルで無線信号を受信するサブ受信手段とを備えたことを特徴とする。
【0018】
上記第1の発明に係る無線通信装置において、上記無線通信装置は特定小電力無線局無線電話用無線設備であり、
上記送信手段は空中線電力10mWで無線信号を送信可能であることを特徴とする。
【0019】
第2の発明に係る無線通信装置は、中継機として動作する親機と、少なくとも3個の子機とを備えた同時通話無線通信システムのための無線通信装置であり、上記親機として動作する無線通信装置であって、
キャリアセンスを行い、所定のペアチャンネルで無線信号を送受信する送信手段及び受信手段と、
上記ペアチャンネルとは別のチャネルであって互いに異なる少なくとも3個のチャネルのうちの1個のチャネルでそれぞれ無線信号を受信する少なくとも3個のサブ受信手段と、
上記各サブ受信手段で受信された各無線信号を復調して復調された各音声信号を加算混合して、加算混合後の音声信号を上記送信手段に出力する音声混合手段とを備えたことを特徴とする。
【0020】
上記第2の発明に係る無線通信装置において、上記無線通信装置は特定小電力無線局無線電話用無線設備であり、
上記送信手段は空中線電力10mWで無線信号を送信可能であることを特徴とする。
【0021】
第3の発明に係る無線通信システムは、
上記第1の発明に係る少なくとも3個の無線通信装置と、上記第2の発明に係る無線通信装置とを備えたことを特徴とする。
【0022】
上記第3の発明に係る無線通信システムにおいて、
上記第2の発明に係る無線通信装置の各サブ受信手段の受信チャネルは、上記第1の発明に係る少なくとも3個の無線通信装置の送信手段の送信チャネルであり、
上記第2の発明に係る無線通信装置の送信手段の送信チャネルは、上記第1の発明に係る少なくとも3個の無線通信装置のサブ受信手段の受信チャネルであることを特徴とする。
【0023】
第4の発明に係る無線通信装置は、中継機として動作する第1の子機と、少なくとも2個の第2の子機とを備えた同時通話無線通信システムのための無線通信装置であり、上記第2の子機として動作する無線通信装置であって、
キャリアセンスを行い、所定のペアチャンネルで無線信号を送受信する送信手段及び受信手段と、
上記ペアチャンネルとは別のチャネルで無線信号を受信するサブ受信手段とを備えたことを特徴とする。
【0024】
上記第4の発明に係る無線通信装置において、上記無線通信装置は特定小電力無線局無線電話用無線設備であり、
上記送信手段は空中線電力10mWで無線信号を送信可能であることを特徴とする。
【0025】
第5の発明に係る無線通信装置は、中継機として動作する第1の子機と、少なくとも2個の第2の子機とを備えた同時通話無線通信システムのための無線通信装置であり、上記第1の子機として動作する無線通信装置であって、
キャリアセンスを行い、所定のペアチャンネルで無線信号を送受信する送信手段及び受信手段と、
上記ペアチャンネルとは別のチャネルで無線信号を受信する少なくとも1個のサブ受信手段と、
上記少なくとも1個のサブ受信手段及び上記受信手段で受信された各無線信号を復調して復調された各音声信号と、上記第1の子機からの音声信号とを加算混合して、加算混合後の音声信号を上記送信手段に出力する音声混合手段とを備えたことを特徴とする。
【0026】
上記第5の発明に係る無線通信装置において、
上記無線通信装置は特定小電力無線局無線電話用無線設備であり、
上記送信手段は空中線電力10mWで無線信号を送信可能であることを特徴とする。
【0027】
第6の発明に係る無線通信システムは、
上記第4の発明に係る無線通信装置と、上記第5の発明に係る無線通信装置とを備えたことを特徴とする。
【0028】
上記第6の発明に係る無線通信システムにおいて、
上記第5の発明に係る無線通信装置の受信手段の受信チャネルは、上記第4の発明に係る少なくとも2個の無線通信装置のうちの1個の無線通信装置の送信手段の送信チャネルであり、
上記第5の発明に係る無線通信装置のサブ受信手段の受信チャネルは、上記第4の発明に係る少なくとも2個の無線通信装置のうちの別の1個の無線通信装置の送信手段の送信チャネルであり、
上記第5の発明に係る無線通信装置の送信手段の送信チャネルは、上記第4の発明に係る少なくとも2個の無線通信装置のうちの1個の無線通信装置の受信手段の受信チャネル、及び上記第4の発明に係る少なくとも2個の無線通信装置のうちの別の1個の無線通信装置のサブ受信手段の受信チャネルであることを特徴とする。
【発明の効果】
【0029】
従って、本発明に係る無線通信装置及びそれを用いた無線通信システムによれば、上記キャリアセンスの規定を満たして、送信空中線電力10mWで送信することができ、しかも親機を小型で一体化もしくは不要とすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0030】
図1】従来例1にかかる無線通信システムの構成例を示すブロック図である。
図2】従来例2にかかる無線通信システムの構成例を示すブロック図である。
図3】実施形態1にかかる無線通信システムの構成例を示すブロック図である。
図4図3の親機20の構成例を示すブロック図である。
図5図3の子機10の構成例を示すブロック図である。
図6A図3の親機20によって実行される通信制御処理の第1の部分を示すフローチャートである。
図6B図3の親機20によって実行される通信制御処理の第2の部分を示すフローチャートである。
図6C図3の親機20によって実行される通信制御処理の第3の部分を示すフローチャートである。
図7A図3の子機10−1によって実行される通信制御処理を示すフローチャートである。
図7B図3の子機10−2によって実行される通信制御処理を示すフローチャートである。
図7C図3の子機10−3によって実行される通信制御処理を示すフローチャートである。
図8A】実施形態2にかかる無線通信システムの構成例を示すブロック図であって、子機10−1と子機10−2が同時通話中の動作を示すブロック図である。
図8B】実施形態2にかかる無線通信システムの構成例を示すブロック図であって、図8Aの動作の後、子機10−3からの応答後の動作を示すブロック図である。
図9A図8A及び図8Bの子機10−1によって実行される通信制御処理を示すフローチャートである。
図9B図8A及び図8Bの子機10−2によって実行される通信制御処理を示すフローチャートである。
図9C図8A及び図8Bの子機10−3によって実行される通信制御処理を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0031】
以下、本発明に係る実施形態について図面を参照して説明する。なお、以下の各実施形態において、同様の構成要素については同一の符号を付している。
【0032】
実施形態1.
図3は実施形態1にかかる無線通信システムの構成例を示すブロック図である。図3において、実施形態1にかかる無線通信システムは、例えば3個の子機10−1〜10−3(総称して、符号10を付す。)と、中継機である親機20とを備えて構成される。なお、図3において二重線で囲った部分はメイン送受信部を示す。また、図3のチャネル番号CH0〜CH3は例えば非特許文献1の5ページの表3.2のチャネル番号1〜18のうちから選択されるいずれかの異なるチャネル番号である。本実施形態では、上記メイン送受信部のチャネルは、同時通話の複信方式において用いる送受信チャネルであって、同一のチャネル番号の対波(以下、ペアチャネルという。)を用いる。
【0033】
図3において、子機10−1は、1個の10mW変調送信部13と、2個の受信復調部11−1,11−2とを備え、変調送信部13及び受信復調部11−1はペアチャネルを用いて送受信し、受信復調部11−2は受信復調部11−1とは異なるチャネルを用いるサブ受信部である。子機10−2は、1個の10mW変調送信部13と、2個の受信復調部11−1,11−2とを備え、変調送信部13及び受信復調部11−1はペアチャネルを用いて送受信し、受信復調部11−2は受信復調部11−1とは異なるチャネルを用いるサブ受信部である。子機10−3は、1個の10mW変調送信部13と、2個の受信復調部11−1,11−2とを備え、変調送信部13及び受信復調部11−1はペアチャネルを用いて送受信し、受信復調部11−2は受信復調部11−1とは異なるチャネルを用いるサブ受信部である。ここで、各子機10−1〜10−3のメイン送受信部は互いに異なるペアチャネルを用いる。
【0034】
親機20は、1個の10mW変調送信部23と、4個の受信復調部21−1〜21−4と、音声混合部22とを備える。変調送信部23及び受信復調部21−4は各子機10−1〜10−3のサブ受信部の受信チャネルに対応する送信チャネルを有するペアチャネルを用いて送受信し、他の受信復調部21−1〜21−3は、各子機10−1〜10−3のメイン受信部の送信チャネルに対応する受信チャネルである互いに異なるチャネルを用いるサブ受信部である。
【0035】
図3の無線通信システムにおいて、親機20の各サブ受信手段である受信復調部21−1〜21−3の受信チャネルは、子機10−1〜10−3の送信手段である変調送信部13の送信チャネルであり、親機20の送信手段である変調送信部23の送信チャネルは、子機10−1〜10−3のサブ受信手段である11−2の受信チャネルである。
【0036】
以上のように構成された無線通信システムにおいて、親機20の受信復調部21−4及び子機10−1〜10−3の各受信復調部11−1はキャリアセンスを所定の周期で繰り返すが、当該チャネルで送信する相手局がいないので音声信号を出力しない。各子機10−1〜10−3の変調送信部13は互いに異なるチャネルで各マイクロホン14に入力された音声の音声信号に従って無線信号を変調してそれぞれ、親機20の受信復調部21−1〜21−3に送信される。一方、親機20の受信復調部21−1〜21−3で復調された3個の音声信号は音声混合部22により加算混合された後、変調送信部23に出力されて各子機10−1〜10−3の各サブ受信部である受信復調部11−2に送信される。各子機の10−1〜10−3の各サブ受信部である受信復調部11−2は受信した無線信号を音声信号に復調した後、各スピーカ16にそれぞれ出力する。これにより、各子機10−1〜10−3の操作者はすべての子機10−1〜10−3の操作者の音声を聞くことができ、3者同時通話を実現できる。
【0037】
従って、親機20及び各子機10−1〜10−3はそれぞれキャリアセンスを行うので、上記キャリアセンスの規定を満たして、送信空中線電力10mWで送信することができ、送信空中線電力10mWで送信するときに比較して伝搬距離を長くでき、送受信できるエリアを大幅に拡大できる。しかも親機20の変調送信部23は1つのみなので小型で一体化することができる。以下、親機20及び各子機10−1〜10−3の詳細構成及び詳細動作について説明する。
【0038】
図4図3の親機20の構成例を示すブロック図である。図4において、親機20は、受信アンテナ21Aと、4個の受信復調部21−1〜21−4と、音声混合部22と、変調送信部23と、送信アンテナ23Aと、制御部25とを備えて構成される。
【0039】
図4において、各受信復調部21−1〜21−4は受信アンテナ21Aで受信された無線信号を受信して音声信号を復調して音声混合部22に出力する。音声混合部22は入力される複数の音声信号を加算混合した後、加算混合した音声信号を変調送信部23に出力する。変調送信部23は入力される音声信号に従って無線信号を変調した後、変調された無線信号を送信アンテナ23Aから送信する。制御部25は図6A図6Cの通信制御処理を実行することにより、親機20の動作を制御する。ここで、制御部25は、受信復調部21−1〜21−4のキャリアセンス等の動作及び受信周波数を制御し、受信復調部21−1〜21−4からのキャリアセンス結果を受信する。また、制御部25は変調送信部23の送信周波数を制御する。
【0040】
なお、図4の構成例において、受信アンテナ21A及び送信アンテナ23Aをデュプレクサ(図示せず)を介した1つのアンテナ装置で構成してもよい。
【0041】
図5図3の子機10の構成例を示すブロック図である。図5において、子機10は、受信アンテナ11Aと、2個の受信復調部11−1〜11−2と、音声混合部12と、変調送信部13と、送信アンテナ13Aと、マイクロホン14と、制御部15と、スピーカ16と、PTT(Push To Talk)キー18を有する操作部17を備えて構成される。
【0042】
図5において、制御部15は図7A図7Cの通信制御処理を実行することにより、子機10−1〜10−3の動作を制御する。ここで、制御部15は、受信復調部11−1〜11−2のキャリアセンス等の動作及び受信周波数を制御し、受信復調部11−1〜11−2からのキャリアセンス結果を受信する。また、制御部15は変調送信部13の送信周波数を制御する。各受信復調部11−1〜11−2は受信アンテナ11Aで受信された無線信号を受信して音声信号を復調して音声混合部12に出力する。音声混合部12は入力される複数の音声信号を加算混合した後、加算混合した音声信号をスピーカ16に出力して音声に変換して出力させる。子機10の操作者が操作部17のPTTキー18をオンしたとき、制御部15は変調送信部13の動作をオンさせ、このとき、変調送信部13は、マイクロホン14に入力される音声から変換された音声信号に従って無線信号を変調してした後、変調された無線信号を送信アンテナ13Aから送信する。
【0043】
なお、図5の構成例において、受信アンテナ11A及び送信アンテナ13Aをデュプレクサ(図示せず)を介した1つのアンテナ装置で構成してもよい。
【0044】
図6A図6C図3の親機20によって実行される通信制御処理を示すフローチャートである。
【0045】
図6AのステップS101において、440MHz帯のチャネル0〜3で無線信号の受信を待ち受けした後、図6AのステップS111以降の処理、図6BのステップS211以降の処理、及び図6CのステップS311以降の処理を例えばマルチプロセッシングなどにより同時に実行する。
【0046】
図6AのステップS111において440MHz帯のチャネル1で無線信号を受信したか否かが判断され、YESのときはステップS112に進む一方、NOのときはステップS101の終了時に戻る。ステップS112において421MHz帯のチャネル0で無線信号を送信中であるか否かが判断され、YESのときはステップS113に進む一方、NOのときはステップS114に進む。ステップS113において440MHz帯のチャネル1で受信した無線信号を復調した音声信号を421MHz帯のチャネル0で送信する無線信号の音声信号に加算した後、ステップS101の終了時に戻る。
【0047】
ステップS114において440MHz帯のチャネル0でキャリアセンスを行い、ステップS115において440MHz帯のチャネル0でキャリアがあるか否かが判断され、YESのときはステップS116に進む一方、NOのときはステップS119に進む。ステップS116において440MHz帯のチャネル0でキャリアセンスを行い、ステップS117において440MHz帯のチャネル1〜3のすべてでキャリアがないか否かが判断され、YESのときはステップS118に進む一方、NOのときはステップS115に戻る。ステップS118では中継動作を中止して当該通信制御処理を終了する。
【0048】
ステップS119において440MHz帯のチャネル1で受信した無線信号を復調した音声信号を421MHz帯のチャネル0の無線信号で変調して送信することを開始することで2者以上の同時通話を開始し、ステップS120において440MHz帯のチャネル1〜3のすべてでキャリアがないか否かが判断され、YESのときはステップS121に進む一方、NOのときはステップS120に戻る。ステップS121において421MHz帯のチャネル0の無線信号の送信を停止して当該通信制御処理を終了する。
【0049】
図6BのステップS211において440MHz帯のチャネル2で無線信号を受信したか否かが判断され、YESのときはステップS212に進む一方、NOのときは図6AのステップS101の終了時に戻る。ステップS212において421MHz帯のチャネル0で無線信号を送信中であるか否かが判断され、YESのときはステップS213に進む一方、NOのときはステップS214に進む。ステップS213において440MHz帯のチャネル2で受信した無線信号を復調した音声信号を421MHz帯のチャネル0で送信する無線信号の音声信号に加算した後、図6AのステップS101の終了時に戻る。
【0050】
ステップS214において440MHz帯のチャネル0でキャリアセンスを行い、ステップS215において440MHz帯のチャネル0でキャリアがあるか否かが判断され、YESのときはステップS216に進む一方、NOのときはステップS219に進む。ステップS216において440MHz帯のチャネル0でキャリアセンスを行い、ステップS217において440MHz帯のチャネル1〜3のすべてでキャリアがないか否かが判断され、YESのときはステップS218に進む一方、NOのときはステップS215に戻る。ステップS218において中継動作を中止した後、当該通信制御処理を終了する。
【0051】
ステップS219において440MHz帯のチャネル2で受信した無線信号を復調した音声信号を421MHz帯のチャネル0の無線信号で変調して送信することを開始することで2者以上の同時通話を開始し、ステップS220において440MHz帯のチャネル1〜3のすべてでキャリアがないか否かが判断され、YESのときはステップS221に進む一方、NOのときはステップS220に戻る。ステップS221において421MHz帯のチャネル0の無線信号の送信を停止して当該通信制御処理を終了する。
【0052】
図6CのステップS311において440MHz帯のチャネル3で無線信号を受信したか否かが判断され、YESのときはステップS312に進む一方、NOのときは図6AのステップS101の終了時に戻る。ステップS312において421MHz帯のチャネル0で無線信号を送信中であるか否かが判断され、YESのときはステップS313に進む一方、NOのときはステップS314に進む。ステップS313において440MHz帯のチャネル3で受信した無線信号を復調した音声信号を421MHz帯のチャネル0で送信する無線信号の音声信号に加算した後、図6AのステップS101の終了時に戻る。
【0053】
ステップS314において440MHz帯のチャネル0でキャリアセンスを行い、ステップS315において440MHz帯のチャネル0でキャリアがあるか否かが判断され、YESのときはステップS316に進む一方、NOのときはステップS319に進む。ステップS316において440MHz帯のチャネル0でキャリアセンスを行い、ステップS317において440MHz帯のチャネル1〜3のすべてでキャリアがないか否かが判断され、YESのときはステップS318に進む一方、NOのときはステップS315に戻る。ステップS318において中継動作を中止した後、当該通信制御処理を終了する。
【0054】
ステップS319において440MHz帯のチャネル3で受信した無線信号を復調した音声信号を421MHz帯のチャネル0の無線信号で変調して送信することを開始することで2者以上の同時通話を開始し、ステップS320において440MHz帯のチャネル1〜3のすべてでキャリアがないか否かが判断され、YESのときはステップS321に進む一方、NOのときはステップS320に戻る。ステップS321において421MHz帯のチャネル0の無線信号の送信を停止した後、当該通信制御処理を終了する。
【0055】
図7A図3の子機10−1によって実行される通信制御処理を示すフローチャートである。
【0056】
図7AのステップS401において421MHz帯のチャネル0及び1で無線信号の受信を待ち受けし、ステップS402において421MHz帯のチャネル0で無線信号を受信したか否かが判断され、YESのときはステップS403に進む一方、NOのときはステップS404に進む。ステップS403において421MHz帯のチャネル0で受信した無線信号を復調した音声信号をスピーカ16に出力して鳴動させ、ステップS404においてPTTキー18がオンされたか否かが判断され、YESのときはステップS405に進む一方、NOのときはステップS402に戻る。
【0057】
ステップS405において421MHz帯のチャネル1でキャリアセンスを行い、ステップS406において421MHz帯のチャネル1でキャリアがあるか否かが判断され、YESのときはステップS407に進む一方、NOのときはステップS409に進む。ステップS407において421MHz帯のチャネル1でキャリアセンスを行い、ステップS408においてPTTキー18がオフされたか否かが判断され、YESのときは当該通信制御処理を終了する一方、NOのときはステップS406に戻る。
【0058】
ステップS409において440MHz帯のチャネル1で、マイクロホン14に入力される音声の音声信号に従って変調した無線信号を送信することを開始することで2者以上の同時通話を開始し、ステップS410においてPTTキー18がオフされたか否かが判断され、YESのときはステップS411に進む一方、NOのときはステップS410に戻る。ステップS411において440MHz帯のチャネル1での無線信号の送信を停止した後、当該通信制御処理を終了する。
【0059】
図7B図3の子機10−2によって実行される通信制御処理を示すフローチャートである。
【0060】
図7BのステップS501において421MHz帯のチャネル0及び2で無線信号の受信を待ち受けし、ステップS502において421MHz帯のチャネル0で無線信号を受信したか否かが判断され、YESのときはステップS503に進む一方、NOのときはステップS504に進む。ステップS503において421MHz帯のチャネル0で受信した無線信号を復調した音声信号をスピーカ16に出力して鳴動させ、ステップS504においてPTTキー18がオンされたか否かが判断され、YESのときはステップS505に進む一方、NOのときはステップS502に戻る。
【0061】
ステップS505において421MHz帯のチャネル2でキャリアセンスを行い、ステップS506において421MHz帯のチャネル2でキャリアがあるか否かが判断され、YESのときはステップS507に進む一方、NOのときはステップS509に進む。ステップS507において421MHz帯のチャネル2でキャリアセンスを行い、ステップS508においてPTTキー18がオフされたか否かが判断され、YESのときは当該通信制御処理を終了する一方、NOのときはステップS506に戻る。
【0062】
ステップS509において440MHz帯のチャネル2で、マイクロホン14に入力される音声の音声信号に従って変調した無線信号を送信することを開始することで2者以上の同時通話を開始し、ステップS510においてPTTキー18がオフされたか否かが判断され、YESのときはステップS511に進む一方、NOのときはステップS510に戻る。ステップS511において440MHz帯のチャネル2での無線信号の送信を停止した後、当該通信制御処理を終了する。
【0063】
図7C図3の子機10−3によって実行される通信制御処理を示すフローチャートである。
【0064】
図7CのステップS601において421MHz帯のチャネル0及び3で無線信号の受信を待ち受けし、ステップS602において421MHz帯のチャネル0で無線信号を受信したか否かが判断され、YESのときはステップS603に進む一方、NOのときはステップS604に進む。ステップS603において421MHz帯のチャネル0で受信した無線信号を復調した音声信号をスピーカ16に出力して鳴動させ、ステップS604においてPTTキー18がオンされたか否かが判断され、YESのときはステップS605に進む一方、NOのときはステップS602に戻る。
【0065】
ステップS605において421MHz帯のチャネル3でキャリアセンスを行い、ステップS606において421MHz帯のチャネル3でキャリアがあるか否かが判断され、YESのときはステップS607に進む一方、NOのときはステップS609に進む。ステップS607において421MHz帯のチャネル3でキャリアセンスを行い、ステップS608においてPTTキー18がオフされたか否かが判断され、YESのときは当該通信制御処理を終了する一方、NOのときはステップS606に戻る。
【0066】
ステップS609において440MHz帯のチャネル3で、マイクロホン14に入力される音声の音声信号に従って変調した無線信号を送信することを開始することで2者以上の同時通話を開始し、ステップS610においてPTTキー18がオフされたか否かが判断され、YESのときはステップS611に進む一方、NOのときはステップS610に戻る。ステップS611において440MHz帯のチャネル3での無線信号の送信を停止した後、当該通信制御処理を終了する。
【0067】
以上説明したように、本実施形態によれば、各子機10−1〜10−3の操作者はすべての子機10−1〜10−3の操作者の音声を聞くことができ、3者同時通話を実現できる。また、親機20及び各子機10−1〜10−3はそれぞれキャリアセンスを行うので、上記キャリアセンスの規定を満たして、送信空中線電力10mWで送信することができ、送信空中線電力10mWで送信するときに比較して伝搬距離を長くでき、送受信できるエリアを大幅に拡大できる。しかも親機20の変調送信部23は1つのみなので小型で一体化することができる。
【0068】
以上の実施形態1において、別の子機10を増設しかつ親機20において受信復調部21を増設することで4者同時通話の無線通信システムを実現できる。同様にして5者以上の複数者同時通話の無線通信システムを実現できる。
【0069】
実施形態2.
図8Aは実施形態2にかかる無線通信システムの構成例を示すブロック図であって、子機10−1と子機10−2が同時通話中の動作を示すブロック図である。また、図8Bは実施形態2にかかる無線通信システムの構成例を示すブロック図であって、図8Aの動作の後、子機10−3からの応答後の動作を示すブロック図である。ここで、各子機10−1〜10−3は、音声混合部12Aをさらに備えることを除いて、実施形態1の図5と同様の装置構成を有するが、後述する図9A図9Cの通信制御処理の機能を有することを特徴とする。
【0070】
図8A及び図8Bにおける音声混合部12Aとその周辺回路について事前説明する。音声混合部12は受信復調部11−1,11−2からの各音声信号を加算混合した後、スピーカ16及び音声混合部12Aに出力する。音声混合部12Aは音声混合部12からの音声信号とマイクロホン14からの音声信号とを加算混合した後、変調送信部13に出力する。なお、スピーカ16をイヤホン、ヘッドホンなどのハウリングが発生しない音声出力機器で構成するときは、マイクロホン14からの音声信号を音声混合部12に入力し、音声混合部12からの音声信号を当該音声出力機器及び変調送信部13に出力してもよい。この場合は音声混合部12Aを省略できる。
【0071】
図8Aにおいて、子機10−1は中継機として動作し、1個の10mW変調送信部13と、2個の受信復調部11−1,11−2とを備え、変調送信部13及び受信復調部11−1はペアチャネルを用いて送受信し、受信復調部11−2は受信復調部11−1とは異なるチャネルを用いるサブ受信部である。子機10−2は、1個の10mW変調送信部13と、1個の受信復調部11−1とを備え、メイン送受信部である変調送信部13及び受信復調部11−1は子機10−1のペアチャネルに対応するペアチャネルを用いて子機10−1と送受信する。これにより、子機10−1,10−2のメイン送受信部同士はそれぞれマイクロホン14及びスピーカ16を用いて同時通話中である。
【0072】
なお、後から同時通話に参加する子機10−3は、1個の10mW変調送信部13と、2個の受信復調部11−1,11−2とを備え、変調送信部13及び受信復調部11−1は子機10−1のサブ受信部の受信チャネルに対応するペアチャネルを用いて送受信可能に設定され、受信復調部11−2は受信復調部11−1とは異なるチャネルであって子機10−1のメイン送受信部のペアチャネルに対応するチャネルを用いるサブ受信部である。ここで、子機10−3の受信復調部11−1はキャリアセンス可能であるが、送信する相手局がない。
【0073】
次いで、図8Bにおいて、図8Aの動作の後、子機10−3からの応答があった場合の動作について以下に説明する。
【0074】
図8Bにおいて、子機10−3の変調送信部13がマイクロホン14に入力される音声から変換された音声信号に従って無線信号をメイン送受信部の送信チャネルで送信したとき、子機10−1の受信復調部11−2は当該無線信号を受信して音声信号を復調し、復調した音声信号を受信復調部11−1からの音声信号と音声混合部12で加算混合した後、当該加算混合後の音声信号はスピーカ16及び音声混合部12Aに出力される。このとき、子機10−1の操作者は子機10−2,10−3の操作者の音声を聞くことができる。
【0075】
音声混合部12Aは音声混合部12からの音声信号とマイクロホン14からの音声信号とを加算混合した後、変調送信部13に出力する。変調送信部13は入力される音声信号に従って無線信号を変調してメイン送受信部のチャネルで子機10−2,10−3に送信する。これにより、子機10−2の受信復調部11−1及び子機10−3の受信復調部11−2は受信された無線信号を復調することで、子機10−2,10−3の操作者は参加するすべての子機10−1〜10−3の音声を聞くことができ、3者同時通話を実現できる。
【0076】
図8A及び図8Bの無線通信システムにおいて、子機10−1の受信手段である受信復調部11−1の受信チャネルは、子機10−2の送信手段である変調送信部13の送信チャネルであり、子機10−1のサブ受信手段である受信復調部11−2の受信チャネルは、子機10−3の送信手段である変調送信部13の送信チャネルであり、子機10−1の送信手段である変調送信部13の送信チャネルは、子機10−2の受信手段である受信復調部11−1の受信チャネル、及び、子機10−3のサブ受信手段である受信復調部11−2の受信チャネルである。
【0077】
以上のように構成された無線通信システムにおいて、上述のように3者同時通話を実現できる。また、子機10−1〜10−3の各受信復調部11−1はキャリアセンスを所定の周期で繰り返す。図8Aの動作例では、子機10−1,10−2がキャリアセンスの後、互いに同時通話を開始しており、また、子機10−3はメイン受信部である受信復調部11−1を用いてキャリアセンスを行うが受信する相手局がいないので音声信号を出力しない。
【0078】
次いで、図8A及び図8Bの子機10−1〜10−3によって実行される通信制御処理について以下に説明する。
【0079】
図9A図8A及び図8Bの子機10−1によって実行される通信制御処理を示すフローチャートである。
【0080】
図9AのステップS701においてPTTキー18をオンして、421MHz帯のチャネル1で音声信号に従って変調した無線信号を送信しかつ440MHz帯のチャネル1で無線信号を受信して音声信号を復調して出力することで子機10−2と同時通話中であり、440MHz帯のチャネル2で無線信号の受信を待ち受けする。次いで、ステップS702においてPTTキー18がオフされたか否かが判断され、YESのときはステップS706に進む一方、NOのときはステップS703に進む。ステップS703において440MHz帯のチャネル2で無線信号をしたか否かが判断され、YESのときはステップS704に進む一方、NOのときはステップS702に戻る。
【0081】
次いで、ステップS704において440MHz帯のチャネル1及び2で受信した各無線信号を復調した各音声信号を421MHz帯のチャネル1で送信する無線信号の音声信号に加算し、ステップS705においてPTTキー18がオフされたか否かが判断され、YESのときはステップS706に進む一方、NOのときはステップS705に戻る。ステップS706において421MHz帯のチャネル1での無線信号の送信を停止した後、当該通信制御処理を終了する。
【0082】
図9B図8A及び図8Bの子機10−2によって実行される通信制御処理を示すフローチャートである。
【0083】
図9BのステップS801において440MHz帯のチャネル1で音声信号に従って変調した無線信号を送信しかつ421MHz帯のチャネル1で無線信号を受信して音声信号を復調して出力することで子機10−1と同時通話中である。次いで、ステップS802においてPTTキー18がオフされたか否かが判断され、YESのときはステップS803に進む一方、NOのときはステップS802に戻る。ステップS803において440MHz帯のチャネル1での無線信号の送信を停止した後、当該通信制御処理を終了する。
【0084】
図9C図8A及び図8Bの子機10−3によって実行される通信制御処理を示すフローチャートである。
【0085】
図9CのステップS901において421MHz帯のチャネル1で無線信号を受信して音声信号を復調して出力し、421MHz帯のチャネル2で無線信号の受信を待ち受けする。次いで、ステップS902においてPTTキー18がオンされたか否かが判断され、YESのときはステップS903に進む一方、NOのときはステップS902に戻る。ステップS903において421MHz帯のチャネル2でキャリアセンスを行い、ステップS904において421MHz帯のチャネル2でキャリアがあるか否かが判断され、YESのときはステップS905に進む一方、NOのときはステップS907に進む。ステップS905において421MHz帯のチャネル2でキャリアセンスを行い、ステップS906においてPTTキー18がオフされたか否かが判断され、YESのときは当該通信制御処理を終了する一方、NOのときはステップS904に戻る。ステップS907において440MHz帯のチャネル2で、マイクロホン14に入力される音声の音声信号に従って変調した無線信号を送信することを開始することで3者同時通話を開始し、ステップS908においてPTTキー18がオフされたか否かが判断され、YESのときはステップS909に進む一方、NOのときはステップS908に戻る。ステップS909において440MHz帯のチャネル2での無線信号の送信を停止した後、当該通信制御処理を終了する。
【0086】
以上の図9A図9Cの通信制御処理を子機10−1〜10−3の処理として便宜上説明しているが、3つの子機10−1〜10−3が3者同時通話機能を実現するためには、各子機10−1〜10−3が子機10−1のハードウエア構成を有し、図9A図9Cの通信制御処理のプログラムを保持し、3者通話の状況に応じて3つのプログラムのうちの1つを実行することになる。すなわち、最初の同時通話する2個の子機はそれぞれ図9A及び図9Bの通信制御処理を実行し、その後参加する子機は図9Cの通信制御処理を実行する。
【0087】
以上のように構成された無線通信システムにおいて、上述のように3者同時通話を実現できる。また、子機10−1〜10−3の各受信復調部11−1はキャリアセンスを行うので、上記キャリアセンスの規定を満たして、送信空中線電力10mWで送信することができ、送信空中線電力10mWで送信するときに比較して伝搬距離を長くでき、送受信できるエリアを大幅に拡大できる。しかも親機20は不要であって、無線通信システムの構成を従来例1及び2に比較して大幅に簡単化できる。
【0088】
図8A及び図8Bの子機10−2と子機10−3との違いは、子機10−2がサブ受信部である受信復調部11−2を備えていない。しかし、本発明はこれに限らず、子機10−2が受信復調部11−2を備えてもよく、この場合、子機10−2と子機10−3とは使用チャネルを除いて同一の構成となる。
【0089】
なお、実施形態2において、3者同時通話可能な無線通信システムについて説明しているが、4者同時通話を実現するためには、子機10−1においてサブ受信部である受信復調部11−3を増設してその音声信号を音声混合部12に出力し、増設する子機10−4は、以下の構成を有すればよい。
(1)例えば440MHz帯のチャネル3で無線信号を送信する10mW変調送信部13;
(2)例えば421MHz帯のチャネル3で無線信号をキャリアセンスして受信する受信復調部11−1(なお、変調送信部13と受信復調部11−1でメイン送受信部を構成し、受信復調部11−1はキャリサセンスするが相手局がない);および
(3)例えば421MHz帯のチャネル1で無線信号を受信する受信復調部11−2。
以下同様にして5者以上の複数者同時通話の無線通信システムを実現できる。
【0090】
以上の実施形態において、スピーカ16を用いているが、本発明はこれに限らず、イヤホン、ヘッドホンなどの音声出力機器を用いてもよい。
【0091】
なお、以上の実施形態において、親機20及び子機10は特定小電力無線局無線電話用無線設備であり、変調送信部13、23は空中線電力10mWで無線信号を送信可能である。
【0092】
実施形態のまとめ
実施形態1においては、各子機10−1〜10−3はメイン送受信部の受信復調部11−1を用いて互いに異なるチャネルでキャリアセンスを行い、当該メイン送受信部の変調送信部13を用いて親機20に対して音声信号を含む無線信号を送信する一方、親機20は各子機10−1〜10−3からの各無線信号を受信して各音声信号を復調した後加算混合して、加算混合後の音声信号に従って無線信号を返照して別のチャネルで自身のメイン送受信部の変調送信部23を用いて各子機10−1〜10−3に送信することを特徴としている。
【0093】
これに対して、実施形態2では、親機20の機能を子機10−1に持たせることで、親機20が使用していた1対のペアチャネルを使用せずに、3者以上の同時通話を実現している。すなわち、実施形態1及び2では、メイン送受信部及びサブ受信部を用いて3者以上の同時通話を実現していることで共通している。
【産業上の利用可能性】
【0094】
以上詳述したように、本発明に係る無線通信装置及びそれを用いた無線通信システムによれば、上記キャリアセンスの規定を満たして、送信空中線電力10mWで送信することができ、しかも親機を小型で一体化もしくは不要とすることができる。従って、本発明に係る無線通信装置及びそれを用いた無線通信システムは非特許文献1において開示された特定小電力無線局無線電話用無線設備としての規定を満たしており、当該無線設備として好適である。
【符号の説明】
【0095】
10,10−1〜10−3…子機、
11−1〜11−2…受信復調部、
11A…受信アンテナ、
12…音声混合部、
13…変調送信部、
13A…送信アンテナ、
14…マイクロホン、
15…制御部、
16…スピーカ、
17…操作部、
18…PTTキー、
20…親機、
21−1〜21−4…受信復調部、
21A…受信アンテナ、
22…音声混合部、
23…変調送信部、
23A…送信アンテナ、
25…制御部、
101〜103…子機、
110…親機、
111…加算器、
201〜203…子機、
210…親機、
211〜213…中継装置、
214…加算器、
215…分配器。
【要約】
【課題】キャリアセンスの規定を満たし空中線電力10mWで送信でき親機を小型で一体化又は不要とすることができる3者同時通話可能な無線通信システムを提供する。
【解決手段】中継機として動作する親機と、3個の子機とを備えた同時通話無線通信システムのための子機は、キャリアセンスを行いペアチャンネルで無線信号を送受信する送信手段及び受信手段と、ペアチャンネルとは別のチャネルで無線信号を受信するサブ受信手段とを備える。親機は、キャリアセンスを行い所定のペアチャンネルで無線信号を送受信する送信手段及び受信手段と、ペアチャンネルとは別のチャネルであって互いに異なる3個のチャネルのうちの1個のチャネルでそれぞれ無線信号を受信する3個のサブ受信手段と、各サブ受信手段で受信された各無線信号を復調して復調された各音声信号を加算混合して、加算混合後の音声信号を送信手段に出力する音声混合手段とを備える。
【選択図】図3
図1
図2
図3
図4
図5
図6A
図6B
図6C
図7A
図7B
図7C
図8A
図8B
図9A
図9B
図9C