特許第6072346号(P6072346)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6072346平面光導波路回路を用いた立体画像形成方法及び装置
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6072346
(24)【登録日】2017年1月13日
(45)【発行日】2017年2月1日
(54)【発明の名称】平面光導波路回路を用いた立体画像形成方法及び装置
(51)【国際特許分類】
   G03H 1/22 20060101AFI20170123BHJP
   G02B 6/12 20060101ALI20170123BHJP
【FI】
   G03H1/22
   G02B6/12 361
【請求項の数】11
【全頁数】21
(21)【出願番号】特願2016-504466(P2016-504466)
(86)(22)【出願日】2014年3月24日
(65)【公表番号】特表2016-520852(P2016-520852A)
(43)【公表日】2016年7月14日
(86)【国際出願番号】CN2014073934
(87)【国際公開番号】WO2014154118
(87)【国際公開日】20141002
【審査請求日】2015年10月30日
(31)【優先権主張番号】201310096956.1
(32)【優先日】2013年3月25日
(33)【優先権主張国】CN
(73)【特許権者】
【識別番号】515266197
【氏名又は名称】李志揚
(74)【代理人】
【識別番号】100135183
【弁理士】
【氏名又は名称】大窪 克之
(72)【発明者】
【氏名】李志揚
【審査官】 廣田 健介
(56)【参考文献】
【文献】 米国特許出願公開第2010/0328433(US,A1)
【文献】 中国特許出願公開第102768410(CN,A)
【文献】 中国特許出願公開第102854630(CN,A)
【文献】 特表2011−505655(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G03H 1/00−5/00
G02B 5/18;5/32
G02B 6/12−6/14
G02B 27/00−27/64
H04N 13/00−13/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
平面光導波路回路を用いた立体画像形成方法であって、
A、平面光導波路回路を設計作成し、コヒーレント光源から放射されたコヒーレント光を二次元点光源アレイに変換し、且つ、二次元光源アレイにおける各点光源の位置はランダムな分布を呈しており、p個目の点光源の位置をrとし、同時に、平面光導波路回路に、各点光源のために、各点光源の振幅と位相に対して独立した調整を行うための、振幅調整器と位相調整器を設計製作する、ステップと、
B、各振幅調整器と位相調整器の駆動電圧がゼロとなる時、ステップAで生成した各点光源の最初の振幅Ap−0と最初の位相Φp−0を測定するとともに記録するステップと、
C、表示する必要がある三次元立体画像を離散化し、各ボクセルの位置と輝度を得て、各ボクセルの振幅Aがその輝度の平方根として設定され、輝度が高い方から低い方への原則に基づいて、すべてのボクセルをQ組に分けるステップと、
D、ステップCにおける一組のボクセルを選択するステップと、
E、ステップDで選択した一組のボクセルにおける各ボクセルに対し、その位置に対して一つのランダム偏移量を付加し、ランダム偏移量は偏移前の隣接するボクセル間の平均間隔より小さいとともに、一つのランダム位相を付与し、各ボクセルの最終位置rと位相Φを取得するステップと、
F、ステップEにおける一つのボクセルvを選択するステップと、
G、ステップAで生成した各点光源pに対し、それの放射する光円錐がステップFで選定したボクセルvをカバーすれば、点光源pからボクセルvへの距離|r−r|を算出し、該距離に基づいて該点光源の位相調整量を設定し、点光源pから放射した光波がボクセルvに到達した時の位相を、ステップEで設定した位相Φにし、同時に、該点光源の振幅調整量を距離|r−r|とボクセルvの振幅Aの乗算に正比例するよう設定し、前記位相調整量と振幅調整量を総合して複素振幅調整量とし、ボクセルvが二次点光源アレイの前方に位置するなら、点光源pがボクセルvを生成するためにすべき複素振幅調整量は、
【数1】
式(1)で表示し、
なお、式(1)において、Pはボクセルvを生成するのに参与するすべての点光源の数であり、
ボクセルvが二次元点光源アレイの後方に位置するなら、点光源pがボクセルvを生成するためにすべき複素振幅調整量は、
【数2】
で表示するステップと、
H、ステップDで選択した一組のボクセルに含まれるすべてのボクセルに対し、ステップFからGを繰り返すステップと、
I、ステップAで生成した各点光源pに対し、複素振幅の重ね合わせ原理に基づき、ステップDからステップHで得た点光源pがボクセルvを生成するためにすべき複素振幅調整量Ap−vを累加して、点光源pが全部でV個のボクセルを生成するのに必要な総複素振幅調整量Aを得るステップ、即ち
【数3】
であるステップと、
J、ステップAで生成した各点光源pに対し、ステップIで確定した総複素振幅調整量AをステップBで確定した該点光源の最初の振幅Ap−0で除して、該点光源の最終振幅位相調整量Ap−F=A/Ap−0を得て、ステップIで確定した総位相調整量ΦからステップBで確定した該点光源の最初の位相Φp−0を引くとともに、点光源pの振幅調整器が生成する最終振幅調整量Ap-Fによってもたらされる付加位相増量Φp−Aを引いて、該点光源の最終位相調整量Φp−F=Φ−Φp−0−Φp−Aを得るステップと、
K、ステップJで確定した各点光源の最終振幅位相調整量Ap−Fと最終位相調整量Φp−Fに基づき、各振幅調整器と位相調整器を駆動し、各点光源に前記最終振幅位相調整量と位相調整量を生成するステップと、
L、ステップCで確定したすべてのQ組のボクセルに対し、ステップDからKを繰り返すステップと、
を含む、平面光導波路回路を用いた立体画像形成方法。
【請求項2】
請求項1に記載された立体画像形成方法を実現する、平面光導波路回路を用いた立体画像形成装置であって、
コヒーレント光源と、平面光導波路回路と、導電ガラス前面板と、背部駆動回路とによって組成されており、導電ガラス前面板と背部駆動回路がそれぞれ平面光導波路回路の両側を覆っており、平面光導波路回路は光導波路主線とN個の光導波路支線を含んでおり、光導波路主線がコヒーレント光源から放射された光波を受け取り、N個の光導波路支線は光導波路主線に沿って分布しており、
各光導波路支線は、順次連結されて一体となっているカプラと振幅調整器と位相調整器と垂直転向器によって組成されており、カプラは光導波路主線から一部の光エネルギーにカップリングし、背部駆動回路が振幅調整器と位相調整器を駆動し、光導波路支線にカップリングして進出した光波に対して振幅と位相を調整した後、垂直転向器に送り、垂直転向器で向きを変えた後、平面光導波路回路に対して垂直に放射し、一つの点光源を発生させ、生成した点光源の位置がランダムに分布するように、垂直転向器の位置を設置し、
前記カプラは、方向性カプラ又はリング共振器カプラを採用しており、
前記位相調整器は、一段の、光電材料によって作成されたシングルモード光導波路であり、背部駆動回路によって光電材料の屈折率が改変され、光波の位相に改変を発生させ、
前記垂直転向器は、第1の垂直転向器と第2の垂直転向器の二種類を備えており、第1の垂直転向器は、マイクロ平面リフレクタによって構成されており、マイクロ平面リフレクタの反射面と平面光導波路回路の夾角は45°である
ことを特徴とする平面光導波路回路を用いた立体画像形成装置。
【請求項3】
請求項2に記載の平面光導波路回路を用いた立体画像形成装置であって、
光導波路主線(6)は、シリアル配置又はパラレル配置であり、シリアル配置を採用した光導波路主線(6)は、1本又は3本の光導波路によって組成され、1本または3本の光導波路はZ型配置又は螺旋型配置の方法で、平面光導波路回路(2)の全体を平均して覆っている
ことを特徴とする平面光導波路回路を用いた立体画像形成装置。
【請求項4】
請求項2又は3に記載の平面光導波路回路を用いた立体画像形成装置であって、
パラレル配置を採用した光導波路主線(6)は、一つの平行光導波路アレイとY型ビームスプリッタ(8)又はスターカプラ(9)を備え、
前記平行光導波路アレイは、平面光導波路回路(2)の全体を平均して覆っており、
コヒーレント光源(1)から放射された光波をY型ビームスプリッタ(8)又はスターカプラ(9)によって平行光導波路アレイにおける各光導波路に平均して分配する
ことを特徴とする平面光導波路回路を用いた立体画像形成装置。
【請求項5】
請求項2又は3に記載の平面光導波路回路を用いた立体画像形成装置であって、
パラレル配置を採用した光導波路主線(6)は、一つの平行光導波路アレイとそれに垂直した1本の直線光導波路を備えており、平行光導波路アレイの各光導波路は一つのリング共振器(10)によって直線光導波路とカップリングし、
平行光導波路アレイは平面光導波路(2)の全体を平均して覆っており、
直線光導波路はコヒーレント光源(1)から放射された三原色光波を受け取り、各リング共振器(10)の構造パラメータを設計して直線光導波路に転送された三原色光波を平行光導波路アレイの異なる光導波路に順次カップリングする
ことを特徴とする平面光導波路回路を用いた立体画像形成装置。
【請求項6】
請求項2又は3に記載の平面光導波路回路を用いた立体画像形成装置であって、
パラレル配置を採用した光導波路主線(6)は、一つの平行光導波路アレイと3本の直線光導波路を備えており、平行光導波路アレイと3本の直線光導波路は互いに垂直であり、且つ二つの隣接する平面にそれぞれ作成されており、平行光導波路アレイの各光導波路は方向性カプラ(11)によって3本の直線光導波路のうちの1本の直線光導波路と順番にカップリングし、平行光導波路アレイは、平面光導波路回路(2)の全体を平均して覆っており、
3本の直線光導波路はそれぞれコヒーレント光源(1)から放射された三原色光波を受け取り、各方向性カプラの構造パラメータを設計して、3本の平行直線光導波路に転送された三原色光波を、平行光導波路アレイの異なる光導波路に順次カップリングする
ことを特徴とする平面光導波路回路を用いた立体画像形成装置。
【請求項7】
請求項2に記載の平面光導波路回路を用いた立体画像形成装置であって、
振幅調整器(13)は、隣接して設けられており且つ互いに平行である、第1の入力シングルモード光導波路(16)と第1の出力シングルモード光導波路(17)によって組成されており、第1の入力シングルモード光導波路(16)又は第1の出力シングルモード光導波路(17)の一部は、光電材料によって作成されており、
背部駆動回路が光電材料の屈折率を改変することにより、第1の入力シングルモード光導波路(16)と第1の出力シングルモード光導波路(17)の間のカップリング係数を改変して、第1の出力シングルモード光導波路(17)から出力される光波の振幅を改変する
ことを特徴とする平面光導波路回路を用いた立体画像形成装置。
【請求項8】
請求項2に記載の平面光導波路回路を用いた立体画像形成装置であって、
振幅調整器(20)は第2の入力シングルモード光導波路(23)と第2の出力シングルモード光導波路(24)と環状シングルモード光導波路(18)によって組成されており、環状シングルモード光導波路(18)は第2の入力シングルモード光導波路(23)と第2の出力シングルモード光導波路(24)の間に位置しており、環状シングルモード光導波路(18)は光電材料によって作成されており、第2の入力シングルモード光導波路(23)に転送された光波が環状シングルモード光導波路(18)によって第2のングルモード光導波路(24)にカップリングされ、背部駆動回路によって光電材料の屈折率が改変されることによって、第2の入力シングルモード光導波路(23)と第2出力シングルモードの光導波路(24)の間のカップリング係数が改変され、第2の出力シングルモード光導波路(24)から出力される光波の振幅を改変する
ことを特徴とする平面光導波路回路を用いた立体画像形成装置。
【請求項9】
請求項2に記載の平面光導波路回路を用いた立体画像形成装置であって、
第2の垂直転向器(22)は一つの表面ラスター(27)によって組成されており、表面ラスター(27)の構造パラメータを設計して、位相調整器(14)から出力された光波を90°偏向した後、平面光導波路(2)と垂直に外へ向って放射する
ことを特徴とする平面光導波路回路を用いた立体画像形成装置。
【請求項10】
請求項2又は9に記載の平面光導波路回路を用いた立体画像形成装置であって、
透明な導電ガラス前面板(3)は金属導電フィルム(26)を蒸着した透明平板ガラスによって組成されており、金属導電フィルム(26)は平面光導波路回路(2)と隣接する側に蒸着されており、金属導電フィルム(26)にN個の透光性の小さな孔(28)がエッチングされており、
各透光性の小さな孔は、一つの第1又は第2の垂直転向器と正確に合わさっていると共に、第1又は第2の垂直転向器の真正面に位置しており、第1又は第2の垂直転向器から放射された光波が導電ガラス前面板(3)を貫通できるようにする
ことを特徴とする平面光導波路回路を用いた立体画像形成装置。
【請求項11】
請求項2に記載の平面光導波路回路を用いた立体画像形成装置であって、
導電ガラス前面板(3)の前にはマイクロレンズアレイ板(29)が装備されており、各マイクロレンズの構造パラメータを設計して、それが2個以上の点光源を覆うようにしている
ことを特徴とする平面光導波路回路を用いた立体画像形成装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、三次元画像形成分野に属し、具体的には、平面光導波路回路を用いた立体画像形成方法及び装置に関する。
【背景技術】
【0002】
三次元ディスプレイは、疑似三次元ディスプレイと真性三次元ディスプレイに分けられる。前者は、両眼の視差に基づく立体表示であり、2つの異なる視角の画面を観察者の左右の眼それぞれで見ることによって立体の幻覚を生じさせるものであるが、長時間見ると疲れやすい。後者は、空中に真の三次元画像を直接形成し、観察者は何らかの補助眼鏡をかける必要が無く、より快適に自然に見る事が出来る。
【0003】
真性三次元立体ディスプレイは、画像統合技術や体画像形成技術などのインコヒーレント方法で実現可能であるし、ホログラフィ技術などのコヒーレント方法でも実現可能である。インコヒーレント方法とコヒーレント方法の最大の違いは、前者がインコヒーレント光源を用いて光波の位相情報を利用しないのに対し、後者はコヒーレント光源を用いて光波の位相を十分に利用できる、ということである。光波の位相情報は物体の形状と位置の情報を含む。インコヒーレント方法は、光波の位相情報を捨ててしまうので、定額外の、往々にして複雑である機械走査或いは光学装置に頼る事しかできず、三次元空間で画像形成し、それの従う幾何光学画像形成原理自身の制限なので、限られた被写界深度内しか受け入れる画像形成解像度に達成することができない。コヒーレント方法は、光波位相が有している形状と位置の情報を十分利用可能なので、往々にして構造が簡単であり、また、波動の光学画像形成原理の力を借り、画像形成の被写界深度が深く、解像度が高い。例えば、簡単な一つのホログラフィ乾板は空中に三次元画像を形成するのに、何らかの光学レンズや機械走査装置を必要としない。しかし、大型の物体に対しては、ホログラフィの干渉縞がサブミクロンレベルで、平面ディスプレイの画素サイズよりはるかに小さくなってしまう。また、容量が非常に大きな干渉縞のデータが、リアルタイムの数字収集、処理、記憶、転送、表示に非常に大きな困難をもたらす。
【0004】
当業者の発明特許である≪ランダムな建設的干渉による三次元表示方法及び装置≫(特許文献1)では、新たな三次元画像形成に関する方法が開示されている。その核心的思想は以下のとおりであり、一つの二次元点光源アレイ構造であり、これらの点光源からの球面波が相互に合流し、建設的干渉により空中に光スポット、即ち立体ボクセル(略称はボクセルであり、二次元平面ディスプレイの画素に対応する)を形成することにより、大量のボクセルによって離散立体画像を形成する。動的表示を実現するため、上記二次元点光源アレイの各点光源の振幅と位相に対して独立したリアルタイム調整をする必要があり、また高回折による多重像を抑制するため、点光源の位置はランダムな分布を呈する。上記画像形成原理に基づき、各ボクセルの位置と輝度さえわかれば、各点光源の振幅と位相の調整量を確定することができ、各点光源の振幅と位相を調整することにより、これらの点光源からの球面波が空間内の所定位置に到達した時に同じ位相になるようにする。このように、建設的干渉によって所定位置にボクセルを形成することにより、大量のボクセルによって離散立体画像を形成する。これが意味するのは、二次元平面ディスプレイに比べ、奥深くの情報を定額外に知りさえすれば、空中に三次元画像を形成することができ、情報の増加量は約30%に過ぎず、これは三次元データのリアルタイム記憶、転送、表示に大変な利便性をもたらす、ということである。上記発明特許は、異なるタイプの液晶ディスプレイによって二次元点光源アレイを生じる装置も開示している。しかし、液晶材料は液晶分子の機械的転動によって光波の振幅と位相を調整することが必須であり、応答時間は一般的にミリ秒レベルである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】中国特許第200810046861.8号明細書
【発明の概要】
【0006】
本発明の目的は、上記現状に対し、画像のリフレッシュレートが高く、且つディスプレイが軽くて薄くて安定した、平面光導波路回路を用いる立体画像形成方法及び装置を提供することである。
【0007】
本発明の目的を実現するための方式は、平面光導波路回路を用いた立体画像形成方法であって、
A、平面光導波路回路を設計作成し、コヒーレント光源から放射されたコヒーレント光を二次元点光源アレイに変換し、且つ、二次元光源アレイにおける各点光源の位置はランダムな分布を呈しており、p個目の点光源の位置をrとし、同時に、平面光導波路回路に、各点光源のために、各点光源の振幅と位相に対して独立した調整を行うための、振幅調整器と位相調整器を設計製作する、ステップと、
B、各振幅調整器と位相調整器の駆動電圧がゼロとなる時、ステップAで生成した各点光源の最初の振幅Ap−0と最初の位相Φp−0を測定するとともに記録するステップと、
C、表示する必要がある三次元立体画像を離散化し、各ボクセルの位置と輝度を得て、各ボクセルの振幅Aがその輝度の平方根として設定され、輝度が高い方から低い方への原則に基づいて、すべてのボクセルをQ組に分けるステップと、
D、ステップCにおける一組のボクセルを選択するステップと、
E、ステップDで選択した一組のボクセルにおける各ボクセルに対し、その位置に対して一つのランダム偏移量を付加し、ランダム偏移量は偏移前の隣接するボクセル間の平均間隔より小さいとともに、一つのランダム位相を付与し、各ボクセルの最終位置rと位相Φを取得するステップと、
F、ステップEにおける一つのボクセルvを選択するステップと、
G、ステップAで生成した各点光源pに対し、それの放射する光円錐がステップFで選定したボクセルvをカバーすれば、点光源pからボクセルvへの距離|r−r|を算出し、該距離に基づいて該点光源の位相調整量を設定し、点光源pから放射した光波がボクセルvに到達した時の位相を、ステップEで設定した位相Φにし、同時に、該点光源の振幅調整量を距離|r−r|とボクセルvの振幅Aの乗算に正比例するよう設定し、前記位相調整量と振幅調整量を総合して複素振幅調整量とし、ボクセルvが二次点光源アレイの前方に位置するなら、点光源pがボクセルvを生成するためにすべき複素振幅調整量は、
【数1】
式(1)で表示し、
なお、式(1)において、Pはボクセルvを生成するのに参与するすべての点光源の数であり、
ボクセルvが二次元点光源アレイの後方に位置するなら、点光源pがボクセルvを生成するためにすべき複素振幅調整量は、
【数2】
で表示するステップと、
H、ステップDで選択した一組のボクセルに含まれるすべてのボクセルに対し、ステップFからGを繰り返すステップと、
I、ステップAで生成した各点光源pに対し、複素振幅の重ね合わせ原理に基づき、ステップDからステップHで得た点光源pがボクセルvを生成するためにすべき複素振幅調整量Ap−vを累加して、点光源pが全部でV個のボクセルを生成するのに必要な総複素振幅調整量Aを得るステップ、即ち
【数3】
であるステップと、
J、ステップAで生成した各点光源pに対し、ステップIで確定した総複素振幅調整量AをステップBで確定した該点光源の最初の振幅Ap−0で除して、該点光源の最終振幅位相調整量Ap−F=A/Ap−0を得て、ステップIで確定した総位相調整量ΦからステップBで確定した該点光源の最初の位相Φp−0を引くとともに、点光源pの振幅調整器が生成する最終振幅調整量Ap-Fによってもたらされる付加位相増量Φp−Aを引いて、該点光源の最終位相調整量Φp−F=Φ−Φp−0−Φp−Aを得るステップと、
K、ステップJで確定した各点光源の最終振幅位相調整量Ap−Fと最終位相調整量Φp−Fに基づき、各振幅調整器と位相調整器を駆動し、各点光源に前記最終振幅位相調整量と位相調整量を生成するステップと、
L、ステップCで確定したすべてのQ組のボクセルに対し、ステップDからKを繰り返すステップと、を含む。
【0008】
前記立体画像形成方法を実現する、平面光導波路回路を用いた立体画像形成装置であって、
コヒーレント光源と、平面光導波路回路と、導電ガラス前面板と、背部駆動回路とによって組成されており、導電ガラス前面板と背部駆動回路がそれぞれ平面光導波路回路の両側を覆っており、平面光導波路回路は光導波路主線とN個の光導波路支線を含んでおり、光導波路主線がコヒーレント光源から放射された光波を受け取り、N個の光導波路支線は光導波路主線に沿って分布しており、
各光導波路支線は、順次連結されて一体となっているカプラと振幅調整器と位相調整器と垂直転向器によって組成されており、カプラは光導波路主線から一部の光エネルギーにカップリングし、背部駆動回路が振幅調整器と位相調整器を駆動し、光導波路支線にカップリングして進出した光波に対して振幅と位相を調整した後、垂直転向器に送り、垂直転向器で向きを変えた後、平面光導波路回路に対して垂直に放射し、一つの点光源を発生させ、生成した点光源の位置がランダムに分布するように、垂直転向器の位置を設置し、
前記カプラは、方向性カプラ又はリング共振器カプラを採用しており、
前記位相調整器は、一段の、光電材料によって作成されたシングルモード光導波路であり、背部駆動回路によって光電材料の屈折率が改変され、光波の位相に改変を発生させ、
前記垂直転向器は、第1の垂直転向器と第2の垂直転向器の二種類を備えており、第1の垂直転向器は、マイクロ平面リフレクタによって構成されており、マイクロ平面リフレクタの反射面と平面光導波路回路の夾角は45°である。
【0009】
本発明は、本出願人の発明特許である≪ランダムな建設的干渉による三次元表示方法及び装置≫を基礎にして形成されたものであり、如何に平面光導波路回路を採用して二次元点光源アレイを構造し、そして各点光源の振幅と位相の独立した調整を実現するのを解決する。
【0010】
本発明は、平面光導波路回路全体を光導波路主線と光導波路支線に分け、光導波路主線がコヒーレント光源から放射された光波をスクリーンの各領域に導き、その後、光導波路主線両側に分布する大量の光導波路支線によって光波を光導波路主線からカップリングし、各光導波路支線が一つの点光源を生成するとともに、光導波路支線において光電材料で振幅調整器と位相調整器を製作して点光源の振幅と位相を調整する。それによって、平面光導波路回路を用いて大型の二次点光源アレイを構成することができ、そして各点光源の振幅と位相の独立した調整を実現する。
【0011】
本発明は、従来技術、特に、本出願人の発明特許である≪ランダムな建設的干渉による三次元表示方法及び装置≫と比較し、以下の有益な効果を具備する。
1、光電材料で液晶材料に代替し、光波の振幅と位相の調整を実現する。光電材料の応答時間はナノ秒クラスに達し、さらに高い頻度でのリフレッシュ周期を実現し、画像が更に早く安定し、高速運動の画像の遅延抑制に有利である。
2、平面光導波路回路を採用しているので、照明光学システムを簡略化し、ディスプレイは非常に軽くて薄くて安定する。
3、光波が平面光導波路回路に沿って伝わるので、液晶ディスプレイスクリーンのように透明な前後面板が必要なく、前面板上に透光性の小さな孔を設ければそれでよく、特に後面板上の駆動回路を透明なガラス状に作成する必要が無く、例えばプラスチック基板といった適切な材料上に制作することが可能である。よって、駆動回路の速度を更に早く、精度をさらに高くすることが出来る。
【0012】
本発明は特にコンピュータやテレビのディスプレイスクリーンに適しているが、ヒューマン・マシン・インタラクション、マシンビジョンなど、教育、科学研究、娯楽、広告などの領域に幅広く応用することが出来る。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1図1は、本発明の構造を示す略図である。
図2図2は、幹線回路が採用する螺旋型配置構造を示す略図である。
図3図3は、幹線回路が採用するZ型配置構造を示す略図である。
図4図4は、幹線回路がY型ビームスプリッタを採用する場合の配置図である。
図5図5は、幹線回路がスターカプラを採用する場合の配置図である。
図6図6は、幹線回路がリング共振器カプラを採用する場合の配置図である。
図7図7は、幹線回路が方向性カプラを採用する場合の構造を示す略図である。
図8図8は、支線回路が方向性カプラを採用する場合の配置図である。
図9図9は、支線回路がリング共振器カプラを採用する場合の構造を示す略図である。
図10図10は、垂直転向器がマイクロ平面リフレクタを採用する場合の断面構造を示す略図である。
図11図11は、垂直転向器が表面ラスターを採用する場合の断面構造を示す略図である。
図12図12は、前面板上の透光性の小さな孔の分布図である。
図13図13は、本発明がマイクロレンズアレイを採用する場合の構造を示す略図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、図面を参照しながら本発明について詳細に説明する。
【0015】
図1に示すように、本発明の三次元ディスプレイスクリーンは、コヒーレント光源1と、平面光導波路回路2と、導電ガラス前面板3と、背部駆動回路4によって組成されており、導電ガラス前面板3と背部駆動回路4がそれぞれ平面光導波路回路2の両側を覆っている。さらに図2から図7に示すように、平面光導波路回路2は光導波路主線6と光導波路支線7とを含んでいる。
【0016】
光導波路主線6は、シリアル配置でも良いし、パラレル配置でも良い。
【0017】
シリアル配置を採用した光導波路主線6は、1本又は3本の光導波路によって組成され、前記1本または3本の光導波路はZ型配置又は螺旋型配置の方法で、平面光導波路回路2の全体を平均して覆っている。
【0018】
図2に示すように、1本の光導波路は螺旋型を呈した環状線で平面光導波路回路2の全体を覆っている。カラー三次元表示を実現するため、波長のそれぞれλ1、λ2、λ3となる三原色は、シーケンスに従って左下から同一の光導波路に順番に入力し、三次元画像の各カラー成分を順次表示する。
【0019】
図3に示すように、3本の平行の光導波路はZ型を呈して折れ曲がってディスプレイスクリーン全体を覆っている。カラー三次元表示を実現するため、波長のそれぞれλ1、λ2、λ3の三原色は、左上から3本の光導波路にそれぞれ入力され、各光導波路が一種類の原色を転送し、三次元画像の各カラー成分を同時に表示する。
【0020】
シリアル配置のメリットは構造が簡単なことであり、デメリットは光導波路全体の長さがあまりにも長いので、比較的大きな伝送損が起こる可能性があることである。大きなサイズの三次元ディスプレイスクリーンを制作する際、光導波路主線6は、例えば石英ガラス光導波路といった、消耗が極めて少ない光導波路材料によって制作する必要ある。
【0021】
パラレル配置では、一つの平行光導波路アレイでディスプレイスクリーン全体を覆っており、鍵は、各平行光導波路に光波を如何に導くかということである。一般的には、Y型ビームスプリッタや、スターカプラや、方向性カプラや、リング共振器カプラや、ラスターや、マルチモード光干渉(MMI)デバイスなどによって、光波を各平行光導波路に導くことができる。この中で、Y型ビームスプリッタとスターカプラは波長と無関係であり、方向性カプラや、リング共振器カプラや、ラスターや、マルチモード光干渉デバイス等は、波長と関係がある。波長と関係するカプラは、異なる波長に基づいて異なる構造パラメータを設計する必要がある。パラレル配置のメリットは光導波路全体の長さが比較的短いことであるので、例えばポリマー材料といった、消耗が比較的低い光導波路材料によって制作することが可能である。
【0022】
パラレル配置を採用した光導波路主線6は、一つの平行光導波路アレイとY型ビームスプリッタ8又はスターカプラ9を備える。前記平行光導波路アレイは、平面光導波路回路2の全体を平均して覆っている。コヒーレント光源1から放射された光波をY型ビームスプリッタ8又はスターカプラ9によって平行光導波路アレイの各光導波路に平均して分配する。
【0023】
図4に示すようにパラレル配置を採用した光導波路主線6は、8本の水平光導波路によって組成される平行光導波路アレイと一つのY型ビームスプリッタを備え、平行光導波路アレイが平面光導波路回路2の全体を平均して覆っている。前記Y型ビームスプリッタ8は、1/2型のY型ビームスプリッタであり、全部で七つの1/2型のY型ビームスプリッタを採用している。コヒーレント光源から放射された波長のそれぞれλ1、λ2、λ3となる三原色の光波は、シーケンスに従って左から1/2型のY型ビームスプリッタを通して前記8本の水平光導波路に平均して分配され、三次元画像の各カラー成分を順次表示する。光導波路主線6が1024本の水平平行光導波路を含む場合、10級の1/2型のY型ビームスプリッタが必要である。当然、1/4型、1/8型のY型ビームスプリッタなどによってY型ビームスプリッタの級数を減少することにより、Y型ビームスプリッタが占める定額外の面積を減少することも可能である。
【0024】
図5に示すようにパラレル配置を採用した光導波路主線6はスターカプラ9と8本の水平光導波路によって組成された平行光導波路アレイを備えている。スターカプラ9は、3/8型のスターカプラである。コヒーレント光源から放射された波長のそれぞれλ1、λ2、λ3となる三原色の光波は、シーケンスに従って左から一つの3/8型のスターカプラを通して8本の水平光導波路に平均して分配され、三次元画像の各カラー成分を順次表示する。光導波路主線6が非常に多くの水平平行光導波路を含む場合、例えば1024本である場合、多級のスターカプラを採用する必要があるかもしれない。図5の3/8型のスターカプラ9の左側の3本の入力光導波路は中間の1本だけを採用すればよく、甚だしきは全部不要なので、コヒーレント光源からの光波は中間光導波路の位置から直接入力され、このように1本の光導波路内に高すぎる光量が転送されるのを避ける。
【0025】
図6に示すように、パラレル配置を採用した光導波路主線6は、一つの平行光導波路アレイとそれに垂直な1本の直線光導波路を備えており、平行光導波路アレイの各光導波路は一つのリング共振器10によって直線光導波路とカップリングする。平行光導波路アレイは平面光導波路2の全体を平均して覆っている。直線光導波路はコヒーレント光源1から放射された三原色光波を受け取り、各リング共振器10の構造パラメータを設計して直線光導波路に転送された三原色光波を平行光導波路アレイの異なる光導波路に順次カップリングする。
【0026】
図6は、9本の縦方向の光導波路によって組成された平行光導波路アレイと、それに垂直な1本の水平直線光導波路を採用しており、平行光導波路アレイの各縦方向の光導波路は一つのリング共振器10によって水平直線光導波路とカップリングする。前記縦方向の平行光導波路アレイは平面光導波路2の全体を平均して覆っている。コヒーレント光源から放射された波長のそれぞれλ1、λ2、λ3となる三原色は、左上から水平直線光導波路に同時に入力され、波長λ1、λ2、λ3に対して異なる半径のリング共振器10を設計し、水平直線光導波路の転送された三原色光波を9本の縦方向の光導波路に順にカップリングさせ、三次元画像の各カラー成分を同時に表示する。また、1本の光導波路内に高すぎる光量が転送されるのを避けるため、スターカプラを採用してコヒーレント光源1から放射された光波を複数本のシングルモード光導波路にカップリングして、各シングルモード光導波路が一つの図6に示す光導波路回路に接続しても良い。
【0027】
図7に示すように、パラレル配置を採用した光導波路主線6は一つの平行光導波路アレイと3本の直線光導波路を備えており、平行光導波路アレイと3本の直線光導波路は互いに垂直であり、且つ二つの隣接する平面にそれぞれ作成されている。平行光導波路アレイの各光導波路は方向性カプラ11によって3本の直線光導波路のうちの1本の直線光導波路と順番にカップリングし、平行光導波路アレイは、平面光導波路回路2の全体を平均して覆っている。3本の直線光導波路はそれぞれコヒーレント光源1から放射された三原色光波を受け取り、各方向性カプラの構造パラメータを設計して、3本の平行直線光導波路に転送された三原色光波を、平行光導波路アレイの異なる光導波路に順次カップリングする。
【0028】
図7は、9本の縦方向の光導波路によって組成された平行光導波路アレイと、3本の水平直線光導波路からなる。平行光導波路アレイと3本の水平直線光導波路は互いに垂直で、且つ二つの隣接する平面にそれぞれ作成されている。平行光導波路アレイの各縦方向の光導波路は方向性カプラ11によって3本の水平直線光導波路中の1本の直線光導波路と順番にカップリングし、平行光導波路アレイは平面光導波路回路2の全体を平均して覆っている。3本の水平直線光導波路は、コヒーレント光源1から放射された波長のそれぞれλ1、λ2、λ3となる三原色光波をそれぞれ受け取って、各方向性カプラの構造パラメータを設計して、3本の平行直線光導波路に転送された三原色光波を、平行光導波路アレイの異なる光導波路に順次カップリングする。
【0029】
光導波路が交差するのを避けるため、平行光導波路アレイと3本の水平直線光導波路はそれぞれ二つの隣接する平面に作成される。例えば、3本の水平直線光導波路を導電ガラス前面板3に作成することができる。なお、3本の水平直線光導波路を破線で表した。コヒーレント光源1から放射された波長のそれぞれλ1、λ2、λ3となる三原色光波は、左上から3本の水平直線光導波路に同時にそれぞれ入力され、波長λ1、λ2、λ3に対して異なるパラメータの方向性カプラを設計し、3本の水平平行直線光導波路に転送された三原色光波を9本の縦方向の光導波路に順次カップリングする。二つの平面上にそれぞれ光導波路を作成する必要があるので、後の組み立て時は、厳密な照準合せや二つの平面の間の間隔を厳密に制御する必要があり、作成と組み立ての難度を高くする。
【0030】
光波がスクリーン全体に導かれるようにするため、平面光導波路回路2は非常に多くのコーナリングがある。光波を常に光導波路のコア層に制限するために、コーナリング半径は比較的大きい必要がある。コア層と被覆層の屈折率の差が小さくなるほどコーナリング半径は大きくなるので、ディスプレイスクリーンサイズが大きくなり、密集点光源アレイの形成に不利である。ディスプレイスクリーンサイズを小さくし、密集点光源アレイを形成するためには、平面光導波路回路2の全てにフォトニック結晶光導波路を採用することが可能であるし、例えばコーナリング個所や分岐個所などの重点箇所だけにフォトニック結晶光導波路を採用することも可能である。
【0031】
位置がランダムに分布した点光源アレイを生成するため、平面光導波路回路2は光導波路主線6とN個の光導波路支線7を含んでおり、光導波路主線6がコヒーレント光源から放射された光波を受け取り、N個の光導波路支線7は光導波路主線6に沿って分布している。各光導波路支線7は、順次連結されて一体となっているカプラと振幅調整器と位相調整器と垂直転向器によって組成されており、カプラは光導波路主線6から一部の光エネルギーにカップリングし、背部駆動回路4が振幅調整器と位相調整器を駆動し、光導波路支線7にカップリングして進出した光波に対して振幅と位相を調整した後、垂直転向器に送り、垂直転向器で向きを変えた後、平面光導波路回路2に対して垂直に放射し、一つの点光源を発生させ、生成した点光源の位置がランダムに分布するように、垂直転向器の位置を設置する。
【0032】
垂直転向器は、第1の垂直転向器15と、第2の垂直転向器22の二種類がある。
【0033】
図8に示すように、各光導波路支線7は、順次連結されて一体となっているカプラ12と振幅調整器13と位相調整器14と垂直転向器15によって組成されている。カプラ12は方向性カプラを採用している。カプラ12は光導波路主線6から一部の光エネルギーにカップリングし、背部駆動回路4が振幅調整器13と位相調整器14を駆動し、光導波路支線7にカップリングして進出した光波に対して振幅と位相を調整した後、第1の垂直転向器15に送り、第1の垂直転向器15で向きを変えた後、平面光導波路回路2に対して垂直に放射し、一つの点光源を発生させる。
【0034】
図8の振幅調整器13は、隣接して設けられており且つ互いに平行である、第1の入力シングルモード光導波路16と第1の出力シングルモード光導波路17によって組成されており、第1の入力シングルモード光導波路16又は第1の出力シングルモード光導波路17の部分は、光電材料によって作成される。図8は、第1の出力シングルモード光導波路の空心線部分を光電材料によって作成している。背部駆動回路4が光電材料の屈折率を改変することにより、第1の入力シングルモード光導波路と第1の出力シングルモード光導波路の間のカップリング係数を改変して、第1の出力シングルモード光導波路17から出力される光波の振幅を改変する。
【0035】
位相調整器14は一段(図では空心線分)であり、光電材料によって作成されたシングルモード光導波路であり、背部駆動回路4によって光電材料の屈折率が改変され、光波の位相に改変を発生させる。必須の注意点として、振幅調整器13が振幅を調整するとき、位相にも同時に改変が生じるので、位相調整器14のすべき位相調整量は、振幅調整器13が振幅を調整するときに付帯して生じる位相調整量をさらに補償すべきである。
【0036】
図9に示すように、光導波路支線7は、一つのカプラ19と、一つの振幅調整器20と、一つの位相調整器21と、一つの第2の垂直転向器22によって組成されており、順次連結されて一体となっているカプラ19と振幅調整器20と位相調整器21と第2の垂直転向器22によって組成されている。カプラ19はリング共振器カプラを採用している。
【0037】
図9において、振幅調整器20は第2の入力シングルモード光導波路23と第2の出力シングルモード光導波路24と環状シングルモード光導波路18によって組成されており、環状シングルモード光導波路18は第2の入力シングルモード光導波路23と第2の出力シングルモード光導波路24の間に位置している。環状シングルモード光導波路18は光電材料によって作成されており、第2の入力シングルモード光導波路23に転送された光波が環状シングルモード光導波路18によって第2の出力シングルモード光導波路24にカップリングされる。背部駆動回路4によって光電材料の屈折率が改変されることによって、第2の入力シングルモード光導波路23と第2の出力シングルモード光導波路24の間のカップリング係数が改変され、第2の出力シングルモード光導波路24から出力される光波の振幅を改変する。
【0038】
図8から9に示すように、一つの光導波路支線7は、振幅と位相を独立して調整することが可能な点光源を生成可能である。二次元光源アレイを生成するためには、おびただしい数の光導波路支線7が必要になる。これらの光導波路支線は光導波路主線6に沿って分布されている。図4から7には、一部の光導波路支線7の分布状況を記載した。光導波路支線7の全てを記載するなら、それらは光導波路回路2の全体を覆っている。
【0039】
光波の位相の唯一性を保証するため、光導波路支線7はシングルモード光導波路を採用すべきであり、そのコア径はわずか数マイクロメートルであるので、その射出端が一つの点光源に相当する。位相の単一性を保証するため、光導波路主線6はできるだけシングルモード光導波路を採用すべきである。光導波路主線6に転送された光波が非常に強い場合、マルチモード光導波路を採用する必要があり、この時、光導波路主線6は基本モードの状態で作動する。
【0040】
図10に示すように、第1の垂直転向器15はマイクロ平面リフレクタ25によって構成されており、マイクロ平面リフレクタ25の反射面と平面光導波路の夾角は45°である。マイクロ平面リフレクタ25の背面は空気であり、こうして完全放射により位相調整器14から水平光シングルモード導波路に沿って送られた光波を90°偏向させた後、導電ガラス前面板3と垂直に放射する。水平シングルモード光導波路から射出する光波が反射面全反射臨界角より大きいなら、反射面背部に金属の反射フィルムを蒸着させることができる。光導波路支線7をポリマー材料で制作すると、反射面はホットブリケッティングすることができる。
【0041】
図11に示すように、第2の垂直転向器22は一つの表面ラスター27によって組成されており、ラスター27の構造パラメータを設計して、位相調整器14から出力された光波を90°偏向した後、平面光導波路2と垂直に外へ向って放射する。
ラスター27はマイクロ平面リフレクタ25のように位相調整器21からのすべての光波を90°偏向させるのが難しい。効率を上げるため、垂直転向器22の底部に、例えばブラッグ反射層などの反射層を追加することができる。
【0042】
図10図11図12に示すように、透明な導電ガラス前面板3は金属導電フィルム26を蒸着した透明平板ガラスによって組成されており、金属導電フィルム26は平面光導波路回路2と隣接する側に蒸着されており、金属導電フィルム26にN個の透光性の小さな孔28がエッチングされている。各透光性の小さな孔は、一つの第1の垂直転向器15又は第2の垂直転向器22と正確に合わさっていると共に、第1の垂直転向器又は第2の垂直転向器の真正面に位置しており、第1の垂直転向器又は第2の垂直転向器から放射された光波が導電ガラス前面板3を貫通できるようにする。位置がランダムに分布する点光源アレイを生成するため、小さな透光性孔28の位置はランダムに分布されているべきである。
【0043】
本発明において、きめ細かく滑らかな三次元立体画像を表示するために、点光源のコヒーレント干渉によって多くのボクセルを同時に生成する必要がある。点光源からの球面波は四方に拡散するので、それは、一つのボクセルを生成すると同時に、その他のボクセルが一定の背景を作るのを同時にもたらすことができる。多くのボクセルが作った背景を重ね合わせることにより一つの明瞭な背景を形成可能であり、三次元立体画像のコントラストを顕著に低下させる。立体画像のコントラストを高めるため、時間分割方法或いは空間分割方法を取ることが可能である。時間分割方法は、立体画像のボクセルを輝度に基づいて高い方から低い方へ複数のグループに分け、各グループのボクセルを時間順に表示する。時間分割方法により、同時に表示するボクセル数を二倍も低下可能であり、それによって背景強度が累加し過ぎるのを避けるとともに、低輝度ボクセルが高輝度ボクセルに埋没するのを避ける。いわゆる空間分割方法はハードウェアを用いた方法であり、即ち一つのマイクロレンズを用いて複数の点光源を同時に覆って、各点光源から放射される光円錐に小さな部分の現像空間だけを覆うようにさせる方法である。空間分割方法は一つの点光源から放射された光波を一つの小さな円錐角の範囲に制限することが可能なので、該小さな円錐角の範囲外のボクセルには何も影響しないし、同様に背景強度が累加し過ぎるのを避けることができる。
【0044】
よって、空間分割方法によって立体画像形成のコントラストを高めるため、本発明は導電ガラス前面板3の前にはマイクロレンズアレイ板29が装備されており、各マイクロレンズの構造パラメータを設計して、それが2個以上の点光源を覆うようにしている。
【0045】
図13に示すように、導電ガラス前面板3の前には、マイクロレンズアレイ板29が装備されており、各マイクロレンズがディスプレイスクリーンの3個の点光源を覆っている。ディスプレイスクリーンにおける9個の点光源から放射された光波は、3個のマイクロレンズを経過した後、C1から9の九つの光円錐に形成される。また、図13ではマイクロレンズのパラメータをこまやかに設計する必要があり、各マイクロレンズが覆う点光源から放射される光円錐を統合することにより画像形成空間の全体をできるだけ上手く覆うことができるようにする。例えば、三つの光円錐C1から3を統合することにより画像形成空間の全体をちょうど覆うことができるべきである。各点光源から放射される光円錐が画像形成空間の小さな部分だけを覆うので、画像形成空間全体の全てのボクセルが変わらない前提で、各点光源が生成すべきボクセルの全数量は倍減になる。例えば図13の立体画像5のボクセル30は、ディスプレイスクリーンにおける上から下へ数えて第1個目、第5個目、第9個目の点光源が生成しており、それらから放射される光円錐C1、C5、C9はともにボクセル30を覆っているからである。他の点光源は、ボクセル30に貢献がなく、ボクセル30の近くの背景強度にも影響がない。これは、他の点光源から放射した光波がボクセル30を覆っていないからである。また、高次回析像を抑制するため、点光源の位置及び/又はマイクロレンズの光軸中心位置は、ランダムに分布されているべきである。
【0046】
以上のように、図1に示す装置によって、位置がランダムな分布を呈するとともに、振幅と位相を独立して調整可能な二次元光源アレイを生成可能である。各点光源の位相を設置すると、各点光源から放射された球面波が所定位置に到達した時に同じ位相になるようにし、コヒーレント干渉により、所定位置に一つのボクセルを形成可能である。
【0047】
以下、画像形成方法について具体的に述べる。それは、以下の12のステップを含む。
【0048】
A、平面光導波路回路を設計作成し、コヒーレント光源から放射されたコヒーレント光を二次元点光源アレイに変換し、且つ、二次元光源アレイにおける各点光源の位置はランダムな分布を呈しており、p個目の点光源の位置をrとし、同時に、平面光導波路回路に、各点光源のために、各点光源の振幅と位相に対して独立した調整を行うための、振幅調整器と位相調整器を設計製作する、ステップ。
【0049】
B、各振幅調整器と位相調整器の駆動電圧がゼロとなる時、ステップAで生成した各点光源の最初の振幅Ap−0と最初の位相Φp−0を測定するとともに記録するステップ。
【0050】
C、表示する必要がある三次元立体画像を離散化し、各ボクセルの位置と輝度を得て、各ボクセルの振幅Aがその輝度の平方根として設定され、輝度が高い方から低い方への原則に基づいて、すべてのボクセルをQ組に分けるステップ。
【0051】
D、ステップCにおける一組のボクセルを選択するステップ。
【0052】
E、ステップDで選択した一組のボクセルにおける各ボクセルに対し、その位置に対して一つのランダム偏移量を付加し、ランダム偏移量は偏移前の隣接するボクセル間の平均間隔より小さいとともに、一つのランダム位相を付与し、各ボクセルの最終位置rと位相Φを取得するステップ。
【0053】
F、ステップEにおける一つのボクセルvを選択するステップ。
【0054】
G、ステップAで生成した各点光源pに対し、それの放射する光円錐がステップFで選定したボクセルvをカバーすれば、点光源pからボクセルvへの距離|r−r|を算出し、該距離に基づいて該点光源の位相調整量を設定し、点光源pから放射した光波がボクセルvに到達した時の位相を、ステップEで設定した位相Φにし、同時に、該点光源の振幅調整量を距離|r−r|とボクセルvの振幅Aの乗算に正比例するよう設定し、前記位相調整量と振幅調整量を総合して複素振幅調整量とし、ボクセルvが二次点光源アレイの前方に位置するなら、点光源pがボクセルvを生成するためにすべき複素振幅調整量は、式(1)で表示する。
【数4】
【0055】
なお、式(1)において、Pはボクセルvを生成するのに参与するすべての点光源の数であり、二次元点光源アレイの前方の任意の位置rにある光波はすべてのP個の点光源から放射した球面波が重ね合されたものであり、その複素振幅は、式(2)で表示する。
【数5】
【0056】
ボクセルvがある位置rにおいて、式(1)中の指数項と式(2)の指数項は互いに相殺され、式(2)は一つの極大値U(r)=Aexp(iΦ)に達し、言い換えれば、すべての点光源から放射された球面波が位置rvへ到達した際は同じ位相であり、コヒーレント干渉によって空中に一つの光スポット、即ちボクセルvが生成される。位置rに離れると、光の強度が急速に小さくなる。よって、一旦、式(1)に基づいて各点光源pの複素振幅を設定すれば、スクリーンの前方位置rにボクセルvを生成可能である。
【0057】
ボクセルvが二次元点光源アレイの後方に位置するなら、点光源pがボクセルvを生成するためにすべき複素振幅調整量は、式(3)で表示する。
【数6】
【0058】
式(3)の物理的意味を理解するため、一つの薄レンズを二次元点光源アレイの所在した平面に置くと仮定できる。式(3)と薄レンズが導入した位相変化に基づいて、薄レンズの前方に一つの実体ボクセルを形成すると推定することができるが、該実体ボクセルに達する光線は全て薄レンズの後方の一つの虚像ボクセルvからである。薄レンズを取った後、実体ボクセルを再生成することはできないが、虚像ボクセルvは依然として存在する。よって、一旦、式(3)に基づいて各点光源pの複素振幅を設置すれば、スクリーン後方位置rにボクセルvを生成可能であるステップ。
【0059】
H、ステップDで選択した一組のボクセルに含まれるすべてのボクセルに対し、ステップFからGを繰り返すステップ。
【0060】
I、ステップAで生成した各点光源pに対し、複素振幅の重ね合わせ原理に基づき、ステップDからステップHで得た点光源pがボクセルvを生成するためにすべき複素振幅調整量Ap−vを累加して、点光源pが全部でV個のボクセルを生成するのに必要な総複素振幅調整量Aを得るステップ、即ち
【数7】

であるステップ。
【0061】
J、ステップAで生成した各点光源pに対し、ステップIで確定した総複素振幅調整量をステップBで確定した該点光源の最初の振幅Ap−0で除して、該点光源の最終振幅位相調整量Ap−F=A/Ap−0を得て、ステップIで確定した総位相調整量ΦからステップBで確定した該点光源の最初の位相Φp−0を引くとともに、点光源pの振幅調整器が生成する最終振幅調整量Ap-Fによってもたらされる付加位相増量Φp−Aを引いて、該点光源の最終位相調整量Φp−F=Φ−Φp−0−Φp−Aを得るステップ。
【0062】
K、ステップJで確定した各点光源の最終振幅位相調整量Ap−Fと最終位相調整量Φp−Fに基づき、各振幅調整器と位相調整器を駆動し、各点光源に前記最終振幅位相調整量と位相調整量を生成するステップ。
【0063】
L、ステップCで確定したすべてのQ組のボクセルに対し、ステップDからKを繰り返すステップ。
【0064】
上記ステップにおいて、ステップAとステップBは、二次元点光源アレイを得ると共に各点光源の最初の振幅と最初の位相を標定するためのものである。各立体表示装置に対し、ステップAとステップBを出荷前に完成しておく必要がある。ステップCは、表示しようとする立体画像を離散し、各ボクセルの位置及び振幅を獲得するとともに、すべてのボクセルをその輝度分布に基づいて幾つかのグループに分けて時間分割表示しやすいようにするためのものである。ステップEで各ボクセルに一つのランダム位相及び一つのランダム偏移量を付加するのは、生成したボクセルがもう一度点光源として、二次ボクセルとなって不要なノイズが生じるのを避けるためのものである。ステップFからステップIは、各グループのボクセルが生成されるため各点光源が必要な複素振幅調整量を確定するものである。ステップJは、各点光源の最初の位相及び最初の振幅を補うとともに、振幅調整器が生成する付加位相を補償して、各点光源が必要な最終振幅調整量と位相調整量償を獲得するためのものである。レーザの輝度を考慮し、各点光源が必要な最終振幅調整量は一つの比例因子を乗算する必要があり、理解しやすいよう、ここではこの因子を1と仮定する。ステップKは、駆動電圧を各振幅調整器と位相調整器に印加し、各点光源に前記最終振幅調整量と位相調量を生成させるためのものである。ステップKが完了した後、一組のボクセルが空中の所定位置に出現する。ステップLは、すべてのQ組のボクセルを時間分割表示するためのものである。
【0065】
本発明と発明特許(特許文献1)で示した方法とを比較し、本発明は空間分割方法と時間分割方法を増やすことにより、更に良好な画像コントラストを得ることを可能としている。また、本発明は各ボクセルにランダム位相及びランダム偏移量を付加するので、二次ノイズボクセルの生成を抑制する。さらに、本発明は各ボクセルの位置に対して補償を行うことにより、遠近の異なるボクセルの全てを所定の輝度に到達させている。さらに、本発明は光電材料を採用した振幅調整器に、位相の補償などを行っている。
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