(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6072356
(24)【登録日】2017年1月13日
(45)【発行日】2017年2月1日
(54)【発明の名称】STIG発電所コンセプトにおける熱水処理方法および熱水処理装置
(51)【国際特許分類】
F02C 6/18 20060101AFI20170123BHJP
F22B 1/18 20060101ALI20170123BHJP
F02C 3/30 20060101ALI20170123BHJP
F02C 6/00 20060101ALI20170123BHJP
F02G 5/02 20060101ALI20170123BHJP
【FI】
F02C6/18 A
F22B1/18 R
F02C3/30 C
F02C6/00 Z
F02G5/02 A
F02G5/02 C
【請求項の数】13
【全頁数】9
(21)【出願番号】特願2016-510983(P2016-510983)
(86)(22)【出願日】2014年4月14日
(65)【公表番号】特表2016-522868(P2016-522868A)
(43)【公表日】2016年8月4日
(86)【国際出願番号】EP2014057478
(87)【国際公開番号】WO2014177372
(87)【国際公開日】20141106
【審査請求日】2016年1月4日
(31)【優先権主張番号】102013208002.6
(32)【優先日】2013年5月2日
(33)【優先権主張国】DE
(73)【特許権者】
【識別番号】390039413
【氏名又は名称】シーメンス アクチエンゲゼルシヤフト
【氏名又は名称原語表記】Siemens Aktiengesellschaft
(74)【代理人】
【識別番号】100114890
【弁理士】
【氏名又は名称】アインゼル・フェリックス=ラインハルト
(74)【代理人】
【識別番号】100128679
【弁理士】
【氏名又は名称】星 公弘
(74)【代理人】
【識別番号】100099483
【弁理士】
【氏名又は名称】久野 琢也
(72)【発明者】
【氏名】トーマス ハマー
(72)【発明者】
【氏名】アレクサンダー トレーメル
(72)【発明者】
【氏名】マークス ツィークマン
(72)【発明者】
【氏名】ウーヴェ レンク
【審査官】
稲葉 大紀
(56)【参考文献】
【文献】
特開昭55−044328(JP,A)
【文献】
特開2008−212900(JP,A)
【文献】
特開平08−074602(JP,A)
【文献】
特開2006−103561(JP,A)
【文献】
独国特許出願公開第102009022491(DE,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F02C 3/30,6/00,6/18
F02G 5/02
F22B 1/18
C02F 1/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
熱水処理装置(2)と組み合わせられたガスタービン装置(28)の運転のための方法であって、
− ガスタービン(28)により第1の排ガス(3)を生成するステップと、
− 第2の排ガス(6)のために、前記第1の排ガス(3)を廃熱蒸気発生器(4)によって70℃から250℃の温度範囲に冷却するステップと、
− 第1の温水(13)を、前記熱水処理装置(2)内で凝縮器(10)から蒸発器(12)へ輸送するステップと、
− 排ガス熱を第1の温水(13)に伝達するために前記第2の排ガス(6)をボイラー(14)へ導くステップであって、空気(11)を前記凝縮器(10)から前記蒸発器(12)へ送風機(36)によって循環させ、前記ボイラー(14)によって温められた第1の温水(13)と前記空気(11)とが前記蒸発器(12)内の向流において熱を交換するステップと、を含む方法。
【請求項2】
冷却器(32)によって、第1の冷却剤(23)へ熱を受け渡すことにより、第2の温水(17)を冷却し、前記第2の温水(17)を冷水(8)にする、請求項1記載の方法。
【請求項3】
前記第1の冷却剤(23)を、前記冷却器(32)で利用した後、前記ボイラー(14)の後段の第3の排ガス(7)の冷却のために、排ガス凝縮器(30)で使用する、請求項2記載の方法。
【請求項4】
第2の冷却剤を、前記第3の排ガス(7)の冷却のために、前記ボイラー(14)の後の排ガス凝縮器(30)で使用する、請求項2記載の方法。
【請求項5】
前記第2の冷却剤を、前記排ガス凝縮器(30)で利用した後、前記第2の温水(17)の冷却のために冷却器(32)内で使用する、請求項4記載の方法。
【請求項6】
原水(16)、及び/又は、前記ボイラー(14)からの第1の凝縮水(18)、及び/又は、排ガス凝縮器(30)からの第2の凝縮水(19)を、前記熱水処理装置(2)内でプロセス水(20)へと処理する、請求項1乃至5のいずれか一項記載の方法。
【請求項7】
前記熱水処理装置(2)の前記プロセス水(20)の一部から、廃熱蒸気発生器(4)内で蒸気(22)を生成する、請求項6記載の方法。
【請求項8】
前記蒸気(22)の少なくとも一部を、蒸気注入部(26)のために、前記ガスタービン(28)へ戻す、請求項7記載の方法。
【請求項9】
前記第1の凝縮水(18)及び/又は第2の凝縮水(19)は、前記熱水処理装置(2)内での処理の前に、揮発性の物質を除去する、請求項6乃至8のいずれか一項記載の方法。
【請求項10】
前記凝縮器(10)内での凝縮及び/又は前記蒸発器(12)内での蒸発が、多段階で実施される、請求項6乃至9のいずれか一項記載の方法。
【請求項11】
請求項1乃至10いずれか一項記載の方法を実施するための装置(1)であって、
− 第1の排ガス(3)を生成する、蒸気注入部(26)を備えたガスタービン(28)と、
− 前記第1の排ガス(3)を、70℃から250℃の温度レベルを有する第2の排ガス(6)へ冷却する、廃熱蒸気発生器(4)と、
− 少なくとも1つの凝縮器(10)及び蒸発器(12)を有する熱水処理装置(2)と、
− 前記第2の排ガス(6)の廃熱を、前記熱水処理装置(2)の第1の温水(13)に伝達するボイラー(14)と、を備え、
前記第1の温水(13)は、前記凝縮器(10)と前記蒸発器(12)との間の、前記熱水処理装置(2)の循環路内にあり、
前記送風機(36)は、空気(11)が前記凝縮器(10)から前記蒸発器(12)へ流れ、及び、前記凝縮器(10)へ戻って循環するように構成されており、かつ、前記ボイラー(14)によって温められた第1の温水(13)と前記空気(11)とが、前記蒸発器(12)において向流熱交換器を構成している、装置。
【請求項12】
冷却器(32)を有する、請求項11記載の装置(1)。
【請求項13】
排ガス凝縮器(30)を備えた、請求項11又は12記載の装置(1)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、プロセス水のための原水及び/又は凝縮水の熱水処理のための方法に関する。
【0002】
さらに本発明は、蒸気注入部を有するガスタービンと、廃熱蒸気発生器と、ボイラーと、さらに少なくとも蒸発器及び凝縮器を有する水処理装置とからなる装置に関する。
【0003】
ガスタービンは、発電所内の発電機を駆動するために使用されるだけでなく、ジェット推進機関内のプロペラや、コンプレッサー若しくはポンプの駆動のためにも使用される。熱電コジェネレーションの分野では、ガスタービンが、その高温の排ガスを熱発生に使用するために適用される。ガスタービンは、主に、コンプレッサーと、燃焼室と、タービンとからなる組み合わせから構成されており、ここで、タービンとは単にガスタービンの拡張部として分類される。ガスタービンの設計と運転条件に応じて、タービンから排出される排ガスは、400℃から650℃の範囲の温度を有する。従来技術によれば、ガスタービンには、排ガスの熱エネルギーを使用して蒸気を発生するための廃熱蒸気発生器が後置接続されている。蒸気は、再び燃焼室に供給され、高められた質量流量によってガスタービンの出力が増加する。さらに、蒸気の供給によって、排ガス中の窒素酸化物濃度が低下する。従って、全体として、ガスタービンの効率が向上する。この方法はSTIGコンセプト又はチェン・プロセスと呼ばれる。廃熱蒸気発生器の後方では、排ガスは、典型的には、2つ乃至は3つの圧力回路においては70℃から200℃の低い温度レベルにあり、1つの圧力回路においては約100℃〜250℃にある。ガスタービンへの水の注入のために、水に高い品質が必要である。STIGコンセプトの水処理のために、従来技術では、種々の複雑な方法があり、コストは原水の品質に依存する。可能な方法としては、まず、イオン交換と逆浸透が挙げられる。しかし、どちらの方法も原水に高負荷がかかる場合に制限を有する。有機負荷があると、イオン交換における非可逆性の吸着プロセス乃至は逆浸透の透過水量の低下が生じる。従っていずれの方法でも、条件によっては、コストのかかる別のステップが予め施される。STIGコンセプトのさらなる欠点は、水蒸気の損失であり、ひいては、ガスタービンの排ガス中の水分の損失である。そのため、蒸気注入に際して要求される品質のプロセス水を、恒常的に用意し続けなければならない。従って、STIGプロセスは、連続運転には適用されず、専ら短期的な出力上昇に用いられる。例えば一時的に電力需要が増加した場合において用いられる。
【0004】
本発明の解決しようとする課題は、STIGコンセプトにおける熱水処理の運転のための方法であって、廃熱蒸気発生器後の排ガスの低い熱エネルギーを使用可能にする方法を提供することである。本発明のさらなる課題は、この使用を実現する装置を提供し、上述した欠点を回避することである。
【0005】
この課題は、本発明の請求項1に記載された方法及び請求項11に記載された装置により解決される。
【0006】
本発明の熱水処理装置の運転のための方法によれば、以下のステップが実行される:
− ガスタービンにより第1の排ガスを生成するステップ、
− 前記第1の排ガスを第2の排ガスのために廃熱蒸気発生器によって70℃から250℃の温度範囲に冷却するステップ、
− 第1の温水を凝縮器から蒸発器へ水処理装置内において輸送するステップ、
− 排ガス熱を第1の温水に伝達するために前記第2の排ガスをボイラーへ導くステップ。
【0007】
本方法は、水処理装置内で、廃熱蒸気発生器の後段での第2の排ガスの熱の好適な利用を実現するものであって、例えば、プロセス水のための原水及び/又は凝縮水の水処理のためのものである。蒸発熱を同時に回収しつつ、清潔なプロセス水を凝縮させるために、対向方向に流れる空気内で、対流を助ける蒸発器内での水の蒸発の原理と、水冷の凝縮器とを組み合わせて、水処理装置を運転することは有利である。そのため、水処理装置は少なくとも凝縮器と蒸発器とを備えている。水処理装置は、400℃から650℃の温度範囲の第1の排ガスを生成するガスタービンとの組み合わせで運転される。ここで、ガスタービンは蒸気注入部を有するガスタービンであってもよい。さらに、ガスタービンによって生成された第1の排ガスは、廃熱蒸気発生器によって70℃から250℃の低い温度レベルに冷却される。その際、廃熱蒸気発生器は好適に蒸気を生成する。廃熱蒸気発生器内で冷却された第1の排ガスに相当し、70℃から250℃の低い温度範囲にある第2の排ガスは、さらに、水処理装置内のボイラーに導かれる。第2の排ガスの廃熱は、蒸発器と凝縮器との間の循環路にある第1の温水に排ガスの熱を伝達するボイラーによって利用される。ボイラーは、特に熱交換器として構成されることができる。特に好ましくは、第2の排ガスの少ない廃熱が、上述したような水処理装置の運転をカバーする。特に好ましい実施形態では、複数のそのような水処理装置が直列に接続され、多段で実施される。これによって温度差が低減され、高い効率へと導かれる。
【0008】
本発明に係る装置は、蒸気注入部を有するガスタービンと、廃熱蒸気発生器と、ボイラーと、少なくとも1つの凝縮器と蒸発器とを有する水処理装置とを備えており、さらに、上記の方法を実施できるように構成されている。
【0009】
有利な実施形態では、水処理装置は、蒸発熱を同時に回収しつつ、清潔なプロセス水を凝縮させるために、対向方向に流れる空気内で、対流を助ける蒸発器内での水の蒸発の原理と、水冷の凝縮器との組み合わせによって運転される。
【0010】
本発明による、STIG発電所コンセプトにおける水処理の有利な実施形態及び発展形態は、従属請求項によって明らかとなる。それによれば、方法は、さらに次のステップを有する。
【0011】
水処理装置は、第1の冷却剤、特に水によって運転される冷却器を備えることができる。プロセス水を凝縮させるために、対向方向に流れる空気内で、対流を助ける蒸発器内の水の蒸発の原理と、水冷の凝縮器とを組み合わせて、水処理装置が運転されると、水処理装置の水循環路の冷却に好適である。これにより、水処理装置を恒常的に運転することが可能である。第2の温水が、冷却水としての使用のために凝縮器の中で冷却されねばならないからである。有利には、蒸発熱の回収が同時に生ずる。
【0012】
有利な実施形態としては、排ガス凝縮器内での冷却のために適用される第2の冷却剤が、さらに、冷却器内の冷却剤として使用される。換言すれば、第1及び第2の冷却剤は、同一である。構成要素の数が抑えられるので、装置全体の構成がシンプルに保たれる。さらに、温度冷却剤の温度差が高められ、流量当たりの入熱の比熱量が上昇する。
【0013】
有利な発展形態では、ボイラーの後段の第3の排ガスが、少なくとも1つの排ガス凝縮器内において、第2の冷却剤により、特に冷却水により、さらに冷却されることができる。これにより、第3の排ガス内の水蒸気は、第2の凝縮水へと凝縮される。例えば、この冷却は、5℃以下に冷却されると好適である。特に有利には、第3の排ガスは、自身の飽和温度まで冷却される。
【0014】
有利な発展形態では、第1の冷却剤は、さらに、冷却器内の冷却のために使用され、続いて、排ガス凝縮器内の冷却剤として使用されることができる。これにより、構成要素の数が抑えられる。結果として生じる冷却剤の温度差によって、さらに、流量当たりの比熱量が上昇する。
【0015】
原水、及び/又は、ボイラーからの第1の凝縮水、及び/又は、排ガス凝縮器の第2の凝縮水は、水処理装置内でプロセス水へと処理される。水処理装置の運転のために、廃熱蒸気発生器の後段での、第2の排ガスの廃熱のボイラーによる使用によって、第2の排ガスの温度は低下し、水の凝縮が好適に行われる。この第1の凝縮水を、水処理装置内で処理すると好適である。これにより、例えば、ガスタービン内に注入される蒸気として、水が回収されると有利である。さらに、燃料の燃焼中にガスタービン内に発生する水を得ることができれば特に有利である。第2の凝縮水は、排ガス凝縮器によって得ることができる。ボイラー内で冷却された第2の排ガスに相当する第3の排ガスは、排ガス凝縮器へと導かれ、その中で排ガス中に存在する残りの水蒸気の凝縮が、少なくとも部分的に生じる。排ガス凝縮器によって得られた第2の凝縮水は、さらに、水処理装置内でさらなるプロセス水として処理されうる。複数の排ガス凝縮器を使用することももちろん可能である。
【0016】
特に有利な発展形態としては、プロセス水の一部から、廃熱蒸気発生器を介して、蒸気が生成される。電力需要が少ないときには、例えば、建物での供給のための熱調達として、又は、産業におけるプロセス蒸気としての蒸気の利用が有利である。これにより、システム全体の効率が向上する。
【0017】
廃熱蒸気発生器から生成された蒸気の少なくとも一部は、ガスタービンに供給されうる。これによって、ガスタービンの出力及び効率が、投入された燃料量に関連して向上するようになる。有利には、排ガス中の水分が回収されるので、蒸気注入部を有するガスタービンの運転によって生じる水蒸気乃至は蒸気の需要は、完全に賄うことができる。
【0018】
有利な発展形態によれば、第1の及び/又は第2の凝縮水は、有利には、水処理装置での処理の前に、揮発性の物質及び/又はその他の汚染物を浄化され、あるいは、処理装置内で処理される。水処理装置での処理の後の処理も好適である。特に、ガスタービンの排ガスから得られた凝縮水は、硝酸及び/又は硫酸を含有しているため、これらの化学物質は、プロセス水中に集積する。さらに、有機酸類の汚染、特に酢酸及び/又は炭酸の汚染もあり得る。後置接続された構成要素内において、特にガスタービン内で、これらは腐蝕に繋がる。
【0019】
凝縮器内での凝縮及び/又は蒸発器内での蒸発は、複数の段階で行われることができる。それによって、温度差が低減され、高い効率へと導かれる。さらに、多段階の実施は、共通の水循環によって、実現されることができる。
【0020】
方法を実施するための装置は、さらなる要素を備える。
【0021】
方法を実施するための装置は、冷却器を含むことができる。有利には、冷却器は、水処理装置内の循環路内に存在する第2の温水を冷却する。
【0022】
方法を実施するための装置は、排ガス凝縮器を含むことができる。有利な実施形態では、排ガス凝縮器は第3の排ガスの冷却のためにボイラーの後段に適用される。これにより、第3の排ガスからの水蒸気の凝縮に至り、水を回収することができる。
【0023】
本発明を、引き続き、2つの有利な実施形態にそって、次の添付の図面を参照して説明する。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【
図3】有利な水処理装置の構成を模式的に示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
図1は、STIGコンセプトにおける熱水処理装置2の第1の実施形態を示す。ガスタービン28は、第1の排ガス3を発生させ、第1の排ガス3は廃熱蒸気発生器4へ導かれる。廃熱蒸気発生器4によって生成された蒸気22は、例えば、熱25として用いられる、及び/又は、直接に最終生成物として受け渡される。有利には、廃熱蒸気発生器4は、水処理装置2からのプロセス水20を使用する。水処理装置2は、例えばタンク21の中に、蒸気22を得るために貯蔵されている。第2の排ガス6は、廃熱蒸気発生器4の後段で、70℃から250℃の範囲の低い温度を有しており、ボイラー14へ移送される。特に、ボイラー14は、熱交換器として構成されうる。ボイラー14は、この実施形態では、特に、原料水16を水処理装置2内でプロセス水20に処理するために使用される。特に、プロセス水20は、これによって脱イオン化されうる。第2の排出ガス6をボイラー14内で第3の排出ガス7へと冷却することで、第1の凝縮水18のための水蒸気を凝縮することができる。この実施形態では、第1の凝縮水18は水処理装置2内で、さらなるプロセス水20へと処理される。ボイラー14の後段で、冷却された第3の排ガス7は、まだ、さらなる蒸気を含んでいる。この水を回収するために、第3の排ガス7は、排ガス凝縮器30へ導かれる。排ガス凝縮器30では、さらなる水が凝縮され第2の凝縮水19となり、第2の凝縮水19は、再び水処理装置2でプロセス水20へと処理される。プロセス水20は、さらに、例えば後の利用のためにタンク21にその場で蓄えられる。第3の排ガス7は、さらに、排ガス凝縮器30を離れ、さらに冷却され乾燥された第4の排ガス15となる。
【0026】
図2は、特に、電力需要が高い場合に、ガスタービン28の急速な出力上昇を起こさせる第2の実施形態を示す。
図2の構成は、同様に、水処理装置2、ガスタービン28、廃熱蒸気発生器4、ボイラー14、排ガス凝縮器30、及び、タンク21を備える。ここで、蒸気22は、廃熱蒸気発生器4からガスタービン28への蒸気注入部26のために利用される。ここで、蒸気22は、廃熱蒸気発生器4によってプロセス水から生成される。このプロセス水は、タンク21に貯蔵され、有利には、電力需要が低い際に、
図1に示される実施形態により得られたものである。蒸気注入部26により、ガスタービン28の出力は上昇し、従って、より大きい電力が発電される。さらに、蒸気注入部26によって、ガスタービン28の後段の第1の排ガス3中の水分量が増加し、それに伴って、第2の排ガス6、場合によっては第3の排ガス7中の水分量も増加する。これらは、水処理装置2でプロセス水20へと処理されうる、第1の凝縮水18の生成量、及び、場合によって第2の凝縮水19の生成量を有意に増大させる。水処理装置2の運転のために、ボイラー14の熱が利用され、ボイラー14は、逆に、廃熱蒸気発生器4の後の第2の排ガス6の熱を利用する。蒸気注入部26によって注入されたプロセス水20を第2及び第3の排ガスから回収すること、及び、その水処理装置2での処理によって、蒸気注入部26の水需要は、完全に賄われうる。水処理装置2の熱需要も、水処理装置2にボイラー14によって供給される熱によって賄われる。
図2は、
図1に加えて、第1及び/又は第2の凝縮水18、19の揮発性又はその他の物質を、除去し若しくは浄化し、又は、処理するための処理装置34を含む。これは、ガスタービン28で蒸気注入部26によって注入された蒸気を、例えば、無機及び有機の酸から浄化するために必要となり得る。図示されていない可能性としては、廃熱蒸気発生器4への供給前に行われる、プロセス水20の処理を行う処理装置がある。また、水処理装置2の前又は後の共通の処理も有利である。
【0027】
図3は、水処理装置2を模式的に表す図である。水処理装置内で、原水16及び/又は第1及び/又は第2の凝縮水18、19は、プロセス水20へと処理される。第1の温水13は、凝縮器10と蒸発器12の間にある循環路の中にあり、ボイラー14で加熱される。ここで、ボイラー14は第2の排ガス6の熱を利用する。この実施形態では、水処理装置2は、清潔なプロセス水20を凝縮させるために、対向方向に流れる空気11内で、対流を助ける蒸発器12内の水の蒸発の原理と水冷凝縮器10とを組み合わせて、運転される。さらに、蒸発熱は、有利な方法で回収される。空気11は送風機36の助けにより循環する。水処理装置2内では、冷水8が冷却水として凝縮器10内で利用され、プロセス水20が凝縮され、さらに冷却水が温まる。即ち第1の温水13に相当する、温められた冷却水は、ボイラー14によってさらに加熱され加熱水27となり、さらに蒸発器12に引き込まれる。蒸発及び空気への熱伝達によって熱が奪われるので、下方へ流れる水の温度は、上から下に向かって下がる。これに反して、対向方向に流れる空気11の温度は、蒸発器の下から上に向かって上昇する。ボイラー14によって加熱された第1の温水13と対向方向に流れる空気11とは、この実施形態において、向流熱交換器を形成し、この向流熱交換器では、第2の排ガス6の熱、及び、その70℃から250℃の範囲の低い温度は、最適に利用されることができる。恒常的な運転を可能にするために、蒸発器12の下部に集積する温められた水9は、再び、原水16、第1の凝縮水18、又は、第2の凝縮水19と混合され、第2の温水17となり、凝縮器10内でのさらなる利用の前に、冷水8へと冷却される。第2の温水17の冷却は、冷水23を使用する冷却器32によって行われる。さらに、冷水23を排ガス凝縮器30内の冷却剤24として適用することができる。排ガス凝縮器30内で、ボイラー14の後でさらに冷却された第3の排ガス7は、第2の凝縮水19の凝縮に用いられる。第3の排ガス7及び冷却剤24は、続いて、さらに冷却され乾燥された第4の排ガス及び第3の冷却剤31として、排ガス凝縮器30から離れる。排ガス凝縮器30は、ここでは図示されていない、さらなる冷却剤源によって、特に第2の冷却水によって稼働される。排ガス凝縮器30の冷却水23を、冷却器32での冷却のために導入する前に、先ず、第2の凝縮水19の凝縮のために使用することもできる。