(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】6072357
(24)【登録日】2017年1月13日
(45)【発行日】2017年2月1日
(54)【発明の名称】投資運用提案システム
(51)【国際特許分類】
G06Q 40/06 20120101AFI20170123BHJP
【FI】
G06Q40/06
【請求項の数】8
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2016-512152(P2016-512152)
(86)(22)【出願日】2015年10月8日
(86)【国際出願番号】JP2015078562
【審査請求日】2016年3月7日
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】000155469
【氏名又は名称】株式会社野村総合研究所
(74)【代理人】
【識別番号】110002066
【氏名又は名称】特許業務法人筒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】田中 達雄
(72)【発明者】
【氏名】樋口 善信
(72)【発明者】
【氏名】鈴置 一夫
(72)【発明者】
【氏名】麻生 祥仁
(72)【発明者】
【氏名】中村 博之
【審査官】
小原 正信
(56)【参考文献】
【文献】
特開2000−250997(JP,A)
【文献】
特開2009−199538(JP,A)
【文献】
特開2009−070028(JP,A)
【文献】
特開2004−240720(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06Q 10/00−99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ユーザに対して金融商品に対する投資運用の提案を行う投資運用提案システムであって、
プログラムから呼び出し可能な、予め登録された異なる複数種類の投資運用に係るアルゴリズムを有し、
前記ユーザからの投資姿勢に係る情報の入力を受け付けて、入力された前記投資姿勢の情報に基づいて好適な1つ以上の前記アルゴリズムを選択する判定エンジンを有し、
前記アルゴリズムにより、前記プログラムから呼び出された際のパラメータを用いてポートフォリオを作成する、投資運用提案システム。
【請求項2】
請求項1に記載の投資運用提案システムにおいて、
さらに、前記ユーザの投資履歴の情報を保持する分析用データ保持部を有し、
前記判定エンジンは、前記ユーザから入力された前記投資姿勢の情報に加えて、前記分析用データ保持部から取得した前記ユーザの前記投資履歴の情報に基づいて、前記アルゴリズムを選択する、投資運用提案システム。
【請求項3】
請求項1に記載の投資運用提案システムにおいて、
前記判定エンジンは、前記ユーザから入力された前記投資姿勢の情報に基づいて、さらに、前記アルゴリズムに係る前記ポートフォリオを選択する、投資運用提案システム。
【請求項4】
請求項3に記載の投資運用提案システムにおいて、
さらに、前記ユーザの投資履歴の情報を保持する分析用データ保持部を有し、
前記判定エンジンは、前記ユーザから入力された前記投資姿勢の情報に加えて、前記分析用データ保持部から取得した前記ユーザの前記投資履歴の情報に基づいて、前記アルゴリズムに係る前記ポートフォリオを選択する、投資運用提案システム。
【請求項5】
請求項3に記載の投資運用提案システムにおいて、
さらに、前記ユーザの投資履歴の情報を保持する分析用データ保持部を有し、
前記判定エンジンは、前記ユーザから入力された前記投資姿勢に対する前記ユーザの実際の投資履歴の情報の相違に基づいて、選択された前記ポートフォリオに対して補正を行う、投資運用提案システム。
【請求項6】
請求項1に記載の投資運用提案システムにおいて、
前記投資姿勢の情報と、前記アルゴリズムに係るポートフォリオとをマッチングし、所定の基準もしくは条件により順位付けを行う、投資運用提案システム。
【請求項7】
請求項6に記載の投資運用提案システムにおいて、
順位付けされた前記アルゴリズムに係るポートフォリオをユーザに対して提示する、投資運用提案システム。
【請求項8】
請求項1に記載の投資運用提案システムにおいて、
複数種類の前記各アルゴリズムは、それぞれ、外部のベンダーにより予め登録可能である、投資運用提案システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、金融商品に対する投資・運用を支援する技術に関し、特に、金融機関等が投資家に対して投資に係るアドバイスや提案を行う業務を支援する投資運用提案システムに適用して有効な技術に関するものである。
【背景技術】
【0002】
例えば、金融機関等においては、個人投資家等に対して投資や資産運用に係るアドバイスや提案などを業務として行う場合があり、当該業務を情報処理システムにより支援する仕組みも提案されている。また近年では、このような投資や運用の支援、ポートフォリオ管理等を自動的に行う「ロボ・アドバイザー」と呼ばれるサービスが欧米を中心に広がってきている。
【0003】
「ロボ・アドバイザー」サービスとしては、例えば、米国のHedgeable社のサービス(https://www.hedgeable.com/)などが既に存在している。ここでは例えば、顧客がWeb上のアプリケーション画面を介して投資目的や運用方針、資産状況等に関するいくつかの質問に答えていくことで、それまでの回答内容等に応じて顧客に好適なものとして推奨されるポートフォリオが随時提示される。顧客が当該ポートフォリオによって資産運用することを選択すると、以降は当該ポートフォリオに沿って資産が自動運用される。
【0004】
また、推奨するポートフォリオの提案や、ポートフォリオに沿った自動運用に関連する技術としては、例えば、特開2000−293569号公報(特許文献1)には、予め定めた運用期間に対して複数の金融商品を組み合わせてポートフォリオを提示する方法が記載されている。ここでは、商品に関わる市場価格の変動シナリオを前もって系統的に複数設定し、変動シナリオを表すパラメータと市場の特性を表すパラメータとを用いて、複数の変動シナリオのそれぞれに対して将来における損益シミュレーションを行い、絞り込まれたポートフォリオの集合から最適ポートフォリオを構成して提示する。
【0005】
また、特表2014−525062号公報(特許文献2)には、投資家のリスク許容レベルを表すリスク許容度データ、および投資選択基準をユーザ端末から受信し、投資選択基準に応じてランク付けされるポートフォリオに含めるための投資先リストを生成してユーザ端末に表示させることでポートフォリオを構築するシステムに係る技術が記載されている。
【0006】
また、特開2008−243158号公報(特許文献3)には、ポートフォリオ運用アルゴリズムに従って自動的に売買の指示を出すことができるポートフォリオ自動運用システムが記載されている。ここでは、運用プログラム投稿システムと、シミュレーションによりその運用収益パフォーマンスを表示するパフォーマンス表示手段と、複数のポートフォリオ運用アルゴリズムから顧客が好みのアルゴリズムを選定する手段と、選定されたアルゴリズムに対して顧客が実際に投資額を設定する手段と、自動運用を実行/停止できる選択手段とを有する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2000−293569号公報
【特許文献2】特表2014−525062号公報
【特許文献3】特開2008−243158号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
例えば、特許文献1や特許文献2に記載されたような従来技術や他のポートフォリオ構築・運用サービスなどでは、所定のアルゴリズムに従ってポートフォリオを自動的に構築・運用することができるが、これらのサービスでは一般的に、アルゴリズムとしていわゆる現代ポートフォリオ理論(MPT:Modern Portfolio Theory)が用いられる。このアルゴリズムでは、途中でのリスクヘッジなどは行われないが、「ロボ・アドバイザー」サービスの中には、例えば、上述したHedgeable社のサービスのようにリスクヘッジを行うことができるような固有のアルゴリズムを有するものもある。いずれにしても、各サービスにおいて採用するアルゴリズムはそれぞれ1つしかなく、サービス単体で投資家毎の多様なニーズに柔軟に対応することは困難である。
【0009】
一方、特許文献3に記載されたような従来技術では、複数のポートフォリオ運用アルゴリズムから投資家がニーズにマッチするものを選択することができる。しかしながら、いずれのアルゴリズムを選択するかは、シミュレーション結果等を参照することにより投資家自身が決定しなければならず、好適なアルゴリズムを推奨・提案するという仕組みにはなっていない。
【0010】
そこで本発明の目的は、投資家の多様なニーズ等に柔軟に対応して、好適な投資運用のアルゴリズムおよびポートフォリオを提案する投資運用提案システムを提供することにある。
【0011】
本発明の前記ならびにその他の目的と新規な特徴は、本明細書の記述および添付図面から明らかになるであろう。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本願において開示される発明のうち、代表的なものの概要を簡単に説明すれば、以下のとおりである。
【0013】
本発明の代表的な実施の形態による投資運用提案システムは、ユーザに対して金融商品に対する投資運用の提案を行う投資運用提案システムであって、プログラムから呼び出し可能な、予め登録された複数種類の投資運用に係るアルゴリズムを有し、前記ユーザからの投資姿勢に係る情報の入力を受け付けて、入力された前記投資姿勢の情報に基づいて好適な1つ以上の前記アルゴリズムを選択する判定エンジンを有するものである。
【発明の効果】
【0014】
本願において開示される発明のうち、代表的なものによって得られる効果を簡単に説明すれば以下のとおりである。
【0015】
すなわち、本発明の代表的な実施の形態によれば、投資家の多様なニーズ等に柔軟に対応して、好適な投資運用のアルゴリズムおよびポートフォリオを提案することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【
図1】本発明の一実施の形態である投資運用提案システムの構成例について概要を示した図である。
【
図2】本発明の一実施の形態における判定エンジンでの処理の流れの例について概要を示したフロー図である。
【
図3】本発明の一実施の形態における判定エンジンでの処理の流れの例について概要を示したフロー図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて詳細に説明する。なお、実施の形態を説明するための全図において、同一部には原則として同一の符号を付し、その繰り返しの説明は省略する。一方で、ある図において符号を付して説明した部位について、他の図の説明の際に再度の図示はしないが同一の符号を付して言及する場合がある。
【0018】
<システム構成>
図1は、本発明の一実施の形態である投資運用提案システムの構成例について概要を示した図である。本実施の形態の投資運用提案システム1は、例えば、投資運用支援サーバ10が、1つ以上の金融機関等(
図1の例では金融機関A(20a)、金融機関B(20b)など。以下ではこれらを金融機関20と総称する場合がある)に対して、投資運用API(Application Programming Interface)12という形で実装された利用可能な複数種類の投資運用のアルゴリズム(
図1の例ではアルゴリズムA(13a)、アルゴリズムB(13b、13b’)、アルゴリズムC(13c)など。以下ではこれらをアルゴリズム13と総称する場合がある)を公開、提供する構成を有する。
【0019】
そして、各金融機関20では、投資家や顧客(以下では「ユーザ」と記載する場合がある)に対して分散投資のポートフォリオについての提案、アドバイス等のサービスを提供するために運用するアプリケーションプログラム(
図1の例では投資運用アプリA(22a)、投資運用アプリB(22b)など。以下ではこれらを投資運用アプリ22と総称する場合がある)が、投資運用支援サーバ10によって推奨されたアルゴリズム13に係る投資運用API12を呼び出すことで、ユーザの多様なニーズ等に柔軟に対応して、ふさわしいアルゴリズム13を利用することを可能とするものである。
【0020】
投資運用支援サーバ10は、例えば、1つ以上のサーバ機器やクラウドコンピューティングサービス上に構築された1つ以上の仮想サーバからなるサーバシステムであり、図示しないOS(Operating System)やDBMS(DataBase Management System)、Webサーバプログラムなどのミドルウェア上で稼働するソフトウェアとして実装される判定エンジン11と、投資運用API12および情報リソースAPI14を有している。また、データベース等として実装される分析用データウェアハウス(DWH)15を有している。
【0021】
分析用DWH15は、各種の情報リソースとして、例えば、金融機関20が有する勘定系・情報系の情報処理システム(
図1の例では金融機関A(20a)の金融機関システムA(21a)など。以下では金融機関システム21と総称する場合がある)から、可能な場合には当該金融機関20が販売する投資商品の情報や、ユーザの属性情報、口座取引の履歴情報、アクセス履歴の情報などを日次処理等により定期的に抽出して取得、蓄積しておく。金融機関20が連携できる情報処理システムを有していない場合は手動で各種情報を分析用DWH15に登録できるようにしてもよい。また、例えば、外部のデータソース等から銘柄毎の過去の値動きや格付け等の実績情報を取得して蓄積しておいてもよい。分析用DWH15に蓄積された情報は、例えば、情報リソースAPI14を介して他のプログラムから取得・参照することができる。
【0022】
判定エンジン11は、金融機関20が運営する投資運用アプリ22からの要求を図示しないネットワークを介して受け、投資運用アプリ22から取得したユーザに係る情報、および情報リソースAPI14を介して取得した分析用DWH15に蓄積されている当該ユーザの属性情報や取引情報、各銘柄の過去の実績情報などに基づいて、後述するような処理によって、ユーザ毎に、登録されているアルゴリズム13(もしくはアルゴリズム13とポートフォリオのタイプの組み合わせ)に対して順位付けし、推奨するアルゴリズム13のリストとして応答する。
【0023】
投資運用API12は、登録されている複数の投資運用のアルゴリズム13を他のプログラムから個別に呼び出すことができるようにするための、各アルゴリズム13に対応したAPI群である。各アルゴリズム13は、その内容に従って、情報リソースAPI14を介して分析用DWH15に蓄積されている各種情報を取得・参照しながら投資運用の提案に係る独自の処理を実行する。
【0024】
判定エンジン11により推奨されたアルゴリズム13のリストを取得した投資運用アプリ22は、リストからユーザにより選択されたアルゴリズム13、もしくは投資運用アプリ22や判定エンジン11により自動的に決定されたアルゴリズム13に係る投資運用API12を呼び出す。これにより所望のアルゴリズム13によるポートフォリオの構築・運用のサービスをユーザに提供することができる。
【0025】
なお、
図1の例では、ユーザは、情報処理端末を使用して、自身が利用する金融機関20が提供するWebアプリケーション等からなる投資運用アプリ22に図示しないネットワークを介してアクセスし、ポートフォリオの構築・運用のサービスを利用する構成としているが、このような構成に限られない。例えば、ユーザが自身の情報処理端末に投資運用アプリ22に相当するアプリケーションを導入し、投資運用支援サーバ10に金融機関20を介さずに直接アクセスしてポートフォリオの構築サービスを利用するようにしてもよい。
【0026】
投資運用API12の各アルゴリズム13は、例えば、ITベンダー等(
図1の例ではベンダーA(30a)、ベンダーB(30b)、ベンダーC(30c)など。以下ではこれらをベンダー30と総称する場合がある)により開発、提供される。
図1の例では、投資運用API12のアルゴリズムA(13a)、アルゴリズムB(13b)、アルゴリズムC(13c)は、それぞれ、ベンダーA(30a)、ベンダーB(30b)、ベンダーC(30c)により提供されていることを示している。
【0027】
各アルゴリズム13は、投資運用API12としての標準のインタフェースを備える限り、その具体的な実装内容は特に限定されず、各ベンダー30等が任意に実装することができる。投資運用支援サーバ10では、投資運用API12として登録されて利用可能な各アルゴリズム13の内容や特徴、呼び出しの際のパラメータ等のインタフェース情報などを図示しないカタログ情報として保持し、投資運用アプリ22を運営する金融機関20等に参照可能とするようにしてもよい。
【0028】
なお、アルゴリズムA(13a)やアルゴリズムC(13c)のように、投資運用API12としての実体(すなわち、プログラムモジュールやライブラリ等)を投資運用支援サーバ10に有して、投資運用支援サーバ10上で動作するように配置してもよいし、アルゴリズムB(13b)のように、実体をベンダーB(30b)の情報処理システムに有し、投資運用支援サーバ10にはインタフェース(図中のアルゴリズム(13b’))のみ配置して図示しないネットワーク経由でアルゴリズムB(13b)の実体にアクセスするようにしてもよい。
【0029】
また、
図1の例では、各ベンダー30がそれぞれ1つのアルゴリズム13を投資運用API12として提供、登録している例を示しているが、1つのベンダー30が複数のアルゴリズム13を提供、登録していてもよい。また、例えば、他のベンダーD(30d)や、金融機関20等(
図1の例では金融機関B(20b))から依頼や資金提供を受けたハッカソン30hなどの開発イベントやプロジェクト(ベンダー30でもよい)などが、公開されている情報リソースAPI14を介して分析用DWH15に蓄積されたデータを利用しながらアルゴリズム13を新規開発し、投資運用API12のアルゴリズム13のラインナップに追加するということも可能である。これにより、アルゴリズム13のバリエーション拡充の促進を図ることができる。
【0030】
このように、本実施の形態では、各ベンダー30が投資運用支援サーバ10に対して提供した異なる種類の複数のアルゴリズム13を、各金融機関20が、それぞれ、自身が運営する投資運用アプリ22から投資運用API12という形で呼び出せるような構成を有する。すなわち、本実施の形態の投資運用提案システム1は、ユーザに対する単なるポートフォリオのアドバイスツールにとどまらず、投資商品を販売する金融機関20と、投資商品の販売促進方法等を提案するベンダー30とのマッチングプラットフォームとしての機能も提供するものである。
【0031】
<処理の流れ>
図2、
図3は、投資運用支援サーバ10の判定エンジン11での処理の流れの例について概要を示したフロー図である。
図2は、事前の分析処理の流れの例を示している。ここでは、各ユーザの情報とは無関係に、各銘柄の過去の実績情報に基づいて、登録されている投資運用のアルゴリズム13毎に好適なポートフォリオを予め作成しておく。
【0032】
具体的には、登録されているアルゴリズム13毎に、取り扱う対象となる各銘柄の過去の市場での値動きやファンダメンタル、格付けなどの実績情報を情報リソースAPI14を介して分析用DWH15から抽出し、所定のシミュレーション等により1つ以上のポートフォリオのタイプ(パターン)をそれぞれ作成する(S01)。作成したポートフォリオのタイプ(アルゴリズム13とポートフォリオの組み合わせ)は、ポートフォリオタイプ16としてデータベース等に保持しておく(S01)。この処理は、例えば、日次処理等により定期的に行って、最新の実績情報を反映させるようにする。
【0033】
図3は、ユーザからの要求に対して推奨するアルゴリズム13およびポートフォリオタイプを応答する処理の流れの例を示している。ここではまず、投資運用アプリ22からユーザのヒアリング結果を取得し、また、分析用DWH15に保持されている対象のユーザの属性情報や口座取引の情報、アクセス履歴の情報などを抽出し、これらの情報に基づいて所定の基準に従ってユーザを投資タイプ別に複数のセグメントに分類するユーザプロファイリングを行う(S11)。
【0034】
投資運用アプリ22から取得するヒアリングの結果情報としては、例えば、ユーザの投資姿勢に係る情報として、投資の目標金額や目標期限、月額投資額、リスク許容度、ユーザの年収等の情報が挙げられるが、特にこれらに限定されるものではない。ヒアリングは、例えば、投資運用アプリ22がユーザの情報処理端末等に提供する質問画面を介してユーザが順次回答を入力することで行う。
【0035】
分析用DWH15から抽出する情報としては、例えば、ユーザの年齢等の属性情報、売買銘柄や売買頻度、売買タイミングなど売買の傾向や特徴を把握することができる口座取引の情報、金融機関システム21に対するアクセス頻度やアクセスタイミングなど市場情報に対する関心度や関連を把握することができるアクセス履歴の情報などが挙げられるが、特にこれらに限定されるものではない。
【0036】
プロファイリングの例として、例えば、ユーザの年齢や売買頻度などの情報から、ユーザの経験の多寡を推測することができる。また、売買銘柄の情報から、例えば、新興国向けの投資を好むのか欧米系の安定的な投資を好むのか、レッドオーシャンの分野への投資を好むのかブルーオーシャンの分野への投資を好むのか等の投資傾向を推測することができる。推測された投資傾向がヒアリングで取得したリスク許容度の情報と合致しない場合(例えば、ヒアリングで「リスク許容度は低く、安定的な投資を好む」と回答しているにも関わらず、実際の売買銘柄は新興国のものが多いなど)に、実際の履歴情報による推測結果によって後述する処理により推奨するポートフォリオの内容を補正するようにしてもよい(例えば、新興国向けの投資を少し増やすなど)。
【0037】
また、売買タイミングの情報(例えば、相場が下落してきたらすぐに売っているのか、ある程度様子を見てから売っているのか等)からもリスクに対する考え方を推測することができる。さらに、アクセス履歴の情報から、どのタイミングで市場を見ているか(例えば、毎日定期的に見ているのか、市場が動いたときだけ見ているのか等)を把握し、市場に対する関心度などを推測することができる。
【0038】
上記のようなプロファイリングによって、ユーザ毎に例えば、「投資経験が長く、売買金額も高額。リスクの高い銘柄へも投資するが、値動きに敏感で売買の意思決定が速い(リスク許容度はやや低い)。目標金額は高額だが、期限は10年後。」などの投資姿勢等の情報からなるユーザプロファイルを作成する。ステップS11の処理では、このようなユーザプロファイルの内容に基づいて所定の条件・基準によってスコアリングを行い、スコアに基づいて各ユーザを投資タイプの別にいくつかに分類する。分類した結果の情報は、ユーザセグメント17としてデータベース等に保持しておく。
【0039】
その後、分類したユーザの投資タイプと、
図2の処理フローによって予め作成されている投資運用のアルゴリズム13毎のポートフォリオの情報とをマッチングし、各アルゴリズム13および各ポートフォリオがユーザの投資タイプにマッチするか否かを所定の基準・条件によりレイティング(順位付け)する(S12)。例えば、投資タイプにマッチする条件として、「投資期間が10年なので、インデックスを中心に扱うアルゴリズムで、ポートフォリオは新興国インデックスの割合をやや高めに設定したものを推奨する」というような条件を設定し、これに各アルゴリズム13およびポートフォリオの組み合わせがマッチする程度をスコアリングする等により順位付けする。
【0040】
順位付けされたアルゴリズム13とポートフォリオの組み合わせのリストは、投資運用アプリ22に対して応答され、ユーザに対して提示される。ユーザは、リストから所望のアルゴリズム13とポートフォリオの組み合わせを選択することで、自身にふさわしい投資・運用を行うことができる。リストの最上位の組み合わせを自動的に選択して運用するようにしてもよい。
【0041】
なお、投資運用アプリ22に応答されるリストは、アルゴリズム13とポートフォリオの全ての組み合わせについて順位付けしたものでもよいし、上位の所定の順位もしくは所定のスコアまでのものに限定されたものでもよい。また、本実施の形態ではポートフォリオタイプ16に予めアルゴリズム13毎のポートフォリオのタイプを作成しておき、これに含まれるアルゴリズム13とポートフォリオの組み合わせを対象に一括して順位付けする構成としているが、このような手法に限られない。例えば、まずアルゴリズム13についてユーザの投資タイプにマッチするものの順位付けを行って対象のアルゴリズム13を選択・決定し、その後に対象のアルゴリズム13のポートフォリオについて投資タイプにマッチするものの順位付けをさらに行って対象のポートフォリオを選択・決定するようにしてもよい。
【0042】
以上に説明したように、本発明の一実施の形態である投資運用提案システム1によれば、投資運用支援サーバ10が、各金融機関20等に対して、投資運用API12という形で実装された利用可能な複数種類の投資運用のアルゴリズム13を公開、提供する構成を有する。各金融機関20では、投資運用アプリ22が、投資運用支援サーバ10によって推奨されたアルゴリズム13に係る投資運用API12を呼び出すことで、ユーザの多様なニーズ等に柔軟に対応して、ふさわしいアルゴリズム13を利用することが可能となる。
【0043】
本実施の形態では、分析用DWH15に蓄積された投資履歴等に関する情報を利用することができる公開された情報リソースAPI14を利用して各ベンダー30等が新たなアルゴリズム13を追加開発して、投資運用API12のラインナップとして追加することができる。そして、各ベンダー30が投資運用支援サーバ10に対して提供した異なる種類の複数のアルゴリズム13を、各金融機関20が、それぞれ、自身が運営する投資運用アプリ22から投資運用API12という形で呼び出せるように構成されている。すなわち、本実施の形態の投資運用提案システム1は、ユーザに対する単なるポートフォリオのアドバイスツールにとどまらず、投資商品を販売する金融機関20と、投資商品の販売促進方法等を提案するベンダー30とのマッチングプラットフォームとしての機能も提供する。
【0044】
以上、本発明者によってなされた発明を実施の形態に基づき具体的に説明したが、本発明は上記の実施の形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々変更可能であることはいうまでもない。例えば、上記の実施の形態は本発明を分かりやすく説明するために詳細に説明したものであり、必ずしも説明した全ての構成を備えるものに限定されるものではない。また、ある上記の実施の形態の構成の一部について、他の構成の追加・削除・置換をすることが可能である。
【産業上の利用可能性】
【0045】
本発明は、金融機関等が投資家に対して投資に係るアドバイスや提案を行う業務を支援する投資運用提案システムに利用可能である。
【符号の説明】
【0046】
1…投資運用提案システム、
10…投資運用支援サーバ、11…判定エンジン、12…投資運用API、13…アルゴリズム、13a〜c…アルゴリズムA〜C、13b’…アルゴリズムB、14…情報リソースAPI、15…分析用DWH、16…ポートフォリオタイプ、17…ユーザセグメント、
20…金融機関、20a〜b…金融機関A〜B、21…金融機関システム、21a…金融機関システムA、22…投資運用アプリ、22a〜b…投資運用アプリA〜B、
30…ベンダー、30a〜d…ベンダーA〜D、30h…ハッカソン
【要約】
投資家の多様なニーズ等に柔軟に対応して、好適な投資運用のアルゴリズムおよびポートフォリオを提案する投資運用提案システムである。代表的な実施の形態は、ユーザに対して金融商品に対する投資運用の提案を行う投資運用提案システムであって、プログラムから呼び出し可能な、予め登録された複数種類の投資運用に係るアルゴリズムを有し、前記ユーザからの投資姿勢に係る情報の入力を受け付けて、入力された前記投資姿勢の情報に基づいて好適な1つ以上の前記アルゴリズムを選択する判定エンジンを有する。