特許第6072420号(P6072420)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6072420
(24)【登録日】2017年1月13日
(45)【発行日】2017年2月1日
(54)【発明の名称】フライヤー
(51)【国際特許分類】
   B01D 35/02 20060101AFI20170123BHJP
   A47J 37/12 20060101ALI20170123BHJP
   B01D 29/00 20060101ALI20170123BHJP
【FI】
   B01D35/02 E
   A47J37/12 321
   A47J37/12 391
   B01D23/02 A
【請求項の数】1
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2012-44169(P2012-44169)
(22)【出願日】2012年2月29日
(65)【公開番号】特開2013-180224(P2013-180224A)
(43)【公開日】2013年9月12日
【審査請求日】2014年12月15日
(73)【特許権者】
【識別番号】000000284
【氏名又は名称】大阪瓦斯株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100087767
【弁理士】
【氏名又は名称】西川 惠清
(74)【代理人】
【識別番号】100155745
【弁理士】
【氏名又は名称】水尻 勝久
(74)【代理人】
【識別番号】100143465
【弁理士】
【氏名又は名称】竹尾 由重
(74)【代理人】
【識別番号】100155756
【弁理士】
【氏名又は名称】坂口 武
(74)【代理人】
【識別番号】100161883
【弁理士】
【氏名又は名称】北出 英敏
(74)【代理人】
【識別番号】100167830
【弁理士】
【氏名又は名称】仲石 晴樹
(74)【代理人】
【識別番号】100162248
【弁理士】
【氏名又は名称】木村 豊
(72)【発明者】
【氏名】市川 惠
【審査官】 宮部 裕一
(56)【参考文献】
【文献】 特開昭60−005110(JP,A)
【文献】 実開平03−128036(JP,U)
【文献】 特公昭49−028423(JP,B1)
【文献】 特開2005−168873(JP,A)
【文献】 特開2001−205020(JP,A)
【文献】 特開2001−346698(JP,A)
【文献】 特開平03−210219(JP,A)
【文献】 特開2012−010941(JP,A)
【文献】 特開2005−279583(JP,A)
【文献】 実開昭58−008429(JP,U)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
フライヤー本体と、
油濾過装置とを備え、
前記フライヤー本体が、
上方に開口した平底の油槽と、
前記油槽より下方に設けられ前記油槽を下方から加熱する加熱ユニットと、
前記油槽の下端部に設けられて前記油槽から下方に突出し、かつ開閉弁が設けられた排油バルブとを備えると共に、
前記排油バルブの下方に油排出用の空間を有し、
前記油濾過装置が、
循環流路と、
前記循環流路の途中に設けられ、前記油槽の加熱中に前記油槽内の油を吸引し、この吸引した油を前記油槽に吐出することで、前記油槽内の油を前記循環流路を介して循環するポンプと、
前記循環流路の途中設けられ、前記油槽の加熱中に前記油を濾過する濾過部とを備え
前記循環流路のうち、前記ポンプより上流側を、前記油槽から前記油を導入する油導入路とし、前記ポンプより下流側を、前記油導入路の前記油を前記油槽に戻す油還流路とし、
前記濾過部を前記油導入路に設けると共に、前記油導入路が、前記排油バルブの下流端に着脱自在に連通接続される上流端を有し、
前記油還流路は、
前記フライヤー本体に一体で設けられ、前記油槽に油を吐出する吐出管と、
前記吐出管の上流側に下流側が着脱自在で連通し且つ前記ポンプの下流側に上流側が連通する連結管とを備え、
前記油導入路と前記濾過部と前記ポンプと前記連結管とを、前記フライヤー本体に着脱自在の濾過ユニットとし、
前記濾過ユニットを前記油排出用の空間に配置可能としたものであることを特徴とするフライヤー。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ライヤーに関し、詳しくは、揚げ油に残留した揚げ粕等の不純物を除去する油濾過装置備えたフライヤーに関する。
【背景技術】
【0002】
フライヤーは、揚げ物を作る際等に、揚げ粕が揚げ油内に残留することがある。そして、残留した揚げ粕は、揚げ油の酸化(劣化)を早めて、揚げ油の寿命を短くしたり、揚げ物に付着して、揚げ物の商品価値を低下させたりすることがある。そのため、調理中にフライヤー利用者が揚げ網等で揚げ粕を掬い取ったり、特許文献1等のように、休憩時間や閉店後等の非調理時(調理を行わない時間帯)に油浄化装置で全ての揚げ油を抜き取って濾過したりして、揚げ油内の揚げ粕を除去している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2001−205020号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1の構成では、非調理時にしか揚げ粕を除去することができないため、調理に伴い不純物が増加して、閉店直前等の非調理時直前では、揚げ物の商品価値を低下させ易い。そして、特許文献1等の構成では、調理時に、揚げ物の商品価値を低下させる程度に不純物が溜まった場合、調理を中断して、油の浄化を行うことになり、フライヤーの利便性を低下させることがある。また、揚げ網等を用いて揚げ粕を除去する場合、人力であるため、調理の中断や遅延等の手間がかかって、フライヤーの利便性を低下させたり、慣れない利用者では揚げ網で揚げ物を傷つけて、揚げ物の商品価値を低下させたりすることがある。更に、揚げ網で除去する場合、目の細かい網では油内を動かし難く、作業を行い難く、また目の大きい網では小さな揚げ粕を除去し難く、揚げ物の商品価値を低下させ易い。つまり、従来の構成や方法では、調理中に揚げ粕等の不純物の除去を行い難く、また調理の中断等のフライヤーの利便性を低下させ易いという問題がある。
【0005】
本発明は前記従来の課題に鑑みてなされたものであって、その目的とするところは、調理中に揚げ粕等の不純物を除去し易くして、便性の低下を抑制しフライヤーを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するために、本発明のフライヤーは、フライヤー本体1と、油濾過装置20とを備え、前記フライヤー本体1が、上方に開口した平底の油槽6と、前記油槽6より下方に設けられ前記油槽6を下方から加熱する加熱ユニット10と、前記油槽6の下端部に設けられて前記油槽6から下方に突出し、かつ開閉弁9が設けられた排油バルブ8とを備えると共に、前記排油バルブ8の下方に油排出用の空間を有し、前記油濾過装置20が、循環流路21と、前記循環流路21の途中に設けられ、前記油槽6の加熱中に前記油槽6内の油を吸引し、この吸引した油を前記油槽6に吐出することで、前記油槽6内の油を前記循環流路21を介して循環するポンプ24と、前記循環流路21の途中設けられ、前記油槽6の加熱中に前記油を濾過する濾過部26とを備え、前記循環流路21のうち、前記ポンプ24より上流側を、前記油槽6から前記油を導入する油導入路22とし、前記ポンプ24より下流側を、前記油導入路22の前記油を前記油槽6に戻す油還流路23とし、前記濾過部26を前記油導入路22に設けると共に、前記油導入路22が、前記排油バルブ8の下流端に着脱自在に連通接続される上流端を有し、前記油還流路23は、前記フライヤー本体1に一体で設けられ、前記油槽6に油を吐出する吐出管50と、前記吐出管50の上流側に下流側が着脱自在で連通し且つ前記ポンプ24の下流側に上流側が連通する連結管44とを備え、前記油導入路22と前記濾過部26と前記ポンプ24と前記連結管44とを、前記フライヤー本体1に着脱自在の濾過ユニット30とし、前記濾過ユニット30を前記油排出用の空間に配置可能としたものであることを特徴とする。
【0007】
このような構成とすることで、前記油槽6加熱中(調理中)であっても、この調理を中断せずに前記油槽6内の揚げ粕等の不純物を容易に除去することができて、前記不純物の除去によるフライヤーの利便性の低下を抑制し易くすることができる。また、前記排油バルブ8から前記油を前記油濾過装置20に導入するため、前記油槽6に前記油導入路22用の連通孔を設けずにすむと共に、前記油排出用の空間に前記濾過ユニット30を配置し易くすることができる。これによって、前記油濾過装置20の追加に伴う前記フライヤー本体1の大型化や前記油槽6の形状の変更等を生じ難くすることができ、前記フライヤーを簡素や安価な構成にし易くしたり、前記フライヤーの利便性の低下を抑制したりすることができる。そして、前記油濾過装置20の一部を前記濾過ユニット30としたことで、前記濾過ユニット30を前記フライヤー本体1から分離するだけで、前記濾過部26や前記ポンプ24を前記油排出用の空間から容易に取出すことができる。これによって、前記濾過部26に溜まった前記不純物の排出や前記ポンプ24のメンテナンス等を行い易くしたり、さらに排油を行う際には、前記油排出用の空間を開放し易くしたりして、前記フライヤーの利便性の低下を抑制し易くすることができる。更に、前記油還流路23が前記吐出管50と前記連結管44とに分離するため、上下に長尺になり易い前記油還流路23を、前記濾過ユニット30の取出し時に邪魔になり難くすることができる。これによって、本フライヤーは、前記濾過ユニット30を前記油排出用の空間から取出し易くすることができて、メンテナンスや排油の際等に、前記フライヤーの利便性の低下を抑制し易くすることができる。
【発明の効果】
【0012】
本発明は、油槽加熱中(調理中)であっても、ポンプの駆動によって、油槽内の油を循環流路を介して循環させることができる。そして、本発明は、この循環時に、濾過部によって、油に混入した揚げ粕等の不純物を除去することができる。つまり、本発明は、調理中に、不純物を除去することができて、調理の中断等のフライヤーの利便性の低下を抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】第1実施形態の油濾過装置の構成説明図である。
図2】フライヤーの斜視図である。
図3】第2実施形態の油濾過装置の構成説明図である。
図4】(a)がガイド下駄を配置した状態の油槽底部の平面図であり、(b)が領域Bのガイド下駄を拡大した斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明を添付図面に示す実施形態に基づいて説明する。フライヤーは、図1に示すように、フライヤー本体1と、油濾過装置20(詳細は後述する)とを備える。フライヤー本体1は、図2に示すように、外殻を形成する器体2と、揚げ油(以下、油とする)を貯留する油槽6と、この油を加熱する加熱ユニット10(図1参照)とを備える。そして、フライヤーは、油を貯留した油槽6を、加熱ユニット10で加熱することで、油を高温状態(常温より高い状態)にし、この高温状態の油に、未調理の揚げ物等の被調理物を投入して、被調理物を調理する(揚げ物を製造する)ものになっている。
【0015】
器体2は、前板部3と、後板部(図示せず)と、左右の側板部5とで、平面視略矩形状の外殻を形成する。そして、外殻の内側には、油槽6及び加熱ユニット10が配置してある。
【0016】
油槽6は、上端が開口した略箱形状になっている。そして、油槽6は下端部7が、側面視や正面視において略平らな面で閉塞してある。言い換えると、フライヤーは、油槽6の下端部7が平底の、所謂平底フライヤーになっている。更に、油槽6の下端部7(平底)には、下方に突出して排油バルブ8が設けてある。排油バルブ8は開閉弁9を備えており、排油バルブ8は開閉弁9によって、油が内部を流通可能な開放状態と、油が流通不能な閉塞状態とに切替自在になっている。つまり、フライヤーは、排油バルブ8を開放状態にすることで、油槽6内の油を油槽6外に排出することができる。なお、下端部7の上面は排油バルブ8に向けて緩やかな勾配(所謂水勾配)を有することが好ましく、開閉弁9は、開放状態の際に排油バルブ8内の流通量(油の排出量)を調節可能なものが好ましい。
【0017】
また、器体2の後部にはバックガード13が設けてある。バックガード13は、器体2の後板部及び油槽6の後方側の上端縁から、立ち上がって設けてある。そして、バックガード13は略筒形状で、器体2の後板部の左右の全幅に亘って上方に突設してあり、筒内部には排気筒14が挿通してある。
【0018】
加熱ユニット10は、図1に示すように、油槽6の下端部7の下方に配置してあり、油槽6を下方から加熱する。そして、加熱ユニット10は加熱室11を備えており、加熱室11内には加熱器12が設けてある。加熱器12は、例えば、燃料ガスと空気を混合して燃焼させるバーナで主体が構成される。バーナには、燃料ガス管(図示せず)が接続してあり、燃料ガスが供給される。燃料ガス管は側板部5を介してフライヤー本体1外に導出して設けてあり、外部のガス供給源(図示せず)に接続される。また、加熱ユニット10は加熱室11が排気筒14(図1では省略)の下端に連通しており、加熱器12の燃焼によって発生した燃焼排ガスが、排気筒14に導入される。排気筒14は上端がバックガード13の上端に開口して設けてあり、燃焼排ガスが排気筒14の上端からバックガード13の上方の大気に排出される。なお、加熱器12は、バーナ等の燃焼加熱型のものに限らず、ヒータやコイル等の電気加熱型のものであってもよい。そして、電気加熱型のものでは、排気筒14を備えない構成であってもよい。
【0019】
ところで、フライヤーは、被調理物を調理する際に、油槽6内に揚げ粕等の不純物が生じることがある。そして、この不純物は、油槽6の下端部7等に焦げ付いたり、油を劣化させたりすることがある。更に、平底フライヤーにあっては、油の対流等によって、この不純物が上下に浮き沈みする等で油内を移動し易い(浮遊し易い)。そして、浮遊する不純物は、油槽6内に投入した被調理物に付着し易くなるため、不純物の付着によって、揚げ物(調理後の被調理物)の商品価値を低下させ易くなる。
【0020】
対して、本実施形態のフライヤーは、油濾過装置20によって油を濾過することで、不純物を除去可能になっている。油濾過装置20は、油槽6の油を循環させる循環流路21と、油を流動させるポンプ24と、油を濾過する濾過部26とを備える。
【0021】
循環流路21は、油槽6から油を導入する油導入路22と、油導入路22の油を油槽6に戻す油還流路23とを備える。循環流路21の途中である油導入路22と油還流路23との間には、ポンプ24が設けてあり、油槽6の油はポンプ24の駆動によって循環流路21を介して循環する。濾過部26はポンプ24より上流である油導入路22に設けてあり、濾過した油がポンプ24に吸入される。
【0022】
具体的には、図1に示すように、油濾過装置20が、フライヤー本体1に着脱自在の濾過ユニット30と、器体2に一体で設けた吐出管50とを備える。濾過ユニット30は、導入管32と、濾過部26と、ポンプ24と、連結管44と、ケース部材31とを備える。ケース部材31には、ポンプ24及び連結管44が収納してある。
【0023】
導入管32は、上流端が排油バルブ8の下流端に着脱自在で連通接続しており、油槽6の油が排油バルブ8から直接(外気に略触れずに)導入される。そして、導入管32の下流端は濾過部26に連通する。
【0024】
濾過部26は、油を濾過するフィルター40と、濾過用の空間を形成する箱体33と、箱体33に着脱自在の蓋部材37とを備える。箱体33は、ケース部材31と一体に形成してある。そして、箱体33は、上端が開口した形状になっており、内部は、濾過用の空間になっている。蓋部材37は、箱体33の開口の縁(以下、開口部34とする)に装着することで、箱体33の上方の開口を覆い、濾過用の空間を閉塞する。そして、蓋部材37には、導入管32が貫通して設けてあり、導入管32の下流端が濾過用の空間内に位置する。そのため、濾過部26は、導入管32からの油が導入管32から直接濾過用の空間内に導入される。また、蓋部材37は上下の間にOリング35を介在して開口部34に取り付けてあり、蓋部材37と開口部34との取付箇所からの油の漏れを抑制してある。そして、蓋部材37は、開口部34の外周に設けた保持部36によって、開口部34に取り付けた状態に保持される。
【0025】
フィルター40は、出し入れ自在で、箱体33(濾過用の空間内)に収納してある。そして、フィルター40は濾過用の空間を上下二つに区画しており、油はフィルター40を介してフィルター40より下方に移動することで、濾過される。フィルター40は、例えば、金属製の網籠41になっている。
【0026】
網籠41は、上方に開口した箱状の籠本体と、籠本体を箱体33の内面に支持する支持部42とを備える。籠本体は、底面及び側面の略全体が網目を有した形状になっている。支持部42は籠本体の側面の上端に設けてあり、箱体33の開口部34の内側に引っ掛けることで、籠本体を箱体33に支持する。そして、籠本体は、支持部42によって支持されることで、籠本体の底面を箱体33の底部から上方に離した位置に取り付けられる。そのため、濾過部26は、籠本体の網目によって油を濾して、網籠41(籠本体)内に不純物を残留させることで、油を濾過することができる。そして、籠本体内に残留した不純物は、網籠41を箱体33外に取り出すことで、濾過部26の外に排出することができる。
【0027】
ポンプ24は、箱体33の横(実施形態では後方)に位置しており、箱体33とケース部材31とで囲まれた空間に収納してある。そして、ポンプ24は上流端である吸入口25が箱体33の濾過用の空間の下部に開口しており、フィルター40で濾過した油を吸入する。なお、吸入口25は箱体33の底部より若干上方に設けることで、油に混入した水分を底部に残留させて、油を吸入することができて好ましい。
【0028】
また、ポンプ24は下流端である噴出口が連結管44の上流端に連通しており、ポンプ24は、吸入した油を加圧して連結管44に導入する。連結管44は、下部が前方に突出した側面視L字形状になっており、上流端が前向きでポンプ24に連通し、下流端が上向きで、上流端より後方で且つ上方に位置する。そして、連結管44は下流端を有した上部が、ケース部材31から上方に突出する。この上部の先端には取付部45が設けてあり、吐出管50の被取付部52に着脱自在で取付可能になっている。
【0029】
吐出管50は、上下に長尺な管本体51と、管本体51の上端から前方に突出した前出部53と、前出部53の前端から下方に突出した吐出部54とを備える。管本体51は下端が吐出管50の上流端になっており、この下端には、取付部45を取り付ける被取付部52が設けてある。そして、管本体51は、被取付部52に取付部45を取り付けることで、連結管44に連通接続されて、ポンプ24で加圧された油が連結管44から導入される。
【0030】
更に、管本体51の上端には前出部53が一体に設けてあり、管本体51の内部と前出部53の内部とは管本体51の上端と前出部53の後端とで連通する。そして、前出部53は、図2に示すように、バックガード13の前面から前方に突出して設けてある。更に、前出部53は、前端に吐出部54が一体に設けてあり、前出部53の内部と吐出部54の内部とは前出部53の前端と吐出部54の上端とで連通する。つまり、管本体51と吐出部54とは前出部53を介して連通接続してあり、管本体51の油が前出部53を介して吐出部54に導入される。
【0031】
吐出部54は下端が、吐出管50内の油を吐出する吐出口になっている。そして、吐出口は平面視油槽6内に位置すると共に、側面視油槽6の開口上方或いは油槽6の上部内に位置し、油槽6内に濾過した油を吐出する。なお、連結管44は上流端或いは上流端近傍に逆止弁等の流下防止手段を設けることで、濾過ユニット30のフライヤー本体1からの分離時に、連結管44内の油が上流端から外部に漏れ出し難くすることができて好ましい。
【0032】
以上のように、本実施形態において、フライヤーの油濾過装置20は、油導入路22が導入管32で構成され、油還流路23が連結管44と吐出管50とで構成されている。そして、油槽6内の油は、油槽6の下部から排油バルブ8を介して循環流路21に導入されて、濾過部26で濾過された後、油槽6の上部に吐出される。つまり、本フライヤー(油濾過装置20)は、油槽6内の油を循環させることができると共に、この循環時に不純物を除去することができる。更に、油槽6の油を循環させながら濾過するため、油濾過装置20は油槽6の加熱中に使用する(油を濾過する)ことができる。これによって、本フライヤーは、油槽6加熱中(調理中)に、不純物を除去することができて、調理の中断等のフライヤーの利便性の低下を抑制することができる。
【0033】
そして、本フライヤーは、排油バルブ8を介して油濾過装置20に油を導入するため、油槽6に油導入路22用の連通孔を設けずにすむと共に、油排出用の空間に濾過ユニット30を配置し易くすることができる。これによって、本フライヤーは、油濾過装置20の追加に伴うフライヤー本体1の大型化や油槽6形状の変更等を生じ難くすることができ、フライヤーを簡素や安価な構成にし易くしたり、フライヤーの利便性の低下を抑制したりすることができる。
【0034】
更に、本フライヤーは、排油バルブ8から油導入路22に油を導入したことで、濾過ユニット30を油排出用の空間に配置した場合において、油導入路22の上下寸法を、上流端が油槽6内に位置する場合に比べて、短い構成にし易くすることができる。これによって、本フライヤーは、フライヤーを簡素や安価な構成にし易くすると共に、濾過ユニット30のフライヤー本体1からの分離時に、油導入路22が濾過ユニット30の取出し時に邪魔になり難くすることができて、濾過ユニット30を油排出用の空間から取出し易くすることができる。
【0035】
そして、本フライヤーは、吐出管50をフライヤー本体1に一体に設けたことで、吐出管50を器体2の前後や左右に突出し難い構成にし易くすることができる。これによって、本フライヤーは、油濾過装置20の追加に伴うフライヤー本体1の大型化等を生じ難くして、フライヤーを簡素や安価な構成にし易くすることができる。更に、吐出管50を突出し難い構成にすることで、吐出管50フライヤー利用者の邪魔になり難くなり、言い換えると、本フライヤーは、油濾過装置20がフライヤーの利用を妨げ難くすることができて、フライヤーの利便性の低下を抑制することができる。
【0036】
そして、本フライヤーは、油還流路23が吐出管50と連結管44とに分離するため、上下に長尺になり易い油還流路23が濾過ユニット30の取出し時に邪魔になり難くすることができて、濾過ユニット30を油排出用の空間から取出し易くすることができる。更に、本フライヤーは、濾過ユニット30としたことで、濾過ユニット30をフライヤー本体1から分離するだけで、濾過部26やポンプ24を油排出用の空間から容易に取出すことができる。これによって、本フライヤーは、濾過部26に溜まった不純物の排出やポンプ24のメンテナンス等を行い易くすることができ、さらに排油を行う際には、油排出用の空間を開放し易くすることができる。
【0037】
そして、本フライヤーは、ポンプ24より上流に濾過部26を配置したことで、不純物がポンプ24に流入し難くすることができて、不純物のポンプ24への噛み込みや付着を生じ難くすることができる。これによって、本フライヤーは、ポンプ24性能の低下等に伴う油の循環効率の低下を抑制し易くすることができて、調理の遅延を生じ難くすることができる。
【0038】
更に、濾過部26は、蓋部材37で内部が閉塞された箱体33内に、フィルター40を有するため、外部から埃等がフィルター40に付着し難くなり、埃等の付着によるフィルター40の劣化を抑制することができる。これによって、本フライヤーは、フィルター40の交換周期(寿命)を長くし易くなり、フィルター40の交換や不純物の排出等の回数を低減し易くすることができて、フライヤーの利便性の低下を抑制し易くすることができる。
【0039】
そして、本フライヤーは、濾過部26が蓋部材37で閉塞された箱体33を有すると共に、油導入管32の下流端が濾過用の空間内に臨んで位置するため、油や不純物を、外気に触れ難い状態で循環させることができる。これによって、本フライヤーは、高温状態での外気との接触に伴う油の劣化や、外気との接触に伴う不純物の油濾過装置20への強固な付着(こびり付き)等を抑制し易くすることができる。
【0040】
次に、図3に示す第2実施形態を説明する。なお、第1実施形態と共通する構成は、同じ符号を付して、重複の説明は省略する。
【0041】
本実施形態の油濾過装置20は、油還流路23として、一つの還流管60を備える。還流管60はフライヤー本体1と別体で設けてある。そして、還流管60は、上流端がポンプ24の噴出口に連通し、下流端である吐出口が油槽6の上部に開口する。更に、還流管60は、平面視における油槽6上の下流端の位置を、変更することができる。
【0042】
また、吐出口には濾過部26が設けてある。濾過部26は、例えば、網籠62になっている。網籠62は掛止フック63が側板部5の上端(油槽6のフランジ)に掛け止め可能になっている。そして、網籠62は、掛止フック63を介して側板部5に支持されることで、油槽6の上部における油面70(油の上面)より上方に位置する。
【0043】
油導入路22(導入管32)は、上流側を油槽6内に配置すると共に、その上流端を油槽6の下部に位置した状態で、油槽6内の油が導入される。そして、油導入路22は、平面視における油槽6上の位置を変更することができる。
【0044】
また、油濾過装置20は、ガイド下駄55をさらに備える。ガイド下駄55は、油槽6の下端部7に載置して、フライヤー本体1に着脱自在で取り付けられる。ガイド下駄55は、例えば、油より比重の重い金属製で、平面視矩形の枠部材56で主体が構成される。そして、枠部材56は足部によって、下端部7から上方に離れて位置する。そして、枠部材56は、平面視内側が格子形状になっている。更に、枠部材56は格子の上端に、図4に示すように、複数の突起57を有する。
【0045】
突起57は、枠部材56の対角線方向に長尺な金属板で形成してある。そして、突起57は、枠部材56から上方に突出すると共に、先端(上端)が鍵爪状に湾曲して下方を向く、所謂返し形状になっている。そのため、ガイド下駄55は、突起57の先端で不純物の浮上を阻害して、不純物の浮遊を抑制する。
【0046】
更に、ガイド下駄55は、油導入路22の上流端を位置決め保持する位置決め部(図示せず)を有する。そして、突起57の間は、位置決めした油導入路22の上流端に向けて、不純物を流動し易くするガイド溝58になっている。なお、突起57は、上方への突出量を10〜20mm程度にすることで、油槽6内に投入した被調理物の接触等の被調理物との干渉を生じ難くして、被調理物の商品価値を低下し難くすることができて好ましい。
【0047】
このように、本実施形態のフライヤーは、油濾過装置20全体がフライヤー本体1から分離可能(フライヤー本体1と別体)になっている。これによって、油濾過装置20は既存のフライヤー本体1に取り付けて利用することができて、油濾過装置20の追加に伴う改修加工等のコスト増加を軽減し易くすることができる。
【0048】
そして、油導入路22の上流端や油還流路23の下流端等の循環流路21の端部の、平面視における油槽6上の位置を変更可能としたことで、既存のフライヤー本体1に取り付け易くすることができる。更に、油槽6上の位置を変更可能としたことで、揚げ物の形状や数や油切り網の位置やサイズ等に応じて前記油槽6上の位置を調整して、フライヤーを利用することができて、利便性の低下を抑制し易くすることができる。
【0049】
そして、濾過部26を油還流路23の下流端に設けたことで、網籠62(フィルター40)への不純物の残留量を容易に視認することができて、不純物の排出時期(フィルター40の交換時期)を判断し易くすることができる。
【0050】
更に、ガイド下駄55を設けたことで、油槽6内での不純物の浮遊を抑制し易くすることができる。そして、ガイド下駄55がガイド溝58を備えたことで、油の循環に伴い油槽6内に生じる油の対流で、不純物を油導入路22の上流端側に移動し易くガイドすることができる。これによって、不純物を油濾過装置20(循環流路21)に導入し易くすることができて、不純物を除去し易くすることができる。更に、油導入路22をガイド下駄55で位置決め保持したことで、前記対流による油導入路22の移動を抑制し易くすることができる。
【0051】
なお、本発明は上記例示の実施形態の構成のみに限定されるものではなく、本発明の意図する範囲内であれば、各実施形態において適宜の設計変更を行うことが可能である。例えば、油濾過装置20は、濾過部26が複数のフィルター40を備えた構成であってもよい。これら場合、フィルター40は、目が異なるものや、油から除去する成分が異なるもの等が好ましいが、同じものであってもよい。また例えば、油濾過装置20は、濾過部26を複数備えた構成であってもよい。
【0052】
また例えば、第1実施形態において、濾過部26は、油導入路22の下流端に設けた構成に限らず、油導入路22の途中に設けた構成であってもよい。また例えば、第1実施形態において、濾過部26は油還流路23の途中や端部、又はポンプ24に設けた構成であってもよい。また例えば、第2実施形態において、濾過部26は、油還流路23の下流端に設けた構成に限らず、油還流路23の途中や油還流路23の上流端に設けた構成であってもよく、油導入路22の途中やポンプ24に設けた構成であってもよく、前述のように一つに限らない。
【0053】
また例えば、油濾過装置20は、吐出管50等の一部の部材をフライヤー本体1に一体で(固定して)設けた構成に限らず、全ての部材をフライヤー本体1に固定して設けた構成や、フィルター40のみを着脱自在とし他の部材を固定した構成であってもよい。また例えば、油濾過装置20は、油導入路22の上流端を油槽6の下端部7や下端部7近傍の壁に開口して設けた構成であってもよい。また例えば、第1実施形態において、フライヤーは、排油バルブ8に分岐路及び三方弁等を設け、この分岐路に油導入路22を連通接続し、油導入路22を取り外さずに、排油バルブ8から排油可能とした構成であってもよい。また例えば、第1実施形態において、油濾過装置20がガイド下駄55をさらに備えてもよい。このものでは、ガイド下駄55を油槽6内に配置して、ガイド下駄55によって不純物の浮遊を抑制すると共に、不純物を排油バルブ8に流動し易くして、不純物を除去し易くすることができる。
【0054】
また例えば、油濾過装置20は、循環流路21を油槽6の外面に当接して配置する等で、油槽6の熱で内部(流路内)の油を温めて、油を流動し易くしたり、油還流路23からの油による油槽6の温度低下を軽減したりしてもよい。また例えば、流路内の油を温める構成は、循環流路21や濾過部26にヒータを取り付ける等の油濾過装置20に昇温手段を設けたり、加熱ユニット10の熱や燃焼排ガスの熱を直接的や間接的に油濾過装置20に伝達したりして油の温度低下を軽減してもよい。
【符号の説明】
【0055】
1 フライヤー本体
6 油槽
8 排油バルブ
20 油濾過装置
21 循環流路
22 油導入路
23 油還流路
24 ポンプ
26 濾過部
30 濾過ユニット
44 連結管
50 吐出管
図1
図2
図3
図4