【課題を解決するための手段】
【0007】
プラスチック材料プリフォームをプラスチック材料容器に成形するための本発明による装置が、互いに対して移動されることができる少なくとも2つのブロー金型部品を有する少なくとも1つのブロー金型を有する。この場合、これらのブロー金型部品はキャビティを形成しており、このキャビティ内で前記プラスチック材料プリフォームが前記プラスチック材料容器に成形されることができる。さらに、前記装置は、前記プラスチック材料プリフォームを膨張させるための流通可能な媒体を用いて前記プラスチック材料プリフォームに作用する加圧装置と、予め設定された運搬路に沿って前記ブロー金型を運ぶ運搬装置とを有する。さらに、前記装置は、前記プラスチック材料プリフォームの膨張中に前記ブロー金型がその内部で運搬されることができるクリーンルームを有し、このクリーンルームは非滅菌環境から少なくとも1つの壁部により分離されている。この場合、前記プラスチック材料プリフォームに面する前記ブロー金型の内壁が少なくとも1つの開口部を有し、この開口部を通して、流通可能な媒体が前記膨張プロセス中にキャビティから除去されることができる。
【0008】
本発明によれば、この開口部と前記クリーンルームとの間に流れ接続部が設けられ、この流れ接続部は、前記クリーンルームの非滅菌環境に対して封止されている。
【0009】
従って、前記膨張プロセス中に、前記ブロー金型の内部のガス状媒体が、上記の開口部を通して、前記非滅菌環境内にではなく前記クリーンルーム内に完全に放出されることになることが提示される。このようにして、前記クリーンルームが前記非滅菌環境により逆に再汚染されることが防止されることができる。
【0010】
有利な実施形態において、本発明の装置は、複数のブロー金型又はブロー
成形ステーションを有する。より詳細には、複数のブロー成形ステーションを設けることができ、これらのステーションが、各々、ブロー金型キャリアと、これらのブロー金型キャリア上に配置されたブロー金型を有することができる。前記運搬装置が、複数のブロー
成形ステーションがその上に配置されたブロー成形ホイールであることが有利である。さらなる有利な実施形態において、前記クリーンルーム又は滅菌ルームは、前記個々のブロー成形ステーションの前記運搬路を取り囲むダクトの形態で設計される。
【0011】
この場合、前記ブロー金型がその上に配置された前記個々のキャリアが、前記プラスチック材料プリフォームを開放状態で受け入れられるように折り曲げ離され得ることが可能である。
【0012】
上記の複数の前記開口部が、製造されるボトルにより膨張プロセス中に排出されたエアを同時に均一に受けることができるように前記ブロー金型の前記内壁に配置されることが有利である。さらなる有利な実施形態において、前記クリーンルームは、少なくとも部分的に前記運搬装置自体によっても形成される。
【0013】
さらなる有利な実施形態において、前記装置は、流通可能な滅菌剤を前記ブロー金型に供給するための供給ラインを有する。この場合、前記供給ラインと前記開口部との間に流れ接続部が少なくとも所定の時間にわたって存在する。前記ブロー金型もこの供給ラインを用いて滅菌されることができる。滅菌剤は、特には過酸化水素であるが、例えば過酢酸又はその他の滅菌剤を用いることも可能であろう。この場合、この滅菌剤が前述のボア(開口部)を通って前記キャビティ内に到達することが可能である。
【0014】
前記滅菌剤のためのリザーバと滅菌される部品との間の上記の接続部が、滅菌のために所定時間にわたって形成されることが有利である。これは様々な方法で実行されることができる。こうして、例えば、加圧装置、例えばブロー成形ピストン又は吹き込みノズルが前記滅菌剤の導入のために用いられることが可能であろう。この場合、前記吹き込みノズル自体も滅菌されることができる。さらに、滅菌ガスが前記吹き込みノズルからアイソレータ又はクリーンルーム内に放出されてアイソレータ又はクリーンルームを滅菌することも可能であろう。到達が困難な場所、例えば、前記ブロー金型の上記の開口部又は通気(エアレーション)ボアを滅菌するために、前記吹き込みノズルが前記ブロー金型上に配置され、且つ前記滅菌剤が前記ブロー金型内に直接吹き込まれることも可能であろう。
【0015】
さらなる有利な実施形態において、本発明の装置は、前記流通可能な滅菌剤を貯蔵するための貯蔵装置を有し、この貯蔵装置は、上記の、前記ブロー金型の開口部に、流れに関して少なくとも所定の時間にわたって接続される。こうして、前記滅菌剤は、前記開口部を通って前記ブロー金型内に流入することができる。
【0016】
さらなる有利な実施形態において、前記流れ接続部は少なくとも局所的に前記加圧装置の上に延在する。こうして、前記滅菌剤が吹き込みノズル等の前記加圧装置から出発して前記ブロー金型に供給されることが可能である。これに関して、図面を参照しつつ、より詳細に説明する。
【0017】
さらなる有利な実施形態において、本発明の装置は、前記ブロー金型に対して移動可能で、且つ、前記滅菌作業において滅菌剤を前記開口部に運ぶバイパス要素を有する。こうして、さらなる要素、例えばいわゆるSIPキャップが、前記ブロー金型に存在し得る通気ボアの滅菌を促進するために用いられることが可能である。この場合、この部品は、前記ブロー金型又はブロー金型部品と前記吹き込みノズルとの間に挿入されることができる。その後、前記加圧装置又は前記吹き込みノズルを下方に移動させて、前記滅菌剤を上記のSIPキャップ内に吹き込むことが可能である。そして、SIPキャップの特別な設計により、SIPキャップは、前記吹き込みノズルを通して導入される前記滅菌剤を前記ブロー金型の前記通気ボア内に直接運び込むことができる。これにより、前記ボアを前記滅菌剤により完全にすすぐことができ、従って十分な滅菌が行われる。しかし、SIPキャップのその他の設計も可能である。
【0018】
また、上記のSIPキャップ又はCIPキャップを省略することも可能であろう。例えば、前記加圧装置又は前記吹き込みノズルが前記滅菌剤を前記ブロー金型内に直接吹き込む場合、前記滅菌剤の大部分が、前記通気ボアを通る通路を選ばずに、前記金型の2つの半分部分の間の間隙(この間隙の寸法は、通常、2/10mmの範囲である)を通して放出されることになる。この問題は、前記金型の間隙が滅菌中に可能な限り低減され、その後、製造のための要求される約0.2mmの寸法に再び戻されることを可能にする装置により解決されることができる。この約0.2mmの距離は、前記容器と前記ブロー金型との間のエアが前記容器の膨張中に前記金型から放出されることができる有利な寸法である。
【0019】
また、前記滅菌剤を、特にこの目的のために用いられる、例えば、いわゆるSIPピストン等の部品を通して運ぶことも可能であろう。この部品は移動可能にされることができ、また、滅菌のために、滅菌される部品の上にドッキングされることができる。従って、これはブロー金型と同様であり得る。そして、実際の滅菌が、先に述べた方法と同様に行われることができる。
【0020】
さらなる有利な実施形態において、前記ブロー金型は、前記流通可能な媒体及び/又は前記滅菌剤を運ぶための少なくとも1つのダクトを有する。このダクトは、流れに関して前記開口部に接続され、且つ、前記ブロー金型の長手方向に延在する。この場合、このダクトが前記ブロー金型の内壁内に形成されることが有利である。前記ダクトが完全に前記内壁内に形成されることが特に好ましい。さらに、このダクトが、流れに関して前記クリーンルームに接続されることが可能である。
【0021】
本発明は、さらに、プラスチック材料プリフォームをプラスチック材料容器に成形するためのブロー金型に関する。このブロー金型は、少なくとも1つの第1のブロー金型部品及び1つの第2のブロー金型部品を有し、これらの2つのブロー金型部品は互いに対して移動可能であり、前記ブロー金型部品はキャビティを形成しており、このキャビティ内で、前記プラスチック材料プリフォームが、ガス状媒体を用いて作用を受けることにより、前記プラスチック材料容器を形成するように膨張されることができる。さらに、前記ブロー金型又は前記ブロー金型部品が、少なくとも1つの開口部を、前記プラスチック材料プリフォームに面する前記ブロー金型の壁部に、膨張プロセス中にガス状媒体を除去するために、且つ/又は、流通可能な滅菌剤を滅菌プロセス中に前記ブロー金型に供給するために有する。この開口部が、前記ブロー金型又は前記ブロー金型部品の壁部内に延在するダクトに、流れに関して接続されること、及びこのダクトが、前記ブロー金型の長手方向に少なくとも所定距離にわたって延在することが有利である。
【0022】
従って、前記ブロー金型に関し、閉鎖された前記ブロー金型からエアを除去するために特に用いられるが、滅菌剤の供給のためにも任意に用いられるダクトをその内部に有するべきであることも提案される。
【0023】
前記ブロー金型の内壁における前記開口部は従来技術にて知られているが、この開口部に取り付けられた前記ダクトは、通常、半径方向に延在し、これは、製造の観点から、本明細書にて提示されるプロセスよりも簡単である。しかし、本明細書にて提示されるプロセスを用いると、ガス状媒体、すなわち、詳細には吹き込みエアが、前記クリーンルーム内へ、前記容器の長手方向に運ばれることも可能である。
【0024】
有利な実施形態において、前記壁部内に延在する前記ダクトは、流れに関して前記開口部に接続されている。この場合、この接続ダクトは前記ブロー金型の半径方向にも延在することができる。
【0025】
上記のチャネルが先に詳細に記載した複数の前記開口部に流れに関して接続されていることが有利である。この場合、これらの開口部は、例えば、前記ブロー金型の長手方向に上下に重ねて配置されることができる。さらに、先に記載した複数のダクトが前記ブロー金型又は前記ブロー金型部品の前記壁部内に形成されることも可能であろう。
【0026】
本発明は、さらに、プラスチック材料プリフォームをプラスチック材料容器に成形するための方法に関し、前記プラスチック材料プリフォームが、複数のブロー成形ステーション又はブロー金型内で、前記プラスチック材料容器を形成するように成形され、前記ブロー金型が、前記容器の膨張中に、少なくとも部分的にクリーンルーム内部の予め設定された運搬路に沿って運搬装置により運ばれ、ガス状媒体が、前記膨張プロセス中に少なくとも所定時間にわたって、前記プラスチック材料プリフォームに面した前記ブロー金型の壁部に配置された開口部を通して除去され、且つ/又は、流通可能な媒体が、滅菌プロセス中に少なくとも所定の時間にわたり、前記プラスチック材料プリフォームに面した前記開口部を通して前記ブロー金型に供給される。
【0027】
本発明によれば、前記ガス状媒体が前記開口部から出発して前記クリーンルーム内に完全に流入する。
【0028】
従って、前記方法に関し、前記開口部を通して除去される、前記吹き込みエア又は前記クリーンルーム内に存在するエア等の前記ガス状媒体が、この場合、周囲環境に流入せずに前記クリーンルームにのみ流入することも提示される。こうして、前記方法に関し、前記個々のブロー成形ステーション、及び前記クリーンルーム内部が無菌状態に維持されることもより容易になる。
【0029】
さらなる利点及び実施形態が添付図面から明らかになろう。