(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0014】
[第1の実施形態]
図1〜7を参照し、第1の実施形態に係る空調手段制御システムについて説明する。
図1は、第1の実施形態に係る空調手段制御システムのブロック図である。
図1に示されるように、本発明の第1の実施形態に係る空調手段制御システム1は、空調手段制御手段10と、記憶手段20からなる。
【0015】
空調手段制御手段10は、図示されていない複数の空調手段の動作を制御する。空調手段は、例えば、空調対象となる空間の室温を上昇下降させることができる、エアーコンディショナーでもよいし、下降させることのみできるクーラー、上昇させることのみできるヒーターでも良い。空調手段制御手段10は、空調手段と直接接続することにより、動作を制御することができる。また、空調手段制御手段10は、空調手段制御手段10および空調手段のそれぞれに通信手段を設け、有線もしくは無線で接続することにより、空調手段を制御しても良い。
【0016】
また、空調手段制御手段10は、空調手段制御手段10が制御する空調手段が空調を行う対象となる空間の室温を取得することができる。例えば、室温を取得することができる室温センサーを空調手段制御手段10に設け、室温を取得しても良い。また、空調手段に設けられている室温センサーが取得した室温を、空調手段制御手段10が取得するようにしても良い。
【0017】
また、空調手段制御手段10は、目標温度を取得する。目標温度とは、空調手段を動作させて室温を変化させる際に、目標となる室温を意味する。目標温度は、例えば空調手段のユーザーが、任意の温度を設定しても良いし、室温に応じて自動的に設定されるようにしても良い。目標温度は、空調手段制御システム1に目標温度入力手段を別途設けて、ユーザーなどが目標温度入力手段に入力する目標温度を取得してもよい。
【0018】
記憶手段20は、情報を記憶することができ、フラッシュメモリーやハードディスクドライブ等、種々の記憶手段を用いることができる。空調手段制御手段10は、記憶手段20に情報を記憶し、記憶された情報を読み出すことができる。
【0019】
記憶手段20には、複数設定した基準室温、及び、個々の空調手段が基準室温を所定温度上昇もしくは下降させるのに要する空調手段消費電力が記憶されている。以下では、空調手段制御手段10が、二つの空調手段、すなわち、第1の空調手段及び第2の空調手段を制御する場合を例に説明をする。
【0020】
図2は、第1の実施形態に係る空調手段制御システム1の、第1の空調手段の基準室温及び空調手段消費電力テーブルである。左側のテーブルは、第1の空調手段が室温を
下降させる場合の空調手段消費電力テーブルであり、右側のテーブルは、第1の空調手段が室温を
上昇させる場合の空調手段消費電力テーブルである。
【0021】
それぞれの空調手段消費電力テーブルには、基準室温の列、及び、基準室温に対応して、基準室温を所定温度下降(上昇)させるのに要する空調手段消費電力の列が設けられている。
図2では、所定温度は1℃である。基準室温とは、空調対象となる空間の室温を表す。基準室温は複数設定され、
図2のように、一定の間隔で複数設けることができる。また、基準室温は、空調手段が利用されることが多い温度については狭い間隔で、利用されることが少ない温度については広い間隔で設けてもよい。空調手段消費電力とは、空調手段を動作させる際に要する消費電力を表す。
【0022】
例えば、第1の空調手段のみを用いて、室温を27℃から26℃に下降させるのに要する空調手段消費電力は、310Wとなる。また、室温を22℃から23℃に上昇させるのに要する空調手段消費電力は、270Wとなる。
【0023】
図3は、第1の実施形態に係る空調手段制御システム1の、第2の空調手段の基準室温及び空調手段消費電力テーブルである。左側のテーブルは、第2の空調手段が室温を
下降させる場合の空調手段消費電力テーブルであり、右側のテーブルは、第2の空調手段が室温を
上昇させる場合の空調手段消費電力テーブルである。
【0024】
例えば、第2の空調手段のみを用いて、室温を27℃から26℃に下降させるのに要する空調手段消費電力は、315Wとなる。また、室温を22℃から23℃に上昇させるのに要する空調手段消費電力は、280Wとなる。
【0025】
次に、本発明の第1の実施形態に係る、空調手段制御システム1の動作について、
図4〜7を用いて説明する。
図4は、第1の実施形態に係る空調手段制御システム1の動作の一例を示すフローチャートであり、室温を下降させる場合の空調手段制御システム1の動作を示す。
【0026】
空調手段制御システム1の空調手段制御手段10は、目標温度を取得し(S101)、室温を取得する(S102)。次に、空調手段制御手段10は、室温に対応する基準室温を1℃下降させるのに要する個々の空調手段ごとの空調手段消費電力を記憶手段20から読み出して、取得する(S103)。
【0027】
例えば、室温が27℃であれば、対応する基準室温は27℃となる。
図2の左側のテーブルを参照して、第1の空調手段のみを用いて、基準室温である27℃を1℃下降させるのに要する空調手段消費電力である「310W」を取得する。また、
図3の左側のテーブルを参照して、第2の空調手段のみを用いて、基準室温である27℃を1℃下降させるのに要する空調手段消費電力である「315W」を取得する。
【0028】
次に、空調手段制御手段10は、空調手段を選択して動作させる(S104)。
図7は、第1の実施形態に係る空調手段制御システム1の動作の一例を示すフローチャートであり、S104の詳細を示すものである。S104は、S401〜403の処理からなる。
【0029】
空調手段制御手段10が室温に対応する基準室温を1℃下降させるのに要する空調手段消費電力を記憶手段20から読み出して、取得すると(S103)、空調手段制御手段10は、第1の空調手段の空調手段消費電力が、第2の空調手段の空調手段消費電力以上であるかを比較する(S401)。空調手段制御手段10は、第1の空調手段の空調手段消費電力が、第2の空調手段の空調手段消費電力以上であれば(YES)、第2の空調手段を動作させ、第1の空調手段が動作していれば、第1の空調手段を停止させる(S402)。第1の空調手段の空調手段消費電力が、第2の空調手段の空調手段消費電力以上でなければ(NO)、第1の空調手段を動作させ、第2の空調手段が動作していれば、第2の空調手段の動作を停止させる(S403)。
【0030】
例えば、基準室温が27℃であれば、空調手段制御手段10は、第1の空調手段の空調手段消費電力である「310W」及び第2の空調手段の空調手段消費電力である「315W」を取得する(S103)。空調手段制御手段10は、第1の空調手段の空調手段消費電力は、第2の空調手段の空調手段消費電力以上でないから(S401、NO)、第1の空調手段を動作させ、第2の空調手段が動作していれば、第2の空調手段の動作を停止させる(S403)。
【0031】
再び
図4を参照して、S105以降の第1の実施形態に係る空調手段制御システム1の動作を説明する。空調手段制御手段10は、空調手段を選択して動作して動作させると(S104)、室温を取得し(S105)、S102で取得した室温から1℃以上下降したかを判断する(S106)。1℃以上下降していなければ(NO)、選択した空調手段の動作を継続し、S105、S106の処理を繰り返す。このような動作をすることにより、室温が1℃下降するまで、選択した空調手段に動作を行わせる。
【0032】
S102で取得した室温が1℃以上下降していた場合は(YES)、空調手段制御手段10は、室温が目標温度になったか判断する(S107)。S105で取得した室温が目標温度に達していない場合は(NO)、空調手段制御手段10は、再びS102〜S107の処理をする。このような動作をすることにより、室温が目標温度に達するまで、室温が基準室温に達するタイミングで、最も空調手段消費電力の少ない空調手段を選択し、室温が1℃下降するまで、選択した空調手段に動作を行わせることができる。
【0033】
S105で取得した室温が目標温度に達している場合は(YES)、空調手段制御手段10は、空調手段の動作を停止するか判断する。動作の停止とは、ユーザーが空調手段制御手段10もしくは空調手段に空調手段の動作の停止を指示されるものでもよいし、タイマー等によりあらかじめ設定されものであっても良い。空調手段制御手段10は、動作を停止しない場合は(NO)、最後に選択した空調手段のまま動作を継続し、動作を停止する場合は(YES)、空調手段の動作を停止する(S109)。このような動作をすることにより、目標温度に達した後は、選択した空調手段を動作させ続けることができる。
【0034】
図5は、第1の実施形態に係る空調手段制御システム1の動作の一例を示すフローチャートであり、室温を上昇させる場合の空調手段制御システムの動作を示す。動作については、
図4で示した空調手段制御システムと同様である。
【0035】
図6は、第1の実施形態に係る空調手段制御システム1の動作の一例を示すフローチャートである。
図4及び5で示した空調手段制御システムの動作と異なる点は、目標温度と室温を取得した上で(S301、302)、室温と目標温度を比較して(S303)、室温を下降させるか(YES)、上昇させるか(NO)を判断している点にある。このような構成を採用することで、室温を下降させるか上昇させるかを予め設定する必要が無くなる。
【0036】
本発明の第1の実施形態に係る空調手段制御システム1は、以上のような構成を採用する。
図2及び
図3に記載のように、空調手段の消費電力は、空調対象となる空間の室温ごとに異なる。本発明の第1の実施形態に係る空調手段制御システム1によれば、複数の空調手段を、室温に応じてきめ細かく選択して、選択した空調手段動作を制御することができ、消費電力を抑えることが可能となる。
【0037】
[第2の実施形態]
図8及び
図9を参照し、本発明の第2の実施形態に係る空調手段制御システム1について説明する。第2の実施形態に係る空調手段制御システム1の記憶手段20は、個々の空調手段の空調手段消費電力に加えて、複数の空調手段が同時に動作する場合の空調手段消費電力を記憶することを特徴とする。また、本発明の第2の実施形態に係る空調手段制御システム1の空調手段制御手段10は、最も空調手段消費電力の少ない空調手段として複数の空調手段を選択する。そして、空調手段制御手段10は、室温が所定温度上昇もしくは下降するまで選択した複数の空調手段を同時に動作させることを特徴とする。
【0038】
図8は、第2の実施形態に係る空調手段制御システム1の、複数の空調手段が同時に動作する場合の基準室温及び空調手段消費電力テーブルである。
図8に示されるのは、第1の空調手段および第2の空調手段を同時に動作させ場合の基準室温及び空調手段消費電力テーブルである。この空調手段消費電力テーブルには、複数の空調手段を同時に動作させた場合に要する空調手段消費電力が、基準室温と対応づけて記録されている。
【0039】
次に
図9を参照して、本発明の第2の実施形態に係る空調手段制御システム1の動作について説明する。
図9は、第2の実施形態に係る空調手段制御システム1の、空調手段制御手段10の動作の一例を示すフローチャートである。第2の実施形態に係る空調手段制御システム1と第1の実施形態に係る空調手段制御システム1との相違点は、
図4のS104、
図5のS204、
図6のS305及びS312の動作であり、その他の動作は
図4、5、6に示された内容と同じである。第2の実施形態に係る空調手段制御システム1のS104、S204、S305及びS312の処理は、S501〜S506からなる。
【0040】
空調手段制御手段10は、室温に対応する基準室温を1℃下降(上昇)させるのに要する空調手段消費電力を記憶手段20から読み出して、取得する(S103、S203、S304、S311)。次に、空調手段制御手段10は、第1の空調手段の空調手段消費電力が、第2の空調手段の空調手段消費電力以上であるかを比較する(S501)。第1の空調手段の空調手段消費電力が、第2の空調手段の空調手段消費電力以上であれば(YES)、第2の空調手段の空調手段消費電力が、複数の空調手段の空調手段消費電力以上であるかを比較する(S502)。第2の空調手段の消費電力が複数の空調手段の空調手段消費電力以上であれば(YES)、複数の空調手段を動作させる(S504)。空調手段制御手段10は、第2の空調手段の空調手段消費電力が、複数の空調手段の空調手段消費電力以上でなければ(NO)、第2の空調手段を動作させ、第1の空調手段が動作していれば、第1の空調手段の動作を停止させる(S503)。
【0041】
S501において、空調手段制御手段10は、第1の空調手段の空調手段消費電力が、第2の空調手段の空調手段消費電力以上でなければ(NO)、第1の空調手段の空調手段消費電力が、複数の空調手段の空調手段消費電力以上であるかを比較する(S505)。空調手段制御手段10は、第1の空調手段の消費電力が複数の空調手段の空調手段消費電力以上であれば(YES)、複数の空調手段を動作させる(S504)。空調手段制御手段10は、第1の空調手段の空調手段消費電力が、全ての空調手段の空調手段消費電力以上でなければ(NO)、第1の空調手段を動作させ、第2の空調手段が動作していれば、第2の空調手段の動作を停止させる(S506)。
【0042】
以上のように本発明の第2の実施形態に係る空調手段制御システム1によれば、個々の空調手段の空調手段消費電力に加え、複数の空調手段を同時に動作させた場合の空調手段消費電力を含め、空調手段消費電力を比較する。また、複数の空調手段を同時に動作させた場合の空調手段消費電力が最も少ない場合には、複数の空調手段を選択し、同時に動作させることができる。このような構成を採用することにより、第1の実施形態に比べ、さらに消費電力を少なくすることができる場合がある。
【0043】
[第3の実施形態]
図10〜12を参照し、本発明の第3の実施形態に係る空調手段制御システム1について説明する。第3の実施形態に係る空調手段制御システム1の記憶手段20は、基準室温、空調手段の空調手段消費電力に加えて、空調手段が基準室温を所定温度上昇もしくは下降させるのに要する空調時間を記憶することを特徴とする。また、本発明の第3の実施形態に係る空調手段制御システム1の空調手段制御手段10は、最も消費電力の少ない空調手段が複数ある場合には、室温に対応する基準室温を所定温度上昇もしくは下降させるのに要する空調時間を記憶手段20から読み出す。そして、最も空調時間の短い空調手段を選択し、室温が所定温度上昇もしくは下降するまで選択した空調手段を動作させることを特徴とする。
【0044】
図10は、第3の実施形態に係る空調手段制御システム1の、第1の空調手段の基準室温、空調手段消費電力、及び空調時間テーブルである。左側のテーブルは、第1の空調手段が室温を下降させる場合の基準室温、空調手段消費電力、及び空調時間テーブルである。右側のテーブルは、第1の空調手段が室温を上昇させる場合の基準室温、空調手段消費電力、及び空調時間テーブルである。
【0045】
それぞれの基準室温及び空調時間テーブルには、基準室温の列、空調手段消費電力の列、及び、基準室温に対応して、基準室温から1℃下降(上昇)するのに要する空調時間の列が設けられている。空調時間とは、空調手段が動作する時間を表す。
【0046】
例えば、第1の空調手段のみを用いて、室温を27℃から26℃に下降させるのに要する空調時間は、5秒となる。また、室温を22℃から23℃に上昇させるのに要する空調時間は、8秒となる。
【0047】
図11は、第3の実施形態に係る空調手段制御システム1の、第2の空調手段が第2の空調手段の基準室温、空調手段消費電力、及び空調時間テーブルである。左側のテーブルは、第2の空調手段が室温を下降させる場合の基準室温、空調手段消費電力、及び空調時間テーブルである。右側のテーブルは、第2の空調手段が室温を上昇させる場合の基準室温、空調手段消費電力、及び空調時間テーブルである。
【0048】
例えば、第2の空調手段のみを用いて、室温を27℃から26℃に下降させるのに要する空調時間は、6秒となる。また、室温を22℃から23℃に上昇させるのに要する空調時間は、8秒となる。
【0049】
次に
図12を参照して、本発明の第3の実施形態に係る空調手段制御システム1の動作について説明する。第3の実施形態に係る空調手段制御システムと第1の実施形態に係る空調手段制御システム1との相違点は、
図4のS104、
図5のS204、
図6のS305及びS312の動作であり、その他の動作は
図4、5、6に示された内容と同じである。第3の実施形態に係る空調手段制御システム1のS104、S204、S305及びS312の処理は、S601〜S608からなる。
【0050】
空調手段制御手段10が室温に対応する基準室温を1℃下降させるのに要する空調手段消費電力を記憶手段20から読み出して、取得すると(S103、S203、S304、S311)、空調手段制御手段10は、第1の空調手段の空調手段消費電力が、第2の空調手段の空調手段消費電力より多いかを比較する(S601)。空調手段制御手段10は、第1の空調手段の空調手段消費電力が、第2の空調手段の空調手段消費電力より多ければ(YES)、第2の空調手段を動作させ、第1の空調手段が動作していれば、第1の空調手段を停止させる(S602)。
【0051】
第1の空調手段の空調手段消費電力が、第2の空調手段の空調手段消費電力より多くなければ(NO)、空調手段制御手段10は、第2の空調手段の空調手段消費電力が、第1の空調手段の空調手段消費電力より多いか比較する(S603)。空調手段制御手段10は、第2の空調手段の空調手段消費電力が、第1の空調手段の空調手段消費電力より多ければ(YES)、第1の空調手段を動作させ、第2の空調手段が動作していれば、第2の空調手段を停止させる(S604)。第2の空調手段の空調手段消費電力が、第1の空調手段の空調手段消費電力より多くない場合(NO)、すなわち、第1の空調手段の空調手段消費能力と第2の空調手段の空調手段消費電力が等しい場合は、空調手段制御手段10は、以下の比較を行う。
【0052】
空調手段制御手段10は、室温に対応する基準室温を1℃下降させるのに要する空調時間を記憶手段20から読み出して取得し(S605)、第1の空調手段の空調時間が、第2の空調手段の空調時間以上かを比較する(S606)。第1の空調手段の空調時間が、第2の空調手段の空調時間以上である場合は、第2の空調手段を動作させ、第1の空調手段が動作していれば、第1の空調手段を停止させる(S607)。第1の空調手段の空調時間が、第2の空調手段の空調時間以上でない場合は、第1の空調手段を動作させ、第2の空調手段が動作していれば、第2の空調手段を停止させる(S608)。
【0053】
以上のように本実施形態の空調手段制御システム1によれば、最も消費電力の少ない前記空調手段が複数ある場合には、当該複数の空調手段のうち最も空調時間の短い空調手段を選択し、室温が所定温度上昇もしくは下降するまで選択した空調手段を動作させる。このような構成を採用することにより、第1の実施形態に係る空調手段制御システム1と比べ、空調を行う時間を短くすることができる場合がある。
【0054】
[第4の実施形態]
図13〜15を参照し、本発明の第4の実施形態に係る空調手段制御システム1について説明する。第4の実施形態に係る空調手段制御システムの記憶手段20は、個々の前記空調手段の空調手段消費電力に加えて、個々の空調手段が基準室温を所定温度上昇もしくは下降させるのに要する空調手段消費電力量を記憶することを特徴とする。また、本発明の第4の実施形態に係る空調手段制御システム1の空調手段制御手段10は、最も消費電力の少ない空調手段が複数ある場合には、室温に対応する基準室温を所定温度上昇もしくは下降させるのに要する空調手段消費電力量を記憶手段20から読み出す。そして、最も空調手段消費電力量の少ない空調手段を選択し、室温が前記所定温度上昇もしくは下降するまで選択した空調手段を動作させることを特徴とする。
【0055】
図13は、第4の実施形態に係る空調手段制御システム1の、第1の空調手段の基準室温、空調手段消費電力、及び空調時間消費電力量テーブルである。左側のテーブルは、第1の空調手段が室温を下降させる場合の基準室温、空調手段消費電力、及び空調時間消費電力量テーブルであり、右側のテーブルは、第1の空調手段が室温を上昇させる場合の基準室温、空調手段消費電力、及び空調時間消費電力量テーブルである。
【0056】
それぞれの基準室温及び空調時間テーブルには、基準室温の列、空調手段消費電力の列、及び、基準室温に対応して、基準室温から1℃下降(上昇)するのに要する空調時間消費電力量の列が設けられている。空調時間消費電力量とは、空調手段が消費する電力量を表す。
【0057】
例えば、第1の空調手段のみを用いて、室温を27℃から26℃に下降させるのに要する空調時間消費電力量は、1860Wsとなる。また、室温を22℃から23℃に上昇させるのに要する空調時間消費電力量は、2160Wsとなる。
【0058】
図14は、第4の実施形態に係る空調手段制御システム1の、第2の空調手段の基準室温、空調手段消費電力、及び空調時間消費電力量テーブルである。左側のテーブルは、第2の空調手段が室温を下降させる場合の基準室温、空調手段消費電力、及び空調時間消費電力量テーブルであり、右側のテーブルは、第2の空調手段が室温を上昇させる場合の基準室温、空調手段消費電力、及び空調時間消費電力量テーブルである。
【0059】
例えば、第2の空調手段のみを用いて、室温を27℃から26℃に下降させるのに要する空調時間消費電力量は、1890Wsとなる。また、室温を22℃から23℃に上昇させるのに要する空調時間消費電力量は、2240Wsとなる。
【0060】
次に
図15を参照して、本発明の第4の実施形態に係る空調手段制御システム1の動作について説明する。第4の実施形態に係る空調手段制御システム1と第1の実施形態に係る空調手段制御システム1との相違点は、
図4のS104、
図5のS204、
図6のS305及びS312の動作であり、その他の動作は
図4、5、6に示された内容と同じである。第4の実施形態に係る空調手段制御システム1のS104、S204、S305、S312の処理は、S701〜S708からなる。
【0061】
空調手段制御手段10は、室温に対応する基準室温を1℃下降させるのに要する空調手段消費電力を記憶手段20から読み出して、取得する(S103、S203、S304、S311)。空調手段制御手段10は、第1の空調手段の空調手段消費電力が、第2の空調手段の空調手段消費電力より多いかを比較する(S701)。空調手段制御手段10は、第1の空調手段の空調手段消費電力が、第2の空調手段の空調手段消費電力より多ければ(YES)、第2の空調手段を動作させ、第1の空調手段が動作していれば、第1の空調手段を停止させる(S702)。
【0062】
第1の空調手段の空調手段消費電力が、第2の空調手段の空調手段消費電力より多くなければ(NO)、第2の空調手段の空調手段消費電力が、第1の空調手段の空調手段消費電力より多いか比較する(S703)。空調手段制御手段10は、第2の空調手段の空調手段消費電力が、第1の空調手段の空調手段消費電力より多ければ(YES)、第1の空調手段を動作させ、第2の空調手段が動作していれば、第2の空調手段を停止させる(S704)。第2の空調手段の空調手段消費電力が、第1の空調手段の空調手段消費電力より多くない場合(NO)、すなわち、第1の空調手段の空調手段消費能力と第2の空調手段の空調手段消費電力が等しい場合は以下の比較を行う。
【0063】
空調手段制御手段10は、室温に対応する基準室温を1℃下降させるのに要する空調手段消費電力量を記憶手段20から読み出して取得し(S705)、第1の空調手段の空調手段消費電力量が、第2の空調手段の空調手段消費電力量以上であるかを比較する(S706)。第1の空調手段の空調時間が、第2の空調手段の空調時間以上である場合は、第2の空調手段を動作させ、第1の空調手段が動作していれば、第1の空調手段を停止させる(S707)。第1の空調手段の空調手段消費電力量が、第2の空調手段の空調手段消費電力量以上でない場合は、第1の空調手段を動作させ、第2の空調手段が動作していれば、第2の空調手段を停止させる(S708)。
【0064】
以上のように本実施形態に係る空調手段制御システム1によれば、最も消費電力の少ない空調手段が複数ある場合には、当該複数の空調手段のうち、最も空調手段消費電力量の短い空調手段を選択する。そして、室温が所定温度上昇もしくは下降するまで選択した空調手段を動作させる。このような構成を採用することにより、第1の実施形態に係る空調手段制御システム1と比べ、空調時間消費電力量を少なくすることができる場合がある。
【0065】
[第5の実施形態]
図16を参照し、本発明の第5の実施形態に係る空調手段制御システム1について説明する。第4の実施形態に係る空調手段制御システムの空調手段制御手段10は、室温を、順次基準室温になるように空調手段を動作させ、室温が基準室温に達するタイミングで、空調手段消費電力を算出し、記憶手段20に記憶することを特徴とする。すなわち、本発明の第5の実施形態に係る空調手段制御システム1の空調手段制御手段10は、空調手段の基準室温及び空調手段消費電力テーブルを、空調手段の動作を制御することによって作成し、記憶手段20に記憶させる。
【0066】
図16は、第5の実施形態に係る空調手段制御システム1の動作の一例を示すフローチャートである。
図16を参照し、第5の実施形態に係る空調手段制御システム1の動作を説明する。
【0067】
まず、空調手段制御手段10は、目標温度を空調手段が設定しうる最低の温度に設定して、室温が目標温度になるように空調手段を動作させる(S801)。S801の動作は、複数の空調手段に同時に行わせても良いし、一つの空調手段を動作させても良い。空調手段制御手段10は、室温を取得し(S802)、室温が目標温度に達したかを判断する(S803)。達していない場合には(NO)、S802、S803の処理を繰り返す。
【0068】
室温が目標温度に達した場合には(YES)、空調手段制御手段10は、目標温度を最高にして、複数の空調手段のうちいずれか1つを選択し、室温が目標温度になるように空調手段を動作させる(S804)。その後、空調手段制御手段10は室温を取得し(S805)、S805で取得した室温がS802で取得した室温から1℃上昇したか判断する(S806)。S806の判断は、
図16では1℃の変化で判断をしているが、基準室温の間隔で任意に設定することができる。基準室温を2℃間隔で設定したい場合は、S806の処理は、S805で取得した室温がS802で取得した室温から2℃上昇したか判断するようにすることができる。
【0069】
S806において、S805で取得した室温がS802で取得した室温から1℃上昇していると判断されれば(YES)、選択した空調手段がS802で取得した室温を1℃上昇するのに必要な消費電力として取得し、S802で取得した室温に対応する基準室温と対応させて、記憶手段20に記憶する。1℃上昇していると判断されなければ(NO)、S805、S806の処理を繰り返す。
【0070】
次に、S805で取得した室温が目標温度に達しているか、判断する(S808)。S805で取得した室温が目標温度に達していない場合は(NO)、再びS805〜S808の処理を繰り返す。このような動作をすることにより、基準室温毎に、選択した空調手段が室温を1℃上昇させるのに必要な空調手段消費電力を取得することができる。なお、2回目以降のS806、S807の処理は、S802で取得した室温に代えて、前回のS805で取得した室温を用いる。
【0071】
S805で取得した室温が目標温度に達した場合には(YES)、空調手段制御手段10は、目標温度を最低にして、室温が目標温度になるように選択した空調手段を動作をさせる(S809)。その後、空調手段制御手段10は室温を取得し(S810)、S810で取得した室温が最後にS805で取得した室温から1℃下降したか判断する(S811)。
【0072】
S811において、S810で取得した室温が最後にS805で取得した室温から1℃下降していると判断されれば(YES)、選択した空調手段が室温を1℃下降させるのに必要な消費電力を取得し、最後にS805で取得した室温に対応する基準室温と対応させて、記憶手段20に記憶する。1℃下降していると判断されなければ(NO)、S810、S811の処理を繰り返す。
【0073】
次に、S810で取得した室温が目標温度に達しているか、判断する(S813)。目標温度に達していない場合は(NO)、再びS810〜S813の処理を繰り返す。このような動作をすることにより、基準室温毎に、選択した空調手段が室温を1℃下降させるのに必要な空調手段消費電力を取得することができる。なお、2回目以降のS811、S812の処理は、最後にS805で取得した室温に代えて、前回のS810で取得した室温を用いる。S810で取得した室温が、目標温度に達した場合は(YES)、空調手段の動作を終了させる。
【0074】
以上のように本発明の第4の実施形態に係る空調手段制御システム1によれば、空調手段の基準室温及び空調手段消費電力テーブルを、空調手段の動作を制御することによって作成することができる。
【0075】
[第6の実施形態]
図17を参照し、本発明の第6の実施形態に係る空調システムについて説明する。本発明の第6の実施形態に係る空調システムは、第1〜5の実施形態にかかる空調手段制御システム1と、複数の空調手段(31、32)とを有する。
【0076】
空調手段制御システム1の空調手段制御手段10は、空調手段と直接接続することで、動作を制御することができる。または、空調手段制御手段10および空調手段のそれぞれに通信部を設け、有線もしくは無線で接続することで、空調手段を制御することができる。
【0077】
このような構成を有することにより、よりきめ細かく空調手段を選択しうる、空調システムを提供することができる。
【0078】
本発明の空調手段制御システム及び空調手段制御方法は、上記実施形態に基づいて説明されているが、上記実施形態に限定されることなく、本発明の範囲内において、かつ本発明の基本的技術思想に基づいて、上記実施形態に対し種々の変形、変更及び改良を含むことができることはいうまでもない。また、本発明の請求の範囲の枠内において、種々の開示要素の多様な組み合わせ・置換ないし選択が可能である。本発明のさらなる課題、目的及び展開形態は、請求の範囲を含む本発明の全開示事項からも明らかにされる。