(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記システム負荷は、携帯電話、スマートフォン、PDA、光ディスク装置、デジタルカメラ、無線通信装置のうちいずれかであるモバイル機器、自動車、産業機器、医療機器、それらの機器の構成部品であることを特徴とする請求項4または5に記載のエネルギーハーベスタシステム。
【発明を実施するための形態】
【0011】
次に、図面を参照して、本発明の実施の形態を説明する。以下の図面の記載において、同一又は類似の部分には同一又は類似の符号を付している。
【0012】
以下に示す実施の形態は、この発明の技術的思想を具体化するための装置や方法を例示するものであって、この発明の実施の形態は、構成部品の材質、形状、構造、配置等を下記のものに特定するものでない。この発明の実施の形態は、特許請求の範囲において、種々の変更を加えることができる。
【0013】
本実施の形態において、「エネルギーハーベスタ素子」とは、振動エネルギー発電、電波エネルギー発電、熱エネルギー発電、光エネルギー発電などの環境エネルギー発電可能な素子をいう。時間的な変動幅は、エネルギーハーベスタ素子に応じて、例えば、数ナノ秒から数秒、あるいは数日などに及ぶ。また、電圧変動範囲は、エネルギーハーベスタ素子に応じて、例えば、数μVから数10Vなどの範囲におよび、取り扱うパワーレベルも、例えば、数μWから数10Wなどの範囲に及ぶ。
【0014】
[第1の実施の形態]
(基本技術)
基本技術に係るエネルギーハーベスタシステム10aは、
図1に示すように、エネルギーハーベスタ素子4と、エネルギーハーベスタ素子4に並列接続されたエネルギーハーベスタ素子4によって発電されたエネルギーを充電するためのキャパシタ3と、キャパシタ3に並列接続された負荷R
Lとを備える。ここで、キャパシタ3の値をC
1、充電電圧をV
1とすると、キャパシタC
1に充電されるエネルギーは、CV
12/2で表される。
【0015】
基本技術に係るエネルギーハーベスタシステム10aにおいて、負荷R
Lの値R
1、R
2、R
3(R
1<R
2<R
3)をパラメータとする発電に伴うキャパシタ電圧V
1の時間変化の波形例は、
図2に示すように表される。
【0016】
図2において、キャパシタ電圧V
1は、時刻tpにおいて、負荷R
Lの値R
1、R
2、R
3(R
1<R
2<R
3)に対して、それぞれピーク値V
p1、V
p2、V
p3を示す。ここで、
図2に示す例では、キャパシタ電圧V
1のピーク値が得られる時刻は、同じ時刻tpに設定されているが、ピーク値が得られる時刻は、必ずしも一致していない場合もあり得る。
【0017】
基本技術に係るエネルギーハーベスタシステム10aにおいては、
図2に示すように、負荷R
Lのインピーダンスが小さい程、キャパシタ電圧V
1のピーク値が、V
p1<V
p2<V
p3のように変化しており、キャパシタC
1に蓄電されるエネルギーが小さくなる。結果として、エネルギーハーベスタ素子4から、負荷R
L1へ供給されるエネルギー量も小さくなる。すなわち、エネルギーハーベスタ素子4においては、発電したエネルギーを供給する対象のインピーダンスによって、発電効率が変動する。
【0018】
また、基本技術に係るエネルギーハーベスタシステム10aにおいて、発電エネルギーEの時間変化の波形例は、
図3(a)に示すように、例えば、時刻tpにおいてピーク値E
pを有する振動波形のように表される。
【0019】
また、負荷抵抗R
Lをパラメータとするキャパシタ電圧V
1の時間変化の波形例は、
図3(b)に示すように表される。基本技術に係るエネルギーハーベスタシステム10aにおいては、負荷抵抗R
Lの値に応じて、RC時定数が変化し、R
1C
1<R
2C
1<R
3C
1の関係が成立する。このため、負荷抵抗R
Lの値が大きいと、キャパシタC
1を充電するのに時間を要する。
【0020】
基本技術に係るエネルギーハーベスタシステム10aの具体的な回路構成例は、
図4に示すように、エネルギーハーベスタ素子4と、エネルギーハーベスタ素子4に並列接続され、エネルギーハーベスタ素子4によって発電されたエネルギーを充電するためのキャパシタ3と、キャパシタ3に並列接続された電源5と、電源5に接続されたシステム負荷6とを備える。ここで、キャパシタ3から見たシステム負荷6を含む電源5側のインピーダンスをR
L1、システム負荷6のインピーダンスをR
L2で表している。
【0021】
このような負荷R
L(電源5側のインピーダンスをR
L1、システム負荷6のインピーダンスをR
L2)を、適切に駆動させるためには、負荷R
Lに対して必要なエネルギーを供給する必要があるが、負荷R
Lのインピーダンスが高いと
図3(b)に示すように、キャパシタC
1を充電するのに時間を要する。このため、負荷R
Lのインピーダンスを適宜切り替えて、時定数を短くする必要がある。すなわち、十分なエネルギーを電子機器に供給するために、キャパシタC
1の充電時間を短く確保すると共に、キャパシタC
1に充電されたエネルギーハーベスタ素子4の発電エネルギーを負荷R
Lへ効率よく供給する必要がある。
【0022】
(エネルギーハーベスタシステム)
第1の実施の形態に係るエネルギーハーベスタシステム10は、
図5に示すように、エネルギーハーベスタ素子4と、エネルギーハーベスタ素子4に接続されたエネルギーハーベスタ装置1と、エネルギーハーベスタ装置1に接続されたエネルギー供給先である負荷7とを備える。
【0023】
ここで、負荷7は、電源5と、電源5に接続され、電力を消費するシステム負荷6とを備える。電源5は、システム負荷への供給電圧を安定化させる機能を備える。電源5は、例えば、DC−DCコンバータ、LDO(Low Drop Out)等のような供給電圧安定化電源である。システム負荷6は、携帯電話、スマートフォン、PDA、光ディスク装置、デジタルカメラ、無線通信装置などモバイル機器や、自動車や、産業機器や、医療機器や、それらの機器の構成部品であり、エネルギーを消費する機器である。
【0024】
(エネルギーハーベスタ装置)
第1の実施の形態に係るエネルギーハーベスタシステム10に適用可能なエネルギーハーベスタ装置1の模式的回路構成は、
図6に示すように表される。
【0025】
第1の実施の形態に係るエネルギーハーベスタシステム10に適用可能なエネルギーハーベスタ装置1は、
図5および
図6に示すように、エネルギーハーベスタ素子4により発電されたエネルギーを蓄電するキャパシタ3と、キャパシタ3に接続され、キャパシタ3に充電されたキャパシタ電圧V
1に基づいて、キャパシタ3から7負荷へのエネルギー供給を切り替えるスイッチ2とを備える。
【0026】
スイッチ2は、キャパシタ3と負荷7との間に接続され、キャパシタ電圧V
1に基づいて、キャパシタ3から負荷7への電力供給を切り替える。
【0027】
ここで、スイッチ2は、
図6に示すように、キャパシタ3に並列接続される抵抗R1・R2を備える。
【0028】
スイッチは、
図6に示すように、第1ソースがキャパシタ3に接続され、第1ドレインが負荷7に接続されるpチャネルの第1絶縁ゲート電界効果トランジスタ(MOSFET:Metal-Oxide Semiconductor Field Effect Transistor)Q
1と、キャパシタ3に並列接続され、キャパシタ電圧V
1を分圧する第1抵抗R
1および第2抵抗R
2と、第1MOSFETQ
1の第1ゲートに、第2ドレインが接続され、第2ゲートがキャパシタ電圧V
1の分圧に接続され、第2ソースが接地電位になされたnチャネルの第2MOSFETQ
2と、第1MOSFETQ
1の第1ゲートと第1ソース間に接続された第3抵抗R
3とを備えていても良い。ここで、第1抵抗R
1および第2抵抗R
2によって分圧されたゲート電圧V
2は、R
2・V
1/(R
1+R
2)で表される。また、第1MOSFETQ
1の第1ゲートおよび第2MOSFETQ
2の第2ドレインの電圧は、ドレイン電圧V
3で表される。尚、
図6において、BD
1は、pチャネルの第1MOSFETQ
1のバックゲートボディーダイオードを表す。キャパシタ3に所定のキャパシタ電圧V
1が充電された状態で、第1MOSFETQ
1がオフ状態では、第1MOSFETQ
1のゲート・ソース間には逆バイアスが印加され、第1MOSFETQ
1のドレイン・ソース間およびバックゲートボディーダイオードBD
1にも逆バイアスが印加される。
【0029】
また、抵抗R
1・R
2は、所定のインピーダンス以上の抵抗値を有する。すなわち、抵抗R
1および抵抗R
2の値によって、所定のインピーダンス以上の抵抗値を有する。
【0030】
スイッチ2においては、分圧されたゲート電圧V
2=R
2・V
1/(R
1+R
2)とnチャネルの第2MOSFETQ
2の閾値電圧V
th2との大小関係によって、第2MOSFETQ
2のオンオフ状態を調整することができる。
【0031】
第1の実施の形態に係るエネルギーハーベスタシステム10に適用可能なエネルギーハーベスタ装置1において、キャパシタ電圧V
1、ゲート電圧V
2の動作波形例は、
図7(a)に示すように表され、ドレイン電圧V
3の動作波形例は、
図7(b)に示すように表され、負荷7への供給電流I
1の動作波形例は、
図7(c)に示すように表される。
【0032】
また、
図7のスイッチSW部分の模式的回路構成は、
図8に示すように表される。
【0033】
第1の実施の形態に係るエネルギーハーベスタシステム10においては、ハイインピーダンス状態で、キャパシタ電圧V
1が起動できるので、効率よく後段を起動できる。
【0034】
まず、時刻t1までは、
図7(a)および
図7(b)に示すように、第2MOSFETQ
2の閾値電圧V
th2以上の電圧をゲート電圧V
2は発生していない。このため、第2MOSFETQ
2はオフしている。
【0035】
次に、
図7(a)および
図7(b)に示すように、時間tの経過と共にキャパシタ電圧V
1が上昇し、ゲート電圧V
2=R
2・V
1/(R
1+R
2)が、時刻t1において、第2MOSFETQ
2の閾値電圧V
th2よりも高くなると、第2MOSFETQ
2がオン状態になる。この結果、ドレイン電圧V
3が接地電位になり、
図8に示す回路上、第1MOSFETQ
1の第1ゲートのゲート電位は第2MOSFETQ
2のドレイン電圧V
3に等しくなるため、pチャネルの第1MOSFETQ
1はオン状態になる。この結果、キャパシタ3に充電されたエネルギーは、第1MOSFETQ
1を介して負荷7に供給される。ここで、
図7(c)に示すように、第1MOSFETQ
1を導通する負荷7への供給電流I
1は、オン状態においてオン電流I
ONで表される。
【0036】
第1の実施の形態に係るエネルギーハーベスタシステム10に適用可能なエネルギーハーベスタ装置1において、キャパシタ電圧V
1、ゲート電圧V
2のオンオフ動作波形例は、
図9(a)に示すように表され、ドレイン電圧V
3のオンオフ動作波形例は、
図9(b)に示すように表され、負荷7への供給電流I
1のオンオフ動作波形例は、
図9(c)に示すように表される。オン動作は、
図7と同様であるため、説明を省略し、オフ動作について説明する。
【0037】
図9(a)および
図9(b)に示すように、時間tの経過と共にキャパシタ3に充電されるキャパシタ電圧V
1の値が低下し、ゲート電圧V
2が第2MOSFETQ
2の閾値電圧V
th2よりも低くなると、第2MOSFETQ
2がオフ状態になり、ドレイン電圧V
3が閾値電圧V
th2よりも高いハイレベルの電位になり、pチャネルの第1MOSFETQ
1は、オフ状態になる。この結果、
図9(c)に示すように、第1MOSFETQ
1を導通する負荷7への供給電流I
1は遮断され、負荷7への電流供給は停止される。尚、時刻t2以降のドレイン電圧V
3の波形は、キャパシタ電圧V
1の波形と等しくなるため、
図9(b)に示すように、0Vに収束する。時刻t2において、第1MOSFETQ
1のゲート・ソース間電圧V
GSが0Vとなり、第1MOSFETQ
1がオフするからである。
【0038】
第1の実施の形態に係るエネルギーハーベスタシステム10において、ゲート電圧V
2の連続波形例は
図10(a)に示すように表され、キャパシタ3に蓄積されるエネルギーE
1の連続動作波形例は、
図10(b)に示すように表され、負荷7への供給電流I
1の連続動作波形例は、
図10(c)に示すように表され、負荷7への供給エネルギーE
Lの連続動作波形例は、
図10(d)に示すように表される。
【0039】
キャパシタ電圧V
1の連続動作に伴い、ゲート電圧V
2の連続波形が
図10(a)に示すように変化し、ゲート電圧V
2の値が第2MOSFETQ
2の閾値電圧V
th2よりも高くなると、第2MOSFETQ
2がオン状態になり、第1MOSFETQ
1もオン状態になり、負荷7への供給電流I
1は、オン電流I
ON若しくはオン電流I
ON以上の電流が導通する。この結果、負荷7への供給エネルギーE
Lは、
図10(d)に示すような連続波形例で表される。
【0040】
第1の実施の形態に係るエネルギーハーベスタシステム10によれば、キャパシタ3に十分に蓄電された後に、ハイインピーダンス状態で、負荷7にエネルギーを供給することができるので、エネルギーハーベスタ素子4により発電したエネルギーを効率よく負荷7に供給することができる。
【0041】
第1の実施の形態によれば、エネルギーハーベスタ素子により発電したエネルギーを効率よく供給可能なエネルギーハーベスタ装置およびエネルギーハーベスタシステムを提供することができる。
【0042】
[第2の実施の形態]
(エネルギーハーベスタシステム)
第2の実施の形態に係るエネルギーハーベスタシステムの模式的回路構成は、
図11に示すように、複数のエネルギーハーベスタ素子4
1、4
2、…、4
nと、複数のエネルギーハーベスタ素子4
1、4
2、…、4
nに接続され、複数のエネルギーハーベスタ素子4
1、4
2、…、4
nにそれぞれ対応して設けられたエネルギーハーベスタ装置1
11、1
12、…、1
1nと、エネルギーハーベスタ装置1
11、1
12、…、1
1nに接続されたエネルギー供給先である負荷7(5
1、5
2、…、5
n、6)とを備える。
【0043】
ここで、負荷7は、
図11に示すように、複数のエネルギーハーベスタ装置1
11、1
12、…、1
1nにそれぞれ接続された複数の電源5
1、5
2、…5
nと、複数の電源5
1、5
2、…、5
nに共通に接続され、電力を消費するシステム負荷6とを備える。
【0044】
電源5は、システム負荷6への供給電圧を安定化させる機能を備える。電源5は、例えば、DC−DCコンバータ、LDO(Low Drop Out)等のような供給電圧安定化電源である。
【0045】
システム負荷6は、携帯電話、スマートフォン、PDA、光ディスク装置、デジタルカメラ、無線通信装置などモバイル機器や、自動車や、産業機器や、医療機器や、それらの機器の構成部品であり、エネルギーを消費する機器である。
【0046】
また、複数のエネルギーハーベスタ装置1
11、1
12、…、1
1nは、それぞれキャパシタC
1と、キャパシタC
1に接続されたスイッチSW1、SW2、…、SWnとを備える。複数のエネルギーハーベスタ素子4
1、4
2、…、4
nの発電状態によって、各キャパシタC
1には、キャパシタ電圧V
11、V
12、…、V
1nが発生しており、スイッチSW1、SW2、…、SWnの切替動作によって、エネルギー供給先である負荷7(5,6)に対して、複数のエネルギーハーベスタ素子4
1、4
2、…、4
nのいずれか1つ若しくは複数からエネルギー供給が行われる。
【0047】
第2の実施の形態に係るエネルギーハーベスタシステム10によれば、複数のエネルギーハーベスタ素子4
1、…、4
i、…、4
nにそれぞれ対応して設けられた複数のエネルギーハーベスタ装置1
11、…、1
1i、…、1
1nの各キャパシタ3に十分に蓄電された後に、ハイインピーダンス状態で負荷7(5
1、5
2、…、5
n、6)にエネルギーを供給することができるので、複数のエネルギーハーベスタ素子4
1、…、4
i、…、4
nにより発電したエネルギーを効率よく負荷7に供給することができる。
【0048】
第2の実施の形態によれば、複数のエネルギーハーベスタ素子により発電したエネルギーを効率よく供給可能なエネルギーハーベスタ装置およびエネルギーハーベスタシステムを提供することができる。
【0049】
[第3の実施の形態]
第3の実施の形態に係るエネルギーハーベスタシステム10の模式的回路構成は、
図12に示すように、複数のエネルギーハーベスタ素子4
1、…、4
i、…、4
nと、複数のエネルギーハーベスタ素子4
1、…、4
i、…、4
nにそれぞれ対応して設けられたエネルギーハーベスタ装置1
11、…、1
1i、…、1
1nと、エネルギーハーベスタ装置1
11、…、1
1i、…、1
1nに共通に接続されたエネルギー供給先である負荷7(5,6)とを備える。
【0050】
ここで、負荷7は、
図12に示すように、複数のエネルギーハーベスタ装置1
11、…、1
1i、…、1
1nに共通に接続された電源5と、電源5に接続され、電力を消費するシステム負荷6とを備える。
【0051】
第3の実施の形態においては、複数のエネルギーハーベスタ装置1
11、…、1
1i、…、1
1nに共通に接続された電源5を備えるため、複数の電源5
1、5
2、…5
n間に互いに干渉が生じる動作モードの発生を防止することができる。
【0052】
電源5は、システム負荷への供給電圧を安定化させる機能を備える。電源5は、例えば、DC−DCコンバータ、LDO(Low Drop Out)等のような供給電圧安定化電源である。
【0053】
システム負荷6は、携帯電話、スマートフォン、PDA、光ディスク装置、デジタルカメラ、無線通信装置などモバイル機器や、自動車や、産業機器や、医療機器や、それらの機器の構成部品であり、エネルギーを消費する機器である。
【0054】
第3の実施の形態に係るエネルギーハーベスタシステム10に適用可能なエネルギーハーベスタ装置1
iの模式的回路構成は、
図13に示すように表される。
【0055】
第3の実施の形態に係るエネルギーハーベスタシステム10に適用可能なエネルギーハーベスタ装置1
iにおいて、スイッチSWiは、
図13に示すように、
図6に示されたスイッチ2の構成に加えて、第1ソースとキャパシタC
1間に配置され、第3ドレインがキャパシタC
1に接続され、第3ソースが第1ソースに接続され、第3ゲートが第1ゲートに接続されるpチャネルの第3MOSFETQ
3をさらに備える。
【0056】
図6に示されたスイッチ2の構成では、pチャネルの第1MOSFETQ
1の第1ゲート・第1ソース間の電圧がショートされた状態となると、pチャネルの第1MOSFETQ
1が、オン状態となるので、電流が逆流する可能性があるが、
図13に示されたスイッチSWiの構成では、pチャネルの第3MOSFETQ
3をさらに備えるため、電流の逆流を防止することができる。
【0057】
図13に示されたスイッチSWiの構成では、スイッチSWiがオンしている場合、ドレイン電圧V
3はゼロ電位にあるが、pチャネルの第3MOSFETQ
3のバックゲートボディーダイオードBD
3の効果によって、電流の逆流を防止することができる。
【0058】
尚、
図13に示されたスイッチSWiの構成では、スイッチSWiがオフしている場合、ドレイン電圧V
3は、ゲート電圧V
1iと同電位となる。
【0059】
第3の実施の形態に係るエネルギーハーベスタシステム10の詳細回路構成は、
図14に示すように表される。
【0060】
また、第3の実施の形態に係るエネルギーハーベスタシステム10において、複数のエネルギーハーベスタ素子4
1、…、4
i、…、4
nのうち、いずれのエネルギーハーベスタ素子からエネルギーが供給されたかを判定する機能を説明するための模式的回路ブロック構成は、
図15に示すように表される。また、第3の実施の形態に係るエネルギーハーベスタシステム10において、複数のエネルギーハーベスタ素子4
1、…、4
i、…、4
nのうち、いずれのエネルギーハーベスタ素子からエネルギーが供給されたかを判定する動作を説明するための模式的ブロック構成は、
図16に示すように表される。
【0061】
検出器41において、ドレイン電圧V
31、…、V
3i、…、V
3nを検出し、特定のドレイン電圧V
3kを選択して、判定部42において特定のドレイン電圧V
3kの値が、第2MOSFETQ
2の閾値電圧V
th2に到達しているか否かを判定する。ドレイン電圧V
3kの値が、第2MOSFETQ
2の閾値電圧V
th2に到達している場合には、例えば、ドレイン電圧V
3kに対応する識別情報データID
k=1、ドレイン電圧V
3kの値が、閾値電圧V
th2に到達していない場合には、ドレイン電圧V
3kに対応する識別情報データID
k=0と判定することができる。
【0062】
第3の実施の形態に係るエネルギーハーベスタシステム10は、
図15および
図16に示すように、複数のエネルギーハーベスタ装置1
11、…、1
1i、…、1
1nの第2MOSFETQ
2の第2ドレインに接続され、ドレイン電圧V
31、…、V
3i、…、V
3nを検出する検出器41と、検出器41により検出されたドレイン電圧V
31、…、V
3i、…、V
3nに基づいて、複数のエネルギーハーベスタ素子4
1、…、4
i、…、4
nのうち、いずれのエネルギーハーベスタ素子からエネルギーが供給されたかを判定する判定部42とを備えていても良い。
【0063】
第3の実施の形態に係るエネルギーハーベスタシステム10に適用可能なエネルギーハーベスタ装置1
iにおいて、オフ状態からオン状態に移行する動作時におけるキャパシタ電圧V
1i、ゲート電圧V
2iの動作波形例は、
図17(a)に示すように表され、ドレイン電圧V
3iの動作波形例は、
図17(b)に示すように表され、負荷7への供給電流I
1iの動作波形例は、
図17(c)に示すように表される。
図17(a)、
図17(b)および
図17(c)は、複数のエネルギーハーベスタ装置1
11、…、1
1i、…、1
1nの中の特定のエネルギーハーベスタ装置1
iにおける動作を説明する図であり、
図7(a)、
図7(b)および
図7(c)と実質的に同様の動作をするため、重複説明は省略する。
【0064】
第3の実施の形態に係るエネルギーハーベスタシステム10に適用可能なエネルギーハーベスタ装置1
iにおいて、オン状態からオフ状態に移行する動作時におけるドレイン電圧V
3iの動作波形例は、
図18(a)に示すように表され、負荷7への供給電流I
1iの動作波形例は、
図18(b)に示すように表される。
図18(a)および
図18(b)は、複数のエネルギーハーベスタ装置1
11、…、1
1i、…、1
1nの中の特定のエネルギーハーベスタ装置1
iにおける動作を説明する図である。
【0065】
図18(a)および
図18(b)に示すように、時間tの経過と共にキャパシタ3に充電されるキャパシタ電圧V
1iの値が低下し、電圧V
2が第2MOSFETQ
2の閾値電圧V
th2よりも低くなると、第2MOSFETQ
2がオフ状態になり、ドレイン電圧V
3iが閾値電圧V
th2よりも高いハイレベルの電位V
3ipになり、pチャネルの第1MOSFETQ
1は、オフ状態になる。この結果、
図18(b)に示すように、第1MOSFETQ
1を導通する負荷7への供給電流I
1は遮断され、負荷7への電流供給は停止される。
【0066】
並列にエネルギーハーベスタ素子4
1、…、4
i、…、4
nが設けられ、これらのエネルギーハーベスタ素子4
1、…、4
i、…、4
nのうち、いずれか1つが発電する場合、どのエネルギーハーベスタ素子4
1、…、4
i、…、4
nからシステム負荷6にエネルギーが供給されたかを識別する必要がある。
【0067】
そこで、第3の実施の形態では、どのエネルギーハーベスタ素子4
1、…、4
i、…、4
nからシステム負荷6にエネルギーが供給されたかを識別する識別データID
1、…、ID
i、…、ID
nを、検出器41により検出されたドレイン電圧V
31、…、V
3i、…、V
3nに基づいて取得することができる。
【0068】
すなわち、例えば、検出器41により検出されたドレイン電圧V
3iが、
図17(b)に示すように、第2MOSFETQ
2の閾値電圧V
th2に到達している場合には、ID
i=1、閾値電圧V
th2に到達していない場合には、ID
i=0と判定することができる。このようにして、どのエネルギーハーベスタ素子4
1、…、4
i、…、4
nにおいて発電したかを識別することができる。
【0069】
第3の実施の形態に係るエネルギーハーベスタシステム10において、キャパシタ電圧V
1iの連続動作波形例は、
図19(a)に示すように表され、キャパシタC
1に蓄積されるエネルギーE
1iの連続動作波形例は、
図19(b)に示すように表され、負荷7への供給電流I
1iの連続動作波形例は、
図19(c)に示すように表され、ドレイン電圧V
3iの連続動作波形例は、
図19(d)に示すように表される。尚、図示は省略されているが、負荷7への供給エネルギーE
Lの連続動作波形例も、
図10(c)に対応する
図10(d)と同様に、
図19(c)に対応して表すことができる。
【0070】
キャパシタ電圧V
1iの連続波形が
図19(a)に示すように変化し、キャパシタC
1に蓄積されるエネルギーE
1iの連続動作波形も
図19(b)に示すように変化する。ゲート電圧V
2の値が第2MOSFETQ
2の閾値電圧V
th2よりも高くなると、第2MOSFETQ
2がオン状態になり、第1MOSFETQ
1もオン状態になり、負荷7への供給電流I
1iは、
図19(c)に示すように、オン電流I
ON若しくはI
ON以上の電流が導通する。この結果、負荷7への供給エネルギーE
Lは、図示を省略するが、
図19(c)に対応して、
図10(d)と同様な連続波形例で表すことができる。更に、ドレイン電圧V
3iの連続動作波形例は、
図19(d)に示すように、オフ状態からオン状態への移行では、第1MOSFETQ
1の閾値電圧V
th2をピーク値とする過渡応答波形で表され、オン状態からオフ状態への移行では、
図13に示されたスイッチSWiの回路系で決まるドレイン電圧V
3ipをピーク値とする過渡応答波形で表される。
【0071】
第3の実施の形態に係るエネルギーハーベスタシステム10によれば、複数のエネルギーハーベスタ素子4
1、…、4
i、…、4
nにそれぞれ対応して設けられた複数のエネルギーハーベスタ装置1
11、…、1
1i、…、1
1nの各キャパシタ3に十分に蓄電された後に、ハイインピーダンス状態で負荷7にエネルギーを供給することができるので、複数のエネルギーハーベスタ素子4
1、…、4
i、…、4
nにより発電したエネルギーを効率よく負荷7に供給することができる。しかも、複数のエネルギーハーベスタ素子4
1、…、4
i、…、4
nの内、特定のエネルギーハーベスタ素子4
iの発電状態を識別データID
1、…、ID
i、…、ID
nの判定結果に基づいて識別可能である。
【0072】
第3の実施の形態によれば、複数のエネルギーハーベスタ素子により発電したエネルギーを効率よく供給可能なエネルギーハーベスタ装置およびエネルギーハーベスタシステムを提供することができる。
【0073】
(その他の実施の形態)
上記のように、実施の形態によって記載したが、この開示の一部をなす論述および図面はこの発明を限定するものであると理解すべきではない。この開示から当業者には様々な代替実施の形態、実施例および運用技術が明らかとなろう。
【0074】
このように、本発明はここでは記載していない様々な実施の形態等を含むことは勿論である。したがって、本発明の技術的範囲は上記の説明から妥当な特許請求の範囲に係る発明特定事項によってのみ定められるものである。