特許第6072503号(P6072503)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6072503
(24)【登録日】2017年1月13日
(45)【発行日】2017年2月1日
(54)【発明の名称】エネルギーハーベスタシステム
(51)【国際特許分類】
   H02J 7/00 20060101AFI20170123BHJP
【FI】
   H02J7/00 303Z
【請求項の数】6
【全頁数】17
(21)【出願番号】特願2012-231464(P2012-231464)
(22)【出願日】2012年10月19日
(65)【公開番号】特開2014-87082(P2014-87082A)
(43)【公開日】2014年5月12日
【審査請求日】2015年10月7日
(73)【特許権者】
【識別番号】000116024
【氏名又は名称】ローム株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100083806
【弁理士】
【氏名又は名称】三好 秀和
(74)【代理人】
【識別番号】100133514
【弁理士】
【氏名又は名称】寺山 啓進
(74)【代理人】
【識別番号】100122910
【弁理士】
【氏名又は名称】三好 広之
(72)【発明者】
【氏名】宮長 晃一
(72)【発明者】
【氏名】前出 淳
【審査官】 杉田 恵一
(56)【参考文献】
【文献】 特開平5−241687(JP,A)
【文献】 特開平8−65919(JP,A)
【文献】 特開平8−251818(JP,A)
【文献】 特開2000−59903(JP,A)
【文献】 特開2002−34174(JP,A)
【文献】 特開2003−199203(JP,A)
【文献】 特開2005−261142(JP,A)
【文献】 特開2006−246685(JP,A)
【文献】 特開2008−148414(JP,A)
【文献】 特開2012−152059(JP,A)
【文献】 特表2002−533052(JP,A)
【文献】 特表2009−528009(JP,A)
【文献】 特表2013−520154(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2007/0182362(US,A1)
【文献】 米国特許出願公開第2011/0101789(US,A1)
【文献】 国際公開第2011/121323(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02J 7/00
H02J 50/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数のエネルギーハーベスタ素子と、
前記複数のエネルギーハーベスタ素子にそれぞれ対応して設けられたエネルギーハーベスタ装置と、
前記エネルギーハーベスタ装置に接続されたエネルギー供給先である負荷と
を備えるエネルギーハーベスタシステムであって、
前記エネルギーハーベスタ装置は、
前記エネルギーハーベスタ素子により発電されたエネルギーを蓄電するキャパシタと、
前記キャパシタに接続され、前記キャパシタに充電されたキャパシタ電圧に基づいて、前記キャパシタから負荷へのエネルギー供給を切り替えるスイッチと
を備え、
前記スイッチは、
第1ソースが前記キャパシタに接続され、第1ドレインが前記負荷に接続されるpチャネルの第1MOSFETと、
前記キャパシタに並列接続され、前記キャパシタ電圧を分圧する第1抵抗および第2抵抗と、
前記第1MOSFETの第1ゲートに、第2ドレインが接続され、第2ゲートが前記キャパシタ電圧の分圧に接続され、第2ソースが接地電位になされたnチャネルの第2MOSFETと、
前記第1MOSFETの第1ゲートと第1ソース間に接続された第3抵抗と、
前記第1ソースと前記キャパシタ間に配置され、第3ドレインが前記キャパシタに接続され、第3ソースが前記第1ソースに接続され、第3ゲートが前記第1ゲートに接続されるpチャネルの第3MOSFETと
を備え、
前記エネルギーハーベスタシステムは、
前記複数のエネルギーハーベスタ装置の前記第2MOSFETの前記第2ドレインに接続され、前記第2ドレインの電圧を検出する検出器と、
前記検出器により検出された前記第2ドレインの電圧に基づいて、前記複数のエネルギーハーベスタ素子のうち、いずれのエネルギーハーベスタ素子からエネルギーが供給されたかを判定する判定部と
をさらに備えることを特徴とするエネルギーハーベスタシステム。
【請求項2】
前記スイッチは、前記キャパシタに並列接続される抵抗を備えることを特徴とする請求項1記載のエネルギーハーベスタシステム。
【請求項3】
前記抵抗は、所定のインピーダンス以上の抵抗値を有することを特徴とする請求項2記載のエネルギーハーベスタシステム。
【請求項4】
前記負荷は、
前記複数のエネルギーハーベスタ装置にそれぞれ接続された複数の電源と、
前記複数の電源に共通に接続され、電力を消費するシステム負荷と
を備えることを特徴とする請求項1に記載のエネルギーハーベスタシステム。
【請求項5】
前記負荷は、
前記複数のエネルギーハーベスタ装置に共通に接続された電源と、
前記電源に接続され、電力を消費するシステム負荷と
を備えることを特徴とする請求項1に記載のエネルギーハーベスタシステム。
【請求項6】
前記システム負荷は、携帯電話、スマートフォン、PDA、光ディスク装置、デジタルカメラ、無線通信装置のうちいずれかであるモバイル機器、自動車、産業機器、医療機器、それらの機器の構成部品であることを特徴とする請求項4または5に記載のエネルギーハーベスタシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、エネルギーハーベスタシステムに関し、特に、エネルギーハーベスタ素子により発電したエネルギーを効率よく供給可能なエネルギーハーベスタシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
一般的に、機械的振動エネルギーを電気エネルギーに変換する電気機械機器に関する技術は開示されている(例えば、特許文献1参照。)。また、回生エネルギーの蓄電方法等に関する技術もよく知られている(例えば、特許文献2および特許文献3参照。)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特表2009−528009号公報
【特許文献2】特開2000−59903号公報
【特許文献3】特表2003−199203号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従来の回生エネルギー充電方法や回生エネルギー蓄電装置保護技術では、エネルギーハーベスタ素子により発電した電力を効率よく供給することが困難であった。
【0005】
本発明の目的は、エネルギーハーベスタ素子により発電したエネルギーを効率よく供給可能なエネルギーハーベスタシステムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一態様によれば、複数のエネルギーハーベスタ素子と、前記複数のエネルギーハーベスタ素子にそれぞれ対応して設けられたエネルギーハーベスタ装置と、前記エネルギーハーベスタ装置に接続されたエネルギー供給先である負荷とを備えるエネルギーハーベスタシステムであって、前記エネルギーハーベスタ装置は、前記エネルギーハーベスタ素子により発電されたエネルギーを蓄電するキャパシタと、前記キャパシタに接続され、前記キャパシタに充電されたキャパシタ電圧に基づいて、前記キャパシタから負荷へのエネルギー供給を切り替えるスイッチとを備え、前記スイッチは、第1ソースが前記キャパシタに接続され、第1ドレインが前記負荷に接続されるpチャネルの第1MOSFETと、前記キャパシタに並列接続され、前記キャパシタ電圧を分圧する第1抵抗および第2抵抗と、前記第1MOSFETの第1ゲートに、第2ドレインが接続され、第2ゲートが前記キャパシタ電圧の分圧に接続され、第2ソースが接地電位になされたnチャネルの第2MOSFETと、前記第1MOSFETの第1ゲートと第1ソース間に接続された第3抵抗と、前記第1ソースと前記キャパシタ間に配置され、第3ドレインが前記キャパシタに接続され、第3ソースが前記第1ソースに接続され、第3ゲートが前記第1ゲートに接続されるpチャネルの第3MOSFETとを備え、前記エネルギーハーベスタシステムは、前記複数のエネルギーハーベスタ装置の前記第2MOSFETの前記第2ドレインに接続され、前記第2ドレインの電圧を検出する検出器と、前記検出器により検出された前記第2ドレインの電圧に基づいて、前記複数のエネルギーハーベスタ素子のうち、いずれのエネルギーハーベスタ素子からエネルギーが供給されたかを判定する判定部とをさらに備えることを特徴とするエネルギーハーベスタシステムが提供される。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、エネルギーハーベスタ素子により発電したエネルギーを効率よく供給可能なエネルギーハーベスタシステムを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】基本技術に係るエネルギーハーベスタシステムの模式的回路構成図。
図2】基本技術に係るエネルギーハーベスタシステムの発電に伴うキャパシタ電圧V1の時間変化の波形例。
図3】基本技術に係るエネルギーハーベスタシステムにおいて、(a)発電エネルギーEの時間変化の波形例、(b)負荷抵抗RLの値R1、R2、R3をパラメータとするキャパシタ電圧V1の時間変化の波形例。
図4】基本技術に係るエネルギーハーベスタシステムの具体的な回路構成図。
図5】第1の実施の形態に係るエネルギーハーベスタシステムの模式的回路構成図。
図6】第1の実施の形態に係るエネルギーハーベスタシステムに適用可能なエネルギーハーベスタ装置の模式的回路構成図。
図7】第1の実施の形態に係るエネルギーハーベスタシステムに適用可能なエネルギーハーベスタ装置において、(a)キャパシタ電圧V1、ゲート電圧V2の動作波形例、(b)ドレイン電圧V3の動作波形例、(c)負荷への供給電流I1の動作波形例。
図8図7のスイッチSW部分の模式的回路構成図。
図9】第1の実施の形態に係るエネルギーハーベスタシステムに適用可能なエネルギーハーベスタ装置において、(a)キャパシタ電圧V1、ゲート電圧V2のオンオフ動作波形例、(b)ドレイン電圧V3のオンオフ動作波形例、(c)負荷への供給電流I1のオンオフ動作波形例。
図10】第1の実施の形態に係るエネルギーハーベスタシステムにおいて、(a)ゲート電圧V2の連続動作波形例、(b)キャパシタに蓄積されるエネルギーE1の連続動作波形例、(c)負荷への供給電流I1の連続動作波形例、(d)負荷への供給エネルギーELの連続動作波形例。
図11】第2の実施の形態に係るエネルギーハーベスタシステムの模式的回路構成図。
図12】第3の実施の形態に係るエネルギーハーベスタシステムの模式的回路構成図。
図13】第3の実施の形態に係るエネルギーハーベスタシステムに適用可能なエネルギーハーベスタ装置の模式的回路構成図。
図14】第3の実施の形態に係るエネルギーハーベスタシステムの詳細回路構成図。
図15】第3の実施の形態に係るエネルギーハーベスタシステムにおいて、複数のエネルギーハーベスタ素子のうち、いずれのエネルギーハーベスタ素子からエネルギーが供給されたかを判定する機能を説明するための模式的回路ブロック構成図。
図16】第3の実施の形態に係るエネルギーハーベスタシステムにおいて、複数のエネルギーハーベスタ素子のうち、いずれのエネルギーハーベスタ素子からエネルギーが供給されたかを判定する動作を説明するための模式的ブロック構成図。
図17】第3の実施の形態に係るエネルギーハーベスタシステムに適用可能なエネルギーハーベスタ装置1iにおいて、オフ状態からオン状態に移行する動作時における(a)キャパシタ電圧V1i、ゲート電圧V2iの動作波形例、(b)ドレイン電圧V3iの動作波形例、(c)負荷への供給電流I1iの動作波形例。
図18】第3の実施の形態に係るエネルギーハーベスタシステムに適用可能なエネルギーハーベスタ装置1iにおいて、オン状態からオフ状態に移行する動作時における(a)ドレイン電圧V3iの動作波形例、(b)負荷への供給電流I1iの動作波形例。
図19】第3の実施の形態に係るエネルギーハーベスタシステムにおいて、(a)キャパシタ電圧V1iの連続動作波形例、(b)キャパシタに蓄積されるエネルギーE1iの連続動作波形例、(c)負荷への供給電流I1iの連続動作波形例、(d)ドレイン電圧V3iの連続動作波形例。
【発明を実施するための形態】
【0011】
次に、図面を参照して、本発明の実施の形態を説明する。以下の図面の記載において、同一又は類似の部分には同一又は類似の符号を付している。
【0012】
以下に示す実施の形態は、この発明の技術的思想を具体化するための装置や方法を例示するものであって、この発明の実施の形態は、構成部品の材質、形状、構造、配置等を下記のものに特定するものでない。この発明の実施の形態は、特許請求の範囲において、種々の変更を加えることができる。
【0013】
本実施の形態において、「エネルギーハーベスタ素子」とは、振動エネルギー発電、電波エネルギー発電、熱エネルギー発電、光エネルギー発電などの環境エネルギー発電可能な素子をいう。時間的な変動幅は、エネルギーハーベスタ素子に応じて、例えば、数ナノ秒から数秒、あるいは数日などに及ぶ。また、電圧変動範囲は、エネルギーハーベスタ素子に応じて、例えば、数μVから数10Vなどの範囲におよび、取り扱うパワーレベルも、例えば、数μWから数10Wなどの範囲に及ぶ。
【0014】
[第1の実施の形態]
(基本技術)
基本技術に係るエネルギーハーベスタシステム10aは、図1に示すように、エネルギーハーベスタ素子4と、エネルギーハーベスタ素子4に並列接続されたエネルギーハーベスタ素子4によって発電されたエネルギーを充電するためのキャパシタ3と、キャパシタ3に並列接続された負荷RLとを備える。ここで、キャパシタ3の値をC1、充電電圧をV1とすると、キャパシタC1に充電されるエネルギーは、CV12/2で表される。
【0015】
基本技術に係るエネルギーハーベスタシステム10aにおいて、負荷RLの値R1、R2、R3(R1<R2<R3)をパラメータとする発電に伴うキャパシタ電圧V1の時間変化の波形例は、図2に示すように表される。
【0016】
図2において、キャパシタ電圧V1は、時刻tpにおいて、負荷RLの値R1、R2、R3(R1<R2<R3)に対して、それぞれピーク値Vp1、Vp2、Vp3を示す。ここで、図2に示す例では、キャパシタ電圧V1のピーク値が得られる時刻は、同じ時刻tpに設定されているが、ピーク値が得られる時刻は、必ずしも一致していない場合もあり得る。
【0017】
基本技術に係るエネルギーハーベスタシステム10aにおいては、図2に示すように、負荷RLのインピーダンスが小さい程、キャパシタ電圧V1のピーク値が、Vp1<Vp2<Vp3のように変化しており、キャパシタC1に蓄電されるエネルギーが小さくなる。結果として、エネルギーハーベスタ素子4から、負荷RL1へ供給されるエネルギー量も小さくなる。すなわち、エネルギーハーベスタ素子4においては、発電したエネルギーを供給する対象のインピーダンスによって、発電効率が変動する。
【0018】
また、基本技術に係るエネルギーハーベスタシステム10aにおいて、発電エネルギーEの時間変化の波形例は、図3(a)に示すように、例えば、時刻tpにおいてピーク値Epを有する振動波形のように表される。
【0019】
また、負荷抵抗RLをパラメータとするキャパシタ電圧V1の時間変化の波形例は、図3(b)に示すように表される。基本技術に係るエネルギーハーベスタシステム10aにおいては、負荷抵抗RLの値に応じて、RC時定数が変化し、R11<R21<R31の関係が成立する。このため、負荷抵抗RLの値が大きいと、キャパシタC1を充電するのに時間を要する。
【0020】
基本技術に係るエネルギーハーベスタシステム10aの具体的な回路構成例は、図4に示すように、エネルギーハーベスタ素子4と、エネルギーハーベスタ素子4に並列接続され、エネルギーハーベスタ素子4によって発電されたエネルギーを充電するためのキャパシタ3と、キャパシタ3に並列接続された電源5と、電源5に接続されたシステム負荷6とを備える。ここで、キャパシタ3から見たシステム負荷6を含む電源5側のインピーダンスをRL1、システム負荷6のインピーダンスをRL2で表している。
【0021】
このような負荷RL(電源5側のインピーダンスをRL1、システム負荷6のインピーダンスをRL2)を、適切に駆動させるためには、負荷RLに対して必要なエネルギーを供給する必要があるが、負荷RLのインピーダンスが高いと図3(b)に示すように、キャパシタC1を充電するのに時間を要する。このため、負荷RLのインピーダンスを適宜切り替えて、時定数を短くする必要がある。すなわち、十分なエネルギーを電子機器に供給するために、キャパシタC1の充電時間を短く確保すると共に、キャパシタC1に充電されたエネルギーハーベスタ素子4の発電エネルギーを負荷RLへ効率よく供給する必要がある。
【0022】
(エネルギーハーベスタシステム)
第1の実施の形態に係るエネルギーハーベスタシステム10は、図5に示すように、エネルギーハーベスタ素子4と、エネルギーハーベスタ素子4に接続されたエネルギーハーベスタ装置1と、エネルギーハーベスタ装置1に接続されたエネルギー供給先である負荷7とを備える。
【0023】
ここで、負荷7は、電源5と、電源5に接続され、電力を消費するシステム負荷6とを備える。電源5は、システム負荷への供給電圧を安定化させる機能を備える。電源5は、例えば、DC−DCコンバータ、LDO(Low Drop Out)等のような供給電圧安定化電源である。システム負荷6は、携帯電話、スマートフォン、PDA、光ディスク装置、デジタルカメラ、無線通信装置などモバイル機器や、自動車や、産業機器や、医療機器や、それらの機器の構成部品であり、エネルギーを消費する機器である。
【0024】
(エネルギーハーベスタ装置)
第1の実施の形態に係るエネルギーハーベスタシステム10に適用可能なエネルギーハーベスタ装置1の模式的回路構成は、図6に示すように表される。
【0025】
第1の実施の形態に係るエネルギーハーベスタシステム10に適用可能なエネルギーハーベスタ装置1は、図5および図6に示すように、エネルギーハーベスタ素子4により発電されたエネルギーを蓄電するキャパシタ3と、キャパシタ3に接続され、キャパシタ3に充電されたキャパシタ電圧V1に基づいて、キャパシタ3から7負荷へのエネルギー供給を切り替えるスイッチ2とを備える。
【0026】
スイッチ2は、キャパシタ3と負荷7との間に接続され、キャパシタ電圧V1に基づいて、キャパシタ3から負荷7への電力供給を切り替える。
【0027】
ここで、スイッチ2は、図6に示すように、キャパシタ3に並列接続される抵抗R1・R2を備える。
【0028】
スイッチは、図6に示すように、第1ソースがキャパシタ3に接続され、第1ドレインが負荷7に接続されるpチャネルの第1絶縁ゲート電界効果トランジスタ(MOSFET:Metal-Oxide Semiconductor Field Effect Transistor)Q1と、キャパシタ3に並列接続され、キャパシタ電圧V1を分圧する第1抵抗R1および第2抵抗R2と、第1MOSFETQ1の第1ゲートに、第2ドレインが接続され、第2ゲートがキャパシタ電圧V1の分圧に接続され、第2ソースが接地電位になされたnチャネルの第2MOSFETQ2と、第1MOSFETQ1の第1ゲートと第1ソース間に接続された第3抵抗R3とを備えていても良い。ここで、第1抵抗R1および第2抵抗R2によって分圧されたゲート電圧V2は、R2・V1/(R1+R2)で表される。また、第1MOSFETQ1の第1ゲートおよび第2MOSFETQ2の第2ドレインの電圧は、ドレイン電圧V3で表される。尚、図6において、BD1は、pチャネルの第1MOSFETQ1のバックゲートボディーダイオードを表す。キャパシタ3に所定のキャパシタ電圧V1が充電された状態で、第1MOSFETQ1がオフ状態では、第1MOSFETQ1のゲート・ソース間には逆バイアスが印加され、第1MOSFETQ1のドレイン・ソース間およびバックゲートボディーダイオードBD1にも逆バイアスが印加される。
【0029】
また、抵抗R1・R2は、所定のインピーダンス以上の抵抗値を有する。すなわち、抵抗R1および抵抗R2の値によって、所定のインピーダンス以上の抵抗値を有する。
【0030】
スイッチ2においては、分圧されたゲート電圧V2=R2・V1/(R1+R2)とnチャネルの第2MOSFETQ2の閾値電圧Vth2との大小関係によって、第2MOSFETQ2のオンオフ状態を調整することができる。
【0031】
第1の実施の形態に係るエネルギーハーベスタシステム10に適用可能なエネルギーハーベスタ装置1において、キャパシタ電圧V1、ゲート電圧V2の動作波形例は、図7(a)に示すように表され、ドレイン電圧V3の動作波形例は、図7(b)に示すように表され、負荷7への供給電流I1の動作波形例は、図7(c)に示すように表される。
【0032】
また、図7のスイッチSW部分の模式的回路構成は、図8に示すように表される。
【0033】
第1の実施の形態に係るエネルギーハーベスタシステム10においては、ハイインピーダンス状態で、キャパシタ電圧V1が起動できるので、効率よく後段を起動できる。
【0034】
まず、時刻t1までは、図7(a)および図7(b)に示すように、第2MOSFETQ2の閾値電圧Vth2以上の電圧をゲート電圧V2は発生していない。このため、第2MOSFETQ2はオフしている。
【0035】
次に、図7(a)および図7(b)に示すように、時間tの経過と共にキャパシタ電圧V1が上昇し、ゲート電圧V2=R2・V1/(R1+R2)が、時刻t1において、第2MOSFETQ2の閾値電圧Vth2よりも高くなると、第2MOSFETQ2がオン状態になる。この結果、ドレイン電圧V3が接地電位になり、図8に示す回路上、第1MOSFETQ1の第1ゲートのゲート電位は第2MOSFETQ2のドレイン電圧V3に等しくなるため、pチャネルの第1MOSFETQ1はオン状態になる。この結果、キャパシタ3に充電されたエネルギーは、第1MOSFETQ1を介して負荷7に供給される。ここで、図7(c)に示すように、第1MOSFETQ1を導通する負荷7への供給電流I1は、オン状態においてオン電流IONで表される。
【0036】
第1の実施の形態に係るエネルギーハーベスタシステム10に適用可能なエネルギーハーベスタ装置1において、キャパシタ電圧V1、ゲート電圧V2のオンオフ動作波形例は、図9(a)に示すように表され、ドレイン電圧V3のオンオフ動作波形例は、図9(b)に示すように表され、負荷7への供給電流I1のオンオフ動作波形例は、図9(c)に示すように表される。オン動作は、図7と同様であるため、説明を省略し、オフ動作について説明する。
【0037】
図9(a)および図9(b)に示すように、時間tの経過と共にキャパシタ3に充電されるキャパシタ電圧V1の値が低下し、ゲート電圧V2が第2MOSFETQ2の閾値電圧Vth2よりも低くなると、第2MOSFETQ2がオフ状態になり、ドレイン電圧V3が閾値電圧Vth2よりも高いハイレベルの電位になり、pチャネルの第1MOSFETQ1は、オフ状態になる。この結果、図9(c)に示すように、第1MOSFETQ1を導通する負荷7への供給電流I1は遮断され、負荷7への電流供給は停止される。尚、時刻t2以降のドレイン電圧V3の波形は、キャパシタ電圧V1の波形と等しくなるため、図9(b)に示すように、0Vに収束する。時刻t2において、第1MOSFETQ1のゲート・ソース間電圧VGSが0Vとなり、第1MOSFETQ1がオフするからである。
【0038】
第1の実施の形態に係るエネルギーハーベスタシステム10において、ゲート電圧V2の連続波形例は図10(a)に示すように表され、キャパシタ3に蓄積されるエネルギーE1の連続動作波形例は、図10(b)に示すように表され、負荷7への供給電流I1の連続動作波形例は、図10(c)に示すように表され、負荷7への供給エネルギーELの連続動作波形例は、図10(d)に示すように表される。
【0039】
キャパシタ電圧V1の連続動作に伴い、ゲート電圧V2の連続波形が図10(a)に示すように変化し、ゲート電圧V2の値が第2MOSFETQ2の閾値電圧Vth2よりも高くなると、第2MOSFETQ2がオン状態になり、第1MOSFETQ1もオン状態になり、負荷7への供給電流I1は、オン電流ION若しくはオン電流ION以上の電流が導通する。この結果、負荷7への供給エネルギーELは、図10(d)に示すような連続波形例で表される。
【0040】
第1の実施の形態に係るエネルギーハーベスタシステム10によれば、キャパシタ3に十分に蓄電された後に、ハイインピーダンス状態で、負荷7にエネルギーを供給することができるので、エネルギーハーベスタ素子4により発電したエネルギーを効率よく負荷7に供給することができる。
【0041】
第1の実施の形態によれば、エネルギーハーベスタ素子により発電したエネルギーを効率よく供給可能なエネルギーハーベスタ装置およびエネルギーハーベスタシステムを提供することができる。
【0042】
[第2の実施の形態]
(エネルギーハーベスタシステム)
第2の実施の形態に係るエネルギーハーベスタシステムの模式的回路構成は、図11に示すように、複数のエネルギーハーベスタ素子41、42、…、4nと、複数のエネルギーハーベスタ素子41、42、…、4nに接続され、複数のエネルギーハーベスタ素子41、42、…、4nにそれぞれ対応して設けられたエネルギーハーベスタ装置111、112、…、11nと、エネルギーハーベスタ装置111、112、…、11nに接続されたエネルギー供給先である負荷7(51、52、…、5n、6)とを備える。
【0043】
ここで、負荷7は、図11に示すように、複数のエネルギーハーベスタ装置111、112、…、11nにそれぞれ接続された複数の電源51、52、…5nと、複数の電源51、52、…、5nに共通に接続され、電力を消費するシステム負荷6とを備える。
【0044】
電源5は、システム負荷6への供給電圧を安定化させる機能を備える。電源5は、例えば、DC−DCコンバータ、LDO(Low Drop Out)等のような供給電圧安定化電源である。
【0045】
システム負荷6は、携帯電話、スマートフォン、PDA、光ディスク装置、デジタルカメラ、無線通信装置などモバイル機器や、自動車や、産業機器や、医療機器や、それらの機器の構成部品であり、エネルギーを消費する機器である。
【0046】
また、複数のエネルギーハーベスタ装置111、112、…、11nは、それぞれキャパシタC1と、キャパシタC1に接続されたスイッチSW1、SW2、…、SWnとを備える。複数のエネルギーハーベスタ素子41、42、…、4nの発電状態によって、各キャパシタC1には、キャパシタ電圧V11、V12、…、V1nが発生しており、スイッチSW1、SW2、…、SWnの切替動作によって、エネルギー供給先である負荷7(5,6)に対して、複数のエネルギーハーベスタ素子41、42、…、4nのいずれか1つ若しくは複数からエネルギー供給が行われる。
【0047】
第2の実施の形態に係るエネルギーハーベスタシステム10によれば、複数のエネルギーハーベスタ素子41、…、4i、…、4nにそれぞれ対応して設けられた複数のエネルギーハーベスタ装置111、…、11i、…、11nの各キャパシタ3に十分に蓄電された後に、ハイインピーダンス状態で負荷7(51、52、…、5n、6)にエネルギーを供給することができるので、複数のエネルギーハーベスタ素子41、…、4i、…、4nにより発電したエネルギーを効率よく負荷7に供給することができる。
【0048】
第2の実施の形態によれば、複数のエネルギーハーベスタ素子により発電したエネルギーを効率よく供給可能なエネルギーハーベスタ装置およびエネルギーハーベスタシステムを提供することができる。
【0049】
[第3の実施の形態]
第3の実施の形態に係るエネルギーハーベスタシステム10の模式的回路構成は、図12に示すように、複数のエネルギーハーベスタ素子41、…、4i、…、4nと、複数のエネルギーハーベスタ素子41、…、4i、…、4nにそれぞれ対応して設けられたエネルギーハーベスタ装置111、…、11i、…、11nと、エネルギーハーベスタ装置111、…、11i、…、11nに共通に接続されたエネルギー供給先である負荷7(5,6)とを備える。
【0050】
ここで、負荷7は、図12に示すように、複数のエネルギーハーベスタ装置111、…、11i、…、11nに共通に接続された電源5と、電源5に接続され、電力を消費するシステム負荷6とを備える。
【0051】
第3の実施の形態においては、複数のエネルギーハーベスタ装置111、…、11i、…、11nに共通に接続された電源5を備えるため、複数の電源51、52、…5n間に互いに干渉が生じる動作モードの発生を防止することができる。
【0052】
電源5は、システム負荷への供給電圧を安定化させる機能を備える。電源5は、例えば、DC−DCコンバータ、LDO(Low Drop Out)等のような供給電圧安定化電源である。
【0053】
システム負荷6は、携帯電話、スマートフォン、PDA、光ディスク装置、デジタルカメラ、無線通信装置などモバイル機器や、自動車や、産業機器や、医療機器や、それらの機器の構成部品であり、エネルギーを消費する機器である。
【0054】
第3の実施の形態に係るエネルギーハーベスタシステム10に適用可能なエネルギーハーベスタ装置1iの模式的回路構成は、図13に示すように表される。
【0055】
第3の実施の形態に係るエネルギーハーベスタシステム10に適用可能なエネルギーハーベスタ装置1iにおいて、スイッチSWiは、図13に示すように、図6に示されたスイッチ2の構成に加えて、第1ソースとキャパシタC1間に配置され、第3ドレインがキャパシタC1に接続され、第3ソースが第1ソースに接続され、第3ゲートが第1ゲートに接続されるpチャネルの第3MOSFETQ3をさらに備える。
【0056】
図6に示されたスイッチ2の構成では、pチャネルの第1MOSFETQ1の第1ゲート・第1ソース間の電圧がショートされた状態となると、pチャネルの第1MOSFETQ1が、オン状態となるので、電流が逆流する可能性があるが、図13に示されたスイッチSWiの構成では、pチャネルの第3MOSFETQ3をさらに備えるため、電流の逆流を防止することができる。
【0057】
図13に示されたスイッチSWiの構成では、スイッチSWiがオンしている場合、ドレイン電圧V3はゼロ電位にあるが、pチャネルの第3MOSFETQ3のバックゲートボディーダイオードBD3の効果によって、電流の逆流を防止することができる。
【0058】
尚、図13に示されたスイッチSWiの構成では、スイッチSWiがオフしている場合、ドレイン電圧V3は、ゲート電圧V1iと同電位となる。
【0059】
第3の実施の形態に係るエネルギーハーベスタシステム10の詳細回路構成は、図14に示すように表される。
【0060】
また、第3の実施の形態に係るエネルギーハーベスタシステム10において、複数のエネルギーハーベスタ素子41、…、4i、…、4nのうち、いずれのエネルギーハーベスタ素子からエネルギーが供給されたかを判定する機能を説明するための模式的回路ブロック構成は、図15に示すように表される。また、第3の実施の形態に係るエネルギーハーベスタシステム10において、複数のエネルギーハーベスタ素子41、…、4i、…、4nのうち、いずれのエネルギーハーベスタ素子からエネルギーが供給されたかを判定する動作を説明するための模式的ブロック構成は、図16に示すように表される。
【0061】
検出器41において、ドレイン電圧V31、…、V3i、…、V3nを検出し、特定のドレイン電圧V3kを選択して、判定部42において特定のドレイン電圧V3kの値が、第2MOSFETQ2の閾値電圧Vth2に到達しているか否かを判定する。ドレイン電圧V3kの値が、第2MOSFETQ2の閾値電圧Vth2に到達している場合には、例えば、ドレイン電圧V3kに対応する識別情報データIDk=1、ドレイン電圧V3kの値が、閾値電圧Vth2に到達していない場合には、ドレイン電圧V3kに対応する識別情報データIDk=0と判定することができる。
【0062】
第3の実施の形態に係るエネルギーハーベスタシステム10は、図15および図16に示すように、複数のエネルギーハーベスタ装置111、…、11i、…、11nの第2MOSFETQ2の第2ドレインに接続され、ドレイン電圧V31、…、V3i、…、V3nを検出する検出器41と、検出器41により検出されたドレイン電圧V31、…、V3i、…、V3nに基づいて、複数のエネルギーハーベスタ素子41、…、4i、…、4nのうち、いずれのエネルギーハーベスタ素子からエネルギーが供給されたかを判定する判定部42とを備えていても良い。
【0063】
第3の実施の形態に係るエネルギーハーベスタシステム10に適用可能なエネルギーハーベスタ装置1iにおいて、オフ状態からオン状態に移行する動作時におけるキャパシタ電圧V1i、ゲート電圧V2iの動作波形例は、図17(a)に示すように表され、ドレイン電圧V3iの動作波形例は、図17(b)に示すように表され、負荷7への供給電流I1iの動作波形例は、図17(c)に示すように表される。図17(a)、図17(b)および図17(c)は、複数のエネルギーハーベスタ装置111、…、11i、…、11nの中の特定のエネルギーハーベスタ装置1iにおける動作を説明する図であり、図7(a)、図7(b)および図7(c)と実質的に同様の動作をするため、重複説明は省略する。
【0064】
第3の実施の形態に係るエネルギーハーベスタシステム10に適用可能なエネルギーハーベスタ装置1iにおいて、オン状態からオフ状態に移行する動作時におけるドレイン電圧V3iの動作波形例は、図18(a)に示すように表され、負荷7への供給電流I1iの動作波形例は、図18(b)に示すように表される。図18(a)および図18(b)は、複数のエネルギーハーベスタ装置111、…、11i、…、11nの中の特定のエネルギーハーベスタ装置1iにおける動作を説明する図である。
【0065】
図18(a)および図18(b)に示すように、時間tの経過と共にキャパシタ3に充電されるキャパシタ電圧V1iの値が低下し、電圧V2が第2MOSFETQ2の閾値電圧Vth2よりも低くなると、第2MOSFETQ2がオフ状態になり、ドレイン電圧V3iが閾値電圧Vth2よりも高いハイレベルの電位V3ipになり、pチャネルの第1MOSFETQ1は、オフ状態になる。この結果、図18(b)に示すように、第1MOSFETQ1を導通する負荷7への供給電流I1は遮断され、負荷7への電流供給は停止される。
【0066】
並列にエネルギーハーベスタ素子41、…、4i、…、4nが設けられ、これらのエネルギーハーベスタ素子41、…、4i、…、4nのうち、いずれか1つが発電する場合、どのエネルギーハーベスタ素子41、…、4i、…、4nからシステム負荷6にエネルギーが供給されたかを識別する必要がある。
【0067】
そこで、第3の実施の形態では、どのエネルギーハーベスタ素子41、…、4i、…、4nからシステム負荷6にエネルギーが供給されたかを識別する識別データID1、…、IDi、…、IDnを、検出器41により検出されたドレイン電圧V31、…、V3i、…、V3nに基づいて取得することができる。
【0068】
すなわち、例えば、検出器41により検出されたドレイン電圧V3iが、図17(b)に示すように、第2MOSFETQ2の閾値電圧Vth2に到達している場合には、IDi=1、閾値電圧Vth2に到達していない場合には、IDi=0と判定することができる。このようにして、どのエネルギーハーベスタ素子41、…、4i、…、4nにおいて発電したかを識別することができる。
【0069】
第3の実施の形態に係るエネルギーハーベスタシステム10において、キャパシタ電圧V1iの連続動作波形例は、図19(a)に示すように表され、キャパシタC1に蓄積されるエネルギーE1iの連続動作波形例は、図19(b)に示すように表され、負荷7への供給電流I1iの連続動作波形例は、図19(c)に示すように表され、ドレイン電圧V3iの連続動作波形例は、図19(d)に示すように表される。尚、図示は省略されているが、負荷7への供給エネルギーELの連続動作波形例も、図10(c)に対応する図10(d)と同様に、図19(c)に対応して表すことができる。
【0070】
キャパシタ電圧V1iの連続波形が図19(a)に示すように変化し、キャパシタC1に蓄積されるエネルギーE1iの連続動作波形も図19(b)に示すように変化する。ゲート電圧V2の値が第2MOSFETQ2の閾値電圧Vth2よりも高くなると、第2MOSFETQ2がオン状態になり、第1MOSFETQ1もオン状態になり、負荷7への供給電流I1iは、図19(c)に示すように、オン電流ION若しくはION以上の電流が導通する。この結果、負荷7への供給エネルギーELは、図示を省略するが、図19(c)に対応して、図10(d)と同様な連続波形例で表すことができる。更に、ドレイン電圧V3iの連続動作波形例は、図19(d)に示すように、オフ状態からオン状態への移行では、第1MOSFETQ1の閾値電圧Vth2をピーク値とする過渡応答波形で表され、オン状態からオフ状態への移行では、図13に示されたスイッチSWiの回路系で決まるドレイン電圧V3ipをピーク値とする過渡応答波形で表される。
【0071】
第3の実施の形態に係るエネルギーハーベスタシステム10によれば、複数のエネルギーハーベスタ素子41、…、4i、…、4nにそれぞれ対応して設けられた複数のエネルギーハーベスタ装置111、…、11i、…、11nの各キャパシタ3に十分に蓄電された後に、ハイインピーダンス状態で負荷7にエネルギーを供給することができるので、複数のエネルギーハーベスタ素子41、…、4i、…、4nにより発電したエネルギーを効率よく負荷7に供給することができる。しかも、複数のエネルギーハーベスタ素子41、…、4i、…、4nの内、特定のエネルギーハーベスタ素子4iの発電状態を識別データID1、…、IDi、…、IDnの判定結果に基づいて識別可能である。
【0072】
第3の実施の形態によれば、複数のエネルギーハーベスタ素子により発電したエネルギーを効率よく供給可能なエネルギーハーベスタ装置およびエネルギーハーベスタシステムを提供することができる。
【0073】
(その他の実施の形態)
上記のように、実施の形態によって記載したが、この開示の一部をなす論述および図面はこの発明を限定するものであると理解すべきではない。この開示から当業者には様々な代替実施の形態、実施例および運用技術が明らかとなろう。
【0074】
このように、本発明はここでは記載していない様々な実施の形態等を含むことは勿論である。したがって、本発明の技術的範囲は上記の説明から妥当な特許請求の範囲に係る発明特定事項によってのみ定められるものである。
【産業上の利用可能性】
【0075】
本発明のエネルギーハーベスタシステムは、振動発電素子などのエネルギーハーベスタ素子により発電したエネルギーを効率よく供給するシステムに適用され、モバイル機器、車載機器、産業機器、医療機器などの幅広い分野に適用可能である。
【符号の説明】
【0076】
1、111、…、11i、…、11n…エネルギーハーベスタ装置
2、SW1、…、SWi、…、SWn…スイッチ
3、31、32、…、3i、…、3n…キャパシタ(C1
4、41、42、…、4i、…、4n…エネルギーハーベスタ素子
5、51、52、…、5i、…、5n…電源
6…システム負荷
7…負荷
10a、10…エネルギーハーベスタシステム
41…検出器
42…判定部
1、V11、…、V1i、…、V1n…キャパシタ電圧
1、Q3…pMOSFET
2…nMOSFET
2…ゲート電圧
3…ドレイン電圧
1、R2、R3…抵抗
ID1、…、IDi、…、IDn…識別情報データ
BD1、BD3…バックゲートボディーダイオード
L1、RL2、R1、2、R3…負荷抵抗
th2、Vth2i…nMOSFETQ2の閾値電圧
E、E1、…、Ei…、En…発電エネルギー
L…負荷への供給エネルギー
1、…、I1i、…、I1n…負荷への供給電流
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
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