【国等の委託研究の成果に係る記載事項】(出願人による申告)平成23年度、独立行政法人新エネルギー・産業技術総合開発機構委託研究「ノーマリーオフコンピューティング基盤技術開発」、産業技術力強化法第19条の適用を受ける特許出願
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0015】
1.実施の形態の概要
先ず、本願において開示される代表的な実施の形態について概要を説明する。代表的な実施の形態についての概要説明で括弧を付して参照する図面中の参照符号はそれが付された構成要素の概念に含まれるものを例示するに過ぎない。 〔1〕(ハイアクティブのメモリICのスタンバイ時にメモリアクセスに係る制御信号をローレベルにするマイクロコントローラを備えたデータ処理装置)
本願の代表的な実施の形態に係るデータ処理装置(100)は、マイクロコントローラ(3)と、データの書き込み又は読み出しが可能にされる不揮発性のRAMアレイ(13)を含み、前記マイクロコントローラによってアクセス可能にされるメモリIC(1)と、を有する。前記データ処理装置は更に、前記マイクロコントローラと前記メモリICに対する電源の供給を別個に制御可能にされる電源部(2)を有する。前記メモリICは、前記不揮発性のRAMアレイに対するデータの書き込み及び読み出しを制御するための制御信号(WE、OE、BE、CE)がハイレベルである場合に、前記不揮発性のRAMアレイに対するデータの読み出し及び書き込みが可能にされる。また、前記メモリICは、前記制御信号がローレベルである場合に、前記不揮発性のRAMアレイに対するデータの読み出し及び書き込みが禁止される。前記マイクロコントローラは、前記電源部によって前記メモリICがスタンバイ状態に遷移するとき、前記制御信号をローレベルにする。
【0016】
これによれば、電源供給を遮断してメモリICをスタンバイ状態に遷移させたときに、データの書き込み又は読み出しを制御するための制御信号がローレベルにされるから、当該制御信号を受けるメモリICの外部端子からESD保護用のダイオードを介してメモリICの内部電源ラインに電荷が供給されることを防止することができる。これにより、メモリICの電源を遮断したときのデータ処理装置の消費電流を更に低減することができる。また、前記メモリICはローアクティブ制御ではなくハイアクティブ制御であるため、メモリICの電源遮断を行う直前にメモリセルに対するアクセスが発生しないように複雑な制御を行う必要はなく、電源遮断を行うことを示す信号をメモリIC側に通知する必要もない。
【0017】
〔2〕(メモリICのスタンバイ時にアドレス信号をローレベルにする)
項1のデータ処理装置において、前記マイクロコントローラは、前記電源部によって前記メモリチップがスタンバイ状態に遷移するとき、前記メモリチップに供給するアドレス信号(ADR)をローレベルにする。
【0018】
これによれば、アドレス信号を受けるメモリICの外部端子からESD保護用のダイオードを介してメモリICの内部電源ラインに電荷が供給されることを防ぐことができるので、メモリICの電源を遮断したときのデータ処理装置の消費電流を更に低減することが可能となる。
【0019】
〔3〕(メモリICのスタンバイ時にマイコンのアドレス出力端子をHi−Zにする)
項1のデータ処理装置において、前記マイクロコントローラは、アドレス出力端子(PM5)を含む。前記マイクロコントローラは、前記不揮発性のRAMアレイに対するデータの書き込み及び読み出しを行う場合に、前記アドレス出力端子を介して前記メモリチップにアドレス信号(ADR)を供給し、前記電源部によって前記メモリチップがスタンバイ状態に遷移する場合に、前記アドレス出力端子をハイインピーダンス状態(Hi−z)にする。
【0020】
これによれば、項2と同様に、メモリICの電源を遮断したときのデータ処理装置の消費電流を更に低減することが可能となる。
【0021】
〔4〕(マイコンのスタンバイ時に電源部の通信インターフェースからマイコンにローレベルの信号を供給する)
項1乃至3の何れかのデータ処理装置において、前記マイクロコントローラと前記電源部は、通信制御信号(CLK、CE_S)とデータ信号(DIN、DOUT)とを用いて外部と通信を行うためのインターフェース部(22、33、34)を夫々有する。夫々の前記インターフェース部は、前記通信制御信号が所定のタイミングでハイレベルにされることにより、前記データ信号の送受信が可能にされ、前記通信制御信号がローレベルにされることにより、前記データ信号の送受信が停止される。前記電源部は、前記マイクロコントローラをスタンバイ状態に遷移するとき、前記マイクロコントローラの前記インターフェース部に供給する前記通信制御信号をローレベルにするとともに、前記マイクロコントローラのインターフェース部に供給するデータ信号をローレベルにする。
【0022】
これによれば、例えばマイクロコントローラの電源が遮断された場合に、マイクロコントローラの通信用のインターフェース(例えば外部端子)からESD保護用のダイオードを介してマイクロコントローラに電荷が供給されることを防ぐことができる。これにより、マイクロコントローラの電源が遮断されたときのデータ処理装置の消費電流を更に低減することができる。
【0023】
〔5〕(デバイスのスタンバイ時にマイコンの通信インターフェースからデバイスにローレベルの信号を供給する)
項4のデータ処理装置は、前記インターフェース部を含み、前記インターフェース部を介して前記マイクロコントローラと通信が可能にされるデバイス(5)を更に有する。前記電源部は、前記デバイスに対する電源の供給が制御可能にされる。前記マイクロコントローラは、前記デバイスがスタンバイ状態に遷移するとき、前記デバイスの前記インターフェース部に供給する前記通信制御信号をローレベルにするとともに、前記デバイスのインターフェース部に供給する前記データ信号をローレベルにする。
【0024】
これによれば、例えばデバイスの電源が遮断された場合に、デバイスのインターフェース部を構成する外部端子からESD保護用のダイオードを介してデバイスに電荷が供給されることを防ぐことができる。これにより、デバイスの電源が遮断されたときのデータ処理装置の消費電流を更に低減することができる。
【0025】
〔6〕(メモリICの制御信号の詳細)
項1乃至5の何れかのデータ処理装置において、前記制御信号は、前記不揮発性のRAMアレイに対するデータの書き込みの可否を指示するライトイネーブル信号(WE)と、前記不揮発性のRAMアレイに対するデータの読み出しの可否を指示するアウトプットイネーブル信号(OE)と、を含む。前記制御信号は、更に、バイトアクセスの可否を示すバイトイネーブル信号(BE)と、前記メモリチップが選択されているか否かを示すチップイネーブル信号(CE)と、を含む。
【0026】
〔7〕(ハイアクティブ制御が可能なメモリI/Fを有するマイコン)
本願の代表的な実施の形態に係るマイクロコントローラ(3、6)は、外部メモリ(1)に対するデータの書き込み及び読み出しを制御するための複数の制御信号(CE、WE、OE、BE)を出力するための複数の制御端子(PM1〜PM4)を有する。前記マイクロコントローラは、データ(DQ)を入力又は出力するためのデータ端子(PM6)と、前記外部メモリのアドレスを指示するアドレス信号(ADR)を出力するためのアドレス端子(PM5)と、を有する。前記マイクロコントローラは更に、前記制御端子、前記データ端子、及び前記アドレス端子を介して前記外部メモリにアクセスするためのメモリインターフェース回路(32、62)を有する。前記メモリインターフェース回路は、前記外部メモリに対するデータの読み出し及び書き込みを実行する場合に、ハイレベルの前記制御信号を出力し、前記外部メモリに対するデータの読み出し及び書き込みを停止する場合に、ローレベルの前記制御信号を出力する。前記メモリインターフェース回路は、前記外部メモリがスタンバイ状態に遷移するとき、ローレベルの前記制御信号を出力する。
【0027】
これによれば、ハイアクティブの外部メモリに対するデータの書き込み及び読み出しを行うことができる。また、例えば外部メモリの電源が遮断されているときに、制御信号を受ける外部メモリの外部端子からESD保護ダイオードを介して外部メモリに電荷が供給されることを防ぐことができる。
【0028】
〔8〕(メモリICのスタンバイ時に、アドレス信号をローレベルにするマイコン)
項7のマイクロコントローラにおいて、前記メモリインターフェース回路は、前記外部メモリの電源が遮断されるとき、前記アドレス端子からローレベルの前記アドレス信号を出力する。
【0029】
これによれば、外部メモリの電源が遮断されているときに、アドレス信号を受ける外部メモリの外部端子からESD保護ダイオードを介して外部メモリに電荷が供給されることを防ぐことができる。
【0030】
〔9〕(アドレス端子をHi−Zにするマイコン)
項8のマイクロコントローラにおいて、前記メモリインターフェース回路は、前記外部メモリの電源が遮断されるとき、前記アドレス端子をハイインピーダンス状態にする。
【0031】
これによれば、項8と同様に、外部メモリの電源が遮断されているときに、アドレス信号を受ける外部メモリの外部端子から外部メモリに電荷が供給されることを防ぐことができる。
【0032】
〔10〕(アクティブハイ/ローが切り替え可能にされるメモリI/Fを備えるマイコン)
項7乃至9の何れかのマイクロコントローラ(6)において、前記メモリインターフェース回路は、前記外部メモリに対するデータの読み出し及び書き込みを実行する場合に、ローレベルの前記制御信号を出力し、前記外部メモリに対するデータの読み出し及び書き込みを停止する場合に、ハイレベルの前記制御信号を出力する制御回路(32)を含む。前記メモリインターフェース回路は更に、第1レジスタ(626)を備えるロジック回路(620)を含む。前記ロジック回路は、前記第1レジスタに第1値(“1”)が設定されている場合に、前記制御回路から出力された前記制御信号と反対の論理レベルの信号を前記制御端子に供給し、前記第1レジスタに前記第1値と異なる第2値(“0”)が設定されている場合に、前記制御回路から出力された前記制御信号と同一の論理レベルの信号を前記制御端子に供給する。前記メモリインターフェース回路は、前記外部メモリの電源が遮断されるとき、ハイレベルの前記制御信号を出力する。
【0033】
これによれば、ハイアクティブ制御用のメモリインターフェースとローアクティブ制御用のメモリインターフェースを別個に設けることなく、ハイアクティブ又はローアクティブの外部メモリの双方に対応することができる。
【0034】
〔11〕(ハイアクティブのメモリセルを備える半導体装置)
本願の代表的な実施の形態に係る半導体装置(1)は、データの書き込み又は読み出しが可能にされる不揮発性のRAMアレイ(13)と、前記RAMアレイに対するデータの書き込み及び読み出しを制御する複数の制御信号(CE、BE、WE、OE)を入力するための複数の制御端子(P1〜P4)と、を有する。本半導体装置は更に、前記RAMアレイに書き込むためのデータ(DQ)を入力するとともに、前記RAMアレイから読み出されたデータを出力するためのデータ端子(P6)と、前記RAMアレイのアドレスを指示するアドレス信号(ADR)を入力するためのアドレス端子(P5)を有する。本半導体装置は更に、前記アドレス端子に入力された前記アドレス信号で指定された前記RAMアレイにおけるメモリセルに対して、前記制御端子に入力された前記制御信号に応じたメモリアクセスを行う制御部(10)を有する。前記制御部は、前記制御端子にハイレベルの前記制御信号が入力されたら、前記メモリアクセスを行い、前記制御端子にローレベルの前記制御信号が入力されたら、前記メモリアクセスを停止する。
【0035】
これによれば、不揮発性のRAMアレイを備えたハイアクティブの半導体装置(メモリIC)を提供することができる。また、当該半導体装置はハイアクティブのメモリICを構成するから、当該半導体装置の電源が遮断されているときにはローベルの制御信号が入力されるので、当該制御信号を受ける制御端子からESD保護ダイオードを介して当該半導体装置の内部電源ラインに電荷が供給されることはない。
【0036】
〔12〕(制御信号を反転させるバッファ回路とローアクティブ制御のメモリコントロール回路)
項11の半導体装置において、前記制御部は、前記制御端子に入力された制御信号の論理レベルを反転した信号を生成する論理回路(BR1〜BR4)と、前記論理回路によって生成された信号がローレベルである場合に前記メモリアクセスを行い、前記論理回路によって生成された信号がハイレベルである場合に前記メモリアクセスを停止するメモリコントロール回路(12)とを含む。
【0037】
これによれば、既存のローアクティブのメモリICの回路構成を大きく変更することなく、ハイアクティブのメモリICを実現することができる。
【0038】
〔13〕(メモリICの制御信号の詳細)
項11又は12の半導体装置において、前記制御端子は、前記不揮発性のRAMアレイに対するデータの書き込みの可否を指示する信号(WE)を入力するためのライトイネーブル端子(P1)と、前記不揮発性のRAMアレイに対するデータの読み出しの可否を指示する信号(OE)を入力するためのアウトプットイネーブル端子(P2)と、を含む。前記制御端子は更に、バイトアクセスの可否を指示する信号(BE)を入力するためのバイトイネーブル端子(P3)と、当該半導体装置の選択の可否を指示する信号(CE)を入力するためのチップイネーブル端子(P4)と、を含む。
【0039】
2.実施の形態の詳細
実施の形態について更に詳述する。なお、発明を実施するための形態を説明するための全図において、同一の機能を有する要素には同一の符号を付して、その繰り返しの説明を省略する。
【0040】
≪実施の形態1≫
図1は、実施の形態1に係るデータ処理装置の構成を例示する図である。
【0041】
同図に示されるデータ処理装置100は、例えば一つのセンサシステムを構成し、単数又は複数のセンサによって検出された情報に基づいて各種の演算を行うことにより、各種データの生成や各種の機器の制御を行う。データ処理装置100は、例えば電池又はエネルギーハーベスティング技術による電力供給に基づいて動作可能にされるセンサシステムであって、システムを構成するデバイス(センサやマイクロコントローラ、無線IC等)が様々な場所に配置されるため、可能な限り省電力での動作が求められ、電池交換等のメインテナンスコストを下げることが求められる。
【0042】
具体的に、データ処理装置100は、外部メモリ(NVRAM_IC)1、電源部(PW_UNT)2、マイクロコントローラ(MCU)3、センサ部(SNSR)4、無線IC(RFIC)5、及びその他の図示されない周辺回路を含んで構成される。なお、
図1には、1つのセンサ部が例示されているが、データ処理装置100が備えるセンサ部の個数に特に制限はない。
【0043】
センサ部4は、例えば、外部から入力された情報を電気信号(アナログ信号)に変換し、増幅して出力する。特に制限されないが、センサ部4は温度センサや湿度センサ等である。
【0044】
MCU3は、データ処理装置100の統括的な制御を行うとともに、センサ部4から供給された検出信号に基づいて各種の演算処理を行い、その演算処理結果を各種情報データ及び機器を制御するための制御データとして外部に出力可能にされる。MCU3は、例えば、公知のCMOS集積回路の製造技術によって1個の単結晶シリコンのような半導体基板に形成された半導体集積回路である。
【0045】
具体的に、MCU3は、A/D変換部(ADC)31、演算処理部(CPU)30、メモリインターフェース回路(MRY_IF)32、通信制御部(CM_UNT)33、34、及び図示されない内部バスや各種インターフェース回路を含んで構成される。
【0046】
A/D変換部31は、センサ部4の検出信号(アナログ信号)をデジタルデータに変換する。演算処理部30は、A/D変換部31によって変換されたデジタルデータに基づいて、各種の演算処理を行う。具体的に、演算処理部30は、MCU内部のROM(図示せず)から外部メモリ1にロードされたプログラムに従って演算処理を行い、必要に応じて演算結果を外部メモリ1に格納する。メモリインターフェース回路32は、詳細は後述するが、演算処理部30やDMAC(図示せず)等からの与えられた外部メモリ1に対するメモリアクセスを制御するためのインターフェース回路であり、外部拡張バスとして機能する。通信制御部33、34は、外部デバイスと通信を行うためのインターフェース回路である。特に制限されないが、通信制御部33、34は、SPI(Serial Peripheral Interface)等の通信プロトコルに則ってデータ列を生成し、シリアル通信を行う。例えば、通信制御部33は電源部2との間のシリアル通信を制御し、通信制御部34は無線IC5との間のシリアル通信を制御する。
【0047】
例えば、MCU3は、センサ部4から受け取った検出結果に基づいて演算処理を行い、その演算処理結果を温度データ又は湿度データとして外部メモリ1に格納するとともに、無線IC5を介して外部のサーバー等のホストシステムに送信する。
【0048】
無線IC5は、シリアル通信によってMCU3から供給された各種データを、図示されないアンテナを介して無線で送信するとともに、当該アンテナを介して受信したデータをシリアル通信によってMCU3に供給する。無線IC5は、例えば、通信制御部51を含む。通信制御部51は、MCU3の通信制御部33、34と同様に、SPI等の通信プロトコルに則ってデータ列を生成し、MCU3との間でシリアル通信を実現する。
【0049】
外部メモリ1は、データの書き込み又は読み出しが可能にされる複数のメモリセルから構成されたRAMアレイを含み、MCU3によってアクセス可能にされる半導体集積回路(メモリIC)である。前記メモリセルは、不揮発性のRAMであり、例えば、MRAM(Magnetoresistive Random Access Mmemory)、FRAM(Ferroelectric Random Access Memory)、及びReRAM(Resistance Random Access Memory)等である。外部メモリ1の具体的な構成については後述する。
【0050】
電源部2は、夫々のデバイスに対する電源供給を別個に制御する。例えば、電源部2は、複数のLDO(Low Drop Out)やスイッチングレギュレータコントローラ等が公知のCMOS集積回路の製造技術によって1個の単結晶シリコンのような半導体基板に形成された電源ICと、当該電源ICに外付け接続されたキャパシタやインダクタ等の複数の電子部品と、によって実現される。
【0051】
具体的に、電源部2は、電池又はエネルギーハーベスティング技術によって供給された外部電圧VPW_EXに基づいて所望の電圧を生成する複数のレギュレータ回路(LDO)20_1〜20_n(nは2以上の整数。)と、電源制御部(PW_CNT)21と、通信制御部(CM_UNT)22と、を含んで構成される。
【0052】
レギュレータ回路20_1〜20_nは、LDOやスイッチングレギュレータ等の電源回路である。本実施の形態では、レギュレータ回路20_1〜20_nがLDOであるとして説明する。レギュレータ回路20_1〜20_nは、夫々のデバイス(MCU3や外部メモリ1等)に対応して設けられ、対応するデバイスに対する電源の供給及び遮断を制御する。
【0053】
通信制御部22は、外部デバイスと通信を行うためのインターフェース回路である。通信制御部22は、MCU3の通信制御部33、34と同様に、SPI等の通信プロトコルに則ってデータ列を生成し、MCU3との間でシリアル通信を行う。
【0054】
電源制御部21は、電源部2の統括的な制御を行う。例えば、電源制御部21は、通信制御部22を介して受信したMCU3からの指示に応じて、夫々のレギュレータ回路20_1〜20_nを制御することにより、各デバイスに対する電源の供給及び遮断を制御する。例えば、MCU3から外部メモリ1に対する電源の遮断が要求された場合には、電源制御信号VON3によってレギュレータ回路20_3を制御し、外部メモリ1への電源電圧VIN_3の供給を停止する。また、例えばMCU3からセンサ部4に対する電源電圧の変更が要求された場合には、電源制御信号VON1によってレギュレータ回路20_1を制御し、センサ部4に供給する電源電圧VIN_1の電圧値を変更する。更に、例えばMCU3の電源を遮断する場合には、MCU3が通信制御部22を介して電源部2の内蔵タイマ(図示せず)に起動時間を設定した後、電源制御部21が電源制御信号VON2によってレギュレータ回路20_2を制御することで、MCU3への電源供給を停止する。
【0055】
MCU3、外部メモリ1、センサ部4、及び無線IC5等の各デバイスは、動作モードとして、通常動作モードと、少なくとも1つのスタンバイモードとを有する。例えば、外部メモリ1は、電源が供給される非スタンバイモード(通常動作モード)NML_MODEと、電源の供給が遮断されるスタンバイモードSTB_MODEの2つの動作モードを有する。センサ部4及び無線IC5も同様である。また、MCU3は、非スタンバイモード(通常動作モード)と複数のスタンバイモードを有する。例えば、MCU3は、MCU3のクロック周波数を通常動作モードよりも低くするスタンバイモードや、MCU3のクロック周波数と電源電圧を通常動作モードよりも低くするスタンバイモード、MCU3の電源供給を遮断する動スタンバイモード等を有する。夫々のデバイスが何れの動作モードで動作させるかは、MCU3が各デバイスの動作状態に応じて決定する。
【0056】
次に、外部メモリ1の内部構成について詳細に説明する。
【0057】
図2は、MCU3のメモリインターフェース回路32の内部構成と、外部メモリ1の内部構成を例示する図である。
【0058】
同図に示されるように、外部メモリ1は、不揮発性の複数のメモリセルから構成されたRAMアレイ(NVRAM_ARRY)13と、メモリインターフェース回路10と、内部レギュレータ回路(VREG)11と、複数の外部端子と、夫々の外部端子に接続されたESD保護ダイオードと、を含んで構成される。同図には、複数の外部端子として、電源部2のレギュレータ回路20_3から電源電圧VIN_3の供給を受ける電源端子VDDと、グラウンドノードに接続されるグラウンド端子GNDと、外部端子P1〜P6とが代表的に例示されている。また、同図には、上記複数の外部端子に接続されるESD保護用ダイオードとして、外部端子P1〜P6に接続されるESD保護用ダイオードEDP1〜EDP6及びEDN1〜EDN6が代表的に例示されている。なお、参照符号VDDは、電源端子のみならず、当該電源端子に接続される電源ラインをも表すものとする。
【0059】
外部メモリ1は、外部端子P1〜P6を介して、メモリアクセスのための信号を受ける。前記メモリアクセスのための信号は、例えば、データの書き込み及び読み出しを制御するための制御信号と、RAMアレイ13のアドレスを指示するアドレス信号ADRと、RAMアレイ13に対する書き込みデータ又は読み出しデータを示すデータ信号DQと、を含む。前記制御信号は、例えば、RAMアレイ13に対するデータの書き込みの可否を指示するライトイネーブル信号WEと、RAMアレイ13に対するデータの読み出しの可否を指示するアウトプットイネーブル信号OEと、バイトアクセスの可否を示すバイトイネーブル信号BEと、外部メモリ1が選択されているか否かを示すチップイネーブル信号CEと、を含む。
【0060】
外部端子P1、P2、P3、及びP4は、ライトイネーブル信号WE、アウトプットイネーブル信号OE、バイトイネーブル信号BE、及びチップイネーブル信号CEを、夫々入力する。外部端子P1は、電源端子VDD及びグラウンド端子GNDとの間に、ESD保護用ダイオードEDP1、EDN1が接続される。例えば、ESD保護ダイオードEDP1は、アノード側が外部端子P1に接続され、カソード側が電源端子VDDに接続される。また、ESD保護ダイオードEDN1は、カソード側が外部端子P2に接続され、アノード側がグラウンド端子GNDに接続される。同様に、外部端子P2〜P4は、電源端子VDD及びグラウンド端子GNDとの間に、ESD保護用ダイオードEDP2〜EDP4とEDN2〜EDN4が夫々接続される。
【0061】
外部端子P5は、アドレス信号ADRを入力する。外部端子P5には、外部端子P1と同様に、ESD保護用ダイオードEDP5、EDN5が接続される。なお、
図2には、一つの外部端子P5が図示されているが、外部端子P5は複数設けられ、その個数はメモリのアドレスバスの幅に応じて決定される。
【0062】
外部端子P6は、データ信号DQを入力する。外部端子P6には、外部端子P1と同様に、ESD保護用ダイオードEDP6、EDN6が接続される。なお、
図2には、一つの外部端子P6が図示されているが、外部端子P6は複数設けられ、その個数はメモリのデータ幅に応じて決定される。
【0063】
内部レギュレータ回路11は、電源端子VDDに供給された電源電圧VIN_3に基づいて、内部電源電圧を生成する。生成された内部電源電圧は、RAMアレイ13及びメモリインターフェース回路10の動作電源として供給される。
【0064】
メモリインターフェース回路10は、外部端子P1〜P4に供給された各制御信号と、外部端子P5に供給されたアドレス信号ADRとに基づいて、RAMアレイ13に対するデータの書き込み又はデータの読み出しを行う。
【0065】
具体的に、メモリインターフェース回路10は、チップイネーブル信号CE等の制御信号がハイ(High)レベルにされたことに応じて、RAMアレイ13に対するデータの読み出し及び書き込みを行い、前記制御信号がロー(Low)レベルにされたことに応じて、RAMアレイ13に対するデータの読み出し及び書き込みを禁止する、所謂ハイアクティブのメモリアクセスを実現する。例えば、メモリインターフェース回路10は、チップイネーブル信号CE及びアウトプットイネーブル信号OEがハイレベルにされたことに応じて、RAMアレイ13におけるアドレス信号ADRで指定されたアドレスのメモリセルからデータを読み出し、外部端子P6に出力する。また、メモリインターフェース回路10は、チップイネーブル信号CE及びライトイネーブル信号WEがハイレベルにされたことに応じて、外部端子P6に入力されたデータ信号DQを、RAMアレイ13におけるアドレス信号ADRで指定されたアドレスのメモリセルに書き込む。更に、データの書き込み及び読み出しの際、バイトイネーブル信号BEがハイレベルにされたら、メモリインターフェース回路10はバイト単位でのメモリアクセスを実行する。
【0066】
具体的に、メモリインターフェース回路10は、メモリコントロール回路12と、複数のバッファ回路BR1〜BR7とを含んで構成される。
【0067】
バッファ回路BR1〜BR7のうち、ライトイネーブル信号WE、アウトプットイネーブル信号OE、バイトイネーブル信号BE、及びチップイネーブル信号CEを入力するバッファ回路BR1〜BR4は、入力した信号の論理レベルを反転して出力する。一方、アドレス信号ADR及びデータ信号DQを入力するバッファ回路BR5〜BR7は、入力した信号の同一の論理レベルの信号を生成して出力する。
【0068】
メモリコントロール回路12は、例えばSRAMインターフェースと同様に、入力された制御信号がローレベルにされることで、RAMアレイ13に対するデータの読み出し又は書き込みを行い、前記制御信号がハイレベルにされることで、RAMアレイ13に対するデータの読み出し及び書き込みを禁止する、所謂ローアクティブのメモリアクセスを実現する。具体的に、メモリコントロール回路12は、制御回路(CNT)120と、アドレスデコーダ(ADR_DEC)121と、ライトアンプ(WR_AMP)122と、センスアンプ(SNS_AMP)123と、を含んで構成される。アドレスデコーダ121は、行デコーダ及び列デコーダを含み、バッファ回路BR5を介して入力されたアドレス信号ADRをデコードして、データの書き込み又は読み出し対象のメモリセルを指定する。ライトアンプ122は、バッファ回路BR6から供給された書き込み対象のデータ信号を増幅してメモリセルに与える。センスアンプ123は、メモリセルから読み出されたデータ信号を増幅してバッファ回路BR7に供給する。制御回路120は、バッファ回路BR1〜BR4の出力信号がローレベルにされたことに応じて、RAMアレイ13に対するデータの書き込み及び読み出しを行い、バッファ回路BR1〜BR4の出力信号がハイレベルにされたことに応じて、RAMアレイ13に対するデータの書き込み及び読み出しを停止する。
【0069】
以上のように、メモリインターフェース回路10を、ローアクティブのメモリアクセスを実現するメモリコントロール回路12にチップイネーブル信号CE等の反転信号を入力する構成とすることで、従来のローアクティブのSRAMインターフェース回路の構成を大きく変更することなく、ハイアクティブのメモリICを実現することができる。
【0070】
次に、MCU3におけるメモリインターフェース回路32について説明する。
【0071】
メモリインターフェース回路32は、演算処理部30やDMAC等からのメモリアクセス要求に応じて、MCU3の外部端子PM1〜PM6を介して外部メモリ1に対するデータの書き込み又は読み出しを行う。
【0072】
MCU3の外部端子PM1〜PM6は、対応する外部メモリ1の外部端子P1〜P6に夫々接続される。メモリインターフェース回路32は、ライトイネーブル信号WEを外部端子PM1に出力し、アウトプットイネーブル信号OEを外部端子PM2に出力し、バイトイネーブル信号BEを外部端子PM3に出力し、チップイネーブル信号CEを外部端子PM4に出力する。また、メモリインターフェース回路32は、アドレス信号ADRを外部端子PM5に出力し、外部メモリ1にデータを書き込むときは外部端子PM6に書き込み対象のデータ信号を出力し、外部メモリ1からデータを読み出すときは外部端子PM6からデータ信号を入力する。
【0073】
メモリインターフェース回路32は、ハイアクティブのメモリICに対するデータの書き込み及び読み出しを行うためのハイアクティブ制御を実現するインターフェースとして機能する。具体的には、RAMアレイ13に対するデータの読み出し及び書き込みを行う場合、メモリインターフェース回路32は、チップイネーブル信号CE等の制御信号をハイレベルにするとともにアドレスを指定したアドレス信号ADRを出力し、書き込み対象のデータ信号DQの出力又は読み出されたデータ信号DQの入力を行う。一方、RAMアレイ13に対するデータの読み出し及び書き込みを停止する場合、メモリインターフェース回路32は、チップイネーブル信号CE等の制御信号をローレベルにするとともに、データ信号DQを入出力するための外部端子PM6をハイインピーダンス(Hi−z)状態にし、アドレス信号ADRをローレベル又は外部端子PM5をハイインピーダンス状態にする。
【0074】
具体的に、メモリインターフェース回路32は、制御回路320と、複数のバッファ回路BM1〜BM9と、を含んで構成される。
【0075】
制御回路320は、RAMアレイ13のアドレスを指示するアドレス信号adrと、RAMアレイ13の書き込みデータ又は読み出しデータを示すデータ信号dqと、データの書き込み及び読み出しを制御するための各種の制御信号と、を出力する。当該制御信号は、データの書き込みの可否を指示するライトイネーブル信号WEBと、データの読み出しの可否を指示するアウトプットイネーブル信号OEBと、バイトアクセスの可否を示すバイトイネーブル信号BEBと、外部メモリ1の選択の有無を示すチップイネーブル信号CEBと、データ信号の入出力の可否を制御するバッファイネーブル信号BONと、を含む。
【0076】
制御回路320は、RAMアレイ13に対するデータの書き込みを指示する場合にライトイネーブル信号WEBをローレベルにし、RAMアレイ13に対するデータの書き込みを停止する場合にライトイネーブル信号WEBをハイレベルにする。また、制御回路320は、RAMアレイ13に対するデータの読み出しを指示する場合にアウトプットイネーブル信号OEBをローレベルにし、RAMアレイ13に対するデータの読み出しを停止する場合にアウトプットネーブル信号OEBをハイレベルにする。また、RAMアレイ13に対するデータの書き込み及び読み出しの際にバイト単位でのメモリアクセスを指示する場合、制御回路320は、バイトイネーブル信号BEBをローレベルにする。一方、バイト単位でのメモリアクセスを指示しない場合、制御回路320はバイトイネーブル信号BEBをハイレベルにする。更に、制御回路320は、外部メモリ1へのメモリアクセスを行うとき、チップイネーブル信号CEBをローレベルにし、外部メモリ1へのメモリアクセスを行わないとき、チップイネーブル信号CEBをハイレベルにする。このように、制御回路320は、ローアクティブのメモリICに対するデータの書き込み及び読み出しを行うためのローアクティブ制御を実現するインターフェースとして機能する。
【0077】
バッファ回路BM1は、ライトイネーブル信号WEBの論理レベルを反転し、ライトイネーブル信号WEとして外部端子PM1に出力する。バッファ回路BM2は、アウトプットイネーブル信号OEBの論理レベルを反転し、アウトプットイネーブル信号OEとして外部端子PM2に出力する。バッファ回路BM3は、バイトネーブル信号BEBの論理レベルを反転し、バイトイネーブル信号BEとして外部端子PM3に出力する。バッファ回路BM4は、チップイネーブル信号CEBの論理レベルを反転し、チップイネーブル信号CEとして外部端子PM4に出力する。バッファ回路BM8は、チップイネーブル信号CEBを入力し、論理レベルを反転してバッファ回路BM5に与える。バッファ回路BM5は、チップイネーブル信号CEBに基づいて、アドレス信号ADRの出力の可否を制御する。具体的には、チップイネーブル信号CEBがローレベルの場合(バッファ回路BM8の出力信号がハイレベルの場合)、バッファ回路BM5は、入力されたアドレス信号adrをアドレス信号ADRとして外部端子PM5に出力する。一方、チップイネーブル信号CEBがハイレベルの場合(バッファ回路BM8の出力信号がローレベルの場合)、バッファ回路BM5はアドレス信号ADRの出力を停止する。この場合、バッファ回路BM5は、例えば、外部端子PM5に接続される出力ノードをハイインピーダンス状態にするか、ローレベルのアドレス信号ADRを出力する。
【0078】
バッファ回路BM9は、バッファイネーブル信号BONと同一の論理レベルの信号をバッファ回路BM6,7に夫々与える。バッファ回路BM6は、バッファ回路BM9を介して供給されたバッファイネーブル信号BONに基づいて、データ信号dqの出力の可否を制御する。具体的には、バッファイネーブル信号BONがハイレベルの場合、バッファ回路BM6は、データ信号dqをデータ信号DQとして論理レベルを反転せずに外部端子PM6に出力する。一方、バッファイネーブル信号BONがローレベルの場合、バッファ回路BM6はデータ信号DQの出力を停止する。この場合、バッファ回路BM6は、例えば、外部端子PM6に接続される出力ノードをハイインピーダンス状態にする。
【0079】
バッファ回路BM7は、バッファ回路BM9から供給されたバッファイネーブル信号BONに基づいて、外部端子PM6に入力されたデータ信号DQの入力の可否を制御する。具体的には、バッファイネーブル信号BONがハイレベルの場合、バッファ回路BM7は、データ信号DQを入力し、論理レベルを反転せずに制御回路320に出力する。一方、バッファイネーブル信号BONがローレベルの場合、バッファ回路BM7はデータ信号DQの入力を停止する。この場合、バッファ回路BM7は、例えば、外部端子PM6に接続される入力ノードをハイインピーダンス状態にする。
【0080】
以上のように、メモリインターフェース回路320を、ローアクティブ制御の制御回路320による制御信号をバッファ回路BM1〜BM4によって反転させてチップイネーブル信号CE等を生成する構成とすることで、従来のSRAMインターフェース回路の構成を大きく変更することなく、ハイアクティブのメモリIC用のインターフェースを実現することができる。
【0081】
次に、外部メモリ1に対するデータの読み出し及び書き込み時におけるデータ処理装置100の動作タイミングについて
図3、4を用いて説明する。
【0082】
図3は、外部メモリ1のデータ読み出し時のタイミングチャート図である。
【0083】
同図では、時刻t0の初期状態において、外部メモリ1がスタンバイ状態である場合を一例として示している。外部メモリ1がスタンバイモードSTB_MODEにされたとき、電源部2のレギュレータ回路20_3に供給される電源制御信号VON3はローレベルにされ、外部メモリ1への電源電圧VIN_3の供給が停止される。このとき、MCU3におけるメモリインターフェース回路32は、チップイネーブル信号CE、アウトプットイネーブル信号OE、及びバイトイネーブル信号BEをローレベルにするとともに、アドレス信号ADRをローレベル又は外部端子PM5をハイインピーダンス状態(Hi−z)にし、データ信号DQを出力するための外部端子PM6をハイインピーダンス状態にする。これにより、電源供給が遮断された外部メモリ1において、外部端子P1〜P6からESD保護用のダイオードEDP1〜EDP6を介して外部メモリ1の電源ラインVDDに電荷が供給されることを防止することができる。
【0084】
時刻t1において、電源制御信号VON3はハイレベルにされ、外部メモリ1への電源電圧VIN_3の供給が開始されると、外部メモリ1は通常動作モードNML_MODEに遷移する。その後、所定時間TONが経過し、外部メモリ1の内部回路が動作可能になったら、メモリインターフェース回路32は、外部メモリ1に対するデータの読み出しを実行する。先ず、メモリインターフェース回路32は、チップイネーブル信号CEをハイレベルにするとともにアドレス信号ADRを出力する。その後の時刻t2において、メモリインターフェース回路32は、アウトプットイネーブル信号OE及びバイトイネーブル信号BEをハイレベルにする。これにより、その後の時刻t3において外部メモリ1から読み出されたデータ信号DQがメモリインターフェース回路32に入力され、データの読み出しが完了する。その後、メモリインターフェース回路32は、チップイネーブル信号CE、アウトプットイネーブル信号OE、及びバイトイネーブル信号BEをローレベルにするとともに、アドレス信号ADRをローレベル又は外部端子PM5をハイインピーダンス状態(Hi−z)にし、データ信号DQを出力するための外部端子PM6をハイインピーダンス状態にする。そして、チップイネーブル信号CE等がローレベルになってから所定時間TOFFが経過し、データの読み出しに係る一連の処理が完了した時刻t4において、MCU3は、外部メモリ1のスタンバイモードSTB_MODEへの移行を電源部2に指示する。電源部2は、その指示に応じて電源制御信号VON3をローレベルにすることで、外部メモリ1への電源電圧VIN_3の供給を停止する。これにより、外部メモリ1は再びスタンバイ状態となる。
【0085】
図4は、外部メモリ1のデータ書き込み時のタイミングチャート図である。
【0086】
図4では、時刻t0の初期状態において、外部メモリ1がスタンバイ状態ある場合を一例として示している。外部メモリ1がスタンバイモードSTB_MODEにされたとき、メモリインターフェース回路32は、チップイネーブル信号CE、アウトプットイネーブル信号OE、及びバイトイネーブル信号BEをローレベルにするとともに、アドレス信号ADRをローレベル又は外部端子PM5をハイインピーダンス状態(Hi−z)にし、外部端子PM6をハイインピーダンス状態にする。これにより、電源供給が遮断された外部メモリ1において、外部端子P1〜P6を介して外部メモリ1の電源ラインVDDに電荷が供給されることを防止することができる。
【0087】
時刻t1において、電源制御信号VONがハイレベルにされ、外部メモリ1への電源電圧VIN_3の供給が開始されると、外部メモリ1は通常動作モードNML_MODEに遷移する。その後、所定時間TONが経過し、外部メモリ1の内部回路が動作可能な状態になったら、メモリインターフェース回路32は、外部メモリ1に対するデータの書き込みを実行する。先ず、メモリインターフェース回路32は、チップイネーブル信号CEをハイレベルにするとともにアドレス信号ADRを出力し、ライトイネーブル信号WEをハイレベルにする。その後、時刻t2においてバイトイネーブル信号BEをハイレベルにする。そして、時刻t3において、メモリインターフェース回路32は、書き込み対象のデータ列をデータ信号DQとして外部端子PM6に出力する。これにより、外部メモリ1に対するデータの書き込みが実現される。データの書き込みが完了したら、メモリインターフェース回路32は再び、チップイネーブル信号CE、アウトプットイネーブル信号OE、及びバイトイネーブル信号BEをローレベルにするとともに、アドレス信号ADRをローレベル又は外部端子PM5をハイインピーダンス状態(Hi−z)にし、外部端子PM6をハイインピーダンス状態にする。そして、チップイネーブル信号CE等の制御信号がローレベルになってから所定時間TOFFが経過し、データの書き込みに係る一連の処理が完了した時刻t4において、MCU3が外部メモリ1をスタンバイモードSTB_MODEに移行させることを電源部2に指示する。電源部2が、指示に応じて電源制御信号VONをローレベルにすることで、外部メモリ1への電源電圧VIN_3の供給が停止される。これにより、外部メモリ1は再びスタンバイ状態に戻る。
【0088】
以上のように、外部メモリ1にハイアクティブの制御システムを採用することで、外部メモリ1が電源の遮断されたスタンバイ状態にあるとき、MCU3から外部メモリ1に供給される各種信号がローレベル又はハイインピーダンス状態にされるから、MCU3と接続される外部端子P1〜P6を介して外部メモリ1の電源ラインVDDに電流が流れ込むことを防止することができる。これにより、外部メモリ1をスタンバイ状態にしたときのデータ処理装置全体の消費電力を低減させることができる。特に、本実施の形態に係る外部メモリ1を採用することで、従来のSRAMインターフェースとコンパチブルのインターフェース仕様を持つ不揮発性RAMを採用する場合に比べて、システム全体の省電力効果を更に向上させることができる。また、外部メモリ1はローアクティブ制御ではなくハイアクティブ制御であるため、外部メモリ1の電源遮断を行う直前にRAMアレイ13に対するアクセスが発生しないように複雑な制御を行う必要はない。また、前述の特許文献1のような電源遮断を行うことを示すパワーオン制御信号等を外部メモリ1側に通知する必要はなく、その信号を入力するための外部端子を外部メモリ1側に設ける必要もない。
【0089】
次に、外部メモリ1以外のデバイス(無線IC5、電源部2)とMCU3との間の通信について説明する。
【0090】
前述したように、MCU3と電源部2及び無線IC5とはデータの送受信が可能にされる。
【0091】
具体的に、MCU3と電源部2との間の通信は、夫々の通信制御部33、22を介したシリアル通信によるデータの送受信と、電源部2からMCU3への割り込み要求とによって実現される。
【0092】
MCU3と電源部2と間のシリアル通信の規格がSPIである場合、夫々の通信制御部33、22は、制御信号としてのクロック信号CLK及びチップイネーブル信号CE_Sを入出力するインターフェースと、送信データDOUTを出力するための出力インターフェースと、受信データDINを入力するための入力インターフェースの、合計4つのインターフェースを有する。なお、ここで言うインターフェースとは、信号の入出力のための外部端子や、当該外部端子に対するデータの入出力を制御するバッファ等の周辺回路を含む。同様に、MCU3と無線IC5との間の通信は、通信制御部34、51を介したシリアル通信によるデータの送受信と、無線IC5からMCU3への割り込み要求とによって実現され、通信制御部34、51は、通信制御部33,22と同様に、夫々上記4つのインターフェースを備える。
【0093】
上記インターフェースを用いたMCU3と電源部2及び無線IC5との間のシリアル通信は、外部メモリ1に対するメモリアクセスと同様に、ハイアクティブ制御とされる。以下、このことについて、
図5、6を用いて詳細に説明する。
【0094】
図5は、電源部2とMCU3によるシリアル通信のタイミングチャート図である。
【0095】
同図では、時刻t0の初期状態において、MCU3が電源遮断されたスタンバイ状態にある場合を一例として示している。時刻t0において、電源部2のレギュレータ回路20_2に供給される電源制御信号VON2はローレベルにされ、MCU3への電源電圧VIN_2の供給が停止されている。このとき、電源部2における通信制御部22は、チップイネーブル信号CE_S、クロック信号CLKをローレベルにするとともに、送信データDOUT及び受信データDINをローレベルにする。これによれば、前述の外部メモリ1の電源遮断時と同様に、電源遮断されたMCU3において、シリアル通信用のインターフェースである通信制御部33(外部端子)からESD保護ダイオードを介してMCU3の内部の電源ラインに電荷が供給されることを防止することができる。なお、このとき、センサ部4からMCU3対して信号が入力され得るが、センサ部4からの入力はアナログ入力であるため電荷が供給されたとしてもその影響は限定的であり、大きな問題とはならない。
【0096】
時刻t1において、電源制御信号VONがハイレベルにされ、MCU3への電源電圧VIN_2の供給が開始されると、MCU3は通常動作モードに遷移する。その後、所定時間TON1が経過し、MCU3の内部回路が動作可能になったら、電源部2は、通信制御部22を介してMCU3に割り込み信号INT1を出力し、シリアル通信を開始することを通知する。その後のタイミングt2において、通信制御部22は、チップイネーブル信号CE_Sをハイレベルにするとともにクロック信号CLKを出力する。そして、電源部2とMCU3は、通信制御部22、33の出力/入力インターフェースを介して送信データDOUT及び受信データDINをやり取りすることで、シリアル通信を行う。その後、データの送受信が完了したら、電源部2における通信制御22は、クロック信号CLKをローレベルに固定するとともに送信データDOUT及び受信データDINをローレベルにし、時刻t3においてチップイネーブル信号CE_Sをローレベルにする。そして、チップイネーブル信号CE_S等をローレベルにしてから所定時間TOFF1が経過し、データの書き込みに係る一連の処理が完了した時刻t4において、電源部2は電源制御信号VONをローレベルにすることで、MCU3への電源電圧VIN_2の供給を停止する。これにより、MCU3は再びスタンバイ状態に遷移する。
【0097】
図6は、MCU3と無線IC5のシリアル通信のタイミングチャート図である。
【0098】
図6では、時刻t0の初期状態において、無線IC5が電源遮断されたスタンバイ状態にある場合を一例として示している。時刻t0において、電源部2のレギュレータ回路20_nに供給される電源制御信号VONnはローレベルにされ、無線IC5への電源電圧VIN_nの供給が停止されている。このとき、MCU3における通信制御部34は、チップイネーブル信号CE_S、クロック信号CLKをローレベルにするとともに、送信データDOUT及び受信データDINをローレベルにする。これによれば、前述の外部メモリ1の電源遮断時と同様に、電源遮断された無線IC5において、シリアル通信用のインターフェースである通信制御部51(外部端子)からESD保護ダイオードを介して無線IC5の内部の電源ラインに電荷が供給されることを防止することができる。
【0099】
時刻t1において、電源制御信号VONnがハイレベルにされ、無線IC5への電源電圧VIN_nの供給が開始されると、無線IC5は通常動作モードに遷移する。その後、所定時間TON2が経過し、無線IC5の内部回路が動作可能になった時刻t2において、MCU3の通信制御部34は、チップイネーブル信号CE_Sをハイレベルにするとともにクロック信号CLKを出力する。そして、MCU3と無線IC5は、通信制御部34、51の出力/入力インターフェースを介して送信データDOUT及び受信データDINをやり取りすることで、シリアル通信を行う。データの送受信が完了したら、MCU3における通信制御部34は、クロック信号CLKをローレベルに固定するとともに送信データDOUT及び受信データDINをローレベルにし、時刻t3においてチップイネーブル信号CE_Sをローレベルにする。無線IC5は、シリアル通信に係る一連の処理が完了した時刻t4において、MCU3に対して割り込み信号INT2を出力する。割り込み信号INT2を受けたMCU3は、所定時間TOFF2の経過後、無線IC5のスタンバイモードに移行させることを電源部2に指示する。指示を受けた電源部2は、電源制御信号VONnをローレベルにすることで、無線IC5への電源電圧VIN_nの供給を停止する。これにより、無線IC5は再びスタンバイ状態に遷移する。
【0100】
以上のように、データ処理装置におけるデバイス間のシリアル通信をハイアクティブで制御することにより、電源が遮断されたスタンバイ状態にあるデバイスに供給されるシリアル通信に係る各種信号がローレベルにされるから、シリアル通信用のインターフェース(外部端子)を介してスタンバイ状態にあるデバイスの内部電源ラインに電流が流れ込むことを防止することができる。これにより、シリアル通信用のインターフェースを有するデバイスをスタンバイ状態にしたときのデータ処理装置全体の消費電力を低減することができる。特に、本実施の形態に係るシリアル通信用のインターフェース(通信制御部33、34、22、51)を採用することで、ローアクティブで制御されるシリアル通信用のインターフェースを採用する場合に比べて、システム全体の省電力効果を更に向上させることができる。
【0101】
以上、実施の形態1に係るデータ処理装置によれば、データ処理装置を構成する各デバイスの電源供給が遮断されているときのシステム全体の消費電力を更に低減することが可能となる。
【0102】
≪実施の形態2≫
実施の形態2に係るデータ処理装置は、実施の形態1に係るデータ処理装置の機能に加えて、MCUのメモリインターフェースの仕様をハイアクティブ制御とローアクティブ制御で切り替え可能にする機能を備える。
【0103】
実施の形態2に係るデータ処理装置は、外部メモリ1、電源部2、センサ部4、及び無線IC5等のハードウェア構成は実施の形態1に係るデータ処理装置100と同様であり、MCUにおけるメモリインターフェース回路の構成がデータ処理装置100と相異する。
【0104】
図7は、実施の形態2に係るMCU6の内部構成を例示する図である。
【0105】
MCU6におけるメモリインターフェース回路62は、実施の形態1に係るメモリインターフェース回路32と同様に、演算処理部30やDMAC等からのメモリアクセス要求に応じて、MCU3の外部端子PM1〜PM6を介して外部メモリ1に対するデータの書き込み又は読み出しを行う。例えば、メモリインターフェース回路62は、ライトイネーブル信号WEを外部端子PM1に出力し、アウトプットイネーブル信号OEを外部端子PM2に出力し、バイトイネーブル信号BEを外部端子PM3に出力し、チップイネーブル信号CEを外部端子PM4に出力する。また、メモリインターフェース回路62は、アドレス信号ADRを外部端子PM5に出力し、外部メモリ1にデータを書き込むときは外部端子PM6に書き込み対象のデータ信号を出力し、外部メモリ1からデータを読み出すときは外部端子PM6からデータ信号を入力する。
【0106】
メモリインターフェース回路62は、レジスタ設定SETRGに基づいてハイアクティブ制御とローアクティブ制御を切り替えて外部メモリ1にアクセスする。
【0107】
図8は、メモリインターフェース回路62の具体的な内部構成を例示する図である。同図に示されるように、メモリインターフェース回路62は、実施の形態1に係るメモリインターフェース回路32におけるバッファ回路BM1〜BM5、BM8の代わりに、バッファ回路BMX1〜BMX5とロジック回路620を備える。なお、
図8において、
図2と同一の構成要素には同一の符号を付してその詳細な説明を省略する。
【0108】
バッファ回路BMX1〜BMX4は、入力信号と同一論理の信号を出力する。
【0109】
ロジック回路620は、EXOR回路621〜624と、OR回路625と、レジスタ626と、を含んで構成される。レジスタ626は、例えばFF(Flip Flop)回路から構成され、レジスタ設定値SETRGとして“1”が設定された場合にハイレベルの信号を出力し、レジスタ設定値SETRGとして“0”が設定された場合にローレベルの信号を出力する。EXOR回路621は、ライトイネーブル信号WEBとレジスタ626の出力信号とを入力して排他的論理和演算を行い、バッファ回路BM1に出力する。例えば、レジスタ626のレジスタ設定値SETREGが“0”の場合には、チップイネーブル信号WEBと同一論理の信号を出力する。一方、レジスタ626のレジスタ設定値SETREGが“1”の場合には、チップイネーブル信号WEBの反対論理の信号を出力する。EXOR回路622は、アウトプットイネーブル信号OEBとレジスタ626の出力信号とを入力して排他的論理和演算を行い、バッファ回路BM2に出力する。EXOR回路623は、バイトイネーブル信号BEBとレジスタ626の出力信号とを入力して排他的論理和演算を行い、バッファ回路BM3に出力する。EXOR回路624は、チップイネーブル信号CEBとレジスタ626の出力信号とを入力して排他的論理和演算を行い、バッファ回路BM4に出力する。EXOR回路622〜624は、EXOR回路621と同様に、レジスタ設定値SETREGが“0”の場合に、入力された信号OEB、BEB、CEBと同一論理の信号を出力し、レジスタ設定値SETREGが“1”の場合に、入力された信号OEB、BEB、CEBと反対論理の信号を出力する。EXOR回路621〜624から出力された信号は、バッファ回路BMX1〜BMX4を経由して、チップイネーブル信号WE、アウトプットイネーブル信号OE、バイトイネーブル信号BE、及びチップイネーブル信号CEとして対応する外部端子PM1〜PM4から出力される。
【0110】
OR回路625は、レジスタ626の出力信号を反転した信号と、チップイネーブル信号CEBを反転した信号を入力して論理和演算を行い、バッファ回路BMX5に供給する。例えば、レジスタ設定値SETRGが“0”の場合、OR回路625は、チップイネーブル信号CEBによらずハイレベルの信号を出力する。一方、レジスタ設定値SETRGが“1”の場合、OR回路625は、チップイネーブル信号CEBと反対論理の信号を出力する。バッファ回路BMX5は、OR回路625の出力信号に基づいて、制御部320から供給されたアドレス信号adrを外部端子PM5に出力するか否かを制御する。例えば、OR回路625の出力信号がハイレベルの場合、バッファ回路BMX5は、アドレス信号adrをアドレス信号ADRとして外部端子PM5に出力する。一方、OR回路625の出力信号がローレベルの場合、バッファ回路BMX5は、ローレベルのアドレス信号ADRを外部端子PM5に出力するか、外部端子PM5に接続される出力ノードをハイインピーダンス状態にする。
【0111】
以上の構成によれば、メモリインターフェース回路62を、レジスタ設定値SETRGに応じて、ローアクティブ制御のインターフェースとして機能させることもできるし、ハイアクティブ制御のインターフェースとして機能させることもできる。
【0112】
以上、実施の形態2に係るMCU6によれば、ハイアクティブ制御用のメモリインターフェースとローアクティブ制御用のメモリインターフェースを別個に設けることなく、ハイアクティブとローアクティブの外部メモリの双方に対応することができる。
【0113】
以上本発明者によってなされた発明を実施形態に基づいて具体的に説明したが、本発明はそれに限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲において種々変更可能であることは言うまでもない。
【0114】
例えば、データ処理装置100における所定のデバイスの電源が遮断された状態において、当該デバイスのシリアル通信用のインターフェースを介して入出力される送信データDOUT及び受信データDINをローレベルにする構成を例示したが、ローレベルにする代わりに、送信データDOUT及び受信データDINを入出力するための外部端子をハイインピーダンス状態しても良い。
【0115】
外部メモリ1に供給される制御信号として、チップイネーブル信号CE、バイトイネーブル信号BE、ライトイネーブル信号WE、及びアウトプットイネーブル信号OEを例示したが、メモリアクセスを制御するための信号であれば、上記の信号に限定されない。また、メモリアクセスを制御するための信号をハイアクティブとすれば、上記と同様に、外部メモリ1の電源遮断時に電流が流れ込むことを防止することができる。
【0116】
データ処理装置100がセンサシステムである場合を例示したが、これに限られず、例えばバッテリ駆動される携帯端末等のその他のシステムにも適用することができる。
【0117】
また、電源部2におけるレギュレータ回路20_1〜20_nがLDOである場合を例示したが、ハードウェアリソースに供給すべき電圧値の変更やハードウェアリソースに対する電源電圧の遮断等の制御ができる構成であれば、LDOに限られず、スイッチングレギュレータやチャージポンプ電源等の別の電源回路であっても良い。
【0118】
外部メモリ1において、RAMアレイ13とメモリインターフェース回路10の電源電圧を内部レギュレータ回路11から供給する構成を例示したが、外部メモリ1の電源端子VDDに供給された電圧VIN_3をRAMアレイ13とメモリインターフェース回路10に直接供給する構成であっても良い。