(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記第1介在部は、前記端子接続部材との溶接部である前記第1溶接部に接する端部から前記第1本体部側に向かって肉厚が徐々に薄くなる形状を、前記端部からの所定範囲に有する請求項1又は2に記載の組電池。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上述した従来の構造のように、外部端子とバスバーとをねじ止め固定した場合、固定用ねじの締め付けが弛む可能性があった。そのため、外部端子とバスバーの接続信頼性の向上を図る上で改善の余地があった。これに対し、外部端子と連結部材の一部を溶接し、バスバーと連結部材の他の一部を溶接することで、連結部材を介して外部端子とバスバーとを接続する構成が考えられる。
【0005】
本発明者らは、上述した外部端子とバスバーとを連結部材を介して溶接により接続する構成について鋭意研究を重ねた結果、以下の課題を見出した。すなわち、各部材の接続に溶接を用いた場合、溶接時に発生する熱が外部端子を介して電池本体に伝わる可能性があった。外部端子から電池本体に伝わった熱は、電池の発電性能の低下を引き起こすおそれがある。したがって、溶接時に発生する熱が電池本体に伝わることを抑制する必要があった。
【0006】
本発明はこうした課題に鑑みてなされたものであり、その目的は、電池の外部端子と端子接続部材との接続に溶接を用いる場合に、溶接時に発生する熱が電池本体に伝わることを抑制する技術を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明のある態様は、組電池である。当該組電池は、筐体に設けられた外部端子を有する複数の電池と、隣接する2つの電池の外部端子同士を電気的に接続するための端子接続部材と、外部端子および端子接続部材に溶接されて、外部端子と端子接続部材とを連結する導電性の連結部材と、端子接続部材と連結部材とが溶接された第1溶接部と、外部端子と連結部材とが溶接された第2溶接部と、を備え、連結部材は、第1溶接部に接続された介在部と、当該介在部から第2溶接部にかけて延在する本体部とを有し、介在部は、本体部よりも肉厚が薄いことを特徴とする。
【0008】
本発明の他の態様は、組電池である。当該組電池は、筐体に設けられた外部端子を有する複数の電池と、隣接する2つの電池の外部端子同士を電気的に接続するための端子接続部材と、外部端子および端子接続部材に溶接されて、外部端子と端子接続部材とを連結する導電性の連結部材と、を備え、外部端子は、連結部材との溶接部に接続された介在部と、当該介在部から筐体側に延在する本体部とを有し、介在部は、本体部よりも肉厚が薄いことを特徴とする。
【0009】
本発明の他の態様は、組電池である。当該組電池は、筐体に設けられた外部端子を有する複数の電池と、隣接する2つの電池の外部端子同士を電気的に接続するための端子接続部材と、を備え、外部端子および端子接続部材は、溶接により互いに連結され、端子接続部材は、外部端子との溶接部に接続された介在部と、当該介在部から隣接する電池の外部端子側に延在する本体部とを有し、介在部は、本体部よりも肉厚が薄いことを特徴とする。
【0010】
上述したいずれかの態様によれば、電池の外部端子と端子接続部材との接続に溶接を用いる場合に、溶接時に発生する熱が電池本体に伝わることを抑制することができる。
【0011】
上述したいずれかの態様において、端子接続部材は、貫通孔を有し、外部端子は、一部が貫通孔を貫通し、連結部材は、外部端子の貫通孔から突出した部分に溶接されてもよい。
【0012】
上述した態様において、端子接続部材は、貫通孔を有し、外部端子は、一部が貫通孔内に位置し、端子接続部材と外部端子とは、貫通孔内で溶接されてもよい。
【0013】
上述したいずれかの態様において、連結部材の介在部を第1介在部とし、連結部材の本体部を第1本体部として、外部端子は、筐体側から延在する第2本体部と、当該第2本体部よりも肉厚が薄く、第2本体部から突出する第2介在部とを有し、端子接続部材は、貫通孔を有し、外部端子は、第2介在部が貫通孔を貫通し、第1溶接部は、第1介在部と端子接続部材に接続され、第2溶接部は、第1本体部と第2介在部の貫通孔から突出した部分に接続されてもよい。
【0014】
上述したいずれかの態様において、介在部と本体部との間に、介在部側から本体部側にかけて肉厚が徐々に厚くなるテーパ部が設けられてもよい。
【0015】
上述したいずれかの態様において、介在部は、端子接続部材との溶接部に接する端部から本体部側に向かって肉厚が徐々に薄くなる形状を、端部からの所定範囲に有してもよい。
【0016】
本発明の他の態様は、電池接続方法である。当該電池接続方法は、電池の外部端子と、隣接する2つの電池の外部端子同士を電気的に接続するための端子接続部材とを接続する電池接続方法であって、本体部と、当該本体部よりも肉厚が薄く当該本体部から突出する介在部と、を有する導電性の連結部材を用意する工程と、介在部と端子接続部材とを溶接することで連結部材と端子接続部材とを接続する工程と、連結部材と端子接続部材とを接続する工程と前後または並行して、本体部と外部端子とを溶接することで連結部材と外部端子とを接続する工程と、を含むことを特徴とする。
【0017】
本発明の他の態様は、電池接続方法である。当該電池接続方法は、電池の外部端子と、隣接する2つの電池の外部端子同士を電気的に接続するための端子接続部材とを接続する電池接続方法であって、本体部と、当該本体部よりも肉厚が薄く当該本体部から突出する介在部と、を有する外部端子を用意する工程と、外部端子を用意する工程とは別に、外部端子および端子接続部材に溶接することで外部端子と端子接続部材とを連結するための導電性の連結部材を用意する工程と、介在部と連結部材とを溶接することで外部端子と連結部材とを接続する工程と、外部端子と連結部材とを接続する工程と前後または並行して、接続部材と端子接続部材とを溶接することで連結部材と端子接続部材とを接続する工程と、を含むことを特徴とする。
【0018】
本発明の他の態様は、電池接続方法である。当該電池接続方法は、電池の外部端子と、隣接する2つの電池の外部端子同士を電気的に接続するための端子接続部材とを接続する電池接続方法であって、本体部と、当該本体部よりも肉厚が薄く当該本体部から突出する介在部と、を有する端子接続部材を用意する工程と、介在部と外部端子とを溶接することで端子接続部材と外部端子とを接続する工程と、を含むことを特徴とする。
【0019】
上述したいずれかの態様において、介在部と本体部との間に、介在部側から本体部側にかけて肉厚が徐々に厚くなるテーパ部が設けられてもよい。
【0020】
上述したいずれかの態様において、介在部は、端子接続部材との溶接部に接する端部から本体部側に向かって肉厚が徐々に薄くなる形状を、端部からの所定範囲に有してもよい。
【発明の効果】
【0021】
本発明によれば、電池の外部端子と端子接続部材との接続に溶接を用いる場合に、溶接時に発生する熱が電池本体に伝わることを抑制することができる。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、本発明の実施形態を図面を参照して説明する。なお、すべての図面において、同様な構成要素には同様の符号を付し、適宜説明を省略する。
【0024】
(実施形態1)
図1は、実施形態1に係る組電池の概略構造を示す斜視図である。
図1に示すように、組電池10は、複数の電池30と、これらの電池30を接続するバスバー40(端子接続部材)とを有する。本実施形態では、計5個の電池30が直列に接続されて組電池10が形成されている。なお、電池30の数は特に限定されない。また、5つの電池30全てが直列に接続されているが、一部が並列に接続されていてもよい。
【0025】
5個の電池30は、それぞれ扁平な直方体状の筐体を有し、主表面が対向して略平行となるように所定の間隔で並設されている。電池30の筐体上面には、長手方向の一端寄りに負極端子50が設けられ、他端寄りに正極端子60が設けられている。以下では適宜、負極端子50および正極端子60を併せて外部端子と称する。隣接する電池30の負極端子50および正極端子60は、互いに反対側になるように配列されている。隣接する2つの電池30の一方の正極端子60と他方の負極端子50とがバスバー40により電気的に接続されて、5個の電池30が直列接続されている。
【0026】
電池30は、ハウジング(図示せず)内に収容される。電池30の直列接続の一方の終端となる正極端子60’および他方の終端となる負極端子50’は、ハウジングの外部に引き回される配線を介して外部負荷(ともに図示せず)と接続可能になっている。
【0027】
図2は、電池の概略構造を示す断面図である。
図2に示すように、電池30は、外装缶(筐体)31内に、正負極が渦巻状に巻回されてなる電極体32が外装缶31の缶軸方向に対し横向きに収納されている。外装缶31の開口は、筐体の一部を構成する封口板33により封口されている。封口板33には、負極端子50および正極端子60が設けられている。また、封口板33には、ガス排出弁(図示せず)が形成されている。
【0028】
負極端子50は、本体部50a(第2本体部)と、当該本体部50aよりも肉厚が薄く当該本体部50aから突出する介在部50b(第2介在部)とを有する。本体部50aは、略円柱状であり外周面に鍔部50cが設けられている。負極端子50の本体部50aは、側面にガスケット34が当接した状態で、封口板33の負極用開口33aに嵌め込まれている。ガスケット34は、鍔部50cの封口板33と対向する表面にも当接している。また、本体部50aは、封口板33の電池内側において負極タブ部材53と接続している。
【0029】
本体部50aの電池外側に位置する先端には、略円筒状の介在部50bが、上方に突出するように本体部50aと一体的に設けられている。本体部50aの電池内側に位置する先端には、負極用開口33aに沿って側壁が形成されるような凹部51が設けられている。凹部51の縁部分が広がるようにかしめることで、負極端子50が負極タブ部材53に対して固定されている。
【0030】
負極タブ部材53と封口板33の電池内側面との間には、絶縁板35が設けられている。負極用開口33aにおいて、絶縁板35とガスケット34とが当接している。これにより、負極タブ部材53および負極端子50が封口板33から絶縁されている。負極タブ部材53は、電極体32の一方の端面から突出した負極集電板群32aに接続されている。なお、負極集電板群32aは、電極体32の一方の端面から突出した複数の負極集電板を束ねたものである。
【0031】
正極端子60は、本体部60a(第2本体部)と、当該本体部60aよりも肉厚が薄く当該本体部60aから突出する介在部60b(第2介在部)とを有する。本体部60aは、略円柱状であり外周面に鍔部60cが設けられている。正極端子60の本体部60aは、側面にガスケット34が当接した状態で、封口板33の正極用開口33bに嵌め込まれている。ガスケット34は、鍔部60cの封口板33と対向する表面にも当接している。また、本体部60aは、封口板33の電池内側において正極タブ部材62と接続している。
【0032】
本体部60aの電池外側に位置する先端には、略円筒状の介在部60bが、上方に突出するように本体部60aと一体的に設けられている。本体部60aの電池内側に位置する先端には、正極用開口33bに沿って側壁が形成されるような凹部61が設けられている。凹部61の縁部分が広がるようにかしめることで、正極端子60が正極タブ部材62に対して固定されている。
【0033】
正極タブ部材62と封口板33の電池内側面との間には、絶縁板35が設けられている。正極用開口33bにおいて、絶縁板35とガスケット34とが当接している。これにより、正極タブ部材62および正極端子60が封口板33から絶縁されている。正極タブ部材62は、電極体32の他方の端面から突出した正極集電板群32bに接続されている。なお、正極集電板群32bは、電極体32の他方の端面から突出した複数の正極集電板を束ねたものである。
【0034】
なお、本実施形態の本体部50a,60aは略円柱状であるが、本体部50a,60aは、略円柱の軸芯に沿って中央部がくり抜かれてなる中空の円管状であってもよい。この場合、円管は、介在部50b,60bよりも肉厚が厚い。
【0035】
バスバー40は、金属等の導電性材料からなる帯状部材である。バスバー40の両端部には、貫通孔41(
図4参照)が設けられている。バスバー40の一方の貫通孔41に、隣接する電池30の一方の負極端子50が挿通され、他方の貫通孔41に、隣接する電池30の他方の正極端子60が挿通されている。
【0036】
図3は、電池の外部端子とバスバーの接続部近傍の概略構造を示す拡大斜視図である。
図4は、
図3のA−A線に沿った断面図である。
図5(A)は、連結部材の概略構造を示す斜視図である。
図5(B)は、連結部材の概略構造を示す側面図である。なお、
図3および
図4では、外部端子の例として負極端子50を図示している。
【0037】
図3および
図4に示すように、負極端子50とバスバー40とは、連結部材70を介して連結されている。すなわち、連結部材70の一部と負極端子50とが溶接され、連結部材70の他の一部とバスバー40とが溶接されることで、負極端子50とバスバー40とが互いに連結されている。
【0038】
連結部材70は、
図5(A)および
図5(B)に示すように、金属等の導電性材料からなるリング状の部材であり、中心に貫通孔71を有する本体部70a(第1本体部)と、当該本体部70aよりも肉厚が薄く当該本体部70aの外周面から突出する介在部70b(第1介在部)とを有する。本体部70aと介在部70bとは一体的に設けられている。本体部70aの肉厚(
図5(B)における長さLa’)は、例えば介在部70bの肉厚(
図5(B)における長さLb’)の約2倍程度である。また、介在部70bの突出長さ、すなわち、介在部70bの先端部から本体部70aと接続している端部までの長さは、溶接時に照射されるレーザーの半径よりも大きい長さである。
【0039】
負極端子50は、バスバー40の貫通孔41に挿通されている。バスバー40の貫通孔41の直径は、隣接する電池30間における介在部50b間の距離の誤差を吸収できるように、介在部50bの直径よりも大きく設定することが好ましい。バスバー40の下面は、負極端子50の鍔部50cの上面に当接している。この状態で、負極端子50の介在部50bは貫通孔41を貫通して貫通孔41から突出している。また、介在部50bは、バスバー40上に配置された連結部材70の貫通孔71に挿通されている。連結部材70の本体部70aは、負極端子50の介在部50bの外周面と隣り合っている。
【0040】
そして、連結部材70の介在部70bの先端とバスバー40の上面とに接続された溶接部80(第1溶接部)が設けられており、溶接部80によって連結部材70とバスバー40とが接続されている。後述するように、溶接部80は、主に介在部70bの先端部がレーザー照射によって溶融することで形成される。したがって、介在部70bの残存部分の先端(一端)が溶接部80に接続されている。
【0041】
また、介在部70bの他端から、貫通孔41から突出する負極端子50の介在部50bの近傍にかけて延在する連結部材70の本体部70aと、負極端子50の介在部50bとに接続された溶接部82(第2溶接部)が設けられており、溶接部82によって連結部材70と負極端子50とが接続されている。後述するように、溶接部82は、主に介在部50bのうち本体部70aの上面から突出した部分がレーザー照射によって溶融することで形成される。したがって、介在部50bの残存部分の先端が溶接部82に接続されている。また、連結部材70の本体部70aは、介在部70bとは反対側の端部領域が溶接部82に接続されている。
【0042】
(電池接続方法)
続いて、電池30の外部端子とバスバー40とを電気的に接続する電池接続方法について、
図6(A)〜
図6(C)を参照して説明する。
図6(A)〜
図6(C)は、実施形態1に係る電池接続方法を示す工程断面図である。なお、
図6(A)〜
図6(C)では、外部端子の例として負極端子50を図示している。
【0043】
まず、
図6(A)に示すように、本体部50aと、本体部50aよりも肉厚が薄く本体部50aから突出する介在部50bとを有する外部端子を備えた電池30を用意する。また、本体部70aと、本体部70aよりも肉厚が薄く本体部70aから突出する介在部70bとを有する連結部材70を用意する。また、バスバー40を用意する。そして、負極端子50とバスバー40の貫通孔41とを位置合わせして、負極端子50上にバスバー40を載置する。続いて、負極端子50と連結部材70の貫通孔71とを位置合わせして、バスバー40上に連結部材70を載置する。
【0044】
次に、
図6(B)に示すように、連結部材70の介在部70bの先端部近傍にレーザーLを照射して、介在部70bの先端部とバスバー40の一部を溶融し、介在部70bとバスバー40とを溶接する。また、負極端子50の介在部50bの先端部近傍にレーザーLを照射して、介在部50bの先端部と連結部材70の本体部70aの一部を溶融し、本体部70aと介在部50bとを溶接する。レーザーLは、介在部70bとバスバー40との露出する境界部の全周、および本体部70aと介在部50bの露出する境界部の全周にわたって照射される。なお、レーザーLの照射範囲は、これに限定されない。
【0045】
上述したレーザーLの照射によって、
図6(C)に示すように、介在部70bの残存部分とバスバー40とが接続された溶接部80が形成されて、連結部材70とバスバー40とが接続される。また、介在部50bの残存部分と本体部70aとが接続された溶接部82が形成されて、連結部材70と負極端子50とが接続される。なお、連結部材70とバスバー40の接続と、連結部材70と負極端子50の接続とは、どちらを先に実施してもよく、また並行して実施してもよい。
【0046】
続いて、上述のようにして接続した外部端子とバスバー40の接続状態について説明する。
図7(A)は、外部端子およびバスバー間の電気抵抗を測定する方法を説明するための断面図である。
図7(B)は、外部端子およびバスバー間の電気抵抗値と、バスバーと連結部材の溶接時に照射したレーザーのパワーピーク比との関係を示す図である。
【0047】
図7(A)では、外部端子の例として負極端子50を図示している。また、
図7(B)において、点E1〜E3は、実施形態1の構造についての3つの測定区の結果である。3つの測定区は、バスバー40と連結部材70の溶接時のレーザーパワーのピーク値が異なっている。点Cは、介在部70bを持たない連結部材70を用いた比較例の構造についての結果である。縦軸は、抵抗値[μΩ]であり、横軸は、点E1の結果が得られた測定区におけるレーザーパワーピーク値を基準(1)としたときのレーザーパワーピーク値の比である。なお、連結部材70と負極端子50との溶接は全て同一の条件で実施した。
【0048】
図7(A)に示すように、バスバー40から連結部材70を介して負極端子50に定電流を流した状態で、負極端子50上の電圧測定位置X1とバスバー40上の電圧測定位置X2との間の電圧を測定して、負極端子50およびバスバー40間の抵抗値を測定した。その結果、
図7(B)に示すように、実施形態1の方が比較例に比べてより低いレーザーパワーで同等の抵抗値を得られることが分かった。したがって、実施形態1に係る組電池10によれば、溶接時に照射するレーザーをより低パワーにすることができる。そのため、溶接時にレーザー照射によって発生する熱をより少なくすることができる。
【0049】
以上説明したように、本実施形態に係る組電池10では、連結部材70が本体部70aよりも肉厚の薄い介在部70bを有し、介在部70bとバスバー40とが溶接されている。すなわち、レーザー照射によって溶融しやすい肉薄部を設けて、この肉薄部を用いて連結部材70とバスバー40とを溶接している。そのため、溶接時に照射するレーザーをより低パワーにすることができ、これにより、溶接時に発生する熱を減らすことができる。その結果、溶接時に発生した熱が連結部材70および外部端子を介して電池本体に伝わることを抑制することができる。
【0050】
また、連結部材70とバスバー40が接続された溶接部80から電池本体までの熱伝導経路上に、本体部70aに比べて断面積、すなわち熱伝導経路の径が小さい介在部70bが設けられているため、溶接部80から電池本体への熱伝導を抑制することができる。さらに、介在部70bの先端部を溶融して溶接部80を形成しているため、介在部70bを設けない場合に比べて溶接面積を広くすることができる。これにより、連結部材70とバスバー40との接続強度を高めることができる。
【0051】
また、本実施形態に係る組電池10では、外部端子が本体部50a,60aよりも肉厚の薄い介在部50b,60bを有し、介在部50b,60bと連結部材70とが溶接されている。すなわち、連結部材70と外部端子が接続された溶接部82から電池本体までの熱伝導経路上に、本体部50a,60aに比べて断面積の小さい介在部50b,60bが設けられている。そのため、介在部50b,60bを設けない場合に比べて、溶接部82から電池本体への熱伝導を抑制することができる。
【0052】
また、連結部材70は、介在部70bの一端が溶接部80に接続され、介在部70bの他端が本体部70aに接続されている。そのため、例えば外部端子とバスバー40が相対変位して、連結部材70の下面がバスバー40の上面から離れる方向の力が連結部材70にかかった場合、介在部70bの他端部領域が塑性変形するため、溶接部80に応力が集中することを防ぐことができる。これにより、連結部材70とバスバー40との接続信頼性を高めることができる。
【0053】
上述した実施形態1には、次のような変形例を挙げることができる。
図8(A)は、変形例1に係る組電池における外部端子とバスバーの接続部近傍の概略構造を示す拡大断面図である。
図8(B)は、変形例2に係る組電池における溶接前の外部端子とバスバーの接続部近傍の概略構造を示す拡大断面図である。
図8(C)は、変形例2に係る組電池における溶接後の外部端子とバスバーの接続部近傍の概略構造を示す拡大断面図である。なお、
図8(A)、
図8(B)および
図8(C)では、外部端子の例として負極端子50を図示している。
【0054】
(変形例1)
図8(A)に示すように、変形例1に係る組電池10では、連結部材70が介在部70bと本体部70aとの間に、テーパ部70cを有している。テーパ部70cは、介在部70b側から本体部70a側にかけて肉厚が徐々に厚くなる形状を有する。
【0055】
このように、介在部70bと本体部70aとの間にテーパ部70cを設けることで、本体部70aと介在部70bの接続領域における連結部材70の強度をより高めることができる。そのため、外部端子とバスバー40との接続信頼性を高めることができる。また、介在部70bの肉厚をより薄くすることが可能となる。これにより、より低パワーでのレーザー照射が可能となり、また熱伝導経路をより狭くすることができるため、溶接時の熱の発生および発生した熱の電池本体への伝導をより抑制することができる。
【0056】
また、テーパ部70cを設けることで、連結部材70の介在部70bとバスバー40を溶接する際に、本体部70aの延在方向からのレーザーLの照射が可能となる。したがって、連結部材70とバスバー40とを接続する工程の実施自由度を高めることができる。
【0057】
(変形例2)
図8(B)および
図8(C)に示すように、変形例2に係る組電池10では、連結部材70の介在部70bが、先端部から本体部70a側に向かって肉厚が徐々に薄くなる形状を、当該端部からの所定範囲に有する。すなわち、介在部70bは、本体部70a側から先端部側にかけて肉厚が徐々に厚くなっている。なお、本実施形態の介在部70bは、先端部から本体部70aと接する端部までの全範囲にかけて肉厚が徐々に薄くなっているが、肉厚が薄くなる範囲はこれに限定されない。
【0058】
これにより、溶接時におけるレーザー照射のパワー低減と、溶接部80から電池本体までの熱伝導経路の狭小化を図りつつ、溶接部80を形成する溶融物の量を増大させることができる。そのため、連結部材70とバスバー40とをより確実に接続することができる。
【0059】
また、溶接部80を形成した後の状態で、実施形態1と比べて溶接部80と介在部70bとの接続面積を増やすことができるため、連結部材70とバスバー40の接続強度を高めることができる。
【0060】
(実施形態2)
実施形態2に係る組電池10は、外部端子とバスバー40とが直に溶接された構造を有する。以下、本実施形態について説明する。なお、組電池10および電池30の主な構造は実施形態1と基本的に同一である。実施形態1と同一の構成については同一の符号を付し、その説明は適宜省略する。
【0061】
図9は、実施形態2に係る組電池における外部端子とバスバーの接続部近傍の概略構造を示す拡大断面図である。なお、
図9では、外部端子との例として負極端子50を図示している。
【0062】
図9に示すように、本実施形態に係る組電池10において、バスバー40は、本体部40aと、当該本体部40aよりも肉厚が薄く本体部40aから突出する介在部40bと、貫通孔41とを有する。本体部40aと介在部40bとは一体的に設けられている。介在部40bは、バスバー40の貫通孔41(
図10(A)参照)の全周にわたって延在している。本体部40aの肉厚(
図9における長さLa’’)は、例えば介在部40bの肉厚(
図9における長さLb’’)の約2倍程度である。また、介在部40bの突出長さ、すなわち、介在部40bの先端部から本体部40aと接続している端部までの長さは、溶接時に照射されるレーザーの半径よりも大きい長さである。なお、本実施形態の本体部40aは、介在部40bと接する肉厚(
図9における長さLa’’)の薄い部分と、この領域の外側に延在する肉厚(
図9における長さLc’’)の厚い部分とを有するが、均一の厚さを有する形状であってもよい。
【0063】
負極端子50は、バスバー40の貫通孔41に挿通されている。バスバー40の下面は、負極端子50の鍔部50cの上面に当接している。負極端子50の介在部50bは貫通孔41を貫通して貫通孔41から突出している。この状態で、バスバー40の介在部40bの先端と負極端子50の鍔部50cの上面とに接続された溶接部84が貫通孔41内に設けられ、溶接部84によってバスバー40と負極端子50とが接続されている。後述するように、溶接部84は、主に介在部40bの先端部がレーザー照射によって溶融することで形成される。したがって、介在部40bの残存部分の先端(一端)が溶接部84に接続されている。また、本体部40aが、介在部40bの他端から、隣接する電池30の外部端子側に延在している。
【0064】
(電池接続方法)
続いて、実施形態2に係る電池接続方法について、
図10(A)〜
図10(C)を参照して説明する。
図10(A)〜
図10(C)は、実施形態2に係る電池接続方法を示す工程断面図である。なお、
図10(A)〜
図10(C)では、外部端子の例として負極端子50を図示している。
【0065】
まず、
図10(A)に示すように、本体部40aと、本体部40aよりも肉厚が薄く本体部40aから突出する介在部40bとを有するバスバー40を用意する。また、電池30を用意する。そして、負極端子50とバスバー40の貫通孔41とを位置合わせして、負極端子50上にバスバー40を載置する。
【0066】
次に、
図10(B)に示すように、バスバー40の介在部40bの先端部にレーザーLを照射して、介在部40bの先端部と鍔部50cの一部を溶融し、介在部40bと鍔部50cとを溶接する。レーザーLは、介在部40bと鍔部50cとの露出する境界部の全周にわたって照射される。なお、レーザーLの照射範囲は、これに限定されない。
【0067】
上述したレーザーLの照射によって、
図10(C)に示すように、介在部40bの残存部分と鍔部50cとが接続された溶接部84が形成されて、バスバー40と負極端子50とが接続される。
【0068】
以上説明したように、本実施形態に係る組電池10では、バスバー40が本体部40aよりも肉厚の薄い介在部40bを有し、介在部40bと外部端子とが溶接されている。すなわち、レーザー照射によって溶融しやすい肉薄部を設けて、この肉薄部を用いてバスバー40と外部端子を溶接している。そのため、溶接時に照射するレーザーをより低パワーにすることができ、これにより、溶接時に発生する熱を減らすことができる。その結果、溶接時に発生した熱が外部端子を介して電池本体に伝わることを抑制することができる。
【0069】
また、介在部40bの先端部を溶融して溶接部84を形成しているため、介在部40bを設けない場合に比べて溶接面積を広くすることができる。これにより、バスバー40と外部端子の接続強度を高めることができる。さらに、バスバー40は、介在部40bの一端が溶接部84に接続され、介在部40bの他端が本体部40aに接続されている。そのため、例えばバスバー40の下面が負極端子50の鍔部50cの上面から離れる方向の力がバスバー40にかかった場合、介在部40bの他端部領域が塑性変形するため、溶接部84に応力が集中することを防ぐことができる。これにより、バスバー40と外部端子との接続信頼性を高めることができる。
【0070】
なお、上述した実施形態1の変形例1および変形例2は、実施形態2に係る組電池10にも適用することができ、同様の効果を奏することができる。すなわち、バスバー40の本体部40aと介在部40bとの間にテーパ部を設けることができる。また、介在部40bを、本体部40a側から先端部側にかけて肉厚が徐々に厚くなる形状とすることができる。
【0071】
本発明は、上述の各実施形態に限定されるものではなく、当業者の知識に基づいて各種の設計変更等の変形を加えることも可能であり、そのような変形が加えられた実施形態も本発明の範囲に含まれうるものである。
【0072】
図11は、変形例に係る組電池における外部端子とバスバーの接続部近傍の概略構造を示す拡大断面図である。
図11に示すように、溶接部82の上面と連結部材70の本体部70aの上面とは、略同じ高さであってもよい。