(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記一対の抵抗溶接用電極で押圧しながら抵抗溶接を行う工程において、前記集電部材に形成された突出部と前記中間導電部材の本体部との間の距離を、前記集電部材に形成された突出部と前記中間導電部材に存在する前記積層された芯体露出部の総厚みよりも大きい状態にして、抵抗溶接用電流を流すことを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載の角形二次電池の製造方法。
【背景技術】
【0002】
近年、環境保護運動が高まり、二酸化炭素ガス等の温暖化の原因となる排ガスの排出規制が強化されている。そのため、自動車業界では、ガソリン、ディーゼル油、天然ガス等の化石燃料を使用する自動車に換えて、電気自動車(EV)やハイブリッド電気自動車(HEV)の開発が活発に行われている。このようなEV、HEV用電池としては、ニッケル−水素二次電池やリチウムイオン二次電池が使用されているが、近年は軽量で、かつ高容量の電池が得られるということから、リチウムイオン二次電池等の非水電解質二次電池が多く用いられるようになってきている。
【0003】
EV、HEV用途においては、環境対応だけでなく、自動車としての基本性能、すなわち、加速性能や登坂性能等の走行能力の高度化も必要とされる。このような要求を満たすためには、単に電池容量を大きくすることのみならず、高出力の電池が必要である。一般に、EV、HEV用の非水電解質二次電池は、発電要素をアルミニウム系金属製の角形外装缶内に収容した角形二次電池が多く使用されているが、高出力の放電を行うと電池に大電流が流れるため、電池の内部抵抗を極力低減させる必要がある。そのため、電池の発電要素における正極極板ないし負極極板の芯体と集電部材との間の溶接不良を防止して内部抵抗を低下させることについても種々の改良が行われてきている。
【0004】
発電要素における電極極板の芯体露出部と集電部材を電気的に接合して集電する方法としては、機械的なカシメ法、溶接法等があるが、高出力が要求される電池の集電方法としては、低抵抗化を実現し易く、しかも経時変化が生じ難いことから、溶接法が適している。しかしながら、EV、HEV用のリチウムイオン二次電池等の角形密閉二次電池の電極体は、正極極板と負極極板とがセパレータを介して積層ないし巻回された構成を備えている。そして、正極極板又は負極極板の芯体露出部は、それぞれ互いに異なる側に位置するように配置され、正極極板の芯体露出部は積層されて正極集電部材に溶接され、負極極板の芯体露出部も積層されて負極集電部材に溶接されている。これらの正極芯体露出部及び負極芯体露出部の積層枚数は、EV、HEV用のリチウムイオン二次電池等の角形密閉二次電池の容量が大きい場合には、非常に多くなる。
【0005】
一方、下記特許文献1には、正極極板及び負極極板がセパレータを介して偏平状に巻回された電極体において、セパレータからはみ出ているそれぞれの電極の芯体露出部の積層幅を小さくするために、それぞれの電極の芯体露出部を2箇所ずつに分けて集電部材に溶接した蓄電素子の発明が開示されている。ここで下記特許文献1に開示されている蓄電素子の構成を
図8及び
図9を用いて説明する。なお、
図8Aは下記特許文献1に開示されている蓄電素子としての電気二重層キャパシタの断面図あり、
図8Bは
図8AのVIIIB−VIIIB線に沿った断面図であり、
図8Cは
図8AのVIIIC−VIIIC線に沿った断面図である。また、
図9は
図8における電極の芯体露出部と集電部材との間の溶接工程を示す図である。
【0006】
この蓄電素子50は、
図8A〜
図8Cに示したように、正極極板及び負極極板がセパレータ(何れも図示省略)を介して積層されて偏平状に巻回された巻回電極体51を備えており、この巻回電極体51は角形のアルミニウム製の外装缶52内に配置されている。また、この蓄電素子50の正極用集電部材53a及び負極用集電部材53bは、それぞれ一方側の端部にコ字状の翼部54aないし54bが形成されて、それぞれ正極極板の芯体露出部55aないし負極極板の芯体露出部55bに接続され、他方側の端部はそれぞれ正極端子56aないし負極端子56bに接続されている。そして、正極極板の芯体露出部55aは束ねられて2分割され、それぞれ一方のコ字状の翼部54aの外面側の2箇所に溶接されており、また、負極極板の芯体露出部55bも2分割されてそれぞれ他方のコ字状の翼部54bの外面側の2箇所に溶接されている。
【0007】
この溶接は、たとえば正極極板側であれば、
図9に示したように、2分割された正極極板の芯体露出部55aのうちの一方をコ字状の翼部54aの外面に配置し、この芯体露出部55aの外表面に超音波溶接装置(図示省略)のホーン57を当接し、コ字状の翼部54aの内面側にアンビル58を配置することにより、超音波溶接が行われている。なお、2分割された正極極板の芯体露出部55aの他方に対しても同様の方法で超音波溶接が行われており、また、負極極板側においても同様である。
【0008】
一方、積層し2分割した芯体露出部を抵抗溶接する場合は、分割した芯体露出部を片側ずつを溶接する方法、もしくは、分割した芯体露出部を同時に溶接するシリーズスポット溶接が検討されているが、溶接回数の削減を考慮するとシリーズスポット溶接が好ましい。従来のシリーズスポット溶接技術では、
図10に示したように、溶接用の一対の抵抗溶接用電極71及び72と同軸上で被溶接部材73及び74を2点溶接する場合には、コ字状の溶接用部品75を中間に介在させて、コ字状の溶接用部品75の上下を溶接する方法が主に用いられていた。この方法は、コ字状の溶接用部品75は、板状の金属板から容易に製作できること、抵抗溶接を容易かつ安定化させるためのプロジェクションの作製が容易なことから広く一般的に用いられている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
上記特許文献1に開示されている発明によれば、正極芯体露出部及び負極芯体露出部の露出幅を小さくできるため、蓄電装置の容積効率が良好となるという効果を奏する。しかしながら、この発明では、正極極板ないし負極極板に正極用集電部材ないし負極用集電部材を溶接するためにはそれぞれ複数回の溶接が必要であり、更に、超音波溶接時にコ字状の翼部の内部にアンビルを配置する必要があること等、製造設備が複雑化するという問題点が存在している。
【0011】
また、上記特許文献1には、電極極板を接続する工程は超音波溶接法を用いることが特に好ましいと記載されているが、実施例での巻回数は16回(2分割した片側では8回)であり、積層厚みは320μmとなっている。それに対し、EV、HEV用のリチウムイオン二次電池等の容量が大きい角形二次電池では、正極芯体露出部及び負極芯体露出部の積層枚数は上記特許文献1に開示されている発明の場合よりも非常に多くなっていると共に、積層厚みも遙かに厚くなっている。
【0012】
そのため、EV、HEV用のリチウムイオン二次電池等の容量が大きい角形密閉二次電池では、積層された正極芯体露出部及び負極芯体露出部と集電部材との間の溶接方法として超音波溶接法を採用して安定した状態に溶接するためには、積層された正極芯体露出部及び負極芯体露出部をそれぞれ集電部材に密着させるための大きな加圧と、超音波振動を積層された正極芯体露出部及び負極芯体露出部の他端側まで到達させるための大きなエネルギーが必要となる。上記特許文献1に開示されている発明では、コ字状の集電部材の内部に配置されたアンビルで加圧及び超音波エネルギーを受ける必要があるため、アンビルに相応の剛性が必要となり、しかも、コ字状の集電部材の内部に供給できる大きさのアンビルで大きな加圧を受けつつ更に安定した溶接条件を見出すことは技術的に非常に困難である。
【0013】
また、
図10に示した従来法では、一度の溶接で正極芯体露出部及び負極芯体露出部のそれぞれについてシリーズ溶接することができるが、溶接用の電極71及び72による加圧によるコ字状の溶接用部品75の歪みをなくすために、コ字状の溶接用部品の内部に加圧受け76や通電用として金属ブロックの供給及び取り出しを行うなどの対策が必要となる。
【0014】
なお、上記特許文献2には、
図11に示したように、集電部材81の基部82の両側に電極体83の芯体84を2つに分割して集束した電極芯体群84a及び84bを当接させ、これらの電極芯体群84a及び84bの外側に配置した一対の当て板85a及び85bと共に一体にシリーズスポット溶接した極板芯体集結装置80が示されている。
【0015】
しかしながら、上記特許文献2に開示されているシリーズスポット溶接法では、正極極板ないし負極極板の芯体露出部は、2分割されて直接正極端子ないし負極端子の両側からシリーズスポット溶接されているが、正極端子ないし負極端子の溶接面は平坦面となっているため、正極端子ないし負極端子と正極極板ないし負極極板の芯体露出部との間の溶接強度を高くするとともに溶接部の内部抵抗のばらつきを小さくすることは困難であった。
【0016】
また、EV、HEV用のリチウムイオン二次電池等の容量が大きい角形密閉二次電池の場合には、正極芯体露出部及び負極芯体露出部の積層枚数は非常に多くなる上、正極芯体及び正極集電部材としてはアルミニウム又はアルミニウム合金が、負極芯体及び負極集電部材としては銅又は銅合金等が用いられる。これらのアルミニウム又はアルミニウム合金や銅又は銅合金は、電気抵抗が小さく、しかも熱伝導率も良好な材料であるため、正極芯体露出部と正極集電部材との間及び負極芯体露出部と負極集電部材との間を、それぞれ確実に抵抗溶接して溶接強度を強くするとともに、溶接部の内部抵抗を小さくするには多大な溶接エネルギーを必要とする。しかも、抵抗溶接に際して溶接エネルギーを大きくすると、スパッタされたチリの発生量が増加するが、このチリが電極体内部に移動することによって内部短絡ないし耐圧不良の原因となり、製造歩留まりの低下を招くようになる。
【0017】
本発明は、上記のような従来技術の問題点を解決すべくなされたものであり、積層された正極芯体露出部及び負極芯体露出部の少なくとも一方側の芯体露出部は2分割され、その間に中間導電部材が配置されて、芯体露出部と集電部材との間及び芯体露出部と中間導電部材との間が抵抗溶接された集電構造を有する角形二次電池の製造方法であって、溶接部の低抵抗化を実現でき、しかも、抵抗溶接時に発生するスパッタチリの量を減少させることが可能な角形二次電池の製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0018】
上記目的を達成するため、本発明の角形二次電池の製造方法は、積層ないし巻回された電極体の積層された正極芯体露出部及び負極芯体露出部にそれぞれ対応する集電部材が接続された集電構造を有する角形二次電池の製造方法であって、前記積層された正極芯体露出部及び負極芯体露出部の少なくとも一方を2分割する工程、前記2分割された側の芯体露出部間に、前記2分割された芯体露出部と接する側に凸部が形成された少なくとも1つの中間導電部材を配置すると共に、前記2分割された側の芯体露出部の最外側の面に前記中間導電部材に設けられた凸部の径よりも大きな径を有する突出部を前記中間導電部材側に有する集電部材を前記突出部が前記中間導電部材に設けられた凸部に芯体露出部を介して対向するように配置する工程、前記積層された芯体露出部の両側から前記集電部材に設けられた突出部の径よりも大きな径の抵抗溶接面を有する一対の抵抗溶接用電極で押圧し前記突出部の一部が前記抵抗溶接用電極の抵抗溶接面と接する状態としながら抵抗溶接を行う工程、を有することを特徴とする。
【0019】
なお、本発明の2分割された芯体露出部側の集電部材は、2分割された芯体露出部の最外側の少なくとも一方の面に配置されていればよいが、2分割された芯体露出部の最外側の両方の面に配置されていることが好ましい。ただし、2分割された芯体露出部の最外側の他方の面には電極端子に直接的に接続されていない集電受け部材を配置しても、実質的に集電部材を2分割された芯体露出部の最外側の両方の面に配置した場合と同様の作用効果を奏することができる。そのため、本発明における「集電部材」とはこのような「集電受け部材」をも含む意味で用いられている。
【0020】
本発明の角形二次電池の製造方法においては、例えば集電部材を積層され2分割された芯体露出部の最外側の両方の面に配置した場合、抵抗溶接時の電流は、一方の抵抗溶接用電極→一方の集電部材→2分割された側の芯体露出部の一方→中間導電部材の一方の凸部→中間導電部材の本体部→中間導電部材の他方の凸部→2分割された側の芯体露出部の他方→他方の集電部材→他方の抵抗溶接用電極へと流れるので、一方の集電部材と2分割された側の芯体露出部の一方と中間導電部材の一方の凸部との間、及び、中間導電部材の他方の凸部と2分割された側の芯体露出部の他方と他方の集電部材との間で同時にシリーズ溶接が行われる。しかも、中間導電部材の凸部及び集電部材に設けられた突出部は共にプロジェクションとして作用するため、抵抗溶接時には中間導電部材と集電部材との間に配置されている芯体露出部内に大きなナゲットが形成されるので、溶接強度が強くなる。なお、本発明においては、一方の集電部材と他方の集電部材とは一体に形成されているものであってもよい。
【0021】
また、抵抗溶接用電極の抵抗溶接面(集電部材と接する先端面)の径は集電部材に設けられた突出部の径よりも大きいから、抵抗溶接用電極を集電部材の突出部の頂部とは反対側から当接させると、抵抗溶接用電極の先端と集電部材の突出部との間に密閉された空隙が形成される。一方、抵抗溶接時には、集電部材の突出部の頂部は、2分割された側の芯体露出部を挟んで、中間導電部材の凸部と対向する。そのため、一対の抵抗溶接用電極を互いに押圧すると、中間導電部材の凸部によって、集電部材の突出部及び2分割された芯体露出部は共に抵抗溶接用電極の先端側に向かって変形し、変形した集電部材の突出部は抵抗溶接用電極の抵抗溶接面と接触する。しかも、集電部材の突出部と抵抗溶接用電極の先端との間に形成されていた空隙は、集電部材の突出部の外周壁側に密閉状態で残留するようになり、その体積は小さくなる。
【0022】
この状態で抵抗溶接を行うと、集電部材と抵抗溶接用電極の抵抗溶接面との間の接触状況が良好となるため、スパッタが発生し難くなる。また、集電部材は抵抗溶接用電極よりも熱容量が小さいので、抵抗溶接時には集電部材の表面の方が高温となり、しかも、集電部材の突出部と抵抗溶接用電極の先端との間に形成されている空隙は密閉状態となっているから、スパッタされたチリは抵抗溶接用電極の先端部よりも集電部材の突出部の内表面に溶着するようになる。また、このスパッタされたチリは、抵抗溶接後に抵抗溶接用電極を取り除いても、集電部材の表面に付着したままとなって、剥離することが非常に少なくなる。
【0023】
そのため、本発明の角形二次電池の製造方法によれば、抵抗溶接時に抵抗溶接用電極と集電部材との間でスパッタが発生し難くなり、たとえスパッタが発生したとしても、スパッタされたチリは集電部材の表面に融着した状態で留まるため、外部に飛散することが少なくなるので、製品としての角形二次電池の不具合の発生が抑制された、信頼性が高い角形二次電池を製造することができるようになる。
【0024】
また、本発明の角形二次電池の製造方法においては、前記集電部材として、前記集電部材に設けられた突出部の高さが前記中間導電部材に設けられた凸部の高さよりも低いものを使用することが好ましい。
【0025】
抵抗溶接では、被溶接部材同士の接触面積が増えるとそれだけ通電経路が増えることになって発熱が十分に得られなくなる。集電部材に設けられた突出部の高さと中間導電部材の凸部の高さの関係が変わると、抵抗溶接用電極で加圧した場合には、中間導電部材の凸部、芯体露出部及び集電部材に設けられた突出部の接触面積が変化する。この接触面積は、集電部材に設けられた突出部の高さが高いとが大きくなり、集電部材に設けられた突出部の高さが低いと小さくなる。一方、抵抗溶接用電極で加圧した後の状態では、集電部材に設けられた突出部の高さが高いと、積層された芯体露出部と中間導電部材の凸部の付け根部分、すなわち中間導電部材の本体とが接して強く圧着されるため、この部分での放熱が早く、発熱し難くなるが、集電部材に設けられた突出部の高さが低いと、積層された芯体と中間導電部材の凸部の付け根部分が接し難くなり、あるいは接していても強くは圧着されないため、この部分で放熱し難くなるので発熱し易く、より安定した状態で抵抗溶接を行えるようになる。本発明の角形二次電池の製造方法によれば、集電部材に設けられた突出部の高さが中間導電部材に設けられた凸部の高さよりも低いものを使用しているため、抵抗溶接用電極で加圧した後の状態における通電経路の面積を減らすことができるため、より安定した状態で抵抗溶接を行いことができるようになる。
【0026】
また、本発明の角形二次電池の製造方法においては、前記集電部材として、前記集電部材に設けられた突出部の高さが前記集電部材の厚さを越えていないものを使用することが好ましい。
【0027】
集電部材として、集電部材に設けられた突出部の高さが集電部材の厚さを越えていないものを使用すると、集電部材が平坦に近いために、集電部材と2分割された芯体露出部との接触状態が良好となるので、抵抗溶接部分の品質が向上すると共に抵抗溶接時の効率が向上する。
【0028】
また、本発明の角形二次電池の製造方法においては、前記集電部材として、前記集電部材に設けられた突出部の頂部の径が前記中間導電部材の凸部の径の1.5倍以上のものを用いることが好ましい。
【0029】
集電部材として、集電部材に設けられた突出部の頂部の径が中間導電部材の凸部の径の1.5倍以上のものを用いると、抵抗溶接用電極による押圧によって集電部材の突出部を変形させる際に位置決め時の中心のズレを吸収できるため、本発明の上記効果が良好に奏されるようになる。また、上限は、臨界的なものではないが、余り大きいと集電部材自体のサイズも増大化するため、W1/W2≦3.0とすることが好ましい。
【0030】
また、本発明の角形二次電池の製造方法においては、前記集電部材として、前記集電部材に設けられた突出部の頂部に、前記中間導電部材側とは反対側に向かう凹みを備えているものを使用することが好ましい。
【0031】
集電部材に設けられた突出部の頂部に、中間導電部材側とは反対側に向かう凹みを備えているものを使用すると、抵抗溶接時に、集電部材に形成された突出部の凹みの裏側に中間導電部材の凸部に対応する部分が入り込むため、集電部材と中間導電部材との間の位置決めが行いやすくなり、より安定した状態で抵抗溶接を行うことができるようになる。
【0032】
また、本発明の角形二次電池の製造方法においては、前記一対の抵抗溶接用電極で押圧しながら抵抗溶接を行う工程において、前記集電部材に形成された突出部と前記中間導電部材の本体部との間の距離を、前記集電部材に形成された突出部と前記中間導電部材との間に存在する前記積層された芯体露出部の総厚み(芯体1枚の厚み×積層枚数)よりも大きい状態にして、抵抗溶接用電流を流すことが好ましい。
【0033】
本発明の角形二次電池の製造方法によれば、抵抗溶接部の近傍において、集電部材に設けられた突出部、芯体露出部及び中間導電部材の凸部以外の部分、すなわち本体部のそれぞれの間に隙間が存在するため、集電部材に設けられた突出部、芯体露出部及び中間導電部材の本体部が密着しないので、この部分で中間導電部材の本体部分への放熱が起こり難く、抵抗溶接部が集中的に発熱し易くなる。
【0034】
また、本発明の角形二次電池の製造方法においては、前記中間導電部材として複数個が絶縁部材に固定されたものを使用することもできる。
【0035】
このような構成のものを使用すると、複数の中間導電部材が絶縁部材に安定的に固定されているので、複数の中間導電部材を2分割された芯体露出部の間に挿入しやすくなると共に安定的に位置決めできるため、抵抗溶接部の品質が向上する。なお、絶縁部材としては、少なくとも複数の中間導電部材の全ての凸部が露出していれば、中間導電部材の長さを同じ幅を有するものであっても、それよりも狭い幅のものであってもよく、しかも、角柱状、面取り角柱状のものや、これらに適宜保持用治具によって保持しやすくするための溝や隙間を形成したものも使用することができる。
【発明を実施するための形態】
【0037】
以下に本願発明を実施するための形態を例示し、詳細に説明する。ただし、以下に示す各実施形態は、本発明の技術思想を理解するために例示するものであって、本発明をこれらの実施形態に特定することを意図するものではなく、本発明は特許請求の範囲に示した技術思想を逸脱することなく種々の変更を行ったものにも均しく適用し得るものである。なお、本発明で使用し得る角形二次電池用の電極体としては、シート状の正極極板及び負極極板をそれぞれセパレータを介して互いに絶縁した状態で巻回又は積層することにより作製された、両端部にそれぞれ複数枚の正極芯体露出部及び負極芯体露出部が積層された偏平状のものであるが、以下においては、巻回電極体に代表させて説明する。
【0038】
[実施形態1]
最初に本発明の実施形態1の角形二次電池の一例として、角形非水電解質二次電池を
図1を用いて説明する。なお、
図1Aは実施形態1の角形非水電解質二次電池の断面図であり、
図1Bは
図1AのIB−IB線に沿った断面図であり、
図1Cは
図1AのIC−IC線に沿った断面図である。この角形非水電解質二次電池10は、シート状の正極極板及び負極極板とがセパレータ(何れも図示省略)を介して巻回された偏平状の巻回電極体11を有している。
【0039】
シート状の正極極板は、アルミニウム箔からなる正極芯体の両面に、帯状のアルミニウム箔が露出している正極芯体露出部14が形成されるように正極活物質合剤を塗布し、乾燥後に圧延することにより作製されている。また、シート状の負極極板は、銅箔からなる負極芯体の両面に、帯状の銅箔が露出している負極芯体露出部15が形成されるように負極活物質合剤を塗布し、乾燥後に圧延することによって作製されている。そして、偏平状の巻回電極体11は、シート状の正極極板及び負極極板を、巻回軸方向の両端部に複数枚の正極芯体露出部14及び負極芯体露出部15がそれぞれ露出するように、例えばポリエチレン製の微多孔性セパレータを介して偏平状に巻回することにより作製されている。
【0040】
複数枚の正極芯体露出部14は積層されて正極用集電部材16を介して正極端子17に接続され、同じく複数枚の負極芯体露出部15は積層されて負極用集電部材18を介して負極端子19に接続されている。なお、正極端子17、負極端子19はそれぞれ絶縁部材20、21を介して封口板13に固定されている。ここで、正極用集電部材16と正極端子17の間、あるいは負極用集電部材18と負極端子19の間に感圧式電流遮断機構等を介在させることもできる。この実施形態1の角形の非水電解質二次電池10は、上述のようにして作製された偏平状の巻回電極体11を角形の電池外装缶12内に挿入した後、封口板13を電池外装缶12の開口部にレーザ溶接し、その後、電解液注液孔22から非水電解液を注液し、この電解液注液孔22を密閉することにより作製されている。
【0041】
偏平状の巻回電極体11は、正極極板側では、積層された複数枚の正極芯体露出部14が2分割されてその間に正極用中間導電部材24が挟まれており、同じく負極極板側では、積層された複数枚の負極芯体露出部15が2分割されてその間に負極用中間導電部材25が挟まれている。また、正極用中間導電部材24の両側に位置する正極芯体露出部14の最外側の両側の表面にはそれぞれ正極用集電部材16が配置されており、負極用中間導電部材25の両側に位置する負極芯体露出部15の最外側の両側の表面にはそれぞれ負極用集電部材18が配置されている。なお、正極用中間導電部材24は正極芯体と同じ材料であるアルミニウム製であり、負極用中間導電部材25は負極芯体と同じ材料である銅製であるが、正極用中間導電部材24及び負極用中間導電部材25の形状は共に実質的に同一のものを使用し得る。
【0042】
これらの正極用集電部材16と正極芯体露出部14との間及び正極芯体露出部14と正極用中間導電部材24との間は共に抵抗溶接されており、また、負極用集電部材18と負極芯体露出部15との間及び負極芯体露出部15と負極用中間導電部材25との間は、共に抵抗溶接によって接続されている。
【0043】
以下、正極用中間導電部材24及び負極用中間導電部材25の形状、正極芯体露出部14、正極用集電部材16、正極用中間導電部材24間の抵抗溶接方法、及び、負極芯体露出部15、負極用集電部材18、負極用中間導電部材25間の抵抗溶接方法を
図2〜
図5を用いて詳細に説明する。しかしながら、実施形態1においては、正極用中間導電部材24及び負極用中間導電部材25の形状は実質的に同一であり、しかも、正極芯体露出部14、正極用集電部材16、正極用中間導電部材24間の抵抗溶接方法及び負極芯体露出部15、負極用集電部材18、負極用中間導電部材25間の抵抗溶接方法は、正極極板側のものであっても負極極板側であっても同様であるので、以下においては正極極板側のものに代表させて説明することとする。
【0044】
実施形態1の正極用中間導電部材24を
図2を用いて説明する。なお、
図2Aは正極用中間導電部材24の平面図であり、
図2Bは
図2AのIIB−IIB線に沿った断面図であり、
図2Cは正面図である。この正極用中間導電部材24は、円柱状の本体部24aの対向する二つの面のそれぞれに例えば円錐台状の凸部24bが形成されている。この円錐台状の凸部24bの高さは、抵抗溶接部材に一般的に形成されている突起(プロジェクション)と同程度、すなわち、数mm程度であればよい。この凸部24bは円錐台状のものに限定されず、三角錐台状や四角錐台状等の多角錐台状のもの、あるいは半球状のものも使用することができる。
【0045】
また、円柱状の本体部24aの径及び長さは、偏平状の巻回電極体11や電池外装缶12(
図1参照)によっても変化するが、3mm〜数10mm程度であればよい。なお、ここでは正極用中間導電部材24の本体部24aの形状は円柱状のものとして説明したが、角柱状、楕円柱状等、金属製のブロック状のものであれば任意の形状のものを使用することができる。また、正極用中間導電部材24の形成材料としては、銅、銅合金、アルミニウム、アルミニウム合金、タングステン、モリブデン等からなるものを使用することができ、更に、これらの金属からなるもののうち、凸部24bにニッケルメッキを施したもの、凸部24bとその根本付近までをタングステンもしくはモリブデン等の発熱を促進する金属材料に変更し、銅、銅合金、アルミニウム又はアルミニウム合金からなる正極用中間導電部材24の本体部24aにロー付け等によって接合したもの等も使用し得る。
【0046】
次いで、実施形態1の非水電解質二次電池10の具体的製造方法を説明する。
図3に示したように、偏平状の巻回電極体11のアルミニウム箔からなる正極芯体露出部14を積層し、この積層した正極芯体露出部14を巻回中央部分から両側に2分割し、電極体厚みの1/4を中心として正極芯体露出部14を集結させた。そして、正極芯体露出部14の最外周側の両側に正極用集電部材16、内周側に正極用中間導電部材24を、正極用中間導電部材24の両側の円錐台状の凸部24bがそれぞれ正極芯体露出部14と当接するように、配置した。ここで、集結させたアルミニウム箔の厚さは片側約660μmであり、総積層数は88枚(片側44枚)である。また、正極用集電部材16は厚さ0.8mmのアルミニウム板を打ち抜き、曲げ加工等にて製作した。なお、この正極用集電部材16はアルミニウム板から鋳造等にて製作してもよい。
【0047】
次いで、
図3に示したように、上下に配置された一対の抵抗溶接用電極31間に正極用集電部材16及び正極用中間導電部材24が配置された偏平状の巻回電極体11を配置し、一対の抵抗溶接用電極31をそれぞれ正極芯体露出部14の最外周側の両側に配置された正極用集電部材16に当接させる。そして、一対の抵抗溶接用電極31間に適度の圧力で押圧力を印加し、予め定めた一定の条件で抵抗溶接を実施する。
【0048】
この抵抗溶接で用いる一対の抵抗溶接用電極31及び正極集電部材16の具体的構成や抵抗溶接用電極に押圧力を印加する前後の形状の変化等を
図4を用いて説明する。なお、
図4Aは抵抗溶接用電極の平面図であり、
図4Bは抵抗溶接用電極の底面図であり、
図4Cは集電部材に形成された突出部の斜視図であり、
図4Dは一対の抵抗溶接用電極を押圧する前の各部の配置を示す拡大断面図であり、
図4Eは抵抗溶接用電極を押圧した後の各部の配置を示す拡大断面図である。
【0049】
抵抗溶接用電極31は、例えば銅製であり、
図4A及び
図4Bに示したように、円柱状の本体部31aと、本体部31aの抵抗溶接面側に先窄まり状の円錐台状の先端部31bとを有し、この円錐台状の先端部31bの端面が抵抗溶接面31cとなっている。また、正極用集電部材16としては、中間導電部材24側に突出する突出部16aを有するものを用いている。そして、抵抗溶接用電極31の抵抗溶接面31cの径Wは、
図4Dに示したように、正極用集電部材16の突出部16aの径W1よりも大きくされている。また、正極用集電部材16の突出部16aの径W1は、正極用中間導電部材24の凸部24bの径W2よりも大きくされている。なお、ここでは正極用集電部材16の突出部16aとしては、頂部が平坦面となっているものを使用した例を示したが、頂部が曲面状に突出もしくは窪んでいる状態のものであってもよい。
【0050】
そして、2分割された正極芯体露出部14間に、正極用中間導電部材24の両側の凸部24bがそれぞれ2分割された正極芯体露出部14と接するように配置し、この2分割された側の正極芯体露出部14の最外側の面に正極用集電部材16の突出部16aの頂部が接するように配置する。更に、両側の正極用集電部材16の最外面側にそれぞれ一対の抵抗溶接用電極31を配置する。
【0051】
このとき、抵抗溶接用電極31の抵抗溶接面31cが正極用集電部材16の突出部16aに基づく空隙16bを塞ぐように配置する、この状態の一方の側の抵抗溶接用電極31と、正極用集電部材16と、2分割されたた正極芯体露出部14と、正極用中間導電部材24との配置関係を
図4Dに示した。
図4Dの記載から明らかなように、正極用集電部材16の突出部16aと抵抗溶接用電極31の抵抗溶接面31cとの間に密閉された空隙16bが形成される。
【0052】
その後、一対の抵抗溶接用電極31を互いに対向するように押圧力を印加すると、正極用集電部材16の突出部16aの頂部は、2分割された正極芯体露出部14を挟んで、正極用中間導電部材24の凸部24bと対向する。そのため、一対の抵抗溶接用電極31を互いに対向するように押圧すると、正極用中間導電部材24の凸部24bによって、正極用集電部材16の突出部16aの頂部及び2分割された正極芯体露出部14は共に抵抗溶接用電極31の先端の抵抗溶接面16cに向かって変形し、ついには変形した正極用集電部材16の突出部16aの内側面が抵抗溶接用電極31の抵抗溶接面31cと接触する。そのため、正極用集電部材16の突出部16aと抵抗溶接用電極31の抵抗溶接面31cとの間の空隙16bは、
図4Eに示したように、正極用集電部材16の突出部16aの外周壁側に密閉状態で残留するようになり、その体積は小さくなる。
【0053】
そして、
図3に示したように、一対の抵抗溶接用電極31間に適度の圧力で押圧力を印加しつつ、抵抗溶接用電流を流すと、正極用集電部材16の突出部16a及び正極用中間導電部材24の凸部24bは共にプロジェクションとして作用するため、両者間に配置されている正極用集電部材16の突出部16a及び2分割された正極芯体露出部14は良好に発熱するため、大きなナゲットが形成される。そのため、正極用集電部材16と2分割された正極芯体露出部14との間及び2分割された正極芯体露出部14と正極用中間導電部材24との間の溶接強度は非常に強くなる。
【0054】
このとき、正極用集電部材16として、正極用集電部材16に形成された突出部16aの高さHが正極用集電部材16の厚さを越えていないものを使用すると、正極用集電部材16が平坦に近いために、正極用集電部材16と2分割された正極芯体露出部14との接触状態が良好となる。また、正極用集電部材16として、正極用集電部材16に形成された突出部16aの高さHが正極用中間導電部材24に設けられた凸部24bの高さよりも低いものを使用すると、正極用集電部材16と2分割された正極芯体露出部14との間及び2分割された正極芯体露出部14と正極用集電部材16との間の接触状況が良好となるため、スパッタが発生し難くなる。
【0055】
しかも、正極用集電部材16は抵抗溶接用電極31よりも熱容量が小さいので、抵抗溶接時には正極用集電部材16の表面の方が高温となり、しかも、正極用集電部材16の突出部16aと抵抗溶接用電極31の抵抗溶接面31cとの間に形成されている空隙16bは密閉状態となっているから、スパッタされたチリは、外部に飛び出すことが少なくなり、抵抗溶接用電極31の抵抗溶接面31cよりも正極用集電部材16の突出部16aの内表面に溶着するようになる。なお、このスパッタされたチリは、抵抗溶接後に抵抗溶接用電極31を取り除いても、正極用集電部材16の表面に付着したままとなっているので、剥離することが非常に少なくなる。
【0056】
なお、
図4Dに示したように、一対の抵抗溶接用電極31で押圧しながら抵抗溶接を行う際に、正極用集電部材16に形成された突出部16aと正極用中間導電部材24の凸部24b以外の部分、すなわち本体部24aとの間の距離Lを、正極用集電部材16に形成された突出部16aと正極用中間導電部材24との間に存在する積層された正極芯体露出部14の総厚み(芯体1枚の厚み×積層枚数)L2よりも大きい状態にして、抵抗溶接用電流を流すことが好ましい。このような配置関係とすると、抵抗溶接部の近傍において、正極用集電部材16に形成された突出部16a、正極芯体露出部14及び正極用中間導電部材24の突起部24b以外の部分、すなわち本体部24aのそれぞれの間に隙間が存在する状態となるため・BR>A正極用集電部材16に形成された突出部16a、正極芯体露出部14及び正極用中間導電部材24の本体部24aが密着しないので、この部分で正極用中間導電部材24の本体部24aへの放熱が起こり難く、抵抗溶接部が集中的に発熱し易くなる。
【0057】
ここで、上記実施形態1及び比較例の抵抗溶接時のスパッタの発生状態を
図5を用いて説明する。なお、
図5Aは実施形態1の抵抗溶接時の電流経路を説明するための拡大断面図であり、
図5Bは実施形態1の抵抗溶接時のスパッタの発生状態を示す拡大断面図であり、
図5Cは比較例の抵抗溶接時の電流経路を説明するための拡大断面図であり、
図5Dは比較例の抵抗溶接時のスパッタの発生状態を示す拡大断面図であり、
図5Eは別の比較例のスパッタの発生状態を示す拡大断面図である。
【0058】
実施形態1の抵抗溶接時の電流経路は、
図5Aに示したように、一対の抵抗溶接用電極31間に適度の圧力で押圧力を印加すると、正極用極用集電部材16の突出部16aの底面が抵抗溶接用電極31の抵抗溶接面31cと接触し、それと同時に抵抗溶接用電極31の抵抗溶接面31cとの間に、正極用集電部材16の突出部16aの外周壁側に、密閉状態に空隙16bが形成される。この状態で抵抗溶接用電流を流すと、
図5Aに示したように、電流経路は抵抗溶接用電極31の中央部に集中するので、正極用集電部材16の発熱状態が非常に良好となり、スパッタは
図5C及び
図5Dに示した比較例のものに比すると発生し難くなり、たとえスパッタが発生しても、このスパッタは
図5Bに示したように、正極用集電部材16の突出部16aの外周壁側に形成された密閉状態に空隙16b内に止まるようになり、この空隙16bから外部に飛び出し難くなる。
【0059】
それに対し、
図5C及び
図5Dに示した比較例の場合には、正極用集電部材16に突出部16aが形成されていないので、電流経路は抵抗溶接用電極16の抵抗溶接面31cの全体に広がるため、発熱の程度は上述した実施形態1の場合よりも劣る。しかも、スパッタが発生した際には、
図5Dに示すように、スパッタされたチリが外部に飛び出すため、作製された角形二次電池に不都合が生じやすくなる。なお、
図5Eに示すように、正極用集電部材16の突出部16aの形状を半球状とし、突出部16aの一部が抵抗溶接用電極16の抵抗溶接面31cに接する状態とせずに抵抗溶接を行った場合、突出部16aと正極芯体露出部14の間でスパッタが発生し易くなってしまう。また、突出部16aの形状を半球状とした場合、一対の抵抗溶接用電極31に押圧力を印加した際に位置ずれが生じやすく、突出部16aの一部が抵抗溶接用電極16の抵抗溶接面31cに接する状態に変形させ難いため、突出部の形状としては
図4Dに示すように平坦な頂部を有するもの、あるいは僅かに湾曲した略平坦な頂部を有する形状とすることが好ましい。
【0060】
なお、上記実施形態1では、抵抗溶接用電極31として円柱状の本体部31aと円錐台状の先端部31bを備えているものを使用した例を示した。しかしながら、抵抗溶接用電極31の本体部31aとして多角柱状のものも使用することができ、更に、先端部31bとしては多角錐台状のものも使用することができる。また、上記実施形態1では、正極用中間導電部材24として、円柱状の本体部24aの両端面に円錐台状の凸部24bが形成されているものを用いた例を示した。しかしながら、本発明においては、本体部24aや凸部24bは角錐台状のもの、すなわち、三角錐台状のものや四角錐台状のものや更に多角錐台状のものも使用することができる。
【0061】
なお、上記実施形態1では、一対の抵抗溶接用電極31で押圧しながら抵抗溶接を行う際に、正極用集電部材16に形成された突出部16aと正極用中間導電部材24の本体部24aとの間の距離Lを、正極用集電部材16に形成された突出部16aと正極用中間導電部材24との間に存在する積層された正極芯体露出部14の総厚みL2よりも大きい状態にして抵抗溶接を行った例を示した。このことは、正極用集電部材16として、正極用集電部材16に形成された突出部16aの高さが正極用中間導電部材24に設けられた凸部24bの高さよりも低いものを使用することを示している。
【0062】
すなわち、抵抗溶接では、被溶接部材同士の接触面積が増えるとそれだけ通電経路が増えることになって発熱が十分に得られなくなるが、正極用集電部材16に形成された突出部16aの高さHと正極用中間導電部材24の凸部24bの高さの関係が変わると、一対の抵抗溶接用電極31で加圧した場合には、正極用中間導電部材24の凸部24b、正極芯体露出部14及び正極用集電部材16に形成された突出部16aの接触面積が変化する。この接触面積は、正極用集電部材16に形成された突出部16aの高さHが高いとが大きくなり、正極用集電部材16に形成された突出部16aの高さHが低いと小さくなる。
【0063】
一方、
図4Eに示したように、一対の抵抗溶接用電極31で加圧した後の状態では、正極用集電部材16に形成された突出部16aの高さHが高いと、積層された正極用芯体露出部14と正極用中間導電部材24の凸部24bの付け根部分、すなわち正極用中間導電部材24の本体部24aとが接して強く圧着されるため、この部分での放熱が早く、発熱し難くなる。これに対し、正極用集電部材16に形成された突出部16aの高さが低いと、積層された正極芯体露出部14と正極用中間導電部材24の本体部24aとが接し難くなり、あるいは接していても強くは圧着されないため、この部分で放熱し難くなるので発熱し易く、安定した状態で抵抗溶接を行えるようになる。
【0064】
なお、正極用集電部材16として正極用集電部材16に形成された突出部16aの頂部の径W1と正極用中間導電部材24の凸部24bの径W2(いずれも
図4D参照)との関係が、W1/W2≧1.5のものを用いると、一対の抵抗溶接用電極31による押圧によって正極用集電部材24の突出部24aを変形させる際に位置決め時の中心のズレを吸収できるようになるので、抵抗溶接部の品質が安定化する。また、W1/W2の上限は、臨界的なものではないが、余り大きいと集電部材自体のサイズも増大化するため、W1/W2≦3.0とすることが好ましい。
【0065】
また、上記実施形態1では、積層された複数枚の正極芯体露出部14を2分割し、正極用集電部材16及び正極用中間導電部材24を用いて抵抗溶接する場合について述べたが、正極用中間導電部材24を正極用集電部材16に兼用してこの正極用中間導電部材24を正極端子17に接続してもよい。この場合、上記実施形態1で使用されている正極用集電部材に換えて、正極用中間導電部材24と同じ材料で形成された薄板材からなる溶接受け部材を用いればよい。
【0066】
[変形例]
上記実施形態1の正極用集電部材16としては、
図4Cに示したように、表面が平坦面の突出部16aが形成されているものを使用した例を示したが、
図6A及び
図6Bに示したように、突出部16aの底に抵抗溶接用電極31の突起部31cに対向する位置に凹み16cが形成されているものとしてもよい。このような凹み16cが形成されているものを用いると、抵抗溶接時に、正極用集電部材16に形成された突出部16aの凹み16cの裏側に正極用中間導電部材24の凸部24bに対応する部分が入り込むため、正極用集電部材16と正極用中間導電部材24との間の位置決めが行いやすくなる。
【0067】
[実施形態2]
上記実施形態1では、正極用中間導電部材24を1個のみ用いた例を示したが、正極用中間導電部材を複数個用いることもできる。このような正極用中間導電部材24を複数個用いた実施形態2の角形二次電池の例を
図7を用いて説明する。なお、
図7は実施形態2の角形二次電池における
図1Bに対応する断面図である。
【0068】
実施形態2で用いた正極用中間導電部材24は、実施形態1の正極用中間導電部材24と同形状のものを2個、例えば耐熱性樹脂材料からなる絶縁部材27に固定したものである。このような絶縁部材27に2個の正極用中間導電部材24が固定されたものを使用すると、2個の正極用中間導電部材24が絶縁部材27に安定的に固定されているので、2個の正極用中間導電部材24を2分割された正極芯体露出部14の間に挿入しやすくなると共に安定的に位置決めできるため、抵抗溶接部の品質が向上する。
【0069】
なお、絶縁部材27としては、少なくとも2個の正極用中間導電部材24の全ての突起が露出していれば、正極用中間導電部材24の長さを同じ幅を有するものであっても、それよりも狭い幅のものであってもよく、しかも、角柱状、面取り角柱状のものや、これらに適宜保持用治具によって保持しやすくするための溝や隙間を形成したものも使用することができる。また、正極用中間導電部材24の数は、角形二次電池の容量に応じて3個以上としてもよい。