(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、特許文献1に記載された医療容器では、高温の蒸気やガスを用いて槽内の滅菌処理を施すと、蒸気やガスによってカバーシートが押圧されて槽の内側に凹むように変形することになる。これにより、カバーシートの接着剤が塗布された面が保護シートに接触し、保護シートがカバーシートに接着されてしまう。
【0009】
保護シートがカバーシートに接着されると、カバーシートを槽から剥したときに、カバーシートと一緒に保護シートも取り除かれてしまう。そのため、カバーシートを槽から剥がすと、注射器が露出され、注射器内に細菌や埃等が入ってしまう可能性がある。
【0010】
一方、細菌や埃等の無い環境下でカバーシートを槽から剥がす場合は、保護シートを用いないこともある。しかし、この場合は、高温の蒸気やガスを用いて槽内の滅菌処理を施すと、カバーシートの接着剤が塗布された面が注射器に接触してしまう。その結果、注射器がカバーシートに接着されてしまったり、注射器に接着剤が転写されて異物として付着してしまったりするため、好ましくない。
【0011】
本発明は、上述の点に鑑みてなされたものであり、蒸気やガスを用いて槽(容器本体)内の滅菌処理を施しても、槽内の保護シート又は医療用具にカバーシート(封止部材)の接着剤が付着しない医療用具梱包体を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
上記課題を解決し、本発明の目的を達成するため、本発明の医療用具梱包体は、一端面と他端面とを有する医療用具と、医療用具を収納する医療用具収納容器とからなり、医療用具収納容器は、容器本体と、シート状の封止部材を備えている。
容器本体は、上端部と下端部とを有する周壁部と、下端部に連続し、下端部に囲まれた底部と、上端部に囲まれた開口部と、周壁部と底部と開口部とから形成される収納空間と、収納空間内に設けられ、一端面が上端向きになるように医療用具を保持する保持部を有する。
封止部材は、容器本体に接着され、容器本体の開口部を封止する。この封止部材の容器本体に対向する面は、接着剤が塗布された接着剤塗布領域と、接着剤が塗布されていない接着剤非塗布領域を有している。そして、接着剤非塗布領域は、少なくとも保持部に保持された医療用具の一端面に対向する領域である。
【0013】
本発明の医療用具梱包体では、封止部材の接着剤非塗布領域が少なくとも保持部に保持された医療用具の一端面に対向する領域に設定されている。そのため、滅菌処理時に蒸気やガスによって封止部材が押圧されて容器本体の内側に凹むように変形したときに、封止部材が保持部に保持された医療用具の一端面に接触しても、医療用具に接着剤が付着しない。その結果、医療用具が封止部材に接着されることがなく、医療用具を良好な状態に保つことができる。
また、医療用具と封止部材との間にインナーシート(保護シート)が配置されている場合は、封止部材がインナーシートに接触しても、インナーシートに接着剤が付着しない。
【0014】
なお、本発明は、以下の構成にすることもできる。
(1)
一端面と他端面とを有する医療用具と、前記医療用具を収納する医療用具収納容器とからなる医療用具梱包体であって、
前記医療用具収納容器は、
上端部と下端部とを有する周壁部と、前記下端部に連続し、前記下端部に囲まれた底部と、前記上端部に囲まれた開口部と、前記周壁部と前記底部と前記開口部とから形成される収納空間と、前記収納空間内に設けられ、前記一端面が上端向きになるように前記医療用具を保持する保持部を有する容器本体と、
前記容器本体に接着され、前記容器本体の前記開口部を封止するシート状の封止部材と、を備え、
前記封止部材の前記容器本体に対向する面は、接着剤が塗布された接着剤塗布領域と、接着剤が塗布されていない接着剤非塗布領域とを有し、前記接着剤非塗布領域は、少なくとも前記保持部に保持された前記医療用具の前記一端面に対向する領域である医療用具梱包体。
【0015】
(2)
前記医療用具は、一端面と他端面とを有し、前記一端面に薬液を充填するための充填口が設けられたシリンジであり、
前記保持部は、前記周壁部の内面に係合して前記底部に対向し、前記シリンジの前記一端面が上端向きになるように前記シリンジを保持するシリンジ保持部材からなる(1)に記載の医療用具梱包体。
【0016】
(3)
前記シリンジ保持部材に保持される前記シリンジの一端面側を覆うインナーシートを備える(2)に記載の医療用具梱包体。
【0017】
(4)
前記接着剤非塗布領域は、少なくとも前記インナーシートに対向する領域である(3)に記載の医療用具梱包体。
【0018】
(5)
前記接着剤非塗布領域は、少なくとも前記開口部に対向する領域である(1)〜(4)のいずれかに記載の医療用具梱包体。
【0019】
(6)
前記シリンジは、前記他端面を形成し、前記薬液を排出する排出部が設けられた(2)〜(5)のいずれかに記載の医療用具梱包体。
【0020】
(7)
前記容器本体は、前記上端部に連続し、前記上端部を囲むフランジ部を有し、
前記封止部材は、前記フランジ部に接着される(1)〜(6)のいずれかに記載の医療用具梱包体。
【0021】
(8)
前記封止部材は、熱を加えられた前記接着剤が融解することにより、前記容器本体に接着される(1)〜(7)のいずれかに記載の医療用具梱包体。
【0022】
(9)
前記容器本体に収納された前記医療用具は、前記封止部材を透過する高圧蒸気により、滅菌処理が施されている(1)〜(8)のいずれかに記載の医療用具梱包体。
【発明の効果】
【0023】
本発明の医療用具梱包体によれば、蒸気やガスを用いて容器本体内の滅菌処理を施しても、容器本体内の医療用具に接着剤が付着しないようにすることができる。
【発明を実施するための形態】
【0025】
以下、本発明の医療用具梱包体の実施の形態について、
図1〜
図9を参照して説明する。なお、各図において共通の部材には、同一の符号を付している。また、本発明は、以下の形態に限定されるものではない。
なお、説明は以下の順序で行う。
1.医療用具梱包体の第1の実施の形態
2.医療用具梱包体の第2の実施の形態
3.医療用具梱包体の第3の実施の形態
4.医療用具梱包体の第4の実施の形態
5.変形例
【0026】
1.医療用具梱包体の第1の実施の形態
[医療用具梱包体の構成]
まず、第1の実施の形態に係る医療用具梱包体の構成について、
図1及び
図2を参照して説明する。
図1は、第1の実施の形態に係る医療用具梱包体の斜視図である。
図2は、第1の実施の形態に係る医療用具梱包体の分解斜視図である。
【0027】
図1及び
図2に示すように、第1の実施の形態に係る医療用具梱包体を示すシリンジ梱包体80は、医療用具収納容器の一具体例を示すシリンジ収納容器1と、シリンジ収納容器1に収納された医療用具の一具体例を示すシリンジ10(
図2参照)から構成されている。
【0028】
シリンジ収納容器1は、複数のシリンジ10を同時に搬送、保管する場合に用いる。このシリンジ収納容器1は、複数のシリンジ10を保持するシリンジ保持部材30と、複数のシリンジ10を保持したシリンジ保持部材30を収納する容器本体40と、封止部材50と、インナーシート60を備えている。
【0029】
[シリンジ保持部材]
シリンジ保持部材30は、本発明に係る保持部の一具体例を示すものであり、後述する充填口15を上向きにした状態のシリンジ10を保持する。このシリンジ保持部材30は、容器本体40の後述する載置棚44(
図3参照)に載置され、容器本体40の後述する底部41に対向する。
【0030】
シリンジ保持部材30は、矩形で平板状のベース板31と、ベース板31の一方の面から突出する筒部32とを有している。ベース板31には、シリンジ10を挿入するための複数の貫通孔31a(
図5参照)が設けられている。
【0031】
貫通孔31aは、円形に形成さており、その直径は、シリンジ10における後述するシリンジ本体11の外径よりも大きい。複数の貫通孔31aは、ベース板31上に千鳥状に配置されている。これにより、隣り合う貫通孔31a間の距離が等しくなるので、シリンジ収納容器1の搬送中に、隣り合うシリンジ10が接触することを抑えることができる。
【0032】
図2に示すように、ベース板31の対向する2辺には、それぞれ切り欠き31bが形成されている。使用者は、切り欠き31bに指を挿入して、容器本体40に係止されたシリンジ保持部材30を簡単に取り外すことができる。
【0033】
筒部32は、ベース板31の貫通孔31aを覆うように形成されており、シリンジ10を挿入するための筒孔32a(
図5参照)を有している。この筒孔32aは、貫通孔31aに連通している。筒孔32aの径は、貫通孔31aの径と略等しい。この筒部32には、シリンジ10の後述するフランジ部16が係合する。
【0034】
[インナーシート]
インナーシート60は、四角形のシート状に形成されている。このインナーシート60の面積は、シリンジ保持部材30に保持されたシリンジ10の後述する充填口15側を覆う大きさに設定されている。インナーシート60は、シリンジ保持部材30に保持されたシリンジ10の後述するフランジ部16上に載置される。
【0035】
インナーシート60は、滅菌のための気体が透過可能であって、菌やウィルスなどの微粒子が透過不可能であることが好ましい。このインナーシート60の材料としては、例えば、デュポン社の高密度ポリエチレン不織布であるタイベック(登録商標)が挙げられる。なお、高密度ポリエチレン不織布によって形成した封止部材50は、不透明になる。
【0036】
[容器本体]
次に、容器本体40について、
図3を参照して説明する。
図3は、容器本体40の斜視図である。
【0037】
図3に示すように、容器本体40は、上端部と下端部とを有する周壁部42と、周壁部42の下端部に連続し、下端部に囲まれた底部41と、周壁部42の上端部に囲まれた開口部40aと、周壁部42の上端部に連続し、上端部を囲むフランジ43を有している。周壁部42と底部41と開口部40aに囲まれた容器本体40の内部空間は、シリンジ保持部材30及びシリンジ10を収納する収納空間となる。
【0038】
底部41は、略矩形の板状に形成されており、容器本体40の下端を構成する。底部41における内面41aの大きさは、シリンジ保持部材30におけるベース板31よりも小さく形成されている。
【0039】
フランジ43は、周壁部42の上端に略直交しており、四角形の枠状に形成されている。このフランジ43は、上端向きの上面43aと、下端向きの下面43bを有している。この上面43a及び下面43bは、平面に形成されている。そして、フランジ43の上面43aには、突条部45が形成されている。
【0040】
突条部45は、開口部40aを囲むように設けられており、フランジ43に沿って無端状に形成されている。つまり、突条部45は、フランジ43の全周に亘って形成されている。この突条部45には、封止部材50(
図2参照)が融着(接着)される。突条部45の幅は、フランジ43の幅よりも小さく設定されている。突条部45の幅としては、封止部材50を確実に融着させてシリンジ収納容器内を密閉することを考慮すると、2〜10mmが好ましい。また、突条部45の高さは、0.2〜0.5mm以上が好ましい。
【0041】
突条部45の外周の輪郭は、フランジ43の外周の輪郭よりも小さい。このため、封止部材50を突条部45に載せた際に、封止部材50が容器本体40の開口部40aに向かって撓みにくくなり、封止部材50が突条部45に確実に載る。そのため、封止部材50を突条部45に確実に融着させることができる。また、封止部材50を剥がす際に、フランジ43における突条部45よりも外側の上面を押さえることができるため、封止部材50を剥がし易くなる。
【0042】
突条部45の内周の輪郭は、周壁部42の上端における外周の輪郭よりも大きい。このため、封止部材50を熱融着する際に、突条部45の真下を受け冶具(不図示)で支えることができるため、封止部材50を突条部45に確実に融着できる。
【0043】
また、突条部45は、角形状45aを有している。この角形状45aは、フランジ43の4つの角部に配置されており、それぞれ直角に形成されている。この角形状45aには、封止部材50を容器本体40から剥がす際に、応力が集中する。その結果、封止部材50は、角形状45aから剥がれ易くなる。また、角形状45aがフランジ43の四隅にあるため、封止部材50を剥がす際に、常に、決まったところから剥がすことができる。そして、封止部材50がフランジ43の四隅以外から意図せずに剥がれることは無い。
【0044】
容器本体40及びシリンジ保持部材30は、高圧蒸気滅菌(オートクレーブ)やEOG(エチレンオキサイドガス)滅菌等の高温の蒸気やガスを用いた滅菌処理によって変性しないことが好ましい。これら容器本体40及びシリンジ保持部材30の材料としては、例えば、ポリプロピレン、ポリスチレン、ポリエチレン、ポリカーボネート、ABS樹脂、PET等の耐久性に優れた樹脂が挙げられる。また、容器本体40及びシリンジ保持部材30は、容器本体40の内部の視認性を確保するために、実質的に透明あるいは半透明であることが好まく、このような材料としては、上記樹脂のうち、ポリカーボネートやポリスチレン、PETが挙げられる。
【0045】
[封止部材]
次に、封止部材50について、
図4を参照して説明する。
図4は、封止部材50の容器本体40と対向する面を上方に向けた状態の斜視図である。
【0046】
封止部材50は、容器本体40におけるフランジ43(
図3参照)の外周の輪郭と略等しい四角形のシート状に形成されている。つまり、フランジ43に設けた突条部45の外周の輪郭は、封止部材50の外周の輪郭よりも小さく形成されている。封止部材50は、容器本体40のフランジ43に接着剤を用いて熱融着される。具体的には、フランジ43の突条部45に熱融着される。
【0047】
封止部材50は、滅菌のための気体が透過可能であって、菌やウィルスなどの微粒子が透過不可能であることが好ましい。この封止部材50の材料としては、例えば、デュポン社の高密度ポリエチレン不織布であるタイベック(登録商標)が挙げられる。なお、高密度ポリエチレン不織布によって形成した封止部材50は、不透明になる。
【0048】
封止部材50の容器本体40に対向する面には、接着剤塗布領域50aと、接着剤非塗布領域50bが形成されている。接着剤塗布領域50aには、熱可塑性の接着剤(ホットメルト)が塗布されている。接着剤塗布領域50aは、容器本体40のフランジ43に設けた突条部45に当接される。その後、封止部材50と突条部45の当接部分が型によって温められることにより、接着剤が溶解して封止部材50と突条部45が熱融着(接着)される。
【0049】
また、接着剤非塗布領域50bには、接着剤が塗布されていない。この接着剤非塗布領域50bは、シリンジ保持部材30(
図2参照)に保持されたシリンジ10の充填口15側に対向する領域に設定されている。
【0050】
[シリンジ]
次に、シリンジ10について、
図5を参照して説明する。
図5は、シリンジ梱包体80の部分縦断面図である。
【0051】
図5に示すように、シリンジ10は、中空の円筒体からなるシリンジ本体11と、このシリンジ本体11の先端側に形成された排出部12と、排出部12に固定された針管13とを有している。つまり、本実施の形態のシリンジ収納容器1は、針付きのシリンジ10を収納する。
【0052】
シリンジ本体の外径は、シリンジ保持部材30の貫通孔31a及び筒孔32aよりも小さい。このシリンジ本体11の内部には、充填された薬液を貯留する液室が形成されている。また、シリンジ本体11の排出部12と反対側である基端側には、シリンジ本体11の液室に薬液を充填するための充填口15が形成されている。
本実施の形態では、シリンジ本体11の充填口15側の端面を一端面とし、排出部12の端面を他端面とする。
【0053】
シリンジ本体11の充填口15の周囲には、外周の輪郭が楕円状に形成されたフランジ部16が設けられている。このフランジ部16は、その外径の少なくとも一部(例えば長径)がシリンジ保持部材30における筒孔32aの直径よりも大きく形成されている。そのため、筒孔32a及び貫通孔31aに挿入されたシリンジ10のフランジ部16は、筒部32の上端部に載置される。
なお、フランジ部16の形状は、本実施形態の楕円状に限られず、例えば、円環状であってもよい。
【0054】
排出部12には、キャップ部材20が装着されている。キャップ部材20は、略円筒状に形成されており、軸方向の一端が開口し、軸方向の他端が閉じている。このキャップ部材20は、排出部12及び排出部12から突出する針管13を覆う。キャップ部材20の材料としては、例えば、ゴムやエラストマー等の弾性部材が挙げられる。
シリンジ10は、排出部12にキャップ部材20を装着した状態で、シリンジ保持部材30に設けられた貫通孔31aに挿入されて、シリンジ保持部材30に保持される。
【0055】
[医療用具梱包体の組立方法]
次に、シリンジ梱包体80の組立方法について説明する。
【0056】
シリンジ梱包体80を組み立てるには、まず、シリンジ保持部材30と、容器本体40を用意する。そして、シリンジ保持部材30のベース板31を、容器本体40の載置棚44に載置する。これにより、シリンジ保持部材30が容器本体40に係合する。
【0057】
次に、シリンジ保持部材30の筒孔32a及び貫通孔31aにシリンジ10を挿入する。このシリンジ10の排出部12には、予めキャップ部材20が装着されている。これにより、キャップ部材20が装着されたシリンジ10がシリンジ保持部材30に保持され、容器本体40に収納される(
図3に示す状態)。
【0058】
次に、シリンジ保持部材30に保持された複数のシリンジ10のフランジ部16上に、インナーシート60を載置する。これにより、シリンジ保持部材30に保持された複数のシリンジ10の充填口15(フランジ部16)側が、インナーシート60によって覆われる。
【0059】
次に、封止部材50を容器本体40のフランジ43に設けた突条部45に載せる。そして、受け冶具(不図示)をフランジ43の下面43bに当接し、温められた金型(不図示)によって封止部材50を押圧する。これにより、封止部材50に塗布された接着剤が溶解して封止部材50と突条部45が熱融着(接着)され、シリンジ梱包体80が組み立てられる。
【0060】
フランジ43の下面43bが凹凸の無い平面に形成されているため、突条部45を設けた部分のフランジ43の厚みが確保される。これにより、封止部材50と突条部45との熱融着時において、加えられた熱により突条部45が変形することが無く、封止部材50と突条部45とを確実に熱融着(シール)することができる。
【0061】
金型(不図示)は、例えば、矩形の平板状に形成されており、封止部材50の表面全体を押圧する。このとき、突条部45のみが封止部材50に接触するため、フランジ43の突条部45以外の領域には、封止部材50が熱融着(接着)されない。つまり、封止部材50を常に突条部45に熱融着することができる。
【0062】
また、封止部材50に形成された接着剤塗布領域50a(
図4参照)は、容器本体40のフランジ43よりも面積が大きい。したがって、封止部材50が容器本体40に対してある程度ずれていても、封止部材50の接着剤塗布領域50aを容器本体40のフランジ43における突条部45に当接させることができる。その結果、封止部材50が容器本体40に対してある程度ずれていても、両者を接着することができる。
【0063】
また、容器本体40のフランジ43に設けた突条部45の外周の輪郭は、フランジ43及び封止部材50の外周の輪郭よりも小さいため、フランジ43と封止部材50の外縁部は、熱融着(シール)されていない。これにより、封止部材50を容器本体40から剥がすときに、封止部材50を把持し易くなり、封止部材50の剥離作業を簡便に行うことができる。
【0064】
シリンジ梱包体80を組み立てた後、開口部を有する滅菌用の包装袋でシリンジ梱包体80を包装し、包装袋の開口部を封止する。続いて、シリンジ包装体内のシリンジ梱包体80に対して、高圧蒸気滅菌(オートクレーブ)やEOG(エチレンオキサイドガス)滅菌等の高温の蒸気やガスを用いた滅菌処理を行う。
【0065】
滅菌用の包装袋は、その一部が封止部材50と同じく、滅菌のための気体が透過可能であって、菌やウィルスなどの微粒子が透過不可能である材料から形成されている。このため、滅菌のための気体である、高温の蒸気やガスが、包装袋内及びシリンジ梱包体80内まで透過できる。その結果、シリンジ梱包体80の外表面、シリンジ梱包体80内部のシリンジ保持部材30及びシリンジ保持部材30に保持されたシリンジ10に対して滅菌処理を行うことができる。
【0066】
シリンジ梱包体80に対して滅菌処理を施すと、高温の蒸気やガスによって封止部材50が押圧されて容器本体40の内側に凹むように変形する。これにより、封止部材50の容器本体40に対向する面は、インナーシート60を挟んでシリンジ保持部材30に保持された複数のシリンジ10の充填口15側に当接する(
図5参照)。
【0067】
上述したように、封止部材50の容器本体40に対向する面における複数のシリンジ10の充填口15側に対向する領域は、接着剤が塗布されていない接着剤非塗布領域50bである。つまり、封止部材50の接着剤非塗布領域50bは、高圧蒸気滅菌した際に、シリンジの充填口15側に向けて変形し、インナーシート60を介して充填口15と接触する。したがって、封止部材50のインナーシート60に接触する領域には、接着剤が塗布されていないため、インナーシート60に接着剤が付着することはない。その結果、シリンジ梱包体80の開封時に、インナーシート60が封止部材50と一緒に取り除かれることは無く、インナーシート60によって複数のシリンジ10の充填口15側を覆った状態を保つことができる。
【0068】
なお、封止部材50の容器本体40に対向する面における複数のシリンジ10の充填口15に対向する部分の外側の領域(接着剤塗布領域50a)のフランジ43よりも内側の領域は、容器本体40との接着部部分である突条部45に近い。そのため、突条部45(接着部)付近では、封止部材50がシリンジ10の充填口15に接近する方向に変形し難い。これにより、封止部材50の接着剤塗布領域50aは、インナーシート60と接触しにくい。また、突条部45(接着部)付近の封止部材50の下にはシリンジ10がない。このため、例え突条部45(接着部)付近の封止部材50が変形してインナーシート60と接触したとしても、インナーシート60は、封止部材50にならって変形し、封止部材50と接着するほど接着剤が付着しない。
【0069】
2.医療用具梱包体の第2の実施の形態
[医療用具梱包体の構成]
次に、第2の実施の形態に係る医療用具梱包体の構成について、
図6を参照して説明する。
図6は、第2の実施の形態に係る医療用具梱包体における封止部材の斜視図である。
【0070】
第2の実施の形態に係る医療用具梱包体は、第1の実施の形態のシリンジ梱包体80(
図2参照)と同様の構成を備えている。第2の実施の形態のシリンジ梱包体が、シリンジ梱包体80と異なるところは、封止部材のみである。そのため、ここでは、第2の実施の形態の医療用具梱包体における封止部材51ついて説明する。
【0071】
[封止部材]
図6に示す封止部材51は、容器本体40におけるフランジ43(
図2参照)の外周の輪郭と略等しい四角形のシート状に形成されている。封止部材51は、容器本体40のフランジ43に接着剤を用いて熱融着される。具体的には、フランジ43の突条部45に熱融着される。この封止部材51が第1の実施の形態に係る封止部材50(
図4参照)と異なるところは、接着剤塗布領域51aと接着剤非塗布領域51bである。
【0072】
接着剤塗布領域51aには、熱可塑性の接着剤(ホットメルト)が塗布されている。この接着剤塗布領域51aは、第1の実施の形態に係る封止部材50の接着剤塗布領域50a(
図4参照)よりも面積が小さいが、容器本体40のフランジ43(
図2参照)よりも面積が大きい。接着剤塗布領域51aは、容器本体40のフランジ43に設けた突条部45に当接される。その後、封止部材51と突条部45の当接部分が型によって温めることにより、接着剤が溶解して封止部材51と突条部45が熱融着(接着)される。
【0073】
また、接着剤非塗布領域51bは、接着剤が塗布されていない。この接着剤非塗布領域51bは、インナーシート60(
図2参照)に対向する領域に設定されている。
【0074】
このような構成を有する第2の実施の形態の医療用具梱包体においても、第1の実施の形態のシリンジ梱包体(医療用具梱包体)80と同様の効果を得ることができる。
【0075】
例えば、封止部材51に形成された接着剤塗布領域51aは、容器本体40のフランジ43よりも面積が大きい。したがって、封止部材51が容器本体40に対してある程度ずれていても、封止部材51の接着剤塗布領域51aを容器本体40のフランジ43における突条部45に当接させて、両者を接着することができる。
【0076】
また、第2の実施の形態の医療用具梱包体に対して滅菌処理を施したときに、封止部材51のインナーシート60に接触する領域には、接着剤が塗布されていないため、インナーシート60に接着剤が付着することはない。その結果、第2の実施の形態の医療用具梱包体の開封時に、インナーシート60が封止部材51と一緒に取り除かれることは無く、インナーシート60によって複数のシリンジ10の充填口15側を覆った状態を保つことができる。
【0077】
3.医療用具梱包体の第3の実施の形態
[医療用具梱包体の構成]
次に、第3の実施の形態に係る医療用具梱包体の構成について、
図7を参照して説明する。
図7は、第3の実施の形態に係る医療用具梱包体における封止部材の斜視図である。
【0078】
第3の実施の形態に係る医療用具梱包体は、第1の実施の形態のシリンジ梱包体80(
図2参照)と同様の構成を備えている。第3の実施の形態の医療用具梱包体が、シリンジ梱包体80と異なるところは、封止部材のみである。そのため、ここでは、第3の実施の形態の医療用具梱包体における封止部材52ついて説明する。
【0079】
[封止部材]
図7に示す封止部材52は、容器本体40におけるフランジ43(
図2参照)の外周の輪郭と略等しい四角形のシート状に形成されている。封止部材52は、容器本体40のフランジ43に接着剤を用いて熱融着される。具体的には、フランジ43の突条部45に熱融着される。この封止部材52が第1の実施の形態に係る封止部材50(
図4参照)と異なるところは、接着剤塗布領域52aと接着剤非塗布領域52bである。
【0080】
接着剤塗布領域52aには、熱可塑性の接着剤(ホットメルト)が塗布されている。この接着剤塗布領域52aは、第1の実施の形態に係る封止部材50の接着剤塗布領域50a(
図4参照)よりも面積が小さく、容器本体40のフランジ43(
図2参照)と略等しい面積に設定されている。接着剤塗布領域52aは、容器本体40のフランジ43に設けた突条部45に当接される。その後、封止部材52と突条部45の当接部分が型によって温めることにより、接着剤が溶解して封止部材52と突条部45が熱融着(接着)される。
【0081】
また、接着剤非塗布領域52bは、接着剤が塗布されていない。この接着剤非塗布領域51bは、開口部40a(
図2参照)に対向する領域に設定されている。
【0082】
このような構成を有する第3の実施の形態の医療用具梱包体においても、第1の実施の形態のシリンジ梱包体80(医療用具梱包体)と同様の効果を得ることができる。
【0083】
例えば、封止部材52に形成された接着剤塗布領域51aは、容器本体40のフランジ43と略等しい面積に設定されている。したがって、封止部材52が容器本体40に対してある程度ずれていても、封止部材51の接着剤塗布領域51aを容器本体40のフランジ43における突条部45に当接させて、両者を接着することができる。
【0084】
また、第3の実施の形態の医療用具梱包体に対して滅菌処理を施したときに、封止部材52のインナーシート60に接触する領域には、接着剤が塗布されていないため、インナーシート60に接着剤が付着することはない。その結果、シリンジ梱包体の第2の実施の形態の開封時に、インナーシート60が封止部材52と一緒に取り除かれることは無く、インナーシート60によって複数のシリンジ10の充填口15側を覆った状態を保つことができる。
【0085】
4.医療用具梱包体の第4の実施の形態
[医療用具梱包体の構成]
次に、第4の実施の形態に係る医療用具梱包体の構成について、
図8及び
図9を参照して説明する。
図8は、第4の実施の形態に係る医療用具梱包体の縦断面図である。
図9は、第4の実施の形態に係る医療用具梱包体の分解図である。
【0086】
図8及び
図9に示すように、第4の実施の形態に係る医療用具梱包体を示す針部材梱包体180は、医療用具収納容器のその他の具体例を示す針部材収納容器100と、針部材収納容器100に収納された医療用具のその他の具体例を示す針部材110から構成されている。
【0087】
針部材収納容器100は、針部材110を搬送、保管する場合に用いる。この針部材収納容器100は、針部材110を保持して収納する容器本体140と、封止部材150とを備えている。
【0088】
[容器本体]
次に、容器本体140について説明する。
図8に示すように、容器本体140は、上端部と下端部とを有する周壁部142と、周壁部142の下端部に連続し、下端部に囲まれた底部141と、周壁部142の上端部に囲まれた開口部140aと、周壁部142の上端部に連続するフランジ143を有している。周壁部142と底部141と開口部140aに囲まれた容器本体140の内部空間は、針部材110を収納する収納空間となる。
【0089】
底部141は、略円形の板状に形成されており、容器本体140の下端を構成する。周壁部142は、略円筒状に形成されており、底部141に連続する下側筒145と、下側筒147に連続するテーパ筒146と、テーパ筒146に連続する上側筒147を有している。下側筒145は、上側筒よりも径が小さく設定されている。
【0090】
テーパ筒146は、上側筒147側に向かうに連れて径が連続的に大きくなる。このテーパ筒146の内面は、針部材110に装着される後述するキャップ部材120と係合する。また、テーパ筒146の内面における上側筒147側には、段部146aが形成されている。この段部146aに、後述する針部材110の接続部113が当接することで、針部材110が容器本体140内に保持される。つまり、この段差部146aは、本発明に係る保持部のその他の具体例を示すものである。なお、この段差部146aは省略されていてもよい。この場合、後述するキャップ部材120がテーパ筒146の内面に係合することで、針部材110が容器本体140内に保持される。つまり、このテーパ筒146の内面は、本発明に係る保持部のその他の具体例を示すものである。
【0091】
フランジ143は、周壁部142の上端に略直交しており、着環状の枠状に形成されている。このフランジ143は、上端向きの上面143aと、下端向きの下面143bを有している。この上面143a及び下面143bは、平面に形成されている。
【0092】
容器本体140は、高圧蒸気滅菌(オートクレーブ)やEOG(エチレンオキサイドガス)滅菌等の高温の蒸気やガスを用いた滅菌処理によって変性しないことが好ましい。容器本体140の材料としては、例えば、ポリプロピレン、ポリスチレン、ポリエチレン、ポリカーボネート、ABS樹脂、PET等の耐久性に優れた樹脂が挙げられる。
【0093】
[封止部材]
次に、封止部材150について説明する。
図9に示すように、封止部材150は、シート状に形成されており、円形部150aと、円形部150の一部に連続する把持部150bを有している。円形部150aの外径は、容器本体140におけるフランジ143の外周の輪郭よりも少し大きく設定されている。封止部材150の円形部150aは、容器本体140のフランジ143に接着剤を用いて熱融着される。把持部150bは、一辺が円形部150bに連続する略三角形に形成されている。この把持部150bは、容器本体140に接着されない。
【0094】
封止部材150は、滅菌のための気体が透過可能であって、菌やウィルスなどの微粒子が透過不可能であることが好ましい。この封止部材150の材料としては、例えば、デュポン社の高密度ポリエチレン不織布であるタイベック(登録商標)が挙げられる。なお、高密度ポリエチレン不織布によって形成した封止部材150は、不透明になる。
【0095】
封止部材150の容器本体140に対向する面には、接着剤塗布領域151aと、接着剤非塗布領域151bが形成されている。接着剤塗布領域151aには、熱可塑性の接着剤(ホットメルト)が塗布されている。接着剤塗布領域151aは、容器本体40のフランジ143に当接される。その後、封止部材150とフランジ143の当接部分が型によって温められることにより、接着剤が溶解して封止部材150とフランジ143が熱融着(接着)される。
【0096】
また、接着剤非塗布領域151bには、接着剤が塗布されていない。この接着剤非塗布領域151bは、容器本体140に収納された針部材110の後述する接続部(一端面)103に対向する領域に設定されている。
【0097】
[針部材]
次に、針部材110について説明する。
図8及び
図9に示す針部材110は、先端部がゴム栓で封止されたシリンジ(ペン型シリンジなど)に取り付けられる。この針部材110は、両端に針先を有する両頭針111と、この両頭針111の中間部を保持する針保持部112と、針保持部112に連続する接続部113を備えている。
【0098】
図8に示すように、針保持部112は、略円柱状に形成されており、両頭針111の中間部を保持している。接続部113は、針保持部112の軸方向の一端部に連続して設けられており、筒孔113aを有する略円筒状に形成されている。接続部113内には、両頭針111の一端部が配置されている。
【0099】
本実施の形態では、接続部113における針保持部112と反対側の端面を針部材110の一端面とし、針保持部112における接続部113と反対側の端面を針部材110の他端面とする。針部材110の一端面は、封止部材150に対向する。また、接続部113の針保持部112側の端面は、容器本体140の段部146aに当接される。
【0100】
接続部113の内周面には、雌ねじ部113bが形成されている。この接続部113には、先端がゴム栓で封止されたシリンジの先端部が螺合される。つまり、シリンジの先端部には、針部材110の雌ねじ部113bに螺合する雄ねじ部が設けられている。針部材110の接続部113にシリンジの先端部を接続させると、両頭針111の一端部に形成された針先が、シリンジの先端部を封止するゴム栓に穿刺される。その結果、両頭針111とシリンジの内部空間が連通される。
【0101】
針保持部112には、キャップ部材120が装着されている。キャップ部材120は、略円筒状に形成されており、軸方向の一端が開口し、軸方向の他端が閉じている。このキャップ部材120は、針保持部112から突出する両頭針111の他端部を覆う。また、キャップ部材120の外周面には、容器本体140におけるテーパ筒147の内面に係合する突部121が設けられている。
【0102】
このような構成を有する針部材梱包体180においても、第1〜第3の実施の形態のシリンジ梱包体と同様の効果を得ることができる。つまり、針部材梱包体180に対して滅菌処理を施すと、高温の蒸気やガスによって封止部材150が押圧されて容器本体140の内側に凹むように変形する。これにより、封止部材150の容器本体140に対向する面は、針部材110における接続部113の端面に当接する。
【0103】
上述したように、封止部材150の容器本体140に対向する面における接続部113側に対向する領域は、接着剤が塗布されていない接着剤非塗布領域151bである。したがって、封止部材150の容器本体140に対向する面が針部材110における接続部113の端面に当接しても、接続部113に接着剤が付着することはない。
【0104】
5.変形例
以上、医療用具梱包体の実施の形態について、その作用効果も含めて説明した。しかしながら、本発明の医療用具梱包体は、上述しかつ図面に示した実施の形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載した発明の要旨を逸脱しない範囲内で種々の変形実施が可能である。
【0105】
例えば、上述の第1〜3の実施の形態の医療用具梱包体は、医療用具の一具体例であるシリンジ10を収納する構成とした。また、第4の実施の形態の医療用具梱包体は、医療用具のその他の具体例である針部材110を収納する構成とした。しかし、本発明に係る医療用具としては、例えば、チューブ同士、シリンジとチューブ、または薬剤容器とチューブを接続するコネクタを適用してもよい。
【0106】
また、上述の第1〜第4の実施の形態では、不織布の接着剤塗布領域にする部分に接着剤を塗布して封止部材を製造した。しかし、本発明に係る封止部材としては、全面に接着剤が塗布された不織布に、接着剤非塗布領域の大きさに形成された不織布を貼り合わせて製造してもよい。
【0107】
また、インナーシート60によって複数のシリンジ10の充填口15側を覆った状態を保つには、インナーシート60を2枚以上重ねてシリンジ10のフランジ部16上に載置しておいてもよい。
この場合は、封止部材の容器本体40に対向する面の全面に接着剤が塗布されていても、一番上又は一番上から数枚までのインナーシート60が封止部材に接着されることになる。そして、一番下又は一番下から数枚までのインナーシート60により複数のシリンジ10の充填口15側を覆うことができる。
【0108】
また、上述の第1〜第3の実施の形態では、医療用具梱包体がインナーシート60を備える構成とした。しかし、本発明の医療用具梱包体は、インナーシート60を備えない構成にすることもできる。例えば、細菌や埃等の無い環境下でシリンジ梱包体を開封してシリンジに薬液を充填する場合は、シリンジの充填口側が露出されていても、シリンジ内に細菌や埃等が入り込むことが無い。この場合は、インナーシート60を省くことができる。
【0109】
また、上述の第1の実施の形態では、封止部材50の接着剤非塗布領域50bを複数のシリンジ10に対向する領域とし、上述の第2の実施の形態では、封止部材51の接着剤非塗布領域51bをインナーシート60に対向する領域とした。そして、第3の実施の形態では、封止部材52の接着剤非塗布領域52bを開口部40aに対向する領域とした。しかしながら、本発明に係る接着剤非塗布領域は、これらに限定されず、少なくとも複数のシリンジ10に対向する領域を含み、封止部材と容器本体の接着を妨げない領域であればよい。
本発明に係る接着剤非塗布領域としては、例えば、容器本体40のフランジ43に設けた突条部45の内周の輪郭よりも内側の部分に対向する領域に設定してもよい。つまり、接着剤塗布領域を突条部45に対向する領域に設定してもよい。この場合は、使用する接着剤の量を減らすことができるため、医療用具梱包体の製造に要するコストの削減を図ることができる。なお、この場合は、封止部材と容器本体を高精度に位置合せして、接着不良を回避する必要がある。
【0110】
また、上述の第1〜第3の実施の形態では、容器本体40のフランジ43に封止部材との接着箇所になる突条部45を設ける構成とした。しかしながら、本発明に係る容器本体としては、フランジ43に突条部45を形成していないものであってもよい。この場合は、フランジ43の上面43aに封止部材を熱融着(接着)する。
このような容器本体を用いる場合は、フランジ43よりも面積の大きい接着剤塗布領域50aを有する封止部材50、又はフランジ43よりも面積の大きい接着剤塗布領域51aを有する封止部材51を封止部材として適用するとよい。これにより、封止部材50又は51が容器本体に対してある程度ずれていても、接着剤塗布領域50a又は51aを容器本体のフランジ43に当接させて、両者を接着することができる。
【0111】
また、上述の第1〜第3の実施の形態では、周壁部42の縦断面形状をクランク状にすることで載置棚44を形成した。しかし、本発明に係る載置棚としては、例えば、周壁部の内面に連続し、底部41に対して略平行に突出する突出部であってもよい。
また、本発明に係る載置棚は、周壁部の内壁面に沿って周方向に連続する必要な無く、シリンジ保持部材を支持できれば、周壁部の内壁面に沿って不連続に設けられていてもよい。この場合、載置棚は、周壁部の内面および底部41と連続し、底部41に対して略平行に突出する複数のリブにより形成されていてもよい。
【0112】
また、上述の第1〜第3の実施の形態では、容器本体40を上部が開口された箱状に形成した。しかし、本発明に係る容器本体としては、例えば、有底の円筒状に形成してもよい。
【0113】
また、上述の第1〜第3の実施の形態では、針付きのシリンジ10を収納するシリンジ収納容器1及びシリンジ梱包体80を例に挙げて説明した。しかし、本発明の医療用具梱包体は、針が取り付けられていないシリンジを収納するものであってもよい。
【0114】
また、上述の第1〜第3の実施の形態のシリンジ保持部材30は、充填口15が上向き(上端向き)になるようにシリンジ10を保持する。しかし、シリンジに薬液(薬剤)を充填する方法としては、充填用ノズルを用いてシリンジの排出部から薬液(薬剤)を充填する方法もある。このような方法によりシリンジに薬液(薬剤)を充填する場合は、シリンジ保持部材により、排出部が上向き(上端向き)になるようにシリンジを保持する。この場合は、シリンジの排出部が薬液を充填する充填口を兼ねており、シリンジの排出部側が本発明に係る医療用具の一端面となる。
【0115】
また、上述の第1〜第3の実施の形態では、フランジ43の外周の輪郭と略等しい四角形に形成された封止部材を用いた。しかし、本発明に係る封止部材としては、長い帯状に形成され、ロール状に巻回して保管されているものを用いてもよい。
この場合におけるシリンジ梱包体(医療用具梱包体)の組立方法としては、シリンジ10が保持されたシリンジ保持部材30を載置した容器本体40を多数並べる。次に、並べられた多数の容器本体40を覆う分だけロールから封止部材を引き出し、多数の容器本体40の突条部45に載せる。続いて、引き出した封止部材の大きさに対応した金型で、封止部材を加熱及び加圧して、突条部45と封止部材とを接着剤を用いて熱融着する。その後、各容器本体40におけるフランジ43の外周の輪郭に沿って、封止部材を切断することで、シリンジ梱包体80が組み立てられる。