特許第6072765号(P6072765)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6072765
(24)【登録日】2017年1月13日
(45)【発行日】2017年2月1日
(54)【発明の名称】X線撮像システムおよび方法
(51)【国際特許分類】
   A61B 6/03 20060101AFI20170123BHJP
   A61B 6/00 20060101ALI20170123BHJP
   G01T 1/20 20060101ALI20170123BHJP
【FI】
   A61B6/03 320S
   A61B6/00 300Q
   G01T1/20 B
   G01T1/20 E
   G01T1/20 G
   G01T1/20 L
   A61B6/03 373
   A61B6/03ZDM
【請求項の数】19
【全頁数】17
(21)【出願番号】特願2014-502841(P2014-502841)
(86)(22)【出願日】2012年3月30日
(65)【公表番号】特表2014-515659(P2014-515659A)
(43)【公表日】2014年7月3日
(86)【国際出願番号】US2012031499
(87)【国際公開番号】WO2012135644
(87)【国際公開日】20121004
【審査請求日】2014年10月10日
(31)【優先権主張番号】13/078,596
(32)【優先日】2011年4月1日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】511268166
【氏名又は名称】メドトロニック・ナビゲーション,インコーポレーテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100140109
【弁理士】
【氏名又は名称】小野 新次郎
(74)【代理人】
【識別番号】100075270
【弁理士】
【氏名又は名称】小林 泰
(74)【代理人】
【識別番号】100101373
【弁理士】
【氏名又は名称】竹内 茂雄
(74)【代理人】
【識別番号】100118902
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 修
(74)【代理人】
【識別番号】100118083
【弁理士】
【氏名又は名称】伊藤 孝美
(72)【発明者】
【氏名】ヘルム,パトリック・エイ
(72)【発明者】
【氏名】シー,シュワーンゲ
【審査官】 長井 真一
(56)【参考文献】
【文献】 特開平06−296607(JP,A)
【文献】 特開平05−034463(JP,A)
【文献】 特表2007−532864(JP,A)
【文献】 特開2000−005154(JP,A)
【文献】 特開2007−167647(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2010/0059683(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B 6/00−6/14
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
コーン形のビームであるX線放射ビームを投射するX線源と、
前記X線放射ビームを所定の場所で受けるように位置される単一のX線検出器と、
を備え、前記X線検出器は、
(i)第1の面、および前記第1の面とは反対側の第2の面を有する単一のモノリシック基板と、
(ii)前記第1の面上に配置されるとともに、第1の領域および第2の領域を含み、前記第1の領域が第1のX線感度を有し、前記第2の領域が前記第1のX線感度とは異なる第2のX線感度を有する、単一のシンチレーション層と、
(iii)前記第2の面上に配置されるフォトセンサアレイと、
を含み、
前記X線源および前記X線検出器は、前記X線検出器が前記X線放射ビームを受ける場所を調整し前記場所が主に前記第1の領域内または前記第2の領域内にあるようにするべく構成され、
(a)平面において前記第1の領域が前記第2の領域によって取り囲まれており、または(b)前記第1の領域が前記X線検出器の単一の角部のみに限定され、
前記X線源は、前記X線検出器が前記X線放射ビームを受ける場所を調節するために第1の位置と第2の位置との間でロータおよび前記X線検出器に対して回動可能であり、
前記X線源が前記第1の位置へ回動したときは、前記場所の大部分は前記第1の領域内にあり、
前記X線源が前記第2の位置へ回動したときは、前記場所の大部分は前記第2の領域内にある、X線撮像システム。
【請求項2】
前記単一のモノリシック基板がガラスである請求項1に記載のX線撮像システム。
【請求項3】
前記X線源および前記X線検出器は、前記X線検出器が前記X線放射ビームを受ける前記場所を調整し前記場所が全体的に前記第1の領域内または前記第2の領域内にあるようにするべく構成される請求項1に記載のX線撮像システム。
【請求項4】
前記単一のシンチレーション層は、前記単一のモノリシック基板上にシンチレーション材料を堆積させることによって形成される請求項1に記載のX線撮像システム。
【請求項5】
前記第1の領域がシンチレーション材料の第1の厚さを有し、前記第2の領域が前記第1の厚さとは異なるシンチレーション材料の第2の厚さを有する請求項1に記載のX線撮像システム。
【請求項6】
前記単一のシンチレーション層は、前記単一のモノリシック基板上にシンチレーション材料を堆積させることによって形成される請求項5に記載のX線撮像システム。
【請求項7】
前記X線源は、前記第1の領域で受けられる前記X線放射ビームをフィルタ処理するようになっている第1のフィルタと、前記第2の領域で受けられる前記X線放射ビームをフィルタ処理するようになっている第2のフィルタとを含み、前記第1のフィルタが第1の組のフィルタリング特性を有し、前記第2のフィルタが前記第1の組のフィルタリング特性とは異なる第2の組のフィルタリング特性を有する請求項1に記載のX線撮像システム。
【請求項8】
前記X線源および前記X線検出器と一体化されるナビゲーションシステムを更に備える請求項1に記載のX線撮像システム。
【請求項9】
X線撮像システムと共に用いるための撮像方法において、該撮像方法は、
コーン形のビームであるX線放射ビームを投射するように構成されるX線源と前記X線放射ビームを所定の場所で受けるためのX線検出器との間に患者を位置させるステップであって、前記X線検出器が、
(i)第1の面、および前記第1の面とは反対側の第2の面を有する単一のモノリシック基板と、
(ii)前記第1の面上に配置されるとともに、第1の領域および第2の領域を含み、前記第1の領域が第1のX線感度を有し、前記第2の領域が前記第1のX線感度とは異なる第2のX線感度を有する、単一のシンチレーション層であって、(a)平面において前記第1の領域が前記第2の領域によって取り囲まれており、または(b)前記第1の領域が前記X線検出器の単一の角部のみに限定されている、単一のシンチレーション層と、
(iii)前記第2の面上に配置されるフォトセンサアレイと、
を含む、ステップと、
前記場所を撮像されるべき前記患者の対象領域に対応するように調整し、それにより、前記X線放射ビームの少なくとも一部が前記対象領域を通過して主に前記第1の領域に衝突するようにする、ステップであって、該場所を調整するステップは、前記X線源を、
前記X線検出器が前記X線放射ビームを受ける場所を調節するために第1の位置と第2の位置との間でロータおよび前記X線検出器に対して回動することを含み、前記X線源が前記第1の位置へ回動したときは、前記場所の大部分は前記第1の領域内にあり、前記X線源が前記第2の位置へ回動したときは、前記場所の大部分は前記第2の領域内にある、ステップと、
前記患者を撮像して、前記患者の前記対象領域に関して第1の画質を有し前記対象領域以外の前記患者の部分に関して第2の画質を有する画像を生成するステップであって、前記第1の画質が前記第1の領域に対応し、前記第2の画質が前記第2の領域に対応する、ステップと、
を含む撮像方法。
【請求項10】
撮像する前記ステップは、前記X線放射ビームをガラスの層に通す工程を含み、
前記単一のモノリシック基板は前記ガラスの層を含む、請求項9に記載の方法。
【請求項11】
撮像する前記ステップは、前記単一のシンチレーション層に前記X線放射ビームを通す工程を含み、
前記単一のシンチレーション層は前記モノリシック基板上に堆積されたシンチレーション材料を含む、請求項9に記載の方法。
【請求項12】
撮像する前記ステップは、前記第1の領域がシンチレーション材料の第1の厚さを有し前記第2の領域が前記第1の厚さとは異なるシンチレーション材料の第2の厚さを有する前記単一のシンチレーション層に前記X線放射ビームを通す工程を含む請求項9に記載の方法。
【請求項13】
撮像する前記ステップは、前記単一のモノリシック基板上にシンチレーション材料を堆積させることにより形成された前記単一のシンチレーション層に前記X線放射ビームを通す工程を含む請求項12に記載の方法。
【請求項14】
撮像する前記ステップは、前記第1の領域に対応する第1のモノリシックフォトセンササブアレイと前記第2の領域に対応する第2のモノリシックフォトセンササブアレイとを含む前記フォトセンサアレイへ向けて前記X線放射ビームを投射する工程を含む請求項9に記載の方法。
【請求項15】
前記第1のモノリシックフォトセンササブアレイが第1の組の性能パラメータを有し、前記第2のモノリシックフォトセンササブアレイが前記第1の組の性能パラメータとは異なる第2の組の性能パラメータを有する請求項14に記載の方法。
【請求項16】
撮像する前記ステップは、前記X線放射ビームを、前記第1の領域で受けられる前記X線放射ビームをフィルタ処理するようになっている第1のフィルタと、前記第2の領域で受けられる前記X線放射ビームをフィルタ処理するようになっている第2のフィルタとに通す工程を含み、前記第1のフィルタが第1の組のフィルタリング特性を有し、前記第2のフィルタが前記第1の組のフィルタリング特性とは異なる第2の組のフィルタリング特性を有する請求項9に記載の方法。
【請求項17】
X線放射ビームを投射するX線源と、
コーン形のビームである前記X線放射ビームを所定の場所で受けるように位置されるX線検出器であって、該X線検出器は、
(i)第1の面、および前記第1の面とは反対側の第2の面を有する単一のモノリシック基板と、
(ii)前記第1の面上に配置されるとともに、第1の領域および第2の領域を含み、前記第1の領域が第1のX線感度を有し、前記第2の領域が前記第1のX線感度とは異なる第2のX線感度を有する、単一のシンチレーション層であって、(a)平面において前記第1の領域が前記第2の領域によって完全に取り囲まれており、または(b)前記第1の領域が前記X線検出器の単一の角部のみに限定されている、単一のシンチレーション層と、
(iii)前記第2の面上に配置されるフォトセンサアレイと、
を含む、X線検出器と、
前記X線源およびX線発生器に結合され、前記X線源および前記X線発生器により撮像される患者の画像を生成するように構成されるとともに、前記患者の前記画像を表示するように構成される表示装置を含むコンピュータシステムと、
を備え、
前記コンピュータシステムは、前記場所を前記患者の対象領域に対応するように調整し、それにより、前記X線放射ビームの少なくとも一部が前記対象領域を通過して主に前記第1の領域に衝突するようにするべく構成され、
前記患者の前記画像は、前記患者の前記対象領域に関して第1の画質を有するとともに、前記対象領域以外の前記患者の部分に関して第2の画質を有し、前記第1の画質が前記第1の領域に対応し、前記第2の画質が前記第2の領域に対応し、
前記X線源は、前記X線検出器が前記X線放射ビームを受ける場所を調節するために第1の位置と第2の位置との間でロータおよび前記X線検出器に対して回動するように構成され、
前記X線源が前記第1の位置へ回動したときは、前記場所の大部分は前記第1の領域内にあり、
前記X線源が前記第2の位置へ回動したときは、前記場所の大部分は前記第2の領域内にある、X線撮像システム。
【請求項18】
前記第1の領域がシンチレーション材料の第1の厚さを有し、前記第2の領域が前記第1の厚さとは異なるシンチレーション材料の第2の厚さを有する請求項17に記載のX線撮像システム。
【請求項19】
前記単一のシンチレーション層は、前記単一のモノリシック基板上に前記シンチレーション材料を堆積させることによって形成される請求項18に記載のX線撮像システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
[0001]本開示は、X線撮像システムに関し、特に、単一のX線検出器により異なる撮像特性を与えるX線撮像システムに関する。
【背景技術】
【0002】
[0002]この節は、必ずしも従来技術とは限らない本開示に関連する背景情報を与える。
[0003]ヒト患者などの被検体は、患者の生体構造を修正しまたは増強させるための外科的処置を受けることを選択するまたは外科的処置を受けざるを得ない場合がある。生体構造の増強は、骨の移動または増強、移植可能な装置の挿入、または、他の適した処置など、様々な処置を含み得る。外科医は、磁気共鳴撮像(MRI)システム、コンピュータ断層撮影(CT)システム、蛍光透視(例えば、C−Arm撮像システム)、または、他の適した撮像システムなどの撮像システムを使用して取得され得る患者の画像を用いて被検体に対して処置を行うことができる。
【0003】
[0004]患者の画像は、処置の計画および処置の実行を含めて処置を行う外科医を支援できる。外科医は、患者の2次元画像表示または3次元画像表示を選択してもよい。画像は、外科医が処置を行う際に上層組織(皮膚組織および筋肉組織を含む)を除去することなく患者の生体構造を観察できるようにすることにより、低侵襲技術を用いた処置を行う外科医を支援できる。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0004】
[0005]この節は、開示の一般的な概要を与えるものであり、開示の全範囲または開示の特徴の全ての包括的な開示ではない。
[0006]様々な実施形態によれば、X線撮像システムは、X線放射ビームを投射するX線源と、X線放射ビームを所定の場所で受けるように位置されるX線検出器とを含むことができる。X線検出器は、(i)第1の面、および第1の面とは反対側の第2の面を有するモノリシック基板と、(ii)第1の面上に配置されるとともに、第1の領域および第2の領域を含み、第1の領域が第1のX線感度を有し、第2の領域が第1のX線感度とは異なる第2のX線感度を有する、シンチレーション層と、(iii)第2の面上に配置されるフォトセンサアレイとを含むことができる。X線源およびX線検出器は、X線検出器がX線放射ビームを受ける場所を調整しこの場所が主に第1の領域内または第2の領域内にあるようにするべく構成され得る。
【0005】
[0007]X線撮像システムと共に用いるための撮像方法は、X線放射ビームを投射するように構成されるX線源とX線放射ビームを所定の場所で受けるためのX線検出器との間に患者を位置させるステップを含むことができる。X線検出器は、(i)第1の面、および第1の面とは反対側の第2の面を有するモノリシック基板と、(ii)第1の面上に配置されるとともに、第1の領域および第2の領域を含み、第1の領域が第1のX線感度を有し、第2の領域が第1のX線感度とは異なる第2のX線感度を有する、シンチレーション層と、(iii)第2の面上に配置されるフォトセンサアレイとを含むことができる。また、方法は、前記場所を撮像されるべき患者の対象領域に対応するように調整し、それにより、X線放射ビームの少なくとも一部が対象領域を通過して主に第1の領域に衝突するようにする、ステップを含むことができる。また、方法は、患者を撮像して、患者の対象領域に関して第1の画質を有し対象領域以外の患者の部分に関して第2の画質を有する画像を生成するステップであって、第1の画質が第1の領域に対応し、第2の画質が第2の領域に対応する、ステップを含むことができる。
【0006】
[0008]X線撮像システムは、X線放射ビームを投射するX線源と、X線放射ビームを所定の場所で受けるように位置されるX線検出器と、X線源およびX線検出器に結合されるコンピュータシステムとを含むことができる。X線検出器は、(i)第1の面、および第1の面とは反対側の第2の面を有するモノリシック基板と、(ii)第1の面上に配置されるとともに、第1の領域および第2の領域を含み、第1の領域が第1のX線感度を有し、第2の領域が第1のX線感度とは異なる第2のX線感度を有する、シンチレーション層と、(iii)第2の面上に配置されるフォトセンサアレイとを含むことができる。コンピュータシステムは、X線源およびX線発生器により撮像される患者の画像を生成するように構成され得る。コンピュータシステムは、患者の画像を表示するように構成される表示装置を含むことができる。また、コンピュータシステムは、前記場所を患者の対象領域に対応するように調整し、それにより、X線放射ビームの少なくとも一部が対象領域を通過して主に第1の領域に衝突するようにするべく構成され得る。患者の画像は、患者の対象領域に関して第1の画質を有するとともに、対象領域以外の患者の部分に関して第2の画質を有することができる。第1の画質は第1の領域に対応することができ、また、第2の画質は第2の領域に対応することができる。
【0007】
[0009]更なる適用分野は、本明細書中で与えられる説明から明らかとなる。この概要における説明および特定の例は、単なる例示目的であり、本開示の範囲を限定しようとするものではない。
【0008】
[0010]本明細書中に記載される図面は、選択された実施形態の単なる例示を目的としており、全てが想定し得る実施態様とは限らず、また、本開示の範囲を限定しようとするものではない。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】[0011]手術室内の本開示の様々な実施形態に係る典型的な撮像システムの環境図である。
図2】[0012]図1の撮像システムの典型的なコンピュータシステムの概略図である。
図3】[0013]図2のコンピュータシステムの典型的なシステムユニットの概略図である。
図4】[0014]図1の撮像システムの典型的なX線検出器の概略図である。
図5】[0015]線5−5に沿う図4の典型的なX線検出器の概略断面図である。
図6】[0016]代わりの構成を示す線5−5に沿う図4の典型的なX線検出器の概略断面図である。
図7】[0017]図1の撮像システムの典型的なX線源および典型的なX線検出器の概略図である。
図8】[0018]図8Aは、X線放射ビームの場所が第1の位置にある図1の撮像システムの典型的なX線検出器の概略図である。 [0019]図8Bは、X線放射ビームの場所が第2の位置にある図1の撮像システムの典型的なX線検出器の概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
[0020]以下の説明は、本質的には単なる典型例である。言うまでもなく、図面の全体にわたって、対応する参照符号は、同様のまたは対応する部分および特徴を示す。先に示されるように、この技術は、米国のコロラド州のルイビルに事業所があるMedtronic Navigation社により販売されるO−Arm(登録商標)撮像システムなどの撮像システムに向けられる。しかしながら、この技術をC−arm撮像装置などの任意の適した撮像装置に適用できることに留意すべきである。また、本明細書中で使用される用語「モジュール」は、コンピュータ装置、特定用途向け集積回路(ASIC)、電子回路、1つまたは複数のソフトウェアまたはファームウェアプログラムを実行するプロセッサ(共用、専用、または、グループ)およびメモリ、組み合わせ論理回路、および/または、記載される機能性を与える他の適したソフトウェア、ファームウェアプログラムまたはコンポーネントによってアクセスされ得るコンピュータ可読媒体を示し得る。
【0011】
[0021]図1を参照すると、手術室または手術部屋10内で、ユーザ、例えばユーザ12は、患者14に対して処置を行うことができる。処置を行う際、ユーザ12は、処置を行うための患者14の画像データを取得するべく撮像システム16を使用できる。患者14の取得される画像データは、本明細書中に開示されるものを含めて、X線撮像システムを用いて取得される2次元(2D)投影を含むことができる。しかしながら、本明細書中にも開示されるように、体積モデルの2D順投影も生成され得ることは言うまでもない。
【0012】
[0022]1つの例において、モデルは、取得された画像データを使用して生成され得る。モデルは、本明細書中でも更に説明されるような代数的反復技術を含む様々な技術を使用して取得される画像データに基づいて生成される3次元(3D)体積モデルとなり得る。表示画像データ18は、表示装置20に表示され得るとともに、本明細書中で更に詳しく説明されるように、撮像コンピュータシステム32と関連付けられる表示装置32aにも更に表示され得る。表示画像データ18は、2D画像、3D画像、または、経時的に変化する4次元画像となり得る。また、表示画像データ18は、取得された画像データ、生成された画像データ、これらの両方、または、画像データの両方のタイプの結合を含むこともできる。
【0013】
[0023]患者14の取得された画像データは、例えばX線撮像システムを用いて2D投影として取得され得ることは言うまでもない。その後、2D投影は、患者14の3D体積画像データを再構成するために使用され得る。また、理論的なまたは順方向の2D投影が3D体積画像データから生成され得る。したがって、画像データが2D投影または3D体積モデルのいずれかまたは両方となり得ることは言うまでもない。
【0014】
[0024]表示装置20はコンピュータシステム22の一部となり得る。コンピュータシステム22は様々なコンピュータ可読媒体を含むことができる。コンピュータ可読媒体は、コンピュータシステム22によってアクセスされ得る任意の利用できる媒体となり得るとともに、揮発性および不揮発性の媒体の両方、および、除去できるおよび除去できない媒体を含むことができる。一例として、限定的ではなく、コンピュータ可読媒体は、コンピュータ記憶媒体および通信媒体を備えることができる。記憶媒体としては、RAM、ROM、EEPROM、フラッシュメモリまたは他のメモリ技術、CD−ROM、デジタル多用途ディスク(DVD)または他の光ディスク記憶装置、磁気カセット、磁気テープ、磁気ディスク記憶装置または他の磁気記憶装置、あるいは、コンピュータ可読命令、ソフトウェア、データ構造、プログラムモジュール、および、他のデータを記憶するために使用され得るとともにコンピュータシステム22によってアクセスされ得る任意の他の媒体が挙げられるが、これらに限定されない。コンピュータ可読媒体は、直接にまたはインターネットなどのネットワークを介してアクセスされてもよい。
【0015】
[0025]1つの例において、コンピュータシステム22は、キーボードなどの入力装置24と、コンピュータシステム22と合併され得る1つまたは複数のプロセッサ26(1つまたは複数のプロセッサは、多重処理コアプロセッサ、マイクロプロセッサなどを含むことができる)とを含むことができる。入力装置24は、ユーザがコンピュータシステム22とインターフェースをとることができるようにする任意の適した装置、例えば、タッチパッド、タッチペン、タッチスクリーン、キーボード、マウス、ジョイスティック、トラックボール、無線式マウス、可聴制御器、または、これらの組み合わせを備えることができる。また、本明細書では、コンピュータシステム22が表示装置20とは別個の入力装置24を備えるものとして説明されて図示されるが、コンピュータシステム22は、タッチパッドまたはタブレットコンピュータ装置を備えることができ、更に、コンピュータシステム22を撮像システム16と関連付けられる撮像コンピュータシステム32内に組み込むあるいは一部とすることができる。
【0016】
[0026]データ通信のために接続部28をコンピュータシステム22と表示装置20との間に設けることができ、それにより、表示装置20を駆動させて、画像データ18を示すことができる。
【0017】
[0027]撮像システム16としては、米国のコロラド州のルイビルに事業所があるMedtronic Navigation社により販売されるO−Arm(登録商標)撮像システムを挙げることができる。しかしながら、この教示内容をC−Arm撮像装置などの任意の適した撮像装置に適用できることに留意されるべきである。選択された処置中に用いるO−Arm(登録商標)撮像システムまたは他の適した撮像システムを含む撮像システム16は、参照することによりその全体が本願に組み入れられる2009年5月13日に出願された「System And Method For Automatic Registration Between An Image And A Subject」と題される米国特許出願第12/465,206号にも記載される。O−Arm撮像システムまたは他の適した撮像システムに関する更なる説明は、米国特許第7,188,998号、第7,108,421号、第7,106,825号、第7,001,045号、および、第6,940,941号において見出すことができ、これらのそれぞれの特許は、参照することによりその全体が本願に組み入れられる。
【0018】
[0028]撮像システム16は、撮像コンピュータシステム32と撮像ガントリ34とを含む移動式カート30を含むことができ、撮像ガントリ34にはX線源36とX線検出器100とが位置される。図1を参照すると、本明細書において更に説明されるように、移動式カート30は、1つの手術室または手術部屋から他の手術室または手術部屋へと移動させることができ、また、ガントリ34は移動式カート30に対して移動できる。これにより、固定式撮像システムに専用の設備投資または空間を必要とすることなく、撮像システム16をそれが複数の場所で複数の処置と共に使用され得るように移動できる。
【0019】
[0029]図2を参照すると、撮像コンピュータシステム32の典型的な実施形態を示す図が与えられており、この撮像コンピュータシステムの構成要素の一部または全部が本開示の教示内容と共に使用され得る。撮像コンピュータシステム32は様々なコンピュータ可読媒体を含むことができる。コンピュータ可読媒体は、撮像コンピュータシステム32によってアクセスされ得る任意の利用できる媒体となり得るとともに、揮発性および不揮発性の媒体の両方、および、除去できるおよび除去できない媒体を含む。一例として、限定的ではなく、コンピュータ可読媒体は、コンピュータ記憶媒体および通信媒体を備えることができる。記憶媒体としては、RAM、ROM、EEPROM、フラッシュメモリまたは他のメモリ技術、CD−ROM、デジタル多用途ディスク(DVD)または他の光ディスク記憶装置、磁気カセット、磁気テープ、磁気ディスク記憶装置または他の磁気記憶装置、あるいは、コンピュータ可読命令、ソフトウェア、データ構造、プログラムモジュール、および、他のデータを記憶するために使用され得るとともに撮像コンピュータシステム32によってアクセスされ得る任意の他の媒体が挙げられるが、これらに限定されない。コンピュータ可読媒体は、直接にまたはインターネットなどのネットワークを介してアクセスされてもよい。
【0020】
[0030]1つの例では、撮像コンピュータシステム32が表示装置32aとシステムユニット32bとを備える。図示のように、表示装置32aはコンピュータビデオスクリーンまたはモニタを備えることができる。撮像コンピュータシステム32は少なくとも1つの入力装置32cを含むこともできる。システムユニット32bは、図3に示されるように、プロセッサ92およびメモリ94を含み、メモリ94はソフトウェア96およびデータ98を含むことができる。
【0021】
[0031]この例では、少なくとも1つの入力装置32cがキーボードを備える。しかしながら、言うまでもなく、少なくとも1つの入力装置32cは、ユーザが撮像コンピュータシステム32とインターフェースをとることができるようにする任意の適した装置、例えば、タッチパッド、タッチペン、タッチスクリーン、キーボード、マウス、ジョイスティック、トラックボール、無線式マウス、可聴制御器、または、これらの組み合わせを備えることができる。また、本明細書では、撮像コンピュータシステム32が表示装置32aを伴うシステムユニット32bを備えるものとして説明されて図示されるが、撮像コンピュータシステム32は、タッチパッドまたはタブレットコンピュータ装置を備えることができ、また、表示装置がディスプレイ20を使用できる。
【0022】
[0032]撮像コンピュータシステム32は、オフセンター画像データ取得を可能にするために、X線源36、検出器100、および、ロータ40を制御できる。データ通信のために接続部をプロセッサ92と表示装置32aとの間に設けることができ、それにより、表示装置32aを駆動させて、画像データ18を示すことができる。
【0023】
[0033]図1を参照すると、X線源36は、検出器100によって検出されるべき患者14を貫いてX線放射ビームを放射することができる。当業者であれば分かるように、X線源36により放射されるX線は、コーン内で放射されて検出器100により検出され得る。X線源36および検出器100はそれぞれ、ガントリ34内においてほぼ径方向で対向するようにかつ患者14の周囲をガントリ34内で移動できるようにロータ40に結合され得る。したがって、検出器100は、ほぼ矢印39の方向で患者14の周囲を360°にわたって回転移動でき、また、X線源36は、X線源36が検出器100からほぼ180°離れて対向したままとなるように検出器100に合わせて移動できる。
【0024】
[0034]また、X線源36は、X線源36がロータ40および検出器100に対して制御可能に回動され得るように、ロータ40に対して回動可能に装着されてアクチュエータによって制御され得る。X線源36を制御可能に回動させることにより、患者14がガントリ34に対して再配置される必要なく、X線の軌道が患者14に対して角度付けられまたは変更され得る。また、検出器100は、ロータ40に対して円弧の周囲で並進できる。検出器100が並進できるため、検出器100は、任意の所望の回動角度でX線源36により放射されるX線を検出でき、それにより、オフセンター画像データを取得できる。ロータ40は、所望の画像データ(オンセンターまたはオフセンター)を取得するために必要に応じてガントリ34の周囲で回転できる。X線源36、検出器100、および、ロータ40の動作の機構に関する更なる詳細は、先に言及することにより既に組み入れられた米国特許第7,108,421号、および、参照することによりその全体が本願に組み入れられるHelm等の「SYSTEM AND METHOD FOR OFF-CENTER IMAGING」と題される2011年3月30日に出願された米国特許出願第13/075,446号(代理人整理番号5074A−000117/US)に開示される。
【0025】
[0035]図1を参照すると、ガントリ34は、患者支持体またはテーブル15上に配置され得る患者14に対してほぼ矢印41の方向で等角的に揺動しまたは変向(本明細書中では等角揺動とも称される)できる。ガントリ34は、患者14に対するX線源36/検出器100の位置決めを可能にするために、矢印42により示されるように患者14に対して傾くこともでき、患者14および移動式カート30に対してライン44に沿って縦方向に移動することもでき、移動式カート30に対しておよび患者14に対して横方向にライン46にほぼ沿って上下動することができ、および、患者14に対してほぼ矢印48の方向で垂直に移動することもできる。
【0026】
[0036]撮像システム16は、患者14に対してX線源36/検出器100を移動させて患者14の正確な画像データを生成するために、撮像コンピュータシステム32によって正確に制御され得る。また、撮像システム16は、撮像システム16からプロセッサ26への有線または無線接続あるいは物理的媒体転送を含むことができる接続50を介してプロセッサ26と接続され得る。したがって、ナビゲーション、表示、再構成などのために、撮像システム16を用いて収集される画像データを撮像コンピュータシステム32からコンピュータシステム22へと転送することもできる。
【0027】
[0037]簡単に、図1を続けて参照すると、様々な実施形態によれば、撮像システム16が非ナビゲーションまたはナビゲーション手続きと共に使用され得る。幾つかの実施形態において、撮像システム16は、ナビゲーション手続きを行うためにナビゲーションシステム17と一体化され得る。ナビゲーションシステム17は、例えば、以下で更に説明するように、コンピュータシステム22、光学式ローカライザ60、電磁式ローカライザ62、動的基準座標系64、器具66、光学式トラッキング装置68、電磁式トラッキング装置70、少なくとも1つの通信ライン72、78、80、および/または、ナビゲーションインターフェース装置74を含むことができる。ナビゲーション手続きにおいて、光学式ローカライザ60および電磁式ローカライザ62のいずれか一方または両方を含むローカライザは、患者14に対するナビゲーション領域内で磁場を発生させるためまたは信号を受信あるいは送信するために使用され得る。患者14に対するナビゲーション空間またはナビゲーション領域は、ナビゲーション領域内に規定されるナビゲーション空間および画像データ18により規定される画像空間の位置合わせを可能にするために画像データ18に位置合わせされ得る。患者トラッカまたは動的基準座標系64は、画像データ18に対する患者14の動的な位置合わせおよび位置合わせの管理を可能にするために患者14に接続され得る。
【0028】
[0038]このとき、ナビゲーション手続きを可能にするために、器具66が患者14に対して追跡され得る。器具66は、光学式ローカライザ60または電磁式ローカライザ62のいずれか一方または両方を用いた器具66の追跡を可能にするために光学式トラッキング装置68および/または電磁式トラッキング装置70を含むことができる。器具66は、電磁式ローカライザ62および/または光学式ローカライザ60と通信できるナビゲーションインターフェース装置74との通信ライン72を含むことができる。この場合、通信ライン72、78のそれぞれを使用して、ナビゲーションインターフェース装置74は、通信ライン80によりプロセッサ26と通信できる。接続ラインまたは通信ライン28、50、76、78、または、80のうちのいずれかは、有線、無線、物理的媒体転送、または、移動、あるいは、任意の他の適した通信となり得ることは言うまでもない。それにもかかわらず、適した通信システムは、患者14に対する器具66の追跡を可能にして、手続きを行うための画像データ18に対する器具66の追跡位置の表示を可能にするために、それぞれのローカライザを備えることができる。
【0029】
[0039]器具66が介入器具および/またはインプラントとなり得ることは言うまでもない。インプラントは、心室ステントまたは血管ステント、脊椎インプラント、神経ステントなどを含むことができる。器具66は、脳深部刺激器または神経刺激器、焼灼装置、または、他の適した器具などの介入器具となり得る。器具66の追跡は、器具66のアイコン/しるしを画像データ18上に重ね合わせることにより、患者14内の器具66の直接的な観察を伴うことなく、位置合わせされた画像データ18を用いて、患者14に対する器具66の位置を観察できるようにする。
【0030】
[0040]また、撮像システム16は、それぞれの光学式ローカライザ60または電磁式ローカライザ62を用いて追跡されるべき光学式トラッキング装置82または電磁式トラッキング装置84などのトラッキング装置を含むことができる。トラッキング装置82、84は、選択された基準座標系に対するX線源36、検出器100、ロータ40、および/または、ガントリ34の場所または位置を決定するために、X線源36、検出器100、ロータ40、ガントリ34、または、撮像システム16の他の適した部分と直接に関連付けられ得る。図示のように、トラッキング装置82、84は、ガントリ34のハウジングの外面上に位置され得る。したがって、撮像システム16は、画像データ18に対する患者14の初期位置合わせ、自動位置合わせ、または、連続位置合わせを可能にするために、器具66で行えるのと同様に、患者14に対して追跡され得る。位置合わせ手続きおよびナビゲーション手続きは、先に組み入れられた米国特許出願第12/465,206号で論じられる。
【0031】
[0041]ここで、図4および図5を参照すると、本開示の幾つかの実施形態に係る典型的なX線検出器100が示されている。検出器100は、基板110、シンチレーション層120、および、フォトセンサアレイ130(例えば、薄膜トランジスタ、フォトダイオード、または、同様のもの)を含む。撮像システム16の作動中、X線源36がX線放射ビームをX線検出器100へ向けて投射する。シンチレーション層120は、X線放射線を可視光などの異なる波長の放射線へと変換する。可視光は、基板110を貫いて進み、フォトセンサアレイ130によって検出される。フォトセンサアレイは可視光を電気信号へと変換し、電気信号は、患者14の画像(表示画像データ18など)を生成するためにコンピュータシステム32により検出されて利用され得る。
【0032】
[0042]基板110は、第1の面112と、第1の面112とは反対側の第2の面114とを有することができる。基板110は、ガラスまたは同様の材料から形成されるモノリシック基板となり得る。基板110のモノリシック構造は、シンチレーション層120により生成される可視光の意図しない歪み(散乱、反射、屈折回折など)の大きさを減らすことができる。
【0033】
[0043]シンチレーション層120は基板110の第1の面112上に配置され得る。様々な実施形態において、シンチレーション層120は、例えば物理蒸着、スパッタ蒸着、または、他の堆積技術によって基板110上にシンチレーション材料を堆積させることにより形成され得る。シンチレーション材料の例としては、ヨウ化セシウム(CsI)、および、テルビウムがドープされたガドリニウム酸硫化物(GdS:Tb)が挙げられる。
【0034】
[0044]本開示の幾つかの実施形態において、X線検出器100は、例えば、各領域ごとに異なるシンチレーション材料を利用することにより、および/または、単一のシンチレーション材料の厚さを領域にわたって変えることにより、異なるX線感度を有する複数の領域を含むことができる。図示の例において、シンチレーション層120は、第1のX線感度を有する第1の領域122と、異なる第2のX線感度を有する第2の領域124とを含む。第1の領域122は、シンチレーション材料の第1の厚さt1を有し、また、第2の領域124は、第1の厚さt1とは異なるシンチレーション材料の第2の厚さt2を有する。第1および第2の領域122、124の異なるX線感度により、ユーザ12は、後述するように、撮像システム16を利用して、異なる撮像特性/画質を有する画像データを生成できる。図示の例は、隣り合って配置される2つの異なる領域を含むシンチレーション層120を有するX線検出器100を示すが、2つ以上の任意の数の領域が本開示と共に利用されてもよいのが分かる。また、領域は、本開示の範囲から逸脱することなく、並列以外で配置されてもよい(内側領域が1つまたは複数の外側領域によって取り囲まれる、領域が検出器の角部に限定される、など)。
【0035】
[0045]フォトセンサアレイ130は基板110の第2の面114上に配置され得る。フォトセンサアレイ130は、例えば接着剤または他の結合材料によって第2の面114に結合され得る。幾つかの実施形態において、フォトセンサアレイ130は、互いに隣接して配置される複数のモノリシックフォトセンササブアレイから構成され得る。例えば、ここで図6を参照すると、フォトセンサアレイ130’は、接合部135で互いに結合される第1のモノリシックフォトセンササブアレイ132および第2のモノリシックフォトセンササブアレイ134を含むことができる。
【0036】
[0046]図6の図示の例では、第1のモノリシックフォトセンササブアレイ132が第1の領域122に対応し、第2のモノリシックフォトセンササブアレイ134が第2の領域124に対応する。このようにすると、第1のモノリシックフォトセンササブアレイ132が第1の領域122により生成される放射線を受けることができ、また、第2のモノリシックフォトセンササブアレイ134が第2の領域124により生成される放射線を受けることができる。更に、幾つかの実施形態では、各モノリシックフォトセンササブアレイ132、134が異なる組の性能パラメータを有することができる。モノリシックフォトセンササブアレイ132、134のそれぞれにおける性能パラメータは、その関連する領域122、124のX線感度に対応するように選択され得る。単なる例として、第1のモノリシックフォトセンササブアレイ132は、第1の領域122の第1のX感度に対応するように第1の組の性能パラメータを有することができ、また、第2のモノリシックフォトセンササブアレイ134は、第2の領域124の第2のX感度に対応するように第2の組の性能パラメータを有することができる。この明細書本文全体にわたる用語「性能パラメータ」は、フォトセンサアレイの応答度、暗電流、等価雑音電力、出力の線形性、スペクトル応答、量子効率、光感度、および/または、応答時間を含むが、これらに限定されない。
【0037】
[0047]本開示の幾つかの実施形態において、X線源36は、X線源36から投射されるX線放射ビームをフィルタ処理するようになっている1つまたは複数のフィルタ(図7)を含むことができる。フィルタは、画像データの撮像特性/画質を向上させるためにX線検出器100の領域122、124のX線感度および/またはフォトセンササブアレイ132、134の性能パラメータの組に対応するようにX線源36から投射されるX線放射ビームを適合させるべく利用され得る。単なる例として、X線源36は、X線検出器100の第1の領域122で受けられるX線放射ビームをフィルタ処理するようになっている第1のフィルタ170と、第2の領域124で受けられるX線放射ビームをフィルタ処理するようになっている第2のフィルタ172とを含むことができる。第1のフィルタ170は第1の組のフィルタリング特性を有することができ、また、第2のフィルタ172は、第1の組とは異なる第2の組のフィルタリング特性を有することができる。この明細書本文全体にわたる用語「フィルタリング特性」は、フィルタによってフィルタ除去される周波数および/またはエネルギーレベルを含むがこれに限定されない。
【0038】
[0048]撮像システム16の作動中、X線源36は、X線放射ビームを受けるように位置決めされたX線検出器100へ向けてX線放射ビームを投射する。X線源36および/またはX線検出器100の位置は、X線放射ビームを受けるX線検出器100上での場所150を調整するために互いに対して調整され得る。例えば、X線放射ビームはX線検出器100の全体にわたって受けられ得る。あるいは、X線放射ビームはX線検出器100の一部のみにわたって受けられ得る。ユーザ12は、例えばコンピュータシステム32を介して、ユーザ12により望まれる撮像特性/画質に基づき、X線検出器100がX線放射ビームを受ける場所150を調整できる。この明細書本文全体にわたる用語「撮像特性」および/または「画質」は、コントラストの変動レベル、コントラスト感度、線量効率、患者への線量、ノイズ、アーチファクト、および/または、歪みを含むことができるが、これらに限定されない。
【0039】
[0049]幾つかの実施形態において、X線源36およびX線検出器100は、X線検出器100がX線放射ビームを受ける場所150が主に第1の領域122内(図8A)または第2の領域124内(図8B)のいずれかであるように調整され得る。この適用において、X線放射ビームを受ける場所は、その場所の50%を超える部分が1つの領域内にある場合には「主に」その領域内で受けられると見なされる。幾つかの実施形態において、X線源36およびX線検出器100は、X線検出器100がX線放射ビームを受ける場所150が第1または第2の領域122、124のうちのいずれかの範囲内で70%を超える、90%を超える、あるは、範囲全体となるように調整され得る。このようにすると、撮像システム16は、患者14を撮像するために第1および第2の領域122、124の異なるX線感度をうまく利用することができる。単なる一例として、患者14の対象の低コントラスト領域(脳の軟組織など)の撮像は、高コントラスト領域(骨など)の撮像とはかなり異なる撮像特性/画質を必要とする場合がある。この撮像システム16により、ユーザ12は、画像データにとって適した撮像特性/画質を与えるために、撮像されるべき患者14の対象領域(軟組織、骨など)に応じてX線検出器100の異なる領域(第1の領域122または第2の領域124)を利用してもよい。
【0040】
[0050]たとえ何のタイプの組織(骨構造、軟組織など)が撮像されようとも、撮像システム16は、適した撮像特性および/または画質を有する画像データを生成するために利用され得る。撮像システム16(X線源36および/またはX線検出器100など)は、どの領域(122、124)が対象の被検体にとって適したX線感度を有するのかに応じて場所150を主にX線検出器100の領域122、124のうちの一方の範囲内となるように調整するべく調整され得る。例えば、患者14の対象領域160は、X線放射ビームの少なくとも一部が対象領域160を通過して所望の領域122、124に衝突するように位置され得る。このようにすると、患者14を撮像して、対象領域160に関して第1の画質(第1および第2の領域122、124のうちの一方に対応する)を有し対象領域160以外の患者14の部分165に関して第2の画質(第1および第2の領域122、124のうちの他方に対応する)を有する画像データを生成することができる。
【0041】
[0051]本開示の様々な実施形態に係る撮像システム16などのX線撮像システムを作動させる典型的な方法は、X線放射ビームを投射するように構成されるX線源36を設けることを含むことができる。(前述したような)X線検出器100は、場所150でX線放射ビームを受けるように位置決めされ得る。また、方法は、撮像されるべき患者14の対象領域160に対応するように場所150を調整することを含むこともできる。場所150は、X線放射ビームの少なくとも一部が対象領域160を通過して主に単なる一例として第1の領域122に衝突するように調整され得る。患者14は、患者14の画像(表示画像データ18)を生成するように撮像され得る。画像は、患者14の対象領域160に関して第1の画質を有するとともに、対象領域160以外の患者14の部分に関して第2の画質を有することができる。第1の画質が第1の領域122に対応でき、また、第2の画質が第2の領域124に対応できる。
【0042】
[0052]特定の例について明細書で説明して図面で示してきたが、当業者であれば分かる
ように、本教示の範囲から逸脱することなく、様々な変更をなすことができるとともに、
その要素を均等物と置き換えることができる。また、様々な実施例間での特徴、要素、お
よび/または、機能の混合および適合が、上記において他に記載されていなければ、1つ
の実施例の特徴、要素、および/または、機能が必要に応じて他の実施例に組み入れられ
得ることを当業者が本教示から理解できるように本明細書中で明確に考慮される。また、
本教示の本質的な範囲から逸脱することなく、特定の状況または材料を本教示に適合させ
るように多くの改変をなすことができる。したがって、本教示が図面により示されて明細
書に記載される特定の実施例に限定されず、本教示の範囲が前述の説明の範囲内に入る任
意の実施形態を含むことが意図される。なお、本発明は、以下の態様に関するものとすることができる。
(態様1)X線放射ビームを投射するX線源と、前記X線放射ビームを所定の場所で受けるように位置されるX線検出器と、を備え、前記X線検出器は、(i)第1の面、および前記第1の面とは反対側の第2の面を有するモノリシック基板と、(ii)前記第1の面上に配置されるとともに、第1の領域および第2の領域を含み、前記第1の領域が第1のX線感度を有し、前記第2の領域が前記第1のX線感度とは異なる第2のX線感度を有する、シンチレーション層と、(iii)前記第2の面上に配置されるフォトセンサアレイと、を含み、前記X線源および前記X線検出器は、前記X線検出器が前記X線放射ビームを受ける場所を調整し前記場所が主に前記第1の領域内または前記第2の領域内にあるようにするべく構成される、X線撮像システム。
(態様2)前記モノリシック基板がガラスである態様1に記載のX線撮像システム。
(態様3)前記X線源および前記X線検出器は、前記X線検出器が前記X線放射ビームを受ける前記場所を調整し前記場所が全体的に前記第1の領域内または前記第2の領域内にあるようにするべく構成される態様1に記載のX線撮像システム。
(態様4)前記シンチレーション層は、前記モノリシック基板上にシンチレーション材料を堆積させることによって形成される態様1に記載のX線撮像システム。
(態様5)前記第1の領域がシンチレーション材料の第1の厚さを有し、前記第2の領域が前記第1の厚さとは異なるシンチレーション材料の第2の厚さを有する態様1に記載のX線撮像システム。
(態様6)前記シンチレーション層は、前記モノリシック基板上にシンチレーション材料を堆積させることによって形成される態様5に記載のX線撮像システム。
(態様7)前記フォトセンサアレイは、前記第1の領域に対応する第1のモノリシックフォトセンササブアレイと、前記第2の領域に対応する第2のモノリシックフォトセンササブアレイとを含む態様1に記載のX線撮像システム。
(態様8)前記第1のモノリシックフォトセンササブアレイが第1の組の性能パラメータを有し、前記第2のモノリシックフォトセンササブアレイが前記第1の組の性能パラメータとは異なる第2の組の性能パラメータを有する態様7に記載のX線撮像システム。
(態様9)前記X線源は、前記第1の領域で受けられる前記X線放射ビームをフィルタ処理するようになっている第1のフィルタと、前記第2の領域で受けられる前記X線放射ビームをフィルタ処理するようになっている第2のフィルタとを含み、前記第1のフィルタが第1の組のフィルタリング特性を有し、前記第2のフィルタが前記第1の組のフィルタリング特性とは異なる第2の組のフィルタリング特性を有する態様1に記載のX線撮像システム。
(態様10)前記X線源および前記X線検出器と一体化されるナビゲーションシステムを更に備える態様1に記載のX線撮像システム。
(態様11)X線撮像システムと共に用いるための撮像方法において、X線放射ビームを投射するように構成されるX線源と前記X線放射ビームを所定の場所で受けるためのX線検出器との間に患者を位置させるステップであって、前記X線検出器が、(i)第1の面、および前記第1の面とは反対側の第2の面を有するモノリシック基板と、(ii)前記第1の面上に配置されるとともに、第1の領域および第2の領域を含み、前記第1の領域が第1のX線感度を有し、前記第2の領域が前記第1のX線感度とは異なる第2のX線感度を有する、シンチレーション層と、(iii)前記第2の面上に配置されるフォトセンサアレイと、を含む、ステップと、前記場所を撮像されるべき前記患者の対象領域に対応するように調整し、それにより、前記X線放射ビームの少なくとも一部が前記対象領域を通過して主に前記第1の領域に衝突するようにする、ステップと、前記患者を撮像して、前記患者の前記対象領域に関して第1の画質を有し前記対象領域以外の前記患者の部分に関して第2の画質を有する画像を生成するステップであって、前記第1の画質が前記第1の領域に対応し、前記第2の画質が前記第2の領域に対応する、ステップと、を含む撮像方法。
(態様12)撮像する前記ステップは、前記X線放射ビームを前記モノリシック基板を形成するガラスに通す工程を含む態様11に記載の方法。
(態様13)撮像する前記ステップは、前記モノリシック基板上にシンチレーション材料を堆積させることにより形成された前記シンチレーション層に前記X線放射ビームを通す工程を含む態様11に記載の方法。
(態様14)撮像する前記ステップは、前記第1の領域がシンチレーション材料の第1の厚さを有し前記第2の領域が前記第1の厚さとは異なるシンチレーション材料の第2の厚さを有する前記シンチレーション層に前記X線放射ビームを通す工程を含む態様11に記載の方法。
(態様15)撮像する前記ステップは、前記モノリシック基板上にシンチレーション材料を堆積させることにより形成された前記シンチレーション層に前記X線放射ビームを通す工程を含む態様14に記載の方法。
(態様16)撮像する前記ステップは、前記第1の領域に対応する第1のモノリシックフォトセンササブアレイと前記第2の領域に対応する第2のモノリシックフォトセンササブアレイとを含む前記フォトセンサアレイへ向けて前記X線放射ビームを投射する工程を含む態様11に記載の方法。
(態様17)前記第1のモノリシックフォトセンササブアレイが第1の組の性能パラメータを有し、前記第2のモノリシックフォトセンササブアレイが前記第1の組の性能パラメータとは異なる第2の組の性能パラメータを有する態様16に記載の方法。
(態様18)撮像する前記ステップは、前記X線放射ビームを、前記第1の領域で受けられる前記X線放射ビームをフィルタ処理するようになっている第1のフィルタと、前記第2の領域で受けられる前記X線放射ビームをフィルタ処理するようになっている第2のフィルタとに通す工程を含み、前記第1のフィルタが第1の組のフィルタリング特性を有し、前記第2のフィルタが前記第1の組のフィルタリング特性とは異なる第2の組のフィルタリング特性を有する態様11に記載の方法。
(態様19)X線放射ビームを投射するX線源と、前記X線放射ビームを所定の場所で受けるように位置されるX線検出器であって、(i)第1の面、および第1の面とは反対側の第2の面を有するモノリシック基板と、(ii)前記第1の面上に配置されるとともに、第1の領域および第2の領域を含み、前記第1の領域が第1のX線感度を有し、前記第2の領域が前記第1のX線感度とは異なる第2のX線感度を有する、シンチレーション層と、 (iii)前記第2の面上に配置されるフォトセンサアレイと、を含むX線検出器と、 前記X線源およびX線発生器に結合され、前記X線源および前記X線発生器により撮像される患者の画像を生成するように構成されるとともに、前記患者の前記画像を表示するように構成される表示装置を含むコンピュータシステムと、を備え、前記コンピュータシステムは、前記場所を前記患者の対象領域に対応するように調整し、それにより、前記X線放射ビームの少なくとも一部が前記対象領域を通過して主に前記第1の領域に衝突するようにするべく構成され、前記患者の前記画像は、前記患者の前記対象領域に関して第1の画質を有するとともに、前記対象領域以外の前記患者の部分に関して第2の画質を有し、前記第1の画質が前記第1の領域に対応し、前記第2の画質が前記第2の領域に対応する、X線撮像システム。
(態様20)前記第1の領域がシンチレーション材料の第1の厚さを有し、前記第2の領域が前記第1の厚さとは異なるシンチレーション材料の第2の厚さを有する態様19に記載のX線撮像システム。
(態様21)前記シンチレーション層は、前記モノリシック基板上に前記シンチレーション材料を堆積させることによって形成される態様20に記載のX線撮像システム。
図1
図2
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図4
図5
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図7
図8A
図8B