【文献】
WENJIE XU,DIRECT CATALYTIC CONVERSION OF FURFURAL TO 1,5-PENTANEDIOL BY HYDROGENOLYSIS OF THE FURAN RING UNDER MILD CONDITIONS OVER PT/CO2ALO4 CATALYST,CHEM. COMMUN.,2011年 2月23日,V47,P3924-3926
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記不均一系触媒の存在下の反応が、ガス流が連続的に流れる反応器内で起こり、このガス流は、前記反応器に入るときに、前記出発材料と水素を含み、任意に不活性ガスを含んでよく、
−前記不均一系触媒の体積に基づいた、前記ガス流の流速(ガス空間速度GHSV)は500時間-1〜5000時間-1であり、
及び/又は
−前記反応器に入る前記ガス流中のフルフリルアルコールとフルフラールの総濃度は1mol%〜15mol%である、
請求項6に記載の方法。
−フルフリルアルコール及びフルフラールから成る群からの一方又は両方の化合物を含む出発材料の、1,2−ペンタンジオールと、1-ヒドロキシ-2-ペンタノン、フルフリルアルコール及びフルフラールから成る群からの1種以上の化合物とを含む混合物を形成するための不均一系触媒の存在下における水素との反応が気相内で起こり、
及び
−形成された混合物の有機成分を凝縮する、
請求項11に記載の方法。
【背景技術】
【0002】
化粧品分野では、1,2-ペンタンジオールは、例えば、とりわけ皮膚保湿剤(EP 0 655 904)又は抗菌剤(EP 1 478 231)として使用される。
1,2-ペンタンジオールは、環境の影響及び気候の作用に起因する乾燥から皮膚を保護し、化粧用製剤の重要な活性成分である。
特に化粧品分野で使用するための1,2-ペンタンジオールの品質から生じる要件の1つはできるだけ中性の匂いである。純粋形態の1,2-ペンタンジオールは大体又は完全に無臭なので、不快又は厄介な匂いは、1,2-ペンタンジオールに付随する他の物質が原因である。
調製方法によっては、特定の場合に得られる粗生成物が所望の1,2-ペンタンジオールに加えて、多かれ少なから強い臭いを有し、非常に不快な臭いを有することもある種々の二次生成物を含む。
望ましくない臭いを有するこれらの化合物は、その後の精製プロセスという状況の中で又は複雑なさらなるプロセス工程によって部分的に除去できるか又は不十分な程度にしか回避できない。
US 6,528,665 B1はできるだけ純粋なアルカンジオールの調製方法を提案している。US 6,528,665 B1によれば、精製は、エポキシアルカンが対応アルカンジオールに加水分解される前にエポキシアルカンの段階で行なわれる。
EP 1 876 162 A1は、対応オレフィンからエポキシ化とその後の加水分解を利用するアルカンジオールの調製を記載している。そのようにして得られた粗生成物は、不快臭を有する二次生成物を除去するため、そこで引き続く処理によってさらに精製された。
1,2-ペンタンジオールの調製は、今日では一般的に石油化学源から(まだ)入手可能なn-ペンタ-1-エンから行なわれている。過酸化物(例えば過酸化水素)の助けを借りてn-ペンタ-1-エンを反応させて対応エポキシドを与えてからギ酸等の有機酸又は鉱酸で1,2-ペンタンジオールに変換する。
【0003】
この調製方法はEP 0 257 243又はEP 0 141 775に記載されており、経済上及び環境上の欠点を有する。例えば、1,2-ペンタンジオールを得るためには、このプロセスの中間体として形成される1,2-ペンタンジオールのジエステルを鹸化しなければならない。例えば、過酸化水素とギ酸を用いてn-ペンタ-1-エンのエポキシ化を行なう場合、1,2-ペンタンジオールのジホルマートの水酸化ナトリウム溶液を用いるその後の鹸化のカップリング生成物としてギ酸ナトリウムが形成され、処分しなければならず、これにより例えば廃水を汚染する。さらに、n-ペンタ-1-エンは非常に低い沸点を有し、存在する爆発の危険のため、n-ペンタ-1-エンを取り扱うとき及び貯蔵するときには特殊かつ高価な保護手段を必要とする。さらに、好ましくは石油化学原料を使用せずに、工業規模で実施できる簡単な合成経路を見い出すことが望ましいだろう。
再生可能原料から得られる物質はフルフリルアルコールである。フルフリルアルコールは、例えば、糖含有穀類廃棄物から大量に得られる。
フルフリルアルコールの水素化又は水素化分解で種々の化合物が形成されることは文献公知である。
例えば、Adkins and Connor [Journal of American Chemical Society
53, 1091 (1931)]は、触媒として銅クロマイトを用いて液相内で175℃にてフルフリルアルコールを水素化又は水素化分解すると40%の1,2-ペンタンジオール、30%の1,5-ペンタンジオール、10%のアミルアルコール並びに20%のテトラヒドロフルフリルアルコール及びメチルテトラヒドロフランの混合物が生じることを報告している。Kaufmann and Adams [Journal of American Chemical Society
45, 3029 (1923)]は、室温にて白金黒の存在下でのフルフラールの水素化分解/水素化がフルフリルアルコール、1-ペンタノール、テトラヒドロフルフリルアルコール、1,2-ペンタンジオール及び1,5-ペンタンジオールをもたらすことを報告している。
さらに、二酸化白金触媒を用いて液相内でフラン及びフラン誘導体の接触水素化又は水素化分解の研究がSmith and Fuzekの仕事[Journal of American Chemical Society
71, 415 (1949)]で見られる。これらの反応は、酢酸中、20、40又は60psi(60psiは約4バールに相当する)の水素圧で行なわれ、言及した触媒は文献に従って調製された[Organic Synthesis
8, 92 (1928)]。触媒として二酸化白金を用いるフルフリルアルコールの水素化又は水素化分解では、1,2-ペンタンジオールは申し立てによるとほとんど定量的収率で形成され;1,2-ペンタンジオールは、ジアセタートの形で酢酸から分離された。
1,2-ペンタンジオールの調製のためのこの手順を我々自身の研究で繰り返し改変したが、テトラヒドロフルフリルアルコール、2-メチルテトラヒドロフラン、1-ペンタノール、2-ペンタノール、1,2-ペンタンジオール及び1,5-ペンタンジオールの生成物混合物が得られるだけであり、1,2-ペンタンジオールの収率は理論収率の最大20%であった。
【発明を実施するための形態】
【0006】
特に不均一系白金触媒の存在下におけるフルフリルアルコールの水素化分解は、不均一系白金触媒が(i)白金及び/又は1種以上の白金化合物並びに(ii)1種以上の担体材料を含むときに良い収率及び/又は良い選択性で所望の1,2−ペンタンジオールをもたらすことが分かった。
従って、本発明は、1,2−ペンタンジオールの調製方法であって、下記工程:
−フルフリルアルコール及びフルフラールから成る群からの一方又は両方の化合物を含む出発材料を第1不均一系触媒の存在下で水素と反応させて、1,2−ペンタンジオールを含み、かつ任意に、1-ヒドロキシ-2-ペンタノン、フルフリルアルコール及びフルフラールから成る群からの1種以上の化合物を含んでよい混合物を形成する工程
を具備し、
第1不均一系触媒は、
(i)金属形態の白金、ロジウム、ルテニウム、ニッケル、パラジウム及びイリジウムから成る群からの1種以上の金属並びに/或いは白金、ロジウム、ルテニウム、ニッケル、パラジウム及びイリジウムから成る群からの金属の1種以上の化合物
並びに
(ii)1種以上の担体材料
を含む、方法を提供する。
【0007】
好ましくは、第1不均一系触媒は(i)金属形態の白金及び/又は1種以上の白金(IV)化合物を含む。特に好ましくは、第1不均一系触媒は、下記
−(i)金属形態の白金及び(ii)活性炭を含む触媒、特に活性炭上の白金、
−(i)金属形態の白金及び(ii)酸化アルミニウムを含む触媒、特に酸化アルミニウム上の白金、
−(i)金属形態の白金及び(ii)二酸化ケイ素を含む触媒、特に二酸化ケイ素上の白金、
−(i)金属形態の白金及び(ii)炭化ケイ素を含む触媒、特に炭化ケイ素上の白金、
−(i)酸化白金(IV)及び(ii)酸化アルミニウムを含む触媒、特に酸化アルミニウム上の二酸化白金
から成る群より選択される。
好ましくは、本発明により使用すべき第1不均一系触媒は、担持材料に加えて、2つの成分を含み、かつ下記リスト:
活性炭/Pt/ReO
2、
MgO/Pd/MnO
2、
Al
2O
3/Rh/MoO
3、
BaO/Ru/Co
3O
4、
非晶質アルミノケイ酸塩/Co/TiO
2、
SiO
2/Ni/WO
3、
CeO/PtRh/Cr
2O
3、
CaO/NiPd/Fe
3O
4、
MgO-Al
2O
3/RuFe/V
2O
5、
MgO/Pt/ReO
2、
Al
2O
3/Pd/MnO
2、
BaO/Rh/MoO
3、
非晶質アルミノケイ酸塩/Ru/Co
3O
4、
SiO
2/Co/TiO
2、
CeO/Ni/WO
3、
CoO/Pd/Cr
2O
3、
Fe
2O
3/Rh/Fe
3O
4、
MnO
2/Ru/V
2O
5
から選択される触媒ではない。
好ましくは、本発明により使用すべき第1不均一系触媒は、下記成分対:
Pt/ReO
2、Pd/MnO
2、Rh/MoO
3、Ru/Co
3O
4、Co/TiO
2、Ni/WO
3、PtRh/Cr
2O
3、NiPd/Fe
3O
4、RuFe/V
2O
5、Pd/Cr
2O
3、Rh/Fe
3O
4、Ru/V
2O
5
が存在する触媒ではない。
【0008】
第1不均一系触媒の構成物質(i)が白金から成る場合、第1不均一系触媒には、好ましくはReO
2及びCr
2O
3がなく、好ましくはレニウム及びクロムがない。これは好ましくはその構成物質(i)が白金を含む第1不均一系触媒にも当てはまる。
第1不均一系触媒の構成物質(i)がパラジウムから成る場合、第1不均一系触媒には、好ましくはFe
3O
4、MnO
2及びCr
2O
3がなく、好ましくは鉄、マンガン及びクロムがない。これは好ましくはその構成物質(i)がパラジウムを含む第1不均一系触媒にも当てはまる。
第1不均一系触媒の構成物質(i)がロジウムから成る場合、第1不均一系触媒には、好ましくはMoO
3、Fe
2O
3、Fe
3O
4及びCr
2O
3がなく、好ましくはモリブデン、鉄及びクロムがない。これは好ましくはその構成物質(i)がロジウムを含む第1不均一系触媒にも当てはまる。
第1不均一系触媒の構成物質(i)がルテニウムから成る場合、第1不均一系触媒には、好ましくはCo
3O
4及びV
2O
5がなく、好ましくはコバルト及びバナジウムがない。これは好ましくはその構成物質(i)がルテニウムを含む第1不均一系触媒にも当てはまる。
第1不均一系触媒の構成物質(i)がニッケルから成る場合、第1不均一系触媒には、好ましくはWO
3及びFe
3O
4がなく、好ましくはタングステン及び鉄がない。これは好ましくはその構成物質(i)がニッケルを含む第1不均一系触媒にも当てはまる。
好ましくは、本発明により使用すべき第1不均一系触媒には、元素Re、Mo、Mn、Co、Ti、W、Cr、Fe、V及びTaの酸化物がない。
【0009】
第1不均一系触媒中、(i)金属形態の白金、ロジウム、ルテニウム、ニッケル、パラジウム及びイリジウム並びにそれらの金属の化合物に含まれる形態の白金、ロジウム、ルテニウム、ニッケル、パラジウム及びイリジウムの総濃度は、好ましくは第1不均一系触媒の全構成物質の総重量に基づいて、0.1wt.%〜50wt.%、好ましくは0.5wt.%〜20wt.%、さらに好ましくは1〜10wt.%、特に好ましくは1wt.%〜5wt.%の範囲内である。
第1不均一系触媒中の(i)金属形態の白金、ロジウム、ルテニウム、ニッケル、パラジウム及びイリジウム並びにそれらの金属の化合物に含まれる形態の白金、ロジウム、ルテニウム、ニッケル、パラジウム及びイリジウムの総濃度は、好ましくは使用するフルフリルアルコール及びフルフラールの総量に基づいて、0.01〜10mol%の範囲内、好ましくは0.05〜5mol%の範囲内、さらに好ましくは0.1〜2mol%の範囲内である。
好ましくは、第1不均一系触媒の全構成物質の総重量に基づいた、(i)金属形態の白金、ロジウム、ルテニウム、ニッケル、パラジウム及びイリジウム並びにそれらの金属の化合物に含まれる形態の白金、ロジウム、ルテニウム、ニッケル、パラジウム及びイリジウムの総濃度と、使用するフルフリルアルコール及びフルフラールの総量に基づいた、第1不均一系触媒中の(i)金属形態の白金、ロジウム、ルテニウム、ニッケル、パラジウム及びイリジウム並びにそれらの金属の化合物に含まれる形態の白金、ロジウム、ルテニウム、ニッケル、パラジウム及びイリジウムの総濃度とが両方とも上記好ましい範囲内である。
【0010】
第1不均一系触媒の存在下の本発明の反応では、少なくとも等モル量で分子水素を計り入れるべきである。しかしながら、過剰の水素を計り入れるのがさらに有利であることが分かった。従って、第1不均一系触媒の存在下の反応では、水素と、フルフリルアルコール及びフルフラールの総量との間のモル比は1:1以上であり、好ましくは4:1〜100:1の範囲内、特に好ましくは5:1〜20:1の範囲内である。
第1不均一系触媒の存在下の反応において、水素分圧は好ましくは1バール〜20バールの範囲内、好ましくは1バール〜8バールの範囲内、さらに好ましくは1バール〜4バールの範囲内である。
第1不均一系触媒の存在下の反応は液相又は気相内で起こる。
第1不均一系触媒の存在下の反応を気相内で行なう場合、これは好ましくは100℃〜250℃の範囲内、さらに好ましくは150℃〜240℃の範囲内、特に好ましくは170℃〜230℃の範囲内の温度で起こる。温度及び水素分圧は好ましくは上記好ましい範囲内である。
第1不均一系触媒の存在下の反応は、好ましくはガス流が連続的に流れる反応器内で起こる。反応器に入るときに、ガス流は出発材料(上述した通り)及び水素を含み、任意に不活性ガスを含んでよく、
−第1不均一系触媒の体積に基づいた、ガス流の流速(ガス空間速度(gas hourly space velocity)GHSV)は、500時間
-1〜5000時間
-1、好ましくは900時間
-1〜3600時間
-1であり、
及び/又は
−反応器に入るガス流中のフルフリルアルコールとフルフラールの総濃度は1mol%〜15mol%、好ましくは3mol%〜10mol%である。
好ましくは、流速に関する条件も反応器に入るガス流中のフルフリルアルコールとフルフラールの総濃度に関する条件も両方とも満たされる。
【0011】
気相内での第1不均一系触媒の存在下の反応に用いる装置は、好ましくは上記触媒が充填される管型反応器である。管型反応器に適切な計量装置を用いて供給される供給ストリームは、フルフリルアルコール及びフルフラールから成る群からの一方又は両方の化合物を含む出発材料と、必要量の水素(好ましくは水素と、フルフリルアルコール及びフルフラールの総量とのモル比が上記の)と、任意に含んでよい不活性ガスとから成る。フルフリルアルコール及び/又はフルフラールは飽和器によって気相に変換される。飽和器は、液体フルフリルアルコール及び/又はフルフラールを80〜120℃、特に好ましくは90〜110℃の範囲内の温度に加熱し、かつ飽和器を通って水素又は水素と不活性ガスが流れる。或いは、液体出発材料を定量ポンプ又は同様の装置及びエバポレーターを介して供給する。
第1不均一系触媒の存在下の反応を液相内で行なう場合、それは好ましくは-20℃〜+100℃、好ましくは-20℃〜+50℃の範囲内、さらに好ましくは-5〜+50℃の範囲内、なおさらに好ましくは-5℃〜+30℃の範囲内、特に好ましくは0℃〜+30℃の範囲内、最も特に好ましくは0℃〜+10℃の範囲内の温度で起こる。好ましくは、温度及び水素分圧は上記好ましい範囲内である。
上記で定義した第1不均一系触媒の存在下の反応の反応時間は、好ましくは1〜20時間の範囲内、好ましくは2〜12時間の範囲内、さらに好ましくは3〜8時間の範囲内である。
【0012】
本発明によれば、フルフリルアルコールと水素の反応は、好ましくは1種以上の、好ましくは25℃で6以上のpK
s値を有し、好ましくは25℃で8以上のpK
s値を有し、好ましくは25℃で10以上のpK
s値を有し、特に好ましくは25℃で12以上のpK
s値を有する有機希釈剤中で行なわれる。
さらに25℃で12〜25の範囲内、特に好ましくは13〜20の範囲内、最も好ましくは14〜18の範囲内のpK
s値を有する有機希釈剤を優先的に取り扱う。
pK
s値(pK
a値とも)は酸定数K
sの負の常用対数に相当する。酢酸は4.75のpK
s値を有する。
本発明により使用すべき希釈剤は、好ましくは反応条件下で不活性である。すなわち、希釈剤は好ましくはそれ自体反応せず、特に支配的な水素化又は水素化分解条件下では、それ自体還元されない。
好ましく使用することになる希釈剤は、1〜4個の炭素原子を有する1種以上のアルコール、好ましくはメタノール、エタノール、n-プロパノール、イソプロパノール及びその混合物から成る群より選択される1種以上のアルコールであるか又は該アルコールを含む。
無極性及び/又は非プロトン性の不活性溶媒、例えばジブチルエーテル、メチルtert-ブチルエーテル(MTBE)、シクロヘキサン、n-オクタン、イソオクタン又はデカリン等を使用することもでき、任意に、上記で好ましいと特徴づけた1〜4個の炭素原子を有する1種以上のアルコールと組み合わせて使用することもできる。
【0013】
好ましい実施形態では、希釈剤に加えて、好ましくは上記で好ましいと特徴づけた希釈剤の1つに加えて、25℃で3未満のpK
s値を有し、好ましくは25℃で0未満のpK
s値を有する無機酸を使用することができる。本発明の方法の水素化分解の過程に硫酸が特に有利であることが分かったので、好ましい無機酸は硫酸である。
特に好ましい実施形態では、フルフリルアルコールの反応は、メタノール、エタノール、n-プロパノール、イソプロパノール及びその混合物から成る群より選択される1種以上のアルコールを含むか又は該アルコールから成る希釈剤及び硫酸中で起こる。エタノールと硫酸の組合せが特に好ましい。
無機酸、好ましくは硫酸を使用する場合、その総量は、希釈剤(複数可)の総質量に基づいて、好ましくは0.0001〜1wt.%の範囲内、好ましくは0.001〜0.5wt.%の範囲内、特に好ましくは0.01〜0.1wt.%の範囲内であり、希釈剤は、好ましくはメタノール、エタノール、n-プロパノール、イソプロパノール及びその混合物から成る群より選択される。
好ましくは25℃で上記で好ましい又は特に好ましいと特徴づけたpK
s値を有し、好ましくは上記で好ましいと特徴づけた希釈剤の群から選択される希釈剤(複数可)の総量は、好ましくは使用するフルフリルアルコールの総量に基づいて、25〜1000wt.%の範囲内、好ましくは50〜500wt.%の範囲内、さらに好ましくは100〜300wt.%の範囲内である。
【0014】
本発明により好ましく使用することになる第1不均一系触媒は、(i)白金及び/又は1種以上の白金化合物(特に白金(IV)化合物)並びに(ii)1種以上の担体材料を含む不均一系白金触媒である。本発明により特に好ましく使用することになる第1不均一系触媒は、(i)白金及び/又は1種以上の白金(IV)化合物並びに(ii)1種以上の担体材料を含む不均一系白金触媒である。
好ましい白金(IV)化合物は、H
2PtCl
6及びその塩、好ましくは(NH
4)
2PtCl
6、並びに二酸化白金である(そのうちPtO
2及びPtO
2水和物が好ましい)。特に好ましい白金(IV)化合物は二酸化白金PtO
2である。
鉄、バナジウム及び/又はルテニウムを添加できる元素、すなわち、金属の白金を優先的に取り扱う。
担体材料は、好ましくは25℃及び1013ミリバールで、好ましくは水素化条件下でも固体である。担体材料は好ましくは活性炭、シリカ、二酸化ケイ素及び/又は酸化アルミニウムから成る群より選択される。
酸化アルミニウム及び/又は活性炭を含む本発明により使用すべき白金触媒が1,2-ペンタンジオールの最良の収率と最良の選択性をもたらしたので、特に好ましい担体材料は酸化アルミニウム及び活性炭である。
従って、好ましくは、担体材料は活性炭及び/又は酸化アルミニウムを含むか、酸化アルミニウムから成るか又は活性炭から成る。
γ-酸化アルミニウムが特に良い担体材料であることが分かった。
【0015】
酸化アルミニウム上の二酸化白金、又は活性炭若しくは酸化アルミニウム上の白金を用いて本発明の方法で特に良い結果が達成され;最良の結果は、酸化アルミニウム上の二酸化白金、特にγ-酸化アルミニウム上の二酸化白金を用いて達成された。
本発明により使用すべき不均一系白金触媒はそれ自体公知であり、例えば、Anal. Chem. 1956, 28(3), 362-365又はThermochimica Acta 1977, 20(3), 297-308又はProceedings of the 13th International Conference On X-Ray Absorption Fine Structure (XAFS13), Stanford, California, 2006, edited by B. Hedman and P. Pianetta, eConf C060709 (2006) (完全なテキストはホームページhttp://www.slac.stanford.edu/econf/C060709/papers/207_WEPO17.PDFで入手可能)に従うか又はそれに類似して得られる。
不均一系白金触媒の量は、好ましくは使用するフルフリルアルコールの量に基づいて、0.1〜20wt.%の範囲内、好ましくは0.25〜15wt.%の範囲内、さらに好ましくは0.5〜12wt.%の範囲内である。
不均一系白金触媒の構成物質(i)の量、すなわち白金及び/又は白金化合物の総含量は、好ましくは不均一系白金触媒の総量に基づいて、0.5〜50wt.%の範囲内、好ましくは0.5〜20wt.%の範囲内、さらに好ましくは0.5〜10wt.%の範囲内である。
本発明の方法で特に好ましい白金触媒は、酸化アルミニウム上の二酸化白金、好ましくはγ-酸化アルミニウム上の二酸化白金、及び/又は活性炭上の白金であり、二酸化白金及び/又は白金の総含量は、使用する不均一系白金触媒の総量に基づいて、0.5〜10wt.% の範囲内である。
好ましくは、本発明により第1不均一系触媒として使用すべき白金触媒(上記定義通り)にはReO
2及びCr
2O
3がなく、好ましくはレニウム及びクロムがない。好ましくは、本発明により第1不均一系触媒として使用すべき白金触媒(上記定義通り)にはCeO
2がなく、好ましくは酸化セリウムがなく、さらに好ましくはセリウム、レニウム及びクロムがない。好ましくは、本発明により第1不均一系触媒として使用すべき白金触媒(上記定義通り)には元素Re、Mo、Mn、Co、Ti、W、Cr、Fe、V及びTaの酸化物がない。
【0016】
上記定義通りの不均一系白金触媒を用いる本発明の方法の好ましい変形では、フルフリルアルコールと不均一系白金触媒の構成物質(i)の総量との質量比が好ましくは2000:1〜10:1の範囲内、好ましくは1000:1〜25:1の範囲内、さらに好ましくは500:1〜50:1の範囲内、最も好ましくは300:1〜100:1の範囲内である。
好ましくは、本発明の方法におけるフルフリルアルコールの水素化分解は、-20℃〜+50℃の範囲内、好ましくは-5〜+30℃の範囲内、さらに好ましくは0〜+10℃の範囲内の温度で行なわれる。
上記定義通りの不均一系白金触媒を用いる本発明の方法の好ましい変形の水素圧は、好ましくは1〜20バールの範囲内、好ましくは1〜8バールの範囲内、さらに好ましくは1〜4バールの範囲内である。
上記定義通りの不均一系白金触媒を用いる本発明の方法の好ましい変形の反応時間は、好ましくは1〜20時間の範囲内、好ましくは2〜12時間の範囲内、さらに好ましくは3〜8時間の範囲内である。
本発明の方法は、一般的に1,2-ペンタンジオールが主生成物となる生成物混合物をもたらす。
下記反応スキームは、所望の主生成物1,2-ペンタンジオール及び一般的に得られる二次生成物を与えるための本発明の方法におけるフルフリルアルコールの反応を示す。
【0018】
反応スキームに示す二次生成物に加えて、本発明の方法の良い収率及び/又は良い選択性のおかげで、特に目標生成物1,2-ペンタンジオールに加えて、少量だけ、1-ヒドロキシ-2-ペンタノンが形成される。本発明の方法の有利なさらなる発展形(下記参照)では、1-ヒドロキシ-2-ペンタノンはさらなる反応工程で同様に反応して目標生成物1,2-ペンタンジオールを形成する。
好ましくは、使用するフルフリルアルコールの少なくとも80wt.%、好ましくは少なくとも90wt.%、さらに好ましくは少なくとも95wt.%が反応するように反応を行なう。
好ましくは、反応が完了したときに存在する反応混合物が、形成された生成物の総量に基づいて、少なくとも40wt.%、好ましくは少なくとも50wt.%、さらに好ましくは少なくとも60wt.%、特に好ましくは少なくとも70wt.%の1,2-ペンタンジオールを含むように反応を行なう。
明確にするため:反応混合物中の重量で示す1,2-ペンタンジオールの量は、フルフリルアルコールから形成された生成物の総量のみに基づいている。従って、1,2-ペンタンジオールの重量による上記量を決定するとき、反応完時に反応混合物中に存在する未反応フルフリルアルコールのいずれの量も、白金触媒及び希釈剤の量も考慮しない。
反応混合物中の1,2-ペンタンジオールの重量による上記量は、特にフルフリルアルコールの反応の完了時の反応混合物中の1-ペンタンジオール、2-ペンタンジオール、テトラヒドロフルフロール、1,2-ペンタンジオール及び1,5-ペンタンジオールの総量に基づいている。
本発明の方法を液相内又は気相内で行なうことができる。
反応を連続的、半連続的又はバッチ式で行なうことができる。
反応は、好ましくはバッチ法で行なわれ、好ましくは反応容器内には、フルフリルアルコールと、好ましくは任意に用いられる希釈剤とが液相内に存在し、かつ本発明により使用すべき触媒と混合されている。
反応は、好ましくは反応管内で行なわれ、本発明により使用すべき触媒は固定層の形態であり、フルフリルアルコール及び好ましくは任意に用いられる希釈剤は液相内に存在し、固定触媒層と接触させられる。
【0019】
不均一系白金触媒の存在下でフルフリルアルコールの反応によって1,2-ペンタンジオールを調製するための本発明の方法は、好ましくは下記工程:
(a)フルフリルアルコール及びフルフラールから成る群からの一方又は両方の化合物を含む出発材料の準備;
(b)上記定義通りの第1不均一系触媒の準備;
(c)1種以上の希釈剤の任意的な準備;
(d)工程(a)及び(b)並びに任意に工程(c)で準備した成分を含む混合物の調製、及びこの混合物の水素との接触
又は
(d')工程(a)で準備した出発材料と水素を含み、任意に不活性ガスを含んでよい混合物の調製、及びこの混合物の工程(b)により準備した第1不均一系触媒との接触;
(e)工程(d)又は(d')で調製した混合物において、第1不均一系触媒の存在下で出発材料を水素と反応させて、1,2-ペンタンジオールを含み、任意に1-ヒドロキシ-2-ペンタノン、フルフリルアルコール及びフルフラールから成る群からの1種以上の化合物を含んでよい混合物を形成する工程;
(f)蒸留による1,2-ペンタンジオールの任意的な分離
を特徴とする。
上記で好ましい又は特に好ましいと示した希釈剤は、それに関して相応に好ましく又は特に好ましい。
上記で好ましい又は特に好ましいと示した第1不均一系触媒は、それに関して相応に好ましく又は特に好ましい。
上記で好ましい又は特に好ましいと示した反応条件の1つ、多数又は全てがそれに関して確立されるのが好ましい。
工程(a)〜(c)で準備した成分を工程(d)で一緒に混合する際の匂いは重要でない。
【0020】
特に好ましい変形では、本発明の方法は下記工程:
(a)フルフリルアルコールの準備;
(b)上記定義通りの少なくとも第1不均一系触媒、好ましくは(i)白金及び/又は白金化合物と(ii)1種以上の担体材料とを含む不均一系白金触媒の準備;
(c)好ましくは25℃で6以上のpK
sを有する1種以上の希釈剤の任意的な準備;
(d)工程(a)及び(b)並びに好ましくは工程(c)で準備した成分を含む混合物の調製、
(e)工程(d)で調製した混合物の水素との接触
を具備する。
好ましい代替変形では、本発明の方法は、下記工程:
(a)フルフリルアルコール及びフルフラールから成る群からの一方又は両方の化合物を含む出発材料の準備;
(b)上記定義通りの第1不均一系触媒の準備;
(d')工程(a)で準備した出発材料と水素を含み、任意に不活性ガスを含んでよい混合物の調製、及びこの混合物の工程(b)により準備した第1不均一系触媒との接触;
(e)工程(d')で調製した混合物において、第1不均一系触媒の存在下で出発材料を水素と反応させて、1,2-ペンタンジオールを含み、任意に1-ヒドロキシ-2-ペンタノン、フルフリルアルコール及びフルフラールから成る群からの1種以上の化合物を含んでよい混合物を形成する工程
を具備する。
【0021】
上記本発明の方法によれば、フルフリルアルコール及びフルフラールから成る群からの一方又は両方の化合物を含む出発材料の反応によって、既知の従来技術より優れた1,2-ペンタンジオールの収率を達成することができる。本発明の方法のさらなる有利な特徴は、高い収率と選択性での二次生成物1-ヒドロキシ-2-ペンタノンの形成である。対照的に、従来技術から既知の方法で典型的に形成される他の二次生成物は、本発明の方法では非常に少量しか形成されない。特に、本発明の方法によって得られる混合物では、環状化合物をほとんど検出できない。
1-ヒドロキシ-2-ペンタノン及び1,2-ペンタンジオールに対する選択性の合計は一般的に80%を超え、ほとんど完全な変換の場合さえある。1,2-ペンタンジオール調製の従来技術から既知の方法の試験では、化合物1-ヒドロキシ-2-ペンタノンは二次生成物として検出されなかった。1-ヒドロキシ-2-ペンタノンの形成は、適切な条件下、第2不均一系触媒の存在下で容易かつ非常に選択的に1-ヒドロキシ-2-ペンタノンを1,2-ペンタンジオールに水素化できるので他の二次生成物に比べて有利である。このことは、本発明の方法の有利なさらなる発展形の主題であり、これについては後述する。
【0022】
従って有利なさらなる発展形では、特に上記好ましい変形の本発明の方法は、さらなる工程:
−第1不均一系触媒の存在下で上記反応で形成された混合物からの1-ヒドロキシ-2-ペンタノン、フルフリルアルコール及びフルフラールから成る群からの化合物を第2不均一系触媒の存在下で水素と反応させて1,2-ペンタンジオールを形成する工程
を具備し、
この第2不均一系触媒は、
(i')金属形態の白金、ロジウム、ルテニウム、ニッケル、パラジウム及びイリジウム並びに/或いは白金、ロジウム、ルテニウム、ニッケル、パラジウム及びイリジウムから成る群からの金属の1種以上の化合物、
並びに
(ii')1種以上の担体材料
を含む。
本発明の方法のこの有利なさらなる発展形によれば、1,2-ペンタンジオールに対する全体的な選択性を80%超えに高めることができる。第2不均一系触媒の存在下の反応前の1,2-ペンタンジオールの分離は必要ない。
第2不均一系触媒中、金属形態の白金、ロジウム、ルテニウム、ニッケル、パラジウム及びイリジウム並びにそれらの金属の化合物に含まれる形態の白金、ロジウム、ルテニウム、ニッケル、パラジウム及びイリジウムの総濃度は、好ましくは第2不均一系触媒の全構成物質の総重量に基づいて、0.1wt.%〜20wt.%、好ましくは0.5wt.%〜10wt.%の範囲内である。
本発明の方法のこの有利なさらなる発展形の好ましい変形では、第1及び第2不均一系触媒が同一組成を有する。
好ましくは、第1不均一系触媒の担体材料(ii)及び/又は第2不均一系触媒の担体材料(ii')は、25℃及び1013ミリバールで、好ましくは230℃及び1013ミリバールでも固体であり、担体材料(ii)及び/又は担体材料(ii')は、好ましくは活性炭、シリカ、二酸化ケイ素、炭化ケイ素、酸化アルミニウム、二酸化ジルコニウム、二酸化チタン、三酸化ニオビウム、二酸化セリウム及びその混合物から成る群より選択される。
第2不均一系触媒の存在下の反応は液相内又は気相内で起こる。
第2不均一系触媒の存在下の反応を気相内で行なう場合、温度は、好ましくは25℃〜240℃の範囲内、特に好ましくは100℃〜130℃の範囲内であり、及び/又は水素分圧は1バール〜10バールの範囲内である。好ましくは、温度と水素分圧はここで述べた好ましい範囲内である。
好ましくは、第2不均一系触媒の存在下の反応は、ガス流が連続的に流れる反応器内で起こる。反応器に入るときに、ガス流は第1不均一系触媒(上述した通り)の存在下の反応で形成された混合物及び水素を含み、任意に不活性ガスを含んでよく、
−第2不均一系触媒の体積に基づいた、ガス流の流速(ガス空間速度GHSV)は、500時間
-1〜5000時間
-1、好ましくは900時間
-1〜3600時間
-1であり、
及び/又は
−反応器に入るガス流中の1-ヒドロキシ-2-ペンタノン、フルフリルアルコール及びフルフラールの総濃度は、1mol%〜15mol%、好ましくは3mol%〜10mol%である。
好ましくは、流速に関する条件も反応器に入るガス流中の1-ヒドロキシ-2-ペンタノン、フルフリルアルコール及びフルフラールの総濃度に関する条件も両方とも満たされる。
【0023】
本発明の方法の好ましい変形では、第1不均一系触媒の存在下の反応も第2不均一系触媒の存在下の反応も両方とも気相内で行なわれる。この変形は、希釈剤(溶媒)を必要としないという利点を有し、これは相当な経済上及び環境上の利点となる。本発明の方法のこの変形では、好ましくは第1反応管と、この第1反応管の下流に接続される第2反応管とを含む装置を使用する。第1不均一系触媒を第1反応管に配置し、第2不均一系触媒を第2反応管に配置する。従って第1反応管では第2反応管とは異なる温度に設定することができる。
第2不均一系触媒の存在下の反応を液相で行う場合、温度は-20℃〜+150℃、好ましくは-20℃〜+50℃の範囲内、さらに好ましくは-5〜+50℃の範囲内、なおさらに好ましくは-5℃〜+30℃の範囲内、特に好ましくは0℃〜+30℃の範囲内、最も特に好ましくは0℃〜+10℃の範囲内であり、及び/又は水素分圧は1バール〜100バールの範囲内、好ましくは1バール〜50バールの範囲内、さらに好ましくは1バール〜20バールの範囲内である。好ましくは、温度と水素分圧はここで述べた好ましい範囲内である
好ましくは、液相は1種以上の、好ましくは極性希釈剤を含み、希釈剤(複数可)は、水、1〜4個の炭素原子を有するアルコール、脂肪族エーテル、オリゴマー末端ヒドロキシ官能化エーテル及び環状エーテルから成る群より選択されるエーテル、並びにその混合物から成る群より選択される。本発明により使用すべき希釈剤は、好ましくは水素化条件下で不活性である。すなわち、希釈剤は好ましくはそれ自体反応せず、特に支配的水素化条件下ではそれ自体還元されない。
希釈剤として好ましく使用することになる1〜4個の炭素原子を有するアルコールは、メタノール、エタノール、n-プロパノール、イソプロパノール、n-ブタノール、イソブタノール、tert-ブタノールから成る群より選択される。希釈剤として使用すべき好ましいエーテルは、脂肪族エーテル、例えばメチルtert-ブチルエーテル等、オリゴマー末端ヒドロキシ官能化エーテル、例えジエチレングリコール及びトリエチレングリコール等、環状エーテル、例えばテトラヒドロフラン及びジオキサン、又はその混合物から成る群より選択される。
【0024】
第2不均一系触媒の存在下の反応用装置として好ましくは撹拌槽型反応器を使用する。撹拌槽型反応器内における第2不均一系触媒の存在下の反応の反応時間は好ましくは0.25〜20時間の範囲内、好ましくは2〜12時間の範囲内、さらに好ましくは3〜8時間の範囲内である。
本発明の方法の特に好ましい変形では、第1不均一系触媒の存在下、フルフリルアルコール及びフルフラールから成る群からの一方又は両方の化合物を含む出発材料の反応は気相内で起こり、かつ第1不均一系触媒の存在下で形成された混合物からの1-ヒドロキシ-2-ペンタノン、フルフリルアルコール及びフルフラールから成る群からの化合物の、第2不均一系触媒の存在下での水素との反応は液相内で起こる。そのためには、第1不均一系触媒の存在下で形成された混合物の有機化合物を適切な装置で凝縮(すなわち液相に変換)する。結果として生じる凝縮物を次に第2不均一系触媒の存在下の反応を行なうための反応器、好ましくは撹拌槽型反応器に移す。好ましくは、この手順で第1不均一系触媒の存在下の反応のために確立される反応条件は、出発化合物フルフリルアルコール又はフルフラールのほとんど完全な変換が達成されるようなものである。
生じる凝縮物に1種以上の希釈剤を添加するのが好ましく、凝縮物に添加する希釈剤の総量は、凝縮物の質量に基づいて、25〜1000wt.%の範囲内、好ましくは50〜500wt.%の範囲内、さらに好ましくは100〜300wt.%の範囲内である。
第2不均一系触媒中の(i)金属形態の白金、ロジウム、ルテニウム、ニッケル、パラジウム及びイリジウム並びにそれらの金属の化合物に含まれる形態の白金、ロジウム、ルテニウム、ニッケル、パラジウム及びイリジウムの総濃度は、好ましくは凝縮物に含まれる1-ヒドロキシ-2-ペンタノンの量に基づいて、0.01〜10mol%の範囲内である。
【0025】
上記有利なさらなる発展形の本発明の方法は、好ましくは下記工程:
(a)フルフリルアルコール及びフルフラールから成る群からの一方又は両方の化合物を含む出発材料の準備;
(b)上記定義通りの第1不均一系触媒の準備;
(c)1種以上の希釈剤の任意的な準備;
(d)工程(a)及び(b)並びに任意に工程(c)で準備した成分を含む混合物の調製、及びこの混合物の水素との接触
又は
(d')工程(a)で準備した出発材料と水素を含み、任意に不活性ガスを含んでよい混合物の調製、及びこの混合物の工程(b)により準備した第1不均一系触媒との接触;
(e)工程(d)又は(d')で調製した混合物において、第1不均一系触媒の存在下で出発材料を水素と反応させて1,2-ペンタンジオールと、1-ヒドロキシ-2-ペンタノン、フルフリルアルコール及びフルフラールから成る群からの1種以上の化合物とを含む混合物を形成する工程;
(f)上記定義通りの第2不均一系触媒の準備、
(g)1種以上の希釈剤の任意的な準備、
(h)工程(e)で形成された混合物の有機成分の任意的な凝縮、及び工程(e)で形成された混合物、又はそれから凝縮された有機成分と、工程(f)及び任意に工程(g)で準備した成分とを含む混合物の調製、及びこの混合物の水素との接触
又は
(h')工程(e)で形成された混合物の、水素及び任意に存在し得る不活性ガスの存在下における、工程(f)により準備した第2不均一系触媒との接触、
(i)工程(e)で形成された混合物からの1-ヒドロキシ-2-ペンタノン、フルフリルアルコール及びフルフラールから成る群からの化合物を第2不均一系触媒の存在下で水素と反応させて1,2-ペンタンジオールを形成する工程、
(j)蒸留による1,2-ペンタンジオールの任意的な分離
を特徴とする。
上記で好ましい又は特に好ましいと示した希釈剤は、それに関して相応に好ましく又は特に好ましい。
上記で好ましい又は特に好ましいと示した不均一系触媒は、それに関して相応に好ましく又は特に好ましい。
上記で好ましい又は特に好ましいと示した反応条件の1つ、多数又は全てがそれに関して確立されるのが好ましい。
工程(a)〜(c)で準備した成分を工程(d)で一緒に混合する際の匂いは重要でない。
【0026】
本発明の全ての方法の変形では、例えば凝縮器で、反応混合物の有機成分から未反応水素を非常に容易に分離し、再び第1不均一系触媒の存在下の反応に供給できる。
第1の好ましい変形では、本発明の方法は下記工程:
(a)フルフリルアルコール及びフルフラールから成る群からの一方又は両方の化合物を含む出発材料の準備;
(b)上記定義通りの第1不均一系触媒の準備;
(d')工程(a)で準備した出発材料と水素を含み、任意に不活性ガスを含んでよい混合物の調製、及びこの混合物の、工程(b)により準備した第1不均一系触媒との接触、
(e)工程(d')で調製した混合物において、第1不均一系触媒の存在下で出発材料を水素と反応させて1,2-ペンタンジオールと、1-ヒドロキシ-2-ペンタノン、フルフリルアルコール及びフルフラールから成る群からの1種以上の化合物とを含む混合物を形成する工程、
(f)上記定義通りの第2不均一系触媒の準備、
(h')工程(e)で形成された混合物の、水素及び任意に存在し得る不活性ガスの存在下における、工程(f)により準備した第2不均一系触媒との接触、
(i)工程(e)で形成された混合物からの1-ヒドロキシ-2-ペンタノン、フルフリルアルコール及びフルフラールから成る群からの化合物を第2不均一系触媒の存在下で水素と反応させて1,2-ペンタンジオールを形成する工程、
(j)蒸留による1,2-ペンタンジオールの任意的な分離
を具備する。
【0027】
第2の好ましい変形では、本発明の方法は下記工程:
(a)フルフリルアルコール及びフルフラールから成る群からの一方又は両方の化合物を含む出発材料の準備;
(b)上記定義通りの第1不均一系触媒の準備;
(c)1種以上の希釈剤の任意的な準備;
(d)工程(a)及び(b)並びに任意に工程(c)で準備した成分を含む混合物の調製、及びこの混合物の水素との接触、
(e)工程(d)で調製した混合物において、第1不均一系触媒の存在下で出発材料を水素と反応させて1,2-ペンタンジオールと、1-ヒドロキシ-2-ペンタノン、フルフリルアルコール及びフルフラールから成る群からの1種以上の化合物とを含む混合物を形成する工程;
(f)上記定義通りの第2不均一系触媒の準備、
(g)1種以上の希釈剤の任意的な準備、
(h)工程(e)で形成された混合物と、工程(f)及び任意に工程(g)で準備した成分とを含む混合物の調製、及びこの混合物の水素との接触、
(i)工程(e)で形成された混合物からの1-ヒドロキシ-2-ペンタノン、フルフリルアルコール及びフルフラールから成る群からの化合物を第2不均一系触媒の存在下で水素と反応させて1,2-ペンタンジオールを形成する工程、
(j)蒸留による1,2-ペンタンジオールの任意的な分離
を具備する。
【0028】
第3の好ましい変形では、本発明の方法は下記工程:
(a)フルフリルアルコール及びフルフラールから成る群からの一方又は両方の化合物を含む出発材料の準備;
(b)上記定義通りの第1不均一系触媒の準備;
(d')工程(a)で準備した出発材料と水素を含み、任意に不活性ガスを含んでよい混合物の調製、及びこの混合物の、工程(b)により準備した第1不均一系触媒との接触、
(e)工程(d')で調製した混合物において、第1不均一系触媒の存在下で出発材料を水素と反応させて1,2-ペンタンジオールと、1-ヒドロキシ-2-ペンタノン、フルフリルアルコール及びフルフラールから成る群からの1種以上の化合物とを含む混合物を形成する工程、
(f)上記定義通りの第2不均一系触媒の準備、
(g)1種以上の希釈剤の任意的な準備、
(h)工程(e)で形成された混合物の有機成分の凝縮、及び工程(e)で形成された混合物から凝縮された有機成分と、工程(f)及び任意に工程(g)で準備した成分とを含む混合物の調製、及びこの混合物の水素との接触、
(i)工程(e)で形成された混合物からの1-ヒドロキシ-2-ペンタノン、フルフリルアルコール及びフルフラールから成る群からの化合物を第2不均一系触媒の存在下で水素と反応させて1,2-ペンタンジオールを形成する工程、
(j)蒸留による1,2-ペンタンジオールの任意的な分離
を具備する。
【0029】
第4の好ましい変形では、本発明の方法は下記工程:
(a)フルフリルアルコール及びフルフラールから成る群からの一方又は両方の化合物を含む出発材料の準備;
(b)上記定義通りの第1不均一系触媒の準備;
(c)1種以上の希釈剤の任意的な準備;
(d)工程(a)及び(b)並びに任意に工程(c)で準備した成分を含む混合物の調製、及びこの混合物の水素との接触、
(e)工程(d)又は(d'')で調製した混合物において、第1不均一系触媒の存在下で出発材料を水素と反応させて1,2-ペンタンジオールと、1-ヒドロキシ-2-ペンタノン、フルフリルアルコール及びフルフラールから成る群からの1種以上の化合物とを含む混合物を形成する工程;
(f)上記定義通りの第2不均一系触媒の準備、
(h')工程(e)で形成された混合物の、水素及び任意に存在し得る不活性ガスの存在下における、工程(f)により準備した第2不均一系触媒との接触、
(i)工程(e)で形成された混合物からの1-ヒドロキシ-2-ペンタノン、フルフリルアルコール及びフルフラールから成る群からの化合物を第2不均一系触媒の存在下で水素と反応させて1,2-ペンタンジオールを形成する工程、
(j)蒸留による1,2-ペンタンジオールの任意的な分離
を具備する。
特にその好ましい変形及び上記有利なさらなる発展形の本発明の方法は、1,2-ペンタンジオールが一般的に主生成物となる生成物混合物をもたらす。
下記反応スキームは、所望の主生成物1,2-ペンタンジオールと、結果として一般的に得られる二次生成物とを与えるために中間体1-ヒドロキシ-2-ペンタノンを介する本発明の方法におけるフルフラール又はフルフリルアルコールの反応を示す。
【0031】
フルフラールを出発材料として使用する場合、フルフラールをまずフルフリルアルコールに変換する。
本発明の方法を一段階プロセスとして行なう場合(上記の第1不均一系触媒の存在下の反応工程を含むが、上記の第2不均一系触媒の存在下のさらなる反応工程を含まない)、目標生成物1,2-ペンタンジオールに加えて、スキーム下部の括弧内に示す二次生成物、並びに1-ヒドロキシ-2-ペンタノンが形成される。この変形は、上記スキームには「一段階プロセス」と表示した連続矢印で表してある。
本発明の方法を二段階プロセスとして有利なさらなる発展形により行なう場合(上記の第1不均一系触媒の存在下の反応工程と、上記の第2不均一系触媒の存在下のさらなる反応工程とを含む)、目標生成物1,2-ペンタンジオールに加えて、スキーム下部の括弧内に示す二次生成物が形成されるが、第1不均一系触媒の存在下の反応で形成された1-ヒドロキシ-2-ペンタノンは、第2不均一系触媒の存在下の反応で大体は1,2-ペンタンジオールに変換される。この変形は、上記スキームには「二段階プロセス」と表示した二部矢印で表してある。
好ましくは、使用するフルフラール及び/又はフルフリルアルコールの少なくとも80wt.%、好ましくは少なくとも90wt.%、さらに好ましくは少なくとも95wt.%が反応するように反応を行なう。
好ましくは、一段階又は二段階プロセス後の反応混合物が、形成された生成物の総量に基づいて、少なくとも30wt.%、好ましくは少なくとも50wt.%、さらに好ましくは少なくとも70wt.%、特に好ましくは少なくとも80wt.% の1,2-ペンタンジオールを含むように反応を行なう。反応混合物中の1,2-ペンタンジオール又は1-ヒドロキシ-2-ペンタノンの量Yは、フルフリルアルコール又はフルフラールから形成された生成物の総量に基づいている。従って、1,2-ペンタンジオールの量Yを決定するとき、反応完了時に反応混合物中にまだ存在する未反応フルフリルアルコール又はフルフラールのいずれの量も、触媒及び希釈剤のいずれの量も考慮しない。反応混合物中の1,2-ペンタンジオール又は1-ヒドロキシ-2-ペンタノンの量Yは、特に反応完了時の反応混合物中の1-ペンタノール、2-ペンタノール、ペンタン、テトラヒドロフルフリルアルコール、1-ヒドロキシ-2-ペンタノン、メチルフラン、メチルテトラヒドロフラン、1,2-ペンタンジオール及び1,5-ペンタンジオールの総量に基づいている。
【0032】
本発明は、下記
(i)金属形態の白金、ロジウム、ルテニウム、ニッケル、パラジウム及びイリジウム並びに/或いは白金、ロジウム、ルテニウム、ニッケル、パラジウム及びイリジウムから成る群からの金属の1種以上の化合物、
及び
(ii)1種以上の担体材料
を含む不均一系触媒の、
フルフリルアルコール、フルフラール及び1-ヒドロキシ-2-ペンタノンから成る群からの1種以上の化合物を含む出発材料の水素化分解のため又はフルフリルアルコール、フルフラール及び1-ヒドロキシ-2-ペンタノンから成る群からの1種以上の化合物を含む出発材料の水素化生成物を与えるための反応のための使用にも関する。
好ましい実施形態及び本発明により使用すべき触媒の好ましい使用条件のついては、上記記載を参照されたい。
本発明はさらに、(i)白金及び/又は1種以上の白金化合物と、(ii)1種以上の担体材料とを含む白金触媒の、フルフリルアルコールの水素化分解のための使用に関する。
本発明は特に、活性炭上の白金、酸化アルミニウム上の白金及び酸化アルミニウム上の二酸化白金から成る群より選択される白金触媒の、フルフリルアルコールの水素化分解のための使用に関する。
本発明の方法によって得られた1,2-ペンタンジオールは、必要ならば、その後の簡単な工程で、例えば蒸留又は精留によってさらに精製可能である。そしてそれはほとんど又は完全に無色かつほとんど又は完全に無臭であり、かつ匂いについての品質のためにも、化粧品に使用するのに適している。
【実施例】
【0033】
以下の実施例では、特に指定のない限り、全ての量は重量による。
実施例1(本発明に従う)
100g(1.02mol)のフルフリルアルコールを200gのエタノールに溶かし;10gの触媒(γ-酸化アルミニウム上の5wt.%の二酸化白金、0.5gの二酸化白金に相当)を加えて0〜5℃及び1バールの水素圧で水素化を行なった。5時間後、水素の吸収が完了した。触媒をろ別し、溶媒エタノール、最後に生成物混合物を蒸留した。下記組成を有する105gの蒸留物を得た:
2%の2-ペンタンジオール
2%の1-ペンタンジオール
15%のテトラヒドロフルフロール
80%の1,2-ペンタンジオール
1%の1,5-ペンタンジオール
収量:84g(0.81mol)の1,2-ペンタンジオール(理論収量の80%に相当)。
6回の水素化バッチからの蒸留物を合わせて(全部で630g)、1mの充填カラム上での分別蒸留に供した。99.9%の純度を有する475gの無色の1,2-ペンタンジオールを主生成物として得た。
結果として生じた1,2-ペンタンジオールは無色無臭であった。
1.8gのヘキサクロロ白金酸を水に溶かし、この溶液を10gの担体材料γ-酸化アルミニウムに初期濡れ(incipient-wetness)法を用いて塗布することによって、実施例1で用いた不均一系白金触媒を調製した。そのようにして得た固体を310〜320℃の範囲の温度でNaNO
3溶融物中に導入し、結果として生じた混合物の温度を徐々に500℃に上げてから混合物を1時間500℃で維持した。
【0034】
実施例2(比較例I)
Journal of American Chemical Society
71, 415 (1949)又はその中の引用文献Journal of American Chemical Society
67, 272 (1945)に従い、100g(1.02mol)のフルフリルアルコールを200gの酢酸に溶かし;4gの二酸化白金(担体材料なし;供給業者:Acros)を加えて0〜5℃及び1バールの水素圧で水素化を行なった。10時間後、水素の吸収が完了し、触媒をろ別し、溶媒を蒸留して除去した。次に蒸留残渣を500gのメチルtert-ブチルエーテルに取って40g(0.74mol)のナトリウムメチラートと撹拌して、モノアセタート又はジアセタートの形で存在するジオールを脱アセチルした。50gの水の添加後、混合物を半濃塩酸で中和し、相を分け、溶媒を除去した。蒸留後、下記組成を有する80gの油性液体を得た:
26%の2-ペンタンジオール
10%の1-ペンタンジオール
35%のテトラヒドロフルフロール
26%の1,2-ペンタンジオール
2%の1,5-ペンタンジオール
収量:21g(0.20mol)の1,2-ペンタンジオール(理論収量の20%に相当)。
実施例3(比較例II)
Journal of American Chemical Society
67, 272 (1945)に従い、5g(0.05mol)のフルフリルアルコールを50mlの酢酸に溶かし;0.2gの二酸化白金を加えて20〜25℃及び1バールの水素圧で水素化を行なった。
結果は実施例2(比較例I)の結果と一致した。
【0035】
実施例4〜7(本発明に従う)
(i)白金及び(ii)Al
2O
3を含む3gの顆粒化不均一系触媒を連続気相装置の管型反応器に配置した。(i)白金の濃度は、触媒の全構成物質の総重量に基づいて10wt.%であった。装置はフルフリルアルコール(FA)で満たした飽和器、水素及び不活性ガス用吸気管、ガス計量ユニット、管型反応器及び凝縮ユニットを含む。
飽和器の温度並びに水素流及び任意に追加の不活性ガス流の計量によってフルフリルアルコールの体積流量を制御した。フルフリルアルコールと水素を含むガス混合物を管型反応器に通し、生成物ガス流からの有機成分及び水を凝縮ユニット内で液体状態の凝集体に変換した。規則的間隔でサンプルを取り、種々の分析法を利用して凝縮物の組成を分析した。反応条件、フルフリルアルコールに基づいた転化率X、フルフリルアルコールから形成された生成物の総量中の1-ヒドロキシ-2-ペンタノン及び1,2-ペンタンジオールの含量Y(上記定義通り)を表1に示す。
実施例8(本発明に従う)
実施例4〜7の試験配置を使用し、(i)白金及び(ii)Al
2O
3を含む3gの不均一系触媒を管型反応器に配置した。(i)白金の濃度は、触媒の全構成物質の総重量に基づいて、5wt.%である。さらなる手順は実施例4〜7と一致する。反応条件、フルフリルアルコールに基づいた転化率X、フルフリルアルコールから形成された生成物の総量中の1-ヒドロキシ-2-ペンタノン及び1,2-ペンタンジオールの含量Y(上記定義通り)を表1に示す。
【0036】
表1
*百分率は物質の量に基づいている。
【0037】
実施例9(本発明に従う)
上記の気相内の反応からの0.5gの凝縮物を(i)白金及び(ii)Al
2O
3を含む触媒の存在下、25mlのエタノール中、5バールのH
2下、室温で4時間反応させた。凝縮物は0.1%のフルフリルアルコール、35%の1,2-ペンタンジオール及び36%の1-ヒドロキシ-2-ペンタノンを含んでいた。(i)白金の濃度は、触媒の全構成物質の総重量に基づいて10wt.%であり、凝縮物中の1-ヒドロキシ-2-ペンタノンの量に基づいて2mol%である。
ろ過による触媒の除去後クロマトグラフィー/質量分析(GC/MS)を用いて反応混合物の組成を決定した。フルフリルアルコールに基づいた転化率X、フルフリルアルコールから形成された生成物の総量中の1-ヒドロキシ-2-ペンタノン及び1,2-ペンタンジオールの含量Y(上記定義通り)を表2に示す。
【0038】
実施例10(本発明に従う)
上記の気相内の反応からの0.5gの凝縮物を(i)ロジウム及び(ii)Al
2O
3を含む触媒の存在下、エタノール中で20バールのH
2下、室温で4時間反応させた。凝縮物は0.1%のフルフリルアルコール、35%の1,2-ペンタンジオール及び36%の1-ヒドロキシ-2-ペンタノンを含んでいた。(i)ロジウムの濃度は、触媒の全構成物質の総重量に基づいて5wt.%であり、凝縮物中の1-ヒドロキシ-2-ペンタノンの量に基づいて2mol%である。
ろ過による触媒の除去後GC/MSを用いて反応混合物の組成を決定した。フルフリルアルコールに基づいた転化率X、フルフリルアルコールから形成された生成物の総量中の1-ヒドロキシ-2-ペンタノン及び1,2-ペンタンジオールの含量Y(上記定義通り)を表2に示す。
【0039】
表2
*百分率は物質の量に基づいている。
【0040】
実施例11(本発明に従う)
0.5gの1-ヒドロキシ-2-ペンタノン(94%)を(i)白金及び(ii)Al
2O
3を含む触媒の存在下で25mlのエタノール中、5バールのH
2下、室温で4時間反応させた。(i)白金の濃度は、触媒の全構成物質の総重量に基づいて10wt.%であり、1-ヒドロキシ-2-ペンタノンの量に基づいて2mol%である。
触媒の分離後GC/MSを用いて反応混合物の組成を決定した。1-ヒドロキシ-2-ペンタノンに基づいた転化率X、1-ヒドロキシ-2-ペンタノンから形成された生成物の総量中の1,2-ペンタンジオールの含量Y(上記定義通り)を表3に示す。
実施例12(本発明に従う)
0.5gの1-ヒドロキシ-2-ペンタノン(94%)を(i)白金及び(ii)Al
2O
3を含む触媒の存在下で25mlのエタノール中、5バールのH
2下、室温で4時間反応させた。(i)白金の濃度は、触媒の全構成物質の総重量に基づいて1wt.%であり、1-ヒドロキシ-2-ペンタノンの量に基づいて2mol%である。
触媒の分離後GC/MSを用いて反応混合物の組成を決定した。1-ヒドロキシ-2-ペンタノンに基づいた転化率X、1-ヒドロキシ-2-ペンタノンから形成された生成物の総量中の1,2-ペンタンジオールの含量Y(上記定義通り)を表3に示す。
【0041】
実施例13(本発明に従う)
0.5gの1-ヒドロキシ-2-ペンタノン(94%)を(i)ルテニウム及び(ii)Al
2O
3を含む触媒の存在下で25mlのエタノール中、50バールのH
2下、室温で6時間反応させた。(i)ルテニウムの濃度は、触媒の全構成物質の総重量に基づいて5wt.%であり、1-ヒドロキシ-2-ペンタノンの量に基づいて2mol%である。
触媒の分離後GC/MSを用いて反応混合物の組成を決定した。1-ヒドロキシ-2-ペンタノンに基づいた転化率X、1-ヒドロキシ-2-ペンタノンから形成された生成物の総量中の1,2-ペンタンジオールの含量Y(上記定義通り)を表3に示す。
【0042】
表3
*百分率は物質の量に基づいている。