特許第6072790号(P6072790)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6072790石油精製原料中の全酸価を減少させる方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6072790
(24)【登録日】2017年1月13日
(45)【発行日】2017年2月1日
(54)【発明の名称】石油精製原料中の全酸価を減少させる方法
(51)【国際特許分類】
   C10G 19/02 20060101AFI20170123BHJP
   B01J 21/04 20060101ALI20170123BHJP
   B01J 21/10 20060101ALI20170123BHJP
【FI】
   C10G19/02
   B01J21/04 Z
   B01J21/10 Z
【請求項の数】29
【全頁数】9
(21)【出願番号】特願2014-523073(P2014-523073)
(86)(22)【出願日】2012年7月27日
(65)【公表番号】特表2014-527101(P2014-527101A)
(43)【公表日】2014年10月9日
(86)【国際出願番号】US2012048577
(87)【国際公開番号】WO2013019631
(87)【国際公開日】20130207
【審査請求日】2015年2月5日
(31)【優先権主張番号】61/513,042
(32)【優先日】2011年7月29日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】511304464
【氏名又は名称】サウジ アラビアン オイル カンパニー
(74)【代理人】
【識別番号】100081422
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 光雄
(74)【代理人】
【識別番号】100101454
【弁理士】
【氏名又は名称】山田 卓二
(74)【代理人】
【識別番号】100104592
【弁理士】
【氏名又は名称】森住 憲一
(74)【代理人】
【識別番号】100172605
【弁理士】
【氏名又は名称】岩木 郁子
(72)【発明者】
【氏名】アドナン・アル−ハッジ
(72)【発明者】
【氏名】オメル・レファ・コセオグル
(72)【発明者】
【氏名】ヘンドリク・ミュラー
(72)【発明者】
【氏名】ハナディ・アル・ジャワド
【審査官】 ▲来▼田 優来
(56)【参考文献】
【文献】 特開昭53−138406(JP,A)
【文献】 特開昭62−000586(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2004/0026299(US,A1)
【文献】 特開平11−241074(JP,A)
【文献】 特表2008−504409(JP,A)
【文献】 Naphthenic acid removal from heavy oils on alkaline earth-metal oxides and ZnO catalysts,Applied Catalysis A:General,371,(2009),121-130
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C10G,B01J
JSTPlus/JST7580/JSTChina(JDreamIII)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ナフテン酸を含む石油精製原料の全酸値を減少させる方法であって、
ナフテン酸を含む石油精製原料を、石油精製原料中のナフテン酸の少なくとも一部を中和するのに十分な期間、水性苛性塩基の存在下、有効量の固体触媒と接触させて、処理された混合物を製造し、処理された混合物を水相と中和された石油精製原料に相分離することを含み、該固体触媒は、酸化アルミニウム、アルミン酸亜鉛およびマグネシウム/アルミニウムを含む層状複水酸化物からなる群から選択される少なくとも一種の金属酸化物を含む、方法。
【請求項2】
石油精製原料が、カルボン酸を含む請求項1に記載の方法。
【請求項3】
苛性塩基水溶液が、水酸化ナトリウムまたは水酸化カリウムである請求項1に記載の方法。
【請求項4】
石油精製原料が、液空間速度0.1〜10 h-1で供給される請求項1に記載の方法。
【請求項5】
石油精製原料が、液空間速度0.5〜4 h-1で供給される請求項1に記載の方法。
【請求項6】
石油精製原料が、液空間速度1〜2 h-1で供給される請求項1に記載の方法。
【請求項7】
苛性塩基水溶液が、触媒の重量に基づいて、0.05〜30重量%の苛性塩基を含む請求項1に記載の方法。
【請求項8】
中和反応が、200℃〜600℃の温度で行われる請求項1に記載の方法。
【請求項9】
中和反応が、300℃〜400℃の温度で行われる請求項1に記載の方法。
【請求項10】
中和反応が、300℃〜350℃の温度で行われる請求項1に記載の方法。
【請求項11】
中和反応が、1〜20 Kg/cm2の圧力で行われる請求項1に記載の方法。
【請求項12】
中和反応が、1〜10 Kg/cm2の圧力で行われる請求項1に記載の方法。
【請求項13】
圧力が、追加の頂部ガスまたはブランケッティングガスを供給することなく、石油精製原料圧単独によって維持されうる請求項11に記載の方法。
【請求項14】
エマルション形成を最少化するために、処理された混合物に乳化破壊剤を添加することをさらに含む請求項1に記載の方法。
【請求項15】
乳化破壊剤が、トリエタノールアミン、エトキシ化フェノール樹脂、塩化亜鉛または重合トリチオニルアミンである請求項14に記載の方法。
【請求項16】
ナフテン酸を含む石油精製原料の全酸価を減少させる方法であって、
ナフテン酸を含む炭化水素原料を、石油精製原料中のナフテン酸の少なくとも一部を中和するのに十分な期間、苛性塩基で前処理された有効量の固体触媒と接触させて、減少された全酸価を有する処理された原料を製造することを含み、該固体触媒は、酸化アルミニウム、アルミン酸亜鉛およびマグネシウム/アルミニウムを含む層状複水酸化物からなる群から選択される少なくとも一種の金属酸化物を含む、方法。
【請求項17】
石油精製原料が、カルボン酸を含む請求項16に記載の方法。
【請求項18】
苛性塩基水溶液が、水酸化ナトリウムまたは水酸化カリウムである請求項16に記載の方法。
【請求項19】
石油精製原料が、液空間速度0.1〜10 h-1で供給される請求項16に記載の方法。
【請求項20】
石油精製原料が、液空間速度0.5〜4 h-1で供給される請求項16に記載の方法。
【請求項21】
石油精製原料が、液空間速度1〜2 h-1で供給される請求項16に記載の方法。
【請求項22】
中和反応が、200℃〜600℃の温度で行われる請求項16に記載の方法。
【請求項23】
中和反応が、300℃〜400℃の温度で行われる請求項16に記載の方法。
【請求項24】
中和反応が、300℃〜350℃の温度で行われる請求項16に記載の方法。
【請求項25】
中和反応が、1〜20 Kg/cm2の圧力で行われる請求項16に記載の方法。
【請求項26】
中和反応が、1〜10 Kg/cm2の圧力で行われる請求項16に記載の方法。
【請求項27】
圧力が、追加の頂部ガスまたはブランケッティングガスを供給することなく、石油精製原料圧単独によって維持されうる請求項25に記載の方法。
【請求項28】
酸化アルミニウム、アルミン酸亜鉛およびマグネシウム/アルミニウムを含む層状複水酸化物からなる群から選択される1種以上の物質を含む、ナフテン酸を含む石油精製原料の全酸価を減少させるための触媒成分であって、
苛性塩基水溶液で前処理された触媒成分。
【請求項29】
苛性塩基水溶液が、水酸化ナトリウムまたは水酸化カリウムである請求項28に記載の触媒成分。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願
本出願は、2011年7月29日に出願された米国仮特許出願第61/513,042号の利益を主張するものであり、その開示は全体において参照することによって本明細書に援用される。
技術分野
本発明は、石油精製原料を改善すること、さらに詳しくはナフテン酸を中和することによって全酸価を減少させることに関する。
【背景技術】
【0002】
関連技術の開示
天然の石油または原油の組成は、数多くのファクター、主として地理的源の差異に基づいて大幅に変化し、また、特定の領域内でも組成は変化しうる。事実上、原油のすべての源に共通しているものは、イオウ、窒素、ニッケル、バナジウムおよびその他のものなどのヘテロ原子の存在である。原油には、ナフテン酸化合物も含むものもある。これらの不純物は、大量に存在し、原油およびその留分の精製プロセシングに影響を及ぼす。
【0003】
用語「ナフテン酸」は、ナフテンベースの原油の酸性度の最初の観察に由来する。ナフテン酸の化学組成は、非常に複雑であり、非常に多様な構造および組成が、ナフテン酸の分類の範囲に入る。ナフテン酸は、主に、アルキルで置換された脂環式カルボン酸から構成され、低比率の非脂環式酸を含む。芳香族酸、オレフィン酸、ヒドロキシ酸および二塩基酸が、少量成分として存在しうる。質量分析によって測定される原油に存在するナフテン酸の分子量は、一般に、約120〜700g以上/モルの間で変化する。ナフテン酸化合物の存在は、原油の酸性度に寄与し、石油精製所における油送管および蒸留ユニットの腐食の主な原因の一つである。その結果として、ナフテン酸濃度の高い原油は、低品質であるとみなされ、低価格で販売される。
【0004】
全酸価(TAN:Total Acid Number)は、その腐食挙動との相関関係はいまだ不確定であるが、油の酸度に対して一般に受け入れられている基準である。特に、TANは、1グラムの油を中和するのに必要な水酸化カリウムのミリグラム数を表す。原油には、非常に高いナフテン酸度レベルを有するものがあり(たとえば、このような酸度を中和するために油1グラム当たり水酸化カリウム3〜10ミリグラムを必要とする油)、石油精製所の現在の材料規格を満たさない。工業単位の冶金適合性(metallurgic adequacy)は、設備、金属パイプなどを交換することによって得られ、油留分中のナフテン酸分布の関数であり、新たな油層から来る油の加工処理において変化する。
【0005】
高い酸含量も、原油の価値および市場性に影響を及ぼす。たとえば、現在、市場価格は、TANがオイル1g当たり水酸化カリウム0.5ミリグラム以上である原油に対しては値引きされる。
【0006】
さらに、カルボキシルの分極特性は、特に、より重い炭化水素原料において、エマルションの形成を促進する。これは、石油の脱塩段階の効率を減少させ、水/油エマルションの分離を困難にする。したがって、酸性度が高いことは市場価格を引き下げるのみならず、精製プロセスにも悪影響を及ぼす。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
石油精製原料のTANを減少させることは、重油アップグレードにおける最も重要なプロセスの一つであるとみなされる。一つのアプローチは、相対的に高いTANを有する原料を相対的に低いTANを有する原料と混合することである。しかしながら、酸性化合物は、混合された減量中にとどまっており、市場価格がより高く、TANが低い炭化水素原料は、断念される。他の方法として、原料を苛性溶液で洗浄することが挙げられる。この処置は、ナフテン酸を除去することができるが、処理が困難であるかなりの量の廃水およびエマルションを生み出す。さらなるアプローチとして、触媒特性を有するか、または有さない吸着性化合物によるナフテン酸の吸収、あるいは水素処理触媒などの他の触媒と接触させることによるナフテン酸の吸収が挙げられる。
【0008】
それにもかかわらず、依然として、工業界には、効率的で採算性がある様式で、石油精製原料を処理してTANを減少させ、ナフテン酸を中和し、および/またはエマルションの形成を遮断もしくは防止するための改善された方法が必要である。
【課題を解決するための手段】
【0009】
発明の要約
したがって、本発明の目的は、ナフテン酸を含む炭化水素原料のTANを効率的かつ経済的に減少させることである。
【0010】
本発明のもう一つの目的は、エマルションを遮断するか、またはその形成可能性を最小化するかもしくは防止しながら、TANを減少させることである。
【0011】
一つ以上の実施態様に従って、ナフテン酸を含む石油精製原料のTANを減少させる方法を提供する。ナフテン酸を含む石油精製原料を、原料中のナフテン酸の少なくとも一部を中和するのに十分な期間、水性塩基の存在下、有効量の固体不均一系触媒と接触させて、処理された混合物を製造する。混合物を、水相と中和された炭化水素相に相分離する。
【0012】
一つ以上のさらなる実施態様に従って、本発明方法は、ナフテン酸を含む炭化水素原料を、原料中のナフテン酸の少なくとも一部を中和するのに十分な期間、苛性塩基で前処理された有効量の固体触媒と接触させて、減少された量のナフテン酸を有する、処理された炭化水素原料を製造することを含む。
【0013】
さらに他の態様、実施態様およびこれらの例示的態様および実施態様の利点を以下に詳述する。さらに、上述の情報および下記の詳細な記載の両方は、単に様々な態様および実施貸与の説明のための例示にすぎず、本発明の態様および実施態様の性質および特性を理解するための概要および骨組みを提供することを意図していることを理解すべきである。添付の図面は、様々な態様および実施態様の説明およびさらなる理解を提供するためのものであり、本明細書の一部に組み込まれ、本明細書の一部を構成する。明細書の残りの部分と一緒になって、図面は、記載され、請求された態様および実施態様の原理と操作を説明するのに役立つ。
【0014】
上述の要約ならびに下記の詳細な記載は、添付の図面とともに読まれる場合に最適に理解されるであろう。しかしながら、本発明が、示される正確な配置および装置に限定されないことを理解すべきである。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】石油精製原料のTANを減少させるためのシステムの工程系統図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
発明の詳細な記載
図1に関して、石油精製原料のTANを減少させるためのシステム10が図式的に説明される。ポンプ、計装、熱交換器、ボイラー、コンプレッサー、および同様の機械設備は、本発明に関与する技術を理解するのに必須ではないとして省略されている。システム10は、中和槽4および分離ドラム6を含む。中和槽4は、導管1を介して炭化水素原料、そして導管2を介して苛性塩基水溶液を受け取るための入り口3、ならびに処理された混合物を排出するための出口5を含む。分離ドラム6は、処理された混合物を受け取るための入り口11、中和された炭化水素原料を排出するための出口7、水相を排出するための出口8、および軽いガスを排出するための出口9を含む。特定の実施態様において、エマルション遮断添加剤は、たとえば、導管12(破線で示す)を介して分離ドラム6に入れることができる。
【0017】
本明細書に記載したシステムの実施において、導管1を介して導入されたナフテン酸を含む炭化水素原料を、導管2を介して導入された苛性塩基水溶液と混合する。混合物を、入り口3を介して中和槽4に装填する。中和槽4は、単一の触媒または触媒群を含む。混合物を、触媒と接触させ、炭化水素原料中に存在するナフテン酸化合物を中和するのに十分な期間接触させたままにする。出口5を介して処理された混合物を排出し、入り口11を介して分離ドラム6に移す。
【0018】
処理された混合物を三つの部分に分ける:出口7を介して生成物として回収される、ナフテン酸の中和によって減少されたTANを有する中和された炭化水素原料;出口8を介して排出される消費された苛性塩基を含む水相;および出口9を介して排出される軽いガス(たとえば、炭素数1〜4を有する)。
【0019】
さらなる実施態様において、中和槽に含まれる触媒材料は、水酸化ナトリウムまたは水酸化カリウムなどの苛性塩基で前処理される。この実施態様において、苛性塩基および分離ドラムは存在しない。
【0020】
触媒の前処理は、インサイチュ(たとえば、中和槽内で)またはエクスサイチュ(たとえば、連続した管状容器またはバッチ式装置)で行なうことができる。インサイチュ触媒調製の例示的実施態様において、アルミナ塩基触媒を中和槽に充填し、50重量%の苛性塩基溶液を320℃に加熱し、5〜10時間の間、0.3 h-1の液空間速度にて触媒床を通して送り込む。触媒を前処理した後、原料をナフテン酸の中和のために装填する。エクスサイチュ調製の例示的実施態様において、ペレット形状のアルミナ触媒をバッチ容器中で320℃に加熱し、次いで、50重量%の苛性塩基溶液と3時間混合する。苛性塩基溶液を流し出し、固体触媒粒子を乾燥させ、中和槽に装填する。
【0021】
上記の装置および方法において用いるための石油精製原料は、様々な源から得られた粗炭化水素製品または炭化水素製品の部分的に精製された留分でありうる。石油精製原料の源は、天然原油、合成原油、ビチューメン、オイルサンド、シェール油、石炭液化油、または前述の源の一つを含む組合せでありうる。たとえば、原料は、ナフサ、軽油、真空軽油;または真空軽油、溶媒脱アスファルトプロセスから得られる脱アスファルト油および/または脱金属油、コーカープロセスから得られる軽コーカーもしくは重コーカー軽油、FCCプロセスから得られる循環油、ビスブレーキングプロセスから得られる軽油、または前述の生成物の組合せなどのその他の石油精製中間物質である。それにもかかわらず、当業者は、他の炭化水素物質が、本明細書に記載のシステムおよび方法の実施から利益を受けうることを理解するであろう。
【0022】
苛性塩基水溶液は、水酸化ナトリウムまたは水酸化カリウムでありうる。特定の実施態様において、導管2を通って供給される苛性塩基の量は、触媒の重量に基づいて、0.05〜30重量%の範囲である。
【0023】
中和槽4は、固定、移動、流動またはスイング床システムでありうる。特定の実施態様において、固定床反応槽が適当である。一般に、中和槽の動作条件として、以下の条件が挙げられる:圧力1〜20 Kg/cm2、特定の実施態様において1〜10 Kg/cm2;温度200℃〜600℃、特定の実施態様において300℃〜400℃、さらなる実施態様において300℃〜350℃;および石油精製原料の液空間速度0.1〜10 h-1、特定の実施態様において0.5〜4 h-1、さらなる実施態様において1〜2 h-1。特定の実施態様において、中和槽内の圧力は、追加の頂部ガスまたはブランケッティングガス(blanketing)を供給することなく、炭化水素圧単独によって維持されうる。
【0024】
中和槽は、塩基性特性を有する触媒を含む。特定の実施態様において、触媒は、酸化亜鉛、酸化アルミニウム、アルミン酸亜鉛およびマグネシウム/アルミニウムなどの層状複水酸化物から選ばれる少なくとも一種の金属酸化物を含む。触媒は、ペレット、球体またはいずれかの他の適当な形状である。一般に、触媒の粒子径および形状は、当技術分野で知られているように、床全体の過度の圧力低下を妨げるが、触媒粒子の触媒表面上の活性部位への反応物の適切な拡散を可能にするような形で選択される。
【0025】
特定の実施態様において、油と水を効率的に分離するために、分離ドラム6への添加剤として乳化破壊剤を加えることができる。これらの乳化破壊添加剤は、トリエタノールアミン、エトキシ化フェノール樹脂、塩化亜鉛および重合トリチオニルアミン(polymerized trithionylamine)から選ぶことができる。
【0026】
本明細書に記載の方法は、石油精製工程の様々な段階または開始時に行なうことができる。たとえば、該方法は、精油またはその留分での流入原料を処理するために行なうことができる。別の実施態様において、該方法は、ガス油分離プラントの開始時またはガス油分離プラント内で、たとえば、脱塩段階の終了時に行なうことができる。
【0027】
本発明方法およびシステムは、明細書および添付の図面に記載されるが、変更は、当業者にとって明らかであり、本発明のための保護範囲は、以下の請求の範囲によって定義されるべきである。
本発明の好ましい態様は、以下を包含する。
[1]ナフテン酸を含む石油精製原料の全酸値を減少させる方法であって、
ナフテン酸を含む石油精製原料を、石油精製原料中のナフテン酸の少なくとも一部を中和するのに十分な期間、水性苛性塩基の存在下、有効量の固体触媒と接触させて、処理された混合物を製造し、処理された混合物を水相と中和された石油精製原料に相分離することを含む方法。
[2]固体触媒が、塩基性特性を示す単一または複数の触媒である[1]に記載の方法。
[3]固体触媒が、酸化亜鉛、酸化アルミニウム、アルミン酸亜鉛およびマグネシウム/アルミニウムなどの層状複水酸化物から選ばれる少なくとも一種の金属酸化物を含む[1]に記載の方法。
[4]石油精製原料が、カルボン酸を含む[1]に記載の方法。
[5]苛性塩基水溶液が、水酸化ナトリウムまたは水酸化カリウムである[1]に記載の方法。
[6]石油精製原料が、液空間速度0.1〜10 h-1で供給される[1]に記載の方法。
[7]石油精製原料が、液空間速度0.5〜4 h-1で供給される[1]に記載の方法。
[8]石油精製原料が、液空間速度1〜2 h-1で供給される[1]に記載の方法。
[9]苛性塩基水溶液が、触媒の重量に基づいて、0.05〜30重量%の苛性塩基を含む[1]に記載の方法。
[10]中和反応が、200℃〜600℃の温度で行われる[1]に記載の方法。
[11]中和反応が、300℃〜400℃の温度で行われる[1]に記載の方法。
[12]中和反応が、300℃〜350℃の温度で行われる[1]に記載の方法。
[13]中和反応が、1〜20 Kg/cm2の圧力で行われる[1]に記載の方法。
[14]中和反応が、1〜10 Kg/cm2の圧力で行われる[1]に記載の方法。
[15]圧力が、追加の頂部ガスまたはブランケッティングガスを供給することなく、石油精製原料圧単独によって維持されうる[13]に記載の方法。
[16]エマルション形成を最少化するために、処理された混合物に乳化破壊剤を添加することをさらに含む[1]に記載の方法。
[17]乳化破壊剤が、トリエタノールアミン、エトキシ化フェノール樹脂、塩化亜鉛または重合トリチオニルアミンである[16]に記載の方法。
[18]ナフテン酸を含む石油精製原料の全酸価を減少させる方法であって、
ナフテン酸を含む炭化水素原料を、石油精製原料中のナフテン酸の少なくとも一部を中和するのに十分な期間、苛性塩基で前処理された有効量の固体触媒と接触させて、減少された全酸価を有する処理された原料を製造することを含む方法。
[19]固体触媒が、塩基性特性を示す単一または複数の触媒である[18]に記載の方法。
[20]固体触媒が、酸化亜鉛、酸化アルミニウム、アルミン酸亜鉛およびマグネシウム/アルミニウムなどの層状複水酸化物から選ばれる少なくとも一種の金属酸化物を含む[18]に記載の方法。
[21]石油精製原料が、カルボン酸を含む[18]に記載の方法。
[22]苛性塩基水溶液が、水酸化ナトリウムまたは水酸化カリウムである[18]に記載の方法。
[23]石油精製原料が、液空間速度0.1〜10 h-1で供給される[18]に記載の方法。
[24]石油精製原料が、液空間速度0.5〜4 h-1で供給される[18]に記載の方法。
[25]石油精製原料が、液空間速度1〜2 h-1で供給される[18]に記載の方法。
[26]中和反応が、200℃〜600℃の温度で行われる[18]に記載の方法。
[27]中和反応が、300℃〜400℃の温度で行われる[18]に記載の方法。
[28]中和反応が、300℃〜350℃の温度で行われる[18]に記載の方法。
[29]中和反応が、1〜20 Kg/cm2の圧力で行われる[18]に記載の方法。
[30]中和反応が、1〜10 Kg/cm2の圧力で行われる[18]に記載の方法。
[31]圧力が、追加の頂部ガスまたはブランケッティングガスを供給することなく、石油精製原料圧単独によって維持されうる[29]に記載の方法。
[32]酸化亜鉛、酸化アルミニウム、アルミン酸亜鉛およびマグネシウム/アルミニウムなどの層状複水酸化物から選ばれる1種以上の物質を含む、ナフテン酸を含む石油精製原料の全酸価を減少させるための触媒成分であって、
苛性塩基水溶液で前処理された触媒成分。
[33]苛性塩基水溶液が、水酸化ナトリウムまたは水酸化カリウムである[32]に記載の触媒成分。
図1