(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【背景技術】
【0002】
クラッカーは、比較的水分の少ない菓子類を意味し、さくっとしつつも柔らかいので、老若男女を問わず全世界的に食後のデザート及びおやつの代表的なものと見なされている。クラッカーは、クッキーやケーキ類に比べて砂糖の含量が少ないので、一般に肥満などに及ぼす影響が少ないと見なされ、一般の菓子類よりもダイエットに役立つと考える傾向が強い。しかし、実際には、一般の菓子類よりも相対的に脂肪の含量が高く、高カロリー製品であることに注目しなければならない。
【0003】
クラッカーに使用される油脂は大きく二つに区分できるが、その一つは、生地を作るために配合内に入れるショートニング(shortening)などの油脂であって、もう一つは、ベーキングの終了後、クラッカーの表面に噴霧される油脂である。このうち生地を作るために使用される油脂は、生地の形成及び成形のために必須的な原料であるので、投入量調整の幅が大きくなく、また、必須的に使用されなければならない一方、ベーキング後に噴霧される油脂は、クラッカーの表面に色及びつやを付与し、柔らかい食感及び香ばしさを付与するために使用される。
【0004】
このような噴霧油脂によってクラッカーの全般的な脂肪含量が高くなり、その結果、クラッカー全体のカロリーが高くなるので、消費者等の健康に悪影響を及ぼすという問題がある。また、クラッカーに噴霧された油脂は、摂取時に手に付くという不便をもたらすだけでなく、クラッカーの流通及び保管中に油脂の酸敗が進むおそれがあり、衛生的な面でも問題が発生している。
【0005】
一方、キシロース(Xylose)は、白樺、トウモロコシなどに存在する天然甘味料であって、砂糖の約60%の甘味度を有する5炭糖の一つである。キシロースは、砂糖を補助し、砂糖の有害性を補完できる多様な甘味素材の一つとして知られている。キシロースは、これを砂糖と同時に摂取する場合、砂糖分解酵素であるスクラーゼ(sucrase)の活性を阻害し、砂糖の分解を妨害する結果、砂糖の体内吸収を抑制し、これを体外に排出させる効果があり、急激な血糖上昇の防止、及び糖尿、肥満などの成人病の予防に良い効果があるものと認められる。また、アラビノース及びキシロースで構成された複合多糖体であるアラビノキシランは、抗アレルギー性、免疫活性及び坑癌と関連する生理活性物質であって、近来、これについての多様な研究結果が発表されている。
【0006】
キシロースに関する先行技術としては、大韓民国公開特許第10―2008―0110344号及び大韓民国登録特許第10―0977075号がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明者等は、前記のような問題を解決するために、キシロースを含有するクラッカー製造用組成物を開発するに至った。より具体的に、本発明者等は、キシロースを含有することによって、クラッカーの表面に油脂を噴霧しなくても優れた色とつやを出すことはもちろん、脂肪の含量が低いので、淡泊で且つあっさり感に優れた低カロリークラッカー製造用組成物を開発するに至った。
【0008】
本願発明は、クラッカーの表面に噴霧された油脂による消費者等の高脂肪・高カロリーの摂取を防止するために、噴霧油脂の役割であるクラッカーの表面に色及びつやを付与する機能をそのまま提供しながらも、クラッカーの脂肪含量及びカロリーを低下させるキシロース含有クラッカー組成物を提供することを目的とする。
【0009】
また、本願発明は、クラッカーの表面に油脂を噴霧しないことによって、クラッカーの流通及び保管中に発生する油脂の酸敗を防止する、キシロース含有クラッカー組成物を提供することを目的とする。
【0010】
また、本願発明は、前記キシロースを含有する組成物でクラッカーを製造することによって、別途の油脂噴霧ステップを行う必要がないクラッカーの製造方法を提供することを目的とする。
【0011】
また、本願発明は、前記のキシロースを含有する組成物で製造され、低脂肪含有及び低カロリー食品でありながらも、視覚的、嗅覚的、味覚的官能に優れたキシロース含有クラッカーを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本願発明は、キシロースを含有するクラッカー製造用組成物に関する。
【0013】
本願発明の一様態は、クラッカー製造用組成物であって、全体の組成物100重量部に対してキシロース0.01重量部ないし5重量部を含有する、キシロース含有クラッカー製造用組成物を提供する。
【0014】
本願発明の他の一様態によると、全体の組成物100重量部に対して大豆油または玄米油0.1重量部ないし10重量部をさらに含有する、キシロース含有クラッカー製造用組成物を提供する。
【0015】
本願発明の更に他の一様態によると、前記の組成物で製造された、キシロース含有クラッカーを提供する。
【0016】
本願発明の更に他の一様態によると、前記クラッカーは、100g当たりの脂肪含量が5gないし20gである、キシロース含有クラッカーを提供する。
【0017】
本願発明の更に他の一様態によると、クラッカーを製造する方法であって、a)第1項または第2項の組成物に水を添加して練るステップ;b)前記の練られた組成物を発酵させるステップ;c)前記の発酵された組成物をクラッカーに成形するステップ;及びd)前記の成形された組成物を焼くステップ;を含む、キシロース含有クラッカーの製造方法を提供する。
【0018】
本願発明の更に他の一様態によると、前記焼きステップ後、前記クラッカーの表面に油脂を噴霧するステップをさらに含まない、キシロース含有クラッカーの製造方法を提供する。
【0019】
本願発明の更に他の一様態によると、前記の方法によって製造された、キシロース含有クラッカーを提供する。
【0020】
本願発明の更に他の一様態によると、クラッカー100gに対して、キシロース0.01gないし10g及び脂肪成分5gないし20gを含有する、キシロース含有クラッカーを提供する。
【発明の効果】
【0021】
本願発明のクラッカー製造用組成物は、キシロースを含有することによって、クラッカーの表面に油脂を噴霧しなくても優れた色とつやを出すことはもちろん、低カロリーで、脂肪含量が低いので、淡泊で且つあっさり感に優れるという効果を有する。
【0022】
より具体的に、本願発明は、高脂肪・高カロリーの摂取をもたらすクラッカー表面の噴霧油脂の代わりに、キシロースを含有する組成物でクラッカーを製造することによって、視覚的、嗅覚的、味覚的官能に優れることはもちろん、健康に良く、体重調節用おやつとして活用できるキシロース含有クラッカー組成物及びそのクラッカーを提供するという効果を有する。
【0023】
また、本願発明は、クラッカーの表面に油脂を噴霧しないことによって、クラッカーの流通及び保管中に発生する油脂の酸敗を防止するキシロース含有クラッカーを提供するという効果を有する。
【0024】
また、本願発明は、前記キシロースを含有する組成物でクラッカーを製造することによって、別途の油脂噴霧ステップを行う必要のないクラッカーの製造方法を提供するという効果を有する。
【発明を実施するための形態】
【0026】
以下では、本願発明についてより詳細に説明する。本願明細書に記載されていない内容は、本願発明の技術分野または類似分野で熟練した者であれば十分に認識して類推できるものであるので、それについての説明は省略する。
【0027】
本願発明の一様態は、クラッカー製造用組成物であって、全体の組成物100重量部に対してキシロース0.01重量部ないし5重量部を含有する、キシロース含有クラッカー製造用組成物を提供する。
【0028】
前記の全体の組成物とは、クラッカー製造用組成物中の配合水を除外した組成物を意味し、配合水とは、前記クラッカー製造用組成物を練るために添加される水を意味する。
【0029】
本願発明で使用されるキシロースは、白樺、トウモロコシなどに存在する天然甘味料として5炭糖の一種である。
【0030】
本願発明で使用されるキシロースは、クラッカー組成物100重量部に対して、好ましくは0.01重量部ないし5重量部で含有することができ、より好ましくは0.05重量部ないし3重量部で含有することができ、最も好ましくは0.1重量部ないし2重量部で含有することができる。前記の範囲内では、クラッカー表面の適切なつや及びブローニング(Browning)効果を得ることができる。キシロースの含量が0.01重量部未満である場合は、キシロースを添加する効果が十分に発現されないおそれがあり、キシロースの含量が5重量部を超える場合は、クラッカーの表面が過度に褐変するという問題があり得る。
【0031】
本願発明で使用されるキシロースは、クラッカー組成物に含有された砂糖100重量部に対して、好ましくは1重量部ないし10重量部で含有することができる。砂糖に対するキシロースの含量が1重量部未満である場合は、キシロースの効果発現が微々たるものになり、 砂糖に対するキシロース含量が10重量部を超える場合は、相対的に砂糖含量が少なくなる結果、甘味が弱くなり、全体的な食感を低下させるおそれがある。
【0032】
本願発明の他の一様態によると、全体の組成物100重量部に対して大豆油及び/または玄米油0.1重量部ないし10重量部をさらに含有する、キシロース含有クラッカー製造用組成物を提供する。
【0033】
本願発明で使用可能な大豆油または玄米油は、特別に制限されるものではなく、当該技術分野で知られているものであってもよい。
【0034】
前記大豆油または玄米油は、液相形態の油を意味する。
【0035】
クラッカー製造用組成物に大豆油及び/または玄米油を添加する場合、クラッカーの表面に別途の油脂を噴霧しなくても、油脂を噴霧したクラッカーと類似するか、それよりも強化された香ばしい風味を得ることができ、食感が向上というする利点がある。
【0036】
本願発明で使用可能な大豆油及び/または玄米油は、好ましくは、クラッカー組成物100重量部に対して0.1重量部ないし10重量部で含有することができ、より好ましくは0.5重量部ないし5重量部で含有することができる。前記の範囲内で、適した香ばしい風味を得ることができる。
【0037】
本願発明で使用可能な大豆油及び/または玄米油は、クラッカー組成物に含有された総配合油脂100重量部に対して、好ましくは10重量部ないし60重量部で含有することができる。
【0038】
本願発明のキシロース含有クラッカー製造用組成物には、精白糖、ショートニング、精製塩、乳化剤、果糖、膨張剤及び/または小麦粉などをさらに含有することができ、前記精白糖、ショートニング、精製塩、乳化剤、果糖、膨張剤、小麦粉などは、特別に制限されるものではなく、当該技術分野で知られているものであってもよい。
【0039】
前記ショートニングとは、製菓・製パンなどの食品加工用原料として使用される半固体状態の可塑性油脂製品を言い、パンや菓子製造用組成物に添加されることによって、柔らかい風味と明るく且つきれいな色を付与し、不快な臭いを除去し、組織を軟化させて滑らかにし、また可塑性を発生させるなどの効果を出す物質を言う。
【0040】
本願発明で使用可能なショートニングの非制限的な例としては、バター、ラード、食用油、加工ショートニング、マーガリンなどを挙げることができ、これらは、単独でまたは2種以上を混合して使用することができる。
【0041】
前記乳化剤とは、食品を乳化させるために使用する食品添加剤を意味する。
【0042】
前記膨張剤は、生地の中でガスを噴出させ、生地内に穴を形成する役割をする物質を言う。
【0043】
本願発明で使用可能な膨張剤の非制限的な例としては、イースト、ベーキングパウダー、ベーキングソーダなどを挙げることができ、これらは、単独でまたは2種以上を混合して使用することができる。
【0044】
本願発明で使用可能な精白糖は、クラッカー製造用組成物100重量部に対して、好ましくは1重量部ないし15重量部で含有することができ、より好ましくは1重量部ないし8重量部で含有することができる。
【0045】
本願発明で使用可能なショートニングは、クラッカー製造用組成物100重量部に対して、好ましくは1重量部ないし20重量部で含有することができ、より好ましくは3重量部ないし13重量部で含有することができる。
【0046】
本願発明で使用可能な精製塩は、クラッカー製造用組成物100重量部に対して、好ましくは0.01重量部ないし5重量部で含有することができ、より好ましくは0.1重量部ないし3重量部で含有することができる。
【0047】
本願発明で使用可能な乳化剤は、クラッカー製造用組成物100重量部に対して、好ましくは0.01重量部ないし5重量部で含有することができ、より好ましくは0.01重量部ないし3重量部で含有することができる。
【0048】
本願発明で使用可能な果糖は、クラッカー製造用組成物100重量部に対して、好ましくは0.1重量部ないし15重量部で含有することができ、より好ましくは0.5重量部ないし10重量部で含有することができる。
【0049】
本願発明で使用可能な膨張剤は、クラッカー製造用組成物100重量部に対して、好ましくは0.1重量部ないし15重量部で含有することができ、より好ましくは0.5重量部ないし10重量部で含有することができる。
【0050】
本願発明で使用可能な小麦粉は、クラッカー製造用組成物100重量部に対して、好ましくは40重量部ないし90重量部で含有することができ、より好ましくは60重量部ないし85重量部で含有することができる。
【0051】
本願発明の更に他の一様態によると、前記の組成物を使用して製造された、キシロース含有クラッカーを提供する。
【0052】
前記の組成物で製造されたクラッカーは、好ましくは、前記クラッカー100g当たりの脂肪含量が5gないし20gであり得る。これは、市販されている一般的なクラッカーの脂肪含量(25g/100gないし30g/100g)に比べて約20%ないし84%の脂肪含量低減効果を示すものである。
【0053】
本願発明の前記クラッカーは、高カロリー成分である脂肪含量が相当低減されることによって、市販されている一般的なクラッカー(510kcal/100gないし550kcal/100g)に比べて低カロリーであるという利点を有する。より具体的に、本願発明の前記クラッカーは、好ましくは、前記クラッカー100g当たり350kcalないし450kcalであって、より好ましくは350kcalないし420kcalであり得る。これは、市販されているクラッカーよりも約12%ないし37%のカロリー低減効果を示すものである。
【0054】
本願発明の更に他の一様態によると、クラッカーを製造する方法であって、a)前記キシロース含有クラッカー製造用組成物に水を添加して練るステップ;b)前記の練られた組成物を発酵させるステップ;c)前記の発酵された組成物をクラッカーに成形するステップ;及びd)前記の成形された組成物を焼くステップ;を含む、キシロース含有クラッカーの製造方法を提供する。
【0055】
前記の練りステップで添加される水は、前記クラッカー製造用組成物を配合して練るための配合水を意味するものであって、30℃ないし50℃の水を使用することが好ましい。
【0056】
前記発酵ステップを行う方法は、特別に制限されるものではなく、当該技術分野で通常的に使用する方法であってもよい。前記発酵ステップを行う方法の非制限的な例は、次の通りである。:前記練りステップを経て形成された生地を、温度が25℃ないし40℃で、相対湿度が60%ないし80%である条件の発酵室で30分ないし3時間にわたって発酵させる方式で行うことができる。
【0057】
前記成形ステップは、前記発酵ステップを経た組成物を適当なサイズ及び厚さに切り取り、クラッカーの形状に形成するステップを意味する。
【0058】
前記成形ステップを行う方法は、特別に制限されるものではなく、当該技術分野で通常的に使用する方法であってもよい。前記成形ステップを行う方法の非制限的な例は、次の通りである。:前記発酵が完了した組成物を3段ローラーを用いて約1mmないし5mmの厚さにした後、回転式またはスタンピング方式の成形器を通じて約20Φないし60Φの直径を有する円形または約20mmないし60mmのサイズを有する四角形などに成形する方式で行うことができる。
【0059】
前記焼きステップは、前記の成形された組成物をオーブンで焼くベーキングステップを意味するものであって、前記焼きステップを行う方法は、特別に制限されるものではなく、当該技術分野で通常的に使用する方法であってもよい。前記焼きステップを行う方法の非制限的な例は、次の通りである。:前記円形または四角形などに成形された組成物を連続式オーブンで200℃ないし300℃の温度条件で3分ないし10分以内にベーキングする方式で行うことができる。
【0060】
本願発明のキシロース含有クラッカーの製造方法は、前記焼きステップ後、クラッカーの表面に油脂を噴霧する別途の油脂噴霧ステップを含まない。
【0061】
前記油脂噴霧ステップとは、従来のクラッカーなどの菓子類を製造するにおいて行うステップであって、例えば、ベーキングされたクラッカーの表面に約40℃ないし約50℃の油脂を、クラッカー重量の約5重量%ないし約15重量%で噴霧する方式で行うことができる。このときに使用される油脂の例としては、パーム油または大豆油などを挙げることができる。
【0062】
前記噴霧油脂は、クラッカー表面の色を褐変化させ、つやを付与し、クラッカーの官能を向上させる役割をする。しかし、製品の官能性のために噴霧される油脂により、クラッカーの全般的な脂肪含量が高くなり、その結果、クラッカー全体のカロリーが高くなるので、消費者等の健康に悪影響を及ぼすという問題がある。また、クラッカーに噴霧された油脂は、摂取時に手に付く不便をもたらすだけでなく、クラッカーの流通及び保管中に油脂の酸敗が進むおそれがあり、衛生的な面でも問題がある。
【0063】
本願発明の前記クラッカー製造方法は、このような油脂を噴霧するステップを経らないことによって、前記の問題を解決しながら従来の噴霧油脂の役割である色及びつや付与機能をそのまま維持したり、さらに優れた程度に発現させる、キシロース含有クラッカーを提供する。
【0064】
本願発明の更に他の一様態によると、クラッカー100g当たりキシロースを0.001gないし10g含有し、脂肪成分を5gないし20g含有する、キシロース含有クラッカーを提供する。
【0065】
本願発明の更に他の一様態によると、前記クラッカーにおいて表面に油脂を噴霧しない、キシロース含有クラッカーを提供する。
【0066】
以下、実施例、比較例及び実験例を記述することによって、本願発明をより詳細に説明する。但し、下記の実施例、比較例及び実験例は、本願発明の一例示に過ぎなく、本願発明の内容がこれに限定されると解釈してはならない。
【0068】
油脂を噴霧しない、キシロース含有クラッカーの製造
【0069】
1)クラッカー組成物100重量部に対して、精白糖4.6重量部;バター8.3重量部;玄米油1.8重量部;精製塩0.6重量部;乳化剤0.1重量部;果糖2.0重量部;膨張剤3.4重量部;及びキシロース0.3重量部が入ったミキシングボールに40℃の水140gを注ぎ、前記各原料は、分散されて溶解されるまで混合した。
【0070】
2)前記混合物に小麦粉78.1重量部を投入し、これを10分間ミキシングして練った後、グルテンが形成されたか否かを確認した。グルテンが形成された前記混合物に酵素製剤0.8重量部を添加した後、さらに2分間ミキシングした。
【0071】
3)前記の形成された生地を、温度が35℃で、相対湿度が70%である発酵室で1時間30分間発酵させた。
【0072】
4)前記発酵が完成した生地を3段ローラーを使用して3mmの厚さにした後、スタンピ
ング方式の成形器を用いて横35mm×縦50mmのサイズの四角形に成形した。
【0073】
5)前記の成形された各生地を連続式オーブンに投入し、これらを250℃で7分間ベーキングした。
【0075】
油脂を噴霧しない、キシロース非含有クラッカーの製造
【0076】
実施例1のキシロース及び玄米油を使用しない代わりに、バター10.1重量部、小麦粉78.3重量部、酵素製剤0.9重量部を使用することを除いては、前記実施例1と同一の方法でクラッカーを製造した。
【0078】
油脂を噴霧した、キシロース非含有クラッカーの製造
【0079】
比較例1の前記5)ベーキングステップ後、下記のステップ6)をさらに行うことによってクラッカーを製造した。
【0080】
6)前記のベーキングされたクラッカーの表面に、45℃の温度を維持しながら保管タンクに貯蔵されている大豆油を前記クラッカーを基準にして10重量%の比率で噴霧した。
【0082】
油脂を噴霧した、キシロース含有クラッカーの製造
【0083】
実施例1の前記5)ベーキングステップ後、比較例2の6)と同一のステップをさらに行うことによってクラッカーを製造した。
【0085】
一般消費者のクラッカー選好度及び摂取頻度
【0086】
韓国の一般消費者等のクラッカー選好度及び摂取頻度を測定するために、満25歳ないし満49歳の主婦49人を対象にして
図3及び
図4のようなアンケート調査を実施した。
【0087】
前記アンケート調査内容を分析した結果、応答者の67%がクラッカーを好んでおり、50%以上が一週間に少なくとも1回以上クラッカーを摂取していることが確認された。
【0088】
前記結果を考慮すると、消費者の栄養学的側面でクラッカーの脂肪含量及びカロリーを低減させることが重要な問題であることを確認することができた。
【0091】
実施例1及び比較例1ないし3によるクラッカーの外観を観察して評価し、前記評価結果を
図1に示した。
【0092】
図1に示したように、実施例1のクラッカーの場合は、クラッカーの重要な品質要素であるブローニング効果が優れ、4つのクラッカーのうち外観において最もおいしそうな色とつやを示すことが確認された。
【0093】
比較例1の場合は、クラッカーの色が過度に明るく且つ白色を帯び、食欲をそそる外観を有するとは見なし難く、比較例2の場合は、少しのブローニング効果を示しているが、実施例1に比べて弱い色を示すことが確認されており、つやの面においては、実施例1よりも優れるが、消費者に応じてクラッカーが過度に油っこく見えるので、むしろ拒否感をもたらし得ると判断された。
【0094】
比較例3の場合は、ブローニング効果が激しく表れることによって濃い褐色に発色し、ややもするとクラッカーが焦げたような外観を示し、むしろ嗜好度に悪影響を及ぼすと判断された。
【0096】
クラッカーのカロリー及び脂肪含量評価
【0097】
実施例1のクラッカー及び比較例2のクラッカーの100g当たりのカロリーと脂肪含量を比較して評価した。測定結果は、下記の表1に示した。
【0099】
実施例1のクラッカーの場合、比較例2のクラッカーに比べてカロリーが20%低減し、脂肪含量が48%低減したクラッカーを提供するという効果を示すと評価された。
【0102】
実施例1及び比較例2に係るクラッカーの流通時間経過別酸敗度の変化を測定するために、実施例1及び比較例2のクラッカーの時間別酸価変化を測定した。測定結果は、下記の表2に示した。
【0104】
酸価の場合、流通時間の増加と共に増加する傾向を示すが、下記の回帰方程式を用いて一般的なクラッカーの最終賞味期限である12ヶ月時点の酸価を予想してみると、下記のようになる。
【0105】
[回帰方程式]
a)比較例2:y=0.0169x+0.1808(y:酸価、x:ヶ月)
b)実施例1:y=0.0042x+0.2027(y:酸価、x:ヶ月)
【0106】
12ヶ月経過時の比較例2の酸価は約0.38と予想され、実施例1の酸価は約0.2531と予想される。
【0107】
これは、一般的な保管条件である25℃、60RH%(相対湿度)での結果であって、実際製品の流通時には夏期の高温・多湿保管条件で油脂の酸敗がさらに速く進むので、実際に流通する製品の酸価は遥かに高いと予測される。
【0108】
酸敗が深化する場合、クラッカーに異味及び/異臭を発生させ、嗜好度を低下させることはもちろん、変質した食物の摂取による消化機能障害などを誘発し得る。
【0111】
実施例1及び比較例2に係るクラッカーの消費者等の嗜好度を評価するために、満25歳ないし満49歳の主婦49人を対象にしてブラインドテスト方式で嗜好度評価を実施した。測定結果は
図2に示した。
図2において、"既存"は比較例2のクラッカーを示し、"開発"は実施例1のクラッカーを示す。
【0112】
図2に示したように、クラッカーの嗜好度調査の結果、実施例1のクラッカーの場合は、表面に油脂を噴霧しなかったにもかかわらず、全般的な嗜好度において油脂を噴霧したクラッカーとほぼ同等の水準と評価され、特に、香ばしさ、淡泊さ、さくっと感、柔らかさにおいて優れた嗜好度を示した。また、油っこさの嗜好度及び油脂残余感において、実施例1の場合、さらに向上した嗜好度を示し、噴霧油脂の酸敗による異味/異臭の強度評価でも、実施例1によるクラッカーの場合が優秀であることに評価された。
【0113】
比較例2及び実施例1によるクラッカーの記号度を総合的に評価してみると、実施例1の場合、高カロリー及び高脂肪摂取を誘発する噴霧油脂を使用しないと共に、視覚的な面で油脂を噴霧したクラッカーと類似するか、それよりも優れた色及びつやを示し、味覚・嗅覚的な面でほぼ同等の香ばしさ、淡泊さ、さくっと感などを示すと評価され、カロリー及び脂肪含量は低減させながら、油脂を噴霧したクラッカーとほぼ同等の程度に食感が優れたクラッカーを提供することが確認された。