特許第6072942号(P6072942)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6072942ガラス繊維を含む真空断熱材用外被材およびこれを含む真空断熱材
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6072942
(24)【登録日】2017年1月13日
(45)【発行日】2017年2月1日
(54)【発明の名称】ガラス繊維を含む真空断熱材用外被材およびこれを含む真空断熱材
(51)【国際特許分類】
   F16L 59/065 20060101AFI20170123BHJP
   F16L 59/02 20060101ALI20170123BHJP
   B32B 17/06 20060101ALI20170123BHJP
【FI】
   F16L59/065
   F16L59/02
   B32B17/06
【請求項の数】21
【全頁数】16
(21)【出願番号】特願2015-562900(P2015-562900)
(86)(22)【出願日】2014年2月6日
(65)【公表番号】特表2016-516163(P2016-516163A)
(43)【公表日】2016年6月2日
(86)【国際出願番号】KR2014001033
(87)【国際公開番号】WO2014142441
(87)【国際公開日】20140918
【審査請求日】2015年9月11日
(31)【優先権主張番号】10-2013-0026187
(32)【優先日】2013年3月12日
(33)【優先権主張国】KR
(73)【特許権者】
【識別番号】509286787
【氏名又は名称】エルジー・ハウシス・リミテッド
【氏名又は名称原語表記】LG HAUSYS,LTD.
(74)【代理人】
【識別番号】100096091
【弁理士】
【氏名又は名称】井上 誠一
(72)【発明者】
【氏名】チョン・スンミン
(72)【発明者】
【氏名】ファン・スンソク
(72)【発明者】
【氏名】ハン・ジョンピル
(72)【発明者】
【氏名】ミン・ビョンフン
【審査官】 渡邉 洋
(56)【参考文献】
【文献】 米国特許出願公開第2012/0164365(US,A1)
【文献】 特表2013−508652(JP,A)
【文献】 特開2003−154534(JP,A)
【文献】 国際公開第2012/023705(WO,A2)
【文献】 特表2013−540607(JP,A)
【文献】 国際公開第2012/044001(WO,A2)
【文献】 中国特許出願公開第102748560(CN,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F16L59/00−59/22
B32B17/00−17/12
B32B 5/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
外部から最外側のガラス織物層、表面保護層および接着層、さらに前記表面保護層の上部または下部に設けられた金属バリアー層の積層構造を含み、
前記最外側のガラス織物層と前記表面保護層との接着または前記最外側のガラス織物層と前記金属バリアー層との接着は、リン系化合物、窒素化合物、ホウ素化合物、三酸化アンチモン、水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウムおよびこれらの組み合わせからなる群から選択される一つ以上を含むポリウレタン系樹脂またはポリエステル樹脂により行われる、真空断熱材用外被材。
【請求項2】
前記最外側のガラス織物層は、直径が4μm〜40μmであるガラス繊維を含む、請求項1に記載の真空断熱材用外被材。
【請求項3】
前記ガラス繊維は、E‐ガラス(Electrical‐Glass)、C‐ガラス(Chemical‐Glass)またはE‐CRガラス(Electrical‐Corroision Resistant Glass)である、請求項に記載の真空断熱材用外被材。
【請求項4】
前記最外側のガラス織物層は、ガラス繊維を熱溶融紡糸して製造されたガラスフィラメントを撚って形成されたガラス繊維糸を含むか、前記ガラス繊維糸を製織して形成されたガラス繊維織物を含むか、前記ガラス繊維織物が前記ガラス繊維糸で連結されて形成されたガラス繊維マットを含む、請求項1に記載の真空断熱材用外被材。
【請求項5】
前記最外側のガラス織物層は、ガラスペーパーを含む、請求項1に記載の真空断熱材用外被材。
【請求項6】
前記最外側のガラス織物層は、組織構造が、平織、綾織、朱子織、からみ織または擬紗織である、請求項1に記載の真空断熱材用外被材。
【請求項7】
前記最外側のガラス織物層の厚さは0.1mm〜3mmである、請求項1に記載の真空断熱材用外被材。
【請求項8】
前記ポリウレタン系樹脂またはポリエステル樹脂は、リン系化合物、窒素化合物、ホウ素化合物、三酸化アンチモン、水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウムおよびこれらの組み合わせからなる群から選択される一つ以上を3重量%〜60重量%含む、請求項に記載の真空断熱材用外被材。
【請求項9】
前記表面保護層は、ポリエチレンテレフタレートおよびナイロンフィルムの積層構造を含む、請求項1に記載の真空断熱材用外被材。
【請求項10】
前記ポリエチレンテレフタレートフィルムの上部にはビニル系樹脂がコーティングされている、請求項に記載の真空断熱材用外被材。
【請求項11】
前記ビニル系樹脂は、ポリ塩化ビニル(PVC)、ポリ酢酸ビニル(PVA)、ポリビニルアルコール(PVAL)、ポリビニルブチラール(PVB)、ポリ塩化ビニリデン(PVDC)およびこれらの組み合わせからなる群から選択される一つ以上である、請求項10に記載の真空断熱材用外被材。
【請求項12】
前記金属バリアー層は、アルミ箔(Foil)を含む、請求項に記載の真空断熱材用外被材。
【請求項13】
前記接着層は、高密度ポリエチレン(HDPE)、低密度ポリエチレン(LDPE)、直鎖状低密度ポリエチレン(LLDPE)、無延伸ポリプロピレン(CPP)、延伸ポリプロピレン(OPP)、ポリ塩化ビニリデン(PVDC)、ポリ塩化ビニル(PVC)、エチレン‐酢酸ビニル共重合体(EVA)、エチレン‐ビニルアルコール共重合体(EVOH)およびこれらの組み合わせからなる群から選択される一つ以上である、請求項1に記載の真空断熱材用外被材。
【請求項14】
ヒュームドシリカ粉体50重量%〜90重量%およびガラス繊維10重量%〜50重量%を含む1層以上のガラス繊維板と、
前記ガラス繊維板を挿入する請求項1〜13のいずれか1項に記載の外被材と、を含む、真空断熱材。
【請求項15】
前記ガラス繊維は、直径が0.1μm〜20μmである、請求項14に記載の真空断熱材。
【請求項16】
前記ガラス繊維板の孔隙径が15μm〜30μmであり、孔隙率が80%〜95%である、請求項14に記載の真空断熱材。
【請求項17】
ガラス繊維を85重量%〜100重量%含む1層以上のガラス繊維板と、
前記ガラス繊維板に付着または挿入されるゲッター剤と、
前記ガラス繊維板を挿入する請求項1に記載の外被材と、を含む、真空断熱材。
【請求項18】
前記ゲッター剤は、
生石灰粉末と、
Ba、Li、Zr、Coおよびこれらの組み合わせからなる群から選択される合金と、を含む、請求項1に記載の真空断熱材。
【請求項19】
前記合金全重量に対して生石灰粉末を1重量%〜25重量%含む、請求項18に記載の真空断熱材。
【請求項20】
前記真空断熱材が一つ以上のスルーホールを含む、請求項14または17に記載の真空断熱材。
【請求項21】
前記スルーホールが多角形、円形、楕円形およびこれらを組み合わせた形状を有する、請求項20に記載の真空断熱材。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ガラス繊維を含む真空断熱材用外被材およびこれを含む真空断熱材に関する。
【背景技術】
【0002】
現在、商用の真空断熱材の場合、芯材として、グラスウールおよびヒュームドシリカ、エアロゲルなどの無機化合物が使用されており、外被材は、ナイロン/PET/アルミ箔、あるいはアルミニウム蒸着層とともにポリエチレン(PE)およびポリプロピレン(PP)などが融着層として使用されている。また、真空断熱材の長期的な性能確保のためにゲッター剤として生石灰(CaO)およびゼオライト、シリカゲルなどの吸湿剤と金属粉末が使用されている。
【0003】
特に、真空断熱材用外被材の場合、外部衝撃および外部の環境変化、すなわち外部の温度変化および湿度変化などに露出されており、真空断熱材の効果および性能にも影響を及ぼすため、真空断熱材用外被材に関する研究が行われ続けている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】なし
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明の一具現例は、外部のスクラッチ、衝撃、破れなどによって外被材の表面が損傷したり、前記損傷によって真空断熱材の内部の真空解体を防ぐための真空断熱材用外被材を提供する。
【0006】
本発明の他の具現例は、前記真空断熱材用外被材と、ガラス繊維板と、ゲッター剤と、を含む真空断熱材を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の一具現例において、外部から最外側のガラス織物層、表面保護層および接着層の積層構造を含む真空断熱材用外被材を提供する。
【0008】
前記表面保護層の上部または下部に設けられた金属バリアー層を含むことができる。
前記最外側のガラス織物層は、直径が約4μm〜約40μmであるガラス繊維を含むことができる。
前記ガラス繊維は、E‐ガラス(Electrical‐Glass)、C‐ガラス(Chemical‐Glass)またはE‐CRガラス(Electrical‐Corroision Resistant Glass)であることができる。
【0009】
前記最外側のガラス織物層は、ガラス繊維を熱溶融紡糸して製造されたガラスフィラメントを撚って形成されたガラス繊維糸を含むか、前記ガラス繊維糸を製織して形成されたガラス繊維織物を含むか、前記ガラス繊維織物が前記ガラス繊維糸で連結されて形成されたガラス繊維マットを含むことができる。
【0010】
前記最外側のガラス織物層は、ガラスペーパーを含むことができる。
【0011】
前記最外側のガラス織物層は、組織構造が、平織、綾織、朱子織、からみ織または擬紗織であることができる。
【0012】
前記最外側のガラス織物層の厚さは約0.1mm〜約3mmであることができる。
【0013】
前記最外側のガラス織物層と前記表面保護層との接着または前記最外側のガラス織物層と前記金属バリアー層との接着は、ポリウレタン系樹脂またはポリエステル樹脂により行われることができる。
【0014】
前記ポリウレタン系樹脂またはポリエステル樹脂は、リン系化合物、窒素化合物、ホウ素化合物、三酸化アンチモン、水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウムおよびこれらの組み合わせからなる群から選択される一つ以上を含むことができる。
【0015】
前記ポリウレタン系樹脂またはポリエステル樹脂は、リン系化合物、窒素化合物、ホウ素化合物、三酸化アンチモン、水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウムおよびこれらの組み合わせからなる群から選択される一つ以上を約3重量%〜約60重量%含むことができる。
【0016】
前記表面保護層は、ポリエチレンテレフタレートおよびナイロンフィルムの積層構造を含むことができる。
【0017】
前記ポリエチレンテレフタレートフィルムの上部にはビニル系樹脂がコーティングされていることができる。
【0018】
前記ビニル系樹脂は、ポリ塩化ビニル(PVC)、ポリ酢酸ビニル(PVA)、ポリビニルアルコール(PVAL)、ポリビニルブチラール(PVB)、ポリ塩化ビニリデン(PVDC)およびこれらの組み合わせからなる群から選択される一つ以上であることができる。
【0019】
前記金属バリアー層は、アルミ箔(Foil)を含むことができる。
【0020】
前記接着層は、高密度ポリエチレン(HDPE)、低密度ポリエチレン(LDPE)、直鎖状低密度ポリエチレン(LLDPE)、無延伸ポリプロピレン(CPP)、延伸ポリプロピレン(OPP)、ポリ塩化ビニリデン(PVDC)、ポリ塩化ビニル(PVC)、エチレン‐酢酸ビニル共重合体(EVA)、エチレン‐ビニルアルコール共重合体(EVOH)およびこれらの組み合わせからなる群から選択される一つ以上であることができる。
【0021】
本発明の他の具現例において、ヒュームドシリカ粉体約50重量%〜約90重量%およびガラス繊維約10重量%〜約50重量%を含む1層以上のガラス繊維板と、前記ガラス繊維板を挿入する前記外被材と、を含む真空断熱材を提供する。
【0022】
前記ガラス繊維は、直径が約0.1μm〜約20μmであることができる。
【0023】
前記ガラス繊維板の孔隙径が約15μm〜約30μmであり、孔隙率が約80%〜約95%であることができる。
【0024】
本発明のさらに他の具現例において、ガラス繊維を約85重量%〜約100重量%含む1層以上のガラス繊維板と、前記ガラス繊維板に付着または挿入されるゲッター剤と、前記ガラス繊維板を挿入する前記外被材と、を含む真空断熱材を提供する。
【0025】
前記ゲッター剤は、生石灰粉末と、Ba、Li、Zr、Coおよびこれらの組み合わせからなる群から選択される合金と、を含む前記合金全重量に対して生石灰粉末を約1重量%〜約25重量%含むことができる。
【0026】
前記真空断熱材が一つ以上のスルーホールを含むことができる。
【0027】
前記スルーホールが多角形、円形、楕円形およびこれらを組み合わせた形状を有することができる。
【発明の効果】
【0028】
前記真空断熱材用外被材を使用することにより、外被材のバリアー性能を強化し、外部衝撃による破れ、外被材表面の難燃性の問題を改善することができる。
【0029】
また、前記真空断熱材用外被材を含む真空断熱材を使用することにより、初期断熱および長期耐久性能を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0030】
図1】本発明の一実施例の真空断熱材用外被材の断面図である。
図2】本発明の一実施例の真空断熱材用外被材の断面図である。
図3】前記真空断熱材用外被材が含む最外側のガラス織物層の組織構造を示す図である。
図4】(a)、(b)は本発明の他の実施例のガラス繊維板の断面図である。
図5】本発明のさらに他の実施例の真空断熱材の断面図である。
図6】本発明のさらに他の実施例の真空断熱材の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0031】
以下、本発明の具現例について詳細に説明する。ただし、これは例示として提示されるものであって、これにより本発明が制限されず、本発明は、後述の請求項の範疇により定義されるだけである。
【0032】
(真空断熱材用外被材)
本発明の一具現例において、外部から最外側のガラス織物層、表面保護層および接着層の積層構造を含む真空断熱材用外被材を提供する。前記真空断熱材用外被材は、前記表面保護層の上部または下部に設けられた金属バリアー層を含むことができる。
【0033】
通常の真空断熱材用外被材の場合、外部衝撃および外部の環境変化、すなわち、外部の温度変化および湿度変化などに露出されており、真空断熱材用外被材の損傷によって真空断熱材の断熱効果および長期耐久性能にも影響を及ぼすことがあった。したがって、前記真空断熱材用外被材は、最外側に最外側のガラス織物層を含むことにより、真空断熱材用外被材の表面が損傷して真空が解体されること、真空断熱材用外被材に高温が適用された場合、バリアー性能が急速に低下すること、真空断熱材用外被材が建築用に適用された場合、湿式施工による外被材の破れ、外被材表面の難燃性の問題を改善することができる。
【0034】
具体的に、前記真空断熱材用外被材を使用することにより、外被材のバリアー性能を強化し、外部衝撃による破れ、外被材表面の難燃性の問題を改善することができ、前記真空断熱材用外被材を含む真空断熱材を使用することにより、初期断熱および長期耐久性能を向上させることができる。
【0035】
図1は本発明の一実施例の真空断熱材用外被材の断面図であり、図1を参照すると、真空断熱材用外被材100は、最外側のガラス織物層10と、金属バリアー層20と、表面保護層30と、接着層40と、を含むことができる。
【0036】
また、図2は本発明の一実施例の真空断熱材用外被材の断面図であり、図2を参照すると、真空断熱材用外被材100は、最外側のガラス織物層10と、表面保護層30と、金属バリアー層20と、接着層40と、を含むことができる。
【0037】
前記最外側のガラス織物層10は、直径が約4μm〜約40μmであるガラス繊維を含むことができる。ガラス繊維は、ケイ酸塩を主成分とするガラスを溶融、加工して繊維状に加工したものを称し、前記最外側のガラス織物層が、直径が約4μm〜約40μmであるガラス繊維を含むことにより、前記最外側のガラス織物層を介して水平方向に伝導される熱流量を最小化して、真空断熱材による熱損失を最小化することができる。
【0038】
前記ガラス繊維は、E‐ガラス(Electrical‐Glass)、C‐ガラス(Chemical‐Glass)またはE‐CRガラス(Electrical‐Corroision Resistant Glass)であることができる。前記E‐ガラスは、アルカリ含有量が約0.8%以下で、電気的特性、耐風化性に優れ、長時間の使用にも耐えることができることから、強化プラスチック(Fiber Reinforced Plastics、FRP)分野でも多く使用されるガラスであって、主要組成がケイ素、アルミニウム、カルシウムの酸化物であるアルミノケイ酸塩ガラス、またはケイ素、アルミニウム、ホウ素の酸化物であるアルミノカルシウムケイ酸塩ガラスのいずれか一つであることができる。
【0039】
前記C‐ガラスは、耐アルカリガラスであって、耐酸性に優れ、酸性液の濾過と耐酸容器用強化プラスチックの補強に主に使用するガラスであり、また、主要組成としてケイ素、ナトリウム、カリウムおよびホウ素の酸化物からなるガラスの組成を増加させたアルカリ‐金属カルシウムガラスであり、耐化学性に優れる。
【0040】
また、前記E‐CRガラスは、前記E‐ガラスの組成にホウ素の酸化物が構成されていないガラスであり、耐酸性に優れる。
【0041】
具体的に、前記最外側のガラス織物層の含むガラス繊維は、E‐ガラスであることができ、アルカリ含有量が少なくて、他のガラスに比べて耐風化性に相対的に優れ、E‐ガラスガラス繊維を含む最外側のガラス織物層が真空断熱材用外被材として使用されることにより、外部の衝撃および変化から受ける影響を少なくすることができる。
【0042】
前記最外側のガラス織物層は、ガラス繊維を熱溶融紡糸して製造されたガラスフィラメントを撚って形成されたガラス繊維糸を含むか、前記ガラス繊維糸を製織して形成されたガラス繊維織物を含むか、前記ガラス繊維織物が前記ガラス繊維糸で連結されて形成されたガラス繊維マットを含むことができる。
【0043】
通常のガラス繊維は、約1600℃の温度で溶融した後、約100本〜約4000本のフィラメントをバインダーで接続し、束(strand)の形態で存在する。このように束の形態で存在するガラス繊維を熱溶融紡糸してガラスフィラメント(filament)に製造し、これを撚って(twist)ガラス繊維糸(yarn)を形成することができる。前記最外側のガラス織物層は、前記ガラス繊維糸を含むことができ、前記ガラス繊維糸の直径は、約5μm〜約13μmであることができる。
【0044】
前記ガラス繊維糸を整経(warping)して準備工程を経て、紡織(weaving)工程を経て製織し、ガラス繊維織物(cloth)を形成することができる。前記最外側のガラス織物層は、前記ガラス繊維織物を含むことができ、前記ガラス繊維織物の直径は、約11μm〜約33μmであることができる。また、前記ガラス繊維織物を前記ガラス繊維糸で連結してガラス繊維マット(mat)を形成することができ、前記最外側のガラス織物層はガラス繊維マットを含むことができる。
【0045】
また、前記最外側のガラス織物層は、ガラスペーパーを含むことができる。前記ガラスペーパーは、ガラス粉末を塗布した紙を称し、ガラス粉末およびその他の添加剤をともに混合して原料を形成し、前記原料が抄紙形成工程を経た後、形成されたペーパーの表面平滑性および機械的物性が補完される含浸工程を経て、所定の温度で乾燥が行われる乾燥工程を経て、ペーパーにおける異物や汚染部位を訂正して作製されることができる。
【0046】
前記ガラスペーパーは、E‐ガラスのガラス粉末を含み、引張強度および引張弾性率が高くて寸法安定性に優れ、不燃材質であることから、真空断熱材用外被材への適用に好適である。また、厚さが薄くてバインダーを用いて他の素材の接着が容易であることから、前記最外側のガラス織物層の下部に形成される表面保護層または金属バリアー層に容易に適用されることができる。
【0047】
図3は前記真空断熱材用外被材が含む最外側のガラス織物層の組織構造を示す図であり、図3を参照すると、図3の(a)は平織、(b)は綾織、(c)は朱子織、(d)はからみ織、(e)は擬紗織を示す。
【0048】
具体的に、前記最外側のガラス織物層は、組織構造が、平織、綾織、朱子織、からみ織または擬紗織であることができる。前記平織は、経糸と緯糸が1本ずつ毎回交差する組織であり、樹脂の含浸の際に脱泡が容易であることができる。前記綾織は、経糸、緯糸を少なくとも3本ずつ使用して密度が高く、形状が斜線の形を有しており、平織より柔軟である。前記朱子織は、経糸、緯糸の交差点を所定の間隔で配置し、綾織よりは柔軟性に優れ、複雑な曲面を成形したり、一方向に最高の強度を示すことができる。
【0049】
前記からみ織は、2本またはそれ以上の経糸が1本の緯糸で合わされたことであり、隙間が広く、原糸の密度が少ない織物を歪むことなく洗浄することができる。また、前記擬紗織は、数本の糸を集めて経糸、緯糸として使用し、平織のように製織したことを称する。
【0050】
前記最外側のガラス織物層の厚さは、約0.1mm〜約3mmであることができる。前記最外側のガラス織物層の厚さを前記範囲に維持することで、真空断熱材用外被材に加えられる外部衝撃およびスクラッチ、火炎伝搬などによる衝撃を最小化することができ、真空断熱材用外被材の損傷によって発生する真空断熱材の内部真空解体を防止することができる。
【0051】
前記最外側のガラス織物層を真空断熱材用外被材の最外側に使用することで、ガラス織物層が含むガラス繊維の不燃特性により火炎伝搬速度が遅くなり、自ら火が消える自己消火特性を有することができ、高温条件下で外被材の表面に加えられる熱源を緩衝する特性を有することができる。
【0052】
前記最外側のガラス織物層と前記表面保護層との接着または前記最外側のガラス織物層と前記金属バリアー層との接着は、ポリウレタン系樹脂またはポリエステル樹脂により行われることができる。これは、真空断熱材用外被材の気密特性をより向上させるためである。
【0053】
前記ポリウレタン系樹脂またはポリエステル樹脂は、リン系化合物、窒素化合物、ホウ素化合物、三酸化アンチモン、水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウムおよびこれらの組み合わせからなる群から選択される一つ以上を含むことができる。前記ポリウレタン系樹脂またはポリエステル樹脂に難燃性物質をともに含むことで、真空断熱材用外被材の耐熱性および難燃性が付与されることができ、高温用途で外被材を使用する場合にも外被材の劣化による真空断熱材の内部真空維持力が改善することができる。
【0054】
具体的に、前記ポリウレタン系樹脂またはポリエステル樹脂は、リン系化合物、窒素化合物、ホウ素化合物、三酸化アンチモン、水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウムおよびこれらの組み合わせからなる群から選択される一つ以上を約3重量%〜約60重量%含むことができる。前記範囲内の含有量で難燃性物質を含むことにより、接着性の確保とともに難燃効果を具現することができ、真空断熱材への火炎伝搬の際に、接着層を介して伝達される火炎の伝搬速度を低下させることができる。
【0055】
例えば、リン系化合物と窒素化合物を同時に使用することにより、リン系化合物約0重量%〜約30重量%および窒素化合物約0重量%〜約30重量%を使用することができ、接着の容易性のためにポリウレタン系樹脂またはポリエステル樹脂に有機溶剤を約40重量%〜約100%添加して使用することができる。
【0056】
前記表面保護層30は、最外側のガラス織物層10の下部に形成される層であって、前記表面保護層の上部に金属バリアー層を含む場合には難燃性を高める役割を行い、前記表面保護層の下部に金属バリアー層を含む場合には真空断熱材用外被材自体のバリアー性を高める役割を行うことができる。
【0057】
前記表面保護層30は、ポリエチレンテレフタレートおよびナイロンフィルムの積層構造を含み、具体的に、前記表面保護層は、約10μm〜約25μmの厚さのポリエチレンテレフタレート(PET)フィルム410および約15μm〜約25μmの厚さのナイロン(Nylon)フィルム420の積層構造に形成されることができる。
【0058】
例えば、表面保護層30の下部に金属バリアー層20が形成される場合、金属バリアー層20で発生するクラック(Crack)の程度が深刻でポリエチレンテレフタレート/ナイロンフィルムにも損傷が加えられることがあり、これを防止するために前記ポリエチレンテレフタレートフィルムの上部にはビニル系樹脂をコーティングして使用することができる。
【0059】
具体的に、前記ビニル系樹脂は、ポリ塩化ビニル(PVC)、ポリ酢酸ビニル(PVA)、ポリビニルアルコール(PVAL)、ポリビニルブチラール(PVB)、ポリ塩化ビニリデン(PVDC)およびこれらの組み合わせからなる群から選択される一つ以上であることができる。
【0060】
次に、接着層40の上部または表面保護層30の上部にガス遮断および芯材保護のために金属バリアー層20を含むことができ、具体的に、約5μm〜約10μmの厚さの金属薄膜を形成することができる。現在、アルミ箔より優れた特性を有する薄膜が明らかにされていない状態で、アルミ箔(Foil)金属バリアー層20が最も多く使用されている。また、前記金属バリアー層が金属素材のアルミニウムを含むことにより、折り曲げの際にクラック(Crack)が発生する問題がありうるため、これを防止するために、金属バリアー層の上部に表面保護層を形成することができる。
【0061】
また、接着層40は、ヒートシーリングによって互いに熱溶着される層であって、真空状態を維持できるようにする機能を行う。前記接着層40は、熱溶着が容易な高密度ポリエチレン(HDPE)、低密度ポリエチレン(LDPE)、直鎖状低密度ポリエチレン(LLDPE)、無延伸ポリプロピレン(CPP)、延伸ポリプロピレン(OPP)、ポリ塩化ビニリデン(PVDC)、ポリ塩化ビニル(PVC)、エチレン‐酢酸ビニル共重合体(EVA)、エチレン‐ビニルアルコール共重合体(EVOH)およびこれらの組み合わせからなる群から選択されるいずれか一つ以上を含む熱可塑性プラスチックフィルムで形成し、且つ十分なシーリング特性を提供するために約50μm〜約80μmの厚さで形成することができる。
【0062】
このように、前記最外側のガラス織物層10と、表面保護層30と、金属バリアー層20と、接着層40と、を含む真空断熱材用外被材を形成することにより、外被材のバリアー性能を強化し、外部衝撃による破れ、外被材表面の難燃性の問題を改善することができ、前記真空断熱材用外被材を含む真空断熱材は、最高の気密性と長期耐久性能を有することができる。
【0063】
具体的に、前記真空断熱材用外被材を高温用途で使用する場合、最外側のガラス織物層が熱を緩衝することで、外被材の劣化による真空断熱材内部の真空維持力を改善することができる。また、前記真空断熱材用外被材を建築用途で使用する場合、セメントを外被材の表面に付着しても、セメントの硬化による外被材損傷の発生を最小化することができ、真空断熱材の表面保護の機能を高めることができる。
【0064】
(真空断熱材)
本発明の他の具現例において、ヒュームドシリカ粉体50重量%〜90重量%およびガラス繊維10重量%〜50重量%を含む1層以上のガラス繊維板と、前記ガラス繊維板を挿入する外部から最外側のガラス織物層、表面保護層および接着層の積層構造を含む真空断熱材用外被材と、を含む真空断熱材を提供する。
【0065】
また、本発明のさらに他の具現例において、ガラス繊維を85重量%〜100重量%含む1層以上のガラス繊維板と、前記ガラス繊維板に付着または挿入されるゲッター剤と、前記ガラス繊維板を挿入する請求項1に記載の外被材と、を含む真空断熱材を提供する。
【0066】
図4は本発明の他の実施例のガラス繊維板の断面図である。具体的に、図4の(a)はヒュームドシリカ粉体およびガラス繊維を含む1層以上のガラス繊維板を、図4の(b)は所定の含有量のガラス繊維を含む1層以上のガラス繊維板を示す図である。
【0067】
前記図4の(a)のガラス繊維板200は、ヒュームドシリカ粉体およびガラス繊維を含むことから真空断熱材用芯材として使用されることができる。前記ガラス繊維板は、バインダーとしてガラス繊維を使用し、前記ガラス繊維にヒュームドシリカ粉体を撹拌して物理的結合を誘導し、熱と圧力を加えて形成された板を称する。ガラス繊維板は、単層に形成されたり、1以上の多層に形成されることができる。ガラス繊維板を1層以上含むことで、真空断熱材の断熱効果および長期耐久性能を向上させることができる。
【0068】
ヒュームドシリカは、ヒューム(Fume)形態で形成された無水ケイ酸を意味することから、表面積が大きく、粒子が細かい粉体状態で存在する。前記ヒュームドシリカ粉体を約50重量%〜約90重量%含むことで、断熱性能の面で長期的な持続効果を確保することができる。
【0069】
前記ガラス繊維板は、前記ヒュームドシリカ粉体とともにガラス繊維を含むことができる。ガラス繊維を約10重量%〜約50重量%含むことで、ガラス繊維とヒュームドシリカを物理的にバインディングして構造体に形成することができるという点で有利で、真空断熱材用芯材として使用が可能で、真空断熱材の断熱性能を向上させることができる。
【0070】
また、ガラス繊維板の断熱性能の向上に関連し、前記ヒュームドシリカ粉体および前記ガラス繊維の他にシリカ系の多孔性物質または酸化ケイ素で形成されたその他の物質をさらに添加することができる。
【0071】
前記ガラス繊維板が含むガラス繊維は、直径が約0.1μm〜約20μmであることができる。前記ガラス繊維板の形成において、直径が約0.1μm〜約20μmであるガラス繊維を含むことで、ガラス繊維板の孔隙率を増加させ、初期熱伝導率の値を低減できるという点で有利で、ガラス繊維板の孔隙径を最小化して長期的な断熱性能低下の問題点を改善することができる。
【0072】
前記ガラス繊維板の孔隙径は約15μm〜約30μmであり、孔隙率が約80%〜約95%であることができる。前記ガラス繊維板は、ヒュームドシリカ粉体を含むことから、粉体と粉体との間の孔隙が形成されることができるため、例えば、ヒュームドシリカ粉体自体の孔隙径は約10nm〜約60nm、前記孔隙径による孔隙率は約60%〜約85%になることができる。したがって、前記ガラス繊維板が前記孔隙径および前記孔隙率を有することで、初期熱伝導率の値を低減して断熱性能の効果を容易に改善することができる。
【0073】
前記図4の(b)のガラス繊維板210は、ガラス繊維を約85重量%〜約100重量%を含むことができる。前記範囲の含有量でガラス繊維を含むことで前記ガラス繊維板を含む真空断熱材の熱伝導率を低減することができ、平均繊維直径が約1μm〜約4μmであるガラス繊維を使用することができる。
【0074】
前記ガラス繊維板は、ガラス繊維を無機バインダー(可溶性ケイ酸ソーダ、アルミナゾル、シリカゾル、アルミナホスフェートのいずれか一つ以上)に分散して板(ボード)に製造される湿式製造法によることができ、具体的には、可溶性ケイ酸ソーダは、水、シリカ粉末および水酸化ナトリウムを含んでなることができる。
【0075】
具体的に、前記ガラス繊維板210は、酸化ケイ素約55%〜約70%、酸化アルミニウム約0.5%〜約5.0%、酸化マグネシウム約2.5%〜約4.0%および酸化カルシウム約4.5%〜約12%、酸化カリウム約0.1%〜約0.5%などで形成されることができる。
【0076】
図5および図6は本発明のさらに他の実施例の真空断熱材の断面図を示す図であり、図5を参照すると、図5図4の(a)のガラス繊維板200を前記外被材100に密封した状態の真空断熱材を図示したものである。
【0077】
前記図4の(a)におけるガラス繊維板200は、ヒュームドシリカ粉体を含み、この際、ヒュームドシリカ粉体自体が水分などを吸収するゲッター剤の役割を行うことができる。したがって、前記真空断熱材は、前記ガラス繊維板200により、ゲッター剤を別に含まなくても、外部の温度変化によって発生する外被材内部のガスおよび水分の発生を最小化することができる。
【0078】
また、図6を参照すると、図6はガラス繊維板210の内部にゲッター剤300を挿入した状態で、外被材100を用いて密封した状態の真空断熱材を図示したものである。
【0079】
前記図4の(b)のガラス繊維板210は、ガラス繊維を主成分として形成されるものであり、前記ガラス繊維板に付着または挿入されるゲッター剤を含むことができる。外部の温度変化によって外被材の内部でガスおよび水分が発生することがあるが、これを防止するためにゲッター剤を使用することができる。
【0080】
前記ゲッター剤は、生石灰粉末と、Ba、Li、Zr、Coおよびこれらの組み合わせからなる群から選択される合金と、を含むことができる。生石灰粉末を含むことで約25%以上の水分吸収性能を確保することができ、合金を含むことでガスの吸着効果を向上させて内部真空低下を最小化することで初期および長期熱伝導率を改善する役割を行うことができる。
【0081】
具体的に、前記合金全重量に対して生石灰粉末を約1重量%〜約25重量%含むことができる。前記Ba、Li、Zr、Coおよびこれらの組み合わせからなる群から選択される合金全重量に対して前記範囲の生石灰粉末を含むことで、真空断熱材内部の水分残存による真空度低下の問題点を改善することができ、さらに、水分およびガスによる長期的な真空度低下による断熱性能の改善効果を容易に具現することができる。
【0082】
前記真空断熱材は、一つ以上のスルーホールを含むことができる。前記スルーホールは、前記ガラス繊維板200に厚さ方向に形成されたり、前記真空断熱材用外被材100のみからなる外被材熱溶着部(図示せず)に厚さ方向に形成されることができるもので、すなわち、ガラス繊維板を含む外被材の熱溶着部またはガラス繊維板を含まない外被材の熱溶着部に形成されることができる。この際、前記スルーホールは、多角形、円形、楕円形およびこれらを組み合わせた形状を有することができる。
【0083】
以下、本発明の具体的な実施例を提示する。ただし、下記の実施例は、本発明を具体的に例示または説明するためのものに過ぎず、これによって本発明が制限されてはならない。
【0084】
<実施例および比較例>
(実施例1)
まず、孔隙径が60nmであり、孔隙率が80%であるヒュームドシリカ粉体を50重量%使用し、ガラス繊維をバインダーとして50重量%使用して、3層のガラス繊維板を製造した。
【0085】
次に、直径が10μmであるE‐ガラスを熱溶融紡糸して、5デニール厚さのガラスフィラメントを製造し、これを複数本に撚ってガラス繊維糸を製造した後、これを製織して連続したガラス繊維織物に形成し最外側のガラス織物層を製造し、前記最外側のガラス織物層の下部にポリ塩化ビニリデン(PVDC)/ポリエチレンテレフタレートフィルム(PET)12μmおよびナイロンフィルム25μmの表面保護層、アルミ箔7μmおよび直鎖状低密度ポリエチレン(LLDPE)フィルム50μmの接着層を積層して外被材を形成した。前記最外側のガラス織物層および表面保護層は、三酸化アンチモンが約10重量%含まれたポリウレタン系樹脂を用いて接着された。
【0086】
次に、前記ガラス繊維板を前記外被材に挿入した後、10Paの真空度の状態で密封して真空断熱材を製造した。
【0087】
(実施例2)
前記最外側のガラス織物層の下部に、アルミ箔7μm、ポリ塩化ビニリデン(PVDC)/ポリエチレンテレフタレートフィルム(PET)12μmおよびナイロン(Nylon)フィルム25μmの表面保護層、直鎖状低密度ポリエチレン(LLDPE)フィルム50μmの接着層を積層して外被材を形成した以外は、前記実施例1と同じ方法で真空断熱材を製造した。
【0088】
前記最外側のガラス織物層およびアルミ箔は、水酸化アルミニウムが30重量%含まれたポリエステル樹脂を用いて接着された。
【0089】
(実施例3)
前記最外側のガラス織物層をガラスペーパーに使用した以外は、実施例1と同じ方法で真空断熱材を製造した。
【0090】
(実施例4)
平均直径が4μm〜6μmであるガラス繊維約98重量%を無機バインダーに分散して、3層のガラス繊維板を製造した。次に、直径が10μmであるE‐ガラスを熱溶融紡糸して5デニール厚さのガラスフィラメントを製造し、これを複数本で撚ってガラス繊維糸を製造した後、これを製織して連続したガラス繊維織物に形成して最外側のガラス織物層を製造し、前記最外側のガラス織物層の下部にポリ塩化ビニリデン(PVDC)/ポリエチレンテレフタレートフィルム(PET)12μmおよびナイロンフィルム25μmの表面保護層、アルミ箔7μmおよび直鎖状低密度ポリエチレン(LLDPE)フィルム50μmの接着層を積層して外被材を形成した。前記最外側のガラス織物層および表面保護層は、三酸化アンチモンが約10重量%含まれたポリウレタン系樹脂を用いて接着された。
【0091】
次に、BaおよびLiの合金全重量に対して純度95%の生石灰(CaO)粉末を25重量%投入して製造したゲッター剤を前記ガラス繊維板に挿入した後、前記ガラス繊維板を前記外被材に挿入してから10Paの真空度の状態で密封して真空断熱材を製造した。
【0092】
(比較例1)
最外側の織物層を含まない以外は、前記実施例1と同様にして真空断熱材を製造した。
【0093】
(比較例2)
直径が約0.1μm〜約15μmであるガラス繊維を無機バインダー(水ガラス)に分散してガラス繊維板を製造し、厚さが5mmであるガラス繊維板を30層に積層して使用した以外は、前記実施例1と同様にして真空断熱材を製造した。
【0094】
(比較例3)
純度95%の生石灰(CaO)25gをパウチに入れて製造したゲッター剤を使用する以外は、前記実施例2と同様にして真空断熱材を製造した。
【0095】
<実験例1>‐真空断熱材の耐熱性および難燃性テスト
1)ライターの火の試験:実施例1〜3および比較例1の真空断熱材外被材をUL94‐V(垂直燃焼法)の方法によりライターの火の試験に対する消火時間を測定した。
2)水平燃焼(Horizontal Burning)試験l:実施例1〜3および比較例1の真空断熱材外被材をUL94‐HBの方法により燃焼速度を測定した。
【0096】
【表1】
【0097】
前記表1を参照すると、ガラス繊維織物で形成された最外側のガラス織物層を有する実施例1、2および4、ガラスペーパーを最外側のガラス織物層として使用した実施例3の場合、消火時間が10秒以内に測定され、燃焼速度が40mm/min以下に測定された。
【0098】
したがって、消火時間が10秒を超え、燃焼速度が40mm/minを超えて測定された最外側のガラス織物層を含まない比較例1に比べて、実施例1〜4の真空断熱材が耐熱性および難燃性に優れることが分かった。
【0099】
<実験例2>‐真空断熱材の熱伝導率テスト
前記実施例および比較例による真空断熱材を85℃の恒温室にそれぞれ入れて3ヶ月間維持しながら、HC‐074‐200(EKO社製)熱伝導測定機を使用して熱伝導率を測定した。
【0100】
【表2】
【0101】
前記表2を参照すると、通常のガラス繊維板を含む比較例2に比べて、ヒュームドシリカ粉体およびガラス繊維で形成されたガラス繊維板を含む実施例1が、熱伝導率がより低く測定された。
【0102】
また、実施例4の場合、通常のガラス繊維板を含むにもかかわらず、合金を含むゲッター剤をガラス繊維板の内部に付着することで熱伝導率を低く維持することができたことから、通常のゲッター剤を使用する比較例3に比べて熱伝導率がより低く測定された。したがって、前記実施例1および4の真空断熱材断熱性能が比較例2および3に比べて優れることが分かった。
【0103】
また、1ヶ月から3ヶ月に時間が経過したにもかかわらず、実施例1および4の熱伝導率は、比較例2および3に比べて、継続して低く測定されたことから、実施例1および4の真空断熱材が長期耐久性能にも優れることが分かった。
図1
図2
図4
図5
図6
図3