(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【背景技術】
【0002】
近年、過熱による天ぷら油火災などの事故を防止するため、コンロバーナーには、五徳上に載置された鍋などの調理容器の温度を検出する温度検出装置を搭載することが義務付けられている。温度検出装置としては、円環形状のコンロバーナーの中央開口部に立設された支持パイプと、上下方向に移動可能な態様で支持パイプの上部に取り付けられた筒状のホルダーと、ホルダーの内部に設けられてホルダーを上方に付勢するコイルバネと、ホルダーの上面を覆って取り付けられた円板形状の集熱板と、集熱板の下面に取り付けられた温度センサーとを備えたものが知られている。
【0003】
このような温度検出装置は、五徳上に調理容器が載置される面よりも上方にホルダーの上部が突出した状態で設置されている。調理容器が五徳上に載置されると、調理容器の底面が集熱板に当接してホルダーを押し下げると共に、コイルバネの付勢力によって調理容器の底面に集熱板が押し付けられた状態となる。その結果、集熱板に伝わる調理容器の温度を温度センサーによって検出することが可能となる。温度検出装置を搭載したコンロバーナーでは、検出された調理容器の温度が所定温度に達すると、火力を弱めたり消火したりすることで、過熱を防止する。
【0004】
また、コンロバーナーの周囲に形成される炎でホルダーの外周面が炙られると、炎からの輻射熱でホルダーの上部が高温となるので、そのホルダーの熱が集熱板に伝わることで、調理容器の正確な温度を温度センサーによって検出することが困難になる。そこで、ホルダーが炎で炙られないように、ホルダーの外側を覆う筒状のカバーを設けることが一般的になっている(例えば、特許文献1)。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかし、近年では、コンロバーナーの小径化に伴って、温度検出装置の小径化に対する要請が高まってきており、特許文献1のようにホルダーの外側にカバーを備えた構造では、温度検出装置の小径化が困難になっているという問題があった。すなわち、温度検出装置の外周面を形成するカバーを小径化しようとすると、内側のホルダーをカバーよりも更に小径にする必要があるところ、そのホルダーの内部に収容されるコイルバネは付勢力を調整する上で小径化に限度があるため、コイルバネの収容スペースを確保しながら温度検出装置(カバー)の小径化を図るのは困難である。かといって、温度検出装置を小径化するために単にカバーを外したのでは、炎からの輻射熱による影響を抑制できなくなってしまう。
【0007】
この発明は、従来の技術が有する上述した課題に対応してなされたものであり、炎からの輻射熱による影響を抑制すると共に、小径化を図ることが可能な温度検出装置の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上述した課題を解決するために、本発明の温度検出装置は次の構成を採用した。すなわち、
円環形状のコンロバーナーの中央開口部に設置され、該コンロバーナーの上方に載置された調理容器の温度を検出する温度検出装置において、
前記コンロバーナーの中央開口部に立設された支持パイプと、
上下方向に移動可能な態様で前記支持パイプの上部に取り付けられた筒状のホルダーと、
前記ホルダーを上方に付勢するコイルバネと、
前記ホルダーの上端に取り付けられて前記調理容器に当接する集熱部材と、
前記集熱部材の下面に取り付けられた温度センサーと
を備え、
前記ホルダーは、上端側が内向きに折り曲げられて、該ホルダーの外径よりも小さな開口部が形成されており、該開口部には、該ホルダーの外径よりも小さな前記集熱部材が取り付けられ
、
前記ホルダーは、前記開口部の周囲が上向きに折り曲げられて、筒状の立設壁が形成されており、
前記集熱部材は、外縁部分から下方に向けて突設された筒状の外周部を前記立設壁の内側に挿入することで前記ホルダーに取り付けられている
ことを特徴とする。
【0009】
このような本発明の温度検出装置では、ホルダーが温度検出装置の外周面を形成しており、コンロバーナーの周囲に形成される炎に面するホルダーの外周面が、炎からの輻射熱を直接的に受ける構造になっている。ただし、輻射熱を受けて高温になるホルダーの外周面の上端は、集熱部材に接しているわけではなく、ホルダーの上端側を内向きに折り曲げてホルダーの外径よりも小さく形成された開口部に集熱部材が取り付けられている。こうすると、ホルダーの外周面と集熱部材との間の部分(頂面)は、上方の調理容器に面しているので、炎からの輻射熱を直接的に受けない。そのため、ホルダーの外周面と集熱部材との距離(頂面の幅)を確保しておけば、炎からの輻射熱でホルダーの外周面が高温になっても、その熱が集熱部材に伝わることを抑制できる。その結果、調理容器の正確な温度を検出することが可能となる。そして、ホルダーの外周面が炎からの輻射熱を直接的に受ける構造であっても、輻射熱による影響を頂面の介在によって抑制できることから、もはやホルダーの外側にカバーを設けておく必要がなく、カバーを省略することで容易に温度検出装置を小径化することができる。
しかも、ホルダーの開口部の周囲を上向きに折り曲げておくことによって、調理容器から煮こぼれて温度検出装置にかかったとしても、煮こぼれ汁が開口部からホルダーの内部に入り込むことを防ぐことができる。
【0010】
また、カバーを省略することによって、ホルダー径の制約が緩和されるので、ホルダーの内部にコイルバネの収容スペースを確保し易くなる。さらに、カバーの省略によって、部品点数が減るので、温度検出装置の製造コストの低減を図ることができる。
【0011】
上述した本発明の温度検出装置では、
立設壁と外周部との間に、熱の伝わりを抑制する断熱層を設けておいてもよい。
【0012】
こうすれば、断熱層によってホルダーから集熱部材への熱の伝わりが妨げられるので、炎からの輻射熱がホルダーを介して集熱部材に伝わることを一層確実に抑制することができる。
【0013】
また、こうした本発明の温度検出装置では、
集熱部材に比べて熱伝導率の低い材料でホルダーを形成してもよい。
【0014】
例えば、真鍮などで形成された集熱部材に比べて、ステンレス鋼などで形成されたホルダーの頂面は、ホルダーの外周面(炎の輻射熱を直接的に受ける部分)からの熱が伝わり難いので、炎からの輻射熱がホルダーを介して集熱部材に伝わることを一層抑制することができる。
【発明を実施するための形態】
【0020】
図1は、本実施例の温度検出装置100を搭載したガスコンロ1の構造を示した断面図である。ガスコンロ1は、図示しないコンロ本体の上面を覆って設けられた天板2と、天板2に形成された貫通孔3から上部を突出させてコンロ本体内に設置されたコンロバーナー10と、コンロバーナー10の上方に鍋などの調理容器を置くために天板2の上面に設置された五徳4などを備えている。
【0021】
コンロバーナー10は、円環形状の混合室11aが内部に形成されたバーナーボディー11と、バーナーボディー11から延設されて混合室11aと連通する混合管12と、混合室11aの上部開口を覆うようにバーナーボディー11に載置された円環形状のバーナーヘッド13と、バーナーヘッド13の上方に取り付けられた円環形状のバーナーカバー14などを備えている。
【0022】
バーナーヘッド13の外筒部の下面(バーナーボディー11に載置される面)には、複数の溝(炎口溝)がバーナーヘッド13の中央に対して放射状に形成されており、バーナーヘッド13をバーナーボディー11に載置すると、複数の炎口溝とバーナーボディー11の上面とによって、混合室11aに連通する複数の炎口13aが形成される。
【0023】
バーナーカバー14は、五徳4上に置かれた調理容器から煮こぼれた場合に、煮こぼれ汁がバーナーヘッド13にかかるのを抑制する役割を果たしている。また、天板2の貫通孔3の周囲には、上方に隆起した隆起部2aが設けられており、調理容器からの煮こぼれ汁が貫通孔3からコンロ本体の内部に入り込むのを防いでいる。五徳4は、隆起部2aの外側を囲むように配置されている。
【0024】
バーナーボディー11から延設された混合管12の開口端には、燃料ガスを供給するガス通路20が接続された噴射ノズル23が設けられている。ガス通路20には、ガス通路20を開閉するガス遮断弁21と、ガス通路20を通過する燃料ガスの流量を調節する流量調節弁22とが設けられている。ガス遮断弁21および流量調節弁22は、制御部50と電気的に接続されており、制御部50によって制御されている。
【0025】
ガス遮断弁21および流量調節弁22を開くと、燃料ガスが噴射ノズル23に供給され、噴射ノズル23から噴射された燃料ガスは、燃焼用の一次空気を巻き込みながら混合管12に流入する。そして、混合管12を通過する燃料ガスと一次空気とが混合されて、混合室11aに混合ガスが供給される。混合室11aの混合ガスは、複数の炎口13aから噴出し、図示しない点火プラグで火花を飛ばすと混合ガスの燃焼が開始される。
【0026】
また、コンロバーナー10の中央開口部10aには、温度検出装置100が設置されている。本実施例の温度検出装置100の構造については後ほど別図を用いて説明するが、温度検出装置100は、上部がバーナーカバー14の中央開口から突出しており、上端が調理容器の底面に当接して、調理容器の温度を検出する。この温度検出装置100は制御部50と電気的に接続されており、制御部50は、検出された調理容器の温度が所定温度に達すると、流量調節弁22を絞って火力を弱めたり、ガス遮断弁21を閉じて消火したりすることで、調理容器の過熱を防止する。また、制御部50は、検出された調理容器の温度が設定の目標温度よりも低ければ、流量調節弁22を開いて火力を大きくすることも可能となっている。尚、温度検出装置100が設置される中央開口部10aは、コンロバーナー10での燃焼に必要な二次空気の供給通路となっている。このため、中央開口部10aの周縁と温度検出装置100の外周面との間には間隔を設けて、二次空気の供給量を確保する必要がある。
【0027】
図2は、温度検出装置100の断面を取ることによって内部構造を示した説明図である。温度検出装置100は、金属材料で形成された管状の支持パイプ115と、ステンレス鋼板などを用いて板金によって形成された略円筒形状のホルダー110と、真鍮などを用いて切削あるいはダイカストによって形成された集熱部材111などを備えている。
【0028】
ホルダー110は、上端側が内向きに折り曲げられて円環形状の頂面110aが形成されており、その頂面110aの内周側が下向きに折り曲げられて筒状の内周壁110bが形成されている。尚、本実施例の内周壁110bの内側は、本発明の「開口部」に相当している。また、集熱部材111はホルダー110よりも小径の略円板形状に形成されており、集熱部材111の下面の外縁部分からは、内周壁110bよりも小径で筒状の外周部111aが下方に向けて突設されている。この外周部111aを内周壁110bの内側に圧入することで、ホルダー110の上端に集熱部材111が取り付けられている。尚、本実施例の集熱部材111には、ニッケルのメッキが施されている。
【0029】
また、集熱部材111の下面には、温度センサー112が外周部111aの内側に取り付けられている。本実施例の温度センサー112には、温度の変化によって電気抵抗が変わるサーミスターが用いられており、この温度センサー112は2本のリード線113を介して制御部50に接続されている。尚、温度センサー112は、外周部111aの内側に充填された熱伝導性の接着剤によって固定されている。
【0030】
支持パイプ115は、コンロバーナー10の中央開口部10aに立設されている。支持パイプ115の上端部には、ホルダー110よりも小径である円環形状の座金116が図示しないカシメ止めで接合されており、この座金116が下方からホルダー110の内側に挿入されている。また、座金116の下方には、外径がホルダー110よりも小径で内径が支持パイプ115よりも大径である中ぐり円環形状のストッパー118が中央の孔に支持パイプ115を挿通した状態でホルダー110に嵌め込まれている。このストッパー118は、ホルダー110の周面の複数箇所を外側から内側に塑性変形させることによって係止されており、ホルダー110が支持パイプ115の軸方向(図中の上下方向)に移動しても、ホルダー110から座金116が抜けないようになっている。
【0031】
また、ホルダー110の内部には、頂面110aと座金116との間にコイルバネ117が圧縮された状態で収容されており、このコイルバネ117がホルダー110を上方に付勢している。さらに、温度センサー112から延びる2本のリード線113を被覆したケーブル114は、ホルダー110の内側および支持パイプ115の内側を通って制御部50まで続いている。
【0032】
このような温度検出装置100は、五徳4上に調理容器が置かれていない状態で、温度検出装置100の上端(集熱部材111)を五徳4の上面(調理容器が載置される面)よりも上方に突出させて設置されている。そして、五徳4上に調理容器が置かれると、調理容器の底面が集熱部材111に当接してホルダー110を押し下げると共に、コイルバネ117の付勢力によって集熱部材111が調理容器の底面に押し付けられた状態となる。このため、集熱部材111の下面に伝わる調理容器の温度を温度センサー112によって検出することができる。そして、本実施例の温度検出装置100では、上述のような構造を採用することで、コンロバーナー10の炎による影響を抑制して調理容器の正確な温度を検出可能であると共に、温度検出装置100の小径化を図ることができる。以下では、この点について説明する。
【0033】
図3は、調理容器の加熱調理中に温度検出装置100に熱が伝わる様子を示した説明図である。まず、
図3(a)には、本実施例の温度検出装置100との比較として、コンロバーナー10の炎の影響によって調理容器の正確な温度の検出が困難な第1従来例の温度検出装置100が側面図で示されている。図示した第1従来例の温度検出装置100では、ホルダー110の上面全体を覆って円板形状の集熱部材130が取り付けられている。この集熱部材130は、ホルダー110の上端に形成されたフランジ部を包み込むように集熱部材130の外縁部分が折り曲げ加工されて、カシメ止めされている。五徳4上に調理容器が置かれると、ホルダー110の内部に収容されたコイルバネ117の付勢力によって集熱部材130の上面が調理容器の底面(以下、鍋底)に押し付けられる。尚、
図3では、五徳4やバーナーカバー14の図示が省略されている。
【0034】
調理容器の加熱調理中は、バーナーボディー11の混合室11aに供給される混合ガスがバーナーヘッド13の複数の炎口13aから噴出し、バーナーヘッド13の周囲に炎が形成されている。この炎が上方の鍋底にあたって調理容器が加熱されると、その熱が鍋底から集熱部材130に伝わる。図中に示した白抜きの矢印は、調理容器を介して集熱部材130に伝わる熱の流れを表している。
【0035】
また、コンロバーナー10の中央開口部10aに設置された温度検出装置100は、ホルダー110の上部がバーナーヘッド13の上端よりも上方に突出しており、コンロバーナー10の炎に面するホルダー110の外周面が炎で炙られる。そのため、炎からの輻射熱でホルダー110の上部が高温となり、第1従来例の温度検出装置100では、ホルダー110の上端から集熱部材130に熱が伝わる。図中の一点鎖線の矢印は、炎の輻射熱がホルダー110を介して集熱部材130に伝わる流れを表している。このように鍋底から集熱部材130に熱が伝わるだけでなく、ホルダー110の上端からも集熱部材130に熱が伝わったのでは、調理容器の正確な温度を検出することが困難である。
【0036】
図3(b)には、コンロバーナー10の炎からの輻射熱による影響を抑制するために、ホルダー110の外側にカバー132を設けた第2従来例の温度検出装置100が、カバー132の断面を取って示されている。カバー132は、ステンレス鋼板などを用いてホルダー110よりも大径の略円筒形状に形成されており、ホルダー110に対して同心に取り付けられている。
【0037】
このようにカバー132でホルダー110の外側を覆っておくことによって、ホルダー110は炎で炙られない(炎の輻射熱を直接的に受けない)。また、カバー132とホルダー110との間には空間(空気層)が設けられているため、炎の輻射熱がホルダー110に伝わるのを抑制することができる。さらに、カバー132の熱が集熱部材130に伝わらないように、カバー132と集熱部材130との間には隙間が設けられている。
【0038】
このように第2従来例の温度検出装置100では、炎からの輻射熱による影響(輻射熱がホルダー110を介して集熱部材130に伝わること)を抑制して調理容器の正確な温度の検出が可能である。その一方で、第2従来例の温度検出装置100では、カバー132を備えることで第1従来例よりも大径化する傾向にあるので、コンロバーナー10の小径化に伴って温度検出装置100を小径化することが困難である。すなわち、第2従来例の温度検出装置100では、外周面を形成するカバー132を小径化しようとすると、内側のホルダー110をカバー132よりも小径にする必要があり、そのホルダー110の内部に収容されるコイルバネ117をホルダー110よりも更に小径にする必要がある。コイルバネ117は、小径にすることで付勢力が強まることから、五徳4上に置かれた比較的軽い調理容器を押し上げてしまい調理容器が不安定になることがある。そして、コイルバネ117の付勢力を弱めるためにコイルバネ117の線材を細くしたり、巻き数を多くしたりすると、コイルバネ117が縦方向(軸方向)に圧縮されたときに横方向に湾曲し易くなって、ホルダー110との衝突で騒音を発生させることがある。そのため、コイルバネ117は、付勢力を調整する上で小径化に限度があり、コイルバネ117の収容スペースを確保しながら温度検出装置100(カバー132)の小径化を図るのは困難であった。
【0039】
図4は、本実施例の温度検出装置100において、炎からの輻射熱による影響を抑制すると共に、小径化を図ることができる理由を示した説明図である。図示されるように本実施例の温度検出装置100では、
図3(a)の第1従来例と同様に、ホルダー110の外周面の上部がコンロバーナー10の炎で炙られる(炎の輻射熱を直接的に受ける)構造になっている。ただし、炎で炙られて高温になるホルダー110の外周面の上端は、集熱部材111に接しているわけではなく、ホルダー110の外周面と集熱部材130との間には円環形状の頂面110aが設けられている。この頂面110aは、ホルダー110の上端側を内向きに折り曲げて形成されており、上方の調理容器に面している。そのため、頂面110aは、炎で炙られず、炎の輻射熱を直接的に受けて高温になることはない。また、ステンレス鋼板[熱伝導率:16.7W/(m・K)]で形成されたホルダー110の頂面110aは、真鍮[熱伝導率:106W/(m・K)]で形成された集熱部材111に比べて熱が伝わり難い。このような本実施例の温度検出装置100では、頂面110aの半径方向の距離を確保しておけば、炎の輻射熱でホルダー110の外周面が高温になっても、その熱が集熱部材111に伝わることを抑制することができ、その結果、調理容器の正確な温度を検出することが可能となる。
【0040】
そして、本実施例の温度検出装置100では、ホルダー110自体が炎で炙られる構造であっても、炎からの輻射熱による影響を頂面110aの介在によって抑制できることから、前述した第2従来例のようにホルダー110の外側にカバー132を設けておく必要がなく、カバー132を省略することで第2従来例に比べて容易に温度検出装置100の小径化を図ることができる。
【0041】
また、本実施例の温度検出装置100では、カバー132を省略することによって、ホルダー110の径の制約が緩和され、ホルダー110の内部にコイルバネ117の収容スペースを確保し易くなる。そのため、必要な付勢力に応じてコイルバネ117の径を適切に設定することで、コイルバネ117の圧縮時における横方向への湾曲を抑制できる。更に、カバー132の省略によって、部品点数が減るので、温度検出装置100の製造コストの低減を図ることができる。
【0042】
上述した本実施例の温度検出装置100には、次のような変形例も存在する。以下では、上述の実施例とは異なる点を中心に変形例について説明する。
【0043】
図5は、第1変形例の温度検出装置100の断面を取ることによって内部構造を示した説明図である。前述した実施例の温度検出装置100では、集熱部材111の外周部111aをホルダー110の内周壁110bの内側に直接的に圧入していた。これに対して、
図5に示されるように第1変形例の温度検出装置100では、外周部111aと内周壁110bとの間に、断熱性の樹脂を用いて形成された筒状の断熱部材120を介在させている。尚、第1変形例の断熱部材120は、本発明の「断熱層」に相当している。
【0044】
このような第1変形例の温度検出装置100では、ホルダー110から集熱部材111への熱の伝わりが断熱部材120によって遮断されるので、コンロバーナー10の炎からの輻射熱がホルダー110を介して集熱部材111に伝わることを一層確実に抑制することができる。尚、断熱部材120の材料は、樹脂に限られず、外周部111aと内周壁110bとが接する場合に比べて熱の伝わりを抑制するものであればよく、セラミックスやガラス繊維などであってもよい。
【0045】
図6は、第2変形例の温度検出装置100の断面を取ることによって内部構造を示した説明図である。前述した実施例の温度検出装置100では、集熱部材111の上面が平坦に形成されていた。これに対して、
図6に示されるように第2変形例の温度検出装置100では、集熱部材121の上面が上に凸の球面形状に形成されている。
【0046】
このような第2変形例の温度検出装置100では、調理容器の底面(鍋底)が平坦であるか丸いかといった鍋底の形状や、鍋底あるいはホルダー110の傾きに拘らず、球面形状に形成された集熱部材121の上面が鍋底に一律に接触する(点接触する)ことになり、集熱部材121と鍋底との接触面積が変わらない。そのため、調理容器の温度が同じであれば、鍋底から集熱部材121に伝わる熱量に大きな違いはなく、温度センサー112によって調理容器の温度を安定して検出することが可能となる。
【0047】
また、集熱部材121を鍋底に点接触させるようにすれば、面接触させるのに比べて、集熱部材121が小さくてよいので、頂面110aの半径方向の距離を確保することが容易となる。
【0048】
図7は、第3変形例の温度検出装置100の断面を取ることによって内部構造を示した説明図である。前述した実施例の温度検出装置100では、集熱部材111が切削あるいはダイカストによって形成されていた。これに対して、
図7に示されるように第3変形例の温度検出装置100では、集熱部材122が真鍮製の板材などを用いて絞り加工によって形成されている。尚、図示した集熱部材122は、板材から上面を有する円筒形状に形成する工程と、その円筒形状の上部を圧縮して外側に拡げる工程とを含む複数工程の絞り加工を経て形成される。また、第3変形例の集熱部材122の外周部122aには、内側から外側に向かって突出したリング状の突出部122bが外周部122aの軸方向に複数(図示した例では2つ)形成されている。
【0049】
一般に、絞り加工は、切削やダイカストなどの加工方法に比べて、加工時間が短く、同じ形状の部材を低コストで大量に作るのに優れている。そのため、温度検出装置100を大量に製造する場合には、絞り加工で形成される第3変形例の集熱部材122を採用することで、温度検出装置100の製造コストの低減を図ることができる。
【0050】
また、第3変形例の温度検出装置100では、集熱部材122の外周部122aを内周壁110bの内側に圧入すると、突出部122bの外側が内周壁110bにリング状に線接触し、外周部122aの外周面の突出部122b以外の部分と内周壁110bとの間には、空間(空気層)ができる。このような空間は熱の伝わりを遮断するので、コンロバーナー10の炎からの輻射熱がホルダー110を介して集熱部材122に伝わることを抑制することができる。尚、第3変形例の外周部122aと内周壁110bとの間の空間(空気層)は、本発明の「断熱層」に相当している。
【0051】
さらに、絞り加工で突出部122bを形成することで、外周部122aの内周面にリング状の凹みができるので、温度センサー112の固定のために外周部122aの内側に充填される接着剤が凹みに入り込むことによって、温度センサー112の抜け落ちをより確実に防止することができる。
【0052】
図8は、第4変形例の温度検出装置100の断面を取ることによって内部構造を示した説明図である。前述した実施例の温度検出装置100では、ホルダー110の頂面110aの内周側を下向きに折り曲げて筒状の内周壁110bを形成し、その内周壁110bの内側に集熱部材111の外周部111aを圧入していた。これに対して、
図8に示されるように第4変形例の温度検出装置100では、頂面110aの内周側を上向きに折り曲げて筒状の立設壁110cを形成し、その立設壁110cの内側に集熱部材111の外周部111aを圧入することで集熱部材111がホルダー110に取り付けられている。
【0053】
このような第4変形例の温度検出装置100においても、前述した実施例と同様に、コンロバーナー10の炎に炙られて高温になるホルダー110の外周面と集熱部材111との間に、炎に炙られない頂面110aが設けられていることで、炎からの輻射熱がホルダー110を介して集熱部材111に伝わることを抑制することができる。また、立設壁110cは、ホルダー110の外周面から奥まった位置にあるため、炎からの輻射熱で外周面ほど高温になることはない。更に、頂面110aの内周側を上向きに折り曲げておけば、調理容器から煮こぼれて温度検出装置100にかかった場合に、煮こぼれ汁がホルダー110の内部に入り込むことを防ぐことができる。
【0054】
また、第4変形例の温度検出装置100では、外周部111aと立設壁110cとの間に、第1変形例と同様の断熱部材を介在させておいてもよい。こうすれば、ホルダー110から集熱部材111への熱の伝わりが断熱部材によって遮断されるので、コンロバーナー10の炎からの輻射熱がホルダー110を介して集熱部材111に伝わることを一層確実に抑制することができる。
【0055】
以上、本実施例および変形例の温度検出装置100について説明したが、本発明は上記の実施例および変形例に限られるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲において種々の態様で実施することが可能である。
【0056】
例えば、前述した実施例では、ホルダー110が略円筒形状に形成されると共に、集熱部材111が略円板形状に形成されていた。しかし、これに限られず、ホルダー110を略角筒形状に形成し、集熱部材111を略角板形状に形成してもよく、この場合は、頂面110aを方形の環状としてもよい。
【符号の説明】
【0057】
1…ガスコンロ、 2…天板、 3…貫通孔、
4…五徳、 10…コンロバーナー、 10a…中央開口部、
11…バーナーボディー、 11a…混合室、 12…混合管、
13…バーナーヘッド、 14…バーナーカバー、 20…ガス通路、
21…電磁弁、 22…比例弁、 23…噴射ノズル、
50…制御部、 100…温度検出装置、 110…ホルダー、
110a…頂面、 110b…内周壁、 110c…立設壁、
111…集熱部材、 111a…外周部、 112…温度センサー、
113…リード線、 115…支持パイプ、 116…座金、
117…コイルバネ、 118…ストッパー、 120…断熱部材、
121…集熱部材、 122…集熱部材、 122a…外周部、
122b…突出部、 130…集熱部材、 132…カバー。