特許第6073033号(P6073033)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6073033
(24)【登録日】2017年1月13日
(45)【発行日】2017年2月1日
(54)【発明の名称】車載装置
(51)【国際特許分類】
   G08G 1/09 20060101AFI20170123BHJP
   G01C 21/26 20060101ALI20170123BHJP
   B60R 21/00 20060101ALI20170123BHJP
【FI】
   G08G1/09 FZIT
   G01C21/26 A
   B60R21/00 628B
【請求項の数】12
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2013-26189(P2013-26189)
(22)【出願日】2013年2月14日
(65)【公開番号】特開2014-154117(P2014-154117A)
(43)【公開日】2014年8月25日
【審査請求日】2015年9月11日
(73)【特許権者】
【識別番号】000101732
【氏名又は名称】アルパイン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100103171
【弁理士】
【氏名又は名称】雨貝 正彦
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 卓哉
【審査官】 岩田 玲彦
(56)【参考文献】
【文献】 特開2008−130038(JP,A)
【文献】 特開2001−050767(JP,A)
【文献】 特開2009−076010(JP,A)
【文献】 特開2010−256031(JP,A)
【文献】 特開2008−292347(JP,A)
【文献】 特開2002−236029(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G08G 1/09
B60R 21/00
G01C 21/00−21/36
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
道路に沿って設置されたDSRC路側器から送られてくる安全安心系の情報をDSRC車載器を介して取得する情報取得手段と、
前記情報に含まれる配信内容としての画像情報、文字情報、音声情報を用いることなく、前記情報の内容を推定する情報内容推定手段と、
前記情報内容推定手段によって推定された前記情報の内容を通知する推定内容通知手段と、
を備え、前記安全安心系の情報は、情報種別毎に異なるIDが割り当てられており、
前記情報内容推定手段は、前記IDに対応する情報種別に基づいて前記情報の内容を推定することを特徴とする車載装置。
【請求項2】
請求項1において、
前記情報取得手段によって取得した情報には、道路の通行止めとそれ以外の通行規制を特定する規制内容を示すコードが含まれており、
前記情報内容推定手段は、前記コードに基づいて前記情報の内容を推定することを特徴とする車載装置。
【請求項3】
請求項1または2において、
前記情報は、ID37あるいはID53が割り当てられた注意警戒情報であることを特徴とする車載装置。
【請求項4】
請求項1において、
前記情報取得手段によって取得した情報に基づいて、車両の現在地および通行中の道路を特定する現在地・道路特定手段をさらに備え、
前記情報内容推定手段は、前記IDに対応する情報種別と、前記現在地・道路特定手段によって特定された現在地および道路とに基づいて前記情報の内容を推定することを特徴とする車載装置。
【請求項5】
請求項4において、
前記DSRC路側器の近傍に事故多発地点としての交差点があるか否かを示す事故情報を格納する事故情報格納手段をさらに備え、
前記情報内容推定手段は、前記IDに対応する情報種別と、前記現在地・道路特定手段によって特定された現在地および道路と、前記事故情報格納手段に格納された前記事故情報とに基づいて前記情報の内容を推定することを特徴とする車載装置。
【請求項6】
請求項5において、
前記情報は、前方に渋滞末尾または低速車両が存在する場合と、道路の合流地点において合流車両が接近している場合のいずれかのタイミングで前記DSRC路側器から送られてくることを特徴とする車載装置。
【請求項7】
請求項5または6において、
前記情報は、ID36あるいはID52が割り当てられた安全運転支援情報であることを特徴とする車載装置。
【請求項8】
請求項4において、
前記情報取得手段によって取得した情報に基づいて、周辺の規制情報を確認する規制情報確認手段をさらに備え、
前記情報内容推定手段は、前記IDに対応する情報種別と、前記現在地・道路特定手段によって特定された現在地および道路と、前記規制情報確認手段によって確認された周辺の規制情報とに基づいて前記情報の内容を推定することを特徴とする車載装置。
【請求項9】
請求項8において、
前記規制情報確認手段は、前記情報取得手段によって取得したID32が割り当てられた情報に基づいて周辺の規制情報を確認することを特徴とする車載装置。
【請求項10】
請求項8または10において、
前記情報内容推定手段は、前記規制情報確認手段によって確認された周辺の規制情報に基づいて、広域的な事象および局所的な事象のいずれが発生しているかを判定し、この判定結果に基づいて前記情報の内容を推定することを特徴とする車載装置。
【請求項11】
請求項8〜10のいずれかにおいて、
前記情報は、ID20あるいはID40が割り当てられた緊急メッセージ情報であることを特徴とする車載装置。
【請求項12】
請求項1〜11のいずれかにおいて、
前記推定内容通知手段は、推定された前記情報の内容に対応して、あらかじめ用意されている内容が固定のメッセージを提供することを特徴とする車載装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、DSRC(Dedicated Short Range Communications)を利用して安全安心系情報を受信する車載装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、高速道路上でDSRCを利用した狭域無線通信を行って安全運転支援や注意警戒、緊急メッセージ等の各種情報を受信する車載装置が知られている(例えば、特許文献1参照。)。この車載装置では、受信した音声をFMトランスミッター等を用いて送信し、この送信された音声を受信してヘルメットに備わったヘッドホンや携帯電話等で再生するようになっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2012−164258号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、DSRCを利用して送信される各種情報には、通常は文字や画像が含まれており、音声とともにこれらを再生するためにはDSRCに対応して画像表示処理やTTS(Text to speech)などの音声出力処理を行うことができるナビゲーション装置が必要であった。また、送信される各種情報には、メタデータがなく、データの中身が示す内容については、ナビゲーション装置であっても知ることができなかった。
【0005】
本発明は、このような点に鑑みて創作されたものであり、その目的は、DSRCを利用して受信した安全安心系情報の内容を簡単な構成で利用者に提供することができる車載装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上述した課題を解決するために、本発明の車載装置は、道路に沿って設置されたDSRC路側器から送られてくる安全安心系の情報をDSRC車載器を介して取得する情報取得手段と、情報に含まれる配信内容としての画像情報、文字情報、音声情報を用いることなく、情報の内容を推定する情報内容推定手段と、情報内容推定手段によって推定された情報の内容を通知する推定内容通知手段とを備えている。
【0007】
安全安心系の情報を受信し、その配信内容としての画像情報、文字情報、音声情報を用いることなく内容を推定することにより、画像情報や音声情報を出力するための複雑な構成が不要であって簡単な構成で安全安心系情報の概略的な内容を利用者に提供することができる。
【0008】
また、上述した安全安心系の情報は、情報種別毎に異なるIDが割り当てられている。これにより、DSRC路側器から送られてくるIDが割り当てられた情報を対象にその内容を推定して利用者に提供することが可能となる。
【0009】
また、上述した情報内容推定手段は、IDに対応する情報種別に基づいて情報の内容を推定する。特に、上述した情報取得手段によって取得した情報には、道路の通行止めとそれ以外の通行規制を特定する規制内容を示すコードが含まれており、情報内容推定手段は、コードに基づいて情報の内容を推定することが望ましい。これにより、
道路が通行止めであるか否かを確実に知ることができ、通行止めの場所に到達する前に経路を変更するなどの対策をたてることが可能となる。
【0010】
また、上述した情報は、ID37あるいはID53が割り当てられた注意警戒情報であることが望ましい。これらのID番号が割り当てられた注意警戒情報については、規制内容を示すコードに基づいて少なくとも通行止めか否かを知ることができ、情報の内容を知るために複雑な構成が不要となる。
【0011】
また、上述した情報取得手段によって取得した情報に基づいて、車両の現在地および通行中の道路を特定する現在地・道路特定手段をさらに備え、情報内容推定手段は、IDに対応する情報種別と、現在地・道路特定手段によって特定された現在地および道路とに基づいて情報の内容を推定することが望ましい。車両の現在地と通行中の道路がわかるため、これらと関連づけて情報の内容を推定することが可能となる。
【0012】
また、上述したDSRC路側器の近傍に事故多発地点としての交差点があるか否かを示す事故情報を格納する事故情報格納手段をさらに備え、情報内容推定手段は、IDに対応する情報種別と、現在地・道路特定手段によって特定された現在地および道路と、事故情報格納手段に格納された事故情報とに基づいて情報の内容を推定することが望ましい。これにより、渋滞発生時にその原因を推定することが可能となる。
【0013】
また、上述した情報は、前方に渋滞末尾または低速車両が存在する場合と、道路の合流地点において合流車両が接近している場合のいずれかのタイミングでDSRC路側器から送られてくることが望ましい。これらの原因に基づいて渋滞が発生したタイミングで、かつ、どちらの原因で渋滞が発生したかを区別することが可能になり、渋滞発生とその原因を通知することが可能となる。
【0014】
また、上述した情報は、ID36あるいはID52が割り当てられた安全運転支援情報であることが望ましい。これらのID番号が割り当てられた安全運転支援情報については、事故情報に基づいて渋滞の発生原因を推定することができ、情報の内容を知るために複雑な構成が不要となる。
【0015】
また、上述した情報取得手段によって取得した情報に基づいて、周辺の規制情報を確認する規制情報確認手段をさらに備え、情報内容推定手段は、IDに対応する情報種別と、現在地・道路特定手段によって特定された現在地および道路と、規制情報確認手段によって確認された周辺の規制情報とに基づいて情報の内容を推定することが望ましい。周辺の規制情報を確認することにより、この確認事項と関連づけて情報の内容を推定することが可能となる。
【0016】
また、上述した規制情報確認手段は、情報取得手段によって取得したID32が割り当てられた情報に基づいて周辺の規制情報を確認することが望ましい。ID32が割り当てられた情報を受信することにより、周辺の規制情報の確認を確実かつ容易に行うことができる。
【0017】
また、上述した情報内容推定手段は、規制情報確認手段によって確認された周辺の規制情報に基づいて、広域的な事象および局所的な事象のいずれが発生しているかを判定し、この判定結果に基づいて情報の内容を推定することが望ましい。これにより、情報の内容として広域的なものか局所的なものかを区別することが可能となる。
【0018】
また、上述した情報は、ID20あるいはID40が割り当てられた緊急メッセージ情報であることが望ましい。これらのID番号が割り当てられた緊急メッセージ情報については、周辺の規制情報と組み合わせることにより緊急事態の概略的な内容を推定することができ、情報の内容を知るための複雑な構成が不要となる。
【0019】
また、上述した推定内容通知手段は、推定された情報の内容に対応して、あらかじめ用意されている内容が固定のメッセージを提供することが望ましい。内容が固定のメッセージをあらかじめ用意しておいて出力するだけでよいため、画像情報や音声情報を出力するための複雑な構成が不要となる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
図1】一実施形態のオーディオ装置の全体構成を示す図である。
図2】ITSスポット情報を受信し、その内容を推定して利用者に提供する動作手順を示す流れ図である。
図3】ITSスポット情報を受信し、その内容を推定して利用者に提供する動作手順を示す流れ図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、本発明の車載装置を適用した一実施形態のオーディオ装置について図面を参照しながら説明する。図1は、一実施形態のオーディオ装置の全体構成を示す図である。本実施形態の車載装置は、オーディオ装置1とDSRC車載器2とを含んで構成されている。
【0022】
オーディオ装置1は、ITS(Intelligent Transport Systems:高度道路交通システム)スポット対応のDSRC車載器2によって受信したITSスポット情報の概略的な内容を利用者に提供する機能を有しており、車両に搭載されている。DSRC車載器2は、道路に設置されたDSRC路側器3との間で、5.8GHz帯のISM(Industry-Science-Medical)バンドを用いた狭域通信を行ってITSスポット情報の送受信を行う。少なくとも、本実施形態では、DSRC車載器2は、ITSスポットに対応しており、少なくともID20、ID36、ID37、ID40、ID52、ID53の各ID番号が割り当てられた安全安心系の情報であるITSスポット情報を受信するために用いられる。
【0023】
オーディオ装置1は、制御部10、インタフェース部(IF)20、事故情報格納部30、オーディオ処理部40、増幅器42、スピーカ44、表示処理部50、表示装置52、操作部60を備えている。
【0024】
制御部10は、CPU、ROM、RAM等を用いて所定の動作プログラムを実行することにより、オーディオ装置1の全体を制御する。制御部10の詳細については後述する。インタフェース部20は、DSRC車載器2との間で信号の入出力を行うためのものである。
【0025】
事故情報格納部30は、合流地点を含む各地の交差点が事故多発地点に該当するか否かを示す事故情報を格納する。この事故情報は、DSRC路側器3の近傍に事故多発地点としての交差点があるか否かを示すものであり、定期的に内容(事故情報)を更新することが望ましい。
【0026】
オーディオ処理部40は、制御部10によって所定の記憶媒体(USBメモリやハードディスク装置、CD、DVDなどが用いられるが、図1では図示が省略されている)から読み出される楽曲データを再生するためのものであり、データ形式毎の音声復号処理等を行ってオーディオ信号を出力する。このオーディオ信号は、増幅器42によって増幅され、スピーカ44から出力される。なお、実際には、2チャンネルあるいはそれ以上のチャンネル数のオーディオ信号が再生されて出力されるが、図1に示す構成では、簡略化して1つの増幅器42と1つのスピーカ44が図示されている。
【0027】
表示処理部50は、制御部10によって作成された各種の操作画面等を表示するためのものであり、操作画面等を内容とする映像信号を出力する。この映像信号は、表示装置52に入力されて映像表示が行われる。
【0028】
操作部60は、利用者による各種操作を受け付けるためのものであり、各種のスイッチや操作つまみ等が備わっている。なお、表示装置52の画面に重ねて配置されるタッチパネルを用いて操作部60を構成したり、リモートコントロールユニット等を用いて操作部60を構成するようにしてもよい。
【0029】
次に、制御部10について説明する。図1に示すように、制御部10は、情報取得部11、情報内容推定部12、推定内容通知部13、現在地・道路特定部14、規制情報確認部15を含んで構成されている。なお、この構成は、ITSスポット情報を受信し、その内容を推定して利用者に提供するために必要な構成のみが示されている。
【0030】
情報取得部11は、DSRC路側器3から送られてくる安全安心系の情報であるITSスポット情報をDSRC受信機2を介して取得する。情報内容推定部12は、情報取得部11によって取得したITSスポット情報に含まれる配信内容としての画像情報、文字情報、音声情報を用いることなく、このITSスポット情報の内容を推定する。推定内容通知部13は、情報内容推定部12によって推定されたITSスポット情報の内容を利用者に通知(提供)する。利用者に提供する内容としては、音声と画像の2種類があり、いずれについても内容が固定のメッセージがあらかじめ用意されている。それらの具体例については後述する。
【0031】
安全安心系のITSスポット情報には、情報種別毎に異なるIDが割り当てられている。具体的には、このようなITSスポット情報には、ID36あるいはID52が割り当てられた安全運転支援情報と、ID37あるいはID53が割り当てられた注意警戒情報と、ID20あるいはID40が割り当てられた緊急メッセージ情報とが含まれている。また、本実施形態では、これらの各情報の内容を推定するために、ID3が割り当てられた情報と、ID32が割り当てられた情報とが受信対象になっている。
【0032】
現在地・道路特定部14は、ID3が割り当てられた情報に基づいて、車両の現在地および通行中の道路を特定する。規制情報確認部15は、ID32が割り当てられた情報に基づいて、周辺(最寄のリンク)の規制情報(原因事象、規制内容)を確認する。
【0033】
上述した情報取得部11が情報取得手段に、情報内容推定部12が情報内容推定手段に、推定内容通知部13が推定内容通知手段に、現在地・道路特定部14が現在地・道路特定手段に、規制情報確認部15が規制情報確認手段に、事故情報格納部30が事故情報格納手段にそれぞれ対応する。
【0034】
本実施形態のオーディオ装置1はこのような構成を有しており、次に、その動作について説明する。図2および図3は、ITSスポット情報を受信し、その内容を推定して利用者に提供する動作手順を示す流れ図である。
【0035】
情報取得部11は、DSRC車載器2がITSスポット情報を受信したか否かを判定する(ステップ100)。未受信の場合には否定判断が行われ、この判定が繰り返される。また、ITSスポット情報を受信すると、ステップ100の判定において肯定判断が行われる。
【0036】
次に、情報内容推定部12は、受信したITSスポット情報にID36あるいはID52が割り当てられているか否かを判定する(ステップ102)。これらのID番号が割り当てられている場合には肯定判断が行われる。これらのID番号が割り当てられたITSスポット情報を受信したということは、実際に車両の進行方向前方において何らかの原因による渋滞が発生しているということであり、この場合には、現在地・道路特定部14は、ID3が割り当てられているITSスポット情報に基づいて車両の現在地と通行中の道路を特定する(ステップ104)。また、情報内容推定部12は、事故情報格納部30に格納されている事故情報に基づいて、特定された車両の現在地周辺の事故多発地点を確認し(ステップ106)、最寄りの事故多発地点は交差点(合流)であるか否かを判定する(ステップ108)。最寄りの事故多発地点が交差点である場合には肯定判断が行われる。この場合には、情報内容推定部12は、実際に発生している渋滞が最寄りの交差点(合流)によるものであると推定し(ステップ110)、推定内容通知部13は、「交差点、合流に注意」の固定音声メッセージをスピーカ44から音声出力するとともに、「合流(交差点)注意」の固定文字メッセージを表示装置52の画面に表示する(ステップ112)。
【0037】
また、最寄りの事故多発地点が交差点でない場合には、ステップ108の判定において否定判断が行われる。この場合には、情報内容推定部12は、実際に発生している渋滞が、前方に渋滞末尾または低速車両が存在することによるものであると推定し(ステップ114)、推定内容通知部13は、「前方衝突注意」の固定音声メッセージをスピーカ44から音声出力するとともに、「前方注意」の固定文字メッセージを表示装置52の画面に表示する(ステップ116)。
【0038】
また、受信したITSスポット情報にID36あるいはID52が割り当てられていない場合には、ステップ102の判定において否定判断が行われる。次に、情報内容推定部12は、受信したITSスポット情報にID37あるいはID53が割り当てられているか否かを判定する(ステップ118)。これらのID番号が割り当てられている場合には肯定判断が行われる。これらのID番号が割り当てられたITSスポット情報(注意警戒情報)を受信したということは、通行止めやその他の通行規制が発生しているということであり、この場合には、情報内容推定部12は、ITSスポット情報に含まれる規制内容を示すコードを確認し(ステップ120)、通行止めが発生しているか否かを判定する(ステップ122)。具体的には、規制内容を示すコードが「1」の場合が「通行止」を、「8」の場合が「大型通行止」を示しており、コードがこれらのいずれかに一致する場合にはステップ122の判定において肯定判断が行われる。この場合には、推定内容通知部13は、「この先通行止」の固定音声メッセージをスピーカ44から音声出力するとともに、「通行止」の固定文字メッセージを表示装置52の画面に表示する(ステップ124)。
【0039】
また、規制内容を示すコードが「1」と「8」以外の場合には、ステップ122の判定において否定判断が行われる。この場合には、推定内容通知部13は、「この先通行規制」の固定音声メッセージをスピーカ44から音声出力するとともに、「通行規制」の固定文字メッセージを表示装置52の画面に表示する(ステップ126)。なお、ID37あるいはID53が割り当てられた注意警戒情報には、規制内容を示すコードの他に、原因事象を示すコードも含まれるため(例えば、1=事故、2=火災、3=故障車など)、ステップ126における音声出力や表示においてこれらの原因事象も含めるようにしてもよい。
【0040】
また、受信したITSスポット情報にID37あるいはID53が割り当てられていない場合には、ステップ118の判定において否定判断が行われる。次に、情報内容推定部12は、受信したITSスポット情報にID20あるいはID40が割り当てられているか否かを判定する(ステップ128)。これらのID番号が割り当てられている場合には肯定判断が行われる。これらのID番号が割り当てられたITSスポット情報(緊急メッセージ情報)を受信したということは、「前方の事故など局所的な場所で発生した事象」または「大規模災害や地震など広域な場所で発生した事象」のいずれかが発生しているということである。このITSスポット情報だけでは、どちらの事象が発生しているかを判断できないが、同時に配信されているID32のITSスポット情報(事象規制リンク)により、最寄りのリンクの規制情報(原因事象、規制内容)を確認すれば、広域的な事象か局所的な事象か判断することができる(広域的な事象の場合、災害や地震による閉鎖などの情報が複数地点で発生している)。したがって、その範囲が広域か否かを確認することで、停車を促すか、広域的な災害が起きているかを判断するものとする。
【0041】
次に、現在地・道路特定部14は、ID3が割り当てられているITSスポット情報に基づいて車両の現在地と通行中の道路を特定する(ステップ130)。規制情報確認部15は、ID32が割り当てられたITSスポット情報に基づいて、周辺(最寄のリンク)の規制情報(原因事象、規制内容)を確認する(ステップ132)。また、情報内容推定部12は、車両の現在位置周辺において広域にわたって同じ規制情報が出ているか否かを判定する(ステップ134)。同じ規制情報が出ている場合には肯定判断が行われる。この場合には、情報内容推定部12は、広域的な事象が発生していると推定し(ステップ136)、ステップ132で確認した規制情報の中から広域の規制情報を取得する(ステップ138)。推定内容通知部13は、例えば「広域の緊急メッセージ、地震発生」の固定音声メッセージをスピーカ44から音声出力するとともに、「緊急メッセージ(広域、地震)」の固定文字メッセージを表示装置52の画面に表示する(ステップ140)。
【0042】
一方、同じ規制が出ていない場合にはステップ134の判定において否定判断が行われる。この場合には、情報内容推定部12は、局所的な事象が発生していると推定し(ステップ142)、ステップ132で確認した規制情報の中から前方最寄りの規制情報を取得する(ステップ144)。推定内容通知部13は、例えば「前方の緊急メッセージ、通行止」の固定音声メッセージをスピーカ44から音声出力するとともに、「緊急メッセージ(前方、通行止)」の固定文字メッセージを表示装置52の画面に表示する(ステップ146)。
【0043】
このように、本実施形態のオーディオ装置1では、安全安心系の情報としてのITSスポット情報を受信し、その配信内容としての画像情報、文字情報、音声情報を用いることなく内容を推定することにより、画像情報や音声情報を出力するための複雑な構成が不要であって簡単な構成で安全安心系情報の概略的な内容を利用者に提供することができる。
【0044】
また、ITSスポット情報は、情報種別毎に異なるIDが割り当てられているため、DSRC路側器3から送られてくるITSスポット情報の内容をIDに基づいて推定して利用者に提供することが可能となる。
【0045】
また、ID37あるいはID53が割り当てられた注意警戒情報としてのITSスポット情報には、道路の通行止めとそれ以外の通行規制を特定する規制内容を示すコードが含まれており、このコードに基づいてITSスポット情報の内容を推定している。これにより、道路が通行止めであるか否かを確実に知ることができ、通行止めの場所に到達する前に経路を変更するなどの対策をたてることが可能となる。
【0046】
また、ID3が割り当てられたITSスポット情報に基づいて、車両の現在地および通行中の道路を特定しており、これらと関連づけて、ID36あるいはID52が割り当てられた安全運転支援情報としてのITSスポット情報の内容を推定することが可能となる。
【0047】
また、DSRC路側器3の近傍に事故多発地点としての交差点があるか否かを示す事故情報を格納しており、IDに対応する情報種別と、現在地および走行中の道路と、この事故情報とに基づいて、渋滞発生時にその原因を推定することが可能となる。
【0048】
また、ID32が割り当てられたITSスポット情報に基づいて、周辺の規制情報を確認しており、IDに対応する情報種別と、現在地および走行中の道路と、確認された周辺の規制情報とに基づいて、ID20あるいはID40が割り当てられた緊急メッセージ情報としてのITSスポット情報の内容を推定することができる。特に、このITSスポット情報の内容が広域的なものか局所的なものかを区別することが可能となる。
【0049】
また、推定されたITSスポット情報の内容に対応して、あらかじめ用意されている内容が固定のメッセージを提供しており、内容が固定のメッセージをあらかじめ用意しておいて出力するだけでよいため、画像情報や音声情報を出力するための複雑な構成が不要となる。
【0050】
なお、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨の範囲内において種々の変形実施が可能である。例えば、上述した実施形態では、ITSスポット情報の内容を推定し、あらかじめ用意されている内容が固定の音声メッセージおよび文字メッセージを出力するようにしたが、表示装置52がグラフィックス表示が可能な場合には、文字メッセージに代えて、あるいは、文字メッセージとともに推定結果を知らせるシンボルを含むメッセージを含めるようにしてもよい。
【0051】
また、上述した実施形態では、あらかじめ用意された音声メッセージと文字メッセージを「日本語」で作成したが、英語等の他の言語でも作成しておいて、利用者にいずれの言語のメッセージを用いるかを選択させるようにしてもよい。この場合であっても、あらかじめ用意する音声メッセージや文字メッセージの数が増えるだけであり、簡単な構成で実現できる点に変わりはない。
【0052】
また、上述した実施形態では、オーディオ装置1に本発明を適用したが、他の車載機器に本発明を適用するようにしてもよい。例えば、ラジオ受信機やテレビ受信機などに本発明を適用するようにしてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0053】
上述したように、本発明によれば、安全安心系の情報を受信し、その配信内容としての画像情報、文字情報、音声情報を用いることなく内容を推定することにより、画像情報や音声情報を出力するための複雑な構成が不要であって簡単な構成で安全安心系情報の概略的な内容を利用者に提供することができる。
【符号の説明】
【0054】
1 オーディオ装置
2 DSRC車載器
3 DSRC路側器
10 制御部
11 情報取得部
12 情報内容推定部
13 推定内容通知部
14 現在地・道路特定部
15 規制情報確認部
20 インタフェース部(IF)
30 事故情報格納部
40 オーディオ処理部
50 表示処理部
52 表示装置
図1
図2
図3