特許第6073054号(P6073054)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6073054銀をベースとするカドミウムフリー材料の製造方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6073054
(24)【登録日】2017年1月13日
(45)【発行日】2017年2月1日
(54)【発明の名称】銀をベースとするカドミウムフリー材料の製造方法
(51)【国際特許分類】
   C22C 1/10 20060101AFI20170123BHJP
   C22C 1/00 20060101ALI20170123BHJP
   C22C 1/02 20060101ALI20170123BHJP
   C22C 5/06 20060101ALI20170123BHJP
   C22C 32/00 20060101ALI20170123BHJP
   C21D 1/74 20060101ALI20170123BHJP
   C21D 1/76 20060101ALI20170123BHJP
   C22F 1/14 20060101ALI20170123BHJP
   C22C 1/05 20060101ALI20170123BHJP
   H01B 13/00 20060101ALI20170123BHJP
   C22F 1/00 20060101ALN20170123BHJP
   C22F 1/02 20060101ALN20170123BHJP
【FI】
   C22C1/10 H
   C22C1/00 R
   C22C1/02 501Z
   C22C1/02 503A
   C22C5/06 C
   C22C32/00 A
   C21D1/74 G
   C21D1/76 G
   C21D1/76 R
   C22F1/14
   C22C1/05 T
   C22C1/10 K
   H01B13/00 501D
   !C22F1/00 625
   !C22F1/00 623
   !C22F1/00 694B
   !C22F1/00 691B
   !C22F1/00 691C
   !C22F1/02
   !C22F1/00 661A
【請求項の数】9
【外国語出願】
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2011-239821(P2011-239821)
(22)【出願日】2011年10月31日
(65)【公開番号】特開2012-97357(P2012-97357A)
(43)【公開日】2012年5月24日
【審査請求日】2014年10月30日
(31)【優先権主張番号】10014118.3
(32)【優先日】2010年10月29日
(33)【優先権主張国】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】501399500
【氏名又は名称】ユミコア・アクチエンゲゼルシャフト・ウント・コムパニー・コマンディットゲゼルシャフト
【氏名又は名称原語表記】Umicore AG & Co.KG
(74)【代理人】
【識別番号】100099483
【弁理士】
【氏名又は名称】久野 琢也
(74)【代理人】
【識別番号】100112793
【弁理士】
【氏名又は名称】高橋 佳大
(74)【代理人】
【識別番号】100114292
【弁理士】
【氏名又は名称】来間 清志
(74)【代理人】
【識別番号】100128679
【弁理士】
【氏名又は名称】星 公弘
(74)【代理人】
【識別番号】100135633
【弁理士】
【氏名又は名称】二宮 浩康
(74)【代理人】
【識別番号】100143959
【弁理士】
【氏名又は名称】住吉 秀一
(74)【代理人】
【識別番号】100156812
【弁理士】
【氏名又は名称】篠 良一
(74)【代理人】
【識別番号】100162880
【弁理士】
【氏名又は名称】上島 類
(74)【代理人】
【識別番号】100167852
【弁理士】
【氏名又は名称】宮城 康史
(74)【代理人】
【識別番号】100114890
【弁理士】
【氏名又は名称】アインゼル・フェリックス=ラインハルト
(72)【発明者】
【氏名】ベルント ケンプフ
(72)【発明者】
【氏名】グンター ヴィール
(72)【発明者】
【氏名】ヴェアナー ロート
(72)【発明者】
【氏名】アンドレアス コッホ
(72)【発明者】
【氏名】ペーター ブラウマン
(72)【発明者】
【氏名】ラルフ ニーダーロイター
【審査官】 川口 由紀子
(56)【参考文献】
【文献】 特開昭58−213846(JP,A)
【文献】 特開平06−184664(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C22C 1/10
C22C 1/00
C22C 1/02
C22C 1/05
C22C 5/06
C22F 1/14
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
銀をベースとするカドミウムフリー材料の製造方法であって、次の工程:
インジウム、テルル、ビスマス、亜鉛、スズ、ガリウム、ゲルマニウム、セレン、マンガン、マグネシウム、アルミニウム、鉛及びそれらの組合せからなる群から選択される、少なくとも1種の被酸化性合金元素を全量で5質量%〜15質量%含有し、任意に鉄、ニッケル、コバルト又は銅の添加元素をそれぞれ0.001〜1質量%含有し、残部が銀と不可避不純物からなる、カドミウムを含まない第一合金を準備する工程;
銀と少なくとも1種の被酸化性合金元素とを含有する第一合金の表面積を増加させて第二合金を得る工程;
第二合金を第一熱処理する工程、前記第一熱処理は還元雰囲気中で少なくとも350℃の温度かつ第一合金の固相線温度を5℃下回る温度上限で2バール未満の圧力で15秒〜3時間の期間にわたって実施されて第三合金が得られる;
第三合金を第二熱処理する工程、前記第二熱処理は含酸素雰囲気中で低くとも500℃の温度かつ高くとも第一合金の固相線温度を150℃下回る温度で2バール未満の圧力で10時間〜7日の期間にわたって実施され、かつ内部酸化が完了するまで続けられて第四合金が得られる
を含んでなる、銀をベースとするカドミウムフリー材料の製造方法。
【請求項2】
第一熱処理を、650℃で実施する、請求項1記載の方法。
【請求項3】
第一熱処理を、水素、一酸化炭素、炭化水素、メタン、窒素、不活性ガス又はそれらの混合物を含有する還元雰囲気中で実施し、その際に、第一熱処理を、還元雰囲気の流れ中で実施する、請求項1又は2記載の方法。
【請求項4】
第二熱処理を、高くとも第一合金の固相線温度を5℃下回る温度で実施するか、又は第二熱処理を2つの温度段階で実施し、その際に、前記熱処理を
・少なくとも500℃かつ高くとも第一合金の固相線温度を150℃を下回る初期温度で第一期間にわたって、かつ
・少なくとも500℃かつ高くとも第一合金の固相線温度を5℃下回る第二温度で第二期間にわたって実施し、その際に、
第二温度が初期温度よりも高い、請求項1から3までのいずれか1項記載の方法。
【請求項5】
第一期間が30〜240分であり、及び/又は第二期間が10時間〜7日である、請求項4記載の方法。
【請求項6】
第二熱処理を、単体酸素、発生期の酸素、オゾン、窒素、不活性ガス又はそれらの混合物を含有する含酸素雰囲気中で実施する、請求項1から5までのいずれか1項記載の方法。
【請求項7】
第一合金が、スズ又は亜鉛を8質量%まで含有するか、又は第一合金が、2〜5質量%の量のインジウムと、亜鉛8〜12質量%とを含有するか、又は第一合金が、2〜5質量%の量のインジウムとの組合せでスズ8〜12質量%を含有する、請求項1から6までのいずれか1項記載の方法。
【請求項8】
第一合金が、テルル又はビスマス0.05〜4質量%を含有する、請求項1から7までのいずれか1項記載の方法。
【請求項9】
第四合金を、900〜970℃で2〜40時間にわたって実施される第三熱処理にかけて、第五合金を得る、請求項1から8までのいずれか1項記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、内部酸化により金属複合材料を製造する新規方法に関する。
【背景技術】
【0002】
金属複合材料は、かなり長い間知られており、かつ多数の分野において使用されている。これらの複合材料は、酸化物分散した金属、例えば微細粒安定化用のイットリアを有する耐火金属を含む。他の分野においては、銀をベースとするその種の材料が、特に接点材料の分野において定着している。
【0003】
米国特許(US-A)第5207842号明細書には、銀金属粉末を、酸化スズ及び酸化テルルの粉末と混合し、その後プレスし、かつ焼結することにより製造された銀ベース材料が記載されている。銀及び酸化スズをベースとするそのような材料は、接点材料としての使用に適している。
【0004】
Sakairi他は、Holm Conferences an Electrical Contacts, 1982, p.77-85に、銀合金の内部酸化法を記載する。内部酸化は、銀と卑金属との合金が酸化条件に暴露され、それにより卑金属の酸化が引き起こされるが、しかし銀の酸化は引き起こされない方法であると理解される。このようにして、微分散した酸化スズを9.3質量%〜11.7質量%までの量で含有する銀−酸化スズ材料が、及び微分散した酸化カドミウムを12.4質量%の量で含有する銀−酸化カドミウム材料が、得られた。前記材料は、それらを加工可能にするために熱処理されなければならない。内部酸化は、純酸素雰囲気中で9気圧の圧力で450℃で1週間実施された。
【0005】
米国特許(U.S.)第4,243,413号明細書には、スズ、ニッケル及びインジウムの酸化物を含有する銀−酸化スズ接点材料が示されている。内部酸化は、10atmの圧力で700℃で40時間実施された。
【0006】
欧州特許出願公開(EP-A)第508 055号明細書には、スズ 4〜11質量%、インジウム 1〜5質量%、0.05〜4質量%、及び任意に鉄、ニッケル又はコバルト 0.01〜1質量%及び/又はカドミウム 0.05〜3質量%、銀 残部の合金の内部酸化により得ることができる銀ベース接点材料が示されている。内部酸化は、酸化雰囲気中で650℃〜750℃で8〜26時間実施される。
【0007】
内部酸化による前記の全ての製造方法は、高圧下に比較的長い期間にわたって実施されてよい。故に、より低い圧力、例えば大気圧での(すなわち高圧を適用することのない)製造を可能にすることが望まれる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】米国特許(US-A)第5207842号明細書
【特許文献2】米国特許(U.S.)第4,243,413号明細書
【特許文献3】欧州特許出願公開(EP-A)第508 055号明細書
【非特許文献】
【0009】
【非特許文献1】Sakairi他, Holm Conferences an Electrical Contacts, 1982, p.77-85
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
本発明の課題は、常用の銀ベース接点材料をより低い圧力で、前記材料の有利な性質を著しく損なうことなく製造する方法を提供することであった。
【課題を解決するための手段】
【0011】
この課題は、次の工程:
・銀と少なくとも1種の被酸化性合金元素とを含有する第一合金を準備する工程;
・銀と少なくとも1種の被酸化性合金元素とを含有する第一合金の表面積を増加させて第二合金を得る工程;
・第二合金を第一熱処理する工程、その際に前記熱処理が還元雰囲気中で実施されて第三合金が得られる;
・第三合金を第二熱処理する工程、その際に前記熱処理が含酸素雰囲気中で実施されて第四合金が得られる
を含んでなる、銀をベースとする材料の製造方法によって達成される。
【0012】
発明の簡単な説明
1.銀をベースとするカドミウムフリー材料の製造方法であって、次の工程:
・銀と少なくとも1種の被酸化性合金元素とを含有し、カドミウムを含まない第一合金を準備する工程;
・銀と少なくとも1種の被酸化性合金元素とを含有する第一合金の表面積を増加させて第二合金を得る工程;
・第二合金を第一熱処理する工程、その際に前記熱処理を還元雰囲気中で実施して第三合金を得る;
・第三合金を第二熱処理する工程、その際に前記熱処理を含酸素雰囲気中で実施して第四合金を得る
を含んでなる、銀をベースとするカドミウムフリー材料の製造方法。
2.第一熱処理を、350℃〜第一合金の固相線温度を5℃下回る温度で、特に650℃で実施する、上記箇条1記載の方法。
3.第一熱処理を、15秒〜3時間の期間にわたって実施する、上記箇条記載の方法。
4.第一熱処理を、水素、一酸化炭素、炭化水素、メタン、窒素、不活性ガス又はそれらの混合物を含有する還元雰囲気中で実施する、上記箇条記載の方法。
5.第一熱処理を、還元雰囲気の流れ中で2バール未満の圧力で実施する、上記箇条記載の方法。
6.第一熱処理後に、第三合金を、不活性雰囲気又は還元雰囲気中で200℃未満の温度に、好ましくは室温に冷却する、上記箇条記載の方法。
7.第二熱処理を、500℃〜第一合金の固相線温度を150℃下回る温度、特に固相線温度を5℃下回る温度で実施する、上記箇条記載の方法。
8.第二熱処理を2つの温度段階で実施し、その際に熱処理を、
・500℃〜第一合金の固相線温度を150℃下回る初期温度で第一期間にわたって、及び
・500℃〜第一合金の固相線温度を5℃下回る温度で第二期間にわたって実施し、その際に
第二温度が第一温度よりも高い、上記箇条記載の方法。
9.第一期間が30〜240分であり、及び/又は第二期間が10時間〜7日である、上記箇条記載の方法。
10.第二熱処理を、単体酸素、発生期の酸素、オゾン、窒素、不活性ガス又はそれらの混合物を含有する含酸素雰囲気中で実施する、上記箇条記載の方法。
11.第二熱処理を、含酸素雰囲気の流れ中で2バール未満の圧力で実施する、上記箇条記載の方法。
12.第一合金表面積の増加を、粉砕、ガス噴霧、液体噴霧、造粒、ワイヤ引抜き、シート圧延、押出プレス、切断又は押出及びそれらの組合せにより行う、上記箇条記載の方法。
13.第二合金を、熱処理前に銀でコーティングする、上記箇条記載の方法。
14.第二合金が、BET(Brunauer、Emmett及びTeller)による0.75〜100cm2/gの比表面積を有する、上記箇条記載の方法。
15.第一合金の被酸化性合金元素が、インジウム、テルル、ビスマス、ニッケル、銅、亜鉛、スズ、ガリウム、ゲルマニウム、セレン、マンガン、マグネシウム、アルミニウム、鉛及びそれらの組合せからなる群から選択される、上記箇条記載の方法。
16.第一合金がスズを8質量%まで含有する、上記箇条記載の方法。
17.第一合金が、インジウムと、スズ8〜12質量%とを含有する、上記箇条記載の方法。
18.第一合金がインジウム2〜15質量%を含有する、上記箇条記載の方法。
19.第一合金がテルル0.05〜4質量%を含有する、上記箇条記載の方法。
20.第一合金が、鉄、ニッケル、コバルト又は銅を個々に又は組合せで約0.001〜1質量%の量で含有する、上記箇条記載の方法。
21.第一合金がスズの代わりに亜鉛を含有する、上記箇条記載の方法。
22.第一合金がテルルの代わりにビスマスを含有する、上記箇条記載の方法。
23.第四合金が、酸化スズ、酸化インジウム、酸化テルル、酸化ビスマス、酸化ニッケル、酸化銅、酸化亜鉛、酸化ガリウム、酸化ゲルマニウム、二酸化セレン、二酸化マンガン、酸化マグネシウム、酸化アルミニウム、酸化鉛及びそれらの混合物からなる群から選択される、上記箇条記載の方法。
24.第四合金が12質量%を上回る酸化物を含有する、上記箇条記載の方法。
25.第四合金を第二熱処理後に冷却する、上記箇条記載の方法。
26.第四合金を第三熱処理にかけて第五合金を得る、上記箇条記載の方法。
27.第三熱処理を、900〜970℃で2〜40時間、好ましくは10〜20時間実施する、上記箇条記載の方法。
28.第四合金又は第五合金をプレスし、焼結し、かつ任意に押出プレスにより成形する、上記箇条記載の方法。
【0013】
発明の詳細な説明
表面積の増加及びその後の還元雰囲気中での熱処理が、第二熱処理中に起こる内部酸化を2バール未満の圧力で、特に常圧で約10時間から7日以内で可能にするために十分な活性化を提供することが、意外なことに見出された。期間は、例えば合金組成、酸素分圧、雰囲気の種類、表面積及び温度のようなファクターに依存する。
【0014】
第一合金の被酸化性合金元素は、インジウム、テルル、ビスマス、ニッケル、銅、亜鉛、スズ、ガリウム、ゲルマニウム、セレン、マンガン、マグネシウム、アルミニウム、アンチモン、鉛及びそれらの組合せからなる群から選択される。被酸化性合金元素の全量は一般的に5質量%〜15質量%である。
【0015】
好ましくは、被酸化性合金元素であるスズは、5質量%〜15質量%、有利に少なくとも8質量%の量で使用されるので、内部酸化後に、5質量%〜18質量%の酸化スズ含量、特に8質量%〜14質量%の酸化スズ含量が得られることができる。7質量%を上回り、特に8質量%又は9質量%を上回るスズ含量については、インジウム5質量%までが有利に添加される。亜鉛及びスズは十分に似ているので、それらは本発明において置換されることができる。この場合、スズの代わりに亜鉛を用いる場合に、インジウムの添加はしばしば不要である。
【0016】
銀及びスズ又は銀及び亜鉛の合金の使用は、6.7質量%〜8.5質量%のスズ含量又は亜鉛含量でさえも、多くの目的のために既に十分適した接点材料をもたらす。
【0017】
インジウム含量は、2〜15質量%の範囲内、好ましくは1〜5質量%又は1.5〜3質量%の範囲内であってよい。約0.05〜4質量%、好ましくは0.05〜0.8質量%又は0.1〜1質量%の量のテルルの添加も有利である。テルルの代わりに、ビスマスは原則的には、同じ量で、好ましくは0.005〜0.06質量%の量で使用されることができる。
【0018】
さらに有利に添加される元素は、個々に又は組合せでの、鉄、ニッケル、コバルト又は銅である。これらの元素のそれぞれが、0.001〜1質量%、好ましくは0.05〜0.2質量%又は0.03〜0.5質量%の量で使用されてよい。特に好ましいのは、ニッケル及び銅である。好ましくはニッケル0.03〜0.5質量%又は銅0.05〜0.9質量%が使用される。
【0019】
これらの元素(鉄、ニッケル、コバルト、銅)は通常、併せて1.5質量%未満の量で存在する。その毒性のために、カドミウムは今日ではもはや使用されず、かつカドミウムは添加されず、その結果、第一合金並びにその後の生成物は、カドミウムを含まない。
【0020】
第一合金は、有利に、スズ4〜11質量%、インジウム1〜6質量%、テルル0.05〜4質量%及び任意に鉄、ニッケル、コバルト又はそれらの組合せ0.01〜1質量%及び銀100質量%まで(銀は残部である)及び不可避不純物の合金である。その毒性のために、カドミウムは今日もはや使用されず、故に好ましくは使用されない。
【0021】
第一合金として特に適しているのは、スズ5.1〜9質量%、インジウム1.5〜5質量%、テルル0.05〜0.8質量%、任意にニッケル0.03〜0.5質量%、銅0.05〜0.9質量%を有して及び銀100質量%まで(銀は残部である)及び不可避不純物の銀合金である。選択的に、テルルの代わりに、ビスマス0.005〜0.06質量%が使用されることができる。
【0022】
また第一合金として適しているのは、スズ5〜8質量%、インジウム1.5〜3質量%、テルル0.1〜1質量%、鉄0.05〜0.2質量%及び銀100質量%まで(銀は残部である)及び不可避不純物を有する合金である。
【0023】
第一合金として特に適しているのは、スズ5.1〜9質量%、インジウム1.5〜5質量%、テルル0.05〜0.8質量%、任意にニッケル0.03〜0.5質量%、銅0.05〜0.9質量%を有して及び銀100質量%まで(銀は残部である)及び不可避不純物の銀合金である。選択的に、テルルの代わりに、ビスマス0.005〜0.06質量%が使用される。
【0024】
また第一合金として適しているのは、スズ5〜8質量%、インジウム1.5〜3質量%、テルル0.1〜1質量%、鉄0.05〜0.2質量%及び銀100質量%まで(銀は残部である)及び不可避の不純物、又は
スズ5〜8質量%、インジウム1.5〜3質量%、テルル0.1〜1質量%、コバルト0.05〜0.2質量%及び銀100%まで及び不可避不純物;又は
スズ5.2〜8質量%、インジウム2.8〜3.9質量%、テルル0.5〜0.75質量%、ニッケル0.08〜1.2質量%及び銀100質量%まで(銀は残部である)及び不可避不純物;又は
スズ5.2〜8質量%、インジウム2.8〜3.9質量%、テルル0.5〜0.75質量%、銅0.05〜0.9質量%及び銀100質量%まで(銀は残部である)及び不可避不純物、又は
スズ5〜8質量%、インジウム1.5〜3質量%、テルル0.1〜1質量%、銅0.05〜0.09質量%及び銀100質量%まで(銀は残部である)及び不可避不純物
を有する合金である。
【0025】
そのような組成及びそれから生じる接点材料は、原則的に知られている。
【0026】
第一合金の表面積の増加は、粉砕、ガス噴霧、液体噴霧、造粒、ワイヤ引抜き、シート圧延、押出プレス、切断、押出し及びそれらの組合せにより行われる。例えば、第一合金は、押出プレスしてワイヤ又はシート形材を製造し、その後切断することができるか、又はシート及びプレートは圧延されることができ、その後ストリップへ切断されることができる。一方では、表面積の増加は重要であるが、しかし外側から酸素で浸透される金属粒子の厚さを減少することも重要であり、その際、金属粒子は後で第二熱処理において内部酸化にかけられる。本発明の特別な実施態様において、第二合金は、BET(Brunauer、Emmitt及びTeller)による0.75〜100cm2/gの比表面積を含んでなる。
【0027】
本発明の他の特別な実施態様において、第二合金は、銀でコーティングされることができる。ここで、例えば、金属形材は、押し出されることができ、かつ銀で常法でコーティングされる(例えばめっきされる)ことができ、ついで本発明の方法にかけられることができるので、本発明の方法を用いて、スイッチングデバイスにおける直接使用に半製品又はそれどころか最終製品として適している接点加工材料が直接得られる。
【0028】
第一熱処理は、還元条件下で少なくとも350℃の温度で実施される。この処理段階の温度上限は、第一合金又は第二合金の固相線温度を5℃下回る。一般的に、約550℃〜700℃、特に630℃〜670℃、例えば650℃の温度範囲が適している。この第一熱処理は、15秒〜3時間、好ましくは30分〜90分の期間にわたって実施される。より長期の熱処理は無害であるが、しかし付加的な利点は通常ない。第二合金の熱処理は、還元雰囲気下に実施される。適した還元雰囲気は、例えば、水素、一酸化炭素、炭化水素、メタン、窒素、不活性ガス又はそれらの混合物のものである。好ましくは水素又は水素と不活性ガス、例えば窒素又は希ガスとの混合物が使用される。フォーミングガスは安価に使用されることができ、これは通常5〜25%、より好ましくは5〜10%の水素含量を有する水素及び窒素の混合物として商業的に入手可能である。第一熱処理中の圧力は、2バール未満であり、好ましくは大気圧で実施される。第二合金が、還元雰囲気、例えばフォーミングガスの流れ中で大気圧で熱処理される手法が通常最も単純である。この処理段階を通じて、第三合金が得られ、これは第一熱処理後に、好ましくは、不活性雰囲気又は還元雰囲気中で200℃未満の温度、好ましくは室温に冷却される。
【0029】
ついで、その直後に行われることができる第二熱処理が続く。第三合金は、直ちに加工される必要はなく、かつ最初に空気中で限られた時間にわたって取り扱われることができるか又は貯蔵されることができる。しかしながら、特に第一熱処理の直後の、急速加工は、有利である。故に、バッチ法において、第一熱処理は、レトルト炉中で実施されることができ、かつ冷却後に、還元雰囲気は、酸化雰囲気により置き換えられることができ、かつ第二熱処理は空気と接触されないように実施されることができる。選択的に、第一熱処理は、温度勾配を有するプッシュドバットキルン中で実施されることができ、その際に通常反応物は例えばグラファイトるつぼ中で、前記キルンへ押し込まれる。200℃又はそれ未満に冷却された後に、前記るつぼは、還元雰囲気中の炉から除去されることができ、かつ空気への短期の暴露後に、第二熱処理を実施するための酸化雰囲気を有する第二プッシュドバットキルンを通過されてよい。このアプローチにおいて、空気との多少延長された接触が行われる。
【0030】
この第二熱処理を用いて、第三合金の内部酸化は、酸化雰囲気中で行われ、かつ第四合金が得られる。この内部酸化は、合金の、銀と被酸化性合金元素の酸化物とからなる複合材料(ここでは第四合金と呼ぶ)への変態を生じさせる。第二熱処理は、低くとも約500℃の温度で実施される。しかしながら、高くとも、第二熱処理は、第一合金、第二合金又は第三合金の固相線温度を150℃下回る温度で、好ましくは固相線温度を5℃下回る温度までで実施されるべきである。これらの温度は、著しく相違しない、それというのも、第一合金、第二合金及び第三合金は本質的に化学的に同じであるからである。一般的に、第二熱処理は、約500℃〜約800℃、好ましくは600℃〜750℃、特に650℃〜730℃の温度で実施される。熱処理は、内部酸化が完了するまで続けられる。第二熱処理の期間は、約10時間〜約7日、好ましくは12〜72時間、より好ましくは12〜48時間、例えば24時間である。しかしながら、期間は、計算されたプロセスパラメーター及び合金組成の選択に応じて決定されることができ、又は反応の過程中に監視されることができる。反応は、重量分析により十分監視されることができる。光学顕微鏡検査を用いて、反応の完了は、最終研磨(中間)製品で決定されることができる。
【0031】
第二熱処理は、前記の温度、雰囲気及び期間下での使用に適している全ての炉中で原則的に実施されることができる。このためには、第三合金は、異なる容器中で第二熱処理の条件に暴露されることができる。例えば、第三合金は、第二熱処理にかけられることができ、かつ開放るつぼ、セラミックるつぼ又は金属容器中で、粉末又は粒状物の床として、又はワイヤ片として又はシート金属片として提供されることができる。多孔質でふわふわの焼結体は、それにより形成されるか又は成形される。しかしながら、特にシート片又はワイヤ片の場合に、個々の分離は、反応容器中で実施されることができ、又は熱処理は、ロータリーキルン中で実施されることができる。故に、酸化雰囲気との接触は最適化され、かつ急速かつ完全な内部酸化が促進される。
【0032】
第二熱処理は、酸化雰囲気、好ましくは単体酸素(O2)、発生期の酸素、オゾン、窒素、不活性ガス又はそれらの混合物を含有する含酸素雰囲気中で実施される。有利には、酸素又は空気である。第二熱処理は、2バール未満の圧力で、好ましくはほぼ大気圧で実施される。最も単純な方法は、しばしば、第二熱処理を、含酸素雰囲気(すなわち空気又は酸素)の流れ中で常圧で、例えば周囲圧力下で実施することである。ここで、酸素の分圧は、全圧の少なくとも80%である。
【0033】
第二熱処理は、有利には2つの温度段階で実施され、その際に、第二熱処理が、少なくとも500℃〜第一合金の固相線温度を150℃下回る範囲内の第一温度で第一期間にわたって実施される。第二熱処理は、ついでさらに、500℃〜第一合金の固相線温度を40℃下回る第二温度で、しかし高くとも固相線温度を5℃下回る温度で第二期間にわたって実施される。
【0034】
本方法のこの実施態様において、圧力は、2バール未満で、好ましくは常圧で及び好ましくは含酸素雰囲気(すなわち空気又は酸素)の流れ中でほぼ大気圧で、例えば周囲圧力下である。ここでも酸素の分圧は、全圧の少なくとも80%である。
【0035】
第二温度は、第一温度よりも高く、かつ約500℃〜約800℃、好ましくは600℃〜750℃、特に650℃〜730℃である。この場合に、第一期間は30〜240分であり、かつ第二期間は10時間〜7日、好ましくは12〜72時間、より好ましくは12〜48時間、例えば24時間である。前記のように、必要とされる時間は計算されることができ、又は反応の過程は、反応が完了するまで、測定により、例えば重量分析法により監視されることができる。例えば、2.1mmの厚さを有するワイヤを用いる場合に、内部酸化は、約100時間後に完了する。1.4mmの厚さを有するワイヤを用いて、内部酸化は、全酸化物含量14質量%を有する材料であると仮定すると、60時間後に完了する。10質量%の全酸化物含量では、必要とされる反応時間は約30%短くなる。
【0036】
第二熱処理の後に、第四合金が得られる。第四合金は、酸化スズ、酸化インジウム、酸化テルル、酸化ビスマス、酸化ニッケル、酸化銅、酸化亜鉛、酸化ガリウム、酸化ゲルマニウム、二酸化セレン、二酸化マンガン、酸化マグネシウム、酸化アルミニウム、酸化鉛及びそれらの混合物からなる群から選択される少なくとも1種の酸化物を含有する。
【0037】
これらの酸化物は、内部酸化が行われた第二熱処理の過程で、第三合金の合金成分から形成される。第四合金は好ましくは、12質量%よりも多い酸化物を含有する。第四合金は、第二熱処理後に、通常、200℃未満の温度に又は室温に冷却される。
【0038】
第四合金は、微分散した酸化物のためにしばしば極めて硬く、故に殆どさらに加工されることができないので、この第四合金は好ましくは、第三熱処理にかけられて第五合金が得られる。第三熱処理は、900℃〜970℃、又は910℃〜960℃で実施される。第三熱処理は、2〜40時間、特に10〜20時間実施され、その際に、微分散した酸化物のオストワルド熟成が起こるので、伝導率及び延性が、増加されることができ、故に加工性は改善されることができる。
【0039】
第三熱処理をしない第四合金の加工性に応じて、第四合金又は第五合金は、接点加工材料を製造するためにさらに加工されることができる。これをするために、第四合金又は第五合金は、適宜、押出プレスされ、さらに、接点加工材料の形状に応じてプレート圧延又はワイヤ引抜きにより変形される。
【実施例】
【0040】
表に示された銀合金を、誘導炉中で溶融させ、ピンへと鋳造する。被酸化性合金の示された濃度は、質量%で示されており、銀含量は、100質量%までである(残部は銀である)。ピンを、約2mmの平均直径を有するワイヤへ押出プレスし、かつ長さが約7mmの片へ切断する。その後に、ワイヤ片を、表に列挙された期間及び温度条件に従い、炉中で5%の水素含量を有するフォーミングガスの流れ中で周囲圧力での第一熱処理(1.WB)にかける。炉をついで遮断しかつ、フォーミングガスを流しながらピンを200℃未満に冷却させ、その後流れる純酸素中で再加熱し、表に示された期間(t)及び温度(T)に従い第二熱処理(2.WB)にかける。その後、適宜、第三熱処理(3.WB)を空気中で、表に示された期間(t)及び温度(T)に従って実施した。期間は時間で、温度はセルシウス度で示されている。冷却後に、生成物を、約6mm厚さのワイヤへ押出プレスし、さらなる加工のための1〜2mmの最終直径にワイヤ引抜き加工した。全ての合金は、示された反応条件下で、被酸化性合金元素の完全転化を示し、これを光学顕微鏡による顕微鏡写真により確認した。
【0041】
【表1】
【0042】
【表2】