特許第6073061号(P6073061)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6073061
(24)【登録日】2017年1月13日
(45)【発行日】2017年2月1日
(54)【発明の名称】渦流量計
(51)【国際特許分類】
   G01F 1/32 20060101AFI20170123BHJP
【FI】
   G01F1/32 E
   G01F1/32 T
【請求項の数】13
【外国語出願】
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2012-18547(P2012-18547)
(22)【出願日】2012年1月31日
(65)【公開番号】特開2012-159508(P2012-159508A)
(43)【公開日】2012年8月23日
【審査請求日】2014年9月19日
(31)【優先権主張番号】10 2011 009 894.1
(32)【優先日】2011年1月31日
(33)【優先権主張国】DE
(73)【特許権者】
【識別番号】390009494
【氏名又は名称】クローネ メステヒニーク ゲゼルシヤフト ミツト ベシユレンクテル ハフツング
【氏名又は名称原語表記】Krohne Messtechnik GmbH
(74)【代理人】
【識別番号】100099483
【弁理士】
【氏名又は名称】久野 琢也
(74)【代理人】
【識別番号】100112793
【弁理士】
【氏名又は名称】高橋 佳大
(74)【代理人】
【識別番号】100114292
【弁理士】
【氏名又は名称】来間 清志
(74)【代理人】
【識別番号】100128679
【弁理士】
【氏名又は名称】星 公弘
(74)【代理人】
【識別番号】100135633
【弁理士】
【氏名又は名称】二宮 浩康
(74)【代理人】
【識別番号】100143959
【弁理士】
【氏名又は名称】住吉 秀一
(74)【代理人】
【識別番号】100156812
【弁理士】
【氏名又は名称】篠 良一
(74)【代理人】
【識別番号】100162880
【弁理士】
【氏名又は名称】上島 類
(74)【代理人】
【識別番号】100167852
【弁理士】
【氏名又は名称】宮城 康史
(74)【代理人】
【識別番号】100114890
【弁理士】
【氏名又は名称】アインゼル・フェリックス=ラインハルト
(72)【発明者】
【氏名】カイ ゴスナー
【審査官】 岡田 卓弥
(56)【参考文献】
【文献】 特開2007−71798(JP,A)
【文献】 特開2003−57098(JP,A)
【文献】 特開2002−214006(JP,A)
【文献】 国際公開第2002/31445(WO,A1)
【文献】 特開平11−258016(JP,A)
【文献】 特開平10−267714(JP,A)
【文献】 特開平3−277922(JP,A)
【文献】 特開昭58−154620(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01F 1/00− 9/02
G01F15/00−15/18
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
測定管(2)と、ケーシング(3)と、渦発生体(4)と、センサユニット(6)と、を有する渦流量計(1)であって、
前記センサユニット(6)は、前記渦発生体(4)により生じる渦測定信号を検出するために用いられ、
前記渦流量計(1)は、前記渦流量計(1)に作用する寄生振動を検出するために設けられた少なくとも1つの慣性センサ(7)をさらに有し、
前記慣性センサ(7)は、前記渦流量計(1)に設けられた、測定および評価回路(8)のプリント基板に設けられており、
前記プリント基板は、前記渦流量計(1)の前記ケーシング(3)に接続されている、
渦流量計(1)。
【請求項2】
測定管(2)と、ケーシング(3)と、渦発生体(4)と、センサユニット(6)と、を有する渦流量計(1)であって、
前記センサユニット(6)は、前記渦発生体(4)により生じる渦測定信号を検出するために用いられ、
前記渦流量計(1)は、前記渦流量計(1)に作用する寄生振動を検出するために設けられた少なくとも1つの慣性センサ(7)をさらに有し、
前記慣性センサ(7)は、前記渦流量計(1)の前記ケーシング(3)に取り付けられており、
前記慣性センサ(7)は、前記渦流量計(1)の前記ケーシング(3)に硬く接続されている、
渦流量計(1)。
【請求項3】
前記慣性センサ(7)は、特定の空間軸(x、y、z)に関してのみ感度を有する、
求項1または2記載の渦流量計(1)。
【請求項4】
複数の慣性センサ(7a,7b,7c)は、前記渦流量計(1)の異なる位置に取り付けられており、各慣性センサ(7a,7b,7c)は、特定の1つの空間軸(x、y、z)に関してのみ感度を有する、
請求項1から3のいずれか1項記載の渦流量計(1)。
【請求項5】
少なくとも1つの慣性センサ(7)は、前記渦流量計(1)を取り囲む配管系(9)に設けられている、
請求項1から4のいずれか1項記載の渦流量計(1)。
【請求項6】
1つのセンサ装置(6)と少なくとも1つの慣性センサ(7)とを有する、請求項1から5のいずれか1項記載の渦流量計(1)の動作方法であって、
前記渦流量計(1)の渦測定信号(100)に作用する寄生振動(101)を、前記慣性センサ(7)の測定信号(102)を評価することにより識別し、
前記評価を、前記寄生振動を異なる振動のカテゴリに分類することによって、すなわち、一方では、短期の影響から生じるような振動に割り当て、他方では、長期の一定した振動に割り当てることによって実施し、
前記渦測定信号(100)の処理を、前記慣性センサ(7)の前記評価された測定信号(102)により少なくとも部分的に制御する、
方法。
【請求項7】
前記渦測定信号(100)を適応フィルタ(105)において処理し、
フィルタパラメタ(104)を、少なくとも部分的に、前記慣性センサ(7)の前記評価された測定信号(102)から得る、
請求項6記載の方法。
【請求項8】
前記慣性センサの前記測定信号(102)の振幅スペクトル(107)を形成し、
前記適応フィルタ(105)のフィルタパラメタ(104)を前記振幅スペクトル(107)に基づいて決定する、
請求項7記載の方法。
【請求項9】
前記振幅スペクトル(107)内に生じるピークを、前記適応フィルタ(105)のためのフィルタパラメタ(104)として用いる、
請求項8記載の方法。
【請求項10】
前記慣性センサ(7)の前記測定信号(102)を、振幅曲線(108)の評価のために測定し、
前記振幅曲線(108)を、突然の変化が識別可能なように微分する、
請求項6から9のいずれか1項記載の方法。
【請求項11】
前記慣性センサ(7)の測定信号(102)を、振幅曲線(108)の評価のために測定し、
平均振幅(110)を所定の時間にわたって測定する、
請求項6から10のいずれか1項記載の方法。
【請求項12】
前記微分した振幅曲線(109)が予め定めたしきい値に達したとき、信号通知(106)を生成し、および/または、渦測定信号(100)を破棄する、
請求項10記載の方法。
【請求項13】
前記平均振幅(110)が予め定めたしきい値に達したとき、信号通知(106)を生成し、および/または、前記渦測定信号(100)を破棄する、
請求項11記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、測定管と、ケーシングと、渦発生体と、センサユニットとを有する渦流量計であって、該センサユニットが前記渦発生体により生じる渦測定信号を検出する機能を有する渦流量計に関する。さらに、本発明は、センサユニットと少なくとも1つの慣性センサとを有する渦流量計を動作する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
渦流量計は古くから知られている。その測定原理は以下のものである。すなわち、液体媒体または気体媒体中で、該媒体がその回りを流れる渦発生体の後ろに渦列が形成される。渦列は、流れとともに動き、渦発生体により発生される渦により形成される。渦が渦発生体により発生される周波数は流速に依存し、この相関性は特定条件下ではほぼ線形である。いずれにせよ、渦周波数の測定は媒体の流速を測定するのに適した手段であり、圧力および温度などの他の条件を考慮して、流量測定がなぜ渦周波数測定により間接的に可能であるのかを示す。渦列において生じる媒体の渦は、圧力を変動させ、これがセンサユニット、通常は圧力センサにより検出される。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
渦流量計における流速の測定は圧力変動に基づいているため、渦流量計は全体のシステムの振動に感度を有し、したがって、これは測定結果の品質に影響する。
【課題を解決するための手段】
【0004】
上述の従来技術に基づいて、本発明の課題は、測定結果の品質を向上可能な、渦流量計および渦流量計の動作方法を提供することである。
【0005】
上記課題は、本発明に係る、少なくとも1つの慣性センサが渦流量計に作用する寄生振動を検出するために付加的に設けられている渦流量計により解決される。慣性センサは通常は微小電気機械素子であり、角速度センサ、加速度センサおよび磁気センサから構成される。これらは、動き、配向および位置を測定するために慣性および/または地磁気場を用いる。複数の慣性センサを1つの慣性測定ユニットに組み込むことにより、動きの6つの自由度(3つの空間軸に関する並進および回転)が測定可能である。慣性センサについて以下で述べるが、意味するものは、常に、単一の動きの自由度を検出するための単一の慣性センサ、および、複数の動きの自由度を検出するための、異なる複数の慣性センサを1つの慣性測定ユニットに組み合わせたものである。渦流量計のセンサユニットは、渦測定信号を検出するよう機能し、ピックアップともいわれる。
【0006】
慣性センサは有利には最適な音響的結合で渦流量計に取り付けられ、渦流量計に作用する寄生振動は慣性センサにより検出可能である。好ましくは、本発明に係る慣性センサは、1つまたは複数の、好ましくは3つの垂直な空間軸に対して感度を有する加速度センサである。
【0007】
外側から渦流量計に作用する寄生振動は、たとえば、ポンプ、タービンまたはバルブおよび配管系に生じる他の流れの影響により生じる。慣性センサ(たとえば加速度センサ)の測定信号の評価により、渦流量計の渦測定信号は補正および評価可能であり、測定結果の質は改善される。
【0008】
渦流量計の製造コストは、渦流量計に設けられた測定および評価回路の基板に慣性センサを設ける第1の実施形態においては低減される。慣性センサは測定および評価回路基板に設けられるため、基板の製造における自動化工程により好適に取り付けられ、接続されるので、慣性センサの設置の労力は可能な限り低く維持される。測定および評価回路基板は、通常は渦流量計のケーシングに接続され、配管系に由来し、渦流量計に作用する振動は、ケーシングおよび基板上に拡がり、慣性センサにより検出可能である。
【0009】
渦流量計に作用する寄生振動を有利に検出するため、慣性センサがケーシングに取り付けられた別の実施形態が提供される。寄生振動はこの実施形態の渦流量計の要素により即時にピックアップされ、渦測定信号の補正に用いることができる、慣性センサは、ここでは、ケーシングに硬く、たとえばネジ、接着剤により取り付けられている。慣性センサをケーシングに取り付ける代わりとして、慣性センサが渦流量計の測定管に直接取り付けられた別の有利な実施形態も提供される。測定管に慣性センサを直接取り付けることにより、とりわけ配管系を通って直接測定管上を拡がる寄生振動を検出することができ、たとえば個々の要素による減衰による寄生振動の変化は生じない。
【0010】
本発明の好ましい実施形態によれば、慣性センサは特定の複数の空間軸にのみ、有利には、流量測定のために渦流量計のセンサユニットが感度を有する空間軸にのみ感度を有する。この実施形態は、センサまたはセンサユニットが1つのまたは2つの空間軸にのみ感度を有し、寄生振動の評価が、渦センサユニットにより検出されない空間方向において必要ではない渦流量計に特に適している。慣性センサ(有利には加速度センサ)は流量測定のために同様に評価される空間軸に対してのみ感度を有する。
【0011】
渦流量計の設計に依存して、有利には、ケーシングおよび測定管に依存して、複数の慣性センサが渦流量計の異なる位置に取り付けられ、有利には各センサが特定の1つの空間方向にのみ感度を有する場合に、別の実施形態が有利であることが示される。渦流量計のこの実施形態により、渦流量計の異なる領域の異なる空間方向に異なる程度で作用する寄生振動を検出することができ、たとえば、とりわけ、振動の一部が1つの特定の空間方向に強く作用する位置において、この振動の一部を特別に検出する加速度センサを設置することが有利である。
【0012】
結果として、渦流量計は、たとえば評価および測定回路の基板に取り付けられたx方向に感度を有する加速度センサと、たとえばケーシングに取り付けられたy方向に感度を有する加速度センサと、たとえば測定管に取り付けられたz方向に感度を有する加速度センサとを有してよい。もちろん、空間方向および加速度センサの位置の選択に関しては、多くの組み合わせが可能である。さらに、3つの空間方向のすべてに感度を有する慣性センサが3つの上記位置のそれぞれに設けられ、3つの慣性センサの測定信号が互いに比較可能なようにしてもよい。
【0013】
別の実施形態では、少なくとも1つの慣性センサが渦流量計を取り囲む配管系に設けられているものが特に有利であることが示される。このような慣性センサはたとえば配管系に磁石で取り付けられているが、有線または無線により渦流量計の測定および評価回路にさらに接続されている。
【0014】
このようにして、外側に設けられた慣性センサの測定信号を渦流量計の評価のためにさらに用いることができる。3つの空間方向すべてに感度を有する加速度センサが配管系の各端部の渦流量計の両側に設けられ、たとえば、寄生振動または異なる寄生振動の発生源をより精確に局所化可能である。
【0015】
渦流量計の測定信号に影響する寄生振動を慣性センサの測定信号の評価において識別し、渦測定信号の処理を慣性センサの評価された測定信号により少なくとも部分的に制御する、渦流量計の動作方法によっても上記課題は解決される。慣性センサの測定信号は、渦流量計に影響する寄生振動を識別するために適切な方法を用いて評価される。慣性センサ(好ましくは加速度センサ)の測定信号の分析により、寄生振動を異なる振動のカテゴリに分類することができる。すなわち、一方では、短期の影響から生じるような振動(たとえばバルブ動作)に割り当てられ、他方では、たとえば配管系において動作するポンプおよびタービンから生じる長期の一定した振動に割り当てられる。
【0016】
寄生振動の種類に応じて、慣性センサの評価された測定信号に基づいて渦信号の更なる処理が制御される。たとえば、相応する寄生振動と重なる渦測定信号は破棄され、または、寄生振動は(少なくとも部分的に)寄生振動に好ましく適応されたフィルタにより除去される。
【0017】
好ましい実施形態では、フィルタパラメタが慣性センサからの評価された測定信号に少なくとも部分的に基づいている適応フィルタにより、渦測定信号を処理することが有利であることが示される。渦測定信号の処理または後処理は、最終的に慣性センサの測定信号の特性に依存する。適応フィルタのパラメタは、最終的に、相応する寄生振動の種類および特性に対して手動でまたは自動で適応化され、有利なフィルタ性能が常に実現される。短期のノイズについては、たとえば相応する渦測定信号の完全な除去が適しており、一方で、長期のノイズについては、相応する渦測定信号の選択的なフィルタ除去が必要である。
【0018】
別の実施形態では、慣性センサの測定信号の振幅スペクトルを形成し、この振幅スペクトルを用いて適応フィルタのフィルタパラメタを決定する場合に、フィルタのパラメタ化が好ましい。慣性センサにより記録された測定信号の振幅スペクトルを用いて、たとえば、連続動作するタービンおよびポンプの寄生振動を測定信号中で識別することができる。慣性センサの測定信号の振幅スペクトルは、たとえば高速フーリエ変換または離散フーリエ変換を用いて計算される。ここで、1ブロック内のすべての離散スペクトル要素は常に計算される。
【0019】
たとえば、評価中のエネルギーおよび/またはメモリの節約を行うため、すなわち計算の労力が低減されるので、ブロックダイアグラムではないアルゴリズムを参照してもよい。ここで、完全な振幅スペクトルが1つのステップで計算されず、振幅スペクトルはステップ順に決定され、完全な振幅スペクトルは1回の全体の実行の後に得られる。たとえば、スライド離散フーリエ変換またはスライドゲーツェルアルゴリズムが計算アルゴリズムとして適している。単一の離散スペクトル部分は上記アルゴリズムを用いて計算され、この計算は周波数選択的に行われる。配管系の振動は、多くは、50Hz未満の周波数の低周波数範囲で生じる。
【0020】
これに関して、本方法の別の実施形態では、振幅スペクトルに生じるピークを適応フィルタのためのパラメタとして用いるときに特に有利であることが示される。フィルタのパラメタ化は人手で行われ、すなわちフィルタパラメタは作業者により設定され、または、評価および測定回路により自動で行われる。帯域消去フィルタ、有利にはノッチフィルタがたとえば渦測定信号のフィルタとして適しており、これは振幅スペクトルを用いて寄生振動(寄生周波数)を渦測定信号から除去し、これらの寄生振動が除かれたものが通される。
【0021】
ここで、寄生周波数が渦測定信号の測定周波数の範囲内にあるか、または、寄生周波数が測定信号の周波数の外側にあるかについて区別されるべきである。測定周波数の範囲内のノイズは基本的に同様にフィルタ除去可能であるが、有用な信号、すなわち渦測定信号が同じ周波数を有し、したがって同様に少なくとも部分的にフィルタ除去される危険性が存在する。渦測定信号と寄生振動とが非常に狭い周波数範囲で重なる限り、たとえば、対応する信号報告が発せられる。
【0022】
たとえばバルブの動作によって発生する短期の寄生振動を識別し、分類するため、別の実施形態では、振幅曲線を評価するために慣性センサの測定信号を測定し、振幅曲線を微分し、突然の変化を識別することができる。まずは、好ましくはデモジュレータによって慣性センサの振幅変調された信号から慣性センサの測定信号の振幅曲線を決定し、ついで、振幅曲線を時間で微分し、微分した振幅曲線を評価して、寄生振動の突然の変化を識別および評価することができる。この評価を用いて識別された寄生振動はたとえば評価および測定回路により破棄されるか、または、それぞれ適応フィルタにより除去される渦測定信号となる。渦測定信号はこの場合寄生振動から分離されず、これはいずれにせよ渦測定信号の短期のノイズに過ぎないため、しかし破棄される。
【0023】
渦測定信号を破棄することに加えてまたはその代わりに、別の実施形態では、たとえば測定がその時点で不可能であることを示す信号報告が生成されて発せられる。渦測定信号の破棄または除去、あるいは、信号報告の発信は、好ましくは、微分した振幅信号が予め定めたしきい値に達するまで、好ましくは超えるまで行われる。
【0024】
さらに、別の実施形態では、慣性センサの測定信号を振幅曲線の評価のために測定し、平均振幅を所定期間にわたって、有利には可変な時間フレームにわたって測定する。振幅曲線は、一方で、デモジュレータにより振幅変調された測定信号から好ましくは決定される。所定期間とは好ましくは可変な時間フレームであり、すなわち、一定に進む振幅信号について等量の時間分を後方に評価し、平均化することにより、平均化された振幅に関する値を得る。このとき、平均化された振幅の値の大きな変化は寄生振動の存在を示す。
【0025】
本発明の別の実施形態では、平均化された振幅が予め定めたしきい値に達したとき、信号報告が生成され、および/または、渦測定信号は破棄される。渦測定信号は、たとえば、評価および測定回路により破棄されるか、または、適応フィルタにより除去される。任意選択的な信号報告は、たとえば、寄生振動が存在することにより、その時点では有意な渦測定信号を測定できないことを示す。好ましくは、渦測定信号は、平均化された振幅が予め定めたしきい値に達するまで除かれるか、または、フィルタ除去される。
【0026】
好ましくは、慣性センサの測定信号の評価は、3つの上記評価方法の少なくとも2つ、すなわち、たとえば微分した振幅曲線の評価と並行した振幅スペクトルの評価、または、微分した振幅曲線の評価に並行した平均化された振幅の評価と並行した振幅スペクトルの評価と同時に行われる。3つの評価方法を用いた同時評価が特に好ましい。
【0027】
詳細には、本発明に係る渦流量計および本発明に係る渦流量計の動作方法の複数の可能な実施形態および改善が存在する。ここで、請求項1および6にかかる請求項、ならびに、以下の好適な実施形態を図面とともに参照されたい。
【図面の簡単な説明】
【0028】
図1a】実施形態に係る流量計の部分側断面図を示す。
図1b】実施形態に係る流量計の部分側断面図を示す。
図1c】実施形態に係る流量計の部分側断面図を示す。
図1d】実施形態に係る流量計の部分側断面図を示す。
図2】実施形態に係る流量計の部分側断面図を示す。
図3】実施形態に係る渦流量計の動作方法のフローチャートを示す。
図4】別の実施形態に係る渦流量計の動作方法のフローチャートを示す。
【発明を実施するための形態】
【0029】
図1a〜1dは、測定管2とケーシング3とを有する渦流量計1を示す。測定管2の内部には、渦発生体4が、測定管2の流路5の中央に全直径にわたって拡がっている。渦発生体4は、媒体が流路5内を流れるときに、渦発生体4の端に渦を形成させる。このとき、渦の周波数はセンサユニット6を用いて検出可能であり、渦測定信号は渦周波数から形成される。センサユニット6は本実施形態では圧電素子から構成され、渦発生体4の流れの反対方向の側に取り付けられている。
【0030】
渦流量計に作用する寄生振動を検出するため、これらの寄生振動を検出するための慣性センサ7が図1aの実施形態ではさらに設けられている。図1aでは、慣性センサ7は加速度センサであり、3方向の空間軸に関して感度を有する。慣性センサ7は測定および評価回路8の基板に設けられており、これに接続されている。
【0031】
図1bの実施形態では、慣性センサ7が渦流量計1のケーシング3に取り付けられている。図1cの実施形態では、慣性センサ7は渦流量計1の測定管2に取り付けられている。図1dの実施形態では、2つの慣性センサ7が設けられており、各慣性センサ7は渦流量計1を取り囲む配管系9の1つの側に取り付けられている。
【0032】
慣性センサ7は図1a〜1dの4つの実施形態のすべてにおいて、3方向の空間軸に関して感度を有し、このため、渦流量計1に作用する寄生振動の評価が可能である。さらに、慣性センサ7のすべては、渦流量計1の測定および評価回路8に接続されており、このため、慣性センサ7の測定信号はここで評価される。さらに、渦流量計1のセンサユニット6は測定信号を送るために常に測定評価回路8に常に接続されている。
【0033】
図2は基本的設計に関する図1a〜1dにおける実施形態に基本的に関連する渦流量計1の別の実施形態を示す。この実施形態では、3つの慣性センサ7a、7b、7cが渦流量計1の3つの異なる位置に設けられている。すなわち、第1の慣性センサ7aは測定および評価回路の基板に、第2の慣性センサ7bはケーシングに、第3の慣性センサ7cは測定管2に設けられている。慣性センサ7a、7b、7cは、それぞれただ1つの空間方向に感度を有する。すなわち、慣性センサ7aはz方向zに感度を有し、慣性センサ7bはy方向yに感度を有し、慣性センサ7cはx方向xに感度を有する。慣性センサ7a、7b、7cの3つの測定信号は組み合わされ、測定および評価回路8によりともに評価される。センサ7a、7b、7cの個別の配置は各慣性センサ7a、7b、7cがその空間方向に関する寄生振動の検出に関して最適である位置に設けられているという利点がある。
【0034】
図3は、一実施形態に係る渦流量計の動作方法のフローチャートを示す。渦流量計の動作中、センサユニット6により寄生振動101と重なる渦測定信号100が検出される。同時に、慣性センサ7は個別に、実質的に寄生振動101に相応する測定信号102を検出する。測定信号102が慣性センサ7により検出された後、測定信号102からの寄生振動101の種類の識別103が行われ、寄生振動101の種類に応じて、相応するフィルタパラメタ104が得られる。
【0035】
フィルタパラメタ104は適応フィルタ105のパラメタ化に用いられる。適応フィルタ104は、測定信号102およびしたがって寄生振動101から得られるフィルタパラメタ104に基づいて、寄生振動101から渦測定信号100を分離し、最終的に、補正された渦測定信号100を出力する。単に短期に発生する寄生振動101に関して、渦測定信号100自体は好ましくは破棄されるかまたは完全に除去され、たとえば、寄生振動101により渦測定信号100を発することができないこと示すただ1つの信号報告106が発せられる。
【0036】
図4のフローチャートは、渦流量計を動作する方法の別の実施形態を示し、基本的には図3のフローチャートに対応するが、識別103が同時に実行される少なくとも2つの評価プロセスにおいて異なる。その1つでは、慣性センサ7により検出される測定信号102の振幅スペクトル107を形成し、この振幅スペクトル107からフィルタパラメタ104を得る。有利には、振幅スペクトル107から得られるフィルタパラメタ104は、振幅スペクトル107に生じるピークから得られる、ノッチフィルタのための相応するフィルタ周波数を含む。
【0037】
もう1つでは、慣性センサ7により検出された測定信号102の振幅曲線108を形成する。その後、振幅曲線108を微分し、微分値109によって測定信号102およびしたがって寄生振動101の突然の変化を識別することができる。微分値108から識別可能な測定信号102の異常な変化において、たとえば、渦測定信号100の予め定めたしきい値を微分値109が超える場合には、微分値109が予め定めたしきい値を超える限りにおいて、渦測定信号100を完全に除去する、相応するフィルタパラメタ104が形成される。
【0038】
さらに、所定期間にわたる振幅曲線108から平均振幅110を形成する。平均振幅110が予め定めたしきい値を超えるか、または、実質的な変化がある限り、好ましくは相応する渦測定信号100を除去する別のフィルタパラメタ104がこれより得られる。渦測定信号100がたとえば微分値109から決定されたフィルタパラメタ110により完全に除去されたとき、好ましくは、その時点で渦測定信号11を発することができないことを示す信号報告106が同様に発せられる。
【符号の説明】
【0039】
1 渦流量計、 2 測定管、 3 ケーシング、 4 渦発生体、 5 流路、 6 センサユニット、 7 慣性センサ、 8 測定および評価回路、 9 配管系、 100 渦測定信号、 101 寄生振動、 102 測定信号、 103 識別、 104 フィルタパラメタ、 105 適応フィルタ、 106 信号報告、 107 振幅スペクトル、 108 振幅曲線、 109 微分値、 110 平均振幅
図1a
図1b
図1c
図1d
図2
図3
図4