特許第6073072号(P6073072)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6073072
(24)【登録日】2017年1月13日
(45)【発行日】2017年2月1日
(54)【発明の名称】ナノファイバー不織布を用いたろ過装置
(51)【国際特許分類】
   B01D 39/16 20060101AFI20170123BHJP
   G01N 1/10 20060101ALI20170123BHJP
   G01N 33/48 20060101ALI20170123BHJP
   G01N 1/28 20060101ALI20170123BHJP
【FI】
   B01D39/16 A
   G01N1/10 B
   G01N33/48 H
   G01N1/10 V
   G01N1/28 J
【請求項の数】15
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2012-103960(P2012-103960)
(22)【出願日】2012年4月27日
(65)【公開番号】特開2013-230438(P2013-230438A)
(43)【公開日】2013年11月14日
【審査請求日】2015年4月24日
(73)【特許権者】
【識別番号】509127147
【氏名又は名称】株式会社キコーコーポレーション
(74)【代理人】
【識別番号】100078282
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 秀策
(74)【代理人】
【識別番号】100062409
【弁理士】
【氏名又は名称】安村 高明
(74)【代理人】
【識別番号】100113413
【弁理士】
【氏名又は名称】森下 夏樹
(72)【発明者】
【氏名】関口 徹
(72)【発明者】
【氏名】渡邉 あい子
【審査官】 関根 崇
(56)【参考文献】
【文献】 特表2008−523356(JP,A)
【文献】 特開平03−163361(JP,A)
【文献】 特開2007−101482(JP,A)
【文献】 特開2006−289209(JP,A)
【文献】 特開2011−183389(JP,A)
【文献】 特開平08−243116(JP,A)
【文献】 特開2007−236551(JP,A)
【文献】 特開2006−239178(JP,A)
【文献】 特開2000−065834(JP,A)
【文献】 国際公開第1997/023266(WO,A1)
【文献】 特開2001−183363(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B01D 39/16
G01N 1/10
G01N 1/28
G01N 33/48
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ナノファイバーからなる不織布、および毛細管現象を惹起する基材、を備えるろ過装置の製造方法であって、該方法は、接着剤または糊のいずれも用いることなく該不織布を該基材の表面に貼付する工程を包含し、ここで、該貼付する工程は、以下:
(a)該不織布を該基材の表面に配置する工程;
(b)該配置された不織布に水性溶液を散布する工程;および
(c)該水溶液を散布した不織布を乾燥する工程;
を包含する、方法。
【請求項2】
前記不織布が、ポリエステル、レーヨン、アクリル、ナイロン、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエチレンテレフタレート(PET)、および、4フッ化エチレンからなる群から選択される材料から製造されるナノファイバーからなる不織布である、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記ナノファイバーの太さが10〜500nmである、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記ナノファイバーの太さが100〜200nmである、請求項3に記載の方法。
【請求項5】
前記不織布の厚さが1〜30μmである、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
前記不織布の厚さが5〜20μmである、請求項5に記載の方法。
【請求項7】
前記毛細管現象を惹起する基材が、ガラス製のマイクロ流路、親水性に表面処理されたプラスチック製マイクロ流路、表面に親水性の凹凸がある金属、および、表面に親水性の凹凸があるプラスチック製の成形物からなる群から選択される、請求項1に記載の方法。
【請求項8】
ナノファイバーからなる不織布、および毛細管現象を惹起する基材、を備える測定用チップの製造方法であって、該方法は、接着剤または糊のいずれも用いることなく該不織布を該基材の表面に貼付する工程を包含し、ここで、該貼付する工程は、以下:
(a)該不織布を、該基材の表面に配置する工程;
(b)該配置された不織布に水性溶液を散布する工程;および
(c)該水溶液を散布した不織布を乾燥する工程;
を包含する方法であって、ここで、該基材が測定用試薬を含む、方法。
【請求項9】
前記不織布が、ポリエステル、レーヨン、アクリル、ナイロン、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエチレンテレフタレート(PET)、および、4フッ化エチレンからなる群から選択される材料から製造されるナノファイバーからなる不織布である、請求項8に記載の方法。
【請求項10】
前記ナノファイバーの太さが10〜500nmである、請求項9に記載の方法。
【請求項11】
前記ナノファイバーの太さが100〜200nmである、請求項10に記載の方法。
【請求項12】
前記不織布の厚さが1〜30μmである、請求項8に記載の方法。
【請求項13】
前記不織布の厚さが5〜20μmである、請求項12に記載の方法。
【請求項14】
前記毛細管現象を惹起する基材が、ガラス製のマイクロ流路、親水性に表面処理されたプラスチック製マイクロ流路、表面に親水性の凹凸がある金属、および、表面に親水性の凹凸があるプラスチック製の成形物からなる群から選択される、請求項8に記載の方法。
【請求項15】
前記測定用試薬が、グルコース測定試薬である、請求項8に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ナノファイバーの不織布を用いたろ過装置または測定機器の分野に関する。
【背景技術】
【0002】
生体成分からの特定の成分の分離、回収、精製、または、ろ過においてフィルターを用いることがある。例えば、血液のような生体成分を対象として、多数の材料、例えば、ペーパー、織物、ガラスあるいは化繊などの適当なポアサイズを持っている膜材料がフィルターを形成するために使用されている。
【0003】
従来法において、例えば、特許文献1には、特定の大きさのガラス繊維濾紙と多孔質膜とを積層して用いる方法が開示されている。また、特許文献2は、赤血球凝集剤を担持することができるガラス繊維からなるフィルターと全血を接触させることによって、赤血球から血漿又は血清を分離するための装置に関するものであり、ガラス繊維フィルターの厚さ、直径を規定し、その間に全血を通し毛管力で分離した血漿又は血清を毛管流装置に移送する方法を教示している。しかし、どちらの方法も、血漿又は血清の実用的な分離産出量が通常25%以下であり、容易に目詰まりする。また、ガラス繊維フィルターは細菌ないしウイルスなどをろ過することはできないため、細菌ないしウイルスの同定などにガラス繊維フィルターを用いるフィルターを用いることはできない。
【0004】
ナノファイバーからなる不織布は、細菌ないしウイルスを捕獲できる大きさの孔径を有するように作製することが可能である。しかしながら、ナノファイバーはあまりにも薄く、強度が低いため、基材上で作製しなければフィルターとして利用することはできない。また、従前、ナノファイバーからなる不織布を基板上の貼付するには糊が必要であったが、糊を用いて貼付したナノファイバーからなる不織布に溶液を添加すると糊の成分が溶出するため、ろ過および/または精製に用いるには不適切であった。
【0005】
そこで、容易に目詰まりすることなく、かつ、細菌またはウイルスをろ過することができるフィルターが求められている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】米国特許第4,816,224号
【特許文献2】米国特許第4,753,776号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、容易に目詰まりすることなく、かつ、細菌および/またはウイルスをろ過することができるろ過装置を提供することを、解決課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題は、(1)ナノファイバーの不織布;および、(2)毛細管現象を惹起する基材を備えるろ過装置であって、該不織布が、該基材の表面に貼付されている、ろ過装置を提供することによって解決された。また、本発明において、そのようなろ過装置を用いる測定用チップもまた提供される。さらに、本発明において、そのようなろ過装置を用いるサンプルのろ過方法および精製方法もまた提供される。
【0009】
本発明は、例えば、以下を提供する:
(項目1)
ナノファイバーからなる不織布、および毛細管現象を惹起する基材、を備えるろ過装置であって、該不織布が該基材の表面に貼付されている、ろ過装置。
(項目2)
前記貼付が、以下:
(a)前記不織布を前記基材の表面に配置する工程;
(b)該配置された不織布に水性溶液を散布する工程;および
(c)該水溶液を散布した不織布を乾燥する工程;
を含む方法によって行われる、項目1に記載のろ過装置。
(項目3)
前記不織布が、ポリエステル、レーヨン、アクリル、ナイロン、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエチレンテレフタレート(PET)、および、4フッ化エチレンからなる群から選択される材料から製造されるナノファイバーからなる不織布である、項目2に記載のろ過装置。
(項目4)
前記ナノファイバーの太さが10〜500nmである、項目3に記載のろ過装置。
(項目5)
前記ナノファイバーの太さが100〜200nmである、項目4に記載のろ過装置。
(項目6)
前記不織布の厚さが1〜30μmである、項目3に記載のろ過装置。
(項目7)
前記不織布の厚さが5〜20μmである、項目6に記載のろ過装置。
(項目8)
前記毛細管現象を惹起する基材が、ガラス製のマイクロ流路、親水性に表面処理されたプラスチック製マイクロ流路、表面に親水性の凹凸がある金属、および、表面に親水性の凹凸があるプラスチック製の成形物からなる群から選択される、項目3に記載のろ過装置。
(項目9)
ナノファイバーからなる不織布、および毛細管現象を惹起する基材、を備える測定用チップであって、該不織布が、該基材の表面に貼付されており、そして、該基材が測定用試薬を含む、測定用チップ。
(項目10)
前記貼付が、以下:
(a)前記不織布を、前記基材の表面に配置する工程;
(b)該配置された不織布に水性溶液を散布する工程;および
(c)該水溶液を散布した不織布を乾燥する工程;
を含む方法によって行われる、項目9に記載の測定用チップ。
(項目11)
前記不織布が、ポリエステル、レーヨン、アクリル、ナイロン、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエチレンテレフタレート(PET)、および、4フッ化エチレンからなる群から選択される材料から製造されるナノファイバーからなる不織布である、項目10に記載の測定用チップ。
(項目12)
前記ナノファイバーの太さが10〜500nmである、項目11に記載の測定用チップ。
(項目13)
前記ナノファイバーの太さが100〜200nmである、項目12に記載の測定用チップ。
(項目14)
前記不織布の厚さが1〜30μmである、項目11に記載の測定用チップ。
(項目15)
前記不織布の厚さが5〜20μmである、項目14に記載の測定用チップ。
(項目16)
前記毛細管現象を惹起する基材が、ガラス製のマイクロ流路、親水性に表面処理されたプラスチック製マイクロ流路、表面に親水性の凹凸がある金属、および、表面に親水性の凹凸があるプラスチック製の成形物からなる群から選択される、項目11に記載の測定用チップ。
(項目17)
前記測定用試薬が、グルコース測定試薬である、項目9に記載の測定用チップ。
(項目18)
項目1〜8のいずれか一項に記載のろ過装置を用いてサンプルをろ過する方法であって、前記不織布にサンプルを添加する工程を包含する、方法。
(項目19)
項目18に記載の方法であって、さらに、前記不織布に加圧する工程を包含する、方法。
(項目20)
項目18に記載の方法であって、さらに、前記基材から減圧する工程を包含する、方法。
(項目21)
項目1〜8のいずれか一項に記載のろ過装置を用いてサンプル中の所望の成分を精製する方法であって、前記不織布にサンプルを添加する工程を包含する、方法。
(項目22)
項目21に記載の方法であって、さらに、前記不織布に加圧する工程を包含する、方法。
(項目23)
項目21に記載の方法であって、さらに、前記基材から減圧する工程を包含する、方法。
【発明の効果】
【0010】
本発明にしたがって、容易に目詰まりすることなく、かつ、細菌またはウイルスをろ過することができるろ過装置が提供される。また、本発明において、そのようなろ過装置を用いる測定用チップもまた提供される。さらに、本発明において、そのようなろ過装置を用いるサンプルのろ過方法および精製方法もまた提供される。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1図1は、例示的な本発明のろ過装置の断面図を示す。
図2図2は、例示的な本発明のろ過装置の製造方法を示す。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明の実施の形態を説明するが、この実施形態は本発明の例示であり、本発明の範囲はそのような好ましい実施形態に限定されないことが理解されるべきである。当業者はまた、以下のような好ましい実施例を参考にして、本発明の範囲内にある改変、変更などを容易に行うことができることが理解されるべきである。
(1.本発明のろ過装置)
本発明のろ過装置は、図1に示すように、ナノファイバーからなる不織布12および毛細管現象を惹起する基材11を備え、そして、不織布12が該基材11の表面に貼付されている。
【0013】
不織布12は、基材11の表面に密着しており、そのため、不織布12の表面(不織布12における基材11表面に貼付されている面と反対側の面)に液体状のサンプルを添加すると、その液体は、毛細管現象によって、不織布12の表面から不織布12内を通過し、基材11側に移動する。その際、不織布12を通過できないサンプル中の物質は、基材11内に移動することなく不織布12の表面および/または不織布12の中に留まる。
【0014】
ナノファイバーとしては、任意のナノファイバー、すなわち、1ミクロン以下の太さの任意の繊維を使用することができる。ナノファイバーの太さは、好ましくは10〜500nm、より好ましくは100〜200nmであるが、これに限定されない。
【0015】
好ましくは、本発明のナノファイバーは、表面が親水性であり、酸、アルカリ、無機塩類、脂質、糖質、蛋白質などを不純物として含まない。ナノファイバーは、代表的には、ポリエステル、レーヨン、アクリル、ナイロン、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエチレンテレフタレート(PET)、および、4フッ化エチレンからなる群から選択される材料から製造されるナノファイバーであるが、これらに限定されない。。
【0016】
ナノファイバーとしては、好ましくは、ナノファイバーの不織布を用いる。
【0017】
不織布12の厚さは、好ましくは1〜30μm、より好ましくは5〜20μmであるが、これに限定されない。不織布の孔径は、好ましくは0.5〜10μm、より好ましくは2〜5μmであるが、これらに限定されない。
【0018】
本発明のろ過装置10における毛細管現象を惹起する基材11は、典型的にはシート状のものであり、その厚みは、好ましくは10〜500μm、より好ましくは20〜100μmであるが、これらに限定されない。
【0019】
基材11としては、例えば、ガラス製のマイクロ流路、親水性に表面処理された成形樹脂製マイクロ流路、表面に親水性の凹凸があり毛細管現象が起こる金属の成型物、および、表面に親水性の凹凸があり毛細管現象が起こる成形樹脂からなる群から選択される基材を用いることができる。表面の凹凸は、例えば、エンボス加工によって作製することができる。あるいは、基材11としては、メッシュや発泡体を用いることもできる。例えば、基材11は、中央に穴のあるプラスチックの板にピラーをナノインプリントしたものであってもよい。
【0020】
基材11が毛細管現象を惹起するためには、毛細管現象によって不織布12から基材11に移動した溶液が、側面、および/または、基材11における不織布12と反対面から排出されることが好ましい。そのため、基材11は、好ましくは、不織布12から移動した溶液を排出するための排出口を少なくとも1つ備える。排出口は、移動した溶液を排出することができる限り、任意の大きさの排出口であってよい。
【0021】
基材11は、必ずしも排出口を備える必要はない。基材11が排出口を備えない場合、不織布12から基材11に移動した溶液は基材11内に留まるが、この場合であっても、基材11が毛細管現象を惹起することによって不織布12から基材11に溶液が移動する。
【0022】
表面を親水性処理した成形樹脂として使用する樹脂としては、ポリエステル、ABS(アクリロニトリル・ブタジエン・スチレン共重合体)、アクリル樹脂、PC(ポリカーボネート)、ポリアミド、PS(ポリスチレン)などの熱可塑性樹脂、生物分解性樹脂、紫外線硬化性樹脂などが挙げられるがこれらに限定されない。代表的には、熱可塑性樹脂を使用することができる。好ましい樹脂は、PC、ABS、PMMA(アクリル)、およびPSなどの透明樹脂であるがこれらに限定されない。
【0023】
(2.基材表面の親水性表面処理)
基材表面の親水性処理には、任意の方法を利用することが可能である。代表的な親水性処理は、装置内に大気ガスまたはアルゴンなどのガスを入れ、真空中でガスを活性化させ基板表面に当てることで、基板表面に水酸基を増大させる方式である。
【0024】
使用するガス、電源方式(RF,DCなど)、真空の程度(高真空(10の−3乗Pa程度以上)〜低真空(1〜100Pa程度))を選択することによって、親水性処理条件を調節することができる。好ましくは、親水性処理によって、基板の表面の水接触角を20°以下、または、2〜15°、または、10°以下とする。水接触角は、JIS R3257(静滴法、簡易的にθ/2法などとも呼ばれる。)に準拠して測定することが可能である。親水性処理の条件は、樹脂の種類に応じて、真空度、投入電力、処理時間を変更すればよい。
【0025】
一般には、電極と処理対象基板の距離がおよそ1〜300mmで、基板を公転して処理する場合、投入電力は0.4〜3(KW)、処理時間は1〜300(秒)、真空度は0.1〜50(Pa)である。好ましくは、投入電力は1.6〜2(KW)、処理時間は60〜120(秒)、真空度は5〜20、特に10(Pa)である。また、基板を静止させて処理することも可能であり、その場合、処理時間は公転の場合のおおむね、1/5〜1/50にすればよい。
【0026】
毛細管現象を利用するために適切な微小流路の幅は、使用するサンプルの粘性などを考慮して、当業者が適宜決定することができる。微小流路の幅は、代表的には0.05mm〜5mm、好ましくは0.1mm〜5mm、より好ましくは1mm〜3mm、最も好ましくは1mm〜2mmである。
【0027】
本発明の微小流路は、例えば、単独の流路を利用することができる。その一方で、毛細管現象を利用するために微小流路の幅が制限されることから、本発明においては、必要に応じて、複数の並行の微小流路を作製することもできる。
【0028】
(3.ろ過装置の製造)
本発明のろ過装置の製造における不織布12の基材11表面への貼付は、例えば、以下:
(a)不織布12を、基材11の表面に配置する工程;
(b)配置された不織布12に水性溶液を散布する工程;および
(c)水性溶液を散布した不織布12を乾燥する工程;
を含む方法によって行われる。
【0029】
この方法を用いることにより、接着剤または糊のいずれも用いることなく、不織布12を基材11表面に貼付することができる。また、この方法を用いることによって、不織布12を基材11に密着させることができる。そのため、この方法によって製造されたろ過装置では、基材11の毛細管現象により、不織布12における基材11が貼付されていない表面に添加した液状サンプル中の不織布12にトラップされない成分(例えば、水性溶媒)が、基材11に移動する。
【0030】
不織布12の大きさは、基材11を備えた容器21全体を覆うことが好ましいが、これに限定されない。不織布12は、基材11と同じ大きさであっても、基材11より小さくても良い。
【0031】
上記工程(b)において散布する水性溶液には、任意の水性溶液を利用することが可能である。好ましくは、水、生理食塩水、または、緩衝液を散布する。水性溶液を散布する場合、基材を減圧し、圧力差によって散布した水性溶液を除去してもよい。
【0032】
上記工程(c)の乾燥は、ナノファイバーおよび基材11を熱変性させない温度であれば、任意の温度を利用することができる。乾燥温度は、好ましくは1℃〜45℃、より好ましくは10℃〜30℃である。
【0033】
基材11として発泡体またはステンレスメッシュを用いた本発明のろ過装置の例示的な製造方法を図2に示す。その詳細は、以下の通りである:
使用した容器21は内部に皿状の収容部22を有し、該収容部22と連通してドレイン23が設けられている。
(i)容器21の収容部22内に基材11(例えば、発泡体またはステンレスメッシュ)を配置する;
(ii)ナノファイバーからなる不織布12を、基材11の全表面を覆うように容器21に被せる;
(iii)不織布12の表面に水を散布する(その際に、使用した水は不織布および基材を通過してドレイン23から抜き出される。);
(iv)熱源41を用いて、不織布12および基材11を加熱、乾燥して、ろ過装置10が作製される。
【0034】
(4.ろ過装置の使用)
本発明のろ過装置では、不織布12の表面に滴下した液状サンプル中の不織布12にトラップされない成分(例えば、水性溶媒)が、基材11の毛細管現象により基材11に移動する。
【0035】
すなわち、本発明のろ過装置では、不織布12の孔径によってサンプル中の微粒子(例えば、細菌またはウイルス)が分離され、不織布12上または不織布12内に濃縮される。不織布12上または不織布12内に濃縮された微粒子、または、ろ過されて基材11に移動した溶液(もしくは、溶液中の成分)のいずれかまたは両方を使用することができる。
【0036】
(4.1.遠心力による展開)
毛細管現象を用いることなく、または、毛細管現象とともに、遠心力を用いて展開をすることも可能である。遠心力の程度および時間は、当業者が適宜選択することができる。
【0037】
(4.2.液相の追加による展開)
毛細管現象を用いる際に、導入部に残存する液相の量が少ない場合、展開の速度が低下する。そのため、導入分に添加する液相(例えば、サンプル溶液)の量を調節することによって、分離・精製の速度を調節すること、ないし、分離・精製を一時的に中断することが可能である。そのような場合に、不織布にサンプルおよび/または液相を追加することによって、分離・精製を再開する、または、分離・精製速度を増加することが可能である。
【0038】
(5.ろ過装置を使用する測定用チップ)
本発明のろ過装置の基材11内、または、基材11の下部に、測定用試薬を配置することにより、本発明のろ過装置を使用する測定用チップを製造することができる。例えば、測定用試薬を、容器21の内部であって、基材11の下部(すなわち、不織布12と反対側)に配置してもよい。
【0039】
測定用試薬としては、例えば、グルコース測定試薬、酵素免疫反応を使った試薬、抗原抗体反応を使用する試薬(例えば、抗体)、および、HbA1c(ヘモグロビン・エイワンシー)が挙げられるがこれらに限定されない。
【産業上の利用可能性】
【0040】
本発明にしたがって、容易に目詰まりすることなく、かつ、細菌またはウイルスをろ過することができるろ過装置が提供される。また、本発明において、そのようなろ過装置を用いる測定用チップもまた提供される。さらに、本発明において、そのようなろ過装置を用いるサンプルのろ過方法もまた提供される。
【符号の説明】
【0041】
10 ろ過装置
11 毛細管現象を惹起する基材
12 ナノファイバーの不織布
21 容器
22 収容部
23 ドレイン
31 散布する水性溶液
41 乾燥用熱源
図1
図2