(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
隣接して配される前記有機ELモジュールを互いに電気的に並列接続して並列接続モジュール列を形成し、複数の並列接続モジュール列を直列接続することを特徴とする請求項4乃至6のいずれかに記載の有機ELモジュールの給電構造。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
ところで、有機ELモジュールを照明装置として使用するとき、複数の有機ELモジュールを天井や壁等に敷き詰めて配置することがある。この場合、一般的に、所定の有機ELモジュールと外部電源との間を電気的に接続された状態とし、この所定の有機ELモジュールと他の有機ELモジュールとの間をリード線等を介して電気的に接続された状態で使用する。すなわち、並列した状態で配される複数の有機ELモジュールを電気的に接続していくことで各有機ELモジュールに電気を供給して使用している。
【0011】
しかしながら、従来技術の有機ELモジュール同士をリード線等で接続したのでは、リード線の下流側になるにつれて電圧が低くなっていく、所謂電圧降下が発生してしまうという問題がある。ここで、有機ELモジュールの発光体である有機EL素子は、印加された電圧の値に応じた輝度(発光強度)の光を発する構造となっている。このため、リード線の延設等に起因する電圧降下は、有機ELモジュールの輝度ムラ(発光ムラ)の原因となってしまう。
【0012】
そこで本発明は、従来技術の問題点に鑑み、天井や壁等に複数の有機ELモジュールを平面的に敷き詰めて配置したときに輝度ムラの発生することのない有機ELモジュール、並びに、そのような有機ELモジュールに給電するための有機ELモジュールの給電構造を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0013】
上記課題を解決するための請求項1に記載の発明は、面状に広がりを有する基材に、少なくとも第1電極層と、有機発光層と、第2電極層とが積層された層構成を有する有機EL装置を備えた有機ELモジュールにおいて、前記第1電極層に導通する第1導通部材と、前記第2電極層に導通する第2導通部材とが対となる接続部が設けられ、前記接続部は、基材の複数の辺又は基材の周部の複数部位に設けられており、当該有機ELモジュールの構成物以外の導電体が当該有機ELモジュールの側面側からそれぞれの接続部に直接接触できる
ものであり、第1給電部材と、絶縁層と、第2給電部材を有し、前記第1給電部材及び前記第2給電部材は、いずれも板状又は箔状であり、一部が欠落した部分である第1給電部材欠落部及び第2給電部材欠落部がそれぞれに別途形成されるものであり、前記第1給電部材と前記第2給電部材とは形状が相違し、前記第1給電部材と前記第2給電部材の両者を重ね合わせたとき、前記第1給電部材の少なくとも一部が前記第2給電部材欠落部を前記有機EL装置の部材厚方向に投影した領域に位置するものであり、且つ、前記第2給電部材の少なくとも一部が前記第1給電部材欠落部を前記有機EL装置の部材厚方向に投影した領域に位置するものであって、前記絶縁層を間に挟んだ状態で前記第1給電部材と前記第2給電部材とが重ねられ、前記第1給電部材は、直接又は導電部材を介して前記第1電極層又は前記第2電極層の一方に接続され、前記第2給電部材は、直接又は導電部材を介して前記第1電極層又は前記第2電極層の他方に接続されるものであり、前記第1給電部材と前記第2給電部材とが前記第1導通部材及び前記第2導通部材として機能し、両者が対となって前記接続部を構成していることを特徴とする有機ELモジュールである。
【0014】
本発明の有機ELモジュールは、有機EL装置の第1電極層と導通する第1導通部材と、有機EL装置の第2電極層と導通する第2導通部材とを接続部、すなわち、外部の部材と電気的に接続する際の接点として機能させている。そして、この接続部を基材の複数の辺又は基材の周部の複数部位に設け、外部の導電体が側面側からそれぞれの接続部に直接接触できる構成としている。
このような構成によると、並列して配置した有機ELモジュール同士を電気的に接続する際、リード線等の導電体を長く引き延ばすことなく電気的な接続が可能となる。
具体的に説明すると、複数の有機ELモジュールを平面的に敷き詰めていくとき、それぞれの有機ELモジュールの側面は、隣接する他の有機ELモジュールの側面に接触又は極めて近接することとなる。ここで、本発明の有機ELモジュールは、外部の導電体が側面側から接続部に直接接触できる構成となっている。つまり、本発明の有機ELモジュールの側面には、外部の導電体が接続部に対して直接接触するための部分が位置することとなる。したがって、本発明の有機ELモジュールを平面的に敷き詰めていくと、隣接する有機ELモジュールにそれぞれ形成された接続部に直接接触するための部分同士が近接して配されることとなる。このことにより、隣接する有機ELモジュールにそれぞれ形成された接続部同士を直接接触させてこれらを電気的に接続する場合はもちろん、隣接する有機ELモジュールにそれぞれ形成された接続部の間に導電体を介在させてこれらを電気的に接続する場合であっても、リード線等の導電体を長く引き延ばすことなく電気的な接続が可能となる。このことにより、際立った電圧降下が発生してしまうことがなく、輝度ムラが発生することがない。
【0015】
請求項2に記載の発明は、前記基材は多角形又は円形であり、少なくとも対向する2辺に前記接続部の少なくとも一部が配されることを特徴とする請求項1に記載の有機ELモジュールである。
【0016】
かかる構成によると、対向する2辺の内の一方側で他の有機ELモジュールと電気的に接続された状態とし、他方側でさらに別の有機ELモジュールと電気的に接続された状態とすることができる。そして、そのいずれの有機ELモジュールとの接続においても、リード線等の導電体を長く引き延ばすことなく電気的な接続が可能となる。このため、複数の有機ELモジュールを平面的に敷き詰め、隣接する有機ELモジュールを電気に接続していく際に特に好適である。
【0017】
請求項3に記載の発明は、前記接続部は、前記基材の辺又は円周部から外側に突出していることを特徴とする請求項1又は2に記載の有機ELモジュールである。
【0018】
かかる構成では、接続部の少なくとも一部を他の導電体との接続作業をし易い位置に配することができるので、並列した有機ELモジュール間の電気的な接続を比較的容易に実施することができる。
【0019】
本発明は、第1給電部材と、絶縁層と、第2給電部材を有し、前記第1給電部材及び前記第2給電部材は、いずれも板状又は箔状であり、一部が欠落した部分である第1給電部材欠落部及び第2給電部材欠落部がそれぞれに別途形成されるものであり、前記第1給電部材と前記第2給電部材とは形状が相違し、前記第1給電部材と前記第2給電部材の両者を重ね合わせたとき、前記第1給電部材の少なくとも一部が前記第2給電部材欠落部を鉛直方向に投影した領域に位置するものであり、且つ、前記第2給電部材の少なくとも一部が前記第1給電部材欠落部を鉛直方向に投影した領域に位置するものであって、前記絶縁層を間に挟んだ状態で前記第1給電部材と前記第2給電部材とが重ねられ、前記第1給電部材は、直接又は導電部材を介して前記第1電極層又は前記第2電極層の一方に接続され、前記第2給電部材は、直接又は導電部材を介して前記第1電極層又は前記第2電極層の他方に接続されるものであり、前記第1給電部材と前記第2給電部材とが前記第1導通部材及び前記第2導通部材として機能し、両者が対となって前記接続部を構成してい
る。
【0020】
かかる構成では、有機ELモジュールの厚さを十分に薄くすることが可能であり、且つ、有機ELモジュールの水平方向の大きさ(幅や奥行き)を必要最小限の大きさとすることができるので、より小型化が可能となっている。
具体的に説明すると、この構成では、有機EL装置の第1電極層又は第2電極層に電気を供給するための第1給電部材及び第2給電部材が板状又は箔状であって、いずれもその厚さが比較的薄くなっている。そのため、第1給電部材と第2給電部材とを重ね合わせた状態で配しても、有機ELモジュール全体の厚さが際立って厚くなってしまうことはなく、有機ELモジュールを十分に薄くできる。
【0021】
さらに、かかる構成の有機ELモジュールでは、第1給電部材及び第2給電部材にその一部を欠落させた部分である第1給電部材欠落部と第2給電部材欠落部とがそれぞれ形成されており、2部材間で形状が相違している。そして、第1給電部材と第2給電部材の両者を絶縁層を間に挟んだ状態で重ね合わせたとき、前記第1給電部材の少なくとも一部が前記第2給電部材欠落部を鉛直方向に投影した領域に位置するものであり、且つ、前記第2給電部材の少なくとも一部が前記第1給電部材欠落部を鉛直方向に投影した領域に位置する構造となっている。
つまり、本発明の有機ELモジュールでは、第1給電部材と第2給電部材を絶縁層を間に挟んだ状態で重ね合わせたとき、それぞれの部材の一部が他の部材と重ならないようにすることで、水平方向の大きさ(幅や奥行き)を必要以上に大きくすることなく、有機EL装置の第1電極層と第2電極層に第1給電部材と第2給電部材とを接続(接触)させることができる。
【0022】
具体的に説明すると、第1電極層と第2電極層に第1給電部材と第2給電部材とをそれぞれ接続(接触)させる際、短絡等を防止すべく、第1給電部材と第2給電部材の電気的な接触を防止する必要がある。しかしながら、第1給電部材の内側又は外側に第2給電部材を配するといったように、第1給電部材と第2給電部材とを水平方向でずれた位置に配することでこれらの接触を防止する構造、すなわち、第1給電部材と第2給電部材うちの一方側を他方側を迂回するように配する構造では、有機ELモジュールが水平方向に大きくなってしまう。これに対して、本発明の有機ELモジュールでは、第1給電部材と第2給電部材を絶縁層を間に挟んだ状態で重ね合わせたとき、それぞれの部材の一部が他の部材と重ならないようにしているので、第1給電部材と第2給電部材とを水平方向で大きくずれた位置に配することなく、これらの電気的な接触を防止できる。つまり、本発明の有機ELモジュールでは、第1給電部材と第2給電部材とを重ねた状態とし、これらの水平方向の位置が大きくずれていないので、有機ELモジュールの水平方向の大きさ(幅や奥行き)を必要最小限の大きさとすることができる。
【0023】
請求項4に記載の発明は、請求項1乃至
3のいずれかに記載の有機ELモジュールが平面的な広がりをもって敷き詰められるものであり、隣接する有機ELモジュールの接続部同士が接続され、1又は複数の有機ELモジュールが外部電極と電気的に接続された状態となっていることを特徴とする有機ELモジュールの給電構造である。
【0024】
本発明の有機ELモジュールの給電構造では、複数の有機ELモジュールが平面的な広がりをもって敷き詰められるものであり、それぞれの有機ELモジュールが有機EL装置を備えている。また、それぞれの有機ELモジュールは、その有機ELモジュールに属する有機EL装置の第1電極層と導通する第1導通部材と、その有機ELモジュールに属する有機EL装置の第2電極層と導通する第2導通部材からなる接続部を有している。そして、隣接して配される有機ELモジュールのそれぞれの接続部同士が直接接続された状態となっている。
このように、有機ELモジュールの導通部材(第1導通部材又は第2導通部材)同士を直接接続する構成によると、有機ELモジュールの導通部材と他の有機ELモジュールの導通部材との間にリード線等の導電体を介在させてこれらを電気的に接続する構成と比べて、より確実に電圧降下を防止することができる。すなわち、有機ELモジュールの導通部材と他の有機ELモジュールの導通部材との間にリード線等の導電体を介在させると、介在させた導電体自体が電気抵抗となってしまう。そのため、この導電体を長く引き延ばすような構成によると、上記したように、導電体(リード線等)の下流側になるにつれて電圧が低くなっていく電圧降下が発生してしまう。これに対して、本発明の有機ELモジュールの給電構造では、有機ELモジュールの導通部材(第1導通部材又は第2導通部材)同士を直接接続するので、このようなリード線等の導電体を介在に起因する電圧降下が発生しない。このことにより、有機ELモジュールを発光させたときに輝度ムラが発生することがない。
【0025】
本発明の有機ELモジュールの給電構造は、前記接続部同士が前記基材の上側で接していること(
請求項5)や、前記接続部同士が前記基材の外側で接していること(
請求項6)が好ましい。
また、本発明の有機ELモジュールの給電構造は、隣接して配される前記有機ELモジュールを互いに電気的に並列接続して並列接続モジュール列を形成し、複数の並列接続モジュール列を直列接続すること(
請求項7)が好ましい。
【発明の効果】
【0026】
本発明によると、並列して配した有機ELモジュール同士を電気的に接続する際、リード線等の導電体を長く引き延ばすことなく電気的な接続が可能となる。そのため、リード線等を長く引き延ばして有機ELモジュール同士を電気的に接続した場合のように、リード線による電圧降下が発生することなく、有機ELモジュールを発光させたときに輝度ムラが発生しないという効果がある。
【発明を実施するための形態】
【0028】
以下、本発明の実施形態に係る有機ELモジュール1、並びに、本発明の実施形態に係る有機ELモジュール1の給電構造について図面を参照しつつ詳細に説明する。なお、以下の説明において、前後方向、上下方向、並びに左右方向は、特に断りのない限り
図1で示される通常の設置状態を基準として説明する。すなわち、有機ELパネル2(有機EL装置)が下方に位置する姿勢を基準として説明する。
【0029】
本実施形態の有機ELモジュール1は、照明器具として使用されるものである。そして、この有機ELモジュール1は、
図1で示されるように、複数の有機ELモジュール1を平面的な広がりをもつように敷き詰められた状態で使用することが特に好ましいものである。
この有機ELモジュール1は、
図2で示されるように、有機ELパネル2と、電気供給部材3と、枠部材4から形成されている。
【0030】
有機ELパネル2は、平板状のガラス板やプラスチックフィルム等から形成されて面状に広がりを有する透明な基材の上に、陽極となる透明電極(第1電極層)と、有機化合物を用いた蛍光物質からなる有機発光層と、陰極となる金属電極(第2電極層)とが積層された層構成となっている(各層及び層構造については図示しない)。そして、有機発光層が酸素に触れないように、これら透明電極、有機発光層、金属電極がガラス系封止材等によって封止されて形成されている。
この有機ELパネル2は、透明電極と金属電極に給電することによって、有機発光層から光が放出されるように形成される構造となっている。ここで、透明電極はITO(Indium Tin Oxide)等で形成され、光透過性を有している。つまり、有機発光層の下方に位置する透明電極と基材とがそれぞれ透明であり光透過性を有しているので、有機発光層から放出された光は下方側の外部に向けて発せられることとなる。
【0031】
この有機ELパネル2は、平面視が略正方形状となる部分であり中央側に位置する発光部8と、この発光部8を環状に取り囲む周辺部9によって形成されている。
【0032】
発光部8は、電極(透明電極、金属電極)に給電したときに光を発する平面視が略正方形状の領域であり、この発光部8の下面全体が有機ELパネル2の発光面となっている。
【0033】
周辺部9は、電極(透明電極、金属電極)に給電した際に発光しない領域である。この周辺部9には、外部との電気的な接点として機能する電極部10が配されている。
【0034】
電極部10は、透明電極に電気的に接続される第1電極部11と、金属電極に電気的に接続される第2電極部12を備えており、いずれも、有機ELパネル2の厚さ方向成分を含む方向に(内部側から外側に向かって)延在している。
【0035】
第1電極部11は、周辺部9の上面の一部を占めるものであり、周辺部9の上面に平面視略L字状となる領域を複数形成している。
【0036】
第2電極部12もまた、周辺部9の上面の一部を占めるものであり、周辺部9の上面に平面視略長方形状となる領域を複数形成している。
【0037】
そして、第1電極部11が形成する平面視略L字状となる領域と、第2電極部12が形成する平面視略長方形状となる領域とは、間隔を空けて環状に連続している。より具体的には、第1電極部11が形成する平面視略L字状となる領域は4つ形成されており、それぞれ発光部8の四隅となる部分の外側に位置している。そして、この平面視略L字状となる領域の間に、第2電極部12が形成する平面視略長方形状の領域が位置している。つまり、周辺部9の周方向に、第1電極部11(第1電極部11が形成する領域)と、第2電極部12(第2電極部12が形成する領域)とが所定の距離を隔てて交互に位置することとなる。
【0038】
電気供給部材3は、図示しない外部電源と有機ELパネル2の間に位置し、外部電源から有機ELパネル2までの電気の供給経路を形成する部分である。
【0039】
電気供給部材3は、
図3で示されるように、有機ELパネル2側(下方側)から順に、均熱板20、陰極側接続金具21(第1導通部材、第1給電部材)、絶縁膜22(絶縁層)、陽極側接続金具23(第2導通部材、第2給電部材)、天板形成部材24(面状体)、熱伝導性シート25が積層されて形成されている。
【0040】
均熱板20は、平面視が略正方形となる平板状の部材であって、カーボン等の熱伝導率の高い材料で形成されている。この均熱板20は、発光部8の部材厚方向(上下方向)の投影面上に配されており、間接的に発光面(発光部8の下面)の全面を覆っている。そのため、有機ELパネル2の駆動時に発光面で発生した熱が均熱板20に伝わることで平面状にまんべんなく均熱化することができる。それ故に、局所的に集熱されることを防止でき、熱による発光欠陥の発生を防止することができる。
【0041】
陰極側接続金具21は、銅等の導電性を有する金属で形成されるものであり、所定の形状に打ち抜いた金属箔(又は金属板)が折り曲げられた状態となっている。なお、本実施形態では、金属箔として錫めっき銅箔を採用している。この陰極側接続金具21は、平面視が略正方形状となる平板状の本体部30と、脚部31とを備えている。
【0042】
脚部31は、本体部30の外縁を形成する辺と一体に形成されている。本実施形態では、この脚部31は複数形成されるものであり、本体部30の4辺のそれぞれに1つずつ形成されている。つまり、脚部31は、各辺の長手方向の中心近傍にそれぞれ位置し、本体部30の周方向に間隔を空けて複数形成されている。
【0043】
この脚部31は、本体部30の外縁から水平方向外側へ突出する略長方形平板状の突出片部33と、突出片部33の外側端部から下方へ垂下された立壁部34と、立壁部34の下端から外側へ向かって突出する略長方形平板状の下板部35とが一体に形成されている。別言すると、突出片部33の外側端部が下方へ折り曲がって立壁部34が形成され、立壁部34の下端が外側へ折り曲がって下板部35が形成されている。したがって、下板部35は、本体部30から外側に離れた位置であって、本体部30の下面より下方に位置する。
【0044】
ここで、陰極側接続金具21の脚部31は、上記したように、本体部30の4辺にそれぞれ1つずつ形成されており、各辺の長手方向の中心近傍に位置している。このため、陰極側接続金具21の縁部分では、脚部31が形成されている部分が周囲よりも外側へ張り出している。そして、陰極側接続金具21の縁部分のうちで脚部31が形成されていない部分は、その縁端が周囲(脚部31が形成されている部分)よりも内側に位置している。別言すると、陰極側接続金具21の縁部分は、その一部が切り欠かれて欠落しているともいえる。この欠落部分、すなわち、周囲よりも内側に位置する縁端の外側に隣接する領域が陰極側欠落部36(第1給電部材欠落部)となっている。
【0045】
陰極側欠落部36は、
図3で示されるように、本体部30の角部分の近傍に位置しており、平面視が略L字状となっている(
図6等参照)。つまり、陰極側欠落部36は、陰極側接続金具21の縁部分の周方向に沿って延びるものであり、一部が略直角に屈曲しつつ延びている。この陰極側欠落部36は複数設けられるものであり、より具体的には、4つの陰極側欠落部36が本体部30の四角の近傍にそれぞれ設けられている。そして、この陰極側欠落部36は、陰極側接続金具21の縁部分の周方向に間隔を空けて配されている。
【0046】
絶縁膜22は、平滑性、耐熱性、電気絶縁性に優れた樹脂性のフィルムであって、PET(ポリエチレンテレフタレート)フィルムが好適に採用される。
【0047】
陽極側接続金具23は、銅等の導電性を有する金属で形成されるものであり、所定の形状に打ち抜いた金属箔(又は金属板)が折り曲げられた状態となっている。なお、本実施形態では、この金属箔に錫めっき銅箔を採用している。すなわち、陽極側接続金具23は、上記した陰極側接続金具21と同様の部材、同様の方法によって形成されているが、陰極側接続金具21とは形状の相違する部材となっている。
この陽極側接続金具23は、平面視が略正方形状となる平板状の本体部40と、脚部41とを有している。
【0048】
脚部41は、本体部40の外縁を形成する辺と一体に形成されている。本実施形態では、本体部40の4辺のそれぞれに複数の脚部41が形成されている。より具体的には、各辺の長手方向の両端近傍にそれぞれ1つずつ計2つの脚部41が形成されている。別言すると、脚部41は、本体部40の角部分の近傍に形成されている。そして、本実施形態では、角部分に位置する2つの脚部41の間に隙間71(
図6等参照)が形成されている。つまり、脚部41は、各辺の長手方向の両端近傍にそれぞれ位置し、本体部40の周方向に間隔を空けて複数形成されている。
【0049】
この脚部41は、本体部40の外縁から水平方向外側へ突出する略長方形平板状の突出片部43と、突出片部43の外側端部が下方へ折り曲がって形成されるものであって突出片部43の外側端部から下方へ垂下している立壁部44と、立壁部44の下端から外側へ向かって突出する略長方形平板状の下板部45とが一体に形成されている。したがって、下板部45は、本体部40から外側に離れた位置にあり、本体部40の下面より下方に位置している。
【0050】
ここで、陽極側接続金具23の脚部41は、上記したように、本体部40の4辺それぞれに2つずつ形成されており、各辺の長手方向の両端近傍に1つずつ位置している。このため、陽極側接続金具23の縁部分では、脚部41が形成されている部分が周囲よりも外側へ張り出している。そして、陽極側接続金具23の縁部分のうちで脚部41が形成されていない部分は、その縁端が周囲(脚部41が形成されている部分)よりも内側に位置している。別言すると、陽極側接続金具23の縁部分は、その一部が切り欠かれて欠落しているともいえる。この欠落部分、すなわち、周囲よりも内側に位置する縁端の外側に隣接する領域が陽極側欠落部46(第2給電部材欠落部)となっている。
【0051】
陽極側欠落部46は、
図3で示されるように、本体部40の縁部分を形成する各辺の長手方向の中心近傍にそれぞれ位置しており、平面視が略長方形状となっている(
図6等参照)。この陽極側欠落部46は複数設けられるものであり、より具体的には、4つの陽極側欠落部46が本体部40の四角の間となる部分の近傍にそれぞれ設けられている。そして、この4つの陽極側欠落部46は、陽極側接続金具23の縁部分の周方向に間隔を空けて配されている。
【0052】
天板形成部材24は、磁石に引き寄せられる性質を有する金属や合金等によって形成されるものであり、本実施形態では、鉄又は鉄を主成分とする金属によって形成される略正方形平板状の部材となっている。つまり、天板形成部材24は、磁性体又は磁性体を含む材料で形成される部材であるともいえる。
このような天板形成部材24により、本実施形態の有機ELモジュール1は、永久磁石のような磁性を帯びた取付具、又はそのような磁性を帯びた部材を有する取付具を介して天井や壁等への取り付けが可能となっている。
この天板形成部材24は、有機ELパネル2の駆動時において熱伝導媒体としても機能する。すなわち、天板形成部材24は、有機ELパネル2で発生した熱を枠部材4や熱伝導性シート25等を介して外部へと放熱する際に、有機ELパネル2側から外部側へ向かう熱伝達経路の一部を形成するものでもある。
【0053】
熱伝導性シート25は、熱伝導性、柔軟性に優れた素材で形成された平面視略正方形状のシート(例えば、富士高分子工業株式会社製のサーコンEGR−11F、同サーコンTR、同サーコンGSR等)である。
この熱伝導性シート25は、有機ELモジュール1を組み立てたとき、天板形成部材24と天井や壁面等に固定された図示しない取付用部材(例えば板状枠体)との間に位置する。この熱伝導性シート25は上記したように柔軟性に優れているので、有機ELモジュール1を取付用部材に強く押し付けることなく天板形成部材24と取付用部材の間に形成される隙間を埋めることができる。さらに、この熱伝導性シート25は、天板形成部材24の上面に広い面積で密接する。このことから、天板形成部材24から取付用部材へと熱を効率よく伝達させることができる。
【0054】
枠部材4は、
図2で示されるように、シリコン樹脂等の適宜の素材で形成された可撓性を有する枠体である。より具体的には、枠部材4は、略角筒状の本体部48と、本体部48の側面に形成されて内外を連通する開口部49と、本体部48の内周面の下端近傍に形成される内部突起部50によって形成されている。
【0055】
本体部48は、直立した長方形平板状の立壁部51が平面視が略「ロ」字状となるように環状に連続して形成される部分である。
【0056】
開口部49は、それぞれの立壁部51に1つずつ形成された開口形状が略長方形状の貫通孔である。つまり、この開口部49は、枠部材4の4つの側面にそれぞれ形成されるものであり、いずれも異なる方向を向いて開口している。
【0057】
内部突起部50は、本体部48の内周面の下端から内方へ向かって突出する平板状の部分である。この内部突起部50もまた、本体部48の周方向で環状に連続するものであり平面視が略「ロ」字状となっている。
【0058】
続いて、電気供給部材3の組み立て構造について説明する。
【0059】
電気供給部材3は、上記したように、有機ELパネル2側(下方側)から均熱板20、陰極側接続金具21、絶縁膜22、陽極側接続金具23、天板形成部材24、熱伝導性シート25を積層して形成されている(
図3参照)。このとき、この積層構造を形成する所定の各部材は、必要に応じて接着材料を介して接合した状態となっている。この接着材料には、RTVゴムや、熱伝導性の高いペースト状のものを好適に採用することができる。
【0060】
ここで、陰極側接続金具21と陽極側接続金具23とが積層された部分に注目すると、
図4で示すように、陰極側接続金具21の上側に陽極側接続金具23が位置しており、陰極側接続金具21の本体部30(
図3参照)と、陽極側接続金具23の本体部40(
図3参照)とが重なり合った状態となっている。
【0061】
ここで、上側に位置する陽極側接続金具23の脚部41は、下側に位置する陰極側接続金具21の脚部31に比べて上下方向の長さが長くなっている。より具体的には、陽極側接続金具23の脚部41のうちの立壁部44の上下方向の長さが、陰極側接続金具21の脚部31のうちの立壁部34の上下方向の長さよりも長くなっている。そのため、陽極側接続金具23の脚部41の下端に位置する下板部45の下面と、陰極側接続金具21の脚部31の下端に位置する下板部35の下面とは、上下方向の高さが同じとなっている。別言すると、陽極側接続金具23の脚部41の下面と陰極側接続金具21の脚部31の下面とは略同一平面上に位置している。
【0062】
さらに、
図5、
図6で示されるように、縁部分(電気供給部材3の縁部分)の周方向で陰極側接続金具21の脚部31と、陽極側接続金具23の脚部41とが交互に配された状態となっている。
【0063】
具体的に説明すると、陰極側接続金具21と陽極側接続金具23とを重ねたとき、
図6で示されるように、縁部分(電気供給部材3の縁部分)の周方向で陰極側欠落部36と陽極側欠落部46とが交互に配された状態となる。そして、陰極側接続金具21の脚部31の少なくとも一部が陽極側欠落部46に配されており、陽極側接続金具23の脚部41の少なくとも一部が陰極側欠落部36に配されている。このため、陰極側接続金具21と陽極側接続金具23とを重ねてこれらを平面視したとき、陰極側接続金具21の脚部31と陽極側接続金具23の脚部41の双方が露出した状態となる。
別言すると、陰極側接続金具21の脚部31を鉛直方向に投影した投影形状は、陽極側欠落部46を鉛直方向に投影した投影形状よりも小さく、陰極側接続金具21の脚部31は、陽極側欠落部46を鉛直方向に投影した領域に位置している。より具体的には、陰極側接続金具21の脚部31は、陽極側欠落部46を鉛直方向に投影した領域の内側に位置している。
同様に、陽極側接続金具23の脚部41を鉛直方向に投影した投影形状は、陰極側欠落部36を鉛直方向に投影した投影形状よりも小さく、陽極側接続金具23の脚部41は、陰極側欠落部36を鉛直方向に投影した領域に位置している。より具体的には、陽極側接続金具23の脚部41は、陰極側欠落部36を鉛直方向に投影した領域の内側に位置している。
【0064】
また、このことから、陰極側接続金具21の脚部31と陽極側接続金具23の脚部41との間には、隙間70が形成されることとなる。そのため、これら陰極側接続金具21の脚部31と陽極側接続金具23の脚部41とは、本体部30の周方向において間隔(隙間70)を空けて交互に配されることとなる。
なお、本実施形態では、陽極側接続金具23の本体部40の角部分に位置する2つの脚部41の間にも隙間71が形成されている。このことから、本実施形態では、陰極側接続金具21の脚部31と陽極側接続金具23の脚部41からなる全ての脚部(脚部31又は脚部41)は、本体部30の周方向において間隔(隙間70又は隙間71)を空けて1つずつ配されることとなる。つまり、本体部30の周方向において、陰極側接続金具21の脚部31、陽極側接続金具23の脚部41、陽極側接続金具23の脚部41、陰極側接続金具21の脚部31、陽極側接続金具23の脚部41、陽極側接続金具23の脚部41、・・・といった具合に、1つの陰極側接続金具21の脚部31と、2つの陽極側接続金具23の脚部41とが連続するような順序で間隔を空けて並列した状態となる。
【0065】
このとき、
図3、
図4で示されるように、陽極側接続金具23の脚部41の一部である突出片部43は、陰極側接続金具21の本体部30の縁端の上方外側に離れた位置に配されている。また、
図4で示されるように、脚部41の一部である立壁部44は、陰極側接続金具21の本体部30の縁端から外側に離れた位置に配されている。すなわち、陽極側接続金具23の脚部41は、陰極側接続金具21から離れた位置にあり、陰極側接続金具21と直接接触しない状態となっている。
さらに、陰極側接続金具21の脚部31は、陽極側接続金具23の本体部40の縁端の下方外側に離れた位置に配されており、陽極側接続金具23と接触しない状態となっている。
そして、
図3で示されるように、陰極側接続金具21の本体部30と陽極側接続金具23の本体部40の間には絶縁膜22が位置しており、これらは直接接触しない構造となっている。
つまり、陰極側接続金具21と陽極側接続金具23とは、直接接触しない状態で重なっている。
【0066】
電気供給部材3を組み立てると、
図2で示されるように、陰極側接続金具21の脚部31と陽極側接続金具23の脚部41の上方に、天板形成部材24及び熱伝導性シート25の縁側部分が位置した状態となっている。詳説すると、陰極側接続金具21の脚部31から上方に離れた位置でこの脚部31の本体部30側の一部を覆うように設けられている(
図2参照)。また、天板形成部材24の下面と、陽極側接続金具23の脚部41の上端に位置する突出片部43の上面とが密着した状態となっている。そして、天板形成部材24及び熱伝導性シート25は、陽極側接続金具23の本体部40側の多くの部分、すなわち、脚部41の下板部45のうちで外側に位置する部分を除いた部分を覆うように設けられている(
図2参照)。
【0067】
すなわち、
図2、
図3で示されるように、陰極側接続金具21の脚部31の一部である下板部35と、陽極側接続金具23の脚部41の一部である下板部45とが電気供給部材3の側方から外側へ突出している。そして、それぞれの突出端(下板部35の突出端と下板部45の突出端)は天板形成部材24及び熱伝導性シート25の縁側部分より外側に位置している。換言すると、陰極側接続金具21及び陽極側接続金具23の一部が電気供給部材3の側方から外側へ向かって延びている。
【0068】
さらに、このような電気供給部材3を備えた有機ELモジュール1の組み立て構造について詳細に説明する。
【0069】
有機ELモジュール1を組み立てる際には、
図2で示されるように、電気供給部材3と有機ELパネル2とを電気的に接続された状態とする。すなわち、電気供給部材3のうち、陰極側接続金具21の脚部31を有機ELパネル2の第2電極部12と接触させた状態とし、陽極側接続金具23の脚部41を有機ELパネル2の第1電極部11と接触させた状態とする。より詳細には、陰極側接続金具21の脚部31のうちの下板部35の下面(
図3参照)を第2電極部12に接触させ、陽極側接続金具23の脚部41のうちの下板部45の下面(
図3参照)を第1電極部11に接触させた状態とする。
【0070】
このように、陰極側接続金具21と第2電極部12とを接触させることで、陰極側接続金具21と第2電極部12によって有機ELパネル2の金属電極に電気を供給するための経路となる導電部が形成される。つまり、金属電極に電気的に接続される第2電極部12に陰極側接続金具21が接触することで、陰極側接続金具21と第2電極部12とが外部から有機ELパネル2の金属電極まで延びる電気を供給するための経路となる。
【0071】
また同様に、陽極側接続金具23と第1電極部11とを接触させることで、陽極側接続金具23と第1電極部11によって有機ELパネル2の透明電極に電気を供給するための経路となる導電部が形成される。つまり、透明電極に電気的に接続される第1電極部11に陽極側接続金具23が接触することで、陽極側接続金具23と第1電極部11とが外部から有機ELパネル2の透明電極まで延びる電気を供給するための経路となる。
【0072】
すなわち、有機ELモジュール1は、陰極側接続金具21と第2電極部12によって形成される第1の導電部と、陽極側接続金具23と第1電極部11によって形成される第2の導電部からなる対となる2つの導電部によって有機ELパネル2に電気を供給する構造となっている。
【0073】
このとき、陰極側接続金具21の4つの脚部31がそれぞれ別の第2電極部12に接触した状態となる。また、陽極側接続金具23の脚部41のうちの2つが第1電極部11の1つと接触した状態となり、4つの第1電極部11にはそれぞれ異なる脚部41が2つずつ接触した状態となる。すなわち、陰極側接続金具21に形成された複数の脚部31はそれぞれ別の第2電極部12に接触し、陽極側接続金具23に形成された複数の脚部41は2つを1組とし、組毎にそれぞれ別の第1電極部11と接触した状態となる。
【0074】
そして、電気供給部材3と有機ELパネル2とが電気的に接続された状態で、これらを枠部材4の内側に収容することにより、有機ELモジュール1が組み立てられた状態となる。このとき、枠部材4の天面と電気供給部材3の天面とが略同一平面となる(図示せず)。つまり、枠部材4の本体部48の天面と電気供給部材3の熱伝導性シート25の天面とが、略同一平面となる。
【0075】
また、電気供給部材3及び有機ELパネル2が枠部材4に収容されると、可撓性を有する枠部材4が電気供給部材3及び有機ELパネル2を締め付けるように取付けられた状態となる。つまり、枠部材4と電気供給部材3及び有機ELパネル2の所定の部分とが密着(又は略密着)した状態となり、これらの間が隙間なく(略隙間なく)閉塞された状態となる。
より具体的には、枠部材4と電気供給部材3の天板形成部材24及び熱伝導性シート25の縁部分とが密着(又は略密着)した状態となる。また、枠部材4の内部突起部50の上面と、枠部材4の有機ELパネル2の下面(発光面が位置する面)との間が密着(又は略密着)した状態となる。このことにより、本実施形態の有機ELモジュール1は、陰極側接続金具21及び陽極側接続金具23が枠部材4によって覆われて外部に露出しない状態であると共に、この陰極側接続金具21や陽極側接続金具23が配されている部分へ水滴等が浸入しない構造となっている。
【0076】
さらにまた、
図7で示されるように、枠部材4の開口部49の内側に陰極側接続金具21の脚部31のうちの下板部35(
図3参照)と、陽極側接続金具23の脚部41のうちの下板部45(
図3参照)とが配された状態となっている。この陰極側接続金具21の下板部35と陽極側接続金具23の下板部45とは、いずれも枠部材4の開口部49から外側へ突出した状態となっている。より具体的には、陰極側接続金具21の下板部35外側端部と陽極側接続金具23の下板部45は、その大半部分が開口部49の内側に位置しており、その外側端部のみが開口部49から外側へ突出した状態となっている。
【0077】
そして、陰極側接続金具21の下板部35と陽極側接続金具23の下板部45とは、開口部49の上下方向の中心近傍から外部へ突出している。したがって、陰極側接続金具21の下板部35と陽極側接続金具23の下板部45の上面及び下面と、開口部49の内周面とは間隔を空けて配置された状態となっている。別言すると、陰極側接続金具21の下板部35と陽極側接続金具23の下板部45の上方と下方には、それぞれ、開口部49の内周面との間に空隙が形成された状態となっている。
【0078】
ここで、上記したように、陰極側接続金具21は、有機ELパネル2の金属電極に電気を供給するための第1の導電部の一部となる部分である。すなわち、本実施形態の有機ELモジュールは、第1の導電部の一部が外部に露出(僅かに突出)した状態となっている。また同様に、陽極側接続金具23は、有機ELパネル2の透明電極に電気を供給するための第2の導電部の一部となる部分である。すなわち、本実施形態の有機ELモジュールは、第2の導電部の一部もまた外部に露出(僅かに突出)した状態となっている。
このように、本実施形態の有機ELモジュール1では、対となる導電部のそれぞれの一部がいずれも外部に露出しており、外部の導電体の直接接触が可能な構成となっている。
【0079】
さらに、天井等に複数の有機ELモジュール1を平面的な広がりをもつように敷き詰めて使用する際における給電構造について説明する。
【0080】
本実施形態の有機ELモジュール1は、
図1で示されるように、2つの有機ELモジュール1を隣接して配するとき、側面同士を密着させた状態で配するだけで互いに電気的に並列接続される構造となっている。
具体的に説明すると、2つの有機ELモジュール1の側面同士を密着させた状態とすると、
図8で示されるように、片側の有機ELモジュール1aの開口部49aから外部に突出する陰極側接続金具21の下板部35aと陽極側接続金具23の下板部45aとが、他方側の有機ELモジュール1bの開口部49bの内部に挿入された状態となる。
また、他方側の有機ELモジュール1bの開口部49bから外部に突出する陰極側接続金具21の下板部35bと陽極側接続金具23の下板部45bとは、他方側の有機ELモジュール1の開口部49aの内部に挿入された状態となる。
【0081】
すなわち、
図8(b)で示されるように、片側の有機ELモジュール1aの開口部49aと他方側の有機ELモジュール1bの開口部49bとが連通した状態となり、これらが連通することで空間80が形成されている。そして、この空間80に、片側の有機ELモジュール1aの陰極側接続金具21の下板部35a及び陽極側接続金具23の下板部45aと、他方側の有機ELモジュール1bの陰極側接続金具21の下板部35b及び陽極側接続金具23の下板部45bとが配された状態となっている。
【0082】
ここで、
図8(b)、
図9で示されるように、片側の有機ELモジュール1aの陰極側接続金具21の下板部35aと、他方側の有機ELモジュール1bの陰極側接続金具21の下板部35bとが重なり合った状態となっている。すなわち、片側の有機ELモジュール1aの陰極側接続金具21と他方側の有機ELモジュール1bの陰極側接続金具21とが直接接触し、電気的に接続された状態となっている。
なお、
図9では説明のために下板部35が大きく傾いた状態を示しているが、陰極側接続金具21は箔状(又は板状)であって非常に薄いものであるので、実際には下板部35を重ね合わせたときに下板部35がこのように大きく傾くことはない。
【0083】
また、
図8(b)、
図10で示されるように、片側の有機ELモジュール1aの陽極側接続金具23の下板部45aと、他方側の有機ELモジュール1bの陽極側接続金具23の下板部45bとが重なり合った状態となっている。すなわち、片側の有機ELモジュール1aの陽極側接続金具23と他方側の有機ELモジュール1bの陽極側接続金具23とが直接接触し、電気的に接続された状態となっている。
なお、
図10では説明のために下板部45が大きく傾いた状態を示しているが、陽極側接続金具23は箔状(又は板状)であって非常に薄いものであるので、実際には下板部45を重ね合わせたときに下板部45がこのように大きく傾くことはない。
【0084】
そして、
図8(b)で示されるように、片側の有機ELモジュール1aと他方側の有機ELモジュール1bのそれぞれの陰極側接続金具21の下板部35同士が重なっている部分と、片側の有機ELモジュール1aと他方側の有機ELモジュール1bのそれぞれの陽極側接続金具23の下板部45同士が重なっている部分とは、間隔81を空けて離間した位置にある。
つまり、片側の有機ELモジュール1aと他方側の有機ELモジュール1bのそれぞれの陰極側接続金具21同士が接触している部分と、陽極側接続金具23同士が接触している部分は互いに接触しない状態となっている。さらにいうと、片側の有機ELモジュール1aの陰極側接続金具21aと他方側の有機ELモジュール1bの陽極側接続金具23b、また逆に、片側の有機ELモジュール1aの陽極側接続金具23aと他方側の有機ELモジュール1bの陰極側接続金具21bとが接触しない状態となっている。
このことにより、隣接して配される2つの有機ELモジュール1(有機ELモジュール1a、有機ELモジュール1b)の陽極同士と陰極同士が電気的に接続された状態となり、2つの有機ELモジュール1が電気的に並列接続された状態となる。
【0085】
これに対し、隣接して配される2つの有機ELモジュール1を互いに電気的に直列接続する際には、2つの有機ELモジュール1の間にリード線や箔状のコネクタ等の導電体を介し、片側の有機ELモジュール1aの陽極と他方側の有機ELモジュール1bの陰極とを電気的に接続し、片側の有機ELモジュール1aの陰極と他方側の有機ELモジュール1bの陽極とを電気的に接続された状態とする。より具体的には、片側の有機ELモジュール1aの陰極側接続金具21aと有機ELモジュール1bの陽極側接続金具23b、またさらに、片側の有機ELモジュール1aの陽極側接続金具23aと有機ELモジュール1bの陰極側接続金具21bとを電気的に接続された状態とする。
【0086】
このように、本実施形態の有機ELモジュール1は、複数の有機ELモジュール1を平面的な広がりをもつように敷き詰めて配していくとき、隣り合う有機ELモジュール1を電気的に並列接続、又は直列接続が可能となっている。そのため、例えば
図11で示されるように、隣接する有機ELモジュール1を電気的に並列接続してなる並列接続モジュール列85を電気的に直列接続してもよい。また、
図12で示されるように、隣接する有機ELモジュール1を電気的に直列接続してなる直列接続モジュール列86を電気的に並列接続してもよい。
【0087】
より具体的には、特に限定されるものではないが、
図13、
図14で示されるように、N個(本実施形態では4個)の有機ELモジュール1からなる並列接続モジュール列85を形成し、この並列接続モジュール列85をM個(本実施形態では3個)列状に配してN×M個の平面状に広がりを持った照明装置として使用してもよい。
【0088】
このとき、
図14で示されるように、隣接する2つの並列接続モジュール列85のうち、1列目の並列接続モジュール列85aに属する有機ELモジュール1と、2列目の並列接続モジュール列85bに属する有機ELモジュール1とを電気的に直列接続する。さらに、2列目の並列接続モジュール列85bに属する有機ELモジュール1と、3列目の並列接続モジュール列85cに属する有機ELモジュール1とを電気的に直列接続する、といった具合に隣接する2つの並列接続モジュール列85にそれぞれ属する有機ELモジュール1を電気的に直列接続していく。
より具体的には、1列目の並列接続モジュール列85aに属する有機ELモジュール1を列の延び方向lの基端側から他方端へ向かって第1の有機ELモジュール1α、第2の有機ELモジュール1β・・・とし、同様に2列目の並列接続モジュール列85bに属する有機ELモジュール1を列の延び方向lの基端側から他方端へ向かって第1の有機ELモジュール1α、第2の有機ELモジュール1β・・・としたとき、第1の有機ELモジュール1α同士、第2の有機ELモジュール1β同士・・・をそれぞれ電気的に直列接続する。また、2列目の並列接続モジュール列85bと3列目の並列接続モジュール列85cの場合も同様に第1の有機ELモジュール1α同士、第2の有機ELモジュール1β同士・・・をそれぞれ電気的に直列接続していく。すなわち、異なる2つの並列接続モジュール列85にそれぞれ属する有機ELモジュール1のうち、列の並び方向wで隣接して配されるものを電気的に直列接続していく。そして、このことにより平面状に広がりを持った照明装置を形成する。
【0089】
上記した実施形態では、並列接続モジュール列85を列状に配していくとき、隣接して配された並列接続モジュール列85にそれぞれ属する有機ELモジュール1を電気的に直列接続していく例を示した。そして、隣接する有機ELモジュール1同士を電気的に直列接続していく場合、有機ELモジュール1間にリード線や箔状のコネクタ等の導電体を介して電気的に直列接続した。しかしながら、本発明の有機ELモジュール1同士を電気的に直列接続していく方法はこれに限るものではない。例えば、
図15で示されるように、2つの並列接続モジュール列85(並列接続モジュール列85a,並列接続モジュール列85b)の間に、上記実施形態とは異なる有機ELパネル(図示せず)を備えた有機ELモジュール101によって形成される第2の並列接続モジュール列185を配する構造としてもよい。
【0090】
この第2の並列接続モジュール列185に属する有機ELモジュール101につき、具体的に説明する。この有機ELモジュール101が備えた有機ELパネル(図示せず)は、第1電極部11(
図2参照)に対応する部分が陰極となる金属電極に電気的に接続されており、第2電極部12(
図2参照)に対応する部分が陽極となる透明電極に電気的に接続されている点で、上記した有機ELパネル2とは異なっている。別言すると、上記した実施形態の有機ELパネル2では、第1電極部11が陽極となり第2電極部12が陰極となるのに対し、この有機ELモジュール101が備える有機ELパネル(図示せず)では、第1電極部11に対応する部分が陰極、第2電極部12に対応する部分が陽極となるところが異なっている。したがって、
図15で示されるように、この有機ELモジュール101では、電気供給部材3の陰極側接続金具21が陽極側の金具として機能し、陽極側接続金具23が陰極側の金具として機能する。すなわち、
図15で示されるように、この有機ELモジュール101では、外部に露出した陰極側接続金具21と陽極側接続金具23の極性が、上記した有機ELモジュール1とは異なっている。
【0091】
そのため、上記した有機ELモジュール1同士を並列接続する場合のように、この有機ELモジュール101と上記した有機ELモジュール1とを接続させる、すなわち、両者の陰極側接続金具21同士と陽極側接続金具23同士とをそれぞれ接触させると、両者は電気的に直列接続された状態となる。このため、リード線や箔状のコネクタ等の外部の導電体を介することなく、
図14で示される照明装置と電気的な接続を同じくする照明装置(
図15参照)を形成することができる。
【0092】
上記した実施形態では、陰極側接続金具21を第1導通部材とし、陽極側接続金具23を第2導通部材とし、それぞれの一部を外部に露出させて外部の導電体(他の有機ELモジュールの金具やリード線、箔状のコネクタ等々)の直接接触が可能な構成としたが、本発明はこれに限るものではない。例えば、有機ELパネル2の第1電極部11や第2電極部12を枠部材4の外部まで延設し、外部の導電体の直接接触が可能な構成としてもよい。
換言すると、上記したように陰極側接続金具21と第2電極部12によって形成される第1の導電部と、陽極側接続金具23と第1電極部11によって形成される第2の導電部からなる対となる2つの導電部によって有機ELパネル2に電気を供給する構造とした場合、それぞれの導電部のいずれかの部分が外部の導電体と直接接触できればよい。
【0093】
上記した実施形態では説明を省略したが、複数の有機ELモジュール1を平面的な広がりをもつように敷き詰めていく際、他の有機ELモジュール1、又は外部の給電部材等に接さない位置にある開口部49は、蓋状部材等によって閉塞した状態としてもよい。このようにすると、電気的な接続の用に供しない開口部49からの有機ELモジュール1の内部側への水滴等の浸入を阻止できる。
【0094】
上記した実施形態では、均熱板20、天板形成部材24が板状である例を示したが、本発明はこれに限るものではない。これらをさらに薄くして箔状としてもよい。なお、箔状とすると、有機ELモジュール1全体の厚さをより薄くできる。
また、陰極側接続金具21、絶縁膜22、陽極側接続金具23、熱伝導性シート25は、箔状又は膜状に限らず板状であってもよいが、有機ELモジュール1全体の厚さを薄くするという観点に立つと、これらも箔状であることが好ましい。
なお、陰極側接続金具21及び陽極側接続金具23が板状である場合には、所定の形状に打ち抜いた金属板を折り曲げ加工して形成してもよい。また、陰極側接続金具21及び陽極側接続金具23が箔状である場合には、電気供給部材3を形成するために各部材を積層させた際に、所定の形状に打ち抜いた金属箔を他部材に押し当てることで賦形してもよい。
【0095】
上記した実施形態では、陰極側接続金具21に形成された複数の脚部31をそれぞれ別の第2電極部12に接触させ、陽極側接続金具23に形成された複数の脚部41の2つを1組とし、組毎にそれぞれ別の第1電極部11と接触させた例について説明した。
つまり、本発明の陰極側接続金具21又は陽極側接続金具23には、有機ELパネル2側の電極との接点(脚部)を複数形成してもよい。また、複数形成した接点のうちの所定数の接点を接点の組としてもよい。そして、それぞれの接点又は接点の組は、有機ELパネル2側の電極と異なる位置で接触する構成であってもよい。
【0096】
上記した実施形態では、陽極側接続金具23に形成された8つの脚部41のうち、角部分に位置する2つの脚部41の間に隙間71が形成されている例について説明した。しかしながら、本発明はこれに限るものではなく、同じ第1電極部11と接触する脚部41は接触していてもよい。すなわち、角部分に位置する2つの脚部41の間に隙間71を形成しなくてもよい。
【0097】
上記した実施形態では、平面視が略正方形状の本体部30と、本体部30の縁端に位置する4辺のそれぞれの長手方向の中心近傍に形成された脚部31とを備えた金具を陰極側接続金具21とすると共に、平面視が略正方形状の本体部40と、本体部40の縁端に位置する4辺のそれぞれの長手方向の両端近傍に形成された脚部41とを備えた金具を陽極側接続金具23とした例について説明したが本発明はこれに限るものではない。上記した例において陰極側接続金具21として採用した金具の形状を陽極側の金具と使用してもよく、上記した例において陽極側接続金具23として採用した金具の形状を陰極側の金具と使用してもよい。すなわち、2つの金具のうちのどちらの形状の金具を陽極側(又は陰極側)として使用するかは適宜変更してよい。
このとき、上側に位置する金具を第2電極部12に接続する陰極側の金具とし、下側に位置する金具を第1電極部11に接続する陽極側の金具としてもよい。また、それに伴ってそれぞれの金具の高さは適宜変更してよい。すなわち、金具の脚部31(脚部41)における立壁部34(立壁部44)の上下方向の長さは適宜変更してよい。
【0098】
上記した実施形態では、陰極側接続金具21の脚部31の一部である下板部35と、陽極側接続金具23の脚部41の一部である下板部45とを枠部材4の開口部49から外側に突出させた例を示した。このとき、上記した実施形態では、それぞれの下板部(下板部35、下板部45)を水平方向に沿って突出させ、わずかに外部に露出させた状態としたが本発明はこれに限るものではない。例えば、
図16で示されるように、それぞれの下板部を水平方向に沿って外側に突出させ、外側に露出した部分の突出端側を上側に折り曲げてもよい。すなわち、外部に露出している部分が断面略L字状で延びるような形状となる有機ELモジュール105であってもよい。
【0099】
この有機ELモジュール105では、陰極側接続金具と陽極側接続金具のそれぞれの下板部135が水平方向に沿って外側に突出する長方形平板状の基端板部135aと、この基端板部135aの外側端部から上方へ突出する直立した長方形平板状の立壁部135bとを有している。そして、立壁部135bの内側面は枠部材4の側面に接触した状態となっている。このような有機ELモジュール105によると、複数の有機ELモジュール105を隣接して配するとき、有機ELモジュール105同士の側面部分を互いに接触させるだけで、それぞれの有機ELモジュール105の立壁部135bの外側面同士が面接触することとなる。すなわち、有機ELモジュール105を他の有機ELモジュール105に押し当てるだけで電気的な接続が可能となるので、有機ELモジュール105の接続作業が容易となる。
また、
図16とは異なり、それぞれの下板部を水平方向に沿って外側に突出させ、外側に露出した部分の突出端側を下側に折り曲げてもよい。すなわち、
図16で示される有機ELモジュール105とは異なる方向に下板部を折り曲げてもよい。
【0100】
さらに、
図17で示されるように、陰極側接続金具221の脚部231と、陽極側接続金具223の脚部241とは必ずしも外部に突出させない有機ELモジュール201であってもよい。すなわち、陰極側接続金具221の脚部231の一部たる下板部235と、陽極側接続金具223の脚部241の一部たる下板部245とは、その突出端が枠部材4の開口部49の内側に位置する構造であってもよい。この場合、別途形成した導電性を有する板部材202をそれぞれの下板部(下板部235、下板部245)にボルト、ビス、釘、鋲等の締結要素を介して、又は溶接等により直接固定し、この板部材202が外部に露出する構造であってもよい。すなわち、それぞれの下板部(下板部235、下板部245)と板部材202との連結部分が枠部材4の内側に位置し、板部材202の一部が外部に露出する構造であってもよい。この場合も上記した実施形態の有機ELモジュール1等と同様に、有機ELモジュール201同士を連結させることができる。
【0101】
また、陰極側接続金具321の脚部331(
図18参照)と、陽極側接続金具323の脚部341(
図18参照)を外部に突出させない構造である場合、隣接配置される有機ELモジュール301を以下のように連結してもよい。すなわち、
図18、
図19で示されるように、有機ELモジュール301同士を連結するときに別途形成した導電性を有する板部材302を2つの有機ELモジュール301の間に挟み込み、2つの有機ELモジュール301が隣接配置された状態でそれぞれの脚部(脚部331、脚部341)とこの板部材302とをボルト等の締結要素で固定してもよい。このとき、特に限定されるものではないが、
図19で示されるように、板部材302の片側端部は、一方側の有機ELモジュール301aの一部であるところの陽極側接続金具323aの脚部341aの上に載置され、板部材302の他方端部は、他方側の有機ELモジュール301bの一部であるところの陽極側接続金具323bの脚部341bの上に載置された状態としてもよい。また逆にそれぞれの脚部(脚部341a、脚部341b)の下方に載置された状態としてもよい(図示せず)。また、ボルト等の締結要素は、枠部材4の外部の下方(又は上方)から、枠部材4と、それぞれの脚部(脚部331、脚部341)と、板部材302とを少なくとも貫通するように打ち込んでもよい。