【実施例1】
【0025】
図1は、実施例1に係る警備システムのシステム構成図である。
図1に示すように、実施例1に係る警備システムは、飛行ユニット10と、警報制御装置20と、センサ30と、標識装置40と、標識一体型センサ50とを有する。
【0026】
センサ30は、防犯センサや火災センサ等であり、異常の発生を検知した場合に警報制御装置20に通知を行なう。また、センサ30は、異常の発生を検知した場合に、標識装置40に標識を表示させる処理を行なう。なお、標識装置40がセンサ30の状態を確認し、標識の表示と非表示とを切り替える制御を行なうように構成してもよい。また、警報制御装置20が、標識装置40を制御して、標識の表示と非表示とを切り替えるように構成してもよい。
【0027】
標識装置40は、センサ30からの指示に基づいて標識を表示制御する。この標識は、複数の発光ダイオードを所定の形状(例えば正方形)に配置したものであり、点灯による表示と消灯による非表示とを切り替えることができる。
【0028】
標識一体型センサ50は、センサ30の機能と標識装置40の機能とを有する装置であり、異常の発生時に警報制御装置20への通知と標識の表示制御とを行なう。標識自体は、標識装置40と同様のものである。
【0029】
警報制御装置20は、センサ30又は標識一体型センサ50から異常発生の通知を受けた場合に、施設内に対する警報出力を行なうとともに、監視センタに対して異常の発生を通知する処理を行なう。また、警報制御装置20は、飛行ユニット10と無線通信可能であり、センサ30又は標識一体型センサ50から異常発生の通知を受けた場合に、飛行ユニット10に対して起動指示を送信する。
【0030】
飛行ユニット10は、カメラを搭載している。飛行ユニット10は、警報制御装置20から起動指示を受信した場合に、飛行及び撮像を開始する。飛行を開始した飛行ユニット10は、画像認識により標識を認識し、認識した標識に向かって移動する。このため、飛行ユニット10は、標識の近傍を撮像することができる。
【0031】
飛行ユニット10は、撮像した画像を警報制御装置20に随時送信する。警報制御装置20は、飛行ユニット10から受信した画像を監視センタに送信する。このため、監視センタでは、飛行ユニット10により撮像された画像を確認することにより、異常発生を検知したセンサの周辺状況を把握することが可能である。
【0032】
また、監視センタから飛行ユニット10の遠隔操作を行なうこともできる。警報制御装置20は、監視センタから飛行ユニット10に対する遠隔操作指示を受信した場合に、該遠隔操作指示を飛行ユニット10に転送する処理を行なう。このため、飛行ユニット10は、監視センタ側で必要と判断された箇所を柔軟に撮像することができる。
【0033】
図2は、
図1に示した飛行ユニット10の内部構成を示す内部構成図である。
図2に示すように、飛行ユニット10は、駆動部11、バッテリ11a、バッテリ監視部11b、超音波センサ12、無線通信部13、カメラ14、画像処理部15及び飛行制御部16を有する。
【0034】
駆動部11は、1又は複数のプロペラ等を有し、飛行ユニット10を浮上させ、任意の方向に移動可能とするためのユニットである。この駆動部11は、飛行制御部16からの指示に基づいて動作し、動力源としてバッテリ11aに蓄えられた電力を使用する。バッテリ11aの電力残量は、バッテリ監視部11bにより監視され、飛行制御部16に出力される。
【0035】
超音波センサ12は、飛行ユニット10の下方に向けて超音波を発射し、該超音波の反射波を受信するまでに要する時間から、飛行ユニット10の高度を算出し、飛行制御部16に出力する。なお、本実施例では、超音波センサ12が下方に向けて超音波を発射することで、床面や地面を基準とした高度を算出する場合について説明するが、飛行ユニット10の移動範囲が屋内である場合には、超音波センサ12が上方に向けて超音波を発射し、天井までの距離を算出することで、高度に対応する値を求めるように構成してもよい。
【0036】
無線通信部13は、警報制御装置20と無線通信を行なうための通信インタフェースである。無線通信部13は、警報制御装置20からの起動指示の受信と、カメラ14が撮像した画像の警報制御装置20への送信とを行なう。また、無線通信部13は、警報制御装置20を介した監視センタから遠隔操作指示の受信を行なう。
【0037】
カメラ14は、飛行ユニット10の周囲を撮像する撮像手段である。カメラ14は、撮像した画像を無線通信部13により警報制御装置20に送信するとともに、画像処理部15に出力する。
【0038】
画像処理部15は、カメラ14から出力された画像に対して画像処理を行なう処理部であり、標識識別部15a、到着判定部15b及びオプティカルフロー生成部15cを有する。
【0039】
標識識別部15aは、画像から標識の像を識別する処理を行なう。標識識別部15aは、標識の像を識別した場合に飛行制御部16に対して通知を行なう。この通知により、飛行制御部16は、飛行ユニット10に対する標識の相対方向を知ることができる。
【0040】
到着判定部15bは、画像内における標識の像の大きさを判定し、標識の像の大きさが所定以上となった場合に、飛行ユニット10が標識の近傍に到着したと判定し、飛行制御部16に通知する。
【0041】
オプティカルフロー生成部15cは、カメラ14が時系列に撮像した複数の画像を用いてオプティカルフローを生成することで、標識に対する飛行ユニット10の相対的な移動方向を算定し、飛行制御部16に出力する。
【0042】
飛行制御部16は、画像処理部15の出力を用いて飛行ユニット10の飛行を制御する処理部である。飛行制御部16は、無線通信部13が起動指示を受信した場合に、駆動部11の駆動を開始し、飛行ユニット10を初期位置の上方に浮上させる。
【0043】
飛行制御部16は、飛行ユニット10を所定の高度まで浮上させた後、標識を探索する動作を行なう。具体的には、超音波センサ12の出力から、所定の高度に到達したと判定したならば、飛行制御部16は、その高度を維持しつつ、水平方向に回転するよう駆動部11を制御する。この回転中にカメラ14が撮像した画像から、標識が識別されたならば、飛行制御部16は、識別した標識に向かって移動するよう駆動部11を制御する。
【0044】
識別した標識に向かって移動することで、画像内における標識の像は大きくなる。飛行制御部16は、画像内における標識の像の大きさが所定以上となり、到着判定部15bにより標識の近傍に到着したと判定された場合に、警報制御装置20に対して到着報告を行なう。なお、標識を天井に設置するならば、飛行ユニット10の上部にカメラを設け、標識を撮像範囲の中央に捉えた場合、すなわち、飛行ユニット10が標識の直下まで移動した場合に到着と判定することとしてもよい。
【0045】
標識の近傍に到着後、飛行制御部16は、飛行ユニット10を標識の近傍に留まらせ、カメラ14による周囲の撮像並びに撮像結果の警報制御装置20への送信を行なわせる。そして、警報制御装置20から遠隔操作指示を受信したならば、以降は遠隔操作に基づいて飛行及び撮像の制御を行なう。
【0046】
なお、飛行制御部16は、警報制御装置20からの指示に基づいて浮上したものの、標識を認識できないまま所定時間が経過した場合には、そのまま初期位置に着陸し、警報制御装置20に標識を識別できなかったことを通知して、飛行制御を終了する。
【0047】
また、飛行制御部16は、バッテリ監視部11bから出力された電力残量が閾値を下回った場合には、飛行ユニット10を初期位置まで移動させて、初期位置に着陸させる制御を行なう。また、飛行制御部16は、警報制御装置20から帰投指示を受信した場合にも、飛行ユニット10を初期位置まで移動させて、初期位置に着陸させる制御を行なう。
【0048】
次に、
図1に示した警報制御装置20の内部構成について説明する。
図3は、
図1に示した警報制御装置20の内部構成を示す内部構成図である。
図3に示すように、警報制御装置20は、有線通信部21、無線通信部22及び制御部23を有する。
【0049】
有線通信部21は、監視センタ、センサ30及び標識一体型センサ50と通信するための有線インタフェースである。また、無線通信部22は、飛行ユニット10と無線通信を行なうための通信インタフェースである。
【0050】
制御部23は、警報制御装置20を全体制御する制御部であり、警報処理部23a、飛行指示部23b、センタ通知部23c、画像送信部23d及び遠隔操作中継部23eを有する。
【0051】
警報処理部23aは、センサ30又は標識一体型センサ50から異常発生通知を受信した場合に、施設内に対する警報出力を行なう処理部である。飛行指示部23bは、センサ30又は標識一体型センサ50から異常発生通知を受信した場合に、飛行ユニット10に対して起動指示を送信する処理部である。
【0052】
センタ通知部23cは、センサ30又は標識一体型センサ50から異常発生通知を受信した場合に、監視センタに対して異常の発生を通知する処理部である。画像送信部23dは、飛行ユニット10から受信した画像を随時監視センタに送信する処理部である。遠隔操作中継部23eは、監視センタから飛行ユニット10に対する遠隔操作指示を受信した場合に、受信した遠隔操作指示を飛行ユニット10に転送する処理を行なう。
【0053】
次に、
図1に示した警備システムの動作について説明する。
図4は、
図1に示した警備システムの動作を説明するフローチャートである。
図4に示すように、センサ30は、異常を検知したか否か、すなわちセンサに反応があったか否かを判定し(ステップS101)、センサの反応がなければ(ステップS101;No)、再び反応の有無を判定する監視動作を行なっている。
【0054】
センサ30は、異常を検知したならば(ステップS101;Yes)、警報制御装置20に対して異常の発生を通知し(ステップS102)、標識装置40に標識を表示させる処理を行なって(ステップS103)、処理を終了する。
【0055】
警報制御装置20は、センサ30又は標識一体型センサ50から異常発生の通知を受信したか否かを判定し(ステップS201)、異常発生の通知を受信していなければ(ステップS201;No)、再び異常発生通知の有無を判定する監視動作を行なっている。
【0056】
警報制御装置20は、センサ30又は標識一体型センサ50から異常発生の通知を受信したならば(ステップS201;Yes)、警報処理部23aが、施設内に対する警報出力を行なう(ステップS202)。また、センタ通知部23cは、監視センタに対して異常の発生を通知し(ステップS203)、飛行指示部23bは、飛行ユニット10に対して起動指示を送信する(ステップS204)。
【0057】
飛行ユニット10に起動指示を送信した後、警報制御装置20は、飛行ユニット10と監視センタとの通信を中継する処理を行なう(ステップS205)。具体的には、画像送信部23dは、飛行ユニット10から受信した画像を随時監視センタに送信し、遠隔操作中継部23eは、監視センタから受信した飛行ユニット10に対する遠隔操作指示を飛行ユニット10に転送する。
【0058】
飛行ユニット10は、警報制御装置20から起動指示を受信したか否かを判定し(ステップS301)、起動指示を受信していなければ(ステップS301;No)、再び起動指示の有無を判定する待機動作を行なっている。そして、起動指示を受信した場合に(ステップS301;Yes)、飛行制御部16による飛行の制御を行なう(ステップS302)。
【0059】
この飛行の制御(ステップS302)の詳細について、
図5を参照してさらに説明する。
図5は、
図4に示した飛行制御の詳細を説明するためのフローチャートである。
図5に示すように、飛行制御部16は、まず、駆動部11の駆動並びにカメラ14による撮像を開始し(ステップS401)、飛行ユニット10を初期位置の上方に浮上させる(ステップS402)。
【0060】
飛行制御部16は、飛行ユニット10を所定の高度まで浮上させた後、水平方向に回転するよう駆動部11を制御し(ステップS403)、カメラ14が撮像した画像から、標識が識別されたか否かを判定する(ステップS404)。
【0061】
標識が識別されなければ(ステップS404;No)、飛行制御部16は、飛行ユニット10の回転を継続する(ステップS403)。そして、標識が識別されたならば(ステップS404;Yes)、飛行制御部16は、識別した標識に向かって移動するよう駆動部11を制御する(ステップS405)。
【0062】
飛行制御部16は、到着判定部15bにより標識の近傍に到着したと判定されるまで(ステップS406;No)は、標識方向への移動(ステップS405)を継続する。そして、到着判定部15bにより標識の近傍に到着したと判定された場合に(ステップS406;Yes)、停止して警報制御装置20に到着報告を行なう(ステップS407)。
【0063】
なお、到着報告の後、飛行ユニット10は、標識の近傍に留まって周囲の撮像を撮像し、撮像結果を警報制御装置20へ送信する。そして、警報制御装置20から遠隔操作指示を受信したならば、以降は遠隔操作に基づいて飛行及び撮像の制御を行なう。
【0064】
また、飛行制御部16は、ステップS402の浮上の後、標識を認識できないまま所定時間が経過した場合には、そのまま初期位置に着陸し、警報制御装置20に標識を識別できなかったことを通知して、飛行制御を終了する。
【0065】
また、飛行制御部16は、バッテリ監視部11bから出力された電力残量が閾値を下回った場合や、警報制御装置20から帰投指示を受信した場合には、飛行ユニット10を初期位置まで移動させて、初期位置に着陸させる。
【0066】
上述してきたように、実施例1では、異常発生箇所の近傍に標識を表示させ、カメラ14を搭載した飛行ユニット10が標識に接近するよう飛行制御し、標識近傍の撮像を行なうので、必要な時に必要な場所を柔軟に撮像することができる。
【0067】
また、標識を画像処理により認識し、認識した標識に対して直線上に飛行して接近するので、障害物がない飛行経路を採用し、標識に確実に接近することが可能である。
【実施例2】
【0068】
上記実施例1では、異常発生箇所近傍の標識が、飛行ユニットの初期位置から撮像可能である場合の構成について説明を行なった。しかし、異常発生箇所近傍の標識が飛行ユニットの初期位置から撮像できなくとも、複数の標識の表示状態を制御することで、飛行ユニットを異常発生箇所まで誘導することができる。そこで実施例2では、複数の標識の表示状態を制御することで、飛行ユニットを誘導する構成について説明する。
【0069】
図6は、実施例2に係る警備システムのシステム構成図である。
図6に示すように、実施例2に係る警備システムは、飛行ユニット110と、警報制御装置120と、標識装置Y1〜Y3とを有する。なお、標識装置Y1〜Y3の近傍には、それぞれ対応するセンサが設置されているが、
図6では図示及び説明を省略する。
【0070】
標識装置Y1は、飛行ユニット110の初期位置から撮像可能な位置に設置されている。標識装置Y2は、飛行ユニット110の初期位置からは撮像可能ではないが、標識装置Y1の近傍からは撮像可能な位置に設置されている。そして、標識装置Y3は、飛行ユニット110の初期位置からは撮像可能ではないが、標識装置Y2の近傍からは撮像可能な位置に設置されている。
【0071】
したがって、飛行ユニット110は、標識装置Y1の近傍に到着した後であれば、標識装置Y2の標識を認識して標識装置Y2に向けて移動可能である。そして、標識装置Y2の近傍に到着した後であれば、標識装置Y3の標識を認識して標識装置Y3に向けて移動可能である。
【0072】
そこで、警報制御装置120は、標識装置Y1〜Y3の標識に対して表示制御を行なうことで、飛行ユニット110の飛行経路を設定し、飛行ユニット110を誘導する。
図7は、警報制御装置120の内部構成を示す内部構成図である。
【0073】
図7に示すように、警報制御装置120は、有線通信部21、無線通信部22及び制御部23に加え、記憶部24をさらに有する点が実施例1に示した警報制御装置20とは異なる。また、制御部23は、標識制御部23fをさらに有する点が実施例1に示した警報制御装置20とは異なる。その他の構成及び動作については、実施例1と同様であるので、同一の構成要素には同一の符号を付して説明を省略する。
【0074】
記憶部24は、ハードディスク装置や不揮発性メモリ等の記憶デバイスであり、標識制御テーブル24aを記憶する。標識制御テーブル24aは、異常の発生箇所と、標識装置Y1〜Y3に対する標識の制御内容とを対応づけたデータである。
【0075】
標識制御部23fは、異常発生通知を受信した場合に、標識制御テーブル24aを参照し、標識装置Y1〜Y3の標識を制御することで、飛行ユニット110を異常発生箇所近傍まで誘導する。
【0076】
具体的には、標識装置Y1〜Y3の標識を順次表示制御することで飛行ユニット110を誘導してもよいし、優先度の異なる標識を表示させることで飛行ユニット110を誘導してもよい。
【0077】
図8は、標識を順次表示制御する場合の標識制御テーブル24aの具体例である。
図8に示すように、標識を順次表示制御する場合の標識制御テーブル24aは、異常発生箇所と、表示の順序を対応付けたデータである。
【0078】
具体的には、標識装置Y1の近傍で異常が発生した場合には、標識装置Y1のみに標識を表示させる。また、標識装置Y2の近傍で異常が発生した場合には、標識装置Y1、Y2の順序で標識を表示させる。そして、標識装置Y3の近傍で異常が発生した場合には、標識装置Y1、Y2、Y3の順序で標識を表示させる。
【0079】
図9は、標識を順次表示制御する場合の動作を説明するための説明図である。
図9は、標識装置Y3の近傍でセンサが反応した場合のタイムチャートを示す。標識装置Y3の近傍でセンサが反応したならば、標識装置Y3は、警報制御装置120に異常発生を通知して、標識を表示する。
【0080】
標識装置Y3から異常発生通知を受信した警報制御装置120は、飛行ユニット110に対して起動指示を送信するとともに、標識装置Y1〜Y3の制御を行なう。具体的には、標識制御テーブル24aに「標識装置Y3の近傍で異常が発生した場合には、標識装置Y1、Y2、Y3の順序で標識を表示させる」ことが示されているため、警報制御装置120は、標識装置Y3に対して標識を非表示にするよう指示するとともに、標識装置Y1に対して標識の表示指示を送信する。
【0081】
標識装置Y3は警報制御装置120からの非表示指示を受信して標識を非表示にし、標識装置Y1は、警報制御装置120は表示指示を受信して標識を表示する。警報制御装置120により起動された飛行ユニット110は、標識装置Y1の標識を識別し、標識装置Y1の方向へ移動する。そして、標識装置Y1の近傍に到着した場合に、警報制御装置120に対して到着報告を送信する。
【0082】
警報制御装置120は、飛行ユニット110から到着報告を受信したならば、標識の表示を切り替える。具体的には、警報制御装置120は、標識装置Y1に対して標識を非表示にするよう指示するとともに、標識装置Y2に対して標識の表示指示を送信する。
【0083】
標識装置Y1は警報制御装置120からの非表示指示を受信して標識を非表示にし、標識装置Y2は、警報制御装置120は表示指示を受信して標識を表示する。飛行ユニット110は、標識装置Y1の標識が消え、標識装置Y2の標識が表示されたので、標識装置Y2の標識を識別し、標識装置Y2の方向へ移動することとなる。そして、標識装置Y3
の近傍に到着した場合に、警報制御装置120に対して到着報告を送信する。
【0084】
警報制御装置120は、飛行ユニット110から到着報告を受信したならば、標識の表示をさらに切り替える。具体的には、警報制御装置120は、標識装置Y2に対して標識を非表示にするよう指示するとともに、標識装置Y3に対して標識の表示指示を送信する。
【0085】
標識装置Y2は警報制御装置120からの非表示指示を受信して標識を非表示にし、標識装置Y3は、警報制御装置120は表示指示を受信して標識を表示する。飛行ユニット110は、標識装置Y2の標識が消え、標識装置Y3の標識が表示されたので、標識装置Y3の標識を識別し、標識装置Y3の方向へ移動することとなる。そして、標識装置Y3の近傍に到着した場合に、警報制御装置120に対して到着報告を送信する。
【0086】
このように、飛行ユニット110からの到着報告を利用して、標識装置Y1〜Y3の表示を切り替えることにより、飛行ユニット110を誘導することができる。なお、飛行ユニット110は常に単一の標識を識別し、標識に向かって移動するのみであるので、実施例1と同様の動作となる。
【0087】
次に、優先度の異なる標識を表示させることで飛行ユニット110を誘導する場合について説明する。
図10は、優先度の異なる標識を表示させる場合の標識制御テーブル24aの具体例である。
図10に示すように、標識を順次表示制御する場合の標識制御テーブル24aは、異常発生箇所と、標識装置Y1〜Y3の表示内容とを対応付けたデータである。
【0088】
具体的には、標識装置Y1の近傍で異常が発生した場合には、標識装置Y1に「優先度1」の標識を表示させ、標識装置Y2及び標識装置Y3の標識は非表示とする。また、標識装置Y2の近傍で異常が発生した場合には、標識装置Y1に「優先度2」の標識を表示させ、標識装置Y2に「優先度1」の標識を表示させ、標識装置Y3の標識は非表示とする。そして、標識装置Y3の近傍で異常が発生した場合には、標識装置Y1に「優先度3」の標識を表示させ、標識装置Y2に「優先度2」の標識を表示させ、標識装置Y3に「優先度1」の標識を表示させる。
【0089】
飛行ユニット110は、複数の標識を認識した場合には、優先度の値が小さい、すなわち優先度が高い標識の方向に移動する。優先度の違いは、標識の形状、色、点滅間隔等の表示態様を異ならせることで画像認識により識別可能である。
【0090】
図11は、優先度の異なる標識を表示させる場合の動作を説明するための説明図である。
図11は、標識装置Y3の近傍でセンサが反応した場合のタイムチャートを示す。標識装置Y3の近傍でセンサが反応したならば、標識装置Y3は、警報制御装置120に異常発生を通知する。
【0091】
標識装置Y3から異常発生通知を受信した警報制御装置120は、飛行ユニット110に対して起動指示を送信するとともに、標識装置Y1〜Y3の制御を行なう。具体的には、標識制御テーブル24aに従い、標識装置Y3に対して「優先度1」の標識表示指示を送信し、標識装置Y2に対して「優先度2」の標識表示指示を送信し、標識装置Y1に対して「優先度3」の標識表示指示を送信する。
【0092】
したがって、標識装置Y3は警報制御装置120からの表示指示を受信して「優先度1」の標識を表示し、標識装置Y2は警報制御装置120からの表示指示を受信して「優先度2」の標識を表示し、標識装置Y1は警報制御装置120からの表示指示を受信して「優先度3」の標識を表示する。
【0093】
警報制御装置120により起動された飛行ユニット110は、標識装置Y1の標識を識別し、標識装置Y1の方向へ移動する。そして、標識装置Y1の近傍に到着すると、その場で回転し、他の標識を探索する。この結果、飛行ユニット110は、標識装置Y2の標識を識別する。標識装置Y1の標識が「優先度3」であり、標識装置Y2の標識が「優先度2」であるので、飛行ユニット110は優先度の高い標識装置Y2の方向に移動を開始する。
【0094】
飛行ユニット110は、標識装置Y2の近傍に到着すると、その場で回転し、他の標識を探索する。この結果、飛行ユニット110は、標識装置Y3の標識を識別する。標識装置Y2の標識が「優先度2」であり、標識装置Y3の標識が「優先度1」であるので、飛行ユニット110は優先度の高い標識装置Y3の方向に移動を開始する。そして、「優先度1」である標識装置Y3の近傍に到着した場合に、警報制御装置120に対して到着報告を送信する。
【0095】
なお、最終目的であることを示す「優先度1」の標識に到着した後、飛行ユニット110は、標識の近傍に留まって周囲の撮像を撮像し、撮像結果を警報制御装置120へ送信する。そして、警報制御装置120から遠隔操作指示を受信したならば、以降は遠隔操作に基づいて飛行及び撮像の制御を行なう。
【0096】
また、初期位置からの浮上の後、標識を認識できないまま所定時間が経過した場合には、そのまま初期位置に着陸し、警報制御装置120に標識を識別できなかったことを通知して、飛行制御を終了する。
【0097】
上述してきたように、実施例2では、複数の標識の表示状態を制御することで、飛行ユニット110を誘導することができるので、飛行ユニット110の移動先や移動経路を柔軟に設定することができる。
【0098】
なお、飛行ユニット110が目的地に到着した後に、初期位置に帰投する場合には、初期位置にも標識を設けておき、現在位置から初期位置に至るまでの経路上に存在する複数の標識を順次表示制御する、若しくは優先度を設けて表示制御することで、飛行ユニット110を初期位置まで誘導することができる。
【0099】
また、上記実施例1及び2では、飛行ユニット10,110は、撮像した画像をそのまま警報制御装置20,120に送信する構成について説明したが、飛行ユニット10,110に撮像した画像を記憶する記憶部を持たせてもよい。
【0100】
また、上記実施例1及び2では、飛行ユニット10,110が警報制御装置20,120から受信した遠隔操作に従う場合について説明したが、異常発生現場に居る警備員等が所持する操作端末と無線通信し、該操作端末による遠隔操作に従うことができるように構成してもよい。
【0101】
また、飛行ユニット10,110に人体検知センサをさらに搭載し、人体を検知した方向にカメラ14を向けることで、異常発生箇所やその近傍に居た人物を撮像し、警報制御装置20,120に送信するように構成してもよい。
【0102】
また、上記実施例2では、警報制御装置120が標識制御テーブル24aを格納し、該標識制御テーブル24aに基づいて標識の表示順序や表示態様を変化させることにより、飛行ユニット110を誘導する場合について説明したが、飛行ユニット110が飛行経路を制御するためのテーブルを保持するように構成してもよい。係る構成では、各標識は、固有の表示態様を有し、飛行ユニット110は、警報制御装置120から目的地となる標識の通知を受ける。飛行ユニット110が保持するテーブルは、目的地となる標識と、該標識に至るまでに飛行すべき経路上の標識の態様とを対応付けたものであり、飛行ユニット110は、該テーブルを参照して順次標識を識別しつつ飛行することにより、適切な飛行経路を選択して目的地に到達することができる。