特許第6073097号(P6073097)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6073097情報処理装置、情報処理方法およびプログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6073097
(24)【登録日】2017年1月13日
(45)【発行日】2017年2月1日
(54)【発明の名称】情報処理装置、情報処理方法およびプログラム
(51)【国際特許分類】
   B61L 23/14 20060101AFI20170123BHJP
   B61L 3/02 20060101ALI20170123BHJP
【FI】
   B61L23/14 ZZIT
   B61L3/02 Z
【請求項の数】7
【全頁数】18
(21)【出願番号】特願2012-205736(P2012-205736)
(22)【出願日】2012年9月19日
(65)【公開番号】特開2014-58276(P2014-58276A)
(43)【公開日】2014年4月3日
【審査請求日】2015年7月29日
(73)【特許権者】
【識別番号】512243111
【氏名又は名称】伊藤 大河
(74)【代理人】
【識別番号】100167184
【弁理士】
【氏名又は名称】井上 真一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100176544
【弁理士】
【氏名又は名称】小池 伸太郎
(72)【発明者】
【氏名】伊藤 大河
【審査官】 高田 基史
(56)【参考文献】
【文献】 特開2000−025615(JP,A)
【文献】 特開2011−011716(JP,A)
【文献】 特開2011−189863(JP,A)
【文献】 特開2008−126721(JP,A)
【文献】 特開2012−011867(JP,A)
【文献】 特開2008−247154(JP,A)
【文献】 特開平11−227607(JP,A)
【文献】 特開2008−056179(JP,A)
【文献】 特開2001−347946(JP,A)
【文献】 特開平11−078887(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B61L 1/00−99/00
B60L 1/00− 3/12
7/00−13/00
15/00−15/42
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
線路上を運行する複数の列車それぞれの先頭車両に設置された第1の位置検出手段が検出する先頭車両の位置を含む位置情報と最後尾車両に設置された第2の位置検出手段が検出する最後尾車両の位置を含む位置情報とを各列車から受信する受信部と、
前記受信部が受信した位置情報を用いて線路上の列車それぞれに先行する先行列車を抽出する抽出部と、
前記抽出部が抽出した各列車の先行列車の最後尾車両の位置を、各列車の後続列車に通知する通知部と、
前記第2の位置検出手段から位置情報を受信したタイミングでは先行列車の防護区間の最後尾位置に停止するブレーキパターンを生成せず、前記第1の位置検出手段から位置情報を受信したタイミングで前記ブレーキパターンを生成し前記位置情報を送信した第1の位置検出手段が設置された列車に送信する生成部と、
を備えることを特徴とする情報処理装置。
【請求項2】
前記第1の位置検出手段および前記第2の位置検出手段は線路の近傍に設置された位置検出対象物に記載された情報を読み取る請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項3】
前記位置検出対象物が設置された間隔は、列車の長さより短い請求項2に記載の情報処理装置。
【請求項4】
前記各列車は、前記位置検出手段が前記位置検対象物を読み取ったときに前記位置情報を送信する請求項2または3に記載の情報処理装置。
【請求項5】
前記位置情報には前記各列車の走行する路線および区間を識別する情報が含まれる請求項1ないし4のいずれかに記載の情報処理装置。
【請求項6】
コンピュータが、
線路上を運行する複数の列車それぞれの先頭車両に設置された第1の位置検出手段が検出する先頭車両の位置を含む位置情報と最後尾車両に設置された第2の位置検出手段が検出する最後尾車両の位置を含む位置情報とを各列車から受信し、
受信した位置情報を用いて線路上の列車それぞれに先行する先行列車を抽出し、
抽出した各列車の先行列車の最後尾車両の位置を、各列車の後続列車に通知し、
前記第2の位置検出手段から位置情報を受信したタイミングでは先行列車の防護区間の最後尾位置に停止するブレーキパターンを生成せず、前記第1の位置検出手段から位置情報を受信したタイミングで前記ブレーキパターンを生成し前記位置情報を送信した第1の位置検出手段が設置された列車に送信する、
ことを特徴とする情報処理方法。
【請求項7】
コンピュータに、
線路上を運行する複数の列車それぞれの先頭車両に設置された第1の位置検出手段が検出する先頭車両の位置を含む位置情報と最後尾車両に設置された第2の位置検出手段が検出する最後尾車両の位置を含む位置情報とを各列車から受信し、
受信した位置情報を用いて線路上の列車それぞれに先行する先行列車を抽出し、
抽出した各列車の先行列車の最後尾車両の位置を、各列車の後続列車に通知し、
前記第2の位置検出手段から位置情報を受信したタイミングでは先行列車の防護区間の最後尾位置に停止するブレーキパターンを生成せず、前記第1の位置検出手段から位置情報を受信したタイミングで前記ブレーキパターンを生成し前記位置情報を送信した第1の位置検出手段が設置された列車に送信する、
処理を実行させることを特徴とするプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は情報処理装置、情報処理方法およびプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
列車の走行位置を検出する技術がいくつか知られている。例えば列車の位置を検出するために軌道回路を用いることが知られている。異なる軌道回路に列車が位置するように制御することで列車の衝突を防いでいる。
【0003】
また、列車の位置を検出する他の技術として、GPS(Global Positioning System)を用いて列車の位置を検出する技術が知られている。
【0004】
また、列車の位置を検出する他の技術として、列車の進行経路の枕木に所定間隔毎に、位置の情報が表現されたバーコードを備える複数個の地上子を配置し、各地上子に表現された位置の情報の符号を読み取る符号読取装置を列車側に配置し、符号読取装置により読み取られた符号から列車の現在位置を特定する技術が知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2008−56179号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
例えば列車の本数を増やしたい場合、列車の間隔を詰めるために1つの列車が位置するために確保する区間(以下、「防護区間」と言う)をできるだけ狭くすることを考える。
【0007】
軌道回路を用いて作る防護区間は列車の長さにかかわらず固定長である。そのため、1つの列車が属する防護区間には、1つの列車しか入ることができず、ある区間の列車の密度は、軌道回路により固定となる。このため、ある区間において列車の密度を高めようとすると軌道回路の固定長を小さくすることになる。
【0008】
しかしながら、軌道回路の固定長を小さくして防護区間を狭くしようとすると、多大な手間が掛かる。また、軌道回路の数が増えるため、メンテナンス費用が非常に大きくなるという問題がある。
【0009】
また、GPSを用いて防護区間を狭くしようとすると、GPSはトンネル内で使用できない上、GPSから得られる位置情報だけでは、列車位置の検出に必要な情報の一部しか得られない。さらに、GPSを用いて得られる位置情報は編成長を加味していないため、同一路線で編成長が異なる列車を運転することが難しい。
1つの側面では、本発明は、ある区間内に配置できる列車の密度を高めることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記目的を達成するために、開示の情報処理装置が提供される。この情報処理装置は、 受信部と抽出部と通知部とを有している。
【0011】
受信部は、線路上を運行する複数の列車それぞれの最後尾車両の位置を含む位置情報を各列車から受信する。抽出部は、受信部が受信した位置情報を用いて線路上の列車それぞれに先行する先行列車を抽出する。通知部は、抽出部が抽出した各列車の先行列車の最後尾車両の位置を、各列車の後続列車に通知する。
【発明の効果】
【0012】
1態様では、ある区間内に配置できる列車の密度を高めることができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】実施の形態の情報処理システムを示す図である。
図2】制御装置の機能を示すブロック図である。
図3】制御装置が列車位置情報の送信に伴い中央処理装置との間で行う処理を説明するシーケンス図である。
図4】実施の形態の中央処理装置のハードウェア構成を示す図である。
図5】実施の形態の中央処理装置の機能を示すブロック図である。
図6】記憶部に記憶された情報の一例を示す図である。
図7】中央処理装置の処理を示すフローチャートである。
図8】情報処理システムの処理の一例を示す図である。
図9】ブレーキパターンによる運行を説明する図である。
図10】後部車両に設置されたカメラが撮像した画像のバーコードの読み取りに失敗した場合の列車の動作を説明する図である。
図11】先頭車両に設置されたカメラが撮像した画像のバーコードの読み取りに失敗した場合の列車の動作を説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、実施の形態の情報処理システムを、図面を参照して詳細に説明する。
<実施の形態>
図1は、実施の形態の情報処理システムを示す図である。
【0015】
実施の形態の情報処理システム1は、線路2a、2bと、標識3a1〜3a6、および標識3b1〜3b6と、中央処理装置(情報処理装置)4とを有している。
図1には、2本の線路2a、2bが図示されている。線路2aは下り方向の線路(下り本線)であり、線路2bは上り方向の線路(上り本線)である。
標識3a1〜3a6は、それぞれ線路2aの近傍に配置されている。標識3b1〜3b6は、それぞれ線路2bの近傍に配置されている。
【0016】
標識3a1〜3a5は、線路2aに沿って一方向側に50m間隔(一定間隔)で設けられている。また、標識3a4と標識3a6との間も50m間隔である。標識3b1〜3b5は、線路2bに沿って一方向側に50m間隔で設けられている。また、標識3b4と標識3b6との間も50m間隔である。標識3a1〜3a6、および標識3b1〜3b6は、例えば架線柱等に設置されている。
【0017】
標識3a1〜3a6、および標識3b1〜3b6には、バーコードが記載されている。バーコードには起点からの位置(例えばキロ程、運転線路、番線等)を識別する位置識別情報が埋め込まれている。なお、図1では説明の都合上、標識3a1〜3a6、および標識3b1〜3b6には、バーコードの代わりに起点からの距離を示す情報と運転線路を示す情報を図示している。「D」、および「D本」は下り本線を意味する。「D副」は、下り副本線を意味する。「U」、および「U本」は上り本線を意味する。「U副」は、上り副本線を意味する。例えば、図1に示す列車5aは、下り本線から○×駅の下り副本線に進入している様子を示している。列車5bは、○×駅の上り副本線から上り本線に進入している様子を示している。
【0018】
線路2aを走行する列車5aの先頭車両5a1および最後尾車両5a2には、それぞれカメラ6a、6bが設けられている。線路2bを走行する列車5bの先頭車両5b1および最後尾車両5b2には、それぞれカメラ6c、6dが設けられている。例えばカメラ6a、6bは、標識3a1〜3a6に記載されたバーコードを撮像する。カメラ6a、6bが撮像した画像は、列車5aが備え、列車の動作を制御する制御装置7aに送られる。カメラ6c、6dが撮像した画像は、列車5bが備え、列車の動作を制御する制御装置7bに送られる。制御装置7aと制御装置7bの機能は等しいため、以下、代表的に制御装置7aの機能を説明する。
図2は、制御装置の機能を示すブロック図である。
制御装置7aは、解析部71と、記憶部72と、情報作成部73と、受信部74と、表示部75とを有している。
【0019】
解析部71は、カメラ6a、6bが撮像した画像を解析することで、撮像されたバーコードの内容を読み取る。例えば、図1に示す例では、解析部71は、カメラ6aにより撮像された画像を解析することにより標識3a6に記載された「3k100m下り副本線」を読み取る。また、解析部71は、カメラ6bにより撮像された画像を解析することにより標識3a3に記載された「3k000m下り本線」を読み取る。すなわち、列車5aは、下り線の3k000mから3k100mの間に位置している。また、列車5aの先頭車両5a1は、副本線に位置している。よって列車5aの防護区間は、下り本線3k000mから下り副本線3k100mの間になる。標識3a1〜3a6を設置する間隔を調整することにより、防護区間の調整が容易になる。
【0020】
また、図2には図示していないが、制御装置7bが備える解析部は、カメラ6cにより撮像された画像を解析することにより標識3b1に記載された「2k900m上り本線」を読み取る。また、解析部71は、カメラ6dにより撮像された画像を解析することにより標識3b6に記載された「3k100m上り副本線」を読み取る。すなわち、列車5bは、上り線の2k900mから3k100mの間に位置している。また、列車5bの先頭車両5b1は、本線に位置している。よって列車5bの防護区間は、上り本線2k900mから上り副本線3k100mの間になる。
記憶部72は、例えばRAM(Random Access Memory)等を備える。
記憶部72の記憶領域72aには例えば制御装置7aの起動時に中央処理装置4から受信した列車5aの列車ID「Cレ」が記憶されている。
【0021】
解析部71は、カメラ6a、6bが撮像した画像を解析することで、撮像されたバーコードの内容を読み取る。そして、解析部71は、撮像されたバーコードの内容を読み取る度に、読み取った情報を記憶部72の所定の記憶領域に書き込む(上書きする)。より詳しくは、解析部71は、カメラ6aにより撮像された画像を解析することにより標識に記載された情報を読み取ると、読み取った情報のうち、運転線路を記憶領域72bに書き込む。読み取った時刻を記憶領域72cに書き込む。読み取った情報に含まれる位置を記憶領域72dに書き込む。以下、列車の先頭車両に設置されたカメラにより撮像された画像を解析することにより読み取った情報に含まれる位置を「防護区間の先頭位置」と言う。
【0022】
また、解析部71は、カメラ6bにより撮像された画像を解析することにより標識に記載された情報を読み取ると、読み取った情報に含まれる運転線路を記憶領域72bに書き込む。読み取った時刻を記憶領域72eに書き込む。読み取った情報に含まれる位置を記憶領域72fに書き込む。以下、列車の最後尾車両に設置されたカメラにより撮像された画像を解析することにより読み取った情報に含まれる位置を「防護区間の最後尾位置」と言う。
【0023】
情報作成部73は、記憶部72の記憶領域72b〜72fが更新されたタイミングで列車5aの位置を示す列車位置情報D1を作成する。列車位置情報D1は、記憶部72に記憶されている列車5aの列車ID、運転線路、および時刻を含む。ここで時刻は、記憶領域72c、72eのうち、最新の時刻である。また、列車位置情報D1は、防護区間の先頭位置と防護区間の最後尾位置のうち、いずれか一方または両方を含む。具体的には、記憶領域72dに記憶される防護区間の先頭位置と記憶領域72fに記憶される防護区間の最後尾位置がほぼ同じタイミングで更新された場合、情報作成部73は、更新された防護区間の先頭位置と防護区間の最後尾位置の両方を含む列車位置情報D1を作成する。記憶領域72dに記憶される防護区間の先頭位置と記憶領域72fに記憶される防護区間の最後尾位置のいずれか一方が更新された場合、更新された防護区間の先頭位置または防護区間の最後尾位置を含む列車位置情報D1を作成する。
情報作成部73は、作成した列車位置情報D1を列車無線を介して中央処理装置4に送信する。
【0024】
また、情報作成部73は、防護区間の先頭位置を含む列車位置情報D1を作成した場合、列車5aが、列車5aの先行列車に衝突しないように減速するブレーキパターンを中央処理装置4から取得するブレーキパターン通知要求を中央処理装置4に送信する。
以下、制御装置7aが列車位置情報D1の送信に伴い中央処理装置4との間で行う処理を説明する。
【0025】
図3は、制御装置が列車位置情報の送信に伴い中央処理装置との間で行う処理を説明するシーケンス図である。
【0026】
[シーケンスSeq1] 情報作成部73は、列車位置情報D1を作成すると、作成した列車位置情報を中央処理装置4に送信する。
[シーケンスSeq2] 列車位置情報を受信した中央処理装置4は、列車位置情報を受領したことを示す列車位置情報受領応答を制御装置7aに送信する。
[シーケンスSeq3] 情報作成部73は、防護区間の先頭位置を含む列車位置情報D1を作成した場合、ブレーキパターン通知要求を中央処理装置4に送信する。
[シーケンスSeq4] ブレーキパターン通知要求を受信した中央処理装置4は、ブレーキパターンを生成し、制御装置7aに送信する。
[シーケンスSeq5] ブレーキパターンを受信した制御装置7aは、ブレーキパターンを受領したことを示すブレーキパターン受領応答を中央処理装置4に送信する。
以上で図3に示す処理の説明を終了する。
【0027】
なお、情報作成部73は、防護区間の最後尾位置を含む列車位置情報D1を作成した場合、前述したシーケンスSeq1、Seq2の処理を実行し、シーケンスSeq3〜Seq5の処理は実行しない。このように、列車5aの先頭車両に設置されたカメラ6aが撮像した画像のバーコードの読み取りに成功した場合にのみ情報作成部73はブレーキパターン通知要求を中央処理装置4に送信する。
【0028】
中央処理装置4は、制御装置7a、7bから送られてくる列車位置情報を集約する。そして、中央処理装置4は、集約した列車位置情報を用いて列車5a、5bに先行する列車の後部位置を示す先行列車情報を、列車無線を介して制御装置7a、7bに送信する。このとき、各列車それぞれの列車位置情報を先行列車情報に含ませて送信するようにしてもよい。
【0029】
受信部74は、列車位置情報の送信に伴い中央処理装置4が送信する先行列車情報を受信する。受信部74は、受信した先行列車情報を記憶部72が備える記憶領域72g、72h、72iに書き込む。
【0030】
記憶領域72gには、先行列車の列車IDが書き込まれる。記憶領域72hには先行列車情報を受信した時刻が書き込まれる。記憶領域72iには先行列車の防護区間の最後尾位置が書き込まれる。
【0031】
また、受信部74は、中央処理装置4が送信するブレーキパターンを受信する。受信部74は、受信した先行列車情報を記憶部72が備える記憶領域72jに書き込む。
【0032】
表示部75は、記憶領域72g、72h、72iに記憶されている情報を用いて運転士が運行に使用する線形図を生成する。表示部75は、ブレーキパターン、および生成した線形図を制御装置7aに接続されたモニタ8に表示する。列車5aの運転士は、モニタ8に表示されたブレーキパターン、および線形図に基づき列車を運転する。
次に、中央処理装置4のハードウェア構成および機能を詳しく説明する。
図4は、実施の形態の中央処理装置のハードウェア構成を示す図である。
【0033】
中央処理装置4は、CPU(Central Processing Unit)101によって装置全体が制御されている。CPU101には、バス108を介してRAM102と複数の周辺機器が接続されている。
【0034】
RAM102は、中央処理装置4の主記憶装置として使用される。RAM102には、CPU101に実行させるOS(Operating
System)のプログラムやアプリケーションプログラムの少なくとも一部が一時的に格納される。また、RAM102には、CPU101による処理に使用する各種データが格納される。
【0035】
バス108には、ハードディスクドライブ103、グラフィック処理装置104、入力インタフェース105、ドライブ装置106、および通信インタフェース107が接続されている。
【0036】
ハードディスクドライブ103は、内蔵したディスクに対して、磁気的にデータの書き込みおよび読み出しを行う。ハードディスクドライブ103は、中央処理装置4の二次記憶装置として使用される。ハードディスクドライブ103には、OSのプログラム、アプリケーションプログラム、および各種データが格納される。なお、二次記憶装置としては、フラッシュメモリ等の半導体記憶装置を使用することもできる。
【0037】
グラフィック処理装置104には、モニタ104aが接続されている。グラフィック処理装置104は、CPU101からの命令に従って、画像をモニタ104aの画面に表示させる。モニタ104aとしては、CRT(Cathode Ray Tube)を用いた表示装置や、液晶表示装置等が挙げられる。
【0038】
入力インタフェース105には、キーボード105aとマウス105bとが接続されている。入力インタフェース105は、キーボード105aやマウス105bから送られてくる信号をCPU101に送信する。なお、マウス105bは、ポインティングデバイスの一例であり、他のポインティングデバイスを使用することもできる。他のポインティングデバイスとしては、例えばタッチパネル、タブレット、タッチパッド、トラックボール等が挙げられる。
【0039】
ドライブ装置106は、例えば、光の反射によって読み取り可能なようにデータが記録された光ディスクや、USB(Universal
Serial Bus)メモリ等の持ち運び可能な記録媒体に記録されたデータの読み取りを行う。例えば、ドライブ装置106が光学ドライブ装置である場合、レーザ光等を利用して、光ディスク200に記録されたデータの読み取りを行う。光ディスク200には、Blu−ray(登録商標)、DVD(Digital Versatile Disc)、DVD−RAM、CD−ROM(Compact
Disc Read Only Memory)、CD−R(Recordable)/RW(ReWritable)等が挙げられる。
【0040】
通信インタフェース107は、ネットワーク50に接続されている。通信インタフェース107は、ネットワーク50を介して、制御装置7a、7bや、他のコンピュータとの間でデータを送受信する。
【0041】
以上のようなハードウェア構成によって、本実施の形態の処理機能を実現することができる。なお、制御装置7a、7bも中央処理装置4と同様のハードウェア構成を有することができる。
図4に示すようなハードウェア構成の中央処理装置4内には、以下のような機能が設けられる。
図5は、実施の形態の中央処理装置の機能を示すブロック図である。
中央処理装置4は、受信部4aと抽出部4bと記憶部4cと送信部4dと生成部4eとを有している。
【0042】
受信部4aは、制御装置7a、7bが送信する列車位置情報を受信する。受信部4aは、列車位置情報を受信すると、受信した列車位置情報を抽出部4bに送る。また、受信部4aは、制御装置7a、7bが送信するブレーキパターン通知要求を受信する。受信部4aは、ブレーキパターン通知要求を受信すると、受信したブレーキパターン通知要求を生成部4eに送る。
【0043】
抽出部4bは、受信部4aが受信した列車位置情報を用いて各列車それぞれに先行する列車を抽出する。具体的には抽出部4bは、受信部4aが受信した列車位置情報を解析し、列車の運転線路を取得する。そして、運転線路が同じ列車についての列車位置情報毎にまとめて記憶部4cの予め用意した記憶領域に記憶する。
図6は、記憶部に記憶された情報の一例を示す図である。
【0044】
記憶部4cには情報がテーブル化されて記憶されている。図6に示すテーブルT1には、列車位置情報が記憶されている。テーブルT1には、ID、運転線路、時刻、前部、後部、先行の欄が設けられている。横方向に並べられた情報同士が互いに関連づけられている。
IDの欄には、受信部4aが受信した列車位置情報に含まれる列車の列車IDが記載される。
運転線路の欄には、受信部4aが受信した列車位置情報に含まれる列車の運転線路が記載される。
時刻の欄には、受信部4aが受信した列車位置情報に含まれる時刻が記載される。
前部の欄には、受信部4aが受信した列車位置情報に含まれる防護区間の先頭位置が記載される。
後部の欄には、受信部4aが受信した列車位置情報に含まれる防護区間の最後尾位置が記載される。
【0045】
先行の欄には、抽出部4bが列車位置情報を用いて抽出した、各列車それぞれに先行する先行列車の最後尾車両の位置情報が記載される。具体的には、抽出部4bは、選択した1つのレコードの前部の位置を、他のレコードの後部の位置と比較する。そして、抽出部4bは、選択したレコードの前部の位置より進行方向にあり、かつ、最も近い後部の位置を、先行の欄に記載する。この先行の欄に記載された位置は、先行列車の防護区間の最後尾位置である。
【0046】
図6に示す例では、抽出部4bは、3行目のレコードの前部の位置「5」を、1行目のレコードの後部の位置「26」および2行目のレコードの後部の位置「13」と比較する。そして、抽出部4bは、位置「5」より進行方向にあり「5」に最も近い後部の位置「13」を、先行の欄に記載する。また、抽出部4bは、2行目のレコードの前部の位置「16」を、1行目のレコードの後部の位置「26」および3行目のレコードの後部の位置「2」と比較する。そして、抽出部4bは、位置「16」より進行方向にあり「16」に最も近い後部の位置「26」を、先行の欄に記載する。
なお、図6には図示していないが、走行線路や番線等の情報が列車位置情報に含まれている場合、抽出部4bは、これらの情報をテーブルT1に記憶する。
再び図5に戻って説明する。
【0047】
送信部4dは、テーブルT1を参照する。そして、送信部4dは、IDの欄に記載された列車IDを持つ列車それぞれに先行の欄に記載された先行列車の防護区間の最後尾位置を含む先行列車情報を送信する。
【0048】
生成部4eは、受信部4aからブレーキパターン通知要求を受け取ると、ブレーキパターンを生成する。具体的には、生成部4eは、テーブルT1を参照する。そして、生成部4eは、ブレーキパターン通知要求に含まれる列車IDを読み取る。そして、生成部4eは、読み取った列車IDに一致する列車IDが記載されたレコードにつき、前部の欄に記載された防護区間の先頭位置から先行の欄に記載された先行列車の防護区間の最後尾位置に停止するブレーキパターンを生成する。そして、生成部4eは、生成したブレーキパターンを、ブレーキパターン通知要求に含まれる列車IDを持つ列車に送信する。
次に、中央処理装置の処理を、フローチャートを用いて説明する。
図7は、中央処理装置の処理を示すフローチャートである。
【0049】
[ステップS1] 受信部4aは、列車位置情報を受信したか否かを判断する。列車位置情報を受信した場合(ステップS1のYes)、ステップS2に遷移する。列車位置情報を受信していない場合(ステップS1のNo)、列車位置情報の受信を待機する。
【0050】
[ステップS2] 抽出部4bは、受信部4aが受信した列車位置情報に防護区間の先頭位置が含まれているか否かを判断する。列車位置情報に防護区間の先頭位置が含まれている場合(ステップS2のYes)、ステップS3に遷移する。列車位置情報に防護区間の先頭位置が含まれていない場合(ステップS2のNo)、ステップS4に遷移する。
【0051】
[ステップS3] 抽出部4bは、受信した列車位置情報に含まれる防護区間の先頭位置をテーブルT1の前部の欄に記載する。その後、ステップS4に遷移する。
【0052】
[ステップS4] 抽出部4bは、受信部4aが受信した列車位置情報に防護区間の最後尾位置が含まれているか否かを判断する。列車位置情報に防護区間の最後尾位置が含まれている場合(ステップS4のYes)、ステップS5に遷移する。列車位置情報に防護区間の最後尾位置が含まれていない場合(ステップS4のNo)、ステップS6に遷移する。
【0053】
[ステップS5] 抽出部4bは、受信した列車位置情報に含まれる防護区間の最後尾位置をテーブルT1の後部の欄に記載する。その後、ステップS6に遷移する。
【0054】
[ステップS6] 抽出部4bは、前述した方法を用いて各列車の先行列車の最後尾位置を抽出し、テーブルT1の先行の欄に記載する。その後、ステップS7に遷移する。
【0055】
[ステップS7] 送信部4dは、テーブルT1を参照し、IDの欄に記載された列車IDを持つ列車それぞれに先行の欄に記載された先行列車の防護区間の最後尾位置を含む先行列車情報を送信する。その後、図7の処理を終了する。
【0056】
なお、処理の順番は図7に示す順番に限定されない。例えば、ステップS4およびステップS5の処理を実行した後にステップS2およびステップS3の処理を実行してもよい。
次に、情報処理システム1の処理の具体例を説明する。
図8は、情報処理システムの処理の一例を示す図である。
【0057】
図8では一例として、起点からの距離を相対化した数値で示している。線路2cの下に示す1から29の数値は、標識により得られた位置情報を相対化した数値である。起点から50m離れる毎に数値が1ずつ上がっている。例えば、「1」は起点から50m地点を示し、「2」は、起点から100m地点を示している。
【0058】
線路2c上にはそれぞれ複数の車両が連結された列車5c、5d、5eが運行している。列車位置情報D2は、列車5cが備える制御装置が作成した情報である。列車位置情報D3は、列車5dが備える制御装置が作成した情報である。列車位置情報D4は、列車5eが備える制御装置が作成した情報である。
【0059】
図8に示す例の場合、列車5cの防護区間の先頭位置は「5」、最後尾位置は「2」、列車5dの防護区間の先頭位置は「16」、最後尾位置は「13」、列車5eの防護区間の先頭位置は「29」、最後尾位置は「26」となる。
抽出部4bは、線路2c上に存在する全ての列車5c〜5eが備える各制御装置から送られてくる列車位置情報を集約したテーブルT1を作成する。
【0060】
抽出部4bは、列車位置情報D2〜D4に基づいて列車の順序を求める。そして、抽出部4bは、集約した列車位置情報を用いて各列車5c〜5eそれぞれの先行列車の防護区間の最後尾位置を抽出し、テーブルT1の先行の欄に記載する。
【0061】
送信部4dは、テーブルT1を参照する。そして、送信部4dは、IDの欄に記載された列車IDを持つ列車5c、5dそれぞれの列車IDの先行の欄に記載された先行列車の防護区間の最後尾位置を含む先行列車情報を作成する。
送信部4dは、作成した先行列車情報を、列車無線を介して列車5c、5dが備える制御装置に送信する。
【0062】
先行列車情報を受信した列車5c、5dそれぞれが備える制御装置は、受信した先行列車情報に基づき運転士が運行に使用する線形図を生成する。また、制御装置は、ブレーキパターン、および生成した線形図を制御装置に接続されたモニタに表示する。運転士は、モニタに表示されたブレーキパターン、および線形図に基づき列車を運転する。
【0063】
図8に示す例では、列車5eの後続列車である列車5dは、列車5eの防護区間の最後尾位置「26」の手前まで進入できることを容易に把握することができる。標識の設置間隔は50mであるため、例えば、何らかの原因により列車5eが停止した場合、列車5dは、列車5eの最後部車両から50m以内に停車することができる。
【0064】
また、生成部4eは、受信部4aからブレーキパターン通知要求を受け取ると、ブレーキパターンを生成する。そして、生成部4eは、生成したブレーキパターンを、ブレーキパターン通知要求に含まれる列車IDを持つ列車に送信する。
列車5c〜5eは、中央処理装置4から受信したブレーキパターンに従い運行する。
【0065】
図9は、ブレーキパターンによる運行を説明する図である。以下、図9図11においては、紙面の都合上、テーブルT1および列車位置情報D2〜D4の情報の一部の図示を省略する。
【0066】
図9(a)は、列車5dのブレーキパターンBP1を示している。生成部4eは、列車5dの制御装置が送信したブレーキパターン通知要求に基づき列車5dの現在の防護区間の先頭位置「16」から列車5eの現在の防護区間の最後尾位置「26」までのブレーキパターンBP1を作成し、列車5dの制御装置に送信する。
【0067】
ブレーキパターンBP1は、多現示方式でもよいし、一段ブレーキ方式でもよい。以下、代表的に一段ブレーキ方式のブレーキパターンを説明する。ブレーキパターンを受け取った列車5dの制御装置は、受け取ったブレーキパターンBP1に追随して運転する。制御装置は逐次、実速度とブレーキパターンBP1を比較し、ブレーキパターンBP1を超過していた場合に、ブレーキパターンBP1に収まる速度まで自動減速する。
【0068】
図9(b)は、列車5dの先頭車両に設定されたカメラが撮像した画像から、列車5dの制御装置が備える解析部が位置「17」の読み取りに成功した場合を示している。この場合、ブレーキパターン通知要求を受け取った生成部4eは、受信した先行列車情報に基づき列車5dの現在の防護区間の先頭位置「17」から列車5eの現在の防護区間の最後尾位置「26」までのブレーキパターンBP2を作成する。そして制御装置は、作成したブレーキパターンに追随して運転する。制御装置は逐次、実速度とブレーキパターンBP2を比較し、ブレーキパターンを超過していた場合に、ブレーキパターンBP2に収まる速度まで自動減速する。
なお、本実施の形態では中央処理装置4がブレーキパターンを作成する例を示したが、制御装置が作成してもよい。
【0069】
以上述べたように、中央処理装置4によれば、先行列車の防護区間の最後尾車両の位置を検出し、後続列車に通知するようにした。従って、後続列車は、先行列車の最後尾車両の位置を容易に把握することができる。このため、列車の本数を増やしたい場合等に、先行列車に衝突しないように先行列車との距離を詰めることができる。従って、ある区間内に配置できる列車の密度を高めることができる。
【0070】
また、線路近傍にバーコードが付された標識を設置し、カメラを用いて各列車の最後尾車両の位置を検出するようにした。これにより、最後尾車両の位置を容易に検出することができる。また、軌道回路を用いて列車の位置を検出する場合に比べ、最後尾車両の位置を安価に検出することができる。
【0071】
また、列車の先頭車両および最後尾車両の2カ所(複数箇所)で各列車の先頭車両の位置および最後尾車両の位置を検出するようにした。これにより、列車の編成長や列車の分離・併合を容易に把握することができる。
また、標識3a1〜3a6、3b1〜3b6の設置間隔を調整することにより、防護区間を容易に調整することができる。
【0072】
例えばGPSを用いて列車の位置を検出する場合、GPSはトンネル内での使用ができない、また、線路の高低差等による位置検出誤差があるという問題がある。情報処理システム1によれば、列車無線を通じて位置識別情報を取得するようにしたのでトンネル内での位置を識別することができる。また、実際の位置が設定されたバーコードを読み取るため、位置検出の誤差を抑制することができる。
【0073】
また、GPSを用いて列車の位置を検出する場合、列車の駅構内や車両所等、線路が隣接している区間では、どこに在線しているのか判別することが難しいという問題がある。情報処理システム1によれば、走行線路、番線等の情報が設定されたバーコードを読み取るため、走行線路、番線の誤検出を抑制することができる。
【0074】
また、GPSを用いて列車の位置を検出する場合、列車の編成長を判別することが難しいという問題がある。例えば列車の編成長を手動で入力する場合、編成長の誤入力が発生する可能性がある。さらに、例えば貨物列車のような1両の長さが異なる列車にGPSを用いて列車の位置を検出するのは難しい場合がある。情報処理システム1によれば、列車の先頭車両および最後尾車両に設置されたカメラを用いて列車の先頭車両および最後尾車両の位置を検出するため、列車の編成長を容易に判別することができる。従って、例えば同一路線で編成長が異なる列車が運行されている場合にも、防護区間を容易に把握することができる。また、情報処理システム1によれば、先頭車両と最後尾車両の距離が一定以上の距離となったことを容易に検出することができる。従って、例えば走行中の列車の編成分離が発生した場合を検出することができる。
【0075】
なお、本実施の形態では、カメラを用いて列車の各車両の位置を検出した。しかし、これに限らずトランスポンダを用いて列車の各車両の位置を検出してもよい。
【0076】
また、本実施の形態では、各列車が備える制御装置は、列車位置情報を作成する度に中央処理装置4に作成した列車位置情報を送信した。しかし、これに限らず、各列車が備える制御装置が列車位置情報を送信する時刻の同期を取り、同期時刻で各列車が列車位置情報を中央処理装置4に一斉に送信するようになっていてもよい。
<変形例>
【0077】
ところで、カメラがバーコードの撮像に失敗する等、何らかの原因によりバーコードの読み取りに失敗する場合がある。以下、バーコードの読み取りに失敗した場合の列車の動作を説明する。
【0078】
図10は、後部車両に設置されたカメラが撮像した画像のバーコードの読み取りに失敗した場合の列車の動作を説明する図である。図10において、列車5eは停止しているものとする。
【0079】
図10(a)は、列車5dが列車位置情報D3aを中央処理装置4に送信した後に列車5dの最後尾車両に設置されたカメラが「14」の撮像に失敗した場合を示している。この場合、列車5dが備える制御装置の記憶部に記憶される防護区間の先頭位置は「17」、最後尾位置は「13」となる。防護区間が後側(図10中左側)に長くなるが、後続列車が追突することはないので安全である。
【0080】
図10(b)は、図10(a)に示す状態の後に列車5dの先頭車両に設置されたカメラが「18」の撮像に成功した場合を示している。この場合、列車5dの制御装置は、中央処理装置4に列車位置情報D3bを送信する。そして、抽出部4bが列車位置情報D3bに基づいてテーブルT1の前部の欄を「17」から「18」に更新すると、生成部4eは列車5dの防護区間の先頭位置「18」から列車5eの防護区間の最後尾位置「26」までのブレーキパターンBP3を作成する。
【0081】
図11は、先頭車両に設置されたカメラが撮像した画像のバーコードの読み取りに失敗した場合の列車の動作を説明する図である。図11において、列車5eは停止しているものとする。
【0082】
図11(a)は、列車5dが列車位置情報D3cを中央処理装置4に送信した後に列車5dの先頭車両に設置されたカメラが「17」の撮像に失敗した場合を示している。列車5dの実際の防護区間の先頭位置は「17」、最後尾位置は「14」となる。ここで、実際の防護区間の先頭位置と制御装置の記憶部に記憶されている防護区間の先頭位置は異なる。しかし、記憶部の記憶領域に記憶されている防護区間の先頭位置が更新されないので列車5dの制御装置は、中央処理装置4にブレーキパターン通知要求を送信しない。このとき列車5dは、列車5dの防護区間の先頭位置「16」から列車5eの防護区間の最後尾位置「26」までのブレーキパターンBP4に基づき運行している。このため列車5dが列車5eに衝突することはない。
【0083】
図11(b)は、列車5dの先頭車両に設置されたカメラが「17」、「18」、「19」、「20」の撮像に失敗した場合を示している。なお、紙面の都合上、図11(b)および図11(c)の列車位置情報の時刻の秒の表記を省略している。
【0084】
列車5dの実際の防護区間の先頭位置は「20」、最後尾位置は「17」となる。ここで、実際の防護区間の先頭位置と制御装置の記憶部に記憶されている防護区間の先頭位置は異なる。しかし、記憶部の記憶領域に記憶されている防護区間の先頭位置が更新されないので列車5dの制御装置は、中央処理装置4にブレーキパターン通知要求を送信しない。このため列車5dは、ブレーキパターンBP4に基づき運行している。このため列車5dが列車5eに衝突することはない。また、列車5cが最後に受信した先行列車情報は、列車位置情報D3dの送信に伴うものである。この列車位置情報D3dは、列車5dの最後部車両に設置されたカメラの「17」の読み取りが成功し、記憶部の記憶領域に記憶されている位置識別情報の更新に伴い、列車5dの制御装置が送信した情報である。このため列車5cは、列車5dの正確な最後部位置を把握することができる。また、抽出部4bが列車位置情報D3dに基づいてテーブルT1の後部の欄を「17」に更新する。生成部4eは列車5dの防護区間の先頭位置「13」から列車5dの防護区間の最後尾位置「17」までのブレーキパターンBP5を作成し、列車5cが備える制御装置に送信する。列車5cは、ブレーキパターンBP5に基づき運行している。このため列車5cが列車5dに衝突することはない。
【0085】
図11(c)は、列車5dの先頭車両に設置されたカメラが「21」の撮像に成功した場合を示している。この場合、列車5dの実際の防護区間の先頭位置は「21」、最後尾位置は「17」となる。列車5dの制御装置が備える情報作成部は、列車位置情報D3eを中央処理装置4に送信する。また、列車5dの情報作成部は、ブレーキパターン通知要求を中央処理装置4に送信する。その後、列車5dは、列車5dの現在の防護区間の先頭位置「21」から列車5eの現在の防護区間の最後尾位置「26」までのブレーキパターンBP6を受信する。
【0086】
また、列車5cの先頭車両に設置されたカメラが「14」の撮像に成功した場合を示している。この場合、列車5dの実際の防護区間の先頭位置は「14」、最後尾位置は「10」となる。列車5cの制御装置が備える情報作成部は、列車位置情報D2bを中央処理装置4に送信する。また、列車5cの情報作成部は、ブレーキパターン通知要求を中央処理装置4に送信する。その後、列車5cは、列車5cの現在の防護区間の先頭位置「14」から列車5dの現在の防護区間の最後尾位置「17」までのブレーキパターンBP7を受信する。
【0087】
以上、本発明の情報処理装置、情報処理方法およびプログラムを、図示の実施の形態に基づいて説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、各部の構成は、同様の機能を有する任意の構成のものに置換することができる。また、本発明に、他の任意の構成物や工程が付加されていてもよい。
また、本発明は、前述した各実施の形態のうちの、任意の2以上の構成(特徴)を組み合わせたものであってもよい。
なお、中央処理装置4が行った処理が、複数の装置によって分散処理されるようにしてもよい。
【0088】
なお、本実施の形態の列車の制御方法は、例えば鉄道模型にも適用することができる。その場合、鉄道模型と中央処理装置との情報のやりとりの方法としては、例えば無線LAN等を用いることができる。
【0089】
なお、上記の処理機能は、コンピュータによって実現することができる。その場合、中央処理装置4が有する機能の処理内容を記述したプログラムが提供される。そのプログラムをコンピュータで実行することにより、上記処理機能がコンピュータ上で実現される。処理内容を記述したプログラムは、コンピュータで読み取り可能な記録媒体に記録しておくことができる。コンピュータで読み取り可能な記録媒体としては、磁気記憶装置、光ディスク、光磁気記録媒体、半導体メモリ等が挙げられる。磁気記憶装置には、ハードディスクドライブ、フレキシブルディスク(FD)、磁気テープ等が挙げられる。光ディスクには、DVD、DVD−RAM、CD−ROM/RW等が挙げられる。光磁気記録媒体には、MO(Magneto-Optical disk)等が挙げられる。
【0090】
プログラムを流通させる場合には、例えば、そのプログラムが記録されたDVD、CD−ROM等の可搬型記録媒体が販売される。また、プログラムをサーバコンピュータの記憶装置に格納しておき、ネットワークを介して、サーバコンピュータから他のコンピュータにそのプログラムを転送することもできる。
【0091】
プログラムを実行するコンピュータは、例えば、可搬型記録媒体に記録されたプログラムもしくはサーバコンピュータから転送されたプログラムを、自己の記憶装置に格納する。そして、コンピュータは、自己の記憶装置からプログラムを読み取り、プログラムに従った処理を実行する。なお、コンピュータは、可搬型記録媒体から直接プログラムを読み取り、そのプログラムに従った処理を実行することもできる。また、コンピュータは、ネットワークを介して接続されたサーバコンピュータからプログラムが転送される毎に、逐次、受け取ったプログラムに従った処理を実行することもできる。
【0092】
また、上記の処理機能の少なくとも一部を、DSP(Digital Signal Processor)、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)、PLD(Programmable Logic Device)等の電子回路で実現することもできる。
【符号の説明】
【0093】
1 情報処理システム
2a、2b、2c 線路
3a1〜3a6、3b1〜3b6 標識
4 中央処理装置
4a 受信部
4b 抽出部
4c 記憶部
4d 送信部
4e 生成部
5a、5b、5c、5d、5e 列車
5a1、5a2
6a、6b、6c、6d カメラ
7a、7b 制御装置
71 解析部
72 記憶部
73 情報作成部
74 受信部
75 表示部
8 モニタ
BP1〜BP7 ブレーキパターン
D1、D2、D2a、D2b、D3、D3a〜D3e、D4 列車位置情報
T1 テーブル
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11