特許第6073099号(P6073099)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6073099アクリレートポリウレタンケミカルメカニカル研磨層
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6073099
(24)【登録日】2017年1月13日
(45)【発行日】2017年2月1日
(54)【発明の名称】アクリレートポリウレタンケミカルメカニカル研磨層
(51)【国際特許分類】
   B24B 37/24 20120101AFI20170123BHJP
   H01L 21/304 20060101ALI20170123BHJP
   C08G 18/67 20060101ALI20170123BHJP
【FI】
   B24B37/24 C
   H01L21/304 622F
   H01L21/304 622M
   C08G18/67
【請求項の数】6
【外国語出願】
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2012-214554(P2012-214554)
(22)【出願日】2012年9月27日
(65)【公開番号】特開2013-78839(P2013-78839A)
(43)【公開日】2013年5月2日
【審査請求日】2015年7月7日
(31)【優先権主張番号】13/248,123
(32)【優先日】2011年9月29日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】504089426
【氏名又は名称】ローム アンド ハース エレクトロニック マテリアルズ シーエムピー ホウルディングス インコーポレイテッド
(73)【特許権者】
【識別番号】502141050
【氏名又は名称】ダウ グローバル テクノロジーズ エルエルシー
(74)【代理人】
【識別番号】110001508
【氏名又は名称】特許業務法人 津国
(74)【代理人】
【識別番号】100078662
【弁理士】
【氏名又は名称】津国 肇
(74)【代理人】
【識別番号】100131808
【弁理士】
【氏名又は名称】柳橋 泰雄
(74)【代理人】
【識別番号】100135873
【弁理士】
【氏名又は名称】小澤 圭子
(74)【代理人】
【識別番号】100116528
【弁理士】
【氏名又は名称】三宅 俊男
(74)【代理人】
【識別番号】100122736
【弁理士】
【氏名又は名称】小國 泰弘
(74)【代理人】
【識別番号】100122747
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 洋子
(74)【代理人】
【識別番号】100132540
【弁理士】
【氏名又は名称】生川 芳徳
(74)【代理人】
【識別番号】100146031
【弁理士】
【氏名又は名称】柴田 明夫
(74)【代理人】
【識別番号】100125793
【弁理士】
【氏名又は名称】川田 秀美
(72)【発明者】
【氏名】ジァ・シエ
(72)【発明者】
【氏名】デービッド・ビー・ジェームズ
(72)【発明者】
【氏名】チャウ・エイチ・ドン
【審査官】 小川 真
(56)【参考文献】
【文献】 特開2008−173760(JP,A)
【文献】 特開2004−323679(JP,A)
【文献】 特開2008−221367(JP,A)
【文献】 特表2005−512832(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B24B 37/24
C08G 18/67
H01L 21/304
WPI
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
磁性基材、光学基材及び半導体基材の少なくとも一つから選択される基材を研磨するための、研磨層を含むケミカルメカニカル研磨パッドであって、前記研磨層が、
(a)(i)多官能イソシアネートと(ii)ポリオールとの反応から調製される、未反応NCO基を4〜12重量%有する末端イソシアネート修飾ウレタンプレポリマー、
(b)ポリアミン連鎖延長剤、
(c)ヒドロキシ1−8アルキル(1−8アルキル)アクリレート及び
(d)ラジカル開始剤
を含む成分の反応生成物を含み、
前記研磨層が、65〜500MPaの引張り弾性率、50〜250%の破断点伸び、25〜200MPaの貯蔵弾性率G′及び25〜75のショアーD硬さ示すものであるケミカルメカニカル研磨パッド。
【請求項2】
前記多官能イソシアネートが、脂肪族多官能イソシアネート、芳香族多官能イソシアネート及びそれらの混合物からなる群より選択される、請求項1記載のケミカルメカニカル研磨パッド。
【請求項3】
前記ポリオールが、ポリエーテルポリオール、ポリカーボネートポリオール、ポリエステルポリオール、ポリカプロラクトンポリオール、それらのコポリマー及びそれらの混合物からなる群より選択される、請求項1記載のケミカルメカニカル研磨パッド。
【請求項4】
前記ポリアミン連鎖延長剤が、4,4′−メチレン−ビス−(2−クロロアニリン)、4,4′−メチレン−ビス−(3−クロロ−2,6−ジエチルアニリン)、ジエチルトルエンジアミン、ジメチルチオトルエンジアミン、4,4′−ビス(sec−ブチルアミノ)ジフェニルメタン、1,3−プロパンジオールビス−(4−アミノベンゾエート)、4,4′−メチレン−ビス−(2,6−ジエチルアニリン)、4,4′−メチレン−ビス−(2,6−ジイソプロピルアニリン)、4,4′−メチレン−ビス−(2−イソプロピル−6−メチルアニリン)、2−[2−(2−アミノフェニル)スルファニルエチルスルファニル]アニリン、4,4′−メチレン−ビス−(2−クロロアニリン)、4,4′−メチレンビス(N−sec−ブチルアニリン)及びそれらの混合物からなる群より選択される、請求項1記載のケミカルメカニカル研磨パッド。
【請求項5】
前記成分が、ジオール連鎖延長剤をさらに含み、前記ジオール連鎖延長剤が、エチレングリコール、1,2−プロピレングリコール、1,3−プロピレングリコール1,1,1−トリメチロールプロパン、1,2−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、1,3−ブタンジオール、2−メチル−1,3−プロパンジオール、ネオペンチルグリコール、1,5−ペンタンジオール、3−メチル−1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、ジエチレングリコール、ジプロピレングリコール、ヒドロキシエチルレゾルシノール、ヒドロキノンビス(ヒドロキシエチル)エーテル及びそれらの混合物からなる群より選択される、請求項1記載のケミカルメカニカル研磨パッド。
【請求項6】
請求項1記載の研磨層を製造する方法であって、
(a)多官能イソシアネートとポリオールとの反応から調製される、未反応NCOを4〜12重量%有する末端イソシアネート修飾ウレタンプレポリマーを提供すること、
(b)ポリアミン連鎖延長剤を提供すること、
(c)ヒドロキシ1−8アルキル(1−8アルキル)アクリレート提供すること、
(d)ラジカル開始剤を提供すること、
(e)前記末端イソシアネート修飾ウレタンプレポリマーと前記ヒドロキシC1−8アルキル(C1−8アルキル)アクリレートとを混合すること、
(f)前記ポリアミン連鎖延長剤を(e)の混合物に加えること、
(g)前記ラジカル開始剤を(f)の混合物に加えること、及び
(h)(g)の混合物の重合を開始させて研磨層を形成すること
を含む方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はケミカルメカニカル研磨パッド及び同パッドを製造し、使用する方法に関する。より具体的には、本発明は、65〜500MPaの引張り弾性率、50〜250%の破断点伸び、25〜200MPaの貯蔵弾性率G′、25〜75のショアーD硬さ及び1〜10μm/minの湿式切削速度を示すアクリレートポリウレタン研磨層を含むケミカルメカニカル研磨パッドに関する。
【背景技術】
【0002】
集積回路及び他の電子装置の製造においては、導体、半導体及び絶縁材料の多数の層を半導体ウェーハの表面に付着させ、半導体ウェーハの表面から除去する。導体、半導体及び絶縁材料の薄層は、多数の付着技術を使用して付着させることができる。最新のウェーハ加工において一般的な付着技術としては、とりわけ、スパッタリングとも知られる物理蒸着法(PVD)、化学蒸着法(CVD)、プラズマ増強化学蒸着法(PECVD)及び電気化学的めっき法がある。一般的な除去技術としては、とりわけ、湿式及び乾式の等方性及び異方性エッチングがある。
【0003】
材料層が順次に付着され、除去されるにつれ、ウェーハの一番上の面が非平坦になる。後続の半導体加工(たとえばメタライゼーション)はウェーハが平坦面を有することを要するため、ウェーハは平坦化されなければならない。望ましくない表面トポグラフィーならびに表面欠陥、たとえば粗面、凝集した材料、結晶格子の損傷、スクラッチ及び汚染された層又は材料を除去するためには平坦化が有用である。
【0004】
ケミカルメカニカルプラナリゼーション又はケミカルメカニカルポリッシング(CMP)とは、半導体ウェーハのような加工物を平坦化又は研磨するために使用される一般的な技術である。従来のCMPにおいては、ウェーハキャリヤ又は研磨ヘッドがキャリヤアセンブリに取り付けられる。その研磨ヘッドがウェーハを保持し、ウェーハを、CMP装置内でテーブル又はプラテン上に取り付けられる研磨パッドの研磨層と接する位置に配する。キャリヤアセンブリがウェーハと研磨パッドとの間に制御可能な圧を提供する。同時に、研磨媒(たとえばスラリー)が研磨パッド上に小出しされ、ウェーハと研磨層との間の隙間に引き込まれる。研磨を実施するために、研磨パッド及びウェーハが一般に互いに対して回転する。研磨パッドがウェーハの下で回転すると、ウェーハは一般に環状の研磨トラック又は研磨領域を掃き出し、その中でウェーハの表面が研磨層と直接対面する。ウェーハ表面は、研磨層及び表面上の研磨媒の化学的かつ機械的作用によって研磨され、平坦化される。
【0005】
安定した研磨性能のために一貫した研磨面を維持するためにはパッド表面の「コンディショニング」又は「ドレッシング」が非常に重要である。時間とともに研磨パッドの研磨面はすり減って、研磨面のミクロテキスチャが均されてゆく(「グレージング」と呼ばれる現象)。研磨パッドコンディショニングは一般に、コンディショニングディスクによって研磨面を機械的に摩耗させることによって達成される。コンディショニングディスクは、一般には埋め込まれたダイアモンドポイントで構成された粗いコンディショニング面を有する。コンディショニングディスクは、CMP工程の断続的な中断の間、研磨が停止しているとき(「エクスサイチュー」)又はCMP工程が進行中であるとき(「インサイチュー」)、研磨面と接触する。一般に、コンディショニングディスクは、研磨パッドの回転軸に対して固定された位置で回転し、研磨パッドが回転するとき環状のコンディショニング領域を掃き出す。上記のようなコンディショニング工程は、パッド材料を摩耗させ、掘り起こし、研磨テキスチャを再生しながら、パッド表面に微視的な溝を刻み込む。
【0006】
優れた平坦化及び欠陥率性能を示すポリウレタン研磨層のファミリーがKulpによって米国特許第7,169,030号に開示されている。Kulpは、ポリマーマトリックスを含む研磨パッドであって、そのポリマーマトリックスが上研磨面を有し、その上研磨面が、ポリマー研磨アスペリティ(asperities)を有する、又は砥粒でコンディショニングされるとポリマー研磨アスペリティを形成し、そのポリマー研磨アスペリティが、ポリマーマトリックスから延び、研磨中の基材と接触することができる上研磨面の一部となり、研磨パッドが、上研磨面の摩耗又はコンディショニングとともにポリマー材料からさらなるポリマー研磨アスペリティを形成し、そのポリマー研磨アスペリティが、少なくとも6,500psi(44.8MPa)のバルク極限引張り強さ及び少なくとも250lb/in(4.5×103g/mm)のバルク引裂き強さを有するポリマー材料から生じる研磨パッドを開示している。
【0007】
半導体ウェーハの研磨中に低い欠陥率を達成する従来の研磨層材料は、相対的に軟らかく、高い破断点伸び値(>250%)を示す傾向にある。この性質のバランスが、ダイアモンドコンディショニングによるテキスチャ及びアスペリティの形成を阻害する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
したがって、低欠陥配合物と関連する物理的性質プロファイルと十分に相関する物理的性質プロファイルを提供し、さらに、高められたコンディショニング性を研磨層に付与する研磨層配合物の必要性が絶えずある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は、磁性基材、光学基材及び半導体基材の少なくとも一つから選択される基材を研磨するための、研磨層を含むケミカルメカニカル研磨パッドであって、研磨層が、(a)(i)多官能イソシアネートと(ii)プレポリマーポリオールとの反応から調製される、未反応NCO基を4〜12重量%有する末端イソシアネート修飾ウレタンプレポリマー、(b)ポリアミン連鎖延長剤、(c)ヒドロキシアルキル(アルキル)アクリレート及び2−アミノエチル(メタ)アクリレートからなる群より選択されるアクリレート、及び(d)ラジカル開始剤を含む原料成分の反応生成物を含み、研磨層が、65〜500MPaの引張り弾性率、50〜250%の破断点伸び、25〜200MPaの貯蔵弾性率G′、25〜75のショアーD硬さ及び1〜10μm/minの湿式切削速度を示すものであるケミカルメカニカル研磨パッドを提供する。
【0010】
本発明はまた、請求項1記載のケミカルメカニカル研磨パッドを製造する方法であって、(a)多官能イソシアネートとプレポリマーポリオールとの反応から調製される、未反応NCOを4〜12重量%有する末端イソシアネート修飾ウレタンプレポリマーを提供すること、(b)ポリアミン連鎖延長剤を提供すること、(c)ヒドロキシアルキル(アルキル)アクリレート及び2−アミノエチル(メタ)アクリレートからなる群より選択されるアクリレートを提供すること、(d)ラジカル開始剤を提供すること、(e)末端イソシアネート修飾ウレタンプレポリマーとアクリレートとを混合すること、(f)ポリアミン連鎖延長剤を(e)の混合物に加えること、(g)ラジカル開始剤を(f)の混合物に加えること、及び(h)(g)の混合物の重合を開始させて研磨層を形成することを含む方法を提供する。
【0011】
本発明はまた、磁性基材、光学基材及び半導体基材の少なくとも一つから選択される基材を提供すること、請求項1記載のケミカルメカニカル研磨パッドを提供すること、研磨層の研磨面と基材との間に動的接触を生じさせて基材の表面を研磨すること、及び砥粒コンディショナによって研磨面をコンディショニングすることを含む、基材を研磨する方法を提供する。
【発明を実施するための形態】
【0012】
詳細な説明
本発明のケミカルメカニカル研磨パッドの研磨層は、(a)(i)多官能イソシアネートと(ii)プレポリマーポリオールとの反応から調製される、未反応NCO基を4〜12重量%(好ましくは5〜10重量%の未反応NCO基、もっとも好ましくは5〜9重量%の未反応NCO基)有する末端イソシアネート修飾ウレタンプレポリマー(好ましくは、末端イソシアネート修飾ウレタンプレポリマーは、400〜5,000(より好ましくは400〜4,000、もっとも好ましくは400〜2,500)の数平均分子量MWNを示す)、(b)ポリアミン連鎖延長剤、及び(c)ヒドロキシアルキル(アルキル)アクリレート及び2−アミノエチル(メタ)アクリレートからなる群より選択されるアクリレートを含む原料成分の反応生成物を含み、研磨層は、すべて実施例に記載される方法及び条件を使用して計測して、65〜500MPa(好ましくは100〜350MPa)の引張り弾性率、50〜250%(好ましくは50〜150%、より好ましくは50〜125%)の破断点伸び、25〜200MPaの貯蔵弾性率G′、25〜75(好ましくは30〜65、より好ましくは40〜60)のショアーD硬さ及び1〜10μm/min(好ましくは1〜7.5μm/min)の湿式切削速度を示す。研磨層は、好ましくは、実施例に記載される方法及び条件を使用して計測して5〜50MPa(より好ましくは10〜40MPa)の引張り強さをさらに示す。研磨層は、好ましくは、実施例に記載される方法及び条件を使用して計測して<15%のアスペリティ摩耗(10分間で)をさらに示す。研磨層は、好ましくは、実施例に記載される方法及び条件を使用して計測して≦1.5%の加水分解安定性をさらに示す。
【0013】
好ましくは、本発明のケミカルメカニカル研磨パッドの研磨層の調製における原料成分として使用される多官能イソシアネートは、脂肪族多官能イソシアネート、芳香族多官能イソシアネート及びそれらの混合物から選択される。より好ましくは、多官能イソシアネートは、脂肪族ジイソシアネート、芳香族ジイソシアネート及びそれらの混合物から選択される。さらに好ましくは、多官能イソシアネートは、1,6−ヘキサンジイソシアネート(HDI)、イソホロンジイソシアネート(PDI)、メチレンビス(p−シクロヘキシルイソシアネート)(H12MDI)、トルエンジイソシアネート(たとえば2,4−トルエンジイソシアネート、2,6−トルエンジイソシアネート)、ジフェニルメタンジイソシアネート、ナフタレンジイソシアネート(たとえばナフタレン−1,5−ジイソシアネート)、トリジンジイソシアネート、3,3′−ビトルエンジイソシアネート、ジフェニル−4,4′−ジイソシアネート、テトラメチルキシリレンジイソシアネート、パラ−フェニレンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート及びそれらの混合物から選択される。さらに好ましくは、多官能イソシアネートは、2,4−トルエンジイソシアネート、2,6−トルエンジイソシアネート、ジフェニルメタンジイソシアネート、ナフタレンジイソシアネート、トリジンジイソシアネート、3,3′−ビトルエンジイソシアネート、ジフェニル−4,4′−ジイソシアネート、テトラメチルキシリレンジイソシアネート、パラ−フェニレンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート及びそれらの混合物から選択される。もっとも好ましくは、多官能イソシアネートは、2,4−トルエンジイソシアネート、2,6−トルエンジイソシアネート及びそれらの混合物から選択される。
【0014】
好ましくは、本発明のケミカルメカニカル研磨パッドの研磨層の調製における原料成分として使用されるプレポリマーポリオールは、ポリエーテルポリオール(たとえばポリテトラメチレンエーテルグリコール、ポリプロピレンエーテルグリコール)、ポリカーボネートポリオール、ポリエステルポリオール(たとえばエチレンアジペート、ブチレンアジペート)、ポリカプロラクトンポリオール、それらのコポリマー及びそれらの混合物から選択される。より好ましくは、プレポリマーポリオールは、ポリテトラメチレンエーテルグリコール(PTMEG)、ポリプロピレンエーテルグリコール(PPG)、ポリエステルポリオール、ポリカプロラクトンポリオール、それらのコポリマー及びそれらの混合物から選択される。さらに好ましくは、プレポリマーポリオールは、PTMEG、PPG及びそれらの混合物から選択される。もっとも好ましくは、プレポリマーポリオールはPTMEGである。
【0015】
好ましくは、本発明のケミカルメカニカル研磨パッドの研磨層の調製における原料成分として使用されるポリアミン連鎖延長剤は、4,4′−メチレン−ビス−(2−クロロアニリン)、4,4′−メチレン−ビス−(3−クロロ−2,6−ジエチルアニリン)、ジエチルトルエンジアミン、ジメチルチオトルエンジアミン、4,4′−ビス(sec−ブチルアミノ)ジフェニルメタン、3,3′−メチレン−ビス(6−アミノ−1,1−ジメチルエステル)、1,3−プロパンジオールビス−(4−アミノベンゾエート)、4,4′−メチレン−ビス−(2,6−ジエチルアニリン)、4,4′−メチレン−ビス−(2,6−ジイソプロピルアニリン)、4,4′−メチレン−ビス−(2−イソプロピル−6−メチルアニリン)、2−[2−(2−アミノフェニル)スルファニルエチルスルファニル]アニリン、4,4′−メチレン−ビス−(2−クロロアニリン)、4,4′−メチレンビス(N−sec−ブチルアニリン)、トリエチレンジアミン及びそれらの混合物から選択される。より好ましくは、ポリアミン連鎖延長剤は、
【0016】
【化1】
【0017】
(式中、R1、R2、R3及びR4は、独立して、水素、C1-4アルキル基及びC1-4アルキルチオ基から選択される)
から選択される式を有するポリアミン連鎖延長剤から選択される。さらに好ましくは、ポリアミン連鎖延長剤は、ジアルキルトルエンジアミン(たとえば3,5−ジアルキルトルエン−2,4−ジアミン、3,5−ジアルキルトルエン−2,6−ジアミン)、ジアルキルチオトルエンジアミン(たとえば3,5−ジアルキルチオトルエン−2,4−ジアミン)及びそれらの混合物から選択される。なおさらに好ましくは、ポリアミン連鎖延長剤は、ジエチルトルエンジアミン(たとえば3,5−ジエチルトルエン−2,4−ジアミン、3,5−ジアルキルトルエン−2,6−ジアミン及びそれらの混合物)、ジメチルチオトルエンジアミン(たとえば3,5−ジメチルチオトルエン−2,4−ジアミン)及びそれらの混合物から選択される。もっとも好ましくは、ポリアミン連鎖延長剤は、3,5−ジエチルトルエン−2,4−ジアミン、3,5−ジアルキルトルエン−2,6−ジアミン、3,5−ジメチルチオトルエン−2,4−ジアミン及びそれらの混合物から選択される。
【0018】
好ましくは、本発明のケミカルメカニカル研磨パッドの研磨層の調製における原料成分として使用されるアクリレートはヒドロキシC1-8アルキル(C1-8アルキル)アクリレートである。もっとも好ましくは、アクリレートは、ヒドロキシエチルメタクリレート(HEMA)、ヒドロキシプロピルメタクリレート、ポリプロピレングリコールモノメタクリレート及びそれらの混合物から選択される。もっとも好ましくは、アクリレートはヒドロキシエチルメタクリレート(HEMA)である。
【0019】
好ましくは、本発明のケミカルメカニカル研磨パッドの研磨層の調製における原料成分として使用されるアクリレートは2−アミノエチル(メタ)アクリレートであり、末端イソシアネート修飾ウレタンプレポリマー中の未反応NCO基に対するアクリレート中のアミン基の当量比(NH2/NCO)は、好ましくは0.1〜0.9(より好ましくは0.2〜0.8、さらに好ましくは0.3〜0.7、もっとも好ましくは0.4〜0.6)であり、末端イソシアネート修飾ウレタンプレポリマー中の未反応NCO基に対するポリアミン連鎖延長剤中のアミン基の当量比(NH2/NCO)は、好ましくは0.9〜0.1(より好ましくは0.8〜0.2、さらに好ましくは0.7〜0.3、もっとも好ましくは0.6〜0.4)である。もっとも好ましくは、アクリレートが2−アミノエチル(メタ)アクリレートである場合、末端イソシアネート修飾ウレタンプレポリマー中の未反応NCO基に対するアクリレート中のアミン基の当量比(OH/NCO)は0.4〜0.6であり、末端イソシアネート修飾ウレタンプレポリマー中の未反応NCO基に対するポリアミン連鎖延長剤中のアミン基の当量比(NH2/NCO)は0.6〜0.4である。
【0020】
好ましくは、本発明のケミカルメカニカル研磨パッドの研磨層の調製における原料成分として使用されるアクリレートがヒドロキシアルキル(アルキル)アクリレートである場合、末端イソシアネート修飾ウレタンプレポリマー中の未反応NCO基に対するアクリレート中のヒドロキシル基の当量比(OH/NCO)は、好ましくは0.1〜0.9(より好ましくは0.2〜0.8、さらに好ましくは0.3〜0.7、もっとも好ましくは0.4〜0.6)であり、末端イソシアネート修飾ウレタンプレポリマー中の未反応NCO基に対するポリアミン連鎖延長剤中のアミン基の当量比(NH2/NCO)は、好ましくは0.9〜0.1(より好ましくは0.8〜0.2、さらに好ましくは0.7〜0.3、もっとも好ましくは0.6〜0.4)である。もっとも好ましくは、アクリレートがヒドロキシアルキル(アルキル)アクリレートである場合、末端イソシアネート修飾ウレタンプレポリマー中の未反応NCO基に対するアクリレート中のヒドロキシル基の当量比(OH/NCO)は、好ましくは0.4〜0.6であり、末端イソシアネート修飾ウレタンプレポリマー中の未反応NCO基に対するポリアミン連鎖延長剤中のアミン基の当量比(NH2/NCO)は0.6〜0.4である。
【0021】
本発明のケミカルメカニカル研磨パッドの研磨層の調製における原料成分として使用されるラジカル開始剤は、たとえば熱開始剤及び光開始剤を含む多種多様な化合物から選択することができる。熱開始剤としては、たとえば、アゾラジカル開始剤(たとえば2,2′−アゾビス(イソブチロニトリル)(「AIBN」)及び2,2′−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル))及び過酸化物又はパーエステル開始剤(たとえば過酸化ベンゾイル、過酸化デカノイル、過酸化ラウロイル、コハク酸過酸化物、過酸化ジクミル、2,5−ジ(t−ブチルペルオキシ)−2,5−ジメチルヘキサン、t−ブチルクミルペルオキシド、t−ブチルペルオクトエート、ジ−t−ブチルペルオキシド、クメンヒドロペルオキシド、プロピルヒドロペルオキシド、イソプロピルヒドロペルオキシド、t−アミル−2−エチルヘキサノエート、t−アミルペルオキシピバレート、t−ブチルペルオキシピバレート、t−アミルペルオキシ−2−エチルヘキサノエート及びt−ブチルペルオキシ−2−エチルヘキサノエートがある。光開始剤としては、たとえば、2,2−ジメトキシ−2−フェニルアセトフェノン、2,2−ジエトキシアセトフェノン、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトンがある。当業者は、本開示の恩典により、適切なラジカル開始剤を選択することができるであろう。
【0022】
本発明の研磨層の原材料成分は、場合によっては、ジオール連鎖延長剤をさらに含む。好ましくは、任意選択のジオール連鎖延長剤は、エチレングリコール、1,2−プロピレングリコール、1,3−プロピレングリコール、1,3−プロパンジオール、1,1,1−トリメチロールプロパン、1,2−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、1,3−ブタンジオール、2−メチル−1,3−プロパンジオール、1,4−ブタンジオール、ネオペンチルグリコール、1,5−ペンタンジオール、3−メチル−1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、ジエチレングリコール、ジプロピレングリコール、ヒドロキシエチルレゾルシノール、ヒドロキノンビス(ヒドロキシエチル)エーテル及びそれらの混合物から選択される。より好ましくは、任意選択のジオール連鎖延長剤は、エチレングリコール、1,2−プロピレングリコール、1,3−プロピレングリコール、1,2−ブタンジオール、1,3−ブタンジオール、2−メチル−1,3−プロパンジオール、1,4−ブタンジオール、ネオペンチルグリコール、1,5−ペンタンジオール、3−メチル−1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、ジエチレングリコール、ジプロピレングリコール及びそれらの混合物から選択される。もっとも好ましくは、任意選択のジオール連鎖延長剤は、1,2−ブタンジオール、1,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール及びそれらの混合物から選択される
【0023】
本発明のケミカルメカニカル研磨パッドの研磨層は、多孔性構造及び非孔性(すなわち無充填)構造の両方で提供されることができる。研磨層は、好ましくは、0.4〜1.3g/cm3の密度を有する。多孔性研磨層は、より好ましくは、0.5〜1g/cm3の密度を有する。
【0024】
本発明の研磨層は、場合によっては、複数の微小要素をさらに含む。好ましくは、複数の微小要素は研磨層全体に均一に分散している。好ましくは、複数の微小要素は、閉じ込められた気泡、中空コアポリマー材料、液体充填中空コアポリマー材料、水溶性材料及び不溶性相材料(たとえば鉱油)から選択される。より好ましくは、複数の微小要素は、研磨層全体に均一に分散している閉じ込められた気泡及び中空コアポリマー材料から選択される。好ましくは、複数の微小要素は、2〜100μm(15〜90μm)の重量平均サイズを有する。好ましくは、複数の微小要素は、ポリアクリロニトリル又はポリアクリロニトリルコポリマーのシェル壁を有するポリマーマイクロバルーン(たとえばAkzo NobelのExpancel(商標))を含む。
【0025】
本発明のケミカルメカニカル研磨パッドを製造する方法は、(a)多官能イソシアネートとプレポリマーポリオールとの反応から調製される、未反応NCOを4〜12重量%(好ましくは5〜10重量%、もっとも好ましくは5〜9重量%)有する末端イソシアネート修飾ウレタンプレポリマーを提供すること、(b)ポリアミン連鎖延長剤を提供すること、(c)ヒドロキシアルキル(アルキル)アクリレート及び2−アミノエチル(メタ)アクリレートからなる群より選択されるアクリレートを提供すること、(d)ラジカル開始剤を提供すること、(e)末端イソシアネート修飾ウレタンプレポリマーとアクリレートとを混合すること、(f)ポリアミン連鎖延長剤を(e)の混合物に加えること、(g)ラジカル開始剤を(f)の混合物に加えること、及び(h)(g)の混合物の重合を開始させて研磨層を形成することを含む。本発明のケミカルメカニカル研磨パッドを製造する方法は、場合によっては、ジオール連鎖延長剤を提供すること、(a)における末端イソシアネート修飾ウレタンプレポリマーの調製中にジオール連鎖延長剤を加えること、及び、場合によっては、(e)におけるアクリレートとの混合の前にジオール連鎖延長剤を末端イソシアネート修飾ウレタンプレポリマーに加えることをさらに含む。
【0026】
好ましくは、本発明のケミカルメカニカル研磨パッドを製造する方法において、(g)の混合物の重合を開始させることは、場合によっては、(g)の混合物を加熱する、又は(g)の混合物を電磁エネルギーに付すことを含む。
【0027】
好ましくは、本発明のケミカルメカニカル研磨パッドを製造する方法において、(g)の混合物の重合を開始させる前に、(g)の混合物を金型キャビティ(たとえば射出成形用金型、圧縮成形用型、開放金型)又はキャリヤフィルムに移す。
【0028】
本発明のケミカルメカニカル研磨パッドを提供する方法において、提供されるアクリレートが2−アミノエチル(メタ)アクリレートである場合、アクリレートは、好ましくは、末端イソシアネート修飾ウレタンプレポリマー中の未反応NCO基に対するアクリレート中のアミン基の当量比(NH2/NCO)0.1〜0.9(より好ましくは0.2〜0.8、さらに好ましくは0.3〜0.7、もっとも好ましくは0.4〜0.6)で提供され、ポリアミン連鎖延長剤は、好ましくは、末端イソシアネート修飾ウレタンプレポリマー中の未反応NCO基に対するポリアミン連鎖延長剤中のアミン基の当量比(NH2/NCO)0.9〜0.1(より好ましくは0.8〜0.2、さらに好ましくは0.7〜0.3、もっとも好ましくは0.6〜0.4)で提供される。
【0029】
本発明のケミカルメカニカル研磨パッドを提供する方法において、提供されるアクリレートがヒドロキシアルキル(アルキル)アクリレートである場合、ヒドロキシアルキル(アルキル)アクリレートは、好ましくは、末端イソシアネート修飾ウレタンプレポリマー中の未反応NCO基に対するアクリレート中のヒドロキシル基の当量比(OH/NCO)0.1〜0.9(より好ましくは0.2〜0.8、さらに好ましくは0.3〜0.7、もっとも好ましくは0.4〜0.6)で提供され、ポリアミン連鎖延長剤は、好ましくは、末端イソシアネート修飾ウレタンプレポリマー中の未反応NCO基に対するポリアミン連鎖延長剤中のアミン基の当量比(NH2/NCO)0.9〜0.1(より好ましくは0.8〜0.2、さらに好ましくは0.7〜0.3、もっとも好ましくは0.6〜0.4)で提供される。
【0030】
以下の実施例において本発明のいくつかの実施態様を詳細に説明する。
【0031】
比較例C1〜C4
表1に記す末端トルエンジイソシアネート修飾プレポリマー(50℃に予熱)を4,4′−メチレン−ビス−o−クロロアニリン(MBCA)(115℃に予熱)と混合することにより、比較例C1〜C4の研磨層材料を調製した。使用した硬化剤に対するプレポリマーの比は、表1に記す、MBCA中のアミン基に対するプレポリマー中の未反応NCO基の化学量論比によって決定した。比較例C2及びC4において、Akzo-Nobelから商品名Expancel(登録商標)の下で販売されているポリマーマイクロバルーンの添加により、プレポリマーとMBCAとの混合物に気孔を導入した。添加したExpancel(登録商標)気孔形成剤のタイプ及び重量%は表1に示されている。Expancel(登録商標)気孔形成剤は、高速剪断ミキサを約3600rpmで使用してプレポリマーとMBCAとの混合物中に気孔形成剤を均一に分散させることにより、プレポリマーとMBCAとの混合物の全体と合わせた。次いで、プレポリマー及びMBCA(さらに、例C2及びC4の場合にはExpancel(登録商標)気孔形成剤)の最終混合物を型に移し、約15分間ゲル化させた。
【0032】
そして、型を硬化オーブンに入れ、以下の加熱サイクルを使用して硬化させた。硬化オーブンの設定温度を、周囲温度から104℃の設定温度まで30分間で上昇(ランプ:ramp)させ、次いで、硬化オーブンの設定温度104℃で15時間半ホールドし、次いで、硬化オーブンの設定温度を21℃に低下させ、21℃の設定温度で2時間ホールドした。
【0033】
そして、製品ケーキを離型させ、スライスして厚さ0.2cmの研磨層を提供した。
【0034】
【表1】
【0035】
実施例1:無充填研磨層の調製
未反応NCO基5.8重量%を有する末端トルエンジイソシアネート修飾ポリプロピレングリコールプレポリマー(830.8g)(Chemturaから入手のAdiprene(登録商標)LFG963A)及び2−ヒドロキシエチルメタクリレート(HEMA)(87.1g)を1ガロン容器に加えた。次いで、ジブチル錫ジラウレート(3g)を容器に加えた。次いで、1,000rpmに設定したボルテックスミキサを使用して容器の内容物を1.5分間混合した。次いで、ジエチルトルエンジアミン連鎖延長剤(58.1g)(Albemarle(登録商標)からのEthacure(登録商標)100-LC)を容器に加えた。次いで、2,2′−アゾビス(2−メチルプロピオニトリル)(AIBN)(アセトン5mLに溶解した1g)を容器に加えた。次いで、1,000rpmに設定したボルテックスミキサを使用して容器の内容物を1分間混合した。次いで、容器の内容物を、0.2cmスペーサを備えた66cm×66cmの圧縮成型用型に注加した。次いで、充填された型をヒートプレスに入れ、加圧下、120℃で1時間硬化させた。次いで、型をヒートプレスから取り出し、製品研磨層を型から取り出した。
【0036】
実施例2:無充填研磨層の調製
未反応NCO基8.9重量%を有する末端トルエンジイソシアネート修飾ポリ(テトラメチレンエーテル)グリコールプレポリマー(793.3g)(ChemturaからのAdiprene(登録商標)LF750D)及び2−ヒドロキシエチルメタクリレート(HEMA)(124g)を1ガロン容器に加えた。次いで、ジブチル錫ジラウレート(3g)を容器に加えた。次いで、1,000rpmに設定したボルテックスミキサを使用して容器の内容物を1.5分間混合した。次いで、ジエチルトルエンジアミン連鎖延長剤(82.7g)(Albemarle(登録商標)から入手のEthacure(登録商標)100-LC)を容器に加えた。次いで、2,2′−アゾビス(2−メチルプロピオニトリル)(AIBN)(アセトン5mLに溶解した1g)を容器に加えた。次いで、1,000rpmに設定したボルテックスミキサを使用して容器の内容物を1分間混合した。次いで、容器の内容物を、0.2cmスペーサを備えた66cm×66cmの圧縮成型用型に注加した。次いで、充填された型をヒートプレスに入れ、加圧下、120℃で1時間硬化させた。次いで、型をヒートプレスから取り出し、研磨層を型から取り出した。
【0037】
実施例3:研磨層の性質
実施例1〜2及び比較例C1〜C4それぞれにおいて調製した研磨層の様々な性質を計測した。結果、すなわち硬さ(ショアーD)、引張り強さ、破断点伸び、引張り弾性率、靱性、貯蔵弾性率G′、湿式切削速度、アスペリティ摩耗(wear)及び加水分解安定性を表2に提供する。
【0038】
研磨層の硬さ(ショアーDスケール)は、ASTM D2240-05にしたがって、Instronから入手のタイプDデジタルスケール付きShore Leverloaderを使用して計測した。4kgの荷重を使用して15秒遅延で計測を実施した。
【0039】
研磨層の引張り性質(すなわち引張り弾性率、引張り強さ、破断点伸び)は、ASTM D1708-10にしたがって、MTS Systems Corporationから入手のAlliance RT/5メカニカルテスタを2.54cm/minのクロスヘッド速度で使用して計測した。すべて試験は、23℃及び相対湿度50%に設定された温度及び湿度制御された実験室内で実施した。試験を実施する前に、すべての試料を前記実験室条件下で5日間コンディショニングした。各研磨層材料に関して報告する引張り弾性率(MPa)、引張り強さ(MPa)及び破断点伸び(%)は、四つの反復試験試料の応力ひずみ曲線から決定したものである。
【0040】
研磨層の貯蔵弾性率G′は、ASTM D5279-08にしたがって、TA Instrumentsのねじれ固定具付きARESレオメータを使用して計測した。計器に接続された液体窒素を周囲以下の温度制御に使用した。試料の線形粘弾性応答を1Hzの試験周波数で−100℃から200℃まで3℃/minの温度勾配で計測した。Indusco油圧スイングアーム切断機上、47.5mm×7mmのダイを使用して、製品研磨層から試料を打ち抜き、ハサミを使用して約35mmの長さにカットした。
【0041】
研磨層の湿式切削速度及びアスペリティ摩耗(wear)データは、6EC Strasbaugh研磨ツールを使用して計測した。この研磨ツールは、20インチ(約51cm)直径研磨層試料サイズを収容することができる22インチ(約56cm)プラテンを有する。湿式切削速度及びアスペリティ摩耗試験を実施する前に、研磨層試料を、ベルトサンダによってバフィングし、円形パッドに切断し、ピッチ120ミル、幅20ミル及び深さ20ミルの寸法を有する円形溝パターンで溝切り、次いで積層してフォームサブパッド層を形成した(Rohm and Haas Electronic Materials CMP Inc.から入手のSP2310)。
【0042】
湿式切削速度計測のために、研磨パッドコンディショニングディスク(Rohm and Haas Electronic Materials CMP Inc.から入手のKinik Company製DiaGrid(登録商標)AD3BG-150855パッドコンディショナ)を使用して、以下のパラメータで研磨層を摩耗させた。期間:2時間、研磨層をダイアモンドコンディショニングディスクによる連続摩耗に付した。プラテン速度:100rpm。スラリー:脱イオン水。スラリー流量:150cm3/min。コンディショニングディスクダウンフォース:62.1kPa。湿式切削速度(すなわち、平均溝深さの経時変化)は、Zaber Technologiesの電動スライドに取り付けたMTI InstrumentsのMicrotrack IIレーザ三角測量センサを使用して、研磨層の表面を固定研磨層の回転中心から研磨層の外縁までプロファイリングすることによって計測した。スライド上のセンサの掃引速度は0.732mm/sであり、センサのサンプリング速度(計測数/掃引1mm)は6.34点/mmであった。報告される湿式切削速度は、研磨層の表面上の2,000超(>2,000)の点として採取された厚さ計測値に基づく、溝深さの経時的算術平均減少である。
【0043】
アスペリティ摩耗計測は、湿式切削速度測定ののち、湿式切削速度を計測するために使用した同じ研磨層試料を使用して実施した。この試験の目的は、模擬ウェーハ研磨条件下(すなわち、直径8インチの石英スラグを研磨する)、後続のダイアモンドコンディショニングなしで、研磨層材料のグレージング応答を研究することであった。使用した試験パラメータは以下のとおりである。プラテン速度:53rpm。ヘッド速度:51rpm。ダウンフォース:27.6kPa(+6.9kPa背圧)、スラリー:ILD3225(Nitta-Haas, Inc.から入手)。スラリー流量:150cm3/min。期間:1分、1分、3分及び5分で合計10分。Visionバージョン32ソフトウェアを稼働させるVeeco Instruments, Inc.からのWyko NT8000光学プロファイリングシステムを使用する光学表面分析のために、各時間間隔で試料を研磨層から切り出して、出発原料の粗さに比較した表面粗さの減少(%減少として)を計測した。
【0044】
研磨層材料の加水分解安定性は、各研磨層材料の試料を室温の脱イオン水に24時間浸漬したのち、その試料の線寸法の変化(%として)を計測することによって測定した。
【0045】
【表2】