特許第6073105号(P6073105)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6073105
(24)【登録日】2017年1月13日
(45)【発行日】2017年2月1日
(54)【発明の名称】ミルク注出装置およびミルク加熱方法
(51)【国際特許分類】
   A47J 31/41 20060101AFI20170123BHJP
   A47J 31/44 20060101ALI20170123BHJP
【FI】
   A47J31/41
   A47J31/44 410
【請求項の数】17
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2012-232697(P2012-232697)
(22)【出願日】2012年10月22日
(65)【公開番号】特開2013-85968(P2013-85968A)
(43)【公開日】2013年5月13日
【審査請求日】2015年8月18日
(31)【優先権主張番号】10 2011 084 901.7
(32)【優先日】2011年10月20日
(33)【優先権主張国】DE
(73)【特許権者】
【識別番号】512218854
【氏名又は名称】フランケ・カフェーマシーネン・アー・ゲー
【氏名又は名称原語表記】FRANKE KAFFEEMASCHINEN AG
(74)【代理人】
【識別番号】100107308
【弁理士】
【氏名又は名称】北村 修一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100120352
【弁理士】
【氏名又は名称】三宅 一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100126930
【弁理士】
【氏名又は名称】太田 隆司
(72)【発明者】
【氏名】ハインリッヒ・キンドラー
(72)【発明者】
【氏名】ハインツ・オーバーホルツァー
(72)【発明者】
【氏名】ハインツ・フェッテルリ
【審査官】 土屋 正志
(56)【参考文献】
【文献】 特表2009−502277(JP,A)
【文献】 特開2009−066411(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A47J 31/41
A47J 31/44
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
貯蔵タンク(31)からミルクを送り出すポンプ(P1)と、貫流式ヒータ(32)と、ミルクを注出する注出口(33)とが備えられたミルク注出装置であって、上記の構成要素を互いに連携させて、前記ポンプ(P1)によって送り出されるミルクが、前記貫流式ヒータ(32)を通って、前記貫流式ヒータによって加熱され、前記注出口(33)から注出され、さらに少なくとも1つの蒸気発生器(34)が備えられ、前記蒸気発生器(34)は前記貫流式ヒータ(32)と連携するように形成され、前記貫流式ヒータの下流で前記注出口の上流において補助的な加熱のためにミルクに蒸気が供給されることを特徴とする装置。
【請求項2】
前記注出口(33)が、ホットミルクおよびミルクフォームを選択的に注出するものであり、
前記蒸気発生器(34)が、ホットミルクを注出するためのものであり、
ミルクフォームを調製するための空気弁がさらに備えられ、
ミルクフォームを注出する場合、前記空気弁は周囲の空気を前記ポンプ(P1)および前記貫流式ヒータ(32)の上流に導入し、ミルク・空気混合物はもっぱら前記貫流式ヒータ(32)によって加熱されることを特徴とする請求項1に記載の装置。
【請求項3】
ミルクが前記貫流式ヒータの出口で50℃〜85℃、好ましくは55℃〜80℃、より好ましくは60℃〜70℃の温度を有するように、前記ポンプ(P1)または前記貫流式ヒータ(32)あるいはその両方を制御する制御装置が備えられていることを特徴とする請求項1又は2に記載の装置。
【請求項4】
ミルクに蒸気が供給される蒸気供給箇所の下流で前記注出口の上流に、装置使用時に蒸気によって加熱されたミルクが流れる、少なくとも5cm、好ましくは10cm〜30cm、より好ましくは15cm〜20cmの長さを有する静定管が設けられていることを特徴とする請求項1から3のいずれか1項に記載の装置。
【請求項5】
貯蔵タンク(31)と前記ポンプ(P1)の間の吸い込み管に、前記吸い込み管に選択的に蒸気を導入するために前記蒸気発生器(34)と連通する蒸気導入部が設けられていることを特徴とする請求項1からのいずれか1項に記載の装置。
【請求項6】
前記吸い込み管の前記蒸気導入部の上流に、前記吸い込み管を選択的に閉じるための弁が設けられていることを特徴とする請求項に記載の装置。
【請求項7】
ミルクフォームを調製するために、さらに、空気を選択的に導入するための空気弁が前記貫流式ヒータの上流に、好ましくは、前記ポンプ(P1)の吸い込み側に設けられていることを特徴とする請求項1からのいずれか1項に記載の装置。
【請求項8】
前記貯蔵タンク(31)を収納すると共に少なくとも前記ポンプ(P1)も収納される冷却ルームが備えられていることを特徴とする請求項1からのいずれか1項に記載の装置。
【請求項9】
制御信号によって流れ断面積がプリセットされる制御可能なスロットル弁が、前記ポンプ(P1)の吐き出し側に配置されることを特徴とする請求項1からのいずれか1項に記載の装置。
【請求項10】
前記ポンプ(P1)と前記注出口(33)の間に、前記貫流式ヒータを選択的にバイパスするためのバイパス管が設けられていることを特徴とする請求項1からのいずれか1項に記載の装置。
【請求項11】
前記貫流式ヒータは互いに平行をなして延びる2本の管を有し、そのうち第1の管は牛乳を加熱するために形成され、第2の管は無乳糖ミルクなどの別の液体を加熱するために形成されていることを特徴とする請求項1から10のいずれか1項に記載の装置。
【請求項12】
請求項1から11のいずれか1項に記載の装置と少なくとも1つの抽出装置とが備えられ、前記抽出装置はコーヒーを調製するために形成されていると共に、少なくとも1つのコーヒー注出用注出口が加熱されたミルクを注出するための前記注出口(33)と同一のものであるか、もしくはミルク用の前記注出口(33)に隣接したものであるコーヒーメーカー。
【請求項13】
ミルク加熱方法であって、ミルクはミルク貯蔵タンクからポンプ(P1)によって送出され、貫流式ヒータを通って、前記貫流式ヒータによって加熱され、注出口(33)から注出される方法において、
ミルクは前記貫流式ヒータによる加熱後さらに蒸気の供給によって加熱されることを特徴とする方法。
【請求項14】
ミルクは前記貫流式ヒータによって85℃以下の温度、好ましくは50℃〜85℃、より好ましくは55℃〜75℃、さらに好ましくは60℃〜70℃の温度に加熱されることを特徴とする請求項13に記載の方法。
【請求項15】
ミルクは蒸気の供給によって80℃以上の温度、好ましくは80℃〜95℃、より好ましくは85℃〜90℃の温度に加熱されることを特徴とする請求項13または14に記載の方法。
【請求項16】
温かいミルクは少なくとも0.7l/minの流量、好ましくは少なくとも0.8l/min、より好ましくは少なくとも0.85l/minの流量で注出されることを特徴とする請求項13から15のいずれか1項に記載の方法。
【請求項17】
加熱されたミルクまたは温かいミルクフォームを選択的に調製するための方法であって、
温かいミルクを選択的に調製するために請求項13から16のいずれか1項に記載の方法が使用され、温かいミルクフォームを調製するためにミルク貯蔵タンクからミルクが送り出されて空気と混合され、ミルクまたはミルク・空気混合物はもっぱら前記貫流式ヒータによって加熱される方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、貯蔵タンクからミルクを送り出すポンプと、ミルクを注出する注出口とが備えられたミルク注出装置、及びそのような装置を用いて行なわれるミルク加熱方法に関する。
【背景技術】
【0002】
貯蔵タンクからミルクを送り出すための送出ポンプと、蒸気発生器と、ミルク注出用注出口とを供えたミルク注出装置は、例えば特許文献1から公知である。貯蔵タンクからミルクを送り出すための送出ポンプと、貫流式ヒータと、ミルク注出用注出口とを供えたミルク注出装置も知られている。ミルクは、注出口を経て、容器たとえばカップに注出される。ミルクを注出口から注出する際に、ポンプによるミルクの送出ならび貫流式ヒータによる加熱を行うことは、加熱されたミルクの容易かつ構造的にシンプルな注出方法である。
【0003】
この種の装置は、特に、コーヒーメーカーなどの液体食品調製装置に使用される。このような装置では、加熱されたミルクおよび/またはミルクフォームを成分とするミルク飲料の提供が所望されることが多いからである。
【0004】
特に、全自動コーヒーメーカーにおいては、上記のような装置はコーヒーメーカーにすでに内蔵されているか、あるいは、併設装置としてコーヒーメーカーと連携するものであり、一方ではミルク、他方ではコーヒーを注出するための、少なくとも一つの共通の注出口と連結されていることが多い。
【0005】
飲食店業界分野で、加熱されたミルクを注出するための装置が使用される場合、衛生ならびに清浄性保持の点で高い要件が求められる。特に、装置内部にミルク残滓が比較的長時間残ってしまうようなことは避けなければならない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】ドイツ特許公開第102009041809号(対応日本出願:特開2011−62528号)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
上記実情に鑑み、本発明の目的は、公知のミルク注出装置ならびに公知のミルク加熱方法を改良し、より広範な使用可能性を実現することかつ/または上述した衛生条件を容易に満たし得ることである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
ミルク注出装置に関して上記課題を解決するため、本発明では、貯蔵タンクからミルクを送り出すポンプと、貫流式ヒータと、ミルクを注出する注出口とが備えられ、これらの構成要素を互いに連携させて、前記ポンプによって送り出されるミルクが、前記貫流式ヒータを通って、前記貫流式ヒータによって加熱され、前記注出口から注出され、さらに少なくとも1つの蒸気発生器が備えられ、前記蒸気発生器は前記貫流式ヒータと連携するように形成され、前記貫流式ヒータの下流で前記注出口の上流において補助的な加熱のためにミルクに蒸気が供給される。
ミルク加熱方法に関して上記課題を解決するため、本発明では、ミルクはミルク貯蔵タンクからポンプによって送出され、貫流式ヒータを通って、前記貫流式ヒータによって加熱され、この貫流式ヒータによる加熱後さらに蒸気の供給によってミルクは加熱され注出口から注出される。
加熱ミルクまたは加熱ミルクフォームの選択的な調製方法に関しては、本発明では、温かいミルクを選択的に調製するために上述したミルク加熱方法が使用され、温かいミルクフォームを調製するためにミルク貯蔵タンクからミルクが送り出されて空気と混合され、ミルクまたはミルク・空気混合物はもっぱら前記貫流式ヒータによって加熱される。
【0009】
本発明によるミルク注出装置やミルク加熱方法の好ましい実施形態の一例は従属請求項に記載されている。
本発明によるミクル注出装置は、前記注出口が、ホットミルクおよびミルクフォームを選択的に注出するものであり、前記蒸気発生器が、ホットミルクを注出するためのものであり、ミルクフォームを調製するための空気弁がさらに備えられ、ミルクフォームを注出する場合、前記空気弁は周囲の空気を前記ポンプ(P1)および前記貫流式ヒータ(32)の上流に導入し、ミルク・空気混合物はもっぱら前記貫流式ヒータ(32)によって加熱されるように構成されている。
【0010】
本発明によるミルク送出装置は、貯蔵タンクからミルクを送り出すポンプと、貫流式ヒータと、ミルクを注出する注出口とが備えられ、これらの構成要素は互いに連携するように形成され、前記ポンプによって送出され前記貫流式ヒータによって加熱されたミルクが前記注出口から注出可能に構成されている。
【0011】
本発明の基本構成は従来公知の装置のそれと同じであるが、貫流式ヒータをポンプの吸い込み側に配置するかまたは吐き出し側に配置するかは本発明の範囲に属し、好ましくは、貫流式ヒータはポンプの吐き出し側に配置されている。
【0012】
本発明による装置の重要な点は、少なくとも1つの蒸気発生器を含み、前記蒸気発生器は貫流式ヒータと連携するように形成され、前記貫流式ヒータの下流で上記注出口の上流において補助的な加熱のためにミルクに蒸気を供給することができることである。
【0013】
本発明において、貫流式ヒータは構造的によりシンプルなミルク加熱方法を可能にし、特に、電気ヒータが設けられていれば、電力の制御によって温度の正確な調節が可能になるが、貫流式ヒータはミルクの加熱に際して2つの重要な点で短所を有しているとの本願出願人の知見が本発明の基礎をなしている。
【0014】
ミルクの加熱に使用される一般的な貫流式ヒータにおいては、貫流式ヒータの内部にミルクの焦げ付き付着またはミルク残滓が生ずることが多い。そのため、手間とコストのかかる、多くの場合洗浄剤を含む洗浄処理の実施が不可避となる。
【0015】
さらに、従来公知の貫流式ヒータでは、高い流速・流量で流れるミルクを高温たとえば80℃以上に加熱することはできない。
【0016】
従来公知の装置においては、電力を大きくすることで、流速・流量の増加および/または所望の高いミルク温度を実現していた。ただし、本願出願人の調査によれば、特に温度が70℃以上になると、貫流式ヒータ内部におけるミルクの焦げ付き付着が増加するということが判明した。
【0017】
このことを解決するため、本発明による装置は2段回の加熱方法を採用する。第1の加熱段階において、ミルクは貫流式ヒータで加熱され、続いて、第2の加熱段階において、補助的な加熱を目的として蒸気が供給される。これにより、ミルクの加熱に貫流式ヒータを使用する場合の上述した重大な短所が回避可能となる。
【0018】
ミルクが貫流式ヒータ内で所望される最終温度にまで加熱される必要はないことから、まずは、貫流式ヒータ内部でのミルクの焦げ付き付着は回避もしくは少なくとも大幅に減少させることができ、さらには、従来公知の装置に比較して流速・流量を大幅に高めることができる。
【0019】
本願出願人の調査によれば、温度がすでに70℃を超えると、特に温度が80℃を超えると、貫流式ヒータ内部に上述した不適な効果が現れることが判明した。したがって、好ましくは、本装置は、ポンプおよび/または貫流式ヒータを制御する制御装置が備えられ、その制御により、ミルクは貫流式ヒータの出口で50℃〜85℃、好ましくは55℃〜80℃、より好ましくは60℃〜70℃の温度となる。これにより、貫流式ヒータ内部での焦げ付き付着が回避され、さらに、それにもかかわらず、第2の加熱段階での蒸気の付加的供給のおかげで、たとえば80℃以上の温度を有するホットミルクを高い流速・流量で注出することができる。
【0020】
本発明によるミルク加熱方法において、ミルクは貯蔵タンクからポンプによって送出され、貫流式ヒータによって加熱され、注出口を経て注出される。この場合にも、ミルクがポンプを通過する前に貫流式ヒータで加熱されるか、あるいはポンプを通過した後に貫流式ヒータで加熱されるかは本発明に属している技術範囲であり、なかでも後者は本発明の特に好ましい実施形態である。
【0021】
本発明による方法において重要な点の一つは、ミルクは貫流式ヒータによって加熱された後、さらに補助的に蒸気の供給によって加熱されることである。
【0022】
本発明による方法は、好ましくは本発明による装置ないし本発明による装置の好ましい実施形態によって実施されるように構成されている。同様に、本発明による装置は、好ましくは本発明による方法ないし本発明による方法の好ましい実施形態を実施するのに適するように形成されている。
【0023】
上述した利点を達成するため、本発明による方法において、ミルクは、貫流式ヒータによって加熱され、好ましくは85℃以下の温度、好ましくは50℃〜85℃、より好ましくは55℃〜75℃、とりわけ好ましくは60℃〜70℃の温度を有することになる。
【0024】
本発明による方法の好ましい実施形態において、第2の加熱段階における蒸気の供給により、ミルクは、80℃以上の温度、好ましくは80℃〜95℃、より好ましくは85℃〜90℃の温度にまで加熱される。
【0025】
上述したように2段階式の加熱によって、高い流速・流量による、加熱された、特にホットミルクの注出が、貫流式ヒータ内部での焦げ付き付着を生ずることなく、可能である。好ましくは、本発明による方法において、ミルクの注出は少なくとも0.7l/minの流量、好ましくは少なくとも0.8l/min、より好ましくは少なくとも0.85l/minの流量で行われる。
【0026】
本発明による好適な装置では、ミルクに蒸気が供給される蒸気供給箇所の下流で注出口の上流に、装置使用時に蒸気によって加熱されたミルクが貫流する静定管が設けられている。この静定管は、少なくとも5cm、好ましくは10cm〜30cm、より好ましくは15cm〜20cmの長さを有する。このような静定管によって、ミルク(ないしミルクフォーム)と蒸気の間の最適な熱伝達が保証される。
【0027】
本発明による装置において、ミルクが貫流することになる重要な構成要素を浄化するため、好ましくは、貯蔵タンクとポンプの間の吸い込み管に、前記吸い込み管に選択的に蒸気を導入すべく蒸気発生器と連通する蒸気導入部が設けられている。この構成を採用することにより、構造的に比較的シンプルな形態で、既に存在している蒸気発生器の蒸気を使用した、効果的な浄化の達成が可能である。さらには、上述した蒸気導入部が水洗を行うべく給水管と選択的に連結可能であれば特に好都合である。
【0028】
蒸気および/または水による清浄中にそれらの清浄媒体がミルク貯蔵タンクに侵入してしまうことを防止するため、好ましくは、吸い込み管の蒸気導入部の上流(ミルク送出時のミルク流れ方向で見て)にこの吸い込み管を選択的に閉じるための弁が設けられている。
【0029】
本発明による装置は、特に、温かいミルクないしホットミルクを調製するのに特に適している。好適な実施形態において、本装置はさらにミルクフォームを調製するために形成されている。ミルクフォーム調製装置はそれ自体公知である。本発明による装置においては、その好適な実施態様において、選択的に空気を導入するための空気弁が、好ましくは、貫流式ヒータの上流に、特に好ましくは、ポンプの吸い込み側に設けられている。
【0030】
したがって、この好適実施形態において、ミルクまたはミルクフォームを選択的に注出することできる。その際、ミルクを選択的にクールまたはホットで、および/またはミルクフォームを選択的にクールまたはホットで注出することは本発明の範囲に含まれる特徴である。
【0031】
この場合、間欠動作式空気弁を使用することによって、特に好都合な実施態様が実現できる。このような間欠動作式の空気弁の使用はそれ自体公知であり、たとえば特許文献1であるドイツ特許公開第102009041809号(対応日本出願:特開2011−62528号)に開示されている。これにより、空気弁の動作周期によって、比較的容易な方法で、空気供給量を調節することができると共に、調製されたフォームの稠度とくに気泡のサイズを選択的にプリセットすることができる。
【0032】
本発明による方法は、好ましくは、加熱されたミルクまたはホットミルクフォームを選択的に調製するための方法として形成されており、その際、選択的にホットミルクを調整するために(上述したように)、2段階式加熱方法が適用される、またはホットミルクフォームを調製するために、ミルク貯蔵タンクからミルクが送り出されて空気と混合され、ミルク/空気・混合物が主に貫流式ヒータによって加熱される方法が取られる。
【0033】
この場合、ホットミルクフォームを調製するために蒸気は使用されず、そのため、蒸気発生器は運転する必要はないという利点が生ずる。
【0034】
本発明による装置の好適な実施形態の1つでは、ポンプは、前記ポンプの吐き出し側に配置され制御信号によって流れ断面積がプリセットされる制御可能なスロットル弁を有している。これにより、ポンプ使用時の高度な供給流量の可変性が得られる。
【0035】
スロットル弁によってポンプ流量を高精度にプリセットすることができる。ポンプ流量は、制御可能なスロットル弁による典型的な流量調整が行われる場合、ポンプ回転数の可変にたよった流量調整に比較して、より優れた精度をともなってプリセットすることができる。
【0036】
さらに、ミルクフォームを調製するために、空気供給ラインにおけるスロットル弁の調整により、フォーム形成のための所望のフォーム膨張をスロットル弁の下流で選択的に実現することができる。
【0037】
選択的にミルクまたはミルクフォームを注出するための上述した好ましい実施形態において、特に、クールミルクフォームを注出することもできる。これには貫流式ヒータの使用は不要である。したがって、本発明の好適な実施形態の1つにおいて、貫流式ヒータを選択的にバイパスするためのバイパス管が備えられている。
【0038】
冒頭に述べたように、本発明による装置ないし好ましい実施形態は、たとえば、コーヒーメーカー用の併設装置として形成されてもよい。この場合、本発明による装置はコーヒーメーカーの制御装置に接続するための制御ポートを有し、前記制御ポートは、好ましくは、ポンプおよび/または貫流式ヒータの温度センサーおよび/またはさらにその他の制御要素たとえば貫流式ヒータの出力調節装置および/または(好ましい実施形態において)ポンプに組み込まれた上述した制御可能なスロットル弁と接続される。
【0039】
ただし、本発明による装置を、コーヒーを調製するための少なくとも1つの抽出装置ならびに上述したようなミルク加熱装置を含むコーヒーメーカーとして形成することが特に有利である。
【0040】
この場合、コーヒー抽出装置は、好ましくは、加熱されたミルクを注出するための上記注出口と同一、もしくは少なくともそれと隣接したコーヒー注出用注出口と連結されている。これにより、容易かつ自動化された方法で、コーヒー・ミルク混合飲料を調製することができる。とりわけ、ミルクまたはミルクフォームを選択的に注出可能な上述した好ましい実施形態と組み合わせれば、代表的なコーヒー・ミルク混合飲料であるカプチーノ、ラテ、マキアットあるいは同様な飲料を自動的に調製することができる。
【0041】
ポンプはそれ自体公知のミルク送出ポンプとして形成されてもよい。この場合、一般的なポンプデザインたとえばピストンポンプまたは蠕動運動型ポンプは本発明の範囲において自由に選択可能である。特に、歯車ポンプの使用が有利である。
【0042】
本発明による装置がミルク貯蔵タンクの配置された冷却ルームないしは冷却ユニットを備えることも本発明の範囲に含まれる。特に、少なくともポンプは冷却ルームに配置されるとよい。その際、ポンプと、ミルク貯蔵タンクに挿入されたポンプ吸い込み管とは、常に冷却された環境内に配置されることになり、好都合である。
【図面の簡単な説明】
【0043】
図1】コーヒーメーカーとして形成された本発明による装置の第一の実施形態を示す図である。
図2】コーヒーメーカーとして形成されかつ互いに平行をなして延びる2本のミルク管を備えた貫流式ヒータを有する本発明による装置の第二の実施形態を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0044】
以下、実施形態および図面を参照して、本発明ならびに本発明による方法のさらなる好ましい特徴および実施形態を説明する。
【0045】
図1に示すコーヒーメーカーはミルク注出装置を含んでいる。この注出装置は、吸い込み側が吸い込み管を介してミルク貯蔵タンク31と連結されたポンプP1を含んでいる。ポンプP1の吐き出し側は、ここでは三方弁として形成された弁Y9を経て、貫流式ヒータ32と連結されている。貫流式ヒータ32の出口は、ここでは三方弁(ドレンポートを備えた二方弁)として形成されたドレン弁Y10を介して注出口33と連通可能である。注出口33は互いに離間した2個の穴を有しているので、選択的に、1個のカップもしくは並べて置かれた2個のカップへの注出が可能となる。したがって、ミルクは、ポンプP1によって貯蔵タンク31から送出され、貫流式ヒータ32によって加熱され、注出口33から、たとえば1個のカップに注出可能である。ミルク貯蔵タンク31からポンプP1と上記の2つの弁Y9、Y10とを介して注出口33にミルクを供給する管全体ないしはその一部のミルク管と称するが、その一部には水や蒸気が流れるので、その場合は液体管と読み替えられるべきである。
【0046】
ここで重要な点は、この装置がさらに、水蒸気を発生するための蒸気発生器34を有していることである。蒸気発生器34は、蒸気管35を介して、ドレン弁Y10と注出口33の間のミルク管と蒸気導入点35aで連結しており、そこでミルク管を流れるミルクに合流している。
【0047】
これにより、貯蔵タンク31からポンプP1によって送り出されたミルクは第1の加熱段階として貫流式ヒータ32によって加熱され、続いて、蒸気導入点35aにおける蒸気発生器34からの蒸気の供給により、さらなる第2の加熱段階として、蒸気加熱される。
【0048】
図1に示すコーヒーメーカーのすべての構成要素(制御要素)は不図示の制御装置と接続されている。ホットミルクの注出が所望される場合、制御装置は、ポンプP1によって送り出されたミルクが貫流式ヒータ32の出口で約70℃の温度を有し、さらに、蒸気導入点35aでの蒸気の供給によって約90℃の温度に加熱されるように、構成要素を制御する。この場合、流量は約0.8l/minである。
【0049】
ポンプP1の流量を正確に調整できるように、さらに、ポンプの吐き出し側でポンプP1とミルク弁Y9の間にスロットル弁Y22が設けられている。所定の流量を実現するためにポンプP1の回転数を制御することも本発明の範囲に含まれる。
【0050】
ただし、ポンプP1がフルパワーで運転され、所定の値への流量の正確な制御がポンプ吐き出し側のスロットル弁Y22のスロットルによる流れ断面積の調整によって行われるように構成することも可能である。
【0051】
ミルクの送り出し開始時にミルク管内になお洗浄水がある場合、前記洗浄水は最初にドレン弁Y10によってドレン口に誘導されて排出され、続いて、ドレン弁Y10が切り換えられ、加熱されたミルクが注出口33を経て注出される。
【0052】
蒸気導入点35aと注出口33の間の液体管は20cmの長さを有している。これは蒸気・ミルク混合物を静定(安定)させるために使用される。
【0053】
貫流式ヒータ32の温度は温度センサーB3を介して監視され、制御装置によって調整される。
【0054】
クールミルクを注出するため、ポンプP1は最大パワーで運転され、スロットル弁Y22は全開され、最大流れ断面積が設定される。ミルク供給弁である弁Y9は、ミルクが貫流式ヒータ32をバイパスして、注出口33に直接供給されるように制御される。
【0055】
本発明による装置はさらに、クールまたはホットミルクフォームを注出するためにも適用できる。そのため、本発明による装置は、一方で周囲空気とつながり、他方で貯蔵タンク31とポンプP1の間のミルク管と連結された開閉式の空気弁Y21を有している。このような回路形成により、空気弁Y21が開放されかつポンプP1によってミルクが送り出される際に、ベンチュリ効果によって空気が吸い込まれ、この空気が送り出されるミルクに混入されることによってミルクフォームが生成される。
【0056】
その際、空気弁は制御装置によって好ましくは比例制御式で開閉駆動される。つまり、弁の開状態と閉状態との開閉動作の繰り返し周期に基づいて、供給空気量が調整される。精度の高い開閉制御により優良なミルクフォームが生成されるとともに、そのフォーム具合を任意に調整することができる。
【0057】
ミルクフォームを生成するために開閉制御式の空気弁を使用することはそれ自体公知に属し、たとえば特許文献1であるドイツ特許公開第102009041809号(対応日本出願:特開2011−62528号)に開示されている。
【0058】
クールミルクフォームを生成するため、ミルクポンプP1はフルパワーで運転され、スロットル弁Y22は最大流れ断面積に全開され、空気弁Y21は所定の開閉デュティで開閉制御される。
【0059】
この場合にも、洗浄水がなお残っていれば、それは最初にドレン弁Y10によってドレン口に誘導されて排出され、続いて、クールミルクフォームが相応に制御されたミルク弁Y9の方向切替操作により、冷たいままのミルクが貫流式ヒータ32をバイパスし、注出口33に供給される。
【0060】
ホットミルクフォームの生成には、基本的に上記と同様な手順がとられるが、ミルク弁Y9は、空気・ミルク混合物が貫流式ヒータ32を経て注出口33に誘導されるように方向切替制御される。その結果、貫流式ヒータ32による加熱によってホットミルクフォームが注出される。この場合、スロットル弁Y22を最大流れ断面積以下の流れ断面積に設定することで、ホットミルクフォームの稠度が向上されるようにすると好都合である。
【0061】
ミルク管を洗浄するために、本発明による装置は、開閉式の空気弁Y21と空気供給管がミルクを吸い込むためのミルク管に合流する合流点と間の空気供給管に連結する洗浄管36を有している。主給水弁Y1と、主給水ポンプM1と、同じく三方弁として形成された洗浄弁Y5とによって、洗浄管36に水または蒸気を選択的に供給することができる。
【0062】
ミルク注出作業等の最初の作業の段階で冷水または温水によって洗浄するのが好ましい。洗浄のため、最初にミルク吸い込み管が弁Y20によって閉じられるため、洗浄剤が吸い込み管を経て貯蔵タンク31内に達することはない。これに続いて、たとえば水が主給水ポンプM1と洗浄管36とを経てミルク管に導入され、こうして、水はポンプP1、スロットル弁Y22、貫流式ヒータ32およびドレン弁Y10を通過し、最後に、ドレン弁Y10の相応した制御によって注出口から排出される。続いて、弁Y5が制御され、蒸気発生器34によって発生された蒸気が洗浄管36に導入され、これにより蒸気による補助的な洗浄が達成される。
【0063】
なお、図1に示すコーヒーメーカーのその他の構成要素はそれ自体公知のように構成されており、かつ、それ自体公知のように運転される。
【0064】
蒸気発生器34は、ヒータH2と、液位プローブB4と、温度センサーB2とを有している。蒸気発生器34には、弁Y2を経て、主給水ポンプM1から水を供給することができる。これらの構成要素は、制御装置によって、必要時には少なくとも蒸気発生器内の上部領域に十分な水蒸気が存在するように制御される。安全上の理由から、圧力調整弁UVが設けられている。
【0065】
蒸気発生器34の蒸気は、上述したように、第2の加熱段階においてミルクを加熱するためにミルク管に供給することができる。弁Y8を経て、コーヒーメーカーの蒸気ランスに蒸気を供給することも同じく可能である。
【0066】
さらに、たとえばティー飲料が所望される場合、蒸気発生器から弁Y7を経て注出口に熱湯を供給することができる。
【0067】
コーヒーを調製するため、コーヒーメーカーは、ヒータH1と温度センサーB1ならびに同じく安全上から設けられた圧力調整弁UVを備えた湯沸かし器を有している。湯沸かし器は、主給水弁Y1および主給水ポンプM1を経て、同じく主給水管と連結されており、この場合、ヒータH1ならびにその他の構成要素は、所望の温度を有したコーヒー調製用の熱湯が供給されるように、制御される。制御のため、特に、ボイラーへの冷水供給管に流量メーターB7が設けられている。ボイラーからの熱湯は、弁Y4を経て、抽出チャンバBKに供給される。この抽出チャンバはそれ自体公知のように形成されており、特に、全自動コーヒーメーカーの場合にそれ自体公知のように、コーヒー粉末供給チャンバおよびコーヒーミルと共に形成されている。コーヒーは熱湯によって調製されて同じく、注出口33に隣接する、同じく、互いに離間した2個の注出穴を有するコーヒー注出口37から注出される。
【0068】
図2は、基本構造の点で上記第一の実施形態と同じであって、同様にコーヒーメーカーとして形成された第二の実施形態を示している。同一もしくは同一の機能を有する構成要素には上記と同一の記号が付されている。繰り返しを避けるため、以下では相違点のみに触れることとする。
【0069】
図2に示すコーヒーメーカーは、互いに平行に延びる2本の管を備えた貫流式ヒータ32’を有している。ポンプP1は、弁Y20’を介して、互いに平行をなして延びる管のうち第1の管または第2の管と選択的に液体導通連結可能である。さらに、このコーヒーメーカーは、第1のミルク貯蔵タンク31aと第2のミルク貯蔵タンク31bとを収容する冷却ユニットを含んでいる。2本の吸い込み管と弁20とを経て、双方の貯蔵タンク31aまたは31bの一方が選択的にポンプP1の吸い込み管と連結可能である。
【0070】
貯蔵タンク31aは牛乳を内蔵し、他方、貯蔵タンク31bは豆乳などの無乳糖ミルクを内蔵している。したがって、所望の注出飲料タイプに応じ、牛乳もしくは無乳糖ミルクが貫流式ヒータ32’によって加熱され、さらに、場合により第2の加熱段階で蒸気供給によって加熱され、注出口33から注出可能である。重要な点は、貫流式ヒータ32’内に牛乳用および無乳糖ミルク用の互いに平行をなす独立した別々の管が存在するため、とりわけ乳糖不耐症のユーザーにとって、無乳糖ミルクで調製された飲料中に貫流式ヒータ32’から牛乳残滓が入り込むことは決してないことが保証されていることである。
【0071】
さらに好ましい実施形態においては、図2とは異なり、2つのそれぞれのミルク貯蔵タンク用にそれぞれ1基のポンプ、それぞれ1本の吸い込み管および、貫流式ヒータ32’の当該管へのそれぞれ1本の送り管が設けられているため、貫流式ヒータ32’に達する前の流れ路においても、牛乳用の流れ路と無乳糖ミルク用の流れ路とは完全に分離される。
【0072】
尚、特許請求の範囲の項に図面との対照を便利にするために符号を記すが、該記入により本発明は添付図面の構造に限定されるものではない。
【符号の説明】
【0073】
31: 貯蔵タンク
32: 貫流式ヒータ
33: 注出口
34: 蒸気発生器
P1: ポンプ
図1
図2