特許第6073116号(P6073116)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6073116
(24)【登録日】2017年1月13日
(45)【発行日】2017年2月1日
(54)【発明の名称】道路橋継目部の伸縮装置及び止水工法
(51)【国際特許分類】
   E01C 11/02 20060101AFI20170123BHJP
   E01D 19/06 20060101ALI20170123BHJP
【FI】
   E01C11/02 A
   E01D19/06
【請求項の数】3
【全頁数】7
(21)【出願番号】特願2012-256471(P2012-256471)
(22)【出願日】2012年11月22日
(65)【公開番号】特開2014-105426(P2014-105426A)
(43)【公開日】2014年6月9日
【審査請求日】2015年9月10日
(73)【特許権者】
【識別番号】000220147
【氏名又は名称】東京ファブリック工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100097113
【弁理士】
【氏名又は名称】堀 城之
(74)【代理人】
【識別番号】100162363
【弁理士】
【氏名又は名称】前島 幸彦
(72)【発明者】
【氏名】都倉 勝昭
【審査官】 神尾 寧
(56)【参考文献】
【文献】 特開2008−280728(JP,A)
【文献】 特開2007−231710(JP,A)
【文献】 実開昭56−033305(JP,U)
【文献】 特開2003−253609(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E01C 11/02
E01D 19/06
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
道路橋の継ぎ目の両側に配置されて前記継ぎ目を上側から覆う一対のフェースプレートと、
フェースプレートの内側に配置された一対の保持金物と、
該保持金物間に配置された伸縮ゴムと、
前記フェースプレートの外側から前記保持金物に螺着され、前記伸縮ゴムを前記保持金物の内側に圧縮するフェースプレート取り付けボルトと、
前記保持金物間に配置されて前記伸縮ゴムを下側から支持する伸縮ゴム受けとを備え、
前記伸縮ゴムは、前記継ぎ目の長手方向に連続して延びていることを特徴とする道路橋継目部の伸縮装置。
【請求項2】
フェースプレート取り付けボルトでフェースプレートに取り付けられた保持金物を、前記フェースプレートと共に道路橋の継ぎ目に配置し、前記保持金物の翼鉄筋を前記道路橋のアンカー鉄筋に溶接する保持金物設置工程と、
前記フェースプレート取り付けボルトの螺着を解いて前記フェースプレートを前記保持金物から取り外すフェースプレート取外工程と、
前記保持金物の間に配置された伸縮ゴム受け上に伸縮ゴムを配置する伸縮ゴム設置工程と、
前記フェースプレートを前記保持金物の上に被せ、前記フェースプレート取り付けボルトで前記フェースプレートを前記保持金物に螺着すると共に、前記フェースプレート取り付けボルトの先端で前記伸縮ゴムを締め付けて圧縮する伸縮ゴム締付工程と、
前記フェースプレートの翼鉄筋をアンカー鉄筋に溶接するフェースプレート設置工程とを備えることを特徴とする道路橋の継ぎ目の止水工法。
【請求項3】
保持金物を道路橋の継ぎ目に配置し、前記保持金物の翼鉄筋を前記道路橋のアンカー鉄筋に溶接する保持金物設置工程と、
前記保持金物の間に配置された伸縮ゴム受け上に伸縮ゴムを配置する伸縮ゴム設置工程と、
フェースプレートを前記保持金物の上に被せ、フェースプレート取り付けボルトで前記フェースプレートを前記保持金物に螺着すると共に、前記フェースプレート取り付けボルトの先端で前記伸縮ゴムを締め付けて圧縮する伸縮ゴム締付工程と、
前記フェースプレートの翼鉄筋をアンカー鉄筋に溶接するフェースプレート設置工程とを備えることを特徴とする道路橋の継ぎ目の止水工法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、道路橋の継目部で用いられる伸縮装置及び止水工法に関する。
【背景技術】
【0002】
この種の伸縮装置では、下記の特許文献1に示すように、継ぎ目の両側に金属製の板(金物)を配置し、両板間にゴム製のシール部材を取り付けて、継ぎ目部からの漏水が防止されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特許第3442362号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
この種の伸縮装置では、複数の金物が幅員方向に接続される。このため、道路橋に設置された伸縮装置には接続箇所が生じ、この箇所より漏水する可能性が高かった。
【0005】
本発明の目的は斯かる課題に鑑みてなされたもので、継ぎ目部からの漏水を防止できる道路橋継目部の伸縮装置及び止水工法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
このような目的を達成するために、本発明の道路橋継目部の伸縮装置は、道路橋の継ぎ目の両側に配置されて前記継ぎ目を上側から覆う一対のフェースプレートと、フェースプレートの内側に配置された一対の保持金物と、該保持金物間に配置された伸縮ゴムと、前記フェースプレートの外側から前記保持金物に螺着され、前記伸縮ゴムを前記保持金物の内側に圧縮するフェースプレート取り付けボルトと、前記保持金物間に配置されて前記伸縮ゴムを下側から支持する伸縮ゴム受けとを備え、前記伸縮ゴムは、前記継ぎ目の長手方向に連続して延びていることを特徴とする。
また、本発明の道路橋の継ぎ目の止水工法は、フェースプレート取り付けボルトでフェースプレートに取り付けられた保持金物を、前記フェースプレートと共に道路橋の継ぎ目に配置し、前記保持金物の翼鉄筋を前記道路橋のアンカー鉄筋に溶接する保持金物設置工程と、前記フェースプレート取り付けボルトの螺着を解いて前記フェースプレートを前記保持金物から取り外すフェースプレート取外工程と、前記保持金物の間に配置された伸縮ゴム受け上に伸縮ゴムを配置する伸縮ゴム設置工程と、前記フェースプレートを前記保持金物の上に被せ、前記フェースプレート取り付けボルトで前記フェースプレートを前記保持金物に螺着すると共に、前記フェースプレート取り付けボルトの先端で前記伸縮ゴムを締め付けて圧縮する伸縮ゴム締付工程と、前記フェースプレートの翼鉄筋をアンカー鉄筋に溶接するフェースプレート設置工程とを備えることを特徴とする。
また、本発明の道路橋の継ぎ目の止水工法は、保持金物を道路橋の継ぎ目に配置し、前記保持金物の翼鉄筋を前記道路橋のアンカー鉄筋に溶接する保持金物設置工程と、前記保持金物の間に配置された伸縮ゴム受け上に伸縮ゴムを配置する伸縮ゴム設置工程と、フェースプレートを前記保持金物の上に被せ、フェースプレート取り付けボルトで前記フェースプレートを前記保持金物に螺着すると共に、前記フェースプレート取り付けボルトの先端で前記伸縮ゴムを締め付けて圧縮する伸縮ゴム締付工程と、前記フェースプレートの翼鉄筋をアンカー鉄筋に溶接するフェースプレート設置工程とを備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、一本の伸縮ゴムを保持金物間で圧縮して止水を行うことで、高い止水性を安定して発揮させられる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】本発明の一実施形態の道路橋継目部の伸縮装置を示す平面図である。
図2図1の伸縮装置を示す側面図である。
図3図1の伸縮装置の施工方法を示す第1の側面図である。
図4図1の伸縮装置の施工方法を示す第2の側面図である。
図5図1の伸縮装置の施工方法を示す第3の側面図である。
図6図1の伸縮装置の施工方法を示す第4の側面図である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
以下、図面を参照して、本発明の一実施形態を説明する。
図1,2に示すように、道路橋継目部の伸縮装置1は、道路橋の橋桁7同士の継ぎ目の両側に設けられた切欠部分71に設置される。伸縮装置1は、配置された一対のフェースプレート2と、フェースプレート2の内側に配置された一対の保持金物3と、保持金物3間に配置された伸縮ゴム4と、伸縮ゴム4を下側から支持する伸縮ゴム受け6とを備えている。
【0010】
フェースプレート2は、L字の断面形状を有した金属製の板に翼鉄筋21を取り付けて構成されており、道路橋7の継ぎ目の両側に対向して配置されている。フェースプレート2の上板は、図2に示すように、先端が波型に湾曲しており、継ぎ目を上側から覆っている。継ぎ目の両側のフェースプレート2の上板同士の間には、所定の幅の間隙2aが形成されている。
【0011】
保持金物3は、図2に示すように、上端に切欠部31を備えた平板体であり、フェースプレート2の縦板の内側に対向して配置されている。保持金物3は、フェースプレート取り付けボルト5によりフェースプレート2に取り付けられている。
【0012】
フェースプレート取り付けボルト5は、フェースプレート2の外側から保持金物3に螺着され、その先端で伸縮ゴム4を保持金物3の内側に圧縮している。伸縮ゴム4は、両端部に圧縮部41を備え、両圧縮部41間に複数の空間42が形成されている。伸縮ゴム4は、保持金物3間に設置された伸縮ゴム受け6上に配置されて、道路橋7の継ぎ目の長手方向に継ぎ目なく連続して延びている。伸縮ゴム受け6は、断面コの字状を呈しており、横板を上側に向けて保持金物3間に設置されている。
【0013】
伸縮装置1は、一対の保持金物3間に伸縮ゴム受け6が固定され、保持金物3にフェースプレート2がフェースプレート取り付けボルト5で外側から取り付けられた状態で、工場から出荷される。
【0014】
次に、伸縮装置1の施工手順について説明する。
まず、図3に示すように、フェースプレート取り付けボルト5でフェースプレート2に取り付けられた保持金物3を、フェースプレート2と共に道路橋7の継ぎ目に配置し、保持金物3の翼鉄筋32を道路橋7のアンカー鉄筋8に溶接する。アンカー鉄筋8はU字状に形成されており、道路橋7の切欠部分71の上面から両端部を上方に延ばしている。
【0015】
次に、図4に示すように、フェースプレート取り付けボルト5の螺着を解いてフェースプレート2を保持金物3から取り外す。続いて、図5に示すように、保持金物3の間から伸縮ゴム受け6上に伸縮ゴム4を配置し、伸縮ゴム4の圧縮部41を保持金物3の切欠部31に掛ける。圧縮部41が切欠部31に掛けられることで、伸縮ゴム4は保持金物3に取り付けられる。
【0016】
次に、図6に示すように、フェースプレート2を保持金物3の上に被せ、フェースプレート取り付けボルト5でフェースプレート2を保持金物3に取り付ける。このとき、フェースプレート取り付けボルト5の先端で伸縮ゴム4が両側から締め付けられて圧縮される。続いて、フェースプレート2の翼鉄筋21をアンカー鉄筋8に溶接する。
【0017】
本実施形態によれば、一本の伸縮ゴム4をフェースプレート2、保持金物3、及び伸縮ゴム受け6で囲まれる空間内に配置することで、道路橋の幅員方向継ぎ目なくシールを行うことができ、伸縮装置1に生じた幅員方向の接続箇所から漏水するのを防止できる。また、伸縮ゴム4をフェースプレート2、保持金物3、及び伸縮ゴム受け6で囲まれる空間内で圧縮して止水を行うことで、伸縮ゴム4をフェースプレート2や保持金物3に確実に密着させ、高い止水性を安定して発揮させられる。
【0018】
なお、上記実施形態では、フェースプレート2の上板の先端が波型に湾曲していたが、先端が直線状に延びていても良い。また、フェースプレート2及び保持金物3は、道路橋7の幅員に合わせた一本物としても、定尺物としてもよい。また、伸縮ゴム受け6の形状も、断面コの字状には限定されない。
【0019】
また、上記実施形態では、保持金物3が平板体で構成されていたが、保持金物3の形状は任意である。また、保持金物3が切欠部31を備えていなくてもよい。また、上記実施形態では、伸縮ゴム4が圧縮部41を備えていたが、圧縮部41を備えていなくてもよい。また、伸縮ゴム4が備える空間42の数は任意であり、さらに伸縮ゴム4が空間42を備えていなくてもよい。
【0020】
また、伸縮ゴム4の形状も、保持金物3に螺着されたフェースプレート取り付けボルト5での先端で圧縮されるのであれば任意であり、例えば断面が波状に形成されていてもよい。また、保持金物3やフェースプレート2の道路橋7への取り付け方法も任意であり、翼鉄筋21,32を備えていない構成としてもよい。
【0021】
また、上記実施形態では、道路橋の橋桁7同士の継ぎ目に本発明を適用した場合について説明したが、道路橋の橋桁7と支柱との継ぎ目に本発明を適用しても良い。また、道路橋の幅員方向ではなく、長手方向に延びる継ぎ目に本発明を適用しても良い。
【0022】
また、上記実施形態では、フェースプレート2と保持金物3が一体となって工場から出荷され道路橋に設置された後、フェースプレート2が保持金物3から取り外され、再度フェースプレート2が伸縮ゴム4と共に保持金物3に取り付けられる場合について説明したが、保持金物2を固定冶具等で一体として工場から出荷して道路橋の継ぎ目に配置し、保持金物3の翼鉄筋32をアンカー鉄筋8に溶接し、その後伸縮ゴム4を伸縮ゴム受け6上に配置し、フェースプレート2の設置を行う構成としても良い。
【符号の説明】
【0023】
1 伸縮装置
2 フェースプレート
21 翼鉄筋
3 保持金物
31 切欠部
32 翼鉄筋
4 伸縮ゴム
41 圧縮部
42 空間
5 フェースプレート取り付けボルト
6 伸縮ゴム受け
7 道路橋
8 アンカー鉄筋
図1
図2
図3
図4
図5
図6