特許第6073134号(P6073134)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6073134
(24)【登録日】2017年1月13日
(45)【発行日】2017年2月1日
(54)【発明の名称】媒体流を乾燥させる装置
(51)【国際特許分類】
   B01D 53/26 20060101AFI20170123BHJP
【FI】
   B01D53/26 200
【請求項の数】11
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2012-533508(P2012-533508)
(86)(22)【出願日】2010年10月1日
(65)【公表番号】特表2013-507245(P2013-507245A)
(43)【公表日】2013年3月4日
(86)【国際出願番号】EP2010006009
(87)【国際公開番号】WO2011044992
(87)【国際公開日】20110421
【審査請求日】2013年8月1日
【審判番号】不服2015-16432(P2015-16432/J1)
【審判請求日】2015年9月7日
(31)【優先権主張番号】102009049546.0
(32)【優先日】2009年10月16日
(33)【優先権主張国】DE
(73)【特許権者】
【識別番号】511004689
【氏名又は名称】ハイダック フィルターテヒニク ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング
(74)【代理人】
【識別番号】100099759
【弁理士】
【氏名又は名称】青木 篤
(74)【代理人】
【識別番号】100102819
【弁理士】
【氏名又は名称】島田 哲郎
(74)【代理人】
【識別番号】100123582
【弁理士】
【氏名又は名称】三橋 真二
(74)【代理人】
【識別番号】100153084
【弁理士】
【氏名又は名称】大橋 康史
(74)【代理人】
【識別番号】100160705
【弁理士】
【氏名又は名称】伊藤 健太郎
(74)【代理人】
【識別番号】100157211
【弁理士】
【氏名又は名称】前島 一夫
(72)【発明者】
【氏名】フォルカー バッケス
(72)【発明者】
【氏名】アヒム フェイファー
(72)【発明者】
【氏名】ヤン ベバー
【合議体】
【審判長】 新居田 知生
【審判官】 中澤 登
【審判官】 瀧口 博史
(56)【参考文献】
【文献】 特表2009−530087(JP,A)
【文献】 特開平6−47235(JP,A)
【文献】 特開昭50−74858(JP,A)
【文献】 特開平3−127606(JP,A)
【文献】 特開2004−141767(JP,A)
【文献】 特開昭61−54209(JP,A)
【文献】 特開昭50−30796(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B01D53/26-53/28
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
装置ハウジング(2)を有し、少なくとも1つの第1の乾燥剤と、少なくとも1つの他の乾燥剤(4、6)が収容されており、かつそれぞれの乾燥剤(4、6)の量が、媒体流(8)の実際の湿り状況に従って選択され、
前記装置ハウジング(2)が、少なくとも2つの乾燥剤(4、6)を収容するための収容室(10)を有し、かつ
前記収容室(10)内に、少なくとも2つの乾燥剤(4、6)を分離するために、媒体流(8)によって貫流可能な少なくとも1つの分離装置(12)が配置され、
少なくとも1つの分離装置(12)が、収容室(10)内に選択的に配置可能であって、かつ少なくとも2つの乾燥剤(4、6)をそれぞれ収容するために、収容室(10)を少なくとも2つの収容容積に分割するように形成されており、
前記収容室(10)が、装置ハウジング(2)の縦に延びる方向に媒体ガイド(28)によって貫通されており、前記媒体ガイドが一方のフィルタ装置(22)に添接するふるいプレートと他方のフィルタ装置(26)に添接するふるいプレート(44)の間に延びており、かつ
前記媒体ガイド(28)の内部空間が、乾燥された媒体を供給すべき容器と装置を接続するための接続装置(30)と連通しており
分離装置(12)が、円形に形成されて、その外壁領域(36)によって収容室(10)の内壁に添接し、その中央領域内に切欠き(38)を有しており、かつ
切欠き(38)に形成された弾性的な端縁(40)が媒体ガイド(28)に弾性的に支持され、収容室(10)の縦に延びる方向の位置における分離装置(12)の選択的な配置を許す、媒体流(8)を乾燥させる装置。
【請求項2】
乾燥剤(4)が分子ふるいであり、かつ少なくとも1つの他の乾燥剤(6)がシリカゲルである、ことを特徴とする請求項1に記載の装置。
【請求項3】
少なくとも1つの分離装置(12)が、収容室(10)の縦に延びる方向に、収容室を分割するために、選択可能な位置に配置可能である、ことを特徴とする請求項1又は2に記載の装置。
【請求項4】
少なくとも1つの分離装置(12)が、ディスク形状に形成されており、かつ媒体流(8)によって貫流可能な透孔(16)を有していることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の装置。
【請求項5】
装置ハウジング(2)が、収容室(10)の流着側の位置に、装置ハウジング(2)の外部から装置ハウジング(2)内へ媒体流(8)を取り入れるための少なくとも1つの取入れ装置(18)を有しており、かつ
少なくとも1つの取入れ装置(18)が、収容室(10)の外部かつ装置ハウジング(2)の内部に配置された、媒体を沈静化させるための中間室(20)内へ連通している、ことを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の装置。
【請求項6】
媒体を沈静化させるための中間室(20)と収容室(10)の流着側との間に位置するように、フィルタ装置(22)が配置されている、ことを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載の装置。
【請求項7】
収容室(10)の流出側において、前記収容室と装置ハウジング(2)の端部側の終端部(24)との間に、収容した乾燥剤(6)を均一に分布させるための他のフィルタ装置(26)が配置されている、ことを特徴とする請求項1〜6のいずれか1項に記載の装置。
【請求項8】
一方のフィルタ装置と他のフィルタ装置(22、26)の、それぞれ収容室(10)とは逆の側が、それぞれふるいプレート(44)に添接可能である、ことを特徴とする請求項1〜7のいずれか1項に記載の装置。
【請求項9】
装置ハウジング(2)の端部側の終端部(24)内に、スリーブ形状のフィルタ部材(32)が配置されており、前記フィルタ部材が、他方のフィルタ装置(26)に添接するふるいプレート(44)と、端部側の終端部(24)に形成された、装置ハウジング(2)のキャップ形状の画成部(34)との間にそれぞれ密に添接して延びており、かつその内部空間が媒体ガイド(28)と連通している、請求項1〜8のいずれか1項に記載の装置。
【請求項10】
装置ハウジング(2)が、収容室(10)の外部に排出装置(42)を有しており、前記排出装置によって、装置に接続された容器から流出する媒体流が装置ハウジング(2)から外部へ出て行くことができる、ことを特徴とする請求項1〜のいずれか1項に記載の装置。
【請求項11】
収容室(10)内へ投入された乾燥剤(4、6)の全量の、分子ふるいの割合が10%〜50%、シリカゲルの割合が90%〜50%であることを特徴とする請求項1〜1のいずれか1項に記載の装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、装置ハウジングを有し、その中に少なくとも1つの乾燥剤が収容されている、媒体流、特に空気流を乾燥させる装置に関する。
【背景技術】
【0002】
種概念に基づく乾燥装置は、特に外部から容器に空気流が供給され、容器に湿気が侵入することを回避しようとする場合に、使用される。この種の容器内に、たとえば油圧設備に供給するための油圧オイルを入れることができる。容器内に湿気が侵入すると、接続されている設備の出力低下あるいは特に損傷がもたらされることがある。外部から空気流を供給するために、種概念に基づく装置に、取入れ装置がもうけられているので、たとえば、容器内に投入された媒体の水準が低下した場合に、外部から装置を介して空気を容器へ供給することができる。容器内の媒体の低下は、たとえば媒体の取出しによって行なわることがある。逆の場合、すなわち容器内の媒体の水準が上昇し、それに応じて空気流が容器から外部へ導出される場合のために、種概念に基づく装置においては、取入れ装置を補足する排出装置が設けられていることが多い。
【0003】
通常、この種の乾燥させる装置内で、いわゆる乾燥剤が使用されるが、その乾燥剤は、それ自体見て、それぞれ特殊な好ましい使用領域のみを、特に湿った状態、温度及び乾燥すべき媒体の組成に従って、カバーする。従って、意図した効果を得るために、従来技術においては、それぞれ使用領域に応じて、それぞれできる限り適した乾燥剤が選択される。
【0004】
すなわち、特許文献1は、吸着する乾燥された空気によって容器を乾燥させる装置を開示しており、容器内に吸着する媒体として酸化アルミニウムが投入されている。吸着する媒体を通して接続すべき容器内へ外部から空気供給が行なわれ、同様にその容器から外部への空気搬出が行なわれる。既知の解決においては、複数の逆止め弁を配置することによって、空気供給が有効である場合にのみ、容器へ空気湿度を吸着する手段が供給され、空気搬出が有効である場合には空気は供給されないことが、保証されている。特に、接続されている容器内に油圧オイルが存在している場合に、吸着する手段は、搬出された空気のオイル蒸気によって貫流される限りにおいて、その有効性が制限される。
【0005】
特許文献2からは、同様に乾燥した空気によって通気する装置が知られており、それにおいて乾燥剤として容器にシリカゲルが投入されており、そのシリカゲルにほこりフィルタを介して外部から空気が流れ着き、その空気は、乾燥剤を通過した後に媒体ガイドへ供給され、その媒体ガイドが接続されている容器と連通している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】独国特許公報第10031004号
【特許文献2】欧州特許公報第0135006号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
上述した従来技術に基づいて、本発明の課題は、簡単な取扱いにおいて安価に形成することができ、特に、媒体流を乾燥させる場合の様々な要請に簡単に適合させることができる、媒体流を乾燥させる装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
この課題は、請求項1に記載の媒体流を乾燥させる装置によって解決される。本発明の特別な実施形態が、独立した特許請求項の対象である。
【0009】
媒体流、特に空気流を乾燥させるための、本発明に係る装置は、装置ハウジングを有しており、その中に少なくとも1つの第1の乾燥剤が収容されている。装置ハウジング内に、少なくとも1つの第1の乾燥剤の他に、少なくとも1つの他の乾燥剤が収容されており、かつ少なくとも1つの第1と少なくとも1つの他の乾燥剤が、媒体流の湿度値が低い場合又は高い場合に、湿気のための高い吸収容量を有していることによって、特に、それぞれの乾燥剤の量が、媒体流の実際の湿り状況に従って選択的に調節可能であることにより、媒体流の乾燥に対して実際おいて生じる多数の要請が、簡単に満たされる。
【0010】
本発明の実施形態において、装置ハウジングは、少なくとも2つの乾燥剤を収容するための収容室を有しており、かつ収容室内には、少なくとも2つの乾燥剤を分離するための、媒体流によって貫流可能な少なくとも1つの分離装置が配置されている。分離装置によって乾燥剤を分離することにより、一方で、大体において互いに混合されることのない乾燥剤の個々の特性が残り、他方ではこの分離が、特に2つの乾燥剤の一方が他方よりも早くその効力において著しく衰えた場合に、乾燥剤の個別の交換も許す。
【0011】
本発明の実施形態において、乾燥剤は、媒体流の湿度値が低い場合に湿気のための高い吸収容量を有する、モルシーブとも称される、分子ふるいであり、少なくとも1つの他の乾燥剤は、媒体流の湿度値が高い場合に湿気のための高い吸収容量を有するシリカゲルである。分子ふるいもシリカゲルも、種概念に基づく装置においてその高い有効性によってすでに評価されている乾燥剤であるが、その個別の特性においては、まったく異なっている。すなわち、分子ふるいにおいては、媒体流の相対湿度値が低い場合にすでに、湿気のための高い吸収容量が与えられており、シリカゲルにおいては、媒体流の相対湿度値が高い場合に、湿気のための高い吸収容量が与えられている。装置内で少なくとも2つの乾燥剤を組み合わせることによって、それぞれの乾燥剤の個別特性を次のように、すなわち媒体流を乾燥させる装置が、媒体流の実際の湿り状況に従ってできる限り効果的なやり方で乾燥を実施するように、組み合わせることができる。それによって特に、媒体流を乾燥させる装置は、媒体流の相対湿度のできる限り広い領域にわたって、媒体流の湿気のための高い吸収容量が保証されるような、乾燥剤を有する。
【0012】
本発明の実施形態において、少なくとも1つの分離装置は、収容室内に選択可能に配置することができ、かつ収容室を、少なくとも2つの乾燥剤をそれぞれ収容するための少なくとも2つの収容容積に分割するように、形成されている。選択可能に配置された分離装置を用いて、それぞれの乾燥剤のための収容室の収容容積が調節可能であることによって、意図される駆動状況、特に媒体流の湿り状況、媒体流の種類、使用すべき乾燥剤などに適合された、収容室の分割を行なうことができる。この分割が該当する装置において、従って現場で行なわれることにより、そうでない場合には同種に形成される装置は、それぞれ必要とされる吸収容量に適合されるので、様々な使用領域のために使用することができる。さらに、この種の形態は、コスト的にも好ましい。というのは、乾燥剤の大きなストックを設けることができ、その個別に収容室内へ投入すべき体積は、各個々の装置のために別々に定めることができるからである。
【0013】
本発明の実施形態において、少なくとも1つの分離装置は、収容室の縦に延びる方向において、その収容室を分割するために選択可能な位置に配置することができる。それによって、特に収容室が実質的に変化しない横断面をもって円筒形状に形成されている場合に、収容室の分割は、容易になる。というのは、分離装置のそれぞれ選択された位置、収容室の縦の延びに対するその相対位置に従って、収容室の全容積に対する該当する乾燥剤の投入可能な収容容積が容易に設定可能となるからである。そこから装置の個別適合可能性が生じる。というのは、各装置において、それ自体分離装置の選択された位置に従って、収容室の分割を個別に行なうことができるからである。
【0014】
本発明の実施形態において、少なくとも1つの分離装置は、ディスク形状に形成されており、かつ媒体流によって貫流される透孔を有している。ディスク形状で形成された分離装置内に貫流可能な透孔を設けることによって、媒体流が少なくとも1つの分離装置を貫流することができ、かつ最初に第1の乾燥剤、次に第2の乾燥剤が、媒体流へ作用できることが、保証される。
【0015】
本発明の実施形態において、装置ハウジングは、収容室の流着側に位置して、装置ハウジングの外部から装置ハウジング内へ媒体流を取り入れるための少なくとも1つの取入れ装置を有しており、かつ少なくとも1つの取入れ装置が、収容室の外部かつ装置ハウジングの内部に配置された、媒体質量を沈静化させるための中間室内へ連通している。透孔のために、それぞれ同一の大きさ又は異なる大きさを設定することができる。同一又は異なる透孔の選択された配置パターンによって、分離装置の所望の貫流プロフィールが調節され、それは、特に流れ方向において分離装置の後方に配置された乾燥剤への流れができるだけ均一になるために、有用である。円形ディスクの形式で形成されている分離装置において、透孔のために、透孔が径方向に延びるウェブと周方向に延びるウェブとによって画成されており、かつ透孔の大きさが、分離装置の中心に関して径方向内側から外側へ向かって増大するようにすることができる。
【0016】
本発明の実施形態において、媒体質量を沈静化させるための中間室と収容室の流着側との間に位置して、特にディスク形状の泡フィルタの形式の、フィルタ装置が、媒体を分配するために配置されている。取入れ装置は、特に取込み弁とすることができるので、取入れ装置を介して媒体流は装置ハウジング内へ侵入するが、取入れ装置を介して装置ハウジングを出ることはできない。取入れ装置のこの種の機能は、たとえば逆止め弁によって実現される。空気質量を沈静化させるための中間室は、特に、取入れ装置を介して取り込まれた媒体流が、中間室内で均一に分配され、それによってその後の流れ推移において流れ横断面にわたってできるだけ均一に分配されて中間室を出ることができるようにするために用いられる。
【0017】
本発明の実施形態において、収容室の流出側において、その収容室と装置ハウジングの端部側の終端部との間に、他のフィルタ装置、特に収容された乾燥剤のばらまき補償のための泡フィルタが配置されている。泡フィルタのその不均一に分配された孔又は空気通路は、泡フィルタに流れ着く媒体の均一な分配に寄与するので、媒体が泡フィルタを流出側で、流れ断面にわたってほぼ均質に分配されて出て行く。それによって、収容室内へ投入された乾燥剤への均一な流着が支援される。さらに、このようなフィルタ装置は、装置内へ取りこまれた媒体内の細かいほこり又はその他の汚れを遠ざけるためにも、用いられる。流出側において泡フィルタに乾燥剤が添接している限りにおいて、泡フィルタによって、乾燥剤又はその個々の細かい粒子が収容室から空気質量を沈静化させる中間室内へ(達することが)、効果的に回避され、それらは、収容室の上方の端部にそれを画成するように配置されている。このようにして、収容室が満たされている場合に、この泡フィルタは充填された乾燥剤に所定の限界内で圧力を及ぼすことができ、そのようにして装置を使用場所へ移送する場合も、実質的にその位置は維持され、特に、収容室の縦の延びに関して一定の、投入された乾燥剤の高さが保証されている。
【0018】
本発明の実施形態において、第1及び他のフィルタ装置の、それぞれ収容室とは逆の側が、それぞれふるいプレートに添接可能である。第1及び他のフィルタ装置をそれぞれふるいプレートによって、かつ特に収容室とは逆の側において、支持することによって、特に泡フィルタの安定性の向上が与えられるので、組込み位置において、特に媒体を分配するための泡フィルタは、場合によってはそれに荷重をかける乾燥剤によってその所望の位置から移動されず、ふるいプレートによって支持され、かつ組込み位置において上方の、ばらまき補償するための泡フィルタは、隣接するふるいプレートによって同様に機械的に支持されて、収容室内に収容された乾燥剤と接触される。
【0019】
本発明の実施形態において、収容室は、装置ハウジングの縦に延びる方向において媒体ガイドによって貫通されており、その媒体ガイドは、第1のフィルタ装置に添接するふるいプレートと他のフィルタ装置に添接するそれとの間に延びており、かつ媒体ガイドの内部空間は、乾燥された媒体を供給すべき容器と装置を接続するための接続装置と連通している。このような媒体ガイドを介して乾燥された媒体が、装置ハウジングをその長手方向に貫流する。媒体ガイドは、もっとも簡単な場合においては、円筒状の横断面を有するパイプ片であって、場合によってはその端面に固定手段を有しており、それが装置ハウジング内にそれを取り付けることを容易にする。
【0020】
本発明の実施形態において、装置ハウジングの端部側の終端部内に、スリーブ形状のフィルタ部材が配置されており、そのフィルタ部材は、他方のフィルタ装置に添接するふるいプレートと装置ハウジングの端部側の終端部に形成されたキャップ形状の画成部との間でそれぞれ密に添接して延びており、かつその内部空間は、媒体ガイドと連通している。スリーブ形状のフィルタ部材は、特に、約3μmの細度を有する空気フィルタ部材とすることができ、それが流れ方向において最後のフィルタ部材として接続装置の前段に接続されて、媒体が接続されている容器内へ流入する前にその細かい濾過を行なう。径方向外側から流れを受けるスリーブ形状のフィルタ部材は、さらに、媒体流の流れ方向の方向変換を実施する。というのは、媒体流がスリーブ形状のフィルタ部材を軸方向に出て、媒体ガイド内へ流入するからである。装置ハウジングのキャップ形状の画成部は、フィルタハウジングの通常の終端キャップであって、それが、この場合において、装置ハウジングを周囲に対して密閉して終了させる。
【0021】
本発明の実施形態において、分離装置は、円形に形成されて、その外壁領域によって収容室の内壁に添接し、その中央の領域内に切欠きを有しており、かつ切欠きに形成された弾性的な端縁が、媒体ガイドに支持されて、収容室の縦に延びる方向における位置に分離装置の選択的な配置を許す。分離装置内の切欠きの端縁を弾性的に形成することによって、分離装置を媒体ガイドに簡単に取り外せるように固定することが可能であり、特にそのようにして媒体ガイドに沿って分離装置を簡単に摺動させることが可能であり、従って収容容積を与えられた周辺条件に簡単に適合させることが可能である。
【0022】
本発明の実施形態において、装置ハウジングは、収容室の外部に排出装置を有しており、その排出装置によって、装置に接続されている容器から流出する媒体流が装置ハウジングから外側へ出ることができる。接続装置を介して、さらに、媒体流が容器から装置内へ侵入することは可能であるが、装置の媒体ガイド内に形成される空気柱によって、次のような圧力、すなわち装置内に組込み位置において下方に配置された排出装置、特に逆止め弁が正しい時期に開放して、容器から流出する媒体が装置の収容室内へ侵入することが効果的に回避されるような、圧力が構築される。排出装置として逆止め弁を使用する場合に、周囲から流入する媒体が排出装置を通して直接媒体ガイド内へ、次に接続されている容器内へ流入できることも、効果的に回避される。というのは、該当する逆止め弁が、この方向において遮断するからである。
【0023】
本発明の実施例において、収容室内へ投入される乾燥剤の全量の、分子ふるいの割合が10%〜50%、シリカゲルの割合が90%〜50%、好ましくは分子ふるいの割合が25%〜45%、シリカゲルの割合が75%〜55%、そして特に好ましくは分子ふるいの割合が約40%で、シリカゲルの割合が約60%である。特に、約40%の分子ふるいと約60%のシリカゲルの組合せは、媒体流の相対湿度の大きい領域にわたって、湿気のための吸収能力の特に好ましい推移をもたらす。この種の組合せにおいて、純粋なシリカゲルに対して、約5〜40%の媒体流の相対湿度においてすでに、ずっと高い、乾燥剤の組合せの湿気の吸収能力が与えられている。
【0024】
以下、図面に示す実施例を用いて本発明を詳細に説明する。
【図面の簡単な説明】
【0025】
図1】本発明に係る装置を図式的かつ寸法にとらわれず、部分的に断面で示す斜視図である。
図2図1の拡大した部分を示している。
図3】種々の乾燥剤の吸収能力Yを、媒体流Xの相対湿度に従ってグラフの形式で示している。
【発明を実施するための形態】
【0026】
図1は、装置ハウジング2を有する媒体流を乾燥させる装置を示しており、その装置ハウジング内には媒体流8の湿度値が低い又は高い場合に、湿気のための高い吸収容量を有する、第1の乾燥剤4と他の乾燥剤6が収容されている。それぞれの乾燥剤4又は6の量は、媒体流8の実際の湿り状況に従って選択的に調節される。
【0027】
装置ハウジング2は、中央の部分内に少なくとも2つの乾燥剤4と6を収容するための収容室10を有している。図1に基づく表示において、収容室10の下3分の1の端縁に配置されて分離装置12が設けられており、その分離装置は、媒体流8によって貫流可能であり、かつ少なくとも2つの乾燥剤4と6を互いに分離するために設けられている。
【0028】
乾燥剤の1つ4又は6のために、媒体流8の湿度値が低い場合に湿度のための高い吸収容量を有する分子ふるいが、そして他の乾燥剤6ない4のためには、媒体流8の湿度値が高い場合に湿度のための高い吸収容量を有するシリカゲルが、収容室10内へ投入される。
【0029】
分離装置12は、収容室10内に選択的に配置可能であって、収容室10は、分離装置12によって、それぞれ少なくとも2つの乾燥剤4、6をそれぞれ収容するための、少なくとも2つの収容容積に分割されるように、形成されている。図1に基づく表示において、収容室10の第1の収容容積は、分離装置12の下方にあって、収容室10の他の収容容積は、分離装置12の上方にある。
【0030】
分離装置12は、収容室10の縦に延びる方向、すなわち、装置ハウジング2の長手軸と一致する、その長手軸14の方向において、選択的な位置に配置することができる。それによって収容室10を少なくとも2つの収容容積に選択的に分割することが可能である。図1に基づく表示において、乾燥剤4を収容するために、収容室10の約3分の1が、そして乾燥剤6を収容するために、収容室10の約3分の2が、設けられている。
【0031】
ディスク形状に形成された分離装置12は、透孔16を有しており、それを通して媒体流8が流れることができる。収容室10の流着側に、装置ハウジング2の外部から装置ハウジング2内へ媒体流を入れるための取入れ装置18がある。少なくとも1つの取入れ装置18は、収容室10の外部かつ装置ハウジング2の内部に配置された中間室20内へ連通している。中間室20は、取入れ装置18を通って流入する媒体流8の媒体質量沈静化のために用いられる。乾燥すべき媒体は、特に装置の周囲からの空気によって形成することができる。
【0032】
中間室20と収容室10の流着側との間に位置して、第1のフィルタ装置22が配置されており、そのフィルタ装置は、ディスク形状に形成された泡フィルタとして、中間室20から流出する媒体流8の媒体分配に用いられる。収容室10の流出側において、その収容室と装置ハウジング2の端部側の終端部24との間に、他のフィルタ装置26が配置されており、それは泡フィルタとして形成されて、特に収容室内へ投入される乾燥剤6又は4のばらまき補償のために用いられる。
【0033】
図1に示すように、第1及び他のフィルタ装置22と26は、それぞれその収容室10とは逆の側において、それぞれふるいプレート44に添接することができる。ふるいプレート44は、分離装置12と同様に透孔を有することができ、その透孔を通して媒体流8が貫流することができる。
【0034】
収容室10は、装置ハウジングの縦に延びる方向に、特にその長手軸14に対して同軸に、媒体ガイド28によって貫通されており、その媒体ガイドは図1に示す装置の好ましい組込み位置において、下方へ向かって、乾燥された媒体を供給すべき容器(図示せず)と装置を接続するための接続装置30と連通している。媒体ガイド28は、一方のフィルタ装置22に添接するふるいプレートと他方のフィルタ装置26に添接するふるいプレート44の間に延びている。
【0035】
装置ハウジング2の端部側の終端部24内に円筒形状のフィルタ部材32が配置されており、そのフィルタ部材は、他方のフィルタ装置26に添接するふるいプレート44と端部側の終端部24に形成された、装置ハウジング2のキャップ形状の画成部34との間にそれぞれ密に添接して延びており、その内部空間が媒体ガイド28と連通している。フィルタ部材32と装置ハウジング2のキャップ形状の画成部34の間及び/又はフィルタ部材32と他のフィルタ装置26に添接するふるいプレート44の間に、密な添接を保証するために、それぞれシールを挿入することができる。
【0036】
図1に示すように、一方のフィルタ装置22と他のフィルタ装置26は、それぞれ収容室10とは逆の側において、それぞれ分離装置12によって支持されている。
【0037】
特に図2から読み取れるように、分離装置12は円形に形成されており、その外壁領域36が収容室10の内壁に添接し、その中央の領域内に切欠き38を有している。切欠き38に、端縁、特にばね弾性を有する端縁40が形成されており、その端縁が媒体ガイド28に弾性的に支持されて、収容室10の縦に延びる方向における位置に分離装置12を選択的に配置することを許す。
【0038】
収容室10の外部において、装置ハウジングは、図1の表示に従ってその下方の部分に、排出装置42を有しており、その排出装置によって、装置に接続されている容器(図示せず)から流出する媒体流(図示せず)が装置ハウジング2から外へ出ることができる。この種の媒体流は、そこに示されている媒体流8のための矢印に抗して接続装置30を通過して、媒体ガイド28内に形成される空気柱に基づいて、収容室10内へ侵入せずに、排出装置42を介して装置ハウジングを出て行く。排出装置42として、特に逆止め弁を設けることができ、その逆止め弁によって排出装置を通して装置の外部から装置の内部へ媒体が侵入することは効果的に抑圧され、接続されている容器から流出する媒体流が排出装置を介して外部へ流出することは可能である。
【0039】
図3には、分子ふるい52、シリカゲル54及び2つの乾燥剤52と54の組合せ56のパーセントにおける吸収能力又は水吸着性が、媒体流のパーセントにおける湿度Xに従って示されている。60%シリカゲルと40%分子ふるいの組合せの使用が、特に効果的であることが明らかにされている。2つの乾燥剤のこの組合せの相対湿度に依存する水吸着の推移が、図3に曲線56によって再現されている。相対湿度が低い場合にすでに与えられている、分子ふるいの高い水吸着が、シリカゲルの相対湿度が高い場合のシリカゲルの高い水吸着と組み合わされている。図3から読み取れるように、約40%の相対湿度において、分子ふるいの水吸着はシリカゲルの水吸着にほぼ等しく、相対湿度が低くなると、分子ふるいがより高い水吸着を有し、相対湿度が高くなると、シリカゲルがより高い水吸着を有する。極めて低い相対湿度Xにおいてすでに分子ふるいの水吸着の上昇が比較的急峻であることにより、2つの乾燥剤の組合せも、相対湿度が低い場合にすでに、純粋なシリカゲルに比較して高められた水吸着を有している。図3に示す水吸着の推移を求める場合に、2つの乾燥剤についてスタンピング密度はそれぞれ700g/lであった。
図1
図2
図3