(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記化合物(A)及び化合物(B)に加えて、アミノ変性シリコーン及びアルキレンオキシ基含有化合物からなる群から選ばれる少なくとも1種の化合物(C)を、繊維製品に処理することを特徴とする、請求項1に記載の機能性繊維製品の製造方法。
前記化合物(A)と化合物(B)との配合比率(質量基準)が(A):(B)=95:5〜5:95である、請求項1〜3のいずれか1項に記載の機能性繊維製品の製造方法。
前記化合物(A)と化合物(B)との合計と、前記化合物(C)との配合比率(質量基準)が(A+B):(C)=100:5〜100:200である、請求項2〜4のいずれか1項に記載の機能性繊維製品の製造方法。
前記一般式(1)で表される化合物(A)と、前記一般式(2)で表される重合性ビニルモノマーの重合物又はこの重合性ビニルモノマーとこれと共重合可能な他のビニルモノマーとの共重合物である化合物(B)とを含む、請求項1に記載の機能性繊維製品の製造方法に用いる、繊維用紫外線吸収剤。
前記化合物(A)及び化合物(B)に加えて、アミノ変性シリコーン及びアルキレンオキシ基含有化合物からなる群から選ばれる少なくとも1種の化合物(C)を含む、請求項6に記載の繊維用紫外線吸収剤。
前記化合物(A)と化合物(B)との合計と、前記化合物(C)との配合比率(質量基準)が(A+B):(C)=100:5〜100:200である、請求項7〜9のいずれか1項に記載の繊維用紫外線吸収剤。
【発明を実施するための形態】
【0027】
本発明の好ましい実施の形態を以下に説明する。
化合物(A)
本発明に用いる化合物(A)は、化合物(B)と組み合わせることによって、繊維製品に相乗的に耐洗濯性のある紫外線吸収性、吸水性及び柔軟性を付与することができるものであり、前記一般式(1)で表されるものである。
【0028】
前記一般式(1)において、R
1及びR
2で表される炭素数1〜8の炭化水素基は、飽和であっても不飽和であってもよく、直鎖であっても分岐鎖であってもよい。R
3で表される炭素数1〜22の炭化水素基は、飽和であっても不飽和であってもよく、直鎖であっても分岐鎖であってもよい。
【0029】
機能性繊維製品の紫外線吸収性、柔軟性、吸水性の観点から、前記一般式(1)で表される化合物は、R
1とR
2とが水素原子であり、R
3が炭素数4〜22の分岐のアルキル基であり、R
4が−CN基であるのが好ましく、R
3としては2−エチルヘキシル基がより好ましい。
【0030】
本発明において、一般式(1)で表される化合物は、疎水性であることが好ましい。ここで、疎水性とは、20℃100gのイオン交換水に化合物1gを添加し混合した場合に乳化分散又は溶解しないことを指す。疎水性でない場合、機能性繊維製品の耐洗濯性が劣る傾向にある。なお、以下においては、特に断らない限り、「乳化分散又は溶解」を「乳化分散」と記載し、「乳化分散性又は溶解性」を「乳化分散性」と記載し、「水乳化分散液又は水溶液」を「水乳化分散液」と記載する。
【0031】
また、一般式(1)で表される化合物は、20℃において液状であることが好ましい。ここで、液状とは、20℃でBH型粘度計(トキメック社製)を用いて測定した粘度が50,000mPa・s以下であることを指す。本発明では、粘度が50,000〜100mPa・sのものを使用することができ、この中でも20,000〜100mPa・sの粘度のものが好ましく、10,000〜1,000mPa・sがより好ましい。粘度が50,000mPa・sを超える場合は取り扱いが困難になる傾向があり、100mPa・s未満の場合は耐洗濯性が劣る傾向がある。
このような一般式(1)で表される化合物は、1種を単独で用いても良いし、2種以上を組み合わせて用いても良い。
【0032】
一般式(1)で表される化合物としては市販品を使用することができ、例えば、Seesorb502(シプロ化成株式会社製)、Chisorb336(DOUBLE BOND CHEMICAL IND. CO., LTD製)などが挙げられる。
【0033】
化合物(B)
本発明に用いる化合物(B)は、化合物(A)と組み合わせることによって、繊維製品に相乗的に耐洗濯性のある紫外線吸収性、吸水性及び柔軟性を付与することができるものであり、一般式(2)で表される重合性ビニルモノマーの重合物又はこの重合性ビニルモノマーとこれと共重合可能な他のビニルモノマーとの共重合物である。
【0034】
前記化合物(B)において、前記一般式(2)で表わされる重合性ビニルモノマーの具体例としては、2−[2’−ヒドロキシ−5’−(メタクリロイルオキシエチル)フェニル]ベンゾトリアゾール、2−[2’−ヒドロキシ−5’−(アクリロイルオキシエチル)フェニル]ベンゾトリアゾール、2−[2’−ヒドロキシ−3’−t−ブチル−5’−(メタクリロイルオキシエチル)フェニル]ベンゾトリアゾール、2−[2’−ヒドロキシ−3’−メチル−5’−(アクリロイルオキシエチル)フェニル]ベンゾトリアゾール、2−[2’−ヒドロキシ−5’−(メタクリロイルオキシプロピル)フェニル]−5−クロロベンゾリトリアゾール、2−[2’−ヒドロキシ−5’−(アクロイルオキシブチル)フェニル]−5−メチルベンゾトリアゾールなどが挙げられる。
【0035】
このような一般式(2)で表される重合性ビニルモノマーは、1種を単独で用いても良いし、2種以上を組み合わせて用いても良い。これらの中でも、紫外線吸収性、耐洗濯性の観点から、2−[2’−ヒドロキシ−5’−(メタクリロイルオキシエチル)フェニル]ベンゾトリアゾールであることが好ましい。
【0036】
一般式(2)で表される重合性ビニルモノマーと共重合可能な他のビニルモノマーとしては、カルボキシル基含有モノマー、(メタ)アクリル酸エステルモノマー、ビニルエーテルモノマー、ビニルエステルモノマー、スチレン系モノマー、ヒドロキシル基含有モノマー、アミド基含有モノマー、シアノ基含有モノマーなどが挙げられる。
【0037】
カルボキシル基含有モノマーとしては、例えば、(メタ)アクリル酸、クロトン酸、ケイ皮酸、アトロパ酸等のモノカルボン酸系モノマー;イタコン酸、マレイン酸、フマル酸、シトラコン酸、メサコン酸等のジカルボン酸系モノマーおよびこれらの酸無水物;さらにジカルボン酸モノアルキルエステル系モノマーなどが挙げられる。これらの中でも紫外線吸収性、耐洗濯性の観点から、アクリル酸、メタクリル酸が好ましい。
【0038】
(メタ)アクリル酸エステルモノマーとしては、例えば、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸プロピル、(メタ)アクリル酸ブチル、(メタ)アクリル酸ヘキシル、(メタ)アクリル酸2−エチルヘキシルなどの(メタ)アクリル酸の炭素数1〜8のアルキルエステルなどが挙げられる。これらの中でも紫外線吸収性、耐洗濯性の観点から、炭素数1〜4のアルキルエステルが好ましい。
【0039】
ビニルエーテルモノマーとしては、メチルビニルエーテル、エチルビニルエーテル、ブチルビニルエーテル、2−エチルヘキシルビニルエーテルなどの炭素数1〜8のアルキルビニルエーテルなどが挙げられる。これらの中でも紫外線吸収性、耐洗濯性の観点から、炭素数1〜4のアルキルビニルエーテルが好ましい。
【0040】
ビニルエステルモノマーとしては、ギ酸ビニル、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、カプロン酸ビニル、アクリル酸ビニル、酪酸ビニル、クロトン酸ビニル、モノクロロ酢酸ビニルなどの炭素数1〜8の炭化水素基を有するビニルエステルなどが挙げられる。これらの中でも紫外線吸収性、耐洗濯性の観点から、炭素数1〜4の炭化水素基を有するビニルエステルが好ましい。
【0041】
スチレン系モノマーとしては、スチレン、α−メチルスチレン、o−メチルスチレン、m−メチルスチレン、p−メチルスチレン、o−エチルスチレン、m−エチルスチレン、p−エチルスチレン、o−イソプロピルスチレン、m−イソプロピルスチレン、p−イソプロピルスチレンなどが挙げられる。これらの中でも紫外線吸収性、耐洗濯性の観点から、スチレンが好ましい。
【0042】
ヒドロキシル基含有モノマーとしては、ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、ポリオキシエチレンモノ(メタ)アクリレート、ポリオキシプロピレンモノ(メタ)アクリレート、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンモノ(メタ)アクリレート、グリセリンモノ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールモノ(メタ)アクリレート、(メタ)アリルアルコール、グリセリンモノ(メタ)アリルエーテルなど挙げられる。
【0043】
アミド基含有モノマーとしては、(メタ)アクリルアミド、N−メチル(メタ)アクリルアミド、N−エチル(メタ)アクリルアミド、N−プロピル(メタ)アクリルアミド、N−メチロール(メタ)アクリルアミド、N−エチロール(メタ)アクリルアミド、N−メトキシメチル(メタ)アクリルアミド、N−エトキシメチル(メタ)アクリルアミド、ジアセトン(メタ)アクリルアミド、マレイン酸アミド、マレイン酸イミドなどが挙げられる。
シアノ基含有モノマーとしては、(メタ)アクリロニトリル、α−クロルアクリロニトリル、α−エチルアクリロニトリルなどが挙げられる。
【0044】
このような一般式(2)で表される重合性ビニルモノマーと共重合可能な他のビニルモノマーは、1種を単独で用いても良いし、2種以上を組み合わせて用いても良い。これらの中でも、紫外線吸収性、耐洗濯性の観点から、スチレン系モノマーであることが好ましい。なお、この明細書においては、(メタ)アクリルとはアクリル又はメタクリルを意味し、(メタ)アクリレートとはアクリレート又はメタクリレートを意味し、(メタ)アクリロニトリルとはアクリロニトリル又はメタクリロニトリルを意味し、(メタ)アリルとはアリル又はメタリルを意味する。
【0045】
本発明に用いる化合物(B)は、紫外線吸収性、耐洗濯性の観点から、一般式(2)で表わされる重合性ビニルモノマーとこれと共重合可能な他のビニルモノマーとの共重合物であることが好ましく、その配合比率(質量基準)が一般式(2)で表わされる重合性ビニルモノマー:共重合可能な他のビニルモノマー=20:80〜60:40であることが好ましく、30:70〜50:50であることがより好ましい。
一般式(2)で表されるモノマーが20質量%未満である場合機能性繊維製品の紫外線吸収性が低下する傾向にある。60質量%を超える場合耐洗濯性が低下する傾向にある。
【0046】
本発明に用いる化合物(B)は、重量平均分子量が5,000〜100万のものが好ましく、より好ましくは1万〜80万である。重量平均分子量が5,000未満の場合は耐洗濯性が低下する傾向があり、100万を超える場合は取り扱いが困難になる傾向がある。
【0047】
本発明に用いる化合物(B)は、前述の分子量範囲の重合物を比較的容易に得ることができ、また製品安定性良好な
水乳化分散液として得ることができるといった観点から、水性媒体を使用して、重合開始剤、乳化剤および必要により連鎖移動剤、架橋剤等の存在下に、乳化重合して得られたものであることが好ましい。
【0048】
この場合、重合温度は5〜100℃が好ましく(より好ましくは50〜80℃)、他の条件、方法等は、一般的な重合の条件、方法に従って実施すればよく、例えば、モノマー等の重合系への添加方法については、一括添加法、連続添加法、分割添加法などが挙げられ、これらを採用すればよい。
【0049】
水性媒体としては、後述する水(E)に記載のものと同様のものを使用することができる。さらに、水(E)に併用することができる有機溶剤と同様の有機溶剤を使用することができる。
【0050】
重合開始剤としては、特に制限されず、一般にラジカル重合で使用される重合開始剤を使用することができ、例えば、過酸化水素、過硫酸アンモニウム、過硫酸カリウム、過酸化ベンゾイル、レドックス系開始剤(過酸化水素−塩化第一鉄、過硫酸アンモニウム−酸性亜硫酸ナトリウム、アスコルビン酸(塩)、ロンガリット等)、1,1−ジ−t−ブチルパーオキシー2−メチルシクロヘキサン、2,2−ビス(4,4−ジ−t−ブチルパーオキシシクロヘキシル)プロパン、水溶性アゾ系開始剤などが挙げられる。また、紫外線、電子線、放射線等による光重合によって、ラジカルを発生させてもよく、この場合、光増感剤などを使用してもよい。
【0051】
乳化剤としては、後述する界面活性剤(D)に記載のものと同様のものを使用することができる。また、本発明においては、これらの通常の界面活性剤以外に、反応性界面活性剤と呼ばれるビニル基またはアリル基などの重合性基と、スルホン酸塩基、ポリオキシエチレン基などの親水性基とを併せ持つ化合物も有効に利用することができる。なお、これらの乳化剤は単独で、または2種以上を混合して用いることができる。乳化剤の添加量は、総モノマー量に対して0.1〜10質量%使用することが好ましい。添加量が0.1質量%未満では重合反応が不良となり目的とする重合物が得られない傾向にあり、また10質量%を越える場合はそれ以上の性能向上がなく工業的に不利となる傾向がある。
【0052】
連鎖移動剤としては、n−ヘキシルメルカプタン、n−オクチルメルカプタン、n−ドデシルルメルカプタン、t−ドデシルルメルカプタン、n−ステアリルメルカプタン等のメルカプタン類、テトラエチルチウラニウムスルフィド、ペンタフェニルエタン、ターピノーレン、α-メチルスチレンダイマー等の通常の乳化重合で使用可能なものを、単独もしくは2種以上を組み合わせて使用することができる。また、使用方法としては、一括添加、分割添加または連続添加のいずれの方法をとっても良い。なお、連鎖移動剤の使用量は、総モノマー量に対して2質量%以下にすることが好ましく、より好ましくは0.5質量%以下である。添加量が2質量%を越えると、耐久性が低下する傾向がある。
【0053】
架橋剤としては、ラジカル重合性の二重結合を2つ以上持つ化合物であれば、特に限定されないが、例えば、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、プロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、グリセリンジ(メタ)アクリレート、グリセリントリ(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジアリルフタレート、ジアリルマレート、ジアリルフマレート、アリル(メタ)アクリレート、N,N´−メチレンビス(メタ)アクリルアミド、ジビニルベンゼン等が挙げられ、必要に応じて使用できる。
【0054】
その他、pH緩衝剤、キレート剤等を、重合時に使用してもよく、pH緩衝剤としては、炭酸水素ナトリウム、炭酸ナトリウム、リン酸二水素ナトリウム、リン酸ナトリウム、酢酸ナトリウム、酢酸カリウム等が例示でき、キレート剤としては、エチレンジアミン四酢酸ナトリウム、ニトリロトリ酢酸ナトリウム等が例示できる。
【0055】
このような乳化重合により得られた化合物(B)は、乳化分散液のまま使用してもよいし、いったん化合物(B)を単離して使用してもよい。
このような、本発明に用いる化合物(B)は、1種を単独で用いても良いし、2種以上を組み合わせて用いても良い。
【0056】
化合物(C)
本発明に用いる化合物(C)は、化合物(A)と化合物(B)とを併用することによって発揮される効果(それぞれ単独では発揮し得なかった、耐洗濯性のある良好な紫外線吸収性、吸水性及び柔軟性)をさらに向上させるものであり、アミノ変性シリコーン及びアルキレンオキシ基含有化合物からなる群から選ばれる少なくとも1種である。
【0057】
本発明に用いるアミノ変性シリコーンは、アミノ基及び/又はイミノ基の一部又は全部が封鎖されているのが好ましく、アミノ基及び/又はイミノ基の30%以上が封鎖されているのがより好ましい。
このようなアミノ基及び/又はイミノ基の一部又は全部が封鎖されているアミノ変性シリコーンは、アミノ変性シリコーンと、アミノ基及び/又はイミノ基と反応しうる化合物から選ばれる2種以上の化合物とを反
応させて得られる。なお、以下の説明においては、特に断らない限り、「アミノ基及び/又はイミノ基の一部又は全部
が封鎖されたアミノ変性シリコーン」を「封鎖アミノ変性シリコーン」と記載し、「アミノ基及び/又はイミノ基と反応しうる化合物」を「アミノ基封鎖化合物」と記載する。
【0058】
本発明に用いるアミノ変性シリコーンは、ジメチルポリシロキサンの側鎖、末端及び主鎖からなる群から選ばれる少なくとも1カ所に、アミノ基及び/又はイミノ基を含有するものである。本発明に用いるアミノ変性シリコーンには、アミノ基及び/又はイミノ基以外に、例えば、アリール基、アミド基、アルキル基、アラルキル基、アルキルオキシ基、ヒドロキシ基などの官能基を含有していてもよい。
【0059】
本発明に用いるアミノ変性シリコーンは、封鎖アミノ変性シリコーンの機械安定性、機能性繊維製品に付与される耐洗濯性のある良好な紫外線吸収性、吸水性及び柔軟性の観点から、25℃における動粘度が10〜100,000mm
2/s、より好ましくは100〜10,000mm
2/s、さらに好ましくは100〜4,000mm
2/sの範囲にあることが好ましい。
【0060】
また、25℃における屈折率が1.35〜1.55であることが好ましく、1.40〜1.50であることが好ましい。
また、官能基(アミノ基、イミノ基)当量が500〜5,000g/molであることが好ましく、1000〜3,000g/molであることがより好ましい。
【0061】
このようなアミノ変性シリコーンの中でも、アミノ基及び/又はイミノ基
を、側鎖及び/又は末端に含有するものであることが好ましく、前記一般式(3)で表わされる化合物であることがより好ましい。
【0062】
一般式(3)で表わされる化合物において、R
9は炭素数1〜5の一価炭化水素基であり、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基が挙げられ、1分子中のR
9は全てが同一であっても、相異なっていてもよいが、R
9の80%以上がメチル基であるのが好ましく、全てがメチル基であることがより好ましい。
【0063】
R
10は炭素数1〜8の二価炭化水素基であり、例えば、−CH
2−、−CH
2−CH
2−、−CH
2−CH
2−CH
2−、−CH
2−CH(CH
3)−CH
2−、−(CH
2)
4−のようなアルキレン基、−(CH
2)
2C
6H
4−のようなアルキレンアリーレン基が挙げられる。これらの中でも−CH
2−CH
2−CH
2−が好ましい。
【0064】
R
11は炭素数1〜5の一価炭化水素基、水酸基、炭素数1〜5のアルコキシ基または−R
10−(NHCH
2CH
2)cNHR
12であり、R
11の少なくとも1個が−R
10−(NHCH
2CH
2)cNHR
12である場合にはbが0となることもあり得る。
【0065】
R
12は、水素原子または炭素数1〜5の一価炭化水素基であり、炭素数1〜5の一価炭化水素基としては、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基が挙げられる。一般式(3)で表わされる化合物の反応性や、入手しやすさの観点から、R
12は水素原子であることが好ましい。
【0066】
aは10〜5,000であることが好ましく、100〜2,000であることがより好ましい。aが5未満の場合には耐洗濯性のある良好な、紫外線吸収性と吸水性と柔軟性の付与効果が乏しくなる傾向にあり、また10,000を超えると封鎖アミノ変性シリコーンを乳化分散しにくくなる傾向がある。
【0067】
bは1〜500であることが好ましく、2〜100であることがより好ましい。bが1、000を超えると封鎖アミノ変性シリコーンを乳化分散しにくくなる傾向があるとともに、機能性繊維製品が黄変する傾向にある。
【0068】
アミノ基封鎖化合物としては、例えば、モノカルボン酸化合物、ジカルボン酸化合物、アルキレンカーボネート化合物、エポキシ化合物などを挙げることができる。
【0069】
モノカルボン酸化合物としては、炭素数1〜20のモノカルボン酸、炭素数1〜8の直鎖状のアルキル基を有するモノカルボン酸の無水物又は塩化物が挙げられ、好ましくは炭素数1〜5の直鎖状のアルキル基を有する脂肪酸の無水物又は塩化物である。
【0070】
ジカルボン酸化合物としては、ヒドロキシ基を有していてもよい炭素数2〜8のジカルボン酸又はそれらの環状酸無水物であり、例えば、シュウ酸、マロン酸、マレイン酸、無水マレイン酸、グルタル酸、アジピン酸、フマル酸、リンゴ酸、コハク酸、無水コハク酸、酒石酸、フタル酸、無水フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、シトラコン酸、無水シトラコン酸、イタコン酸、無水イタコン酸などが挙げられる。
【0071】
アルキレンカーボネート化合物としては、例えば、エチレンカーボネート、プロピレンカーボネート、イソブチレンカーボネート、1,2−ブチレンカーボネート、ペンチレンカーボネート、へキシレンカーボネートなどが挙げられる。
【0072】
エポキシ化合物としては、炭素数1〜20のアルキル基又はアルケニル基を有するグリシジルエーテルが挙げられる。
【0073】
本発明に用いる封鎖アミノ変性シリコーンは、前記アミノ変性シリコーンと前記アミノ基封鎖化合物から選ばれる2種以上の化合物とを、通常の方法で反応させることにより得ることができる。例えば、アミノ変性シリコーンとモノカルボン酸化合物との反応においては、窒素ガス気流下、50〜120℃の温度範囲で反応させるのが望ましい。同様に、ジカルボン酸化合物との反応においては100〜150℃の温度範囲で反応させるのが望ましく、アルキレンカーボネート化合物との反応においては70〜140℃の温度範囲で反応させるのが望ましく、エポキシ化合物との反応においては70〜110℃の温度範囲で反応させるのが望ましい。
【0074】
これらの反応の際には、前記反応温度の範囲内であれば、アミノ変性シリコーンとアミノ基封鎖化合物から選ばれる2種以上の化合物とを同時に反応させてもよいし、前記アミノ基及び/又はイミノ基と各化合物との反応率(アミノ基及び/又はイミノ基の封鎖率)を確認しながら順次反応させてもよい。
【0075】
アミノ基封鎖化合物から選ばれる2種以上の化合物の組み合わせや、反応率を調整することにより、機能性繊維製品に付与される耐洗濯性のある良好な紫外線吸収性、吸水性及び柔軟性や封鎖アミノ変性シリコーンの変色防止性、併用薬剤との併用性、機械安定性などの性能を制御することが可能となる。アミノ変性シリコーンのアミノ基及び/又はイミノ基の封鎖率が30%未満である場合は、得られる機能性繊維製品が熱や光で変色しやすくなる傾向がある。特に、アニオン系薬剤などの併用薬剤との相溶性、処理浴の安定性を高めるには、ジカルボン酸化合物を必須成分とした形で、モノカルボン酸化合物、アルキレンカーボネート化合物又はエポキシ化合物との組み合わせを選択するのが好ましい。また、封鎖アミノ変性シリコーンの併用薬剤との相溶性、処理浴の安定性を向上させ、又は吸水性を向上させるために、アミノ変性シリコーンとアミノ基封鎖化合物との反応の前及び/又は後にアルキレンオキサイド(好ましくはエチレンオキサイド)を反応させてもよい。
【0076】
アミノ基封鎖化合物から選ばれる2種以上の化合物のそれぞれの使用量比については、選ばれる化合物の種類やアミノ基又はイミノ基に対する反応度合いにより異なり一概にはいえないが、2種の化合物の場合には選ばれた各成分をそれぞれ10〜90質量%使用することが好ましく、3種以上の場合には選ばれた各成分をそれぞれ2〜80質量%使用することが好ましい。そして、本発明においては、反応の際には、反応溶媒や触媒の使用は特に必要としない。
【0077】
本発明に用いるアルキレンオキシ基含有化合物は、化合物中にアルキレンオキシ基を含有する化合物である。アルキレンオキシ基としては、併用薬剤との併用性、機械安定性、機能性繊維製品に付与される耐洗濯性のある良好な紫外線吸収性、吸水性及び柔軟性の観点から、炭素数が2〜4のアルキレンオキシ基であることが好ましく、炭素数が2〜3のアルキレンオキシ基であることがより好ましい。
【0078】
また、アルキレンオキシ基含有化合物中には化合物の分子量に対してアルキレンオキシ基が10質量%〜95質量%含まれていることが好ましい。10質量%未満の場合耐洗濯性のある良好な紫外線吸収性、吸水性及び柔軟性を向上させる効果が少なくなる傾向があり、95質量%を超える場合アルキレンオキシ基含有化合物の粘度が高くなり過ぎて取り扱いが困難となる傾向がある。このようなアルキレンオキシ基は1種類を単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0079】
このようなアルキレンオキシ基含有化合物としては、例えば、一般式(4)で表わされる化合物、(a)有機ポリイソシアネートと(b)モノ及び/又はポリアルキレングリコール及びポリエーテルポリオールからなる群から選ばれる少なくとも1種の化合物と(c)鎖伸長剤とを反応させることにより得られる水性ポリウレタン樹脂、ポリエーテル基含有変性シリコーンを挙げることができる。
【0080】
本発明に用いる一般式(4)で表される化合物は、水性ポリエステル樹脂である。本発明において、水性のポリエステル樹脂とは、水性ポリエステル樹脂の水中濃度が40質量%である水乳化分散液を20℃で12時間静置しても分離や沈降が観察されないポリエステル樹脂を指す。
【0081】
前記一般式(4)において、R
13はHO−基またはHO(R
14O)d−基を表し、R
14は炭素数2〜4のアルキレン基を表す。前記炭素数2〜4のアルキレン基としては、例えば、エチレン、トリメチレン、プロピレン、テトラメチレン、ブチレンが挙げられるが、水に対する乳化分散性の観点から、特にエチレン基が好ましい。
【0082】
dは1〜200の整数であり、1〜150がより好ましい。dが前記上限を超えると、一般式(4)で表される化合物の粘度が高くなり過ぎて取り扱いが困難となる傾向がある。dが2以上の場合には(R
14O)は同一であっても異なっていてもよく、(R
14O)が2種以上の場合にはランダム付加であってもブロック付加であってもよい。
【0083】
eは2〜100の整数であり、2〜30の整数が好ましい。eが前記下限未満であると、安定した難燃効果が得られにくくなる。他方、前記上限を超えると、一般式(4)で表される化合物の粘度が高くなり過ぎて取り扱いが困難となる傾向がある。また、一分子中に複数存在するdは同一であっても異なっていてもよく、一分子中に複数存在するR
16はそれぞれ独立に水素または−SO
3X基を表し、Xは水素、アルカリ金属またはアミンを表す。前記アルカリ金属としては、例えば、ナトリウム、カリウムが挙げられる。また、アミンとしては、例えば、アンモニア、メチルアミン、エチルアミン、プロピルアミン、ブチルアミン、アリルアミンなどの1級アミン;ジメチルアミン、ジエチルアミン、ジプロピルアミン、ジブチルアミン、ジアリルアミンなどの2級アミン;トリメチルアミン、トリエチルアミン、トリプロピルアミン、トリブチルアミンなどの3級アミン;モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミンなどのアルカノールアミンが挙げられる。
【0084】
このような一般式(4)で表される化合物は、芳香族ジカルボン酸又はその誘導体と、次式(6):HO−(R
14O)d−H(式中、R
14およびdは前記規定に同一のものを表す)で表される化合物とから、公知の方法により製造することができる。
【0085】
芳香族ジカルボン酸としては、例えば、テレフタル酸、イソフタル酸、フタル酸、あるいは、スルホテレフタル酸、スルホイソフタル酸、スルホフタル酸などのスルホン酸基を有する芳香族ジカルボン酸のアルカリ金属塩またはアミン塩などが挙げられ、その誘導体としては、例えば、これらの芳香族ジカルボン酸のジメチルエステル、ジエチルエステル、ジプロピルエステル、ジブチルエステルなどの炭素数1〜4のアルキルエステル、これらの芳香族ジカルボン酸のクロライド、無水フタル酸が挙げられる。これらの芳香族ジカルボン酸またはその誘導体は、1種を単独で使用することができ、2種以上を組み合わせて使用することもできる。
【0086】
また、前記式(6)で表される化合物としては、例えば、エチレングリコール、トリメチレングリコール、プロピレングリコール、テトラメチレングリコール、ブチレングリコール、ジエチレングリコール、ジプロピレングリコール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、両末端に共に水酸基を有するエチレンオキシドとプロピレンオキシドのランダム共重合体またはブロック共重合体などが挙げられる。これらの化合物は、1種を単独で使用することができ、2種以上を組み合わせて使用することもできる。
【0087】
前記式(4)において複数存在するdの値が全て同じポリエステル樹脂は、例えば、R
14がエチレンの場合には、前記芳香族ジカルボン酸と一定の分子量のポリエチレングリコールとの脱水を伴うエステル交換反応を行なったり、前記芳香族ジカルボン酸のジメチルエステルと一定の分子量のポリエチレングリコールとの脱メタノールを伴うエステル交換反応を行なったりすることによって製造することができる。また、前記式(4)中のdが1である繰り返し単位と
dが2以上である繰り返し単位とを有するポリエステル樹脂は、前記芳香族ジカルボン酸のジヒドロキシエチルエステルと一定の分子量のポリアルキレングリコールとの脱エチレングリコールを伴うエステル交換反応を行うことによって製造することができる。
一般式(4)で表される化合物においては、化合物の分子量に対してアルキレンオキシ基が50質量%〜90質量%含まれていることが好ましい。
【0088】
本発明に用いられる前記ポリエステル樹脂の重量平均分子量は、5,000〜200,000であることが好ましく、10,000〜50,000であることがより好ましい。
ポリエステル樹脂の重量平均分子量が前記下限未満になると、耐洗濯性のある良好な紫外線吸収性、柔軟性及び吸水性の向上効果が少なくなる傾向にある。他方、前記上限を超えると、ポリエステル樹脂の粘度が高くなり過ぎて取り扱いが困難となる傾向にある。なお、ポリエステル樹脂の重量平均分子量は、分子量既知の単分散のポリエチレングリコールを測定標準物質として、ゲル浸透クロマトグラフィーにより求めることができる。
【0089】
ポリエステル樹脂の乳化分散性は、ポリエステル樹脂中の親水基により得られる。このようなポリエステル樹脂は、前記式(4)中に複数存在するR
16の少なくとも一部が−SO
3X基となるようにポリエステル樹脂を合成する方法、前記式(4)中に複数存在する(R
14O)に占めるエチレンオキシ基の割合、重合度d及びeを調整し、適度な親水性を有するポリエステル樹脂を合成する方法などにより得ることができる。
【0090】
本発明に用いる一般式(4)で表される化合物は、特に制限はないが、機能性繊維製品の堅牢度の観点から、乳化分散剤を含まないソープフリーの自己乳化分散性のポリエステル樹脂であることが好ましい。
【0091】
本発明に用いる一般式(4)で表される化合物は、この化合物の乳化分散安定性、繊維用紫外線吸収剤の乳化分散安定性、処理液の乳化分散安定性をより向上させるという観点から、化合物中にアルキレンオキシ基に加えスルホン酸基も有するポリエステル樹脂であることが好ましい。このようなポリエステル樹脂は、前記ポリエステル樹脂を合成する際に使用する芳香族ジカルボン酸の4モル%以上(より好ましくは15モル%以上、特に好ましくは50モル%以上)に、スルホテレフタル酸、スルホイソフタル酸またはスルホフタル酸などのスルホン酸基を有する芳香族ジカルボン酸を使用して調製した前記式(4)中に複数存在するR
16の少なくとも一部が−SO
3X基であるポリエステル樹脂である。前記−SO
3X基のカウンターカチオンXとしては特に制限はないが、乳化分散状態の安定性が向上するという観点からアルカリ金属が好ましい。
【0092】
本発明に用いる水性ポリウレタン樹脂は、(a)有機ポリイソシアネートと(b)モノ及び/又はポリアルキレングリコール及びポリエーテルポリオールからなる群から選ばれる少なくとも1種の化合物と(c)鎖伸長剤とを反応させることにより得られる水性ポリウレタン樹脂である。
本発明において、水性のポリウレタン樹脂とは、水性ポリウレタン樹脂の水中濃度が40質量%である水乳化分散液を20℃で12時間静置しても分離や沈降が観察されないポリウレタン樹脂を指す。
【0093】
(a)有機ポリイソシアネート
本発明に用いる水性ポリウレタン樹脂を製造する際に用いられる(a)有機ポリイソシアネートとしては、特に制限されず、例えば、ジイソシアネート化合物、トリイソシアネート化合物、テトライソシアネート化合物、ジイソシアネート化合物の二量体もしくは三量体などの変性ポリイソシアネート化合物を使用することができる。
【0094】
ジイソシアネート化合物としては、例えば、テトラメチレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、ドデカメチレンジイソシアネート、トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート等の脂肪族ジイソシアネート化合物;イソホロンジイソシアネート、水添キシリレンジイソシアネート、ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート、ノルボルナンジイソシアネート、1,3−ビス(イソシアナトメチル)シクロヘキサン、3,3’−ジメチル−4,4’−ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート等の脂環式ジイソシアネート化合物;フェニレンジイソシアネート、トリレンジイソシアネート、ジフェニルメタンジイソシアネート、3,3’−ジメチル−4,4’−ビフェニレンジイソシアネート、3,3’−ジクロロ−4,4’−ビフェニレンジイソシアネート、ナフタレンジイソシアネート、トリジンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート、テトラメチルキシリレンジイソシアネート等の芳香族ジイソシアネート化合物等が挙げられる。
【0095】
トリイソシアネート化合物、テトライソシアネート化合物としては、例えば、トリフェニルメタントリイソシアネート、ジメチルトリフェニルメタンテトライソシアネート、トリス(イソシアナートフェニル)−チオフォスファート等が挙げられる。
【0096】
ジイソシアネート化合物から誘導される変性ポリイソシアネート化合物としては、2個以上のイソシアネート基を有するものであれば特に制限はなく、例えば、ビウレット構造、イソシアヌレート構造、ウレタン構造、ウレトジオン構造、アロファネート構造、三量体構造などを有するポリイソシアネート、トリメチロールプロパンの脂肪族イソシアネートのアダクト体、ポリメリックMDI(MDI=ジフェニルメタンジイソシアネート)などが挙げられる。
これらのポリイソシアネート化合物は1種を単独で用いても2種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0097】
これらのポリイソシアネート化合物の中でも、脂肪族ポリイソシアネート及び脂環式ポリイソシアネートは、得られる機能性繊維製品が無黄変性となる傾向があるため好適に用いることができる。
特に1,3−ビス(イソシアナトメチル)シクロヘキサン、ヘキサメチレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート、ノルボランジイソシアネートを好適に用いることができる。
【0098】
(b)モノ及び/又はポリアルキレングリコールモノ及びポリエーテルポリオールからなる群から選ばれる少なくとも1種の化合物
本発明に用いる水性ポリウレタン樹脂を製造する際に用いられるモノ及び/又はポリアルキレングリコールとしては、前記式(6)で表される化合物と同じものを使用することができる。
【0099】
前記ポリエーテルポリオールとしては、例えば、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、プロピレングリコール、トリメチレングリコール、1,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、ネオペンチルグリコール、グリセリン、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン、ソルビトール、ショ糖、ビスフェノールA、ビスフェノールS、水素添加ビスフェノールA、アコニット酸、トリメリット酸、ヘミメリット酸、燐酸、エチレンジアミン、ジエチレントリアミン、トリイソプロパノールアミン、ピロガロール、ジヒドロキシ安息香酸、ヒドロキシフタール酸、1,2,3−プロパントリチオール、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン等の活性水素を少なくとも2個有する化合物に、エチレンオキサイド、プロピレンオキサイド、ブチレンオキサイド、スチレンオキサイド、トリメチレンオキサイド、テトラメチレンオキサイド、エピクロロヒドリン、テトラヒドロフラン、シクロヘキシレン等のモノマーの1種又は2種以上を常法により付加重合した重合体等が挙げられる。この場合、付加重合の方法としては、単独重合、ブロック共重合、ランダム共重合のいずれであっても構わない。
【0100】
これらのモノ及び/又はポリアルキレングリコール及びポリエーテルポリオールからなる群から選ばれる少なくとも1種の化合物は1種を単独で用いても2種以上を組み合わせて用いてもよい。また、このようなモノ及び/又はポリアルキレングリコール及びポリエーテルポリオールからなる群から選ばれる少なくとも1種の化合物の重量平均分子量としては、500〜5,000であることが好ましく、1,000〜3,000であることがより好ましい。
【0101】
(b−1)その他のポリオール
本発明に用いる水性ポリウレタン樹脂を製造する際には、前記(b)モノ及び/又はポリアルキレングリコール及びポリエーテルポリオールからなる群から選ばれる少なくとも1種の化合物の一部として(b−1)その他のポリオールを使用することができる。このような(b−1)その他のポリオールとしては、2個以上のヒドロキシル基を有するものであれば特に制限されず、ポリエステルポリオール、ポリカーボネートポリオール、ダイマージオール、アルコール変性シリコーンオイル等を使用することができる。
【0102】
前記ポリエステルポリオールとしては、例えば、ポリエチレンアジペートジオール、ポリブチレンアジペートジオール、ポリエチレンブチレンアジペートジオール、ポリヘキサメチレンイソフタレートアジペートジオール、ポリエチレンサクシネートジオール、ポリブチレンサクシネートジオール、ポリエチレンセバケートジオール、ポリブチレンセバケートジオール、ポリ−ω−カポロラクトンジオール、ポリ(3−メチル−1,5−ペンチレン)アジペートジオール、1,6−ヘキサンジオールとダイマー酸の重縮合物、1,6−ヘキサンジオールとアジピン酸とダイマー酸の共重縮合物、ノナンジオールとダイマー酸の重縮合物、エチレングリコールとアジピン酸とダイマー酸の共重縮合物等が挙げられる。
【0103】
前記ポリカーボネートポリオールとしては、例えば、1,4−ブタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、ジエチレングリコール等のグリコールと、ジフェニルカーボネート、ホスゲン等との反応によって得られるポリカーボネートポリオールが挙げられる。このようなポリカーボネートポリオールとしては、例えば、ポリテトラメチレンカーボネートジオール、ポリヘキサメチレンカーボネートジオール、3−メチル−1,5−ペンタンジオールカーボネートジオール、ポリ−1,4−シクロヘキサンジメチレンカーボネートジオール、1,6−ヘキサンジオールポリカーボネートポリオール等が挙げられる。
【0104】
前記ダイマージオールとしては、重合脂肪酸を還元して得られるジオールを主成分とするものが挙げられる。このような重合脂肪酸としては、オレイン酸、リノール酸等の炭素数18の不飽和脂肪酸、乾性油脂肪酸、半乾性油脂肪酸、これらの脂肪酸の低級モノアルコールエステル等を、ディールスアルダー型の二分子重合反応させたものを挙げることができる。
【0105】
前記アルコール変性シリコーンオイルとしては、ジメチルポリシロキサンの末端及び/又は側鎖に、ヒドロキシ基及び/又はヒドロキシ基を有する有機基を2個以上導入したものである。このようなアルコール変性シリコーンオイルとしては、例えば、BY16−848、BX16−848B、BX16−001、BX16−002、BX16−003、BX16−004、BX16−005、BX16−006、BX16−007、BX16−008、BX16−009、BX16−010、BX16−011、BX16−012、SF8427、SF8428、SH3771、SH3746、BY16−036、BY16−027、BY16−038、BY16−018(以上、東レ・ダウ(株)製)などを挙げることができる。
【0106】
これらのその他のポリオールは1種を単独で用いても2種以上を組み合わせて用いてもよい。また、このようなポリオールの重量平均分子量としては、500〜5,000であることが好ましく、1,000〜3,000であることがより好ましい。
【0107】
これらの(b)、(b−1)の中でも、加水分解が少ないという観点から、モノ及び/又はポリアルキレングリコール、ポリカーボネートポリオール及びポリエーテルポリオールからなる群の中から選ばれる少なくとも1種であることが好ましく、機能性繊維製品の柔軟性の観点から、アルコール変性シリコーンオイルであることが好ましい。
【0108】
(c)鎖伸長剤
鎖伸長剤としては、各種の低分子ポリオールや低分子ポリアミンを用いることができ、例えば低分子ポリオールとしては、エチレングリコール、ジエチレングリコール、プロピレングリコール、1,4−ブタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、3−メチル1,5−ペンタンジオール、ネオペンチルグリコール、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール、ソルビトール等が挙げられる。低分子ポリアミンとしては、エチレンジアミン、プロピレンジアミン、テトラメチレンジアミン、ヘキサメチレンジアミン、ヒドラジン、ピペラジン、2−メチルピペラジン、イソホロンジアミン、ノルボランジアミン、ジアミノシクロヘキシルメタン、ジアミノジフェニルメタン、トリレンジアミン、キシリレンジアミン、ジエチレントリアミン、トリエチレンテトラミン、テトラエチレンペンタミン、イミノビスプロピルアミン等が挙げられる。これらは単独で用いてもよいし、2種以上を併用して用いてもよい。
【0109】
本発明に用いる水性ポリウレタン樹脂には、水性ポリウレタン樹脂の乳化分散安定性、繊維用紫外線吸収剤の乳化分散安定性、処理液の乳化分散安定性をより向上する目的で、前記(a)〜(c)成分の他に、(d)アニオン性基と2個以上の活性水素とを有する化合物又は(e)カチオン性基と2個以上の活性水素とを有する化合物を、併用することもできる。
【0110】
このような(d)アニオン性基と2個以上の活性水素とを有する化合物としては、例えば、2,2−ジメチロールプロピオン酸、2,2−ジメチロールブタン酸、2−スルホ−1,3−プロパンジオール、2−スルホ−1,4−ブタンジオール及びこれらのアンモニウム塩、トリメチルアミン、トリエチルアミン、トリ−n−プロピルアミン、トリブチルアミン、トリエタノールアミン、N,N−ジメチルジエタノールアミン、N,N−ジエチルエタノールアミン等の有機アミン塩、ナトリウム、カリウム等のアルカリ金属塩等が挙げられる。これらは、1種を単独で用いても2種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0111】
これらの中でも、2,2−ジメチロールプロピオン酸、2,2−ジメチロールブタン酸及びこれらの塩であるカルボキシ基と2個以上の活性水素とを有する化合物であることが好ましく、水性ポリウレタン樹脂におけるカルボキシ基及びカルボキシレート基の合計含有量としては、0.1〜5.0質量%であることが好ましく、0.2〜4.0質量%であることがより好ましく、0.5〜2.5質量%であることがさらにより好ましい。
【0112】
前記カルボキシ基及びカルボキシレート基の合計含有量が前記下限未満である場合は、水性ポリウレタン樹脂、繊維用紫外線吸収剤及び処理液の乳化分散安定性を向上する効果が少ない傾向にあり、前記上限を超える場合には、機能性繊維製品の柔軟性が低下したり、カチオン性化合物を併用した場合の安定性が不良になる傾向がある。
【0113】
(e)カチオン性基と2個以上の活性水素とを有する化合物としては、アルカノールアミン類が好ましく、例えばN−メチルジエタノールアミン、トリエタノールアミン等を挙げることができる。またこれらは単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。これらは塩酸、硝酸、蟻酸、酢酸等の各種有機酸や無機酸などで中和したり、ジメチル硫酸、ジエチル硫酸、塩化ベンジル、エピクロルヒドリン等で4級化して用いることができる。耐光堅牢度の観点から、乳化分散安定性向上の目的で併用するものとしては、(d)アニオン性基と2個以上の活性水素とを有する化合物であることが好ましい。
本発明
に用いる水性ポリウレタン樹脂においては、化合物中にアルキレンオキシ基が50質量%〜95質量%含まれていることが好ましく、50質量%〜90質量%含まれていることがより好ましい。
【0114】
(a)有機ポリイソシアネートと(b)モノ及び/又はポリアルキレングリコール及びポリエーテルポリオールからなる群から選ばれる少なくとも1種の化合物と(c)鎖伸長剤とを反応させる際には、必要に応じて、ジブチル錫ジラウレート、スタナスオクトエート、ジブチル錫−2−エチルヘキサノエート、トリエチルアミン、トリエチレンジアミン、N−メチルモルホリン等の反応触媒を添加することができる。また、反応中又は反応終了後に、イソシアネート基と反応しない有機溶剤を添加することができる。このような有機溶剤としては、例えば、アセトン、メチルエチルケトン、トルエン、テトラヒドロフラン、ジオキサン、ジメチルホルムアミド、N−メチルピロリドン、酢酸エチル、メチルイソブチルケトン等を使用することができる。
【0115】
本発明に用いる水性ポリウレタン樹脂は、通常ウレタンの合成に用いられているワンショット法やプレポリマー法の各種手法を用いることで得ることができる。すなわち、必要により前記有機溶剤中で、(I)(a)有機ポリイソシアネート、(b)モノ及び/又はポリアルキレングリコール及びポリエーテルポリオールからなる群から選ばれる少なくとも1種の化合物、(c)鎖伸長剤を同時に仕込み反応させポリマー化する方法、(II)(a)有機ポリイソシアネートと(b)モノ及び/又はポリアルキレングリコール及びポリエーテルポリオールからなる群から選ばれる少なくとも1種の化合物とを反応後、(c)鎖伸長剤を仕込み反応させポリマー化する方法、(III)(a)有機ポリイソシアネートの一部と(b)モノ及び/又はポリアルキレングリコール及びポリエーテルポリオールからなる群から選ばれる少なくとも1種の化合物を反応後、残りの(a)有機ポリイソシアネートと(c)鎖伸長剤とを仕込み反応させポリマー化する方法等の手法が挙げられる。この際、前記の(d)成分または(e)成分を鎖伸長剤の全部もしくは一部として用いることができる。
【0116】
本発明に用いる水性ポリウレタン樹脂は、このような方法でポリウレタンを合成した後、水を仕込み、乳化分散せしめることにより水性ポリウレタン樹脂の水乳化分散液とすることもできる。ここで、水を投入するタイミングは、ポリマー化後でも良く、末端イソシアネートのプレポリマー段階で水を仕込み、乳化分散後、鎖伸長剤を仕込み、ポリマー化しても良い。この際の鎖伸長剤としては、上記の低分子ポリアミン類が好ましい。また、イオン性基の中和は、水を仕込む前後何れでも構わない。用いられた溶剤は、乳化分散後、減圧昇温することにより除去できる。さらに前記水性ポリウレタン樹脂の水乳化分散液には必要により、架橋成分を併用することもできる。
【0117】
本発明に用いるポリエーテル基含有変性シリコーンは、ジメチルポリシロキサンの側鎖、末端及び主鎖からなる群から選ばれる少なくとも1カ所に、ポリエーテル基(−(R
14O)−)(ここで、R
14は前記規定に同一のものを表す)を含有するものである。この場合、ポリエーテル基は反応性であっても非反応性であっても構わない。またポリエーテル基は1種のアルキレンオキシ基が付加重合しているものであっても、2種以上のアルキレンオキシ基がブロック付加重合しているものであっても、ランダム付加重合しているものであっても構わない。
【0118】
本発明に用いるポリエーテル基含有変性シリコーンにおいては、化合物中にアルキレンオキシ基が50質量%〜95質量%含まれていることが好ましい。
【0119】
また、本発明に用いるポリエーテル基含有変性シリコーンは、ポリエーテル基以外に、例えば、アミノ基、アミド基、エポキシ基、アルキル基、アラルキル基、アルキルオキシ基、ヒドロキシ基などの官能基を含有していてもよい。このような本発明に用いるポリエーテル基含有変性シリコーンとしては、例えば、ポリエーテル変性シリコーン、アミノ・ポリエーテル変性シリコーン、アミド・ポリエーテル変性シリコーン、エポキシ・ポリエーテル変性シリコーン、アルキル・アラルキル・ポリエーテル変性シリコーン、アルキル・ポリエーテル変性シリコーン、アルキルオキシ・ポリエーテル変性シリコーンなどを挙げることができる。
【0120】
ポリエーテル変性シリコーンは、ジメチルポリシロキサンの側鎖、末端及び主鎖からなる群から選ばれる少なくとも1カ所に、官能基としてはポリエーテル基のみを含有するものである。
併用薬剤との併用性、機械安定性、機能性繊維製品に付与される耐洗濯性のある良好な紫外線吸収性、吸水性及び柔軟性の観点から、25℃における動粘度が10〜100,000mm
2/s、より好ましくは100〜10,000mm
2/s、さらに好ましくは1,000〜3,000mm
2/sの範囲にあることが好ましい。
また、25℃における屈折率が1.35〜1.55であることが好ましく、1.40〜1.50であることが好ましい。
また、HLB値が5〜10であることが好ましく、6〜8であることがより好ましい。
【0121】
シリコーン化合物のHLB値は、「界面活性剤便覧」(西一郎ら編集、産業図書株式会社、昭和35年発行)の324頁に記載されている下記の方法により測定した曇数Aから、下記の式により算出されるものである。
HLB値=0.89×A+1.1
【0122】
曇数Aは以下のようにして測定した。評価試料(シリコーン化合物)0.5gを98%エチルアルコール5mlに溶解し、25℃に保ちながら、かき混ぜながら2%フェノール水溶液で滴定し、液が混濁を呈する時を終点とする。この滴定に要した2%フェノール水溶液のml数を曇数Aとする。
【0123】
このようなポリエーテル変性シリコーンとしては、市販品を使用することができ、例えば、X−22−4952、X−22−4727、X−22−6266、KF−351A、KF−352A、KF−353、KF−354L、KF−355A、KF−615A、KF−945、KF−640、KF−642、KF−643、KF−6020、X−22−6191、X−22−4515、KF−6011、KF−6012、KF−6015、KF−6017、KF−6004(以上、信越化学工業株式会社製)、FZ−2110、FZ−2191、FZ−2166、FZ−2154、FZ−2120、L−720、SH8700、L−7002、L−7001、SF8410、FZ−2123、SH8400、FZ−2164、FZ−77、FZ−2105、L−7604、FZ−2104、FZ−2162、FZ−2203、FZ−2207、FZ−2208、SH3749、BX16−033、SH3748、BX16−034、BX16−035(以上、東レ・ダウコーニング株式会社製)、TSF4440、TSF4441、TSF4445、TSF4446、TSF4452、TSF4460(以上、モメンティブ・パフォーマンス・マテリアルズ・ジャパン合同会社)、L03、L033、L051、L066(以上、旭化成ワッカー株式会社製)などが挙げられる。
【0124】
アミノ・ポリエーテル変性シリコーンは、ジメチルポリシロキサンの側鎖、末端及び主鎖からなる群から選ばれる少なくとも2カ所に、官能基としてアミノ基及び/又はイミノ基とポリエーテル基とを含有するものである。
併用薬剤との併用性、機械安定性、機能性繊維製品に付与される耐洗濯性のある良好な紫外線吸収性、吸水性及び柔軟性の観点から、25℃における動粘度が10〜100,000mm
2/s、より好ましくは100〜10,000mm
2/s、さらに好ましくは100〜4000mm
2/sの範囲にあることが好ましい。
また、25℃における屈折率が1.35〜1.55であることが好ましく、1.40〜1.50であることが好ましい。
また、官能基(アミノ基、イミノ基)当量が500〜5,000g/molであることが好ましい。
【0125】
このようなアミノ・ポリエーテル変性シリコーンとしては、市販品を使用することができ、例えば、X−22−3939A(信越化学工業株式会社製)、BY16−893、FZ−3789(以上、東レ・ダウコーニング株式会社製)、マグナソフトJSS、マグナソフトDermaNT、マグナソフトSRS(以上、モメンティブ・パフォーマンス・マテリアルズ・ジャパン合同会社)などが挙げられる。
【0126】
アミド・ポリエーテル変性シリコーンは、ジメチルポリシロキサンの側鎖、末端及び主鎖からなる群から選ばれる少なくとも2カ所に、官能基としてアミド基及び/又はイミノ基とポリエーテル基とを含有するものである。
併用薬剤との併用性、機械安定性、機能性繊維製品に付与される耐洗濯性のある良好な紫外線吸収性、吸水性及び柔軟性の観点から、25℃における動粘度が10〜100,000mm
2/s、より好ましくは100〜10,000mm
2/s、さらに好ましくは100〜4,000mm
2/sの範囲にあることが好ましい。
また、官能基(アミノ基、イミノ基)当量が1,000〜5,000g/molであることが好ましい。
このようなアミド・ポリエーテル変性シリコーンとしては、市販品を使用することができ、例えば、BY16−891(東レ・ダウコーニング株式会社製)などが挙げられる。
【0127】
エポキシ・ポリエーテル変性シリコーンは、ジメチルポリシロキサンの側鎖、末端及び主鎖からなる群から選ばれる少なくとも2カ所に、官能基としてエポキシ基とポリエーテル基とが導入されたものである。
併用薬剤との併用性、機械安定性、機能性繊維製品に付与される耐洗濯性のある良好な紫外線吸収性、吸水性及び柔軟性の観点から、25℃における動粘度が10〜100,000mm
2/s、より好ましくは100〜10,000mm
2/s、さらに好ましくは100〜7,000mm
2/sの範囲にあることが好ましい。
また、25℃における屈折率が1.35〜1.55であることが好ましく、1.40〜1.50であることが好ましい。
また、官能基(エポキシ基)当量が1,000〜15,000g/molであることが好ましい。
【0128】
このようなエポキシ・ポリエーテル変性シリコーンとしては、市販品を使用することができ、例えば、X−22−4741、KF−1002(以上、信越化学工業株式会社製)、FZ−3736、BY16−876、SF−8421、BY16−845、BY16−863、BY16−865、BY16−866(以上、東レ・ダウコーニング株式会社製)、Magnasoft HWS(以上、モメンティブ・パフォーマンス・マテリアルズ・ジャパン合同会社)などが挙げられる。
【0129】
アルキル・アラルキル・ポリエーテル変性シリコーンは、ジメチルポリシロキサンの側鎖、末端及び主鎖からなる群から選ばれる少なくとも3カ所に、官能基としてアルキル基とアラルキル基とポリエーテル基とを含有するものである。
併用薬剤との併用性、機械安定性、機能性繊維製品に付与される耐洗濯性のある良好な紫外線吸収性、吸水性及び柔軟性の観点から、25℃における動粘度が10〜10,000mm
2/s、より好ましくは10〜5,000mm
2/s、さらに好ましくは10〜1,000mm
2/sの範囲にあることが好ましい。
また、25℃における屈折率が1.35〜1.55であることが好ましく、1.40〜1.50であることが好ましい。
このようなアルキル・アラルキル・ポリエーテル変性シリコーンとしては、市販品を使用することができ、例えば、X−22−2516(信越化学工業株式会社製)、SF8419(東レ・ダウコーニング株式会社製)などが挙げられる。
【0130】
アルキル・ポリエーテル変性シリコーンは、ジメチルポリシロキサンの側鎖、末端及び主鎖からなる群から選ばれる少なくとも2カ所に、官能基としてアルキル基とポリエーテル基とを含有するものである。
併用薬剤との併用性、機械安定性、機能性繊維製品に付与される耐洗濯性のある良好な紫外線吸収性、吸水性及び柔軟性の観点から、25℃における動粘度が10〜100,000mm
2/s、より好ましくは100〜10,000mm
2/s、さらに好ましくは1,000〜3,000mm
2/sの範囲にあることが好ましい。
また、25℃における屈折率が1.35〜1.55であることが好ましく、1.40〜1.50であることが好ましい。
このようなアルキル・ポリエーテル変性シリコーンとしては市販品を使用することができ、例えば、TSF4450(以上、モメンティブ・パフォーマンス・マテリアルズ・ジャパン合同会社)を挙げることができる。
【0131】
アルキルオキシ・ポリエーテル変性シリコーンは、ジメチルポリシロキサンの側鎖、末端及び主鎖からなる群から選ばれる少なくとも2カ所に、官能基としてアルキルオキシ基とポリエーテル基とを含有するものである。
併用薬剤との併用性、機械安定性、機能性繊維製品に付与される耐洗濯性のある良好な紫外線吸収性、吸水性及び柔軟性の観点から、25℃における動粘度が10〜100,000mm
2/s、より好ましくは100〜10,000mm
2/s、さらに好ましくは100〜3,000mm
2/sの範囲にあることが好ましい。
また、25℃における屈折率が1.35〜1.55であることが好ましく、1.40〜1.50であることが好ましい。
このようなアルキルオキシ・ポリエーテル変性シリコーンとしては市販品を使用することができ、例えば、KF−889(以上、信越化学工業株式会社製)を挙げることができる。
このような、本発明に用いる化合物(C)は、1種を単独で用いても良いし、2種以上を組み合わせて用いても良い。
【0132】
本発明においては、前記化合物(A)と前記化合物(B)との配合比率(質量基準)は(A):(B)=95:5〜5:95であることが好ましく、35:65〜15:85であることがより好ましい。化合物(A)が95質量%を超える場合は機能性繊維製品の耐洗濯性が低下する傾向にあり、5質量%未満の場合は柔軟性と吸水性が低下することに加え、蛍光染料を使用した場合に蛍光染料の効果を阻害する傾向にある。
【0133】
本発明においては、前記化合物(A)と前記化合物(B)との合計と前記化合物(C)との配合比率(質量基準)は(A+B):(C)=100:5〜100:200であることが好ましく、100:30〜100:100であることがより好ましい。化合物(C)が下限未満である場合耐洗濯性のある良好な紫外線吸収性、吸水性及び柔軟性を向上する効果が少ない傾向にある。上限を超える場合それ以上の性能の向上が少なく経済的ではない。
【0134】
本発明の機能性繊維製品は、前記化合物(A)と前記化合物(B)とを繊維製品に処理することにより得ることができる。
化合物(A)と化合物(B)とを繊維製品に処理する方法としては、化合物(A)と化合物(B)とを1工程(AB1工程)で同時に処理する方法、あるいはいずれか一方の化合物を処理した後他方の化合物を処理する2工程(AB2工程)での方法を挙げることができる。
【0135】
化合物(C)を併用する場合は、化合物(A)と化合物(B)と化合物(C)とを1工程(ABC1工程)で同時に処理する方法、2工程(ABC2工程)で処理する方法、3工程(ABC3工程)で処理する方法を挙げることができる。
【0136】
化合物(A)、化合物(B)及び化合物(C)は、繊維製品への処理のし易さの観点から、それらが水性媒体に乳化分散された状態で使用することが好ましい。この場合、水乳化分散液はそのまま処理液として使用してもよいし、水性媒体で希釈し、又は処理浴に添加することによって処理液とすることもできる。
【0137】
水性媒体としては、水又は水と水に混和する親水性溶剤との混合溶媒であることが好ましい。水はイオン交換水又は蒸留水を好適に用いることができる。親水性溶剤としては、例えば、メタノール、エタノール、イソプロピルアルコール、エチレングリコール、ジエチレングリコール、へキシレングリコール、グリセリン、ブチルグリコール、ブチルジグリコール、ソルフィット、N−メチルピロリドン、ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホオキサイドなどが挙げられる。
【0138】
本発明に用いる化合物(A)、化合物(B)及び化合物(C)を水性媒体に乳化分散するために、従来公知の乳化分散機を使用してもよい。従来公知の乳化分散機としては、特に制限はなく、マイルダー、ホモジナイザー、超音波ホモジナイザー、ホモミキサー、ビーズミル、パールミル、ダイノーミル、アスペックミル、バスケットミル、ボールミル、ナノマイザー、アルチマイザー、スターバーストなどの乳化分散機を挙げることができる。これらの乳化分散機は1種類を使用しても良く、2種類以上を組み合わせて使用しても良い。
【0139】
化合物(A)、化合物(B)、化合物(C)もしくはこれらを含む処理液は、乳化分散安定性とその向上効果の観点から、50%積算粒径が0.05〜10μmであることが好ましく、0.1〜3μmがより好ましく、0.1〜2μmがさらにより好ましい。
【0140】
AB1工程において使用する処理液は、化合物(A)と化合物(B)とを含む本発明の繊維用紫外線吸収剤を使用して調製することもできるし、化合物(A)と化合物(B)とを使用して調製することもできる。
AB2工程においては、(A)、(B)のいずれを先に処理しても構わない。
【0141】
ABC1工程において使用する処理液は、化合物(A)と化合物(B)と化合物(C)とを含む本発明の繊維用紫外線吸収剤を使用して調製することができる。また、化合物(A)、化合物(B)及び化合物(C)の群から選ばれるいずれか2種の化合物と残りの1種の化合物とを使用して調製することもできる。この場合、化合物(A)と化合物(B)とを含む本発明の繊維用紫外線吸収剤を使用することができるため処理が煩雑にならないという観点、さらに化合物(A)と化合物(B)との合計に対して、化合物(C)の使用量を変化させることが容易であるという観点から、化合物(A)と化合物(B)とを含む本発明の繊維用紫外線吸収剤と化合物(C)とを使用して調製することが好ましい。
また、化合物(A)と化合物(B)と化合物(C)とを使用して調製することもできる。
【0142】
ABC2工程で処理する方法としては、化合物(A)、化合物(B)及び化合物(C)の群の中のいずれか1種の化合物を第1工程で処理したのち残りの2種の化合物を第2工程で同時に処理する方法、又はいずれか2種の化合物を第1工程で同時に処理したのち残りの1種の化合物を第2工程で処理する方法を挙げることができる。この中でも、化合物(A)と化合物(B)とを含む本発明の繊維用紫外線吸収剤を使用することができるため処理が煩雑にならないという観点、化合物(A)と化合物(B)との合計に対して、化合物(C)の使用量を適宜変更することが可能であるという観点、耐洗濯性のある良好な紫外線吸収性、吸水性及び柔軟性の観点から、化合物(C)を第1工程で処理したのち化合物(A)と化合物(B)とを第2工程で同時に処理する方法が好ましい。この場合、第2工程で使用する処理液は、前記AB1工程で使用する処理液と同様のものを使用することができる。
【0143】
ABC3工程で処理する方法は、化合物(A)と化合物(B)と化合物(C)とをそれぞれ別々に処理する方法である。この場合の処理順番はどのような順番であっても構わないが、耐洗濯性のある良好な紫外線吸収性、吸水性及び柔軟性の観点から、化合物(C)を第1工程で処理する方法であることが好ましい。
いずれの処理においても、各工程の後には乾燥やキュアリングなどの熱処理工程を入れることも構わない。
【0144】
前記水乳化分散液及び/又は処理液には、乳化分散安定性の観点から、(D)成分として界面活性剤をさらに含むことができる。(D)成分としては、乳化分散安定性を向上することができるものであれば特に限定されず、公知の非イオン界面活性剤及びアニオン界面活性剤の少なくとも1種を使用することができる。
【0145】
非イオン界面活性剤としては、アルコール類、多環フェノール類、炭素数8〜44の脂肪族アミン、炭素数8〜44の脂肪酸アミド、炭素数8〜24の脂肪酸、多価アルコール脂肪酸エステル、油脂及びポリプロピレングリコールの、アルキレンオキサイド付加物などを挙げることができる。
これらの中でも、処理浴安定性の観点から、アルコール類のアルキレンオキサイド付加物と多環フェノール類のアルキレンオキサイド付加物が好ましい。
【0146】
アルコール類としては、炭素数8〜24のアルコール又はアルケノールなどを挙げることができる。
多環フェノール類としては、炭素数1〜12の炭化水素基を有していてもよいフェノールやナフトールなどの1価のフェノール類又はそれらのスチレン類(スチレン、α−メチルスチレン、ビニルトルエン)付加物若しくはそれらのベンジルクロライド反応物などを挙げることができる。
【0147】
1価のフェノール類としては、例えば、フェノール、4−クミルフェノール、4−フェニルフェノール、2−ナフトールなどを挙げることができる。
1価のフェノール類とスチレン類又はベンジルクロライドとのモル比は1:1〜10が好ましく、1:3〜8がより好ましい。
【0148】
アルキレンオキサイドとしては、エチレンオキサイド、プロピレンオキサイド、ブチレンオキサイド、スチレンオキサイド、エピクロロヒドリン等が挙げられるが、この中でも、処理浴安定性の観点から、エチレンオキサイド、プロピレンオキサイドが好ましく、エチレンオキサイドがより好ましい。
アルキレンオキサイドの付加方法としては単独付加、ブロック付加、ランダム付加などが挙げられるが、エチレンオキサイドを単独で付加する方法が好ましい。
アルキレンオキサイドの付加モル数は1〜200が好ましく、より好ましくは10〜100であり、更により好ましくは10〜50である。アルキレンオキサイドの付加モル数が1モルより少ないと、処理浴安定性が悪くなる傾向にあり、200モルを超えると機能性繊維製品の耐洗濯性が悪くなる傾向にある。
【0149】
アニオン界面活性剤としては、前記非イオン界面活性剤のアニオン化物、直鎖若しくは分岐鎖の炭素数8〜24のアルコール又はアルケノールのアニオン化物、油脂類のスルホン化物、アルキルベンゼンスルホン酸、アルキルナフタレンスルホン酸、ナフタレンスルホン酸のホルマリン縮合物あるいはそれらの塩などを挙げることができる。
【0150】
前記処理液の繊維製品への処理は特に制限はなく、例えば、パッド法、浸漬法、スプレー法などの公知の方法にて実施できる。
パッド法の場合、繊維製品を処理液に浸漬し、マングルなどを用いて所定のピックアップ量に調整すればよい。浸漬法の場合、通常一般に使用される染色機械、即ち、ウインス、液流染色機、ジッカー、チーズ染色機、かせ染色機等を用いて、所定の温度で所定の時間処理を行ったのち脱水すればよい。
【0151】
パッド、浸漬、スプレーなどの処理の後で乾燥してもよい。乾燥する条件には特に制限はなく、例えば、0〜200℃で10秒〜数日間乾燥させればよい。必要に応じて、乾燥後に100℃以上の温度、好ましくは110〜180℃程度の温度で10秒〜10分間、好ましくは30秒〜3分間程度の加熱処理(キュアリング)してもよい。
【0152】
付与量としては、繊維質量に対して化合物(A)と化合物(B)と場合によっては化合物(C)との合計が、0.1〜10質量%であることが好ましい。0.1質量%未満では耐洗濯性のある良好な紫外線吸収性、吸水性及び柔軟性が発揮され難く、10質量%を超えて使用してもそれ以上の性能の向上が少なく経済的ではない。
【0153】
前記処理液の繊維製品への処理は、繊維製品に単独で加工することができるが、染色加工、仕上げ加工などの工程で使用することもできる。この場合、染色加工浴や仕上げ加工浴に通常使用されている染料や無機又は有機の化学薬品が問題なく使用できる。
【0154】
本発明に係る処理液で処理され得る繊維製品の素材には特に限定なく種々の例を挙げることができる。例えば、綿、カポック、亜麻、苧麻、大麻、黄麻、マニラ麻、サイザル麻、羊毛、カシミヤ、モヘア、アルパカ、ラクダ毛、絹、羽毛などの天然繊維、レーヨン、ポリノジック、キュプラ、テンセルなどの再生繊維、酢酸セルロース繊維、プロミックスなどの半合成繊維、ポリアミド繊維、ポリエステル繊維、アクリル繊維、ポリオレフィン繊維、ポリビニルアルコール繊維、ポリ塩化ビニル繊維、ポリウレタン繊維、ポリオキシメチレン繊維、ポリテトラフルオロエチレン繊維、ベンゾエート繊維、ポリパラフェニレンベンズビスチアゾール繊維、ポリパラフェニレンベンズビスオキサゾール繊維、ポリイミド繊維などの合成繊維、石綿、ガラス繊維、炭素繊維、アルミナ繊維、シリコンカーバイド繊維、ボロン繊維、チラノ繊維、無機ウィスカー、ロックファイバー、スラグファイバーなどの無機繊維、これらの複合繊維、混紡繊維などからなる繊維製品を挙げることができる。
【0155】
これらの中でも綿、麻、レーヨン、ポリノジック、キュプラ、テンセル(商標)などのセルロース繊維を含むセルロース系繊維であることが好ましい。セルロース系繊維の中には上記のセルロース繊維が30%以上含まれていることが好ましく、50%以上がより好ましく、65%以上がさらにより好ましい。
【0156】
このように繊維製品として特にセルロース系繊維製品を使用することで、セルロース系繊維製品が本来持っている吸水性と柔軟性を阻害することなく耐洗濯性のある紫外線吸収効果を持った機能性繊維製品を得ることができる。
また、繊維製品の形態に特に制限はなく、例えば、短繊維、長繊維、糸、織物、編物、わた、スライバー、トップ、不織布、合成紙などを挙げることができる。
【0157】
本発明の繊維用紫外線吸収剤は、前記機能性繊維製品の製造方法において使用するものであり、前記化合物(A)と前記化合物(B)とを含むものである。本発明の繊維用紫外線吸収剤には、さらに前記化合物(C)を含むことが好ましい。この様な化合物(A)、化合物(B)、化合物(C)としては、前記機能性繊維製品の製造方法において使用するものと同じものを使用することができ、またそれらの配合量は、前記と同じである。
【0158】
本発明の繊維用紫外線吸収剤においては、(A)成分と(B)成分と場合によっては(C)成分との合計に対して界面活性剤(D)を0.1〜30質量%含むことが好ましく、0.5〜10質量%含むことがより好ましい。界面活性剤(D)の使用量が前記下限未満である場合、本発明の繊維用紫外線吸収剤の乳化分散性が不良になる傾向にあり、前記上限を超える場合、紫外線吸収効果、柔軟効果及び機能性繊維製品の各種堅牢度が低下する傾向がある。
【0159】
本発明の繊維用紫外線吸収剤は、50%積算粒径が0.05〜10μmであることが好ましく、0.1〜3μmがより好ましく、0.1〜2μmがさらにより好ましい。50%積算粒径が10μmを超える場合、繊維用紫外線吸収剤の製品安定性が低下する傾向がある。一方、平均粒径が0.05μmより小さい場合、繊維用紫外線吸収剤の製品安定性をそれ以上に向上する効果が少なく、微粒子化に時間がかかるため経済的に不利である。
50%積算粒径は、レーザ回折式/散乱式 粒度分布測定装置LA−920(株式会社 堀場製作所製)を用い、繊維用紫外線吸収剤の粒径の百分率積算値が小粒径側から50%の粒径を50%積算粒径とすることで測定することができる。
【0160】
本発明の繊維用紫外線吸収剤は、従来公知の紫外線吸収剤、酸化防止剤、浸透剤、柔軟剤、撥水撥油剤、難燃剤、フィックス剤、抗菌剤、防汚剤、帯電防止剤、吸水剤などを本発明の効果が阻害されない程度に配合することもさしつかえないし、本発明の繊維用紫外線吸収剤を繊維製品に加工する前後にあるいは同時にこれらの薬剤を処理してもよい。
【0161】
本発明の繊維用紫外線吸収剤中においては、前記化合物(A)と化合物(B)と場合によっては化合物(C)との合計が、5〜50質量%であることが好ましい。より好ましくは15〜35質量%である。5質量%未満であると製品安定性が低下したり、性能良好な機能性繊維製品が得られないなどの傾向があり、50質量%を超える場合は高粘度となり取り扱いが困難になる傾向がある。
【実施例】
【0162】
以下、実施例により本発明をさらに詳しく説明するが、本発明はこれらの実施例により何ら制限されるものではない。
【0163】
調製例1
一般式(1)で表される化合物として2´−エチルヘキシル−2−シアノ−3,3−ジフェニルアクリレート(商品名Seesorb502、シプロ化成株式会社製、20℃粘度=4600mPa・s)20質量部、ポリオキシエチレン多環フェニルエーテル(商品名ニューコール610、日本乳化剤株式会社製、HLB=13.8)5質量部を乳化容器に仕込み、撹拌混合しながら加熱昇温して80℃とする。その中に撹拌混合しながら80℃の熱水(75質量部)を徐々に加えた後、同温度にてホモジナイザー処理を行った。その後20℃まで冷却し、化合物(A)の水乳化分散液(化合物(A)の濃度20.0質量%、平均粒子径0.1μm)を得た。
なお、本発明において平均粒子径は、レーザ回折式/散乱式 粒度分布測定装置LA−920(株式会社 堀場製作所製)にて測定を行い、百分率積算値が50%の粒径(メジアン粒径)を平均粒子径(μm)とした。
【0164】
調製例2
反応容器に、水67質量部、ポリオキシエチレン多環フェニルエーテル(商品名ニューコール610、日本乳化剤株式会社製、HLB=13.8)2質量部、スチレン12質量部、一般式(2)で表される化合物として2−[2’−ヒドロキシ−5’−(メタクリロイルオキシエチル)フェニル]ベンゾトリアゾール(商品名RUVA−93、大塚化学株式会社製)8質量部を仕込み、窒素気流下、95℃×30分間乳化を行った。
次いで、過硫酸アンモニウム0.2質量部と水10.8質量部の水溶液を、前記反応容器に添加し、90℃で90分間反応を行い、化合物(B)の水乳化分散液(化合物(B)の濃度20.0質量%、平均粒子径0.3μm、質量平均分子量(Mw)350,000)を得た。
【0165】
なお、本発明において分子量の測定は、ゲル・パーミエーション・クロマトグラフィーを用い、ポリスチレン換算校正曲線より測定した。測定条件は以下の通りである。
装置:HLC−8220(東ソー(株)製)
カラム:TSK−gel Super HZ2000 ×30cm 2本、Super HZ4000 ×15cm 1本
流速:0.70mL/min
試料濃度:0.1g/L
濾過:0.45μm−Millex−LH(ミリポア)
注入量:0.200mL
温度:23℃
検出器:示差屈折率検出器(東ソー製 RI−8020)
【0166】
調製例3
一般式(3)において、R
9とR
11がメチル基、R
10が−(CH
2)
3−、R
12が水素原子、a=400、b=8、c=1であり、1200mm
2/sの粘度を有するアミノ変性シリコーン150質量部および無水酢酸4質量部を反応容器に仕込み、窒素ガス気流下で加熱昇温し、100〜110℃の温度で約1時間反応させた後、無水コハク酸4質量部を仕込み、さらに加熱昇温し、120〜130℃の温度で約2時間反応させた。反応終了後冷却し、ソフタノール50((株)日本触媒製)17質量部、ソフタノール90((株)日本触媒製)28質量部、ソフタノール120((株)日本触媒製)40質量部、水757質量部を加えて乳化させて、封鎖アミノ変性シリコーンの水乳化分散液(封鎖アミノ変性シリコーンの濃度15.6質量%、平均粒子径0.1μm以下)を得た。
【0167】
調製例4
攪拌機、温度計、メタノール流出管、精留管を備えた反応容器に、テレフタル酸ジメチル87.3質量部(0.45モル)、5−スルホイソフタル酸ジメチルナトリウム塩14.8質量部(0.05モル)、ポリエチレングリコール(平均分子量:3100)310質量部(0.1モル)、モノエチレングリコール68.2質量部(1.1モル)および三酸化アンチモン0.1質量部、酢酸亜鉛0.1質量部を仕込み、N
2ガスを通入した。次に、この混合物を130℃に加熱した後、130℃から180℃まで2時間で昇温しエステル交換反応を行った。さらに180℃から250℃まで2時間かけて昇温した後、N
2ガスの通入を停止した。その後減圧して0.7KPaの圧力下、255±5℃で2時間反応させた後、さらに減圧して0.3KPaの圧力下、260℃×30分反応させてエステル交換反応を行い、ポリエステル樹脂425質量部を得た。このポリエステル樹脂の重量平均分子量は、15,000であった。次に、このポリエステル樹脂100質量部を、N,N−ジメチルホルムアミド50質量部に溶解し、熱水850質量部を加えて乳化させ、80℃でホモジナイザー処理を行った。その後20℃まで冷却し、一般式(4)で表される化合物の水乳化分散液(一般式(4)で表される化合物の濃度10.0質量%、平均粒子径2.0μm)を得た。
【0168】
調製例5
ポリエーテル変性シリコーン(商品名SH8700、東レ・ダウコーニング株式会社製)20質量部、水80質量部を容器に仕込み、混合均一とし、ポリエーテル変性シリコーンの水溶液(ポリエーテル変性シリコーンの濃度20.0質量%)を得た。
【0169】
調製例6
エポキシ・ポリエーテル変性シリコーン(商品名MagnasoftHWS、モメンティブ社製)20質量部、ソフタノール90を10質量部、ラウリルベンゼンスルホン酸ソーダ0.3質量部を容器に仕込み、水94.7質量部を加えて乳化させ、エポキシ・ポリエーテル変性シリコーンの水乳化分散液(エポキシ・ポリエーテル変性シリコーンの濃度16.0質量%、平均粒子径0.1μm以下)を得た。
【0170】
調製例7
反応釜にポリプロピレングリコール(平均分子量:2000、2官能)145.5質量部、ポリプロピレングリコール(平均分子量:1500、3官能)9.9質量部、両末端アルコール変性シリコーンオイル(平均分子量1700、OH当量1200)22.5質量部、ジメチルホルムアミド10質量部を仕込み混合均一とした。窒素気流下40℃でヘキサメチレンジイソシアネート17.8質量部を仕込み、120〜130℃でNCO%が1.3〜1.5%になるまで反応させた。80℃でポリエチレングリコール(平均分子量:1500、2官能)74.4質量部を加え、130〜135℃で1時間反応させた。ジブチル錫ジラウレート0.002質量部を加えさらに1時間反応させた。100℃でソルフィット20質量部を加え混合均一とし、60℃で水700質量部を加え乳化して、水性ポリウレタン樹脂の水乳化分散液(水性ポリウレタン樹脂の濃度27.0質量%、平均粒子径0.1μm以下)を得た。
【0171】
調製例8
(2−(2’−ヒドロキシ−3’−t−ブチル−5’−メチルフェニル)−5−クロロベンゾトリアゾール)(商品名Seesorb703、シプロ化成株式会社製)30質量部、トリスチレン化フェノールのエチレンオキサイド20モル付加物の硫酸エステルナトリウム塩5質量部、水65質量部を攪拌機で予備分散した後、五十嵐機械製造株式会社製サンドグラインダーで分散撹拌処理して、紫外線吸収剤水乳化分散液(紫外線吸収剤の濃度30.0質量%、平均粒子径0.4μm)を得た。
【0172】
調製例9
紫外線吸収剤を2−(2´−ヒドロキシ−4´−ベンゾイルオキシフェニル)−5−クロルベンゾトリアゾー
ルに変えた以外は、調製例8と同様に操作を行って、紫外線吸収剤水乳化分散液(紫外線吸収剤の濃度30.0質量%、平均粒子径0.4μm)を得た。
【0173】
調製例10
紫外線吸収剤を[1,4−ブタンジイルビス〔オキシ(2−ヒドロキシ−4,1−フェニレン)〕]ビス(フェニルメタノン)(Seesorb151、シプロ化成株式会社製)に変えた以外は、調製例8と同様に操作を行って、紫外線吸収剤水乳化分散液(紫外線吸収剤の濃度30.0質量%、平均粒子径0.3μm)を得た。
【0174】
実施例1
調製例1で得られた化合物(A)の水乳化分散液275質量部(化合物(A)として55質量部))と調製例2で得られた化合物(B)の水乳化分散液25質量部(化合物(B)として5質量部))とを配合し、本発明の繊維用紫外線吸収剤1を得た。繊維用紫外線吸収剤1の平均粒子径は0.3μmであった。
この繊維用紫外線吸収剤1を水で希釈して、化合物(A)を0.55質量%と化合物(B)を0.05質量%とを含む処理液を調製した。
【0175】
この処理液に綿ニット晒し布(シルケット加工済み漂白綿100%ニット、165g/m
2、染色社より購入)を浸漬し、ピックアップ率70%にてロールで絞り、130℃で2分間乾燥して実施例1の機能性繊維製品を得た。表1に、処理液中の化合物(A)と化合物(B)の濃度、化合物(A)と化合物(B)との配合比率を示す。
この機能性繊維製品の洗濯(JIS L 0217(1995))10回前後でのUPF値、UVカット率、吸水性、柔軟性、白度及び発粉の評価を行った。その結果を表1に示す。
【0176】
実施例2〜7
化合物(A)と化合物(B)とを表1に示す組成に変えた以外は、実施例1と同様に操作を行い実施例2〜7の機能性繊維製品を得た。表1に、処理液中の化合物(A)と化合物(B)の濃度、化合物(A)と化合物(B)との配合比率を示す。
この機能性繊維製品の洗濯10回前後でのUPF値、UVカット率、吸水性、柔軟性、白度及び発粉の評価を行った。その結果を表1に示す。
【0177】
実施例8
調製例1で得られた化合物(A)の水乳化分散液と調製例2で得られた化合物(B)の水乳化分散物とを処理浴に添加して、化合物(A)を0.15質量%と化合物(B)を0.45質量%とを含む処理液を調製した以外は、実施例1と同様に操作を行い、実施例8の機能性繊維製品を得た。表1に、処理液中の化合物(A)と化合物(B)の濃度、化合物(A)と化合物(B)との配合比率を示す。
この機能性繊維製品の洗濯10回前後でのUPF値、UVカット率、吸水性、柔軟性、白度及び発粉の評価を行った。その結果を表1に示す。
【0178】
実施例9
調製例1で得られた化合物(A)の水乳化分散液を水で希釈して、化合物(A)を0.15質量%含む処理液1を調製した。調製例2で得られた化合物(B)の水乳化分散液を水で希釈して、化合物(B)を0.45質量%含む処理液2を調製した。
処理液1に綿ニット晒し布を浸漬し、ピックアップ率70%にてロールで絞り、次いで処理液2に浸漬し、ピックアップ率70%にてロールで絞り、130℃で2分間乾燥して実施例9の機能性繊維製品を得た。表1に、処理液中の化合物(A)と化合物(B)の濃度、化合物(A)と化合物(B)との配合比率を示す。
この機能性繊維製品の洗濯10回前後でのUPF値、UVカット率、吸水性、柔軟性、白度及び発粉の評価を行った。その結果を表1に示す。
【0179】
実施例10
調製例1で得られた化合物(A)の水乳化分散液75質量部(化合物(A)として15質量部))と調製例2で得られた化合物(B)の水乳化分散物225質量部(化合物(B)として45質量部))とを配合し、本発明の繊維用紫外線吸収剤2(平均粒子径0.3μm)を得た。この繊維用紫外線吸収剤2と調製例3で得られた封鎖アミノ変性シリコーン水乳化分散液とを処理浴に添加して、化合物(A)を0.15質量%と化合物(B)を0.45質量%と化合物(C)を0.1質量%とを含む処理液を調製した以外は、実施例1と同様に操作を行い、実施例10の機能性繊維製品を得た。表2に、処理液中の化合物(A)と化合物(B)と化合物(C)の濃度、化合物(A)と化合物(B)との配合比率、化合物(A)と化合物(B)との合計100質量部に対する化合物(C)の使用量(質量部)を示す。
この機能性繊維製品の洗濯10回前後でのUPF値、UVカット率、吸水性、柔軟性、白度及び発粉の評価を行った。その結果を表2に示す。
【0180】
実施例11〜22
化合物(A)と化合物(B)と化合物(C)とを表2に示す組成に変えた以外は、実施例10と同様に操作を行い、実施例11〜22の機能性繊維製品を得た。表2に、処理液中の化合物(A)と化合物(B)と化合物(C)の濃度、化合物(A)と化合物(B)との配合比率、化合物(A)と化合物(B)との合計100質量部に対する化合物(C)の使用量(質量部)を示す。
この機能性繊維製品の洗濯10回前後でのUPF値、UVカット率、吸水性、柔軟性、白度及び発粉の評価を行った。その結果を表2に示す。
【0181】
実施例23
調製例1で得られた化合物(A)の水乳化分散液と調製例2で得られた化合物(B)の水乳化分散液と調製例3で得られた化合物(C)の水乳化分散液とを処理浴に添加して、化合物(A)を0.15質量%と化合物(B)を0.45質量%と化合物(C)を0.2質量%とを含む処理液を調製した以外は、実施例10と同様に操作を行い、実施例23の機能性繊維製品を得た。表3に、処理液中の化合物(A)と化合物(B)と化合物(C)の濃度、化合物(A)と化合物(B)との配合比率、化合物(A)と化合物(B)との合計100質量部に対する化合物(C)の使用量(質量部)を示す。
この機能性繊維製品の洗濯10回前後でのUPF値、UVカット率、吸水性、柔軟性、白度及び発粉の評価を行った。その結果を表3に示す。
【0182】
実施例24〜25
化合物(A)と化合物(B)と化合物(C)とを表3に示す組成に変えた以外は、実施例23と同様に操作を行い、実施例24〜25の機能性繊維製品を得た。表3に、処理液中の化合物(A)と化合物(B)と化合物(C)の濃度、化合物(A)と化合物(B)との配合比率、化合物(A)と化合物(B)との合計100質量部に対する化合物(C)の使用量(質量部)を示す。
この機能性繊維製品の洗濯10回前後でのUPF値、UVカット率、吸水性、柔軟性、白度及び発粉の評価を行った。その結果を表3に示す。
【0183】
実施例26
調製例3で得られた化合物(C)の水乳化分散液を水で希釈して、化合物(C)を0.2質量%含む処理液3を調製した。実施例10で得られた繊維用紫外線吸収剤2を水で希釈して、化合物(A)を0.15質量%と化合物(B)を0.45質量%とを含む処理液4を調製した。表3に、処理液中の化合物(A)と化合物(B)と化合物(C)の濃度、化合物(A)と化合物(B)との配合比率、化合物(A)と化合物(B)との合計100質量部に対する化合物(C)の使用量(質量部)を示す。
処理液3に綿ニット晒し布を浸漬し、ピックアップ率70%にてロールで絞り、ついで処理液4に浸漬し、ピックアップ率70%にてロールで絞り、130℃で2分間乾燥して実施例26の機能性繊維製品を得た。
この機能性繊維製品の洗濯10回前後でのUPF値、UVカット率、吸水性、柔軟性、白度及び発粉の評価を行った。その結果を表3に示す。
【0184】
実施例27
実施例10で得られた繊維用紫外線吸収剤2を水で希釈して、化合物(A)を0.15g/lと化合物(B)を0.45g/lとを含む処理液を調製した。
この処理液を用いて、ミニカラー染色機(テクサム技研株式会社製)にて、浴比=1:10で、綿ニット晒し布を80℃×30分浸漬処理後、水洗(1回)、乾燥(60℃×30分)して機能性繊維製品を得た。表4に、処理液中の化合物(A)と化合物(B)と化合物(C)の濃度、化合物(A)と化合物(B)との配合比率、化合物(A)と化合物(B)との合計100質量部に対する化合物(C)の使用量(質量部)を示す。
この機能性繊維製品の洗濯10回前後でのUPF値、UVカット率、吸水性、柔軟性、白度及び発粉の評価を行った。その結果を表4に示す。
【0185】
実施例28
実施例10で得られた繊維用紫外線吸収剤2と調製例3で得られた封鎖アミノ変性シリコーンの水乳化分散液とを処理浴に添加して、化合物(A)を0.15g/lと化合物(B)を0.45g/lと化合物(C)を0.2g/lとを含む処理液を調製した以外は、実施例27と同様に操作を行い、実施例28の機能性繊維製品を得た。表4に、処理液中の化合物(A)と化合物(B)と化合物(C)の濃度、化合物(A)と化合物(B)との配合比率、化合物(A)と化合物(B)との合計100質量部に対する化合物(C)の使用量(質量部)を示す。
この機能性繊維製品の洗濯10回前後でのUPF値、UVカット率、吸水性、柔軟性、白度及び発粉の評価を行った。その結果を表4に示す。
【0186】
実施例29〜30
化合物(A)と化合物(B)と化合物(C)とを表4に示す組成に変えた以外は、実施例28と同様に操作を行い、実施例29〜30の機能性繊維製品を得た。表4に、処理液中の化合物(A)と化合物(B)と化合物(C)の濃度、化合物(A)と化合物(B)との配合比率、化合物(A)と化合物(B)との合計100質量部に対する化合物(C)の使用量(質量部)を示す。
この機能性繊維製品の洗濯10回前後でのUPF値、UVカット率、吸水性、柔軟性、白度及び発粉の評価を行った。その結果を表4に示す。
【0187】
実施例31
調製例3で得られた化合物(C)の水乳化分散液を水で希釈して、化合物(C)を0.2g/l含む処理液5を調製した。
処理液5を用いて、ミニカラー染色機にて、浴比=1:10で、綿ニット晒し布を80℃×30分浸漬処理した。次いで実施例26で得られた処理液4に浸漬し、ピックアップ率70%にてロールで絞り、130℃で2分間乾燥して実施例31の機能性繊維製品を得た。表4に、処理液中の化合物(A)と化合物(B)と化合物(C)の濃度、化合物(A)と化合物(B)との配合比率、化合物(A)と化合物(B)との合計100質量部に対する化合物(C)の使用量(質量部)を示す。
この機能性繊維製品の洗濯10回前後でのUPF値、UVカット率、吸水性、柔軟性、白度及び発粉の評価を行った。その結果を表4に示す。
【0188】
実施例32
実施例10で得られた繊維用紫外線吸収剤2を水で希釈して、化合物(A)を0.15g/lと化合物(B)を0.45g/lとを含む処理液6を調製した。
実施例31で得られた処理液5を用いて、ミニカラー染色機にて、浴比=1:10で、綿ニット晒し布を80℃×30分浸漬処理した。次いで処理液6を用いて、ミニカラー染色機にて、浴比=1:10で、80℃×30分浸漬処理後、水洗(1回)、乾燥(60℃×30分)して機能性繊維製品を得た。表4に、処理液中の化合物(A)と化合物(B)と化合物(C)の濃度、化合物(A)と化合物(B)との配合比率、化合物(A)と化合物(B)との合計100質量部に対する化合物(C)の使用量(質量部)を示す。
この機能性繊維製品の洗濯10回前後でのUPF値、UVカット率、吸水性、柔軟性、白度及び発粉の評価を行った。その結果を表4に示す。
【0189】
実施例33
実施例10で得られた繊維用紫外線吸収剤2を水で希釈して、化合物(A)を0.15質量%と化合物(B)を0.45質量%とを含む処理液を調製した。
この処理液に綿ニット晒し布にかえてT/Cブロード((株)谷頭商店より購入)を使用して処理を行った以外は、実施例1と同様に操作を行い、実施例33の機能性繊維製品を得た。表5に、処理液中の化合物(A)と化合物(B)と化合物(C)の濃度、化合物(A)と化合物(B)との配合比率、化合物(A)と化合物(B)との合計100質量部に対する化合物(C)の使用量(質量部)を示す。
この機能性繊維製品の洗濯10回前後でのUPF値、UVカット率、吸水性、柔軟性、白度及び発粉の評価を行った。その結果を表5に示す。
【0190】
実施例34
実施例10で得られた繊維用紫外線吸収剤2と調製例3で得られた封鎖アミノ変性シリコーンの水乳化分散液とを処理浴に添加して、化合物(A)を0.15質量%と化合物(B)を0.45質量%と化合物(C)を0.2質量%とを含む処理液を調製した以外は、実施例33と同様に操作を行い、実施例34の機能性繊維製品を得た。表5に、処理液中の化合物(A)と化合物(B)と化合物(C)の濃度、化合物(A)と化合物(B)との配合比率、化合物(A)と化合物(B)との合計100質量部に対する化合物(C)の使用量(質量部)を示す。
この機能性繊維製品の洗濯10回前後でのUPF値、UVカット率、吸水性、柔軟性、白度及び発粉の評価を行った。その結果を表5に示す。
【0191】
実施例35〜36
化合物(A)と化合物(B)と化合物(C)とを表5に示す組成に変えた以外は、実施例34と同様に操作を行い、実施例35〜36の機能性繊維製品を得た。表5に、処理液中の化合物(A)と化合物(B)と化合物(C)の濃度、化合物(A)と化合物(B)との配合比率、化合物(A)と化合物(B)との合計100質量部に対する化合物(C)の使用量(質量部)を示す。
この機能性繊維製品の洗濯10回前後でのUPF値、UVカット率、吸水性、柔軟性、白度及び発粉の評価を行った。その結果を表5に示す。
【0192】
実施例37
綿ニット晒し布に代えてT/Cブロードを使用し、ミニカラー処理温度を130℃にした以外は、実施例28と同様に操作を行い、実施例37の機能性繊維製品を得た。表5に、処理液中の化合物(A)と化合物(B)と化合物(C)の濃度、化合物(A)と化合物(B)との配合比率、化合物(A)と化合物(B)との合計100質量部に対する化合物(C)の使用量(質量部)を示す。
この機能性繊維製品の洗濯10回前後でのUPF値、UVカット率、吸水性、柔軟性、白度及び発粉の評価を行った。その結果を表5に示す。
【0193】
実施例38
綿ニット晒し布に代えてT/Cブロードを使用し、ミニカラー処理温度を130℃にした以外は、実施例31と同様に操作を行い、実施例38の機能性繊維製品を得た。表5に、処理液中の化合物(A)と化合物(B)と化合物(C)の濃度、化合物(A)と化合物(B)との配合比率、化合物(A)と化合物(B)との合計100質量部に対する化合物(C)の使用量(質量部)を示す。
この機能性繊維製品の洗濯10回前後でのUPF値、UVカット率、吸水性、柔軟性、白度及び発粉の評価を行った。その結果を表5に示す。
【0194】
比較例1
調製例1で得られた化合物(A)の水乳化分散液を水で希釈して、化合物(A)を0.6質量%含む処理液を調製した以外は、実施例1と同様に操作を行い、比較例1の機能性繊維製品を得た。表6に、処理液中のそれぞれの化合物の濃度、化合物(A)と化合物(B)との配合比率を示す。
この機能性繊維製品の洗濯10回前後でのUPF値、UVカット率、吸水性、柔軟性、白度及び発粉の評価を行った。その結果を表6に示す。
【0195】
比較例2〜6
化合物(A)に代えて表6に示す紫外線吸収剤を使用した以外は、比較例1と同様に操作を行い、比較例2〜6の機能性繊維製品を得た。表6に、処理液中のそれぞれの化合物の濃度、化合物(A)と化合物(B)との配合比率を示す。
この機能性繊維製品の洗濯10回前後でのUPF値、UVカット率、吸水性、柔軟性、白度及び発粉の評価を行った。その結果を表6に示す。
【0196】
比較例7
綿ニット晒し布に代えてT/Cブロードを使用した以外は、比較例1と同様に操作を行い、比較例7の機能性繊維製品を得た。表6に、処理液中のそれぞれの化合物の濃度、化合物(A)と化合物(B)との配合比率を示す。
この機能性繊維製品の洗濯10回前後でのUPF値、UVカット率、吸水性、柔軟性、白度及び発粉の評価を行った。その結果を表6に示す。
【0197】
比較例8〜9
化合物(A)に変えて表6に示す紫外線吸収剤を使用した以外は、比較例7と同様に操作を行い、比較例8〜9の機能性繊維製品を得た。表6に、処理液中のそれぞれの化合物の濃度、化合物(A)と化合物(B)との配合比率を示す。
この機能性繊維製品の洗濯10回前後でのUPF値、UVカット率、吸水性、柔軟性、白度及び発粉の評価を行った。その結果を表6に示す。
【0198】
評価試験
(1)紫外線吸収効果の評価(UPF値)
AS/NZS4399:1996、Sun protective clothing−Evaluation and classificationに従い、UPF値(Ultraviolet Protection Factor)を測定した。値が大きいほど紫外線遮蔽効果(紫外線吸収効果)が大きいと判断する。
【0199】
(2)紫外線吸収効果の評価(UVカット率)
日立ハイテクノロジーズ製U−3000形分光光度計を用い、波長280〜390nmの範囲(5nm毎)で機能性繊維製品の光の遮断率を測定し、その平均値をUVカット率とした。値が大きいほど紫外線遮蔽効果(紫外線吸収効果)が大きいと判断する。
【0200】
(3)吸水性の評価
JIS L 1907(滴下法)に従い、機能性繊維製品に水滴を1滴滴下し、水滴が完全に消失するまでの時間(秒)を測定した。水滴が消失するまでの時間が短いほど吸水性良好と判断した。
【0201】
(4)柔軟性の評価
柔軟性を触感にて評価した。柔軟性の評価は以下の基準に基づいて判定した。
S:非常に柔軟である
A:柔軟である
B:やや柔軟である
C:粗硬である
なお、AとBの中間位をABとして、BとCの中間位をBCとして表記する。
【0202】
(5)白度の測定
ミノルタ製積分球形光束計スペクトロフォトメーターCM−3700dを用い、白度を測定した。値が大きいほど白度良好と判断する。
【0203】
(6)発粉の評価
発粉の有無を目視にて評価した。
A:発粉が認められない
C:発粉が認められる
【0204】
本発明の機能性繊維製品の製造方法により得られた機能性繊維製品は、耐洗濯性のある良好な紫外線吸収性、吸水性、柔軟性、白度を示す。また、発粉も認められず、良好であった。
【0205】
【表1】
【0206】
【表2】
【0207】
【表3】
【0208】
【表4】
【0209】
【表5】
【0210】
【表6】